大正時代に栄養菓子という新ジャンルの食品、赤い箱の 「グリコ」を誕生

大 正時代に栄養菓 子という 新ジャンル の食品、 赤い箱の
「グリコ」を誕生さ せて以来、 「おいしさと 健康」を世 の中に
提供し 続けることで、 豊かな食文 化に貢 献してきた江 崎グ
リコ(http://www.glico. co.jp/)。今回取り上げる同社の
お客様 相談室の 情報インフラ 刷新による成果は、 同社を
はじめと するグリコ グル ープ(グリコ 乳業株 式会社、 グリコ
栄養 食品株式会 社、ア イクレオ株式会 社)のお客 様相談
室が、消費者 の満足度をより一層高めるため、2005年より
定めた「お 客様満足 のための対 応方針」の 実践活動 のひ
とつである。顧客か らの 声や励まし 、商品に関する質 問等
に真 摯(しんし)に耳を傾け、 さらなる顧客 満足の向 上を目
指し、 迅速・適切 ・誠実な対応 で積極的に取り組むた め、
今回はグル ープ 4社のシ ステム統 合を前提 に、同 社とアイ
クレオの 2社先行で、 お客様相 談室のシ ステム統 合を果た
したの だ。「お客 様から見たら、ポッキーも、パピコも、プッ
チンプリンも、バランスミルクも、ソーセージも、全部グリ
創業時の「グリコ」のパッケージ(江崎記念館蔵)
コ。 グループ各社が リリースする商 品への問 い合わせ にどの会社 でも、 社員の誰 が対応し ても、 す
ぐに的確 に答えられる環境にお客様 相談室を整 備するのは 、当然の 帰結だった」と 話す、お客様 相
談室の 馬場新 一室長の発 言からも、顧客 の声を大事 にしてき たメーカーの矜持が ひし ひし と感じら
れる。
グ ループ各 社のお客 様相談室 のシステ ム統
合に挑む同社には 、 大きく3つの 明確な目的 が
あった。 1つ目は 顧客応対 の品質向 上だ。「従
来のシ ステム は、コールごとにその場 での対応
を余儀なくされるもの。例えば『半年前にも電
話をか けた者だけ ど… 』といったコールの 場
合、それがどんな 内容の問 いかけで、 どう 応対
したの かは、データベースにアクセスし て自力
で探さね ばならず、お客様 を電話口 でお待たせ
したり、 場合によっては改めて電 話をかけ直 す
といったタイムロスを強要するものでした」とあ
くまで顧客目 線でお客様 相談室の 永石義和 チ
ーフマネージャーが振り返るように、電話応対
のリードタイム 短縮をは じめとする品 質向上
お客様相談室 室長 馬場 新一 氏
は、 同社の必 須テーマだった。2つ目は情報 分
散の リスク回避 。「貴重なお 客様の声 は取り扱いに細心の 注意を要 する個人情 報でもある。インフラ
やデータベース等システ ム共用 化を進め、 情報分散 のリスクを回避すると 同時に、今まで以上 のセ
キュリティー強化 も果たしておきた かった 」(馬場氏)。 そして3つ目はコスト抑制 。「サーバー更新の
時期も見据 えつつ、新たにイニシャルコ ストを 負担してでも、そ の後のラ ンニ ングで取 り返せるよう な
4社共通 のプラットフォ ームに適 した標準 機能の豊 富なパッケージ が不可 欠でした」(永石 氏)。こ れ
らの観点か ら、 次期シ ステムに最適なソリューション を探し た同社が 目を付けた のが、東 芝ソリュー
ションの「CT-SQUARE(R) FX」だ。
東 芝ソリューションの「CT-SQUARE FX」に決めるまで、
同社では 複数メ ーカーのパ ッケージの比 較検討を 重ねてい
た。 「最 終的に3社に絞 り込んだのですが、正 直、どれも同じ
ようなスペックでしたね。そこからC T-SQUARE FXに白羽の
矢を立 てたのは、 問い合わ せ対応の 履歴情報 をタイムラ イ
ンで一 元管理でき 、お客様 との通話 の録音データを登録 デ
ータすべてに紐 付けられる機能があったからです」と 馬場氏
は評す。 さらにシステ ム統合 の目的に挙がっていた、 電話応
対の リード タイム短縮 によるサービス品質 の向 上を図るた
め、お客 様相談 室のどのコミュニ ケーターが応対 しても、過
去の やりとりや顧客 の状態変 化等までリアル タイムに把握し
ながら的確に応対でき る「CT-SQ UARE F X」の“対応履 歴
一覧機能 ”に着 目したか たちだ 。「同業他 社を含め多 数のユ
お客様相談室 チーフマネージャー
永石 義和 氏
