世界銀行業務マニュアル(仮訳) OP 4.01 – 付属文書 B 1999 年 1 月 業務政策 カテゴリ A プロジェクトに必要な環境アセスメント報告書の内容 1. カテゴリーA プロジェクトの環境アセスメント(EA)報告書1では、プロジェクト にかかわる重大な環境問題に焦点を絞ります。報告書の範囲や詳細度は、当該プロジェ クトの潜在的な影響により決まります。世銀に提出される報告書は英語、フランス語、 もしくはスペイン語で、報告書の要旨は英語で作成されます。 2. EA 報告書には、以下の項目を含めなければならない(順不同)。 a. 要旨。重要な検討結果および推奨される行動について、簡潔に述べます。 b. 政策的・法的・行政的枠組み。EA を実施する政策的・法的・行政的枠組みにつ いて述べます。また、協調融資が行われる場合、当該ドナーの求める環境要件 を説明すると共に、借入国が合意している国際環境条約を明示します。 c. プロジェクトの説明。プロジェクトならびにその地理的、生態学的、社会的、 時間的背景について、計画用地外で必要となりうる投資(専用パイプライン、 アクセス道路、発電所、給水、住宅、原材料・製品保管施設など)も含め、簡 潔に記述します。また、住民移転計画または先住民族計画2の必要性の有無を示 します(下記(h)および(v)も参照)。通常、プロジェクトサイトおよびプロジェ クト影響地域を示した地図を含みます。 d. ベースラインデータ。調査地域の特性を評価し、プロジェクト開始前から予期 される変化を含めて、関連する物理的、生物学的、及び社会経済的条件を記述 1 カテゴリ A プロジェクトの EA 報告書は、通常は環境影響評価報告書であるが、必要に応じ て他の文書の構成要素も盛り込まれる。カテゴリ A 業務についての報告では本付属文書に 記載されている構成要素を用いるが、カテゴリ A のセクター別および地域別の EA では項目 間での異なる観点や重点要素が要求される。様々な EA 文書の焦点や構成要素に関する詳細 な手引きは、環境セクター評議会が提供している。 2 OP/BP 4.12「非自発的住民移転」および OP/BP 4.10「先住民族」を参照。 します。また、プロジェクト地域内であるが当該プロジェクトと直接関係のな い現在進行中および提案中の開発行為も考慮に入れます。ここで挙げられたデ ータは、プロジェクトの場所、設計、運営、または緩和策に関する決定に活用 される必要があります。データの正確さ、信頼性、情報源についても本節で示 します。 e. 環境影響。プロジェクトがもたらす可能性のある正の影響と負の影響を、可能 な限り定量的に予測し、評価します。緩和策、及び緩和不可能な負の環境影響 を全て特定します。環境を改善させる機会を検討します。入手可能なデータの 範囲と質、重要な情報の欠落、予測値に伴う不確実性を認知・推定すると共に、 更なる配慮を必要としない項目を特定します。 f. 代替案の分析3。提案されているプロジェクトの立地・技術・設計・運営に代わ る実行可能な代替案(「プロジェクトを実施しない」案を含む)を、それぞれ の代替案が持つ潜在的な環境影響、その影響の緩和可能性、初期投資及び経常 経費、地域状況への適合性、及び必要となる制度・研修・モニタリングの観点 から、系統的に比較します。それぞれの代替案について、環境影響を可能な限 り定量化し、可能であれば経済的価値を付します。特定のプロジェクト設計案 を選択する根拠を示し、望ましい排出レベルおよび汚染防止・削減策の正当性 を示します。 g. 環境管理計画(EMP)。緩和策、モニタリング及び制度面の強化を対象としま す。OP 4.01 付属文書 C の概要を参照。 h. 添付資料 3 (i) EA 報告書作成者(個人および組織)のリスト。 (ii) 参考文献(調査準備段階で使用された既出版・未出版の文書)。 あるセクターでの広範な開発選択肢(例えば予測される電力需要を満たす代替方法など)に おける環境面での意味は、最小費用計画またはセクター別 EA で分析するのが最善である。 地域についての広範な開発選択肢(例えば農村地域における生活水準向上のための代替戦略 など)の場合は、地域開発計画または地域別 EA を通じて取り組むのが最善である。通常 EIA は、立地、技術、設計、運営に関する詳細な代替案を含めて、任意のプロジェクト概念(例 えば地熱発電所、局所的エネルギー需要を満たすことを目的としたプロジェクトなど)内で の代替案の分析に最も適している。 (iii) 関係機関にて実施された会議、公開協議(影響を受ける人々や現地非政府組 織(NGO)の情報に基づいた見解を得るための協議など)の記録。記録では、 影響を受けるグループや現地 NGO の見解を得るために使用された協議以外の 手段(調査など)も明記する。 (iv) 本文中で言及もしくは要約されている関連データを示した表。 (v) 関連報告書(住民移転計画、先住民族計画など)のリスト。 本政策は世銀スタッフの使用に供するために作成されたものであり、必ずしも、対象事項への対応全てを 記載するものではありません。世銀スタッフは組織情報サービスセンター(IISC)、一般の方は情報セン ター(PIC)において追加コピーを入手することが可能です。
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