広島の活性化方策を考える

【特別提言】
超円高・グローバル経済下での
広島の活性化方策を考える
21世紀の広島を考える会
代表 碓井法明
はじめに
本会をサポートしている「NPO法人・州都広島を実現する会」は平成 17 年に立ち上げ、
道州制の推進に関するシンポジウムをこれまでに 7 回開催し、州都広島ニュースの発
行(7刊)や、小冊子の刊行(8刊)などを行ってきた。この間、道州制に対する考え方は、
時の政権政党の影響を様々に受けてきた。これまでに我国の各政党は、「地方分権型
の道州制」、あるいは「地域主権型の道州制」などを唱えてきたが、いずれにしても、
「この国のかたち」は今のままでは統治できなくなり、「廃藩置県」に代わって「廃県置
州」となるだろう。つまり、最終的に「この国は道州制を導入せざるを得ない」と思われる。
そのために、私たちは十分な市民合意が必要だと考えている。
広島の活性化を目指して
そこで、このたび有志による「21 世紀の広島をつくる会」という特別チームを組織し、
「21 世紀の広島はどうあるべきか」を半年間にわたって議論した。検討テーマとして、
① 3.11東日本大震災以降の国と地域、そして広島のあり方
② 広島の中枢機能・都市力の強化のあり方
③ 今後の広域連合から道州制導入に向けた広島のリーダーシップのあり方
以上の 3 点について、参加メンバーが色々と議論を重ねてきた。
小冊子の刊行へ
会議での議論の成果として、この小冊子(通算第 9 号)を出すことにより、広島を活性化
させ、それをバネに「日本の発展を考えよう」ということになった。
又、私がここ数十年州都広島の主催の講演会で大変お世話になったPHP研究所の
前社長で道州制ビジョン懇談会の座長をされた江口克彦先生に巻頭言をお願いした
らこころよく引き受けていただき、我が小冊子に花を添えていただいたことを、心より感
謝している。
広島発展のキーワード
さて、これまで広島市議会で色々質問をしたり、牛田ニュースやブログで広島の道州
制について語ったり、また過去に投稿した原稿をこの度改めて列記してみた。私は、
広島発展のキーワードを次の 5 つの切り口で考えてみたい。
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① 将来の少子かつ「超高齢社会」をドウ生きていくのか
② 「人口減少社会」の中でのまちづくりをドウ考えるのか
③ 今や製造業が大変な事態に陥っており、「広島のものづくり」を将来ドウ考えるのか
④ 平和拠点都市・広島は、世界の「核廃絶と世界恒久平和」をドウ築くのか
⑤ 今や有無を言わせない「ボーダレスな国際競争時代」をドウ生き抜くのか
以上の①~⑤について真剣に考えることで、誰もが住みたいと思えるような「広島のま
ちづくり」を実現させたい。それでは前置きはこのくらいにとどめ、私の思いを、まず「道
州制への取り組み」から、いくつか述べていきたいと思います。
Ⅰ.道州制のゆくえ
自民党の道州制基本法
民主党政権では道州制という表現がトーンダウンされる中で、去る平成20年7月29日
に、自民党の道州制推進本部の道州制基本法小委員会・第 3 次中間報告に於いて、
次のように道州制への論点整理がなされた。
(1)組織 ①全国に10程度の道州を設置する ②都道府県は廃止する ③基礎自治
体は現状を基本とする ④小規模な基礎自治体については道州が地方機関を設置し
てその事務を支援する ⑤県及び政令市のあり方を検討する。
(2)権限は「国の関与」等をできるだけ減らし、二重三重行政をなくする。国は国家の
存立に関することを行い、機能を集約化する。
(3)首長は住民の直接選挙で選出する。
(4)税・財政制度は中央政府に依存しない税・財源とし、財政調整制度を設ける。
区割りと州都
区割りについては我が国を9~12 ブロックで構成する、4 つの案を示している。
また、州都については各道州で決定するとし、①成長の核になる都市をつくるといった
観点から、ブロックの中枢都市に置く案、②各道州内での1極集中やリスク回避のため、
政治・行政と経済の中心を分け、その他の都市、あるいは中小都市におくという、二つ
に考え方を示している。
なお、本会の考えは、区割りについては「当面は、中国州と四国州がそれぞれ道州制
を立ち上げつつも、お互いに強い補完関係を結び、いずれ機が熟したときに合併す
ればよい」と、本会では 2 者択一の結論を急がず柔軟に考えている。
次に、州都の選定について、本会としては中国州あるいは中四国州の、いずれにして
も「州都は広島が担うべき」と考えており、前掲の①「ブロックの中枢都市に置く案」を
