小児のバイタルサイン

小児のバイタルサイン
2013年6月18日、25日
対象:須坂病院小児科病棟スタッフ
講師:研修センター 赤嶺陽子
バイタルサインは大事です
• こんな言葉、知ってますか?
●ショック
代償性ショック
非代償性ショック
<ショックのいろいろ>
敗血症性ショック(septic shock)
血液量減少性ショック(hypovolemic shock)
アナフィラキシーショック(anaphylaxy shock)
心原性ショック(cardiogenic shock)
ショックの分類
・血液分布異常性ショック
感染性、アナフィラキシー、神経原性
・循環血液減少性ショック
出血性、体液喪失
・心原性ショック
心筋性、不整脈
・閉塞性ショック
心タンポナーデ、緊張性気胸
日本救急医学会・医学用語解説集より
生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果、
重要臓器の血流が維持できなくなり、細胞の代謝障害や
臓器障害が起こり,生命の危機にいたる急性の症候群。
収縮期血圧90mmHg(成人の基準)以下の低下を指標とする
ことが多い。
典型的には交感神経系の緊張により,頻脈,顔面蒼白,冷汗
などの症状をともなう。
ショックの代表として、、、
セプティックショックについて
(敗血症性ショック)
セプシスって何でしょう?
• 「血液培養生えたら、ゼプシスでしょ?」
• 「ゼプシスってバイキンだよね」
・・・・・・・・・・違います!!!
Sepsis = SIRS + infection
SIRS Systemic Inflammatory Response Syndrome
全身性炎症反応症候群
セプシスの重症度を判定しよう!
3次医療機関への搬送
集中治療適応
臓器障害を伴うセプシス
臓器障害とは:臓器還流低下、
乳酸アシドーシス、乏尿、
意識混濁
SIRSのみ
Severe
sepsis
Septic
shock
Severe sepsisの中で、
十分な輸液を行っても
低血圧が持続するもの
ただし、循環作動薬が投与
されている場合は低血圧で
なくとも良い
日本版敗血症診療ガイドライン
The Japanese Guidelines for the Management of Sepsis
日集中医誌 2013;20:124-73
小児SIRSの診断基準
4項目中2項目以上満たした場合
(①または④は必須)
①中心体温
> 38.5℃ or < 36.0 ℃
②頻脈
平均脈拍>年齢の正常域の2SD or
他に説明のつかない30分~4時間以上持続
する上昇
平均脈拍<年齢の10 persentile or
他に説明のつかない30分以上持続する抑制
徐脈( 1歳未満)
③呼吸
平均呼吸数>年齢の正常域の2SD or
急速に人工呼吸管理が必要
④白血球数
正常より上昇もしくは低下 or
>10%未熟好中球
小児のSIRS:年齢別診断基準
年齢
心拍数
呼吸数
白血球数
頻脈
徐脈
0~1週
>180
<110
>50
>34000
1週~1か
月
1か月~1
歳
2~5歳
>180
<100
>40
>19500 or <5000
>180
<90
>34
>17500 or <5000
>140
NA
>22
>15500 or <6000
6~12歳
>130
NA
>18
>13500 or <4500
13~18歳
>110
NA
>14
>11000 or <4500
臓器障害があるかどうか=緊急かどうか
• 主な臓器障害
①循環障害
②呼吸障害
③中枢神経障害
④血液・凝固障害
⑤腎障害
⑥肝障害
①循環障害
•
•
•
•
•
血圧低下
代謝性アシドーシス
乳酸値の上昇
乏尿: 尿量<0.5ml/kg/hr
Capillary refillの延長 正常:2秒以下
明らかな延長:>5秒
• 中心と末梢の体温差>3℃
②呼吸障害
• PaO2/FiO2<300 (P/F ratio)
• PaCO2>65mmHg or ベースラインから
20mmHg上昇
• SpO2:92%以上保つのにFiO2:50%以上必要
• 人工呼吸(NPPV含む)が急速に必要
③中枢神経障害
• GCS:11点以下
• GCS:3点以上の低下を伴う急な意識変容
GCS:Glasgow Coma Scaleの略。
E:Eye(開眼:4点満点)
V: varval(言葉:5点満点)
M: move(体動:6点満点) 全部で15点満点
正常は15点
11~14点で意識障害
8点以下は、気管挿管の適応である
反応
成人(15歳以上)
小児(1-14歳)
開眼(E)
最良の
発声反
応(V)
乳児(1歳未満)
自発的に
4
呼びかけにより
3
痛み刺激により
2
開眼しない
1
見当識あり
年齢相応な単語・会話
笑い、喃語
5
混乱した会話
混乱した単語・会話
持続的な啼泣・叫び声
4
痛み刺激で啼泣
3
痛み刺激でうめき声
2
不適切な言葉
意味不明な発声
うめき声
発語を認めない
最良の
運動反
応(M)
スコア
1
指示に従う
自発的に目的を持って動く
6
疼痛部へ手足をもっていく
接触(触れる・つかむ)
から逃避する
5
痛み刺激から逃避する
4
異常屈曲
3
異常伸展
2
体動なし
1
④血液・凝固障害
• 血小板数<8万/mm3
• PT-INR>2
血液腫瘍患者では過去3日間の最高値より50%減
⑤・⑥ 腎障害・肝障害
• 腎障害
血清Creが年齢正常上限の2倍以上
または、ベースラインより2倍上昇
• 肝障害
総Bil:4mg/dL以上(新生児は除く)
GPTが年齢正常上限の2倍以上
重症化前の介入が最も重要
患者は必死にSIRSのサインを
発している
バイタルサインの異常
問診
診察
末梢ライン
確保
意識レベルの異常
採血
血液
培養
血液ガスの異常
初回
抗菌薬
輸液
負荷
1時間
以内
6時間
以内
血液検査の異常:臓器障害を見つける
気管挿管・人工呼吸
中心静脈カテーテル挿入
動脈ライン確保
CHDF、ECMO
尿カテーテル留置
3次医療機関
小児緊急シミュレーション企画
セプティックショックを想定して
目的
(何が出来るようになり
たいか)
使用する機材
場所
グループ分けなど
評価方法
チェックリストなど
例)CPAアルゴリズムを
覚えたい、など
Sim Jr(シムジュニア)
ストップウォッチ
2グループ など
チェックリスト作成
など
ファシリテーター募集中
これで今日は終わりです
目的
(何が出来るようになり
たいか)
使用する機材
場所
グループ分けなど
評価方法
チェックリストなど
目標:7月~8月はシナリオ希望募集・作成
9月に第1回目、10月に第2回、11月に第3回、12月に第4回 でどうでしょう?
ご質問・ご意見
(分かりにくい、違うことが知りたい、今後の講義希望あれば、遠慮なく研修センターの
赤嶺まで。)