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静岡市美術館
PRESS RELEASE 2014.1.15 版
巨匠の眼
川端康成と東山魁夷
私
は
た
だ
見
て
ゐ
る
。
知
識
も
理
屈
も
な
く
、
日本人初のノーベル文学賞受賞作家の川端康成(1899-1972)と戦後を代表する日本画家・
東山魁夷(1908-1999)
。それぞれの分野で美を追求したふたりは、1955(昭和 30)年、東山
が川端の本の装幀を手がけたことをきっかけに深い親交をむすびました。本展は、ふたりの交流
に焦点をあてながら、川端康成が収集した美術品と、その中に含まれる東山魁夷作品、そして東
山自身の作品やコレクションなど合わせて 200 点余りを紹介します。
「いいものに出会うと自分の命を拾った思いがある」――そう語る川端は美術品を命の糧とし、
古美術から同時代の美術まで自らの美意識に従って収集しました。コレクションしたものが後に
国宝に指定されるなど、その鑑識眼は非常に鋭いものでした。東山もまた画業のかたわらで川端
に触発されながら美術品を収集しました。
川端も東山も、肉親との死別や戦争を経験し、大きな喪失の中にあって芸術に永遠を求めまし
た。その切実な希求から生じた作品や収集品は、今日の私たちにも永遠を感じさせてくれるので
はないでしょうか。ふたりの巨匠たちの響きあう美の世界を感じていただけたら幸いです。
【プレスリリースのお問合せ】展覧会担当:山本・伊藤
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広報担当:青木・大庭
静岡市美術館
PRESS RELEASE 2014.1.15 版
巨匠の眼 川端康成と東山魁夷―知識も理屈もなく、私はただ見てゐる。
会期:2014 年 4 月 12 日(土)―6 月 1 日(日)
休館日:月曜日 ※ただし 5 月 5 日(月・祝)は開館し、5 月 7 日(水)に休館
開館時間:午前 10 時―午後 7 時(展示室入場は閉館 30 分前まで)
観 覧 料:一般 1100(900)円、大高生・70 歳以上 700(500)円、中学生以下無料
*( )内は前売りおよび 20 名以上の団体料金
*障害者手帳等をご持参の方および介助に必要な方は無料
*リピーター割引 2 回目以降、美術館窓口での半券提示で当日券 200 円引き
前売券:2 月 28 日(金)から 4 月 11 日(金)まで販売
静岡市美術館、チケットぴあ(P コード 766-051)、ローソンチケット(L コード 46076)、セブンチケット
(セブンコード 027-886)、谷島屋呉服町本店、谷島屋マークイズ静岡店、戸田書店静岡本店、戸田
書店城北店、江崎書店パルシェ店、MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店
主催:静岡市、静岡市美術館 指定管理者(公財)静岡市文化振興財団、公益財団法人川端康成記念会、
静岡朝日テレビ、日本経済新聞社
監修:川端香男里(公益財団法人川端康成記念会理事長)、平山三男(同評議員)
東山すみ、齋藤進(東山家秘書)
企画:水原園博(公益財団法人川端康成記念会東京事務所代表)
後援:静岡市教育委員会、静岡県教育委員会
本展の見どころ
1.川端康成に厳選された名品、国宝を含むコレクション約 70 点を一挙公開。
2.書斎の再現や装幀本、手紙などにより、美を命の糧とした文豪をしのびます。
3.川端・東山両家の東山魁夷作品約 70 点が一堂に。
4.これまであまり紹介されてこなかった東山魁夷のコレクションも公開。
5.ふたりの巨匠の言葉を添えて展示。言葉とともに味わう美の世界。
総出品点数 約 220 点
(川端コレクション約 70 点、東山コレクション約 30 点、川端の書・原稿・装幀本・川端宛書簡など約 50 点、
東山魁夷作品約 70 点)
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展覧会構成
第 1 章 文豪・川端康成
自分が死ねばほろびる美があるやうに思つた。私の生命は自分一人のものではない。日本の美の伝統のため
に生きやうと考へた。
川端康成「天授の子」1950(昭和 25)年
この章では、ノーベル賞受賞にまつわる品々や原稿、書、そして川端が愛玩した文房具などから文豪の面影をしのびます。
ノーベル文学賞
賞状
参考図版: 川端邸の書斎(撮影用に康成遺愛品を再構成)
川端康成《山上林下人》
1971(昭和 46)年頃
第 2 章 川端康成の眼
古美術、あるいは骨董というものは、最もいい時代の、最もいい作家の、最もいい作品を、これが私の与えられ