支持するもので、②の「その他の都市、あるいは中小都市」という考え方には賛成でき
ない。
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想定される区割り案
(第4案)
国会は政局よりも政策を
あとでも触れるが、若者のいない社会は没落すると言われているなかで、中国地域は
全国的にみて、人口減少や高齢化の進行が特に顕著であり、まさに我が国の未来を
先取りした地域として、極めて重大な「将来不安」を抱えている。
しかしながら、今の政府を見ていると、消費税導入に合わせた「社会保障と税の一体
改革」、「世代間の格差是正」、「中央と地方の格差是正」の議論・・・こうした重要かつ
喫緊の課題について、議論が十分できていない。国会は、自らの政局ばかりを議論す
るのではなく、この国の「本物の戦略」をもっと真剣に議論しなければ、この国にもこの
地域にも、明るい未来が到来しないのではないかと、たいへん危惧している。
とりわけ、政治主導による「道州制改革の論議」は、21世紀のこの国の盛運をかけるも
のであり、国民全体の熱い議論としたい。
道州制運動への参加を
今年の4月に設立された「道州制推進・
首長連合」は、石井岡山県知事と橋下
大阪市長が共同代表を務め、村井宮城
県知事、大村愛知県知事、福岡市長、
岡山市長らを含む、10県知事と16の政
令市長が加わる中で、広島県や広島市
は、何故この運動に参加しないのか。当
面の目標として、中国地域広域連合の
早期実現に向けて、後れを取らぬようし
っかり戦略を練るべきだと思う。
道州制推進首長連合の会議風景
(共同代表;石井岡山県知事・橋下大阪市長)
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広島市に首都の代替機能を
中央防災会議が提示した
首都機能の代替構想
今年の7月 19 日に発表された中央
防災会議の中間報告に、来るべき
(*広島市は想定されてない)
「首都地震」に備え、札幌市、仙台市、
名古屋市、大阪市、福岡市の5市に
首都の代替機能を持たせるとしたが、
広島市は想定されていない。
また、先般 8 月 29 日には、橋下市長
の主張する「都構想法案」がいとも容
易に可決された。「東京都」のような
特別区を設けることができる都市とし
て、大阪市、名古屋市、横浜市、札
幌市などの8地域(10 政令市)が定め
られたが、これにも広島市は含まれ
ていない。
広島市は、明治から戦前までは、人口一つをとっても「札・仙・広・福」のトップにありな
がら、近年の広島市は、我が国の代表都市から外され、無視されているように思える。
何よりおかしいのは、こういう情勢の変化に広島市民もメディアも関心がなく、「何も
危機感を感じないこと」 これこそが問題ではあるまいか。
Ⅱ.3.11 以後の日本を考える
東日本大震災の被害
ところでこの度、千年に一度といわれる東日本大震災が起こり、大震災の大津波は数
万人という行方不明を含め多くの死者を出した。私も二度ばかし被災地のお見舞いに
行ったが、将に今から67年前の広島の被爆の惨状を思い出す。まさに町全体が壊滅
的な被害を受けていた。今回の場合は、我が国でも比較的人口の少ない地域での、
あのような惨状を見るにつけ、これが実際に大都市圏で発生したら、その被害はどうい
うことになるのだろうか…と考えると、空恐ろしくなる。
南海トラフ地震の想定
今年の 8 月 29 日に内閣府は、南海トラフ地震の
死者(最大)32 万人との、被害想定を発表した。そ
の被害総額は 1000 兆円に及ぶというが、これは
我が国の GDP の約 2 倍、国家予算の 12 年分に
相当する。今回の東日本の死者 1.9 万人、被害
額 17 兆円に較べて、これを遥かに上回る規模で
あり、国家の存亡にかかわる事態として、我々は
理解しなければならない。
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南海トラフ地震の想定地域
主要地震による被害(南海トラフ地震は想定)
阪神淡路地震
東日本地震
南海トラフ地震
家屋損壊
11 万戸
25万戸
239万戸
死亡者数
0.6万人
1.9万人
32.3 万人
被害総額
10兆円
16~25兆円
1,000 兆円
この国の国難に向けて
これらの大災害に対するこの国の将来は①これからの災害に対する復興・再生・減災
をどうするのか。加えて、②リーマンショックから未だに立ち直れない日本、西欧諸国
の大不況をどう乗り越えるのか。④尖閣問題に端を発する日中関係の悪化に伴う、国
