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伝えたい 松下幸之助 の こ こ ろ
高齢者福祉は
わが事として
エイジフリー REPO R T
第 回国際福祉機 器 展
H・C・R・2015 レポート
パナソニックのエイジフリーがめざす
42
﹁これからの介護。
これからの暮らし。
﹂
ol.16
新春特別インタビュー ∼介護のいまとこれから∼
現代社会における新しい介護の形とは
橘木俊詔︵経済学博士︶
一日のリズムを見直し、
健康長寿をめざす
佐古田三郎︵刀根山病院院長︶
◎アタマとカラダの体操
■伝えたい
松下幸之助のこころ
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くか、いいかえれば、長寿者に対する処遇をどの
がいろいろ変貌してくる。それにどう対処してい
すね。国民が長寿化することによって、社会生活
すが、反面、そこから問題が派生してくるわけで
「
(日本が)長寿国になったこと自体は非常にお
めでたいことだし、大いに慶賀すべきだと思いま
語っています。
当の経験を積んだいわば熟練者であるわけですね。
「老人というのは、単に年をとった人というので
なく、同時に、人生についても仕事についても、相
呼びかけています。
高齢化社会というものを前向きにとらえ直そうと
幸之助がめざしたのは、ただ暮らしが豊かであ
るだけではなく、すべての高齢者が生きがいを持
いけません」
ようにしていくか。その点に適切な対応策を欠い
ですから、高齢化社会ということは、見方によ
っては、そういう経験豊かな熟練者が多くなって
一九七八年、パナソニック創業者の松下幸之助
は、来るべき「高齢化社会」の課題についてこう
たならば、長寿化がおめでたいことではなくなっ
くることでもあるわけです。したがって、その人
幸之助は、長寿なるがゆえ
にかえって苦しむことのな
の人々も幸せになるし、社会全体としても大きな
たちの生かし方というか、処遇に当を得れば、そ
って暮らせる世の中でした。その実現のために、
てしまいます」
高齢者福祉は
プラスになってくる。長寿国即発展国という好ま
人間は年齢にかかわ
幸 之 助 の 主 張 の 根 底 に は、
らず、自分の能力、適性を発揮しつつ世の中に貢献
いように、高齢者福祉の充実
身」についてはよくよく考えなければならないと
す ることに喜びや生きがいを感じるものであり、
しい結果が出てくるのではないかと思います」
強 調 し て い ま す。 そ し て、 金 銭 を 支 給 す る と か、
個々のそうした活動の総和が社会全体の繁栄に結
をはかるべきだと訴えなが
いろいろな特典を設けることだけが福祉ではない
びつくという信念があったのでしょう。高齢者福祉
わが事として
として、より本質的な認識を示しました。幸之助
は一部の行政担当者だけの問題ではありません。
「いずれは年をとっていく。こればかりは万人
平等です。ですから、みんながわが事として考え
ら、何をもって充実とするか、つまり「福祉の中
が指摘するのは高齢者の心の持ちようです。
き合う大切さを、さらに次のように説いています。
思うのです。これはあらゆる面での福祉について
なくてはいけません。そうすることが、よりよい
幸之助は、一人ひとりがみずからのこととして向
「老人自身のほんとうの幸せというか、生きが
いという点から考えても、単に経済的な面での充
い えることでしょうが、特に老人問題の場合は、
対応策を生み出していく最良の道でしょう」
実ということだけでは、真の福祉とはいえないと
やはり生きがいということが中心にならなくては
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パナソニックのエイジフリーがめざす
「これからの介護。
こ れ か ら の 暮 ら し。」
第42回国際福祉機器展
H.C.R.2015 レポート
◀︎会場には企業の展示ブースが並ぶほか、
シンポジウムやセ
ミナーなども行なわれ、最新の情報を求める人や未来の
福祉機器をひと目見ようと訪れた来場者で賑わっていた。
16
▲パナソニックのブースには、最新のケアソリューションをはじめ、高齢者施設向けの建材や設備などが一堂に会している。
月
~
日の
日間、東京国
高齢者や障害者の自立生活を支える福祉
機器が一堂に会する「国際福祉機器展」が、
2015年
7
3
カ国
地域から522の企業・団体
万点の福祉機器が
人の来場者も多く見られる。特に中国な
での介護を考える一般の方、そして外国
会場も早々に多くの来場者であふれて
おり、業界の関係者だけでなく、ご自宅
