楽器と格闘しないために 2004.11.20-21 風流人合宿 by tooba 1.はじめに ・「なぜプロは難しい曲をあんなに軽々と吹けるのだろう?」と思ったことはありませんか? 答えは簡単です。『実際に軽々と吹いている』から。 ・バカにするなと思うかもしれませんが、アマは『そう難しくない曲』を四苦八苦して吹いてい るのが現実です。易しい曲が「軽々と」吹けずに難曲がそうできるはずはありません。 (演奏中に起きていること) ・ 「難しいと思い」「指、胸、唇に力が入り」、「目と頭の向きが変わり」、「アンブシュアが知ら ぬま変化し」、 「息が上がり」、 「喉や唇がしまる」など、コントロールを乱す事象が次から次へ と起きます。一つの困難を克服しようとして、別の困難を生むこともあります。 ・ アマとプロの吹奏を図にするとこんな感じでしょう。プロは概ね適切な範囲に収まりますが、 アマは「やり過ぎ」と「やり足らない」領域を往復します。一言で言えば、ムダな動きが多す ぎるのです。 左図.アマ 破綻 右図.プロ やり過ぎ 適切 やり足らない 破綻 破綻 やり過ぎ 適切 やり足らない 破綻 ・ 適切な範囲や限界を感じていないのです。やり過ぎているのにまだ足らないと思って、さらに やろうとします。これでは演奏が凸凹するのも当然です。アマは、易しいフレーズを難しく、 難しいフレーズはより難しく吹く、 「楽器との格闘」に挑戦する K1 戦士です。 (私が直面した課題) ・ 楽器を変えて結構悩みました。前の楽器のように吹くと全然思うように鳴らない。私にできる ことは、 『楽器の言い分を聞いてあげる』ことしかなかったのです。 2.考え方と気持ち ∼ 私は楽器を軽々と扱える ∼ 楽器は、その値段が 5 万円でも 500 万円でも、ある意味では「音が出るおもちゃ」に過ぎません。 遊んで楽しんでこそおもちゃです。 ・ 図は小学校のイベントで使った、乳酸飲料のケース側面に四角い穴を開け、ストローを貼った だけの鳩笛。ストローの先を押さえて良い音が出るポイントを探り、飲み口の塞ぎ方 を加減して色々な音高の音が出せます。 ・ 子供たちは、ほとんど教わることなく、ストローの先の適切な良い押し具合を理解し、 カッコー、正露丸のテーマ、運命のテーマ、フラッターすら吹いて「遊び」ました。 (気持ちの問題) ・ アガった経験は誰にもあります。出番が近づくだけで心臓の鼓動が速くなりました。 心は身体に影響を及ぼします。あなたが「難しい」と思えばそれだけで身体が堅くなります。 同じ動作でも、「難しい」と思ってやるのと「楽しい遊び」と思ってやるのでは身体の状態が違う。 ・ 音域、臨時記号、ffやpp、黒っぽい譜面、先生のアドバイス、かつて読んだ教則本の記述、 見栄、他人との競争心、色々な要素があなたの意識に影響を与え、筋肉の動きに反映します。 1 ・ 危機に接した時に身体を堅くして身構えるのは本能の反射です。一方、予想される結果に対し て、あらかじめ言い訳(難しい)を用意しておくのも心の平安のために使われる方法。鳩笛の 小学生も、 「ワタシ、できなーい」と自分で言う子は、本当に「できなかった」のです。 ・ 楽器のコントロールの出発点は、意識であり、気持ちです。 (上手く行かない事実に直面した時に) ・ 解決のために、身体の感覚をフル動員します。視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚の五感以外にも 人間が識別できる感覚があります。それは、心の感覚と身体が感じる感覚です。 ・ 「今、上手く出来ない」ことがあなたの価値を下げることはありません。できるかどうかでは なく、目の前で起きていることをもう少し観察してみましょう。 ・ 「私はできるようになる」と思いましょう。『あなたは軽々と楽器が扱える』のです。 『私には、私 自身の問題を感じる力、解決する力がある』ことを信じるのが大切なのです。 3.