ーザーが利活用 している信頼性の 高さ、食 品業界に特化し て使い勝手が 考慮され た豊富な標 準機
能等も評価しました」(永石氏)や、 「現場の視点から だと、 応対記録の入力文字数が2,000語まで拡
張され たり、モニ タリング機能の 追加で応対 中にもフォローでき るようになった りと 、応対業 務に関
わる現場目線 から改善され た部分が たくさんあるので 、非 常に助 かります」と いう、シ ステム 統合の
社内ヘルプデスクを 務め た、お客様 相談室の 小牧沙織 氏のコ メントからも、「CT-SQ UARE F X」が
同社の 期待を超 えたパッケージ だったこと がわかる。
2009年8月から始まった「CT-SQUARE FX」導入による、お 客様相談室のシステ ム統合は、要件
定義に約1カ月半 、システ ム構築 に約3カ月半 、教育 ・試行運用 に約1カ月と 、およそ半年で無 事終
了。 2010年 3月より本 稼働している。「まず当社 とアイクレオ が先行し て導入を果 たしましたが 、グル
ープ4社 統合が大 前提。要 件定義は 4社のお客 様相談室 長で策定し ました。食 という共 通項はある
ものの、 例えばアイスは 開封後、 すぐ食べられるが、 粉 ミルクは開封後 、1カ月は保 存される等、各
社によって微妙に異なる部分をどう飲 み込んで情報分 類していくかでは 、みんな頭を悩 ませました
ね」(馬場 氏)という よう に、前 段階で試行 錯誤した 苦労の跡 が覗える。「とはいえ東 芝ソリューシ ョン
の担当 スタッフらが 根気良くつきあってくれ、 品質に関する必要 な項目を追 加し、独 立して管理 でき
る品 質関連情 報登録機 能等の有 効活用 法を提示し てくれたので、 それほど混乱せ ずに進められ ま
した」(永 石氏)とパ ートナーである東芝 ソリューショ ンの 現場での要 件整理や 対応力を評 価する。
稼 働してまもない統合さ れた新シ ステムは 、「問い合 わ
せの通話 ごとに、 それぞれ該当 商品の調 査結果か ら最
終報 告書、類 似事例まで、 すべ ての情報が リアルタイム
で一気通 貫して参照 できるた め、飛躍的 にリードタイム
短縮につなが った 」(永石氏)と着 実に成果を上げ始 めて
いる。それまでの 旧システ ムでは、 端末上では90 日 分の
過去データしか 参照できず、 それ以降 になると別途検 索
を掛け たり、紙資 料を当たったり、 他部署か らファックス
で取り寄せたりしなければならなかったため、「コミュニケ
ーターらも喜んでいます。また、GUIを工夫しているので
画面 遷移やスクロールを 極力抑えた 操作性も好評 です
ね」(小牧 氏)と顧客 接点の現 場でもウケがいい。 また、
「Web 対応により、お客 様相談室 だけでなく営業や 生産
現場 等、他部 署のスタッフもリアルタイム でお客様の 声を
お客様相談室 小牧 沙織 氏
確認でき るようになり、全社的 な情報共有 やコミュニケー
ショ ンツール としても活用でき るのは 大きな資産 」(小牧氏)、 「各トラ ンザ クシ ョン(通話)を識別 コー
ドにより管 理し、グループ各社 は自 社で登録した トラ ンザクシ ョン情 報のみ参 照できる等、シ ステム
やデータベース等を共用 化しても各社の 情報セキュリティーレベルを高く保 てたことも大き い」(馬場
氏)等の 導入効果 も寄 せられた。また 、「以前の 紙管理に比べお 客様情報 のデジタル化 が一気に進
み、 ペーパ ーレス環境で業 務を進められるよう になった。同 時に最 新の高性 能なサーバーにリプレ
イスしたの で台数も少なくて済み省 エネ効果等 、運用 を続けるほど環境面でも効果が 上がるはず」
(永石氏 )とエコ効果にも 言及してい る。
上 々の手応 えを得た同社 では、「運用 で蓄積され るデータの活用 法等、い ろいろとイメ ージ がふく
らみ、今 後が楽し み」(永石氏)と 、新たな統 合システ ムによる顧 客情報の ナレッジ化や データマイニ
ングで、さらなる企業価値 の向上を 狙っている。 「新 人教育でお 客様からいた だいたご意見を例 とし
て使用し 、もっと スタッフ育成の面 で活用してい きたい」(馬場 氏)、「例えば 、新製品 リリース直後 に
寄せ られた お客様の 声を集計 し、営業 や商品開 発、マーケテ ィング等の 関連部署 にフィードバックで
