開 発の理 論と現 場をつなぐ 137 I n t e r n a t i o n a l D ev e l o p m e n t C e n t e r o f J a p a n 財団法人 国際開発センター 「閉ざされた内陸国(Land Locked Country) 」から 「インドシナをつなぐ国(Land Linked Country) 」へ ∼ラオス国全国物流網計画調査∼ この記事を皆さんに読んでいただく頃には終了していますが、 2009年12月9日から18日まで、ラオスでは「東南アジア競技大会」 げるチャンスにあります。 そのような変貌を遂げるために必要となるのが、脆弱な物流の制 が開催されます。東南アジア競技大会は1959年に第1回大会がバン 度面・インフラの改善です。同時に、ラオスの物流が将来どのよう コクで開催され、2年ごとに開催されています。今回のビエンチャ なものを目指すか、ブルー・プリントを示す必要もあります。JICA ン大会は25回目の開催で、25種目の競技が行われます。競技は、オ が現在実施している「ラオス国全国物流網計画調査」はこのような 物流の全国戦略を策定するものです。 リンピックでもおなじみの競技が行われま ラオスの国土の西側の多くの部分はタイと す(柔道や空手、テコンドーもあります) が、セパタクロー(東南アジアで人気の足 国境を接していますが、メコン川が通行の大 を使ったバレーボールのような競技)やペ きな障害となります。その障害を取り払うべ タンク(フランス発祥のラオスの人気スポ く、タイ=ラオス友好橋(1994年) 、パクセ ーツで、鉄の球を使ったカーリングのよう 橋(2 0 0 0 年)、タイ=ラオス第2友好橋 な競技。ラオスではペタッと呼ばれていま (2006年)などの橋梁が整備され、今後さら す)など、東南アジアらしい競技もありま に第3友好橋、第4友好橋が整備されること になっています。このような国際ルートの整 す。ラオスではこのような国際的なイベン トや国際会議の経験はまだあまりないの 東南アジア競技大会の宣伝ポスター、大会マスコットは 象のチャンパとチャンピ 備の結果、ラオスの人々が利用する消費財、 で、大会の開催が近づくにつれてビエンチ 耐久消費財、石油製品の輸入のための物流コ ャンの街もそわそわしてきたように感じます。 ストが下がり、また、ラオスで生産された銅、 現在、IDCJは、ラオスで財政管理能力強 縫製品、砂糖、コーヒーなどがこれらのルー 化、工業開発、物流、地方都市などの分野 トを通ってタイから海外に輸出されるように の協力に携わっています。その中で、今回 なってきています。 一方、増加する貨物の積み替え、保管、税 は物流への協力についてご紹介したいと思 関手続・検疫・入国検査等を行う物流施設の います。 整備は、ラオスではまだあまり進んでいませ ラオスは、インドシナの不安定な政治情 ん。ビエンチャン郊外にはタイ=ラオス友好 勢や、計画経済の国であったこと、人口の 少ない内陸国であることから発展から取り ビエンチャン郊外の物流施設、タイナンバーのトラック からの貨物の積み下ろし 橋が整備される前から使われている物流施設 がありますが、施設が手狭になり、また、貨 残されていました。しかし、1990年代まで にインドシナの政治情勢の安定化や市場経済の導入が行われ、徐々 物輸送のコンテナ化に十分に対応できない状態にあります。他の都 に経済発展のための環境が準備されてきました。さらに1990年代か 市では物流施設がまだ整備されていません。 「ラオス国全国物流網計 らはアセアンへの加盟、拡大メコン圏(GMS)プログラムの開始、 画調査」では、国際ルート上の都市における物流戦略の策定、その およびアセアンの経済統合の動きやGMSにおける経済回廊整備プロ 中でも重要な都市であるビエンチャン、サバナケット、パクセの3 グラムの中で、ラオスは「閉ざされた内陸国(Land Locked Country) 」 都市における物流施設整備のための調査も行っています。 から「インドシナをつなぐ国(Land Linked Country) 」へと変貌を遂 〒140-0001 東京都品川区東品川4丁目12番6号 日立ソフトタワーB 22階 TEL.03-6718-5931 FAX.03-6718-1651 h t t p : / / w w w. i d c j . o r. j p (IDCJ研究員 榊原洋司)
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