楽器の保持 ∼ 力はいらない ∼ ・ 楽器の保持に意識と力を割かないことは、演奏に集中するために大切なポイントですが、指に 力が入っていることに気がつかない人、持ち方にトラブルを抱えている人が意外と多い。 ・ 楽器の持ち方が不安定だと、指に力が入りやすくなります。 (実験) 1)お腹の前で、両手のひらの上に楽器を(頭部管を左、左手は樽、右手は胴部管の右端に)乗せ てみます。楽器がどういう状態になるか見てください。 ・ 楽器は手のひらの上に乗っているだけで、持とうと意識しなくても持てます。楽器は、手前側 (ポスト側)に回転し、キーの上面が腹の方へ向いた状態になります。 2)では、楽器のキーを水平にするためにはどうしたら良いでしょうか? ・ 簡単です。手首をわずかに下へ曲げれば良い。 (右手親指の考察) ∼ なぜ、管の真下から持たないか ∼ ・ フルートの管断面方向の重心は、キーメカニズムがあるため、管の中心より相当ポスト寄りに あります。頭部管を抜き樽と足部管に指を入れて水平にぶら下げてみれば理解できます。 ・ 重心から遠い管の真下から持つと、手前に回り込みやすい。左右の錘の重さ が違う天秤を棒の真中より軽い側で持つのと同じです。上の指が離れるほど 不安定になり、その反動からいつも「鉄棒をつかむ」ようになりがち。 ぶら下げた時に、 真下を向いた方向 重心はこの辺? ・ 真下から持つと上の指と親指の力の向きが正対し、掴む動作と同じになって 無意識のうちに力が入りやすいというのもあるでしょう。管の側面を持てば、 力の向きが正対しないので、「掴む」動きになりにくい。 ・ 右手親指は、回り込む楽器の動きに対して、管側面の重心の真下に近い所で バランスを取ります。力や強く押す必要はありません。左手のCやC#の音で楽器が回り込む、 右手の小指に力が入るなら、上手くバランスが取れていません。それだったらトレモロの運指 のように小指を離して中指・薬指(場合により人差し指も)押さえたほうがまだマシです。 ・ 右手の小指に力が入ると、親指にも他の指にも力が入ります。一番コントロールが効かない、 弱い小指に、楽器の支持という過大な役割を与えてはいけません。 4.姿勢 ここでは3つのキーワードについてだけ書いておきます。演奏中にこの3点がどう動いているの か意識を向けたことがありますか? 2 (立ち姿) ∼ 私は美しい ∼ ・ いつも猫背の人が、演奏の時だけ姿勢を良くしようと思うのは無謀です。演奏時の姿勢を考え るなら、日常の姿勢を良くしようと思った方がはるかに役に立ちます。 「私は美しい」と思う だけで、背中が伸び、頭は高くなります。そう、 「あなたは美しい」のです。 ・ 壁を背に、かかとを壁につけて立ちます。この状態では壁に「寄りかかれ」ませんが、 「寄り かかったつもり」で楽にして、ゆっくり息を吐いて下さい。頭が少し起き、肩が少し下がる感 覚に気がつくでしょうか? 「背中に壁がある感覚」を感じてください。 ・ 上の方法で充分です。これでほぼ頭が頚椎の上に乗った状態になります。 「姿勢を良くしろ」 と言われると、胸・肩・肘に力を入れて伸ばそうとしがちです。 (目線) ∼ 目線の先はどこ? ∼ ・ 真っ直ぐに立ち、目線を上下してみます。無意識にやると、目線を下げると頭(顎)も下を、 上げると頭も上に向きます。意識しないと「目線だけを上下させる」ことはできません。 ・ 頭が下(上)を向くとそれにつられて息も下(上)を向きます。吹き方も変わります。 自分が意図していないことで、唇・息の方向や、楽器の角度が変わっているのです。 ppで音程が下がるのを防ぐためにわずかに上を向く、という意図的な使い方もできます。 (顔の表情) ∼ 感じていることが顔に出る ∼ ・ 唇の操作には沢山の顔の筋肉を使います。リラックスするために、顔の表情を緩めましょう。 無理に笑おうとしないで、気持ちから表情を緩めます。 ・ 不満があると下唇が前に出る、悩みや不安があれば眉間に皺が寄るのは誰でも知っています。 