全国学力・学習状況調査の結果・分析と今後の取組について 朝日町教育委員会 平成 27 年 12 月 本年4月に小学校第6学年及び中学校第3学年を対象に実施された「全国学力・学習状況調査」の 結果が,8月 25 日に文部科学省から公表されました。朝日町教育委員会でも,調査結果や本町にお ける児童生徒の学力の定着状況,学習状況,生活習慣等の分析結果,今後の取組を以下のとおりまと めました。つきましては,保護者の皆様も家庭生活や生活習慣の見直しなど,ご協力をお願いします。 なお,この調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること,学校における教育活動の一 側面であることなどをご理解ください。 1 教科に関する調査の結果・分析 (1)学力の全体的な傾向 ①小学校 【町の花 ひまわり】 全国比を見ると,国語に関しては A 問題・B 問題とも全国比を上回っており,国語の力はつ いてきている。しかし,算数の A 問題は全国比を下回っており,基礎基本の徹底が急務である。 理科については全国比を上回っているものの,実験器具等の基本的な事項で誤答が多く,実験 の仕方や器具の名称について基本をおさえる必要がある。 ②中学校 A 問題について,平均正答数・正答率は全国・県平均を上回った。この点から,基礎基本は 十分な定着が見られるといえる。B 問題についても全国・県平均を上回る結果となっているが, やや高学力層と低学力層の二極化傾向がみられる。数学に関しては,基礎の計算力があり,活 用を問う設問に対しても的確に読み取り,数学的に解釈し説明する力を持っている。資料から 必要な情報を選択して解答することや,傾向把握については弱さがある。国語に関しては,文 脈に即して漢字を選択する問題や,自分の考えをまとめることに強みがあった一方,文章の中 から時節の根拠足りえる部分を選択する能力が低い面が見られる。理科に関しては,物質の量 を量ったり,性質を判断したりすることはできるが,1回のみの実験などについては弱みが見 られる。 (2)本町における特徴的な傾向(〇…強み ▼…弱み) 【小学校】 A 問題 国語 B 問題 ○漢字の読み書きはほぼできている。 ○文章の要旨をまとめる力。 ○登場人物の相互関係をうまくとらえる。 ○場面の移り変わりをとらえる。 ○作品募集の案内を見て,正しく内容をとらえる。 ○楽器の分担について,問題の条件をまもって決め方 ▼話の聞き方の説明として正しいものを選ぶ。 を書く。 ▼筆者の体験が書かれているまとまりを正しく選ぶ。 ▼ページの割り付けを見ておおまかな内容をとらえ る。 1 ▼インタビューの内容を,2つの条件を満たしてまと める。 算数 ○円の特徴を理解している。 〇四捨五入をしておよその数にして計算する。 ▼角の大きさを求める。 〇条件を変更した場面に面積を2等分する考えを適 ▼小数のたし算と引き算において,小数点の位置や位 用し,面積を求める。 を考えて計算する。 〇図形(平行四辺形)の知識及び技能を活用すること。 ▼分数の計算において,通分や約分。 ▼比較量と割合から基準量を求める。 ▼所要時間から,遡った時刻を求めること。 ▼論理的に説明する力が全国に比べやや下回ってい る。 理科 ○グラフの読み取りはできている。 ▼結果から分かることを考えて書くことが少なく,考察が書けない。 ▼実験器具の名称,使い方。 【中学校】 A 問題 国語 B 問題 〇文脈に即して漢字を正しく書く。 〇目的に応じて文章を要約する。 〇語句の意味を理解し,文脈の中で適切に使う。 〇文章の中心的な部分と付加的な部分などを読み分 〇文脈に即して漢字を正しく読む。 け,要旨を捉える。 〇文章から適切な情報を得て,考えをまとめる。 〇表現の工夫について自分の考えを持つ。 ▼手紙の書き方を理解して書く。 ▼状況に応じて,資料を活用して話す。 ▼文章の構成や展開などを踏まえ,根拠を明確にして 自分の考えを書く。 数学 〇加減乗除を含む正の数と負の数の計算において,計 〇発展的に考え,条件を変えた場合について証明する 算の決まりにしたがって計算できる。 ことができる。 〇一次式の減法の計算ができる。 〇平面図形と空間図形を関連付けて事象を考察し,そ 〇証明の根拠として用いられている三角形の合同条 の特徴を的確に捉えることができる。 件を理解している。 〇与えられた表や式を用いて,問題を解決する方法を 〇与えられた比例のグラフから,xの変域に対応する 数学的に証明することができる。 yの変域を求めることができる。 ▼資料の傾向を的確にとらえ,判断の理由を数学的な ▼空間における直線と平面の垂直について理解して 表現を用いて説明することができる。 いる。 ▼必要な情報を選択して的確に処理し,その結果を事 象に即して解釈することができる。 〇特定の質量パーセント濃度の水溶液の溶質と水のそれぞれの質量を求めることができる。 〇実験の結果を分析して解釈し,炭酸水素ナトリウムを溶かした方の試験管を指摘することができる。 理科 〇二酸化炭素の体積を量る場面において,水上置換法では正確に量れない理由を説明することができる。 ▼天気の記号から風向を読み取り,風向計を使って風向を観測することができる。 ▼背骨のある動物を,セキツイ動物と表すことができる。 2 (3)領域別平均正答率の状況 <小学校・国語A> 伝統的な言語 文化と国語の 特質に関する 事項 話すこと・聞 くこと 100 80 60 40 20 <小学校・国語B> 話すこと・聞 くこと 80 60 伝統的な言語 文化と国語の 特質に関する 事項 書くこと 読むこと 朝日町 数量関係 三重県 書くこと 朝日町 三重県 <小学校・算数B> 数と計算 60 40 数量関係 量と測定 20 量と測定 図形 図形 朝日町 20 読むこと <小学校・算数A> 数と計算 100 80 60 40 20 40 朝日町 三重県 三重県 <小学校・理科> A区分 (物質) 80 60 40 B区分 (地球) 20 A区分 (エネル ギー) 【町の木 白梅】 B区分 (生命) 朝日町 三重県 町のイメージキャラクター 3 アーミン <中学校・国語A> 伝統的な言語 文化と国語の 特質に関する 事項 話すこと・聞 くこと 100 80 60 40 20 <中学校・国語B> 話すこと・聞 くこと 80 60 伝統的な言語 文化と国語の 特質に関する 事項 書くこと 読むこと 朝日町 20 書くこと 読むこと 三重県 朝日町 <中学校・数学A> 資料の活用 40 <中学校・数学B> 数と式 80 数と式 80 60 60 40 40 20 資料の活用 図形 20 図形 関数 関数 朝日町 三重県 朝日町 三重県 三重県 <中学校・理科> 物理的領域 80 60 40 地学的領域 20 化学的領域 生物的領域 朝日町 三重県 【町の鳥 4 うぐいす】 (4)正答数の分布状況 <小学校・国語A> 21 % 18 朝日町 15 三重県 12 全国 9 6 3 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 12問 13問 14問 <小学校・国語B> 30 % 25 朝日町 20 三重県 15 全国 10 5 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 <小学校・算数A> 18 % 15 朝日町 12 三重県 9 全国 6 3 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 12問 13問 14問 15問 16問 <小学校・算数B> 18 % 15 朝日町 12 三重県 9 全国 6 3 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 5 9問 10問 11問 12問 13問 <小学校・理科> 12 % 10 朝日町 8 三重県 6 全国 4 2 0 0問 2問 4問 6問 8問 10問 12問 14問 16問 18問 20問 22問 24問 <中学校・国語A> 14 % 12 朝日町 10 8 三重県 6 全国 4 2 0 0問 2問 4問 6問 8問 10問 12問 14問 16問 18問 20問 22問 24問 26問 28問 30問 32問 <中学校・国語B> 40 % 35 朝日町 30 25 三重県 20 全国 15 10 5 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 <中学校・数学A> 12 % 10 朝日町 8 三重県 6 全国 4 2 0 0問 2問 4問 6問 8問 10問 12問 14問 16問 18問 20問 22問 24問 26問 28問 30問 32問 34問 36問 6 <中学校・数学B> 14 % 12 朝日町 10 三重県 8 全国 6 4 2 0 0問 1問 2問 3問 4問 5問 6問 7問 8問 9問 10問 11問 12問 13問 14問 15問 <中学校・理科> 12 % 10 朝日町 8 三重県 6 全国 4 2 0 0問 2問 4問 6問 8問 10問 12問 14問 16問 18問 20問 22問 24問 (5)学力の弱みについての分析と今後の取り組み <小学校国語 A> 弱み 分 話の聞き方の説明に関して、正しいものを選ぶことができない。 析 取り組み 弱み 説明を聞くときに、どのようなことに気をつければよいかという視点が備わっていない。 