VIPRIONにより高性能な基盤に複数の システムを集約、クラウドリソース

Case Study | ソフトバンクモバイル株式会社
「システム単位、サービス単位で投資するのではなく、
リソースベースで投資して徹底的に活用していくことを考えると、
VIPRION が持つ高キャパシティ、柔軟性、安定性は
とても心強いですね」
ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム本部 システム基盤統括部 システム基盤企画部