宝くじで10万円当たったと想像すれば自然と頬が緩み、3億円なら鼻の穴が膨らみます。 心に思っていることが顔に出ます。それは楽器のコントロールに影響を与えます。 ・ 高音域やppで眉をしかめる人は珍しくない。必要があるので無意識にそうなるのですが、 本人はその理由に気がついていません。その苦しい気持ちは聴衆にも伝わります。 5.息と唇の柔軟性 (呼気) ・ 椅子に座り、手のひらを腿の上において、ゆっくり息を吐いてみます。息を吐くにつれて、何 かが下がる感覚を感じてください。息を吸うとその下がった何かが上がるのも理解できます。 上下するのは何なのか、上限と下限はどこなのか言葉で表現してみてください。 (楽器を持って再現) ∼ 吹かなくても楽器は鳴る ∼ ・ 中音のDの指で楽器を構え、アンブシュアを作らず、音を出そうとしないで息を吐き、先ほど の下がる感覚を感じてください。多分音にならないと思います。息を吐くスピードを速くした り遅くしたりして、感覚を確認します。 ・ 次に、アンブシュアを音が出るかでないか位にすこし整えて、もう一度やります。 ・ これを、音が鳴るところまで試行錯誤してください。目標は、音が出るようになっても吐いた 時に何かが下がる感覚を理解することです。 ・ 言い換えれば、「吹こう」と思わなくても音が鳴る事実を感じるところまでです。 (失敗と限界の観察) ∼ どこまで力を入れずに狙った音が出せるか? ∼ ・ 時には「失敗」を良く観察してみましょう。中音のEで、どこまで「下げられるのか」 、どこ まで力を入れずに音が出せるか、限界を確認します。 ・ mp 位で中音のEを吹きながら少しずつアンブシュア(息)を緩めます。緩めると、 「下がる」 感覚を感じられるのが理解できるでしょうか? 3 ・ どこかから低音に落ちます。通常の練習では失敗ですが、この練習では失敗ではありません。 上手く行くと、中音のEと低音のEが同時に鳴り、それを超えて緩めると低音に落ちます。 ・ 低音と中音で身体に感じる感覚の違いに意識を集中してください。何がどう違うのか、言葉で 表現して書いてみます。最初は音を出す練習ではありません。感覚を確認する練習です。 ・ 中音∼同時∼低音、何をどこまで変えると音が変わるのか、身体と唇と息の感覚を感じます。 左手の音のほうがやりにくいでしょう。同時に鳴らすために身体を固くしてはいけません。 ∼ (半音階) ∼ ・ 低音へ落ちたら、今度は息とアンブシュアにわずかずつ圧力を加えると逆の動きができます。 これを、E2からC3(または Eb2∼C#3、倍音の指なら最低音まで可能。)まで繰り返します。 上行は力が入りやすいので、最初は下降2∼3回に上行 1 回位で練習すると良いでしょう。 ・ どうしたら、狙った音(中音、同時、低音)が出し分けられるでしょうか?変化のスピードや音 量も変えてみます。鳴り方が変わると驚いて力が入るので、鳴り方が変わるのを予測します。 予測は感じ続けていないとできません。狙っていきなり同時に鳴らすことも可能です。 ・ 多少音程が変わろうが構いません。 「支えよう」と思わずに気楽にやります。 「変な音が出て面白いぞ」という子供の遊びの感覚でやると良いのです。 ・ 同時に鳴るのは、中音にはわずかに足らず、低音にはわずかにやり過ぎの状態です。それ以上 何かを変えると音が変わってしまうので、両者にはそんなに差は無い(中音も低音も同じよう に吹ける)ことが体感できるようになります。 ・ 同時・中間の音があるので、やみくもに締めたり緩めたり、強く・弱く吹けば(出さえすれば) 良いとならない、プロセスに注目する(オクターブを分割する?)のがこの練習のミソです。 (3オクターブ目への拡張) ・ 前項の練習を高音域へ拡張し、3オクターブ目の指で、複数の音を同時に鳴らして見ます。 D3から始めます。D3は緩めるとC2の音が鳴ります。二つの音を同時に鳴らすのが非常に 簡単な指使いです。