月の光 - So-net

Kohnan Wind Orchestra
港南吹奏楽団通信 しおかぜ
発行者 港南吹奏楽団理事長・常任指揮者
玉 谷 敏 弘
第99号
2009年11月11日(水)発行
「月の光」
稲フェスはもとより,定演でもやる「月の光」について。
C.ドビュッシーは19世紀後半から20世紀前半のフランスの作曲家で,長音階や短音階以外の旋法の使
用,機能和声にとらわれない自由な和声法などを行った。その音楽は代表作である「海」や「夜想曲」などにみ
られる特徴的な作曲技法から,「印象派」と称されている。
さて,「月の光」は「ベルガマスク組曲」というピアノ曲の3曲目。ベルガマスク組曲は親しみやすい曲想で知ら
れ,「月の光」はドビュッシーの作品のなかでももっとも有名。「月の光」単独での演奏機会も多い。
「月の光」はストコフスキーが編曲したオーケストラ版は,ディズニー映画「ファンタジア」に利用されている。
(他にも「オーシャンズ・イレブン」という映画で使われていたり,セガサターン用ソフト「実戦パチスロ必勝法!3」
においてオプション画面で使用されているたりするらしい。よく知らないが・・・。)
「ベルガマスク」とは「ベルガモ風の」という意味(ベルガモは北イタリアにある地方の名前)だが,それよりも
「古雅な」「貴族的な」「宮廷風の」といったニュアンスが重視されているようだ。
1曲目「前奏曲」は始まりと終わりが非常に壮観であり,組曲の冒頭にふさわしい。全体的に大胆な変化に富
んでいる。
2曲目「メヌエット」は典型的なバロック舞曲にほかならないが,3拍子のリズムはあまり認識できない。緊張と
緩和の対比が印象的である。
そして,3曲目「月の光」はほとんどピアニッシモで演奏される夜想曲で,優しく切ない曲想で有名。中間部の
優雅な旋律は教会旋法の一種ミクソリディア旋法が採用されている。
4曲目の「パスピエ」は再びバロック舞曲によっている。パスピエは一般に3拍子だが,この曲は4拍子である。
旋律に二拍三連が多用されているのが面白い。
「月の光」では,「月の光」は初年期のドビュッシーの最高傑作といわれ,曲の完成度の高さ,美しさはさること
ながら,自然な和声感と情感豊かなメロディーが素晴らしい。
ドビュッシーはこの曲から10年前に一連の歌曲を作曲した。これは人妻ヴァニエに対する恋心から生まれ,と
ても18歳の未熟な青年とは思えぬほどの高いロマンティックな気持ち,センチメンタルな感情溢れる作品で,こ
のヴァニエ夫人のための歌曲(36曲のうち20曲以上を夫人に献呈した)の中に,ヴェルレーヌの詩に曲をつけ
た「月の光」がある。そのため,このピアノ曲の「月の光」もヴェルレーヌの詩のイメージを無視することはできな
いと言われている。
ヴェルレーヌの詩を探してみた。
月の光 Fetes Gallantes(艶なる宴)
君の心の風景は独創的な絵のようだ
魅惑の仮装行列が行進し
縦笛を吹き踊る人が描かれているが
仮面の下には悲しそうな表情がある
短調の調べに乗せて
愛や命を歌っているが
幸福そうな顔には見えない
歌声は月の光に溶け込むばかりだ
静かな月の光は悲しくも美しい
小鳥たちは木の枝に夢み
噴水は恍惚にむせび泣く
大理石の像の中の繊細な水のほとばしり
どうだろう。深い叙情性を感じずにはいられない。定演,稲フェスでやるぞ!「月の光」!