内外の急速な経済の冷え込み…等々、今まさに我が国は問題山積のなかで、「国家
の浮沈をかけた努力」がはじまっており、広島といえどもこの恐慌の波にのまれそうに
なっているように思える。
Ⅲ.フォーラム福岡に学ぶ
パブリック・アクセス誌の紹介
日本の新しい国づくりの動向として、今年は大阪市の
橋下市長の大阪都構想、愛知県の大村知事の中京
都構想、東京都石原知事の全日本維新党の提案等
があった。
そんな中で、パブリック・アクセス誌「フォーラム福岡」
に出会った。この小冊子は 2004 年に創刊され、「九州
がつながる」という統一テーマのもと、「福岡/九州の
未来をデザインする活動」を展開している。
これは、私たちが「広島/中四国地域の未来をデザイ
ンする活動」においても、大変参考になるものである。
とりわけ素晴らしいと思ったのは、これが無料配布で
パブリック・アクセス誌
はなく、市販の季刊誌として出版され、九州では一般 フォーラム福岡 9 月 30 日号
の書店で店頭販売されている点であろう。
そこで私たちは、つい先般 10 月上旬に、「フォーラム福岡」の事務所を訪問し、設立の
経緯や出版のノウハウ等について、伝授いただいたことを報告しておきたい。
新たなるシティリージョン
これは、小冊子の中の一文だが、福岡市副市長の山崎一樹氏によると「新たなるシテ
ィリージョン」の創造を掲げる「メトロ福岡構想」は一見に値する。
前述したように、3.11東日本大震災以降に大きくクローズアップされるようになった「東
南海3連動型の地震」が発生すれば、東京・大阪・名古屋の「東海道メガロポリスは一
蓮托生で被害を受ける」ことが明らかになりつつある。
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もともと福岡市は、市の総合計画において「我が国の三大都市圏に次ぐ、第四の大都
市圏を形成し、我が国の(広島を含む)西日本地域を牽引する」ことを掲げているが、今
後は首都機能のバックアップ機能をも併せ持つ「我が国第二の成長エンジン」として位
置付けられることを表明している。
福岡では、いったい何処の誰が、そういう発想を具申するのであろうか。そこには、多
少の誇張があるにせよ、こういう発想が一研究機関の内部にとどまらず、巷にオープン
な情報として、流布されていることに驚く。これは凄い!
シティリージョンという発想
補足しておくが、近年ヨーロッパを中心にシティリージョンといわれる都市連携の考え
方がある。欧州ではいま中小都市連携を軸とするシティリージョンが戦略的に形成され、
これが国境を越えて全欧州に広がり、新たな競争力を持ちうる存在になりつつある。
世界的な経済統合と急速な都市化が進むにつれ、国境は意味を持たず、国家単位の
経済繁栄も意味を持たなくなっている。グローバルに開かれた地域ネットワークで結ば
れた地域連携の出現が、新たな経済単位として注目され、「より開かれたグローバル
経済」で繁栄するというのだ。
一方で我が国の場合、東京・名古屋・大阪等の大都市圏(メガポリス)に次ぐ、大都市の
あり方として着目される。つまり、百万以上の政令市等とそれを中心として広がる「広範
な地域及び都市連携」の形成を目指すこができる。
そこでは、「都市と地域の連携軸」でつながる経済的、社会的、文化的な数々の関係
性が生まれ、従来の県単位の枠組みでは想定されなかった、新たな活動展開を期待
することができるだろう。
EUにおけるシティリージョンの例 (国境を越えて 3 国にまたがる都市連携)
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アジアの時代を先導する福岡
我が国は、これまでの「太平洋の時代」から、これからの「アジアの時代」に向けた、国
土の2眼レフ構造への展開が、次世代の国家戦略としての最重要課題となる。アジア
の時代を先導するのが福岡/九州である。そこで、九州全体の成長戦略を支えていく
のが「九州府構想」であり、九州の成長エンジンとしての「メトロ福岡構想」がある。福岡
は大阪都構想(政令市の分割)でも特別市構想(政令市の独立)でもない、福岡市独
自の「第三の道」として「メトロ福岡構想」を展開している。
私が何時も指摘していることだが、広島には福岡のように「未来に向けた戦略的な発
想」が、何故できないのだろうか? 広島の過去には輝かしい歴史を有するが、「広島
/中四国地域の新たな時代」を、いったい誰がドウ切り開くのか、そこが今まさに問わ
れているように思える。
中国地方のパブリックマガジン設立を