聞く時の姿勢やポイントなど、聞き方のモデルを示していくことが必要。 分 筆者の体験が書かれているまとまりを正しく選ぶことができない。 析 取り組み 体験の部分と引用の部分を混同して読んでいる。 文章を読む際に、その文が筆者の主張なのか、体験を示す文なのか、引用文なのか、文と文の関係を意識さ せる。 <小学校国語 B> 弱み 分 ページの割り付けを見ておおまかな内容をとらえることができない。 析 取り組み 弱み 分 ページ全体を見たときに、それぞれの文章がどんな役割を果たしているかがわかっていない。 文章のおおまかな内容を、短い言葉でまとめる訓練が必要。 インタビューの内容を、2つの条件を満たしてまとめることができない。 析 必要な条件が多いと、うまく文章を構成することができない。 7 取り組み 作文指導の際には、必要な文字数や盛り込む内容など、条件を指定して様々な形で練習をさせる。 <小学校算数 A> 弱み 分 角の大きさを求めることができない。 析 取り組み 弱み 分度器の目盛りの読み方や内角の和など角の大きさに関する基礎が定着していない。また,およその大きさ を求めることも苦手であり,大きさに対して見通しをもって解答することができていない。 図形問題の学習の際,円や三角形などの特徴を角の大きさに中心にふり返りながら,進めていく。 分 小数・分数の計算ができない。 析 小数のたし算引き算では小数点をそろえて計算することや,分数の計算では通分や約分の方法が理解できて いないなど,基礎が定着していない。 取り組み 計算練習が不足していると考えられるため,年間を通して朝学や宿題などで反復練習を行っていく。 <小学校算数 B> 弱み 分 概数の問題や単位量の問題の立式が苦手である。 析 取り組み 弱み 20%増量・20%値引きなど割合が用いられる様々な場面での基準量、比較量、割合の意味の理解が定着し きれていない。 生活経験を想起させる場面を増やし、学習したことを日常生活で活用し割合の意味を理解していくようにす る。 分 論理的に説明する力が弱い。 析 取り組み 考えの根拠を文章化することが苦手なのは必要な条件を適切に使って説明する経験が少ないからだと考え られる。 授業の中で自分の考えを、根拠をもとに書く練習、説明する練習に取り組んでいく。 <小学校理科> 弱み 分 実験器具の名称、使い方を押さえる必要がある。 析 取り組み 実験の時に、名称の確認が不十分であった。 実験をする際に、正しく器具の使い方を押さえる。 <中学校国語 A> 弱み 分 手紙の書き方を理解して書く。 析 取り組み 手紙を書く機会が乏しいこと原因だと考えられる。 国語の授業に関わらず、手紙を書くことを推奨し、書き方を正しく教える。 8 <中学校国語 B> 弱み 分 文章の構成や展開などを踏まえ、根拠を明確にして自分の考えを書く。 析 取り組み 自分の考えを書くことは比較的得意であるが、根拠を見つける能力が低い。 文章の起承転結を理解させ、著者が何を根拠に結論付けているかを理解させる。 <中学校数学 A> 弱み 分 空間における直線と平面の垂直について理解している。 析 取り組み この問題に限らず、空間図形に関わる問題全般に弱みが見られる。 空間図形に関わる教材を見直し、現状に即した指導方法を行う。 <中学校数学 B> 弱み 分 必要な情報を選択して的確に処理し、その結果を事象に即して解釈することができる。 析 取り組み 強みとして挙げた問題は全ての資料が1つの結論につながっていたが、この問題はさまざまな資料の中から 選択する形式になっており、それを選択する時点で間違っていたことが予想される。 いくつかの資料を提示し、それをどのようにいかせば答え(結論)を導き出すことができるか考える練習を させたい。 <理科> 弱み 分 背骨のある動物を、セキツイ動物と表すことができる。 析 取り組み 2 漢字で「脊椎」と書こうとして、間違えた例が多いようである。 カタカナ、もしくは漢字で正しく言葉を覚えさせる。 質問紙調査(児童生徒用・学校用)に関する調査の結果・分析 (1)生活や学習状況調査結果から見た強み・弱み ①小学校 強み 弱み ○朝食を毎日食べたり、毎日同じ時間に起きたり就寝した ● 学 校 の き ま り を守 っ て いる ( 朝 日 町 35.8 % 、全 国 りという生活習慣は全国平均を上回って、しっかり定着し 41.7%)、人の気持ちがわかる人間になりたい(朝日町 ている。 61.7%、全国 72.1%) 、いじめはどんな理由があってもい ○自分にはよいところがあると思うと答えた子の割合が全 けない(朝日町 67.3%、全国 81.8%)という質問に対し 国平均を大きく上回っている。 