島根県・中国吉林省友好交流 20 周年記念企画展 島根県立図書館 2014 年 6 月展示 北京から飛行機で2時間、眼下に広大な大地が見えてきます。かつての「満州」、現在の中国吉林 省の大地です。 建州女真(けんしゅうじょしん)出身の太祖ヌルハチが女真を統一し後金国を建国します(1616 年)。 そしてその子2代太宗ホンタイジのとき、女真人を満州人、後金国を清国と改めました。満州という地 域名はこの時から広がったといわれています。現在の中国遼寧省、吉林省、黒竜江省の東北三省に あたる地域です。 以後清国は、中国最後の王朝として 300 年にわたり続きますが、19 世紀半ばの「太平天国の乱 (1851~1864)」などの内戦や、「アヘン戦争(1841~1842)」「日清戦争(1894~1895)」などの海 外勢力の侵出が続き、ついに孫文などによる「辛亥革命(1911~1912)」で滅亡することになります。 そして満州鉄道などを巡るロシアとの権益の争奪戦と反日闘争の激化によって、ついに日本は「満州 事変(1931)」と傀儡政権による「満州国建国(1932)」で満州を植民地化するに至ります。その時の 首都が現在の吉林省の省都・長春でした(当時の名称は「新京」)。 このように吉林省と日本とは、どろ沼のような戦争、満州国、満州移民といった重い歴史を抱えてで はありますが、深くかかわりあってきたことは事実です。 それ以外にも、目を古代に向ければ朝鮮半島から中国東北部に勢力を広げた高句麗との関係や、 石見銀山の銀が明の滅亡と清の勃興に関係していることなど、歴史的つながりは「意外」と深いのです。 現在の吉林省は中国の穀倉地帯の一つとして豊かな大地に大規模な農耕地が広がるほか、中国 では最初に自動車産業が生まれた土地として、工業の分野でも発展が続いています。また、北朝鮮と の国境地帯にある長白山、ラムサール条約に登録された向海湿原、世界的に有名な吉林市の霧氷 など観光資源にも事欠きません。 1994 年6月、島根県は吉林省と友好交流の覚書を交わしました。 以来、両県省は、文化、教育・学術、経済等、様々な分野において交流を重ね、友好の絆を深め てきました。 今年は島根県と吉林省が友好交流を始めてから 20 年という節目の年にあたります。これを記念し て、より多くの県民の皆さまに吉林省を知っていただくための写真展を、県内6会場にて開催することと しました。 県立図書館での今月の展示は、吉林省の自然、文化や、島根県と吉林省との友好交流の歩みを、 写真や関連図書等で紹介します。 また、展示期間中の6月28日(土)には、吉林在住経験があり、日中関係史がご専門の 別枝行夫 島根県立大学教授や、吉林省出身の島根県国際交流員による講座を開催します。 ぜひこの機会にご来館いただき、吉林省を少しでも身近に感じていただければ幸いです。 写真展の予定 ◎「吉林省の風物―吉林の風土と現在―」 ・県立図書館(松江市) 6月 6 日(金)~ 6 月 29 日(日) ・芸術文化センターグラントワ(益田市) 9 月頃予定 ◎「吉林省の歴史と文化ー集安の高句麗遺跡を中心にー」 ・古代出雲歴史博物館(出雲市) 8 月頃予定 ・世界遺産センター(大田市) 10 月頃予定 ◎「吉林省の自然ー長白山と向海湿原を中心に-」 ・三瓶自然館サヒメル(大田市) 6 月 11 日(水)~ ・宍道湖グリーンパーク(ゴビウス隣、出雲市) 9月 7月 6 日(日) 3 日(水)~10 月 20 日(月) ◎解 説 <長白山自然保護区> 長白山は吉林省と北朝鮮の間にある活火山。火口には海抜世界一と言われる火口湖『天池』がある ほか、周囲には滝、渓谷、川、原始林などが点在し、自然保護区としても観光地としても吉林省を代表 する地域である。 <向海湿原自然保護区> 吉林省の北西部にありラムサール条約にも登録されている。1000 平方キロメートル以上も広がる広大 な湿原には 100 種類以上の鳥が集まるほか、馬、牛、ヒツジなどの楽園となっている。 <高句麗遺跡群> 紀元前後に部族連合を結成し、三世紀から七世紀後半にかけて朝鮮半島北部から中国東北部にか けて強大な勢力を持った高句麗の都城と墳墓を中心とする遺跡群。吉林省集安市にあり、世界文化 遺産に登録されている。 長白山の頂上に広がる火山湖「天池」 世界文化遺産 高句麗遺跡群 吉林省マップ 中華人民共和国 向海湿原 内 蒙 古 自 治 区 黒龍江省 ロシア 遼寧省 長白山 高句麗遺跡群 北朝鮮
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