創刊号 2015 大阪女子短期大学 FDニュースレター 1. はじめに CONTENTS 1 はじめに 2 FD 講演会 3 授業アンケート 4 授業公開の実施 本学のFD活動は、「学生による授業アンケート」の年 2 回実施、教員 相互の「授業公開」、及び研修会を主軸に展開しています。これらの活動 は、FD推進委員会規定に則った内容でもあり、授業アンケートおよび授 業公開から取り組まれ、それぞれ徐々に充実が図られつつ運用されていま す。しかし、これら企画への参加のみがFD活動であると認識され、イベ ント的に終始してしまっている部分も否めません。 本年度は、学生の学びに対する質的保証、特に教授法の向上改善を、前 年度に引き継ぎ目標と致しました。FD諸活動の有益な活用とともに、全 学的な意識向上に寄与することに主眼を置き運用方法を検討しています。 具体的には例えばPDCAサイクルの、C→A、すなわちフィードバック (改善)の充実を図っています。授業アンケートでは、結果と自由記述欄 を受けて非常勤講師を含めた教員からのメッセージを学生に返しこれを公 表するなど、教員と学生間のやりとりを介在させることを試行いたしまし た。また授業公開では、公開者と参観者間の意見交換を組みこむなど、活 動環境を拡大させています。 授業公開に非常勤講師に積極的に参加いただいたことは、関心の高さを 知るとともに、FD活動の必要性を委員会として改めて認識する機会とな りました。 このFDニュースが、FD活動の話題提供の機会となりますよう願って います。 2 大阪女子短期大学 FDニュースレター 2. FD講演会 教員研修会の実施 2015 年 9 月 16 日 「生き残りをかけた短期大学の在り方とその戦略」 新島学園短期大学学長 岩田雅明氏 本学が世に必要とされる高等教育機関として生き残るため、その戦略と 方針を改めて問いなおす機会として、大学経営コンサルタントでもある岩 田氏による標記講演会が教員研修の一環として開催されました。 少子化の影響を受け縮小化するマーケットの中で本学が生き残るには、 現状を直視し、かつ顧客、市場、競合、自学認識を的確に行うことが不可 欠であると強調されています。「必要とされる」には、本学学生の満足 度、すなわち顧客価値を本学がどの程度生み高めることができているの か、また将来を見越すことができるのかが重要であるということです。 そのためにはまず顧客を知り、ターゲットを定めニーズを見極めること が必要となり、そこに提供しなければならないサービスを確定させるとい う構図です。本学が、競合校に対して自学の強みを活かして他との差別化 を図り、存在意義をどの位置で示すことができるのかを問うこと、そのポ ジショニングを、如何に精度を高めて行うことができるのかが鍵となりま す。目指すゴールが決まると、現状からの行動計画の策定に向けて必要な 組織についての問いが生まれ、仕組みづくりに関わる課題が明確になって きます。この時、「教職員の認識」を一致させて「目指すビジョン」を如 何に共有して示せるかが、生き残り戦略の策定のもう1つの重要な鍵であ ると指摘されています。 短期大学の存在意義は、社会的位置づけが低下している現状が根底にあ ることは否定できないものの、短大卒に対する社会的評価は期待されてい る現状にあり、また必要な資格を 2 年間で学び取れる経済的理由に対する 時代的ニーズは十分にあるとされました。 学生に価値を与えるための組織は、働く人のためにあるという言葉も印 象に残ります。 大阪女子短期大学 FDニュースレター 3 3. 授業アンケート 平成27年度前期授業アンケートについて 1.実施期間 各科目前期(Ⅱ学期)最終授業にて実施 2.対象科目数 73科目 3.総履修者数 2,723名 4.回収率 83.8% 5.科目抽出方法 各教員担当授業科目の中から「最も受講者数の多い科目」を 1科目にて実施 授業アンケート分析結果 ・Q1~Q19 全項目の平均評点は、5 段階評価で 「4.4」となり、全体的に高い評価であった。 アンケート項目と質問内容 Q1 【授業】 開始・終了時間の適切さ ・演習・実験・実習に関する Q17・Q18・Q19 の項目の平均評点が「4.7」と全体平均より高 かった。