全般発作 部分発作

No.218 2016 年 1 月
丸子中央病院 薬局
「てんかん」は脳の発作が繰り返し起こる病気で、年齢、性別とは関係なく発病します。脳の
神経細胞に突然発生する激しい電気的な興奮が起こり、繰り返す発作が「てんかん発作」です。
原因は様々で、交通事故や頭部外傷により脳が傷ついた場合、高熱が出た場合、脳
血管の病気などで脳が傷ついた場合などがありますが、原因がわからないことも多
い病気です。
脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働いています。しかし発作が起こる時は興奮系の神経が
強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まったりすることで、激しい電気的乱れが生じます。
発作の症状は、脳の電気的な興奮が発生する場所によって様々です。
たとえば、いわゆる「けいれん」と呼ばれる手足をガクガクと一定の
リズムで曲げ延ばしする、手足が突っ張り体を硬くする、短時間の意
識消失が突然起こる、全身や手足が一瞬ピクッとするなど、その症状
は極めて多岐にわたります。
ただし、発作の症状は患者さんごとにほぼ一定で、同じ発作が繰り返し起こることがてんかん
の特徴です。また、発作を起こしている最中は脳の中の電流が乱れているため、脳
波を測定すると異常な波があらわれ、てんかんの診断に用いられます。
全般発作
意識消失が起こる。けいれんを起こし、手足が突っ張り体を硬くす
る。
単純部分発作
部分発作
体の一部にチクチクする感じやしびれが起こる。目に光や人が見え
る。音や声が聞こえる。吐き気がする。発熱や寒気がする。
複雑部分発作
意識消失が起こる。一点を見つめて動かなくなり手をもぞもぞと動
かしたり口をもぐもぐと動かしたりする。
抗てんかん薬による薬物治療が中心になります。抗てんかん薬は
脳の神経細胞の電気的な興奮を抑えたり、興奮が周囲に広がらない
ように抑えたりします。発作をコントロールして発作を完全に抑制
し、あるいは完全に抑制できなくても発作症状を軽くするために、
長期間にわたって規則正しく薬を飲むことが必要です。
多くの薬で皮膚症状や眠気、ふらつきなどの副作用が出ることがあります。
脳内の薬の量を直接測定することはできませんが、服用した薬が適切な量
であるか、副作用を起こさない量であるかを確認するため定期的に血中濃度
測定を行います。
作用
代表的な薬剤
主な副作用
電気的な興奮を抑える
アレビアチン
テグレトール
デパケン
エクセグラン
肝機能障害、食欲亢進、
脱毛、歯肉増殖など
興奮の広がりを抑える
セルシン
リボトリール
ガバペン
マイスタン
体重増加、複視、
刺激興奮など
過剰な興奮を抑え、
興奮の広がりを抑える
イーケプラ
攻撃性など
運転免許
てんかんが完治したと判断された場合には全く制限は受けません。薬を服用中の
患者さんでも、発作が過去2年以内に起こったことがない場合で、服薬を変更し
ない、怠薬しないなどの条件を満たせば運転免許取得ができます。主治医の診断
書または日本てんかん学会認定医による臨時適性検査を受ける必要があります。
ただし、運転を職業とする免許は取得できません。
文責
薬局 小林 峯村