不動産登記申請における会社法人等番号の提供と添付情報 1 資格証明情報の提供に代わる会社法人等番号の提供(不登令7条1項1号イ) 会社法人等番号とは、法務省令で定めるところにより,株式会社,合名会社,合資会社, 合同会社,外国会社その他の商人(以下、「株式会社等」という)を識別するための番号 として登記簿の商号区に記録される 12 桁の番号である(商登法7条、商登規則1条の2 第1項)。 申請人が法人であって登記の申請情報と併せて資格証明情報を提供すべき場合、当該 法人が会社法人等番号を有する法人であるときは、資格証明情報の提供に代えて、会社 法人等番号を提供しなければならないこととされた。 ※ 申請人が会社法人等番号を有しない法人であるときは、作成後3か月以内の資格証 明情報を提供する(不登令7条1項1号ロ、17 条1項)。 2 資格証明情報として登記事項証明書を提供する場合(不登令7条1項1号、不登規則 36 条1項各号) 申請人が会社法人等番号を有する法人であっても、登記の申請情報と併せて代表者の 資格を証する登記事項証明書または支配人等の権限を証する登記事項証明書を提供した ときは、会社法人等番号の提供を要しない(不登令 7 条 1 項 1 号、不登規則 36 条 1 項各 号)。 この登記事項証明書は、作成後1か月以内のものであることを要する(不登規則 36 条 2項)。 3 会社法人等番号を提供することにより省略(代替)できるもの ① 代理権限証明情報(登記申請の代理人が司法書士法人であるとき) 司法書士法人などの法人である代理人によって登記の申請をする場合において、代理 人の会社法人等番号を提供したときは、代理人の代表者の資格を証する情報の提供に代 えることができる(不登規則 37 条の2)。 【提供するもの】 原則 登記事項証明書および委任状 (不登令7条1項2号) 例外 会社法人等番号および委任状 (不登規則 37 条の2) 1 / 3 ② 住所証明情報 (所有権保存、所有権移転、更正によりはじめて所有権登記名義人となる場合) 住所証明情報を提供しなければならない場合において、その申請情報と併せて会社法 人等番号を提供したときは、住所証明情報を提供することを要しないとされた(不登令 9条、不登規則 36 条4項)。 【提供するもの】 原則 住所証明情報(登記事項証明書) (不登令7条1項6号、別表 29、30) 例外 住所証明情報(会社法人等番号) (不登令9条、不登規則 36 条4項) ③ 住所変更証明情報(登記名義人の住所変更登記、法人である(根)抵当権者の住所 に変更が生じているときの(根)抵当権の抹消登記) 会社法人等番号を提供したときは、住所について変更または錯誤等があったことを証 する情報(住所変更証明情報)の提供に代えることができる(不登令9条)。この場合、 会社法人等番号は、住所についての変更または錯誤等があったことを確認することがで きるものに限られる(不登規則 36 条4項ただし書)。 【提供するもの】 原則 登記原因証明情報、変更証明情報(登記事項証明書) 例外 登記原因証明情報、変更証明情報(会社法人等番号) ④ (不登令9条) 法人の合併による承継を証する情報 会社法人等番号を提供したときは、法人の承継を証する情報の提供に代えることがで きる(不登令7条1項4号、5号イ、別表 22、通達平 27.10.23-512(4)ア)。 【提供するもの】 原則 登記原因証明情報(登記事項証明書) 例外 登記原因証明情報(会社法人等番号) (不登令7条1項4号、5号イ、別 表 22、通達平 27.10.23-512(4)ア) ⑤ 法人の名称変更等を証する情報 会社法人等番号を提供したときは、法人の名称変更等を証する情報の提供に代えるこ とができる(不登令別表 23、通達平 27.10.23-512(4)ア)。 【提供するもの】 原則 登記原因証明情報(登記事項証明書) 例外 登記原因証明情報(会社法人等番号) 27.10.23-512(4)ア) 2 / 3 (不登令別表 23、通達平 ⑥ 第三者の許可等を証する情報に代えて提供すべき第三者の代表者の資格を証する情 報 登記原因について第三者が許可等をしたことを証する情報を提供しなければならない 場合において(不登令7条1項5号ハ)、登記官が必要であると認めたときは、第三者 の代表者の資格を証する情報を提供させることができるものとされている(先例大 8.12.10-5154)。この場合に、第三者の会社法人等番号を提供したときは、その代表者 の資格を証する情報の提供に代えることができる(通達平 27.10.23-512(4)イ)。 なお、この大正の先例は参考程度でかまわない。通常は、承諾書+印鑑証明書を提供 する。 ⑦ その他(会社分割による権利の移転登記の登記原因証明情報) 会社分割による権利の移転の登記の申請をする場合の登記原因証明情報は、承継(設 立)会社の登記事項証明書および分割契約(計画)書を提供するものとされている(先 例平 18.3.29-755)。この場合に、会社法人等番号を提供したときは、登記事項証明書の 提供に代えることができる(通達平 27.10.23-512(4)ウ)。 《まとめ》 1 申請人が法人であって登記の申請情報と併せて資格証明情報を提供すべき場合、当該 法人が会社法人等番号を有する法人であるときは、資格証明情報の提供に代えて会社法 人等番号を提供しなければならない。 2 会社法人等番号を有する法人であっても、作成後1か月以内の登記事項証明書を提供 したときは会社法人等番号の提供を要しない。 ただし、会社法人等番号を有しない法人(健康保険組合など)については、従来どお り、作成後3か月以内の資格証明情報を提供する。 3 住所証明情報や住所変更証明情報などの添付情報として法人の登記事項証明書を提供 すべき場合において、会社法人等番号を提供したときは、会社法人等番号の提供をもっ て、住所証明情報等に代えることができる(通達平 27.10.23-512(2)~(4))。 4 以上より、1では会社法人等番号を提供することが原則とされているのに対し、3で は会社法人等番号を提供することが例外となっている。 3 / 3
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