これは、授業の中でも、「演習・実験・ 実習の授業に対する学生たちの満足度が高い」と いえるだろう。 Q2 【授業】 声(明瞭な発音・音量・速さ) ・ 全 体 平 均 評 点 よ り 低 か っ た 項 目 は 、 Q14 の 「3.7」であった。この結果から「学生の予習・ 復習に対しての意識が低い」ことがうかがえる。 今後の課題 ・学生自身の授業に対する積極的な学習姿勢を育ん でいくには、学内の委員会組織とも連携を取りな がら、学内全体で改善に取り組んでいく必要があ る。 ・また、学生が「授業全般をどのように感じている か」について、学科・専攻・コース別に捉えていく 視点も必要ではないかと思われる。 ・今後、学生一人ひとりの満足度を高めるために、 課題をより詳細に分析できるよう工夫し、授業ア ンケート調査をさらに活用していく必要がある。 の適切さ Q3 【授業】 テーマ・要点の整理 Q4 【授業】 学生の様子・理解度を考慮した進行 Q5 【授業】 質問・発言への対応 Q6 【授業】 私語等への注意・指導 Q8 【授業】 授業が進む速さの適切さ Q7 【授業】 予習・復習の促進 Q9 【授業】 教科書・資料・DVD 等の活用 Q10 【授業】 板書・スクリーンのわかりやすさ Q11 【授業】 事例の提示や具体的説明 Q12 【授業】 授業の満足度 Q13 【環境】 教室の広さ・明るさ・空調 Q14 【学生】 予習・復習に取り組んだ Q15 【学生】 私語等はせずに受講した Q16 【学生】 積極的に受講した Q17 【演習・実験・実習科目】 手順説明 Q18 【演習・実験・実習科目】 設備充実 Q19 【演習・実験・実習科目】 安全性配慮 大阪女子短期大学 FDニュースレター 4 4. 授業公開の実施 実施状況について 1.授業公開期間 2.公開条件 2.公開数 3.参観者数 平成27年11月30日(月)~12月11日(金) 【公開科目】 授業方法や教授法に関連する観点から、課題解消策の模索や新 たな試みなどの工夫をし、紹介または情報交換をしたい科目 あるいは改善策を探りたいと考える科目 【公開科目数】 ・専 任 教 員:1科目を必ず公開する ・非常勤講師:Ⅳ学期教養科目担当者とし、公開は任意 27名(26科目) 内訳:専任23名、非常勤4名(対象者6名) 参 観 者:17名(内:非常勤1名) 参観科目:14科目 未参観科目:12科目 本年度実施要領の検証 ①公開期間 公開期間は 2 週間と昨年度に比べて短く設定した。公開日、公開時間、ひいては参加率 などに時間割は多少なりとも影響するが、公開期間との関わりは不明である。参加者数 において一定の成果を得た。 ②対象科目設定 公開者の「課題をみてもらいたい」というモチベーションがこれまで以上に上がったと いう意見が寄せられた。参観者の意見を参考に改善することで、次年度以降の授業の質 の向上につなげる可能性を高めたと考える。 ③非常勤講師への拡大 非常勤講師に対してもFD活動への理解を高めてもらう機会とし、本年度は非常勤講師 の参加を募った。参加率も高く、また参観したいが出講日とあわず残念という意見も寄 せられ関心の高さが伺えた。参観シートのコメントからは有意義だったと伺える。希望 者の拡大は視野に入れていいだろうが、参観者の確保が必須であり、課題である。 ④参観告知方法 従来通りの告知方法だったが、もう少し工夫の必要がある。未参観科目数は 46%とや や高いので、いかに減らせるかが次年度以降の課題である。 ⑤参観記録シート 参観のポイントとして、多数の教員があげていたのが「指導方法の適切さ」「学生の習 熟度、理解度」だった。参観する側もその点に気を配りながら参観しているようなコメ ントとなっており、シートとしては機能していたのではないかと感じた。 今後に向けて 教員にとって、教授力向上のための大切な機会である が、公開期間に参観できず結果的に未参観科目も多かっ たことが残念な点である。 今後手続き方法の改善、参観者の確保等運用上の改善 に加えて、公開期間外にも参観する機会を設けるなど、 柔軟な対応も含めて検討していくことが望まれる。 発行日:平成 28 年 3 月 31 日 発行者:大阪女子短期大学 FD推進委員会
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