NJP メンバーの宝物 ―メンバーが大切にしている秘蔵の品、それにまつわる思い出を紹介するコーナー (写真右)ユース・オーケストラのフェスティヴァルの参加証と、一重 特製のプリン Vol.27 ロストロさんとの思い出、人との出会い ー 一重弘子(ヴァイオリン) TO HIROKO SAN, ANATAO TAIHEN SUKIDES.——ロストロさんのサインです。かつて演奏会の後に 一緒に撮った写真を大切に楽器ケースに入れておいたところ、それを見つけたロストロさんが喜 んで、写真の裏にこう書いてくださったのです。すらすらっと書かれたので、 「書き慣れていらっ しゃるんだな」と思いました(笑)。 音楽に対してとても厳しい方で、 “これでよい”というゴールはないのだから「絶対あきらめる な」と言われたのをよく覚えています。普段はとてもフレンドリーで温かい方でした。ロシア旅 行に行ったときも、楽器の持ち込み、出入国の立ち会いなど本当によくしていただきました。 もうひとつの思い出は、高校2年のとき、スコットランドのアヴァーディンで開かれたユース・ オーケストラの国際フェスティヴァルに参加したこと。選抜メンバーによるオーケストラにのる ことができ、アーロン・コープランド指揮のロイヤル・アルバートホールでのコンサー トの後、 コープランドのサインが入った参加証をいただきました(写真右)。 ジュニア・オーケストラは小学校5年の時入りました。友達がいたので、一緒にやりたいと思 ったことがきっかけです。高校生の時も音楽家になろうと思っていたわけではないのですが、こ のフェスティヴァルに参加したことで、私の人生が変わりました。初めて出会った世界中いろい ろな国からやってくる人たちと、言葉が通じなくても、同じ楽譜を見て、一緒に音楽を奏でるこ とができる。なんてすばらしいんだろう!と大感激したのです。 「音楽は万国共通なのだ」と身を もって体験したことで、音楽家になることを決意しました。 新日本フィルに入団して、なんと今年で 30 年! 好きな音楽を続けることができて、本当に幸 せです。すばらしい音楽家、大切な仲間たちとの出会いも私の宝物。疲れてきたなと思うと、プ リンを作ってみんなに食べてもらいます。 「元気が出る」と喜んでもらえるのが嬉しいです。大切 な仲間たちとこれからも楽しく演奏していきたいと思います。 (2010 年 3&4 月号)
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