きれ ば、現状 のパフォーマンス評 価はもちろ ん、 今後のア クシ ョンプラ ンや具 体的改善 への道を 探る
指針となるはず 」(永 石氏)等、 様々な活用 構想が練 られ ているようだ。 実際、 同社では顧 客から寄
せられた声 をもとに、 卵アレルギーのある児 童でも食べられるよう「ビスコ」を卵 不使用で製 造する
よう に変 更する等、 以前から積極 的に顧 客の声を 製品に反映している
(http ://www. glico.co. jp/g l ico /v oice/ind ex .ht m)。「お客様 の声の変 遷まで捉えること が可 能に
なり、より戦略的で幅 広なVOC ※ を実践 できれば、 お客様と 共に歩 んでき たグリコ グループの未来
にとってこ れほど重要 なことはない 。近い将 来の4社シ ステム統 合が楽し みでならないですね 」(馬
場氏 )と 大きな期待 を寄せる同社に対し、 東芝ソリュ ーシ ョンも緊 密なパートナーシップのもとバック
アップを惜し まず取り組んでいく。
※ VOC /Voic e o f Cu st ome rの略 。問い 合わせ や苦 情等の 顧客か ら寄 せられる声 から、市場 ニーズや自 社への 評価 、競合他 社
の動 向等を 継続的 に調査・ 分析し、商 品開発 や事 業プ ラン等の 指針としてい く戦 略。
江崎グリコの歴史を紹介する江崎記念館では、大正11年から続く「グリコ」のおもちゃが展示されている
江崎 グリコ 株式会 社
●創業:1922年2月11日
●代 表者: 代表 取締役 社長 江 崎 勝久
●従 業員数 :4 ,95 0名( グルー プ連 結:2 01 0年3 月末 現在)
●売 上高: 2,8 45 億3, 600 万円 (グルー プ連 結: 201 0年 3月末 現在 )
●本 社所在 地: 大阪府 大阪市 西淀川 区歌島 4丁 目6番 5号
●U RL:http://ww w.glico.co.jp/
●事 業内容 :菓子 ・冷 菓・食品 ・ 健康食 品の製 造お よび販売
「おいしさと健康」――創業以来の考 え方であるこの言葉を、 現在は企業理念に掲げ、「創る ・楽しむ・わくわ くさせ
る」 とい うGl icoスピ リットのもと、幅広 い事 業活動 を展開 中。栄養 菓子とい う新 しい ジ ャンル の食 品、赤い 箱の「 グリ
コ 」を誕 生させて以 来、常に 食 を通じ て何 ができ るかを考 え続け 、あ らゆ る角 度か ら挑 戦する 食のイ ノベ ーター。ハ
ート ・ヘル ス・ラ イフの3つ のフィー ルド を活動 領域に、「 グリコ」だけ にとど ま らず 「 ポッキー 」や 「メンタルバ ランスチ
ョ コレ ー ト G ABA」 等の 菓子、「 ジャイア ントコー ン」「 パピコ」等 の冷菓 、「熟 カレ ー」「 DO NBUR I亭 」等の 食品、「 パ
ワープ ロダ クシ ョ ン」等 の健康 食品と、様 々なヒット商品 を世に送 り出してい る。さらに乳 製品・ 飲料 メーカー の“ グリ
コ乳業” 、畜産 加工品 ・食 品原料 の“グリ コ栄養食 品”、 育児用 粉ミ ルクの“ア イクレ オ”の グループ 各企 業と連携
し、「おいしさと健康」を拡げる ネットワークで 食 品事業を通じた社会貢献に臨む。
食品 ・消費財 メーカー向けコ ンタ クトセンターソリューシ ョン
「CT-SQUARE(R) FX」
重要 な顧客接 点業 務を統合 化す るコンタクトセ ンターソリュー ショ ン「CT SQ UARE ( R) 」をベ ースに 、食 品・ 消費財 メ ーカー 向け に機能 強 化さ れた オ リ
エンテッド 版。東 芝ソリューシ ョ ンがこれま で13 0 社以 上への 導入実 績で得
た ノウハウと経 験をもとに、食品・ 消費 財メーカ ーや製 薬メー カーの お客様 相談室 に求められる機 能をあらかじめ
パッケ ージ 化。ノ ンカスタマイズでの 導入・ 運用 を実現して、イ ニシャル/ ランニング共 にコスト低減に導 く。 同時
に、企業 の「顔 」であり 、消費 者の「 安全安 心」 を支えるお 客様相談室 の 、業務 の高度 化・ 変革を強 力にサポ ートす
る。
東 芝ソリューシ ョン株式会社
経営 企画部 広報担 当
電話: 044-331-1100
※社名、商品名等は各社の登録商標です。
※この記事は、2010年8月に制作されました。記事内における数値データ等は取材時のものです。