私は、広島の情報発信メディアとなる「フォーラムひろしま」の立ち上げを検討している。
「広島/中国地域のグローバル・シティリージョン」の設立とともに、これは、中四国地
域はもちろん日本・東アジア・世界・更に宇宙の情報の受発信の中心となる。
中四国の中心に州立大学を誘致し、特に平和・核廃絶に関する情報を発信する。世
界の平和・戦争・原発問題を含めて、地元大学と国連広報センター(UNIC)とも連携
しつつ、世界各地に優れた平和情報を提供したい。
Ⅳ.広島のリーダーシップ
西の首都を目指せ
広島は福岡に従属するという考え方ではなく、中国地方の中の広島市として中国州を
訴え、州都広島の実現を果すことを念願としている私としては、来るべき三連動地震の
発生にも比較的強く、過去にはアジア進出拠点として大本営が設置され、天皇のご臨
席のもとで、臨時帝国議会(東京以外では唯一)の開催経験を持つ広島こそは、もっと
自信を持って東京に次ぐ「西の首都」としての役割を持つべきだと思っている。
明治~戦前までは「札・仙・広・福」のなかで、
広島市の人口はトップを独走した
帝国議会広島会場(市勢要覧より)
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広島は平和首都で行こう
広島人はどちらかといえば、「たるへび」的なところがあって、自己主張が少ない。大阪
都構想や九州福岡メトロ構想に負けない、世界の恒久平和と核廃絶を目指す世界的
な「平和首都」として現広島県知事や現広島市長、県・市議会、県・市民が、もっと緊
密に一致協力して広島二十一世紀都市戦略を練ろうではありませんか。
平和首都メトロポリス広島の建設
広島は、何といっても世界で初めて被爆した都市であり、前述しているように、世界は
今や核戦争や原発で破壊寸前である。そこで広島は中国地域の「世界恒久平和と核
廃絶」を訴え、平和首都メトロポリスとして発展していくべきだ。又以前から私ども市議
会が主張しているユニタール等の関係から、国連本部の一部である「アジア国連本
部」の誘致を望みたい。
宇宙を動かすのは秩序
先日 74 歳で亡くなった兄(広島県医師会長・IPPNW支部長)は、絶筆となった「放射
能と子ども達」の中で、21 世紀の将来世代の子ども達の最大の幸福は「世界の恒久平
和であり、核廃絶」だと論じているが、まさにその通りであり、ジェームス・アレンの「この
宇宙を動かしているのは混乱ではなく秩序です。私達を取り巻く環境は真の私達自身
を映し出す鏡にほかなりません。」という意味の深さに、私たちはもっと本気になって考
えねばならない。
広島市議会の役割
我が広島市議会も二元代表制の意義を知り「平和と核廃絶」に向かって広島市長と長
崎市とともに世界のリーダーシップをとる義務があり、又世界もそれを期待していると思
います。福岡市に負けない「平和に関する世界戦略総合特区」を構築することで、若
年層が世界一住みやすい、もっと特徴のある中国州をつくってはどうか。
Ⅴ. グローバルシティー&平和首都広島
若者日本一の地域政策を
中四国地域は我が国で最も人口の流出が大きく、高齢化率はどの地域よりも進行が
早く、特に若者の流出が顕著である。そこで、我々は逆転の発想をしてみてはどうか。
この地域は、①日本の中でも気候温暖・地震つなみなど天候事変が少なく、又長寿地
域であり、そのノウハウを活かして福祉・医療・介護の特化したまちづくりに適している
こと。②人口ピラミッドは底辺が大きい「正三角形」から、更に底辺(若年層)が小さく、
上(高年層)が大きい逆三角形へと変わってゆくこと。
そこでこの地域としては、この逆境をバネにして、徹底的に若年層を取り込み、若者が
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世界一住みやすく、税制面、住宅面、雇用面において、若者に対する優遇政策をもっ
と強力に展開することで、地域の活性化を図りたい。
地域経済の混迷
現在の日本経済は、グローバリゼーションと規制緩和、円高、エネルギー、雇用の問
題などが深刻を極め、民間企業の多くが、戦後最大の苦境に立たされている。特に大
企業の製造業は、こぞって脱日本化を図っている。国内の工場は中国をはじめタイ・
ベトナムなど東アジアに移り、まさに日本を牽引してきた太平洋工業ベルト地帯が、ど
んどん空洞化しつつある。
五百年に一度の大変動期
二十世紀産業といわれる大企業中心の旧資本主義社会
から新しい資本主義への転換期を迎え、今や日本は又
世界は五百年に一度といわれる世界経済の大変動に、
地球環境の大変化又三連動地震の発生、原発エネルギ
