ジュピターショップチャンネル

❻
先進のユーザー事例
事業継続/2重化
ジュピターショップチャンネル株式会社
テレビショッピングを支える物流情報システム
*noMAXにより障害対策に備える
POINT
●
2007年4月に最新鋭の物流センターが稼働
●
センター業務を支える独自の物流情報システムをSystem iで構築
●
24時間365日稼働のサーバーを*noMAXで2重化
COMPANY PROFILE
設立:1996年
本社:東京都中央区
資本金:44億円(2000年12月)
売上高:1023億円(2007年度)
従業員数:758名(2007年12月末)
http://www.shopch.jp/
の世帯数の40%を超える。最近はテレ
術を駆使し、作業者の動線を最大限に
最新の物流センター稼働で
物流能力を大幅に向上
ビだけでなく、PCや携帯電話によるイ
考慮して設計された当センターは、1
ンターネット販売や直営店の展開な
日当たり最大15万個の発送能力を誇り
ケーブルテレビ放送やデジタルテレ
ど、チャネルの多様化にも取り組んで
ます。舞浜時代から比べて、物流能力
ビによる通信販売「ショップチャンネ
いる。
は 大 幅 に 向 上し て います。2007年 は
ル」で、急成長を遂げるジュピターシ
テレビショッピングの最大手とし
1342万個の商品がここから発送されま
ョップチャンネル。毎日24時間、生放
て、急成長する同社の事業を支えるの
したが、キャパシティ面ではまだ十分
送による企画性の高い番組で、ファッ
は、最新鋭の設備を装備したショップ
な余裕があり、今後の業務量増加にも
ションからグルメ、ホームグッズ、エ
チャンネル物流センターである。同社
対応可能です」と、ショップチャンネ
レクトロニクス製品まで、ショップチ
の物流業務は1996年の創業以来、サー
ル物流センターの今井敏夫所長(兼ロ
ャンネルでしか手に入らない魅力的な
ドパーティロジスティクスを基本と
ジスティクスオペレーション副部長)
商品を提供する。
し、千葉県舞浜にある物流センターへ
は語る。
現在、同番組を視聴できる世帯数は
委託していたが、売上の増大に伴う発
この新・物流センター建設プロジェ
約2212万(2007年12月時 点 )で、日本
送量の急増で、物流能力は限界に近づ
クトは2005年4月から2007年2月までの
きつつあった。そのため、物流の迅速
1年10カ月で進行した。ここでは、物
性や機動性の向上を狙いに、千葉県習
流業務を支援する情報システムの構築
今井敏夫氏
ショップチャンネル
物流センター所長
兼ロジスティクスオ
ペレーション副部長
乘松洋司氏
ショップチャンネル
物流センター シス
テムグループ グループ長
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2008 No.8
志野市に新たな物流センターを建設し
が重要な鍵を握る。
た。同センターは、2007年4月に本稼
そこで基幹サーバーには、信頼性と
働を迎えている。
安 定 性 を 評 価 し て、2005年 にiSeries
6階建て、5万6000m の延べ床面積を
(9406-810)を導入。本社の販売管理シ
備える同センターには、ショップチャ
ステムからの受注データを作業効率の
ンネルの物流特性に最適化した最新鋭
最もよいデータ単位へ細分化する、あ
の設備と物流情報システムが、同社自
るいは物流センターが受け付けるクー
身の手により構築された。スピード梱
リングオフによる返品/返金作業をシ
包ラインや伝票折機、自動倉庫、一括
ステム上で支援するなど、同社のきめ
パレット出庫、タッチパネルディスプ
細かな機能を反映した独自の物流情報
レイやバーコードスキャナを備えたハ
システムが完成した。
イテクピッキングカート、顧客ごとに
2007年10月には、データ量の急増に
異なる同梱物を梱包するための同梱物
対 応 す る た め、 新 た にもう1台、Sys
セットラインなど。
「世界最先端の技
tem (
i 9406-520)を導入している。
2
System iのソリューション動向を知る
センターを支える物流情報
システム「*noMAX 」で2重化
最新ユーザー事例12社
リソースへの負荷という3点である。
止できないが、例外が年に2回ある。3
とくにデータ量が増加の一途をたどる
月と9月に実施される通信衛星のメン
同社の場合、HAの導入でリソース負
テナンス時だ。この時は、番組が6時
「システムの設計を開始した当時か
荷が高まり、本番業務に支障が生じる
間休止するため、本番機を停止でき
ら、障害対策のための2重化体制は不
事態は避けたいとの思いが強かったよ
る。2重化体制の構築はこのタイミン
可欠と考えていました。検討に向けて
うだ。
グを狙って行われたのである。
動き出したのは、810を導入し、システ
いくつかのHA製品を検討し、最終
ちなみに
「*noMAX GARRISON」
は、
ムがトラブルゼロで無事に本稼働を迎
的に採用を決定したのは、ベル・デー
本番機とバックアップ機間で双方向の
えた2007年2月からです。本番機を520
タが提案した「*noMAX GARRISON」
レプリケーションが可能であるが、現
にして、810をバックアップ機に利用し
(マキシマム・アベイラビリティー)で
在実施しているのは、本番機からバッ
ようと、HAソリューションの検討を開
ある。
クアップ機へデータのみを書き込む片
始しました」と語るのは、乘松洋司グ
乘松氏によれば、切り替え時間や
方向のレプリケーションである。
ループ長(ショップチャンネル物流セ
リソースの問題をクリアしていること
同社では、次の衛星メンテナンスが
ンター システムグループ)である。
に加え、他製品に比べ、導入コストが
実施される2009年3月に、バックアッ
同社では物流情報システムにて、放
低額であったことが決め手になった
プ機から本番機へと双方向のレプリケ
送で紹介する商品の管理も行っている
ようだ。
ーションおよび、データだけでなくオ
ので、520が障害で停止した場合、放
導入決定は2007年9月。ベル・デー
ブジェクトのバックアップを実施する
送中止を招く事態も想定される。甚大
タの万全の支援体制を得て、データの
予定だ。
な販売損失を避けるためにも、システ
バックアップ対象を決定する設計作業
また現在は、本番機とバックアップ
ムの2重化が不可欠であるのは言うま
など準備作業に約3カ月を費やした。
機の双方ともに、習志野市の物流セン
でもない。
そして2重化体制がスタートしたのは、
ターに設置しているが、災害対策も視
システムグループがHA(ハイ・ア
2008年3月。同社のサーバー運用は24
野に入れて、近い将来、バックアップ
ベイラビリティ)製品の選定要件とし
時間365日で、テレビ放送が実施され
機を物流センターから移設することも
て重視したのはコスト、切り替え時間、
ている間は1秒たりともシステムを停
検討しているようだ。
本番機
本社の販売管理
システムと接続
バックアップ機
System i
System i
IBM 9406-520
OS:V5R4
メモリ:8GB
ディスク:917GB
IBM 9406-810
OS:V5R4
メモリ:2GB
ディスク:917GB
物流情報システム
*noMAX GARRISON
FTP サーバー
ショップチャンネル
物流センター
図表
データを
レプリケーション
出荷メインサーバー
*noMAX GARRISON
返品メインサーバー
多数の物流管理サーバーおよびハンディターミナルなど
さまざまなデバイスと接続
ジュピターショップチャンネルのシステム構成
http://www.imagazine.co.jp/
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