ニックの熱意が伝わってくる。
示されていて、見ているだけでもパナソ
提案するケアソリューションの数々が掲
「 リ ハ ビ リ 機 器 」 な ど、 パ ナ ソ ニ ッ ク が
れぞれに「在宅向け電動ケアベッド」や
色ののぼりやパネルで彩られていた。そ
レーターや天井、コンコースなどが、緑
秋晴れの展示会初日、りんかい線の国
際展示場駅に降り立つと、構内のエスカ
(取材・文 PHP研究所)
ニックのエイジフリーのブースを訪れた。
トップクラスのスペースを誇ったパナソ
未来に対する熱気あふれる会場の中でも
並ぶ、アジア最大の福祉機器展だ。介護の
が出展し、会場には約
た。
際展示場(東京ビッグサイト)で開催され
10
1
どでも高齢化が進んでいる現状を反映し
16
9
2
14
▶︎会場に最寄りのりんかい線・国
際展示場駅やゆりかもめ・国際
展示場正門駅の壁面や天井
はパナソニック エイジフリーの
広告で埋め尽くされており、期
待感が高まる。
◀▼ベッド下の生体センサー
で体動や呼吸の変化を
感知し、介護スタッフの
いる部屋のモニターに表
示。
メインステージでは、
ベッド上の女性が動くと
モニターに即座に表示さ
れる様子などがデモンス
トレーションされた。
認知症ケア
◀︎
「 介護施設向けみまもりシステム」
参考出品
寝ている高齢者の体動や呼吸の変化を感知
するベッドや、「スマートエアコン」と電波
センサーによって室内での高齢者の行動を
察知し、カメラで監視することなく、プラ
イバシーに配慮しながら高齢者を見守るこ
とが可能に。玄関の開錠を自動で行なう「顔
◀玄関に設置されたカメラが高齢者の
顔を認識し、介護スタッフに知らせる
ことで誤外出などの危険を防ぐ。ま
た、
スタッフの顔を認識して開錠でき
るため、車いすを押しながらでも出入
りが可能に。
者と介護スタッフ双方にとって快適な介護
をめざす。すでにパナソニックの介護サー
ビスセンターやサービス付き高齢者向け住
宅「エイジフリーハウス」で導入されている。
てか、アジアの方々の関心の高さがうか
がえた。
世界も注目!
パナソニックが提案する
介護の未来
鮮やかなグリーンが印象的なパナソ
ニックのブースは、デモンストレーショ
ンを交えながら最新の介護機器やシステ
ムを紹介する「メインステージ」と、介
護サービス施設やご自宅での快適な暮ら
し空間を提供するための介護用品や設備
を多数展示する「ミニ・ステージ」に分
65
かれる。
メインステージでは、 歳以上の人口
が全人口の %を超えるとされる202
3
5年を見据え、「認知症ケア」
「リハビリ・
介護予防」
「モビリティアシスト」の
つをテーマに展開。司会者の軽快かつ要
所を押さえたプレゼンテーションに、多
くの来場者が足を止めて見入っていた。
紹介されていたもののいくつかは参考
出品だったが、来場者が実際に試用して
スタッフと熱心に会話を交わす様子など
を見ていると、ここから新たなアイデア
が生まれるのではないかとワクワクして
くる。
実はパナソニックは 年もの長きにわ
たり、介護用品・設備の開発・販売だけ
18
30
認証システム」(新商品)とあわせて、高齢
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第42回国際福祉機器展
H.C.R.2015 レポート
▲︎ リハビリナビゲーションシステム
「デジタルバランストレーナー」
「デジタルミラー」
をコンパクトにして利便性
をアップ。
新商品
パナソニック
エイジフリーサービス
株式会社
取締役 片島 逸平さん
でなく、介護サービスの提供や施設の運
営なども手がけてきた。この広い会場に
出展している企業を見渡しても、これほ
ど幅広く展開しているのはパナソニック
だ け だ ろ う。“ 家 電 の 雄 ” と し て 培 っ て
きた技術と介護の現場の生の声を融合さ
せ、リハビリ機器に先進のデジタル技術
を応用しているのはパナソニックならで
はだ。
パナソニック エイジフリーサービス
の片島さんは、力強く次のように語る。
「たとえば最新版の自立支援型起立歩
行アシストロボットに導入した“人協調
制御技術”は、パナソニックの先端研究
本部で十数年前から研究してきたもので
す。これは工場の自動化ロボットなどで
培った技術を介護分野に初めて応用した
もので、こうしたことができるのが、弊
社の一番の強みだと考えています」
介護に希望を
ほかにも、電動ケアベッドやホームエ
レベーター、高齢者施設向けユニットバ
ス な ど の 大 型 機 器 は も ち ろ ん、 手 す り、
引き戸などの設備、ポータブルトイレや
シャワーチェアーなども展示。多様な商