ーからの脱却など、リーマンショック以降の大変重要な課
題に我々は直面している。中谷厳氏は、著書「資本主義
以後の世界」の中で、「文明の転換」「価値観の大改革」
に、国を中心に政・官・財・学が何処までついていけるか
どうかが、いま問われていると指摘する。
中谷厳氏の描く
「資本主義以後の世界」
ど真ん中!中国地域経済活性化プロジェクト 2020
そういう中で広島/中国地域を考えて見よう。まず、日本
における中国州は人口約 780 万人、そしてその中心たる
広島は「21 世紀の中国州繁栄のキーマン」であることを、
常に意識せねばならない。今後我々の活動で重要なの
は、その1つは先に述べた「広島/中四国地域の未来を
デザインする発想」であり、二つ目が中国経済産業局の
発表している「ど真ん中!中国地域経済活性化プロジェ
クト2020」という発想であろう。
後者のアイディアは、実はこのたびアップルのIPHONで
調べていたら、中国経済産業局の「ど真ん中!中国地域
活性化プロジェクト」が目についたので、これは素晴らし
い構想だと思い、市議会でも質問させていただいた。
ただ、ここでの問題は、こうした「国の出先機関の計画構
想」を、多くの市民や、いや地方議員でさえも、よく知らな
いのではあるまいか。われわれ地域住民は、まずそこから
考え直すべきかもしれない。
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中国経済産業局の描く
「2020 ど真ん中!」
中国地域 2020 世界戦略委員会の設立
「2020 ど真ん中!」は中身が大変よく研究され、我が中国地域の 21 世紀の発展や成
長に欠かせない提案がなされており、我々としては、これらを参考に中国地域 2020 世
界戦略を立てなければならない。
ということで、私は近々「中国地域 2020 世界戦略委員会」を立ち上げようと思っている。
「グローバル・シティリージョン中国」の立ち上げや平和首都メトロポリス「広島/中四国
地域パブリックマガジン」の立ち上げなど、大変忙しいことだが、この中国地域 2020 世
界戦略委員会もボランティアの有志募りたいと思っている。中国地域、広島を本気で
愛する人達のお知恵をいただきたいと思う。
国の出先機関の役割
最近、気になることがある。それは、政府の分権改革の議論で、「国の出先機関は二
重行政になるので必要ない」という声をよく聞くが、果たしてそうだろうか。
例えば、「2020ど真ん中!」を出している経産省の出先機関「中国経済産業局」にし
ろ、国有地の有効利用へのPRE戦略を出している財務省の出先機関「中国財務局」
にしろ、また、中国地域の幹線道路網や空港港湾、治水、防災などを実施し、中国5
県を視野に「中国圏広域地方計画」を立案している国交省の出先機関「中国地方整
備局」など、いずれも、この地方にとっては欠かせない大切な「国の出先機関」である。
残念ながら、地域住民にはこうした「地域のグランドデザイン」を描けるような人物がほ
とんどいないし、また県や市町などこの地域の地方自治体は、こうした広域政策を描け
る能力を持ち合わせていないように思える。
国土交通省・中国地方整備局の描く「中国圏広域地方計画」より抜粋
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二重行政不要論を再考する
これからの地方政策は、もっと国と地方が一体となって、優れた国の能力やノウハウを、
地域に活かしてもらいたい。現政府のように、ただ行財政改革の為の人数減らしでは、
日本も中国地域も国際競争時代に負けてしまう。むしろ中国メガリージョン戦略が必要
な時に、「国の出先機関による広域的戦略」はどうしても必要だ。現政府のように、国と
地方の二重行政を「悪者扱いする」のではなく、国(中央官庁)の出先機関、中国五県
が緊密に協力し合い、この国の二十一世紀の発展の為にみんなで、協力し合って叡
智をだそうではないか。
むすび
まだまだ書きたいこともありますが、次回の報告書に提案させていただき、今回はこの
程度に致します。どうぞ未完成な部分も多くあり、読者のみなさまには、遠慮のないご
批判、ご指摘、ご指導をお願い致します。
又編集にあたり、野村事務局長さんや投稿いただいた広大名誉教授の櫟本先生をは
じめ、州都広島を実現する会の皆さまには大変お世話になり、感謝いたします。
具体的な提案については、本会会員の投稿文をもご参照ください。
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