「知のオリンピック」を語る! - 日本イノベーション融合学会

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「知のオリンピック」を語る
石川 昭 Ph.D.,Dr.(h.c.)
最高顧問 日本イノベーシ
ョン融合学会
本日は、この栄えある第 1 回年次大会に際して、
「知のオリンピック」につい
て一言申し上げたいと存じます。
この[知の(あるいは知能)オリンピック]の開催の根本的目的あるいは狙
いは、2020 年に開催される東京オリンピックおよびパラリンピックに大変革、
すなわちイノベーションをもたらそうというものであります。
私は、人類の祭典として、一時の中断はあったものの約 3000 年にも及ぶ体力
を競うオリンピックを第 1 世代のオリンピックと定義しております。オリンピ
ック憲章や理念が明確で、紀元前 8-9 世紀に神に捧げる行事として、戦争以上
に重視された古代オリンピックは、その後、古代から近代オリンピックに継承
され、1954 年には、体力だけでなく、知力を使う技能の領域に枠を広め、技能
五輪国際大会として、スペインで開花いたしました。私は、このオリンピック
を第 2 世代のオリンピックと区分しております。
問題は、オリンピックの発展過程として、これだけで充分であるのかどうか
ということであります。人間が、体力、技能力のみならず、創造力、開発力、
構想力、コミュニケーション力など諸々の知についての能力を伸ばす知力を競
うオリンピックが、個々人の人間の全人的完成として、又、国家社会における
戦争や紛争のエネルギーを平和や協調のエネルギーに転換するため、第 3 世代
のオリンピックとして、不可欠ではないかとおもうのであります。
これこそ、まさに、人類史上における最大のイノベーションであり、本学会
の設立趣旨の根底もそこに求められるのではないかと考えております。
幸い、現代社会には、局部的、縦割り的には、このような知力を競う知のオ
リンピックが開花しております。
例えば、若年層を対象にした、国際科学オリンピックスは、現在では、国際
物理オリンピック、国際数学オリンピック、国際化学オリンピック、国際生物
学オリンピック、国際情報オリンピック、国際天文学オリンピック、国際地理
オリンピック、国際地学オリンピック、国際言語学オリンピック、更には国際
哲学オリンピックが開催しており、日本も遅ればせながら参加をして、優秀な
成績を収めたり、主催国としての役割も果たし始めてております。
このほかにも、データマイニング・オリンピック、ゲームオリンピック、シ
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アターオリンピックス、既述した技能五輪国際大会、ロボカップ、国際アビリ
ンピック、さらには、一企業が主催し、その成果は、国連のミレニアム開発目
標にも採択された IMAGINE CUP など、規模の小さいものを除いても、年齢差
別を超えた数多くの知のオリンピックが開催され今日に至っております。
それでは、どのようにして、これらの知能オリンピックを東京オリンピック・
パラリンピックに導入していったらよろしいでしょうか?
理想論としては、これらの全てあるいは一部を統合的に 2020 年に日本で開催
することであります。かって、パリ万博やロンドン博の同時行事として、パリ・
ロンドンオリンピックが開催されたことを思えば、東京オリンピック・パラリ
ンピックと[知のオリンピック]が同年に開催されても少しも不思議はありま
せん。又、そうすることによって、オリンピック・パラリンピックのイノベー
ションが実現することになります。しかし、このためには、政府や東京都など
からの非常に積極的支援・協力を必要とし、そう簡単なことではありません。
一方、可能性のある現実論としては、2020 年には、先ほどご紹介した国際科
学オリンピックの一つである、国際生物学オリンピックの日本開催が決定して
おりますので、このオリンピックを成功に導くよう、スポンサーの一組織とし
て積極的に支援・協力していく方法が考えられます。2020 年代には、国際物理
学オリンピック開催の主催国の可能性もあると伺っていますので、この努力は
一過性に終わることはありません。
勿論、ほかの有力機関が 2020 年の知のオリンピック・イベントに参加したい
という希望があれば、同時開催に向けて積極的に支援・協力できます。
いずれにせよ、このようなイベントを開催するためには、先ず、ほかの組織
を含め、強力な準備委員会を組織し、実現にむけて、人的、財務的、組織的ネ
ットワークを強化していくことが不可欠であります。
本日、ご参加の皆様の、積極的ご支援、ご協力、さらにはご提言を心待ちに
しております。本学会の存在意義や価値を世間に認知して頂ける手段として、
宜しくお願い申し上げます。{2015 年 5 月 24 日記}