て、そう思うと答えた割合が、全国平均に比べてかなり落 ○自分の考えを他の人に説明したり,文章に書いたりする ち込んでいる。 ことが難しいと思う子が全国より少ない。 ●人の役に立つ人間になりたい(朝日町 62.3%、全国 ○国語の勉強は好きと回答した割合が全国をやや上回って 71.6%) 、総合的な学習の時間に学習したことが将来役に いる。 立つ(朝日町 26.5%、全国 43.1%)が全国平均より下回 ○読書は好きか(朝日町 77.8%,全国 72.8%)で 5 ポイ る。 9 ント上回っている。 ●友だち同士で話し合って学級のきまりを決めたり(朝日 町 24.7%、全国 38.7%) 、みんなで協力して達成感を味 わったりする経験がある(朝日町 24.7%、全国 38.7%) が全国に比較してかなり少ない。 ○学校の授業時間以外に,普段(月~金曜日),1日当たりどれくらいの時間,勉強をしますか(学習 塾で勉強している時間や家庭教師に教わっている時間も含む) 朝日町 4.3 11.1 37.7 29.6 14.2 3.1 3時間以上 2時間以上、3時間より少ない 三重県 9.1 14.9 34.4 27.8 10.5 3.2 1時間以上、2時間より少ない 30分以上、1時間より少ない 30分より少ない 全国 11.1 0% 14.6 37 20% 25.1 40% 60% 9.1 3 80% 全くしない 100% ○普段(月~金曜日) ,1日当たりどれくらいの時間,テレビゲーム(コンピュータゲーム,携帯式の ゲーム,携帯電話やスマートフォンを使ったゲームも含む)をしますか 朝日町 13.6 6.2 17.9 21 32.1 9.3 4時間以上 3時間以上、4時間より少ない 三重県 9.9 8.3 13.8 24.3 31.5 12.1 2時間以上、3時間より少ない 1時間以上、2時間より少ない 1時間より少ない 全国 9.1 7.9 0% 13.2 20% 24.4 40% 31.6 60% 13.7 80% 全くしない 100% ②中学校 強み 弱み ○朝食をきちんと取ることができている。 (朝日町 90.9%, ●将来の夢や目標を持つ生徒が少ない。 (朝日町 36.4%, 全国 83.8%) 全国 46.0%) ○自尊感情が高く、挑戦する気概がある。 ●総合的な学習の時間で、課題をたてて情報を集め、整理 ○友達との話し合いの時、意見を最後まで聞くことができ して調べたことを発表するなどの活動に、取り組むことが る。 (朝日町 66.7%,全国 54.7%) できていない。 (朝日町 13.1%,全国 18.1%) ○ゲーム、ネット、メールなどに触れる時間が短い。 ●理科の授業で学習したことを普段の授業で活用できない ○家族が学校の行事に参加する。(朝日町 63.6%,全国 か考えることができない。 (朝日町 14.1%,全国 18.1%) 50.0%) ●観察や実験の計画を立てることが苦手で、結果をもとに ○ニュースへの関心が高い。 (朝日町 60.6%, 全国 49.1%) 考察することも苦手である。 ○1,2年の時の授業では、自分の考えを発表する機会が 与えられていた。 (朝日町 65.7%,全国 46.2%) ○1,2年の時の授業では、生徒の間で話し合う活動をよ 10 く行っていた。 (朝日町 64.6%,全国 34.2%) ○どの教科の問題も、解答を最後まで書く努力をした。 ○数学の授業内容はよくわかる。(朝日町 59.6%,全国 32.8%) ○解き方が分からない時、諦めずにいろいろな方法を考え る生徒が多い。 (朝日町 48.5%,全国 32.7%) ○ 公 式 や 決 ま り の 根 拠 を 考 え る 生 徒 が 多 い 。( 朝 日 町 44.4%,全国 32.6%) ○家で,学校の宿題をしていますか 朝日町 85.9 12.1 2 している 三重県 67.4 23.5 どちらかといえば、している 7 2 あまりしていない 全くしていない 全国 0% 65.8 20% 40% 23.5 60% 7.9 2.6 80% 100% ○学校の規則を守っていますか 朝日町 78.8 19.2 1 当てはまる 三重県 61.3 33.9 3.8 0.9 どちらかといえば、当てはまる ぢちらかといえば、当てはまらない 当てはまらない 全国 0% 3 58.8 20% 35.6 40% 60% 80% 4.4 1.1 100% 朝日町教育委員会による学校支援とその成果等の状況 ○できることを普段どおり続ける 「継続は力なり。 」とは,昔からよく聞く言葉です。学びの場である学校では,特色ある取り組みも 重要ですが,かわり映えしないけれど,同じことを粘り強くこつこつと続けていくことも,学力の向上 には大切なことです。