た教訓である。〔中略〕
いいものに出会ふと自分の命を拾つた思いがある。
川端康成「月下の門」1952(昭和 27 年)
う ら がみぎょくどう
と う う ん し せつ ず
いけのたいが
川端は自らの美の基準で美術品を収集しました。その鑑識眼の鋭さは、手に入れた浦上玉堂の《凍雲篩雪図》と池大雅
じゅうべんず
よ
さ ぶ そ ん
じ ゅ う ぎ ず
《十便図》、与謝蕪村《十宜図》がのちに国宝に指定されたほどでした。古美術のみならず、生前に交流のあった古賀春江や、
まだ無名だった 1950 年代の草間彌生の作品など時代の新しい傾向を示すものも含まれた幅の広いコレクションです。
1955(昭和 30)年、初めて自邸を訪れた東山魁夷に対し、川端は愛蔵の美術品を披露してもてなしました。以後二人は
交流を深め、川端のコレクションには少なからぬ東山作品が加わりました。
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①古美術
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※国宝の展示期間にご留意ください
国宝《十便十宜図》 1771(明和 8)年 ※会期中、頁替えがあります
左:池大雅「釣便」(5/8~5/11) 右:与謝蕪村「宜秋」(4/23~4/27)
上:埴輪 乙女頭部 古墳時代(5-6 世紀)
左:聖徳太子立像 鎌倉時代(13-14 世紀)
国宝《凍雲篩雪図》浦上玉堂
江戸時代(19世紀初)(5/17~6/1)
②近現代美術
自宅で家族とくつろ
ぐ川端。壁には
《煙火》が掛かる。
ロダンに見入る川端。
上下とも
林忠彦撮影
は な び
オーギュスト・ロダン《女の手》19-20 世紀
古賀春江《煙火》 1927(昭和 2)年
※本ページ掲載作品はすべて公益財団法人川端康成記念会所蔵。
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先生はいつも私の美を求める心の大きな支へとなり勵みになってゐて下さるのです。
川端康成宛東山魁夷書簡 1968(昭和 43)年
いずれやがて、今日よりもなほ、東山さんの
風景画は、日本の自然の美しい魂と見られ、
き ち ょ う
東山さんは日本民族古今に貴寵の風景画
家と仰がれるであらうと、私は信じる。
川端康成「東山魁夷私観」1971(昭和 46)年
東山魁夷《お濠端》 1959(昭和 35)年
川端康成と東山魁夷(川端邸にて)
第 3 章 川端文学の世界
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
川端康成『雪国』1937(昭和 12)年
日本で、そして世界で愛された川端の著述は、趣向を凝らした挿絵や装幀で彩られました。代表作『雪国』の装幀は静岡
市出身の染色家、芹沢銈介によるものです。このほかにも小林古径や安田靫彦、東山魁夷などの画家たちが川端文学の
挿絵や装幀を手がけました。また、川端文学は出版されるばかりでなく、たびたび映画化され、広く親しまれることとなりまし
た。
この章では、川端文学を彩る美しい装幀本やその原画のほか、友人の文学者たちが川端へ宛てた書簡もご紹介します。
筆やペンでしたためられた文字には作家たちの肉声がこもり、素顔をかいま見せてくれます。
①川端文学の挿絵と装幀
芹沢銈介
(箱)
安田靫彦
(表紙)
(箱)
(表紙)
(箱)
(表紙)
東山魁夷
※本ページ掲載作品はすべて
公益財団法人川端康成記念会
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所蔵。
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②文豪たちの書簡
登場する作家たち
菊池寛
谷崎潤一郎
太宰治
岡本かの子
横光利一
林芙美子
坂口安吾
三島由紀夫
川端康成宛て太宰治書簡(部分) 1936(昭和 11)年 芥川賞を自らに与えてほしいと懇願している。
瀬戸内寂聴
公益財団法人川端記念会蔵
第 4 章 東山魁夷の眼
あの風景が輝いて見えたのは、私に絵を描く望みも、生きる望みも無くなったからである。
東山魁夷『風景との対話』1967(昭和 42)年
東山魁夷は 1908(明治 41)年横浜に生まれました。東京美術学校で日本画を学び、1933(昭和 8)年にはドイツへ留学
しベルリン大学で美術史を学びますが、2 年後には父の病気のため留学期間半ばで帰国しました。その後は戦争による疎開、
応召、相次ぐ肉親の死など苦難の時代を迎えます。東山は、応召先の熊本で自爆の訓練に明け暮れ、自らの死を意識せ