品を見ていると、パナソニックが多くの
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参考出品
「3D測定・訓練システム」
お手本の映像に自分の姿を重ねながらリハビリができる
ので、正確な動作ができ、効果が高くなる。ゲーム感覚
で楽しめるメニューには、
来場者も興味をひかれていた。
リハビリ・介護予防
▲︎ リハビリナビゲーションシステム
2012年7月発売
「デジタルミラー」
3Dカメラを利用し、正しい姿勢やバランスを維持できて
いるかを確認しながらトレーニングができるうえ、
その成果
もひと目でわかる。
介護サービスの
現場の声を商品開発に
取り入れられるという
“強み”
を活かしたいですね
▶︎ リハビリナビゲーションシステム
第42回国際福祉機器展
H.C.R.2015 レポート
モビリティアシスト
▶︎「自立支援型起立歩行
アシストロボット」 参考出品
小型・軽量・安全性が高く、高齢者が持つ
力を生かしながら、起立に必要な力だけをア
シストする。車輪の大型化などで、
よりスムー
ズな歩行が可能に。2016年度中の商品化
をめざす。
パナソニックグループの
さまざまな技術を、
介護の
分野で役立てていく姿を
感じていただけたのでは
と思います
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社
エイジフリービジネスユニット
事業推進部 総括主幹 木田 祐子さん
▲▶︎電動ケアベッドやポータブルトイレなど、
最新の介護用品には来場者の関心も
高い。
“困りごと”にていねいに対応してきた
歴史の積み重ねが感じられる。
時間とともに場内にはさらに多くの来
場者が訪れていたが、導線がよく考えら
れているのだろう、スムーズに見て回る
ことができたのもうれしい点だった。
“介護”というと暗いイメージ
「昨今、
を お 持 ち の 方 も 多 い か も し れ ま せ ん が、
さまざまな介護サービスや商品を通じ
て、介護に明るい希望を持っていただけ
る前向きなメッセージを発信していきた
いです」
パナソニックの木田さん。
と話すのは、
「 こ れ か ら の 日 本 を 支 え て い く た め、
パナソニックのすべての事業は、高齢者
に対応したものになっていくと考えてい
ます。その中でエイジフリー事業がどの
ようにして皆様にお役立ちできるか、社
員一丸となって追求しつづけていきたい
と思います。
また今回は、中国をはじめ多くの外国
の方々が来場されました。世界各国で高
齢化や介護が問題になっていることか
ら、これからは国際的にも貢献していき
たいと考えています」
今後の展望を語る木田さんと会場の熱
気は最後まで尽きることなく、介護の未
来への広がりを感じさせてくれた。
(写真:高木あつ子)
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アタマとカラダ の 体 操
[まち が い 探し ]
問題
左の絵は、右の絵と同じに見えますが、7 カ所ちがっています。
ちがいがないブロックは、左の図の①〜⑧のどれでしょうか。
※答えは右下に
(
『PHP』2015 年 1 月号より パズル制作/ニコリ)
[ す り す り・ト ント ン ]
イスに座り、片手はパー(開く)
、もう片方をグー(にぎる)にします。
パーの手で太ももを前後にすりすり、グーの手で太ももを上下にトントンたたきます。
朝、昼 、夜に
ポ イ ン ト
今日1日の予定を
思い出しながら
行ないましょう。
鼻からおなかに
むかってゆっくりと息を吸い、
口からゆっくりと
息を吐きます。
まちがい探しの答え
答え…⑦
(佐古田三郎監修『認知症予防日めくり』より)
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新春特別インタビュー 〜介護のいまとこれから〜
現代社会における
新しい介護の形とは
人と人のつながりが希薄になっている現代。
これから安心して暮らしていくには、何が必要なのでしょうか。
日本の格差社会や無縁社会について鋭く切り込んできた
経済学者の橘木俊詔先生にうかがいました。
を 徴 収 し て い ま す が、 医 療 を は じ め
とする社会保障でしっかりと還元し、
国民の幸福度も高いという結果が出
ています。
*持続可能な介護とは
家 族 が 介 護 を 引 き 受 け る 場 合、 仕
事 と の 両 立 や 住 宅 事 情、 経 済 的 な 負
担 な ど に よ っ て、 介 護 に 専 念 で き な
い こ と も あ る で し ょ う。 介 護 施 設 へ
が 後 を 絶 ち ま せ ん。 高 齢 化 に 拍 車 が
長 生 き で き る 時 代 だ か ら こ そ、 老 後
一 方 で、 医 療 の 進 歩 に と も な い、
人びとの寿命は飛躍的にのびました。
う世帯も少なくありません。
と り ぼ っ ち に な っ て し ま っ た、 と い
ち、 夫 婦 の ど ち ら か が 亡 く な っ て ひ
高齢になった夫婦がふたりで住むう
療 体 制、 よ い サ ー ビ ス を 受 け ら れ る
年 金 と、 適 切 な 治 療 を 受 け ら れ る 医
る だ け の ふ さ わ し い 所 得、 す な わ ち
か ら こ そ、 高 齢 者 が 安 心 し て 暮 ら せ
た ち は 自 分 の 生 活 で 手 一 杯 で す。 だ
は 離 れ て 暮 ら す 家 族 が 多 く、 子 ど も
す こ と が で き ま し た。 し か し 現 代 で
なくても同居する家族の支えで暮ら
仮 説 で、 つ ら い 仕 事、 誰 も や り た が
事の特性に応じて支払われるという
い う 考 え 方 が あ り ま す。 賃 金 は、 仕
ん。経済学には、
「補償賃金仮説」と
一 方 で、 介 護 職 に 就 く 人 び と の 賃
金 は、 決 し て 高 い も の で は あ り ま せ
ベストな選択であると思います。
齢 者 に と っ て も、 家 族 に と っ て も、
介 護 の プ ロ の 力 を 借 り る こ と は、 高
の入所や通所、訪問介護の利用など、
か か る 現 代 に お い て、 高 齢 者 の 介 護
の暮らし方や介護の問題が深刻に
介護体制を公的にサポートしていく
*家族のあり方が大きく変わった
を 誰 が 引 き 受 け る の か と い う こ と は、
なっているともいえるでしょう。
し い、 あ る い は 親 と の 同 居 を 望 ま な
しようにも職場が遠く離れていて難
は、 年 金 ・ 医 療 ・ 介 護 と い っ た 社 会
心して老後をおくるために重要なの
人 び と の つ な が り が 希 薄 に な り、
ますます高齢化する社会のなかで安
値 税( 日 本 で い う 消 費 税 ) だ け で
る。 北 欧 の デ ン マ ー ク で は、 付 加 価
社会保障を通してしっかりと還元す
て い ま す。 国 民 か ら 相 応 に 徴 収 し、
こうした社会保障のための財源を、
消費税でまかなうことを私は主張し
ことが必要なのです。
社会的な財源が賃金を補償するよう
介護の仕事を続けてもらうためには、
さ ん に、 高 い モ チ ベ ー シ ョ ン の も と
も 低 く は あ り ま せ ん。 介 護 職 の み な
介 護 の 仕 事 は 重 労 働 が 多 く、 離 職 率
ら な い 仕 事 に 就 い て い る 人 に は、 高
なしくみが必要でしょう。
い賃金が支払われるという理論です。
い と い う ケ ー ス も 少 な か ら ず あ り、
保 障 制 度 の 充 実 で す。 三 世 代 家 族 が
し た。 と こ ろ が 近 年 は、 親 と 同 居 を
三世代で同じ住居に住む家族は著し
%という高い税率で国民から税金
主 流 だ っ た こ ろ は、 高 齢 者 に 所 得 が
つ か っ た ―― そ ん な 悲 し い ニ ュ ー ス
一人暮らしのお年寄りが誰にも看
取 ら れ ず に 亡 く な り、 白 骨 化 し て 見
ひとつの大きな問題になっています。
*安心して老後をおくるには
経済学博士。京都大学名誉教授、京都女子大学
客員教授。大阪大学大学院経済学研究科を修
了後、
ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程を
修了。著書に
『無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁
はいかに崩壊したか』
(PHP研究所)
ほか多数。
ひ と 昔 前 は、 三 世 代 が 同 じ 住 居 に
住 み、 子 が 親 の 介 護 に あ た っ て い ま
◎橘木俊詔 (たちばなき・としあき)
く 減 少 し ま し た。 子 ど も が 巣 立 ち、
25
16
歳を超え、「いくつまで生きるか」
一日のリズムを見直し、
健康長寿をめざす
日本人の平均寿命は男女ともに
より「いかに生きるか」が重視されてきています。
健康で、
いきいきとした毎日を送るためには何を心がければいいか、
歩 で か ま い ま せ ん。 外 出 が 難 し い と
い う 人 は、 カ ー テ ン を 開 け て 日 の 光
を 入 れ た り、 庭 や ベ ラ ン ダ で 日 光 浴
を す る の で も O K で す。 昼 間、 日 の
光のもとで活動することで夜とのメ
リハリがつき、熟睡を誘います。
その場で立ったり座ったりを 回
ほ ど く り 返 す 運 動 も お す す め で す。
に 立 つ つ い で に、
回立ったり座っ
高 く 感 じ ま す が、 た と え ば「 ト イ レ
「運動をする」と考えるとハードルが
10
で い い の で、 続 け ら れ る と こ ろ か ら
水 を 控 え て お 茶 に す る。 小 さ な こ と
ン ゴ を 足 す だ け で も い い。 清 涼 飲 料
で す。 菓 子 パ ン を 白 米 に 変 え る。 リ
ンスのよい食事にしなくてもいいの
暗 に し て く だ さ い。 夜 中 に 起 き た と
い よ う に し ま す。 部 屋 の 電 気 も 真 っ
ま た、 寝 る 前 に は テ レ ビ や 読 書、
パ ソ コ ン は や め て、 脳 を 興 奮 さ せ な
あなたに合ったサイクルです。
き た と き に 快 適 と 感 じ る 眠 り 方 が、
寝 な い と ダ メ と い う 人 も い ま す。 起
間 で 十 分 な 人 も い れ ば、
一 概 に は 言 え ま せ ん。 長 さ も、
ど ん な テ レ ビ を 見 た の か、 外 出 し た
てみましょう。何時に起き、
何を食べ、
起きてから夜眠るまでの記録をつけ
の よ う な 生 活 を 送 っ て い る の か、 朝
「早寝早起き」
「バランスのとれた
食事」
「適度な運動」のために何を変
むのが、長く続けるコツです。
分から
分程度の散
くことが大切です。
健 康 に、 特 効 薬 は あ り ま せ ん。 で
きることから少しずつでも変えてい
食事の問題点が見えてくるでしょう。
なたにとっての快適な生活リズムや、
え る べ き か。 ま ず は、 今 の 自 分 が ど
常生活のなかに自然に運動を取り込
少しずつ変えていくことが大切です。
き の た め と か、 心 細 い か ら と、 小 さ
時間やうたた寝をした時間などを記
*毎日の行動を見つめ直す
し ま し ょ う。
最 後 に、 質 の い い 眠 り に も つ な が
る こ と で す が、 日 中 に 適 度 な 運 動 を
時間以上
最 近 の 研 究 で、 体 の 細 胞 一 つ ひ と
つ に“ 時 計 ” が あ る と い う こ と が わ
な明かりやテレビをつけたままにし
調整に必要なのが「眠り」なのです。
る と 体 の 調 子 も よ く な り ま す。 そ の
そ れ ら の 時 間 が 合 い、 連 携 し て 動 け
*眠りの質を高める
かってきました 。脳も、心臓も、筋肉
録 し ま す。 1 週 間 ほ ど つ け る と、 あ
た り す る 」 な ど と 決 め て お い て、 日
3
ていると、眠りの妨げになります。
4
も、それぞれ別の時計で動いていて、
時
独立行政法人国立病院機構刀根山病院院長。
大阪大学医学部卒業。2000年、大阪大学教授
に就任
(神経内科)
。2010年3月に退任後、同年
4月から現職。著書に
『医者が教える長生きのコツ』
(PHP研究所)
。
8
80
パーキンソン病に詳しい佐古田三郎先生にうかがいました。
*毎日の食事を少しだけ見直す
健康で生き生きと暮らすために何
が 必 要 か と 問 わ れ れ ば、 平 凡 な 答 え
つに
ですが、「早寝早起き」
「バランスのと
れた食事」「適度な運動」この
勝 る も の は あ り ま せ ん。 し か し、 意
外に実行が難しいものでもあります。
病院にこられる患者さんに食事に
つ い て 尋 ね る と、朝 は 菓 子 パ ン、昼 は
麺類、甘いおやつも食べ、夜は買って
き た お 総 菜 や お 弁 当 …… そ ん な 人 が
多 く み ら れ ま す。 こ う し た 食 事 は 糖
質 や 動 物 性 脂 肪 が 多 く な る た め、 食
後 に 高 血 糖 に な り や す く、 体 だ け で
体 の リ ズ ム は 人 そ れ ぞ れ な の で、
何時に寝て何時に起きるのがよいと
16
◎佐古田三郎 (さこだ・さぶろう)
20
なく脳もメタボになってしまいます。
一日三食すべてを一汁三菜のバラ
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