今回の学習状況調査でも, 『家で学校の宿題をする』という項目で, 「はい」と答 えた子どもの割合が非常に高い結果となっています。 「そんなの当たり前ではないか。」と思われるかも しれませんが,この普段どおりのことを当たり前のようにできるということが,学力調査の結果が高く なっている一因ではないかと考えられます。つまり子どもたちが,そのように「はい。」と答えられる 環境を作り,習慣化できていることが学力向上には不可欠であると思います。 ○細かな分析から授業改善へ 朝日町では,結果を全国の平均値との比較でとらえるのではなく,子どもたちの学力向上の取り組み にむけて,どのような部分に課題があるのかを丁寧に分析することが大切だと考えています。つまり, 学力調査の大きな目的の一つは,調査結果を踏まえての,学校での授業改善につなげることであり,子 11 どもたちにとって,いかに分かりやすい授業をし,いかに学習内容を身につけさせるかに尽きると思い ます。 ○「学習規律」 「学習ルール」の徹底 チャイム着席、学習用具の準備、学習への参加のしかたなどを徹底し、 「学習規律」 「学習ルール」が 定着するように学校全体で取り組み、授業時間を最大限有効に使って,落ち着いた雰囲気で授業が行わ れることが何より大切であるととらえ実践しています。このことが結果につながっている大きな土台と なっていると言えます。 ○教師全員が提案授業を実施 小中学校では,教師の授業力のスキル向上と児童生徒の基本的な学習内容の定着を目指し、教員全員 が授業提案を行い、指導主事を招聘して事後検討事後研修を行っています。具体的には、言語活動を重 視した授業を実践し,表現力の向上を図り,文章に書きながら考えるという方法も,今までより一層重 点的に行い,また、子どもたちにとっても満足感や達成感が味わえる ICT を活用した授業を目指してい ます。 ○どのような授業が結果につながっているのか。 教師が、ちょっとした具体物を提供しながら授業を工夫する。 「勉強しなさい!」というよりも、 「あ なたが数学で習っていることは、こうやって社会で役に立ちますよ。 」と気づかせることが、 「全国学力 テスト」のB問題を解くための力になります。基礎的な学力に加え、知識を活用する高い能力が求めら れるこれからの時代、子どもの「活用力」の育成には、学校や保護者の価値観や関心の高さが大きく影 響します。このことをベースに朝日町では ICT 活用の研修を重ね,授業改善に努めていることが良い結 果につながっていると考えられます。 4 児童生徒の学びの充実を図るための今後の取組 ①小学校 ○計算・漢字の定着のために、宿題の量を増やし、学習内容と実生活を結びつけたテーマを主にした 自習学習を増やすなど、家庭学習の時間を確保していく必要がある。そのため、家庭学習の時間を 計画的に確保できる生活習慣をつくれるよう、各家庭に協力をお願いしたい。また、テレビ・ゲー ム・パソコン・スマートフォン等の利用方法・時間など、家庭で十分話し合って、よりよい利用が できるようにしたい。 ○学習内容と実生活を結びつけるには、家庭の協力も必要。そのために、自分のことは自分でできる ように育てていきたい。 ○子どもを信じ、励ますことが、やる気を引き出し、自信をもたせることになる。今後も保護者・地 域の方と共に、子どもの長所を見つけほめる、結果でなく過程をほめる・認める等、子どもの健全 な自尊心を育むようにしたい。 ②中学校 ○体育祭や文化祭などの学校行事や授業参観、学校公開日を通して家庭や地域へ向けての情報発信を 積極的に行っていく。さらに地域連携の取り組みとして、土曜授業を活用した交通安全教室や陶芸 教室、ブラスバンド部における地域の老人ホームへの慰問など、今後も継続して実施していきたい。 12 ○生徒個人としての地域活動への参加状況は、全国平均を下回っている状態である。地域唯一の中学 校として生徒・保護者とともに一層の地域活動への参加を呼びかけていきたい。 ○新聞をよく読み地域や社会で起こっている問題や出来事に対して関心があるにも関わらず、自分も 地域の構成員であるという意識が薄く、地域や社会をよくするために何をすべきかを考えている者 が少ない。地域活性化の取り組みを地域と学校が連携しながら進めることが大切であると考える。 その中で、学校の取り組みに対する励ましの意見をいただき、地域の中にある学校として保護者や 地域の方とともに子どもたちにとって居心地のよい学校づくりを進めていきたい。 5 三重県の公表状況 三重県教育委員会による県全体の概況等に関する公表内容については,下記の県ホームページを 参照してください。 三重県教育委員会 13
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