ざるを得ない状況に置かれたとき、生命ある自然の美しさに開眼したといいます。そして戦後、簡潔で均整のとれた画面構
成を確立し、風景画家としての才能を開花させました。
東山が日本・東洋の古美術に親しむようになったのは戦後のことでした。急激な欧米文化の流入する中で、日本をつかもう
としたその姿勢は、川端康成とも重なります。
本章では、東山魁夷のコレクションと、画家が亡くなるまで手元に残していたスケッチ、そして川端康成にノーベル文学賞の
受賞祝として贈った《北山初雪》をはじめとする本画により、東山の求めた美の世界をさぐります。
①東山コレクション
楠部彌弌
さいえん
さん き ら い こ う ろ
《彩埏 山帰来香炉》
1964(昭和 39)年
《伊勢物語図色紙》
村上華岳《十一面観音菩薩図》
江戸時代(17世紀)
1914(大正 3)年頃
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②旅と制作
左:東山魁夷
《フレデリク城を望む》
1963(昭和 38)年頃
*デンマーク、ヒレレズ
のフレデリクスボー城を
描いたもの。
右:東山魁夷《晩鐘》
1971(昭和 46)年
*ドイツ、フライブルク
の大聖堂と旧市街。
③四季のうつろいを捉える
左:東山魁夷《京の春》(『古都』挿絵原画)
1973(昭和 48)年
右:東山魁夷《山峡》
1973(昭和 48)年
左:東山魁夷《秋富士》(特別出品)
1955(昭和 30)年 静岡県立美術館蔵
右:東山魁夷《北山初雪》
1968(昭和 43)年
公益財団法人川端康成記念会蔵
*川端のノーベル賞受賞祝いに東山が贈った
作品。
本ページ、特に記載のない作品は東山家蔵。
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関連事業
1月15日時点での情報のため、詳細未定の者も含まれま
※はがきでの申込は官製はがきに、希望の時間(①または
す。イベント名称などは変更になる場合がありますので、情
②)保護者の氏名・子どもとの続柄・住所・電話(緊急連絡
報を掲載する際はお問い合わせください。
先)・子どもの名前・子どもの人数・性別・年齢(月齢まで)
明記
(1)記念講演会①
日時:4 月 12 日(土)午後 2 時から(開場 1 時 30 分)
(6)Shizubi シネマアワー Vol.11
講師:川端香男里氏
【シズオカ×カンヌウィーク 2014 連動企画】
(公益財団法人川端康成記念会理事長)
開催時期:5 月、2 回程度
会場:静岡市美術館 多目的室
上映作品:
参加料:無料
「伊豆の踊子」(西川克己監督、1963 年 87 分)ほか
定員:70 名(応募多数の場合は抽選)
申込締切:3 月 28 日(金)必着
時間:午後 3 時から(開場 2 時 30 分)
(2)記念講演会②
会場:多目的室
日時:4 月 19 日(土)午後 2 時から(開場 1 時 30 分)
参加料:500 円
講師:尾崎正明氏
定員:70 名
(美術史家、前京都国立近代美術館館長)
チケット販売:4 月中旬から当館受付にて販売予定
会場:多目的室
(定員になり次第販売終了)
参加料:無料
定員:70 名(応募多数の場合は抽選)
企画協力:(株)サールナートホール
申込締切: 4 月 4 日(金)必着
(3)SPAC 俳優による朗読劇:川端文学へのいざない(仮)
日時:5 月 17 日(土) 会場:多目的室
[申込方法]
参加料:無料
当館 HP 申込フォーム(www.shizubi.jp)または往復はがき
定員:60 名(応募多数の場合は抽選)
申込締切:5 月 2 日(金)必着
にて[(5)は官製はがき]。1 件につき 4 名様まで。
(4)ギャラリートーク
※往復はがき記載事項
日時:4 月 26 日(土)、5 月 10 日(土)
①催事名、催事日 ②氏名(参加人数分) ③年齢 ④住所
いずれも午後 2 時から(30 分程度)
(郵便番号から) ⑤電話番号
参加料:無料(要観覧券)
返信面に宛先を記入の上、静岡市美術館まで。
申込不要。当日受付前にお集まりください。
※抽選の如何にかかわらず結果は通知いたします。
(5)しずびチビッこプログラム
小さな子どものためのアート体験プログラム。保護者の方は
展覧会をご覧ください。
日時:5 月 24 日(土)①午前 10 時 30 分~12 時 ②午後
2 時~3 時 30 分
対象:2 歳以上の未就学児 各 10 名
会場:当館ワークショップ室
参加料:子ども1人につき 500 円 ※保護者は要観覧券
申込締切:5 月 9 日(金)必着
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