ゲンダイ・オンガクの奏者みたいでしょ? ・ E b 3 より高い音では3種類の音が出せるので、練習も拡張されます。 (譜例) (括弧内の音は出しにくく発音に工夫が必要。楽器によるかもしれません。) ・ 3オクターブ目からはじめ、緩めていきます。前の練習と同様に、2∼3オクターブ目の音が 同時に鳴るポイントがあり(困難な音もあり) 、それを超えると2オクターブ目に落ちます。 そこからは、前項の練習の運指と鳴る音が違うバージョンです。 ・ 最初は上の音と下の音で緊張感がかなり違うでしょう。低音での緩んだ感覚で3オクターブ目 が出せないのか試行錯誤します。 ・ 慣れると、1 オクターブ目と3オクターブ目を同時に発音できる音もあります。 4 ・ 身体の緊張に気がついたら、感じられたという成果を心に、直ちに楽器を置いて休みます。 こういう時は、自分自身がもう一度リトライしてみなさいと言っているのです。続けて練習を すると、身体が堅いまま吹き続けることになります。 ・ 違和感を感じた時は、次にどういうリトライをしたら良いかを考えます。それが練習です。 何が固くなっていたと感じたのか思い出し、堅くなった部位に意識を集中して、最初の楽器を 持たずに息を吐いて下がる感覚の練習に戻ります。 (楽にやるために) ・ E3 の指使いで A1 を鳴らすことは、100%狙ってできます。全く緊張感を感じません。同じ ことが E3 でも可能です。ちょっと感じ方が変わるだけです。 ・ 上行が上手く行かない時には、わずかに下唇を前に出す感じにすると楽でしょう。慣れると、 お腹の底の反応を感じるだけで、イメージを感じるだけで、上の音が出せるようになります。 何かを動かすのとは違う感覚で、楽器のコントロールができるようになるのです。 ・ 偉い先生の本には、音域の移動でも唇は動かさないと書いてあります。本人は「唇を動かして いる」感覚が無いので「動かさない」と書くのですが、実際には唇は動いています。 ・ 唇も息も、動かそうとすると大抵やりすぎになり、動かさずにやろうとすると、何か他のこと (息を変え、眉に皺を寄せ、楽器を唇に強く押し付ける、角度を変える)で補おうとします。 必要な時には、意識的に唇を動かした方が楽です。 ・ 下唇を前後させたり、アパチャを小さくする、息の速度を変えること自体に、力は要りません。 3オクターブ目は、1オクターブ目と感覚が違うのは確かですが、緊張しないとできないこと ではないし、2 倍も3倍も力が必要なことではありません。 6.まとめ (この練習の意味と効果) ・ この練習は、単に音を並べても成果は上がりません。自分の身体に起きていることを感じて、 吹奏・演奏にフィードバックするための練習です。 ・ 同時に複数の音を出す練習は、息と唇の感覚を研ぎ澄まし、ある程度以上やりすぎることがな くなります。また、必然的に倍音が多い音を出すので音色の改善につながります。 ・ 音域の上下は、吹奏技術の向上に効果があります。上行は dim.の、下降は cresc.のシミュレ ーションです。 ・ 多くの人は吹き方や練習への思い込みがあります。「高音は唇を締める、fは強い息で、唇は 動かすな、できないのは練習が足らないから、ソノリテは必須だ etc.」。その思い込みが現実 を観察することを妨げ、問題の解決を困難にしています。 ・ 失敗を頑張って乗り越えようとする習慣が、あなたの今の「頑張り奏法」を築きあげました。 楽器の反応を感じて頑張らなくなると、指が廻り、息が続き、出来なかったことが可能になり、 「何だ、こんなに簡単なことだったのだ」と目からウロコ状態で練習が楽しくなります。 そして、演奏が滑らかになって、音楽そのものにより意識を向けられるようになります。 ・ 失敗は上達のための最大のヒントなのです。遊びだと思って、身体の感覚に集中します。指の 練習では、譜面と違うリズムで、意図的に失敗したパターンで練習します。なぜ、身体と息と 唇の使い方でそうしないのでしょうか? (副作用) ・ この練習を進めると副作用があります。曲を吹く時に集中が足らないと音を下へ外しやすくな ります。力を抜いて吹けるようになったのですから当然です。健全な奏法になったのだと考え てください。もう、唇を締めたり力を入れたりする必要は無いはずです。 5 (楽しく遊ぶ) ・ 楽器で遊びましょう。「観察」「練習」だなんて難しく考えなくて良い。 ・ 子供の時、根拠のない自信に満ち溢れていたこと、何も考えずに遊んでいたことを思い出して ください。大抵の場合、 「ルンルン」状態で楽器を扱えば良いだけです。 ・ 息を吐くこと、笛を吹くことは、本来生理的に「チョー気持ちいい」ことです。この遊びを、 先生に言われて「チョー苦しくやる」なんてばかばかしい、と思いませんか? ・ あなたの問題を解決してくれるのは、タファネル・ゴーベルやモイーズではなく、先生でもあ りません。あなた自身なのです。必要なのは、自分が思っているほど難しくない、という事実 に気がつくことだけなのです。 ・ あなた自身が感じられれば、思い込みから脱却でき、変われます。(それは誰でもできます) そうしてはじめて、かつて先生が言っていた言葉の意味が理解できるようになるのです。 以上 (おまけ)Plan,Do,See サイクル ∼ See って何? ∼ ・ マネジメントやプログラミングでは、良く PDS(Plan,Do,See)サイクル、PDCA(Plan,Do,Check, Action)サイクルで業務プロセスの改善を進めます。この手法を演奏技術に関してあてはめて見 ます。練習計画(Plan)と実行(Do)は同じです。See や Check,Action に相当する部分はどう考え たら良いのでしょうか? ・ "See" を使うのは、利益や費用などの経営指標もプログラムの動作も、 「自分で事後に物理的 に目視できる」からなのですが、演奏の場合はそうは行きません。自分の演奏を "See" でき るのは、聴衆か先生、鏡を見る、録音やビデオに撮る位ですが、いつもできるわけではない。 演奏では Do と See(Check&Action)を同時に自分でやらないとサイクルが廻らない。 ・ 上手くいかないのは、Plan や Do ではなく See なのです。自分の感覚に集中すること、言葉にする のも一つの方法。そのために Plan を考えるのが「練習のサイクル」。 ・ 偉い先生の Plan に従っていても、私は See(Check&Action)が下手だという事実に気がつかず、 Do でできない事実以外に何も得ずに次のサイクルに進んでも上手くいくはずがありません。 PDCA サイクルとは、計画(Plan)を実行(Do)し、評価(Check)して改善(Action)に結びつけ、 その結果を次の計画に活かすプロセスのことです。欧米では、この考え方を体系化したデミング 博士(Dr. W. Edwards Deming)の名前をとって、デミング・サイクルとも呼ばれています。 PDCA サイクルの考え方は、民間企業が製品の品質向上や、経費削減などを検討する際に、 広く用いられてきました。一つのプロジェクトについて、計画から改善までのプロセスを継続す ることにより、より良い成果を上げることが期待できます。そのプロセスは次の通り。 ①計画 (Plan) 何をどのように改善して いくかについて決定する ⑤新たな計画立案 ④改善(Action) 計画を継続するか、内容 を変更するかを決定する ③と④をまとめて See(評価)と 呼ぶのが PDS サイクル。呼称や出 発点が違うなど、亜流は沢山ありま すが、基本的な考え方は同じです。 ②実行 (Do) 計画に従って実行する ③評価 (Check) 計画の達成度合いを評価し、 成功要因や失敗要因を分析する 6
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