資料4−2 原子力発電所・研究所と自動車・電気機械産業の産学連携に関する特徴 ① 自動車・電気機械産業の地域への集積 トヨタ自動車の豊田市や日立製作所と日立市などのように、自動車や電気機械産業 は地域で産業集積を形成している場合がある。自動車や電気製品を作る過程でコスト 削減や保有技術などさまざまな理由から、製品製造の部品や半製品を下請けに発注す る場合が多い。こうした産業集積は、自動車・電気機械産業での取引が部品や半製品 の発注、納品を通じて親企業から下請企業へとながれ、2次、3次の下請けが進むに つれ企業数が多くなり、産業集積のピラミッド構造を形成する特徴を持つ。(下図参 照) 先端技術 (設計・開発など) ○自動車や電気機械産業では取引の基本は 部品や半完成品の発注・納品関係である。 親企業 完成品 納 品 発 注 ○親企業からは発注指示や設計書が提示さ れる。一方、下請会社は発注先に部品や半 製品を納入したり、切削など加工サービスを 提供する。 半製品 1次下請 2次下請 1次下請 2次下請 2次下請 2次下請 部品・加工サービス 基盤技術 図 3次下請 3次下請 3次下請 3次下請 3次下請 3次下請 3次下請 3次下請 自動車・電気機械産業などにおける産業集積のイメージ 電話やインターネットなどの通信手段の発達により、必ずしも地域内に下請企業が 立地していなくても、取引が成立するがこれまでの取引の多くは地域の中小企業を相 手になされてきた傾向がある。また、地域に自動車や電気機械メーカーがあれば、あ る程度の需要が見込めたため、その地域での創業を誘発した効果もあった。 ② 原子力発電所・研究所と関連企業のかかわり 1) 原子力発電所 原子力発電所では電気の生産を目的とするため、地域企業との「発電」実施時に直 接結びつく取引は自動車・電気機械産業に比較して少なくなる。 原子力発電所建設時には他産業の設備投資に比較して大規模な設備投資となる発電 所の建設に伴う建設需要が発生する。 発電所運転時には、外部企業との取引は、発電施設の建設や保守が主なものとなっ ている。 2) 原子力研究機関 原子力研究機関の主たる機能は研究である。研究を実施するための施設建設や施設 運営を外部企業に委託する場合がある。また、核燃料サイクル機構などでは、研究機 関の保有する特許を外部企業に公開し、共同研究を実施する仕組みを持っている。取 引が発生する。 ③ 原子力発電所・研究所と関連企業の取引阻害要因 1) 発電所運営関連法規 原子力発電所は放射線管理や安全確保のため、放射線管理や保安上の安全確保のた めの各種法規制がある。原子力発電所の関連法令に遵守した設備運営や保守点検を受 注するためには、マニュアルに沿った作業運営などが必要となる。 2) 技術レベルの違い 原子力研究機関が外部に求める技術は先端技術であることが多く、また、原子力発 電所が外部に求める技術は高品質、成熟技術であることが多いため、地域企業にとっ ては技術・研究レベルが高度であることが考えられる。こうした高い技術レベルに対 応できる企業は地域外の大企業であることが多い。 取りまとめ 原子力発電所・研究所 生産物 ・ 電気 ・ 研究成果 下請関係 ・ 建設需要 ・ 保守点検 ・ 技術開発 自動車産業・電気機械産業 ・ 自動車・電気機械製品 ・ 半製品・部品納入 ・ 技術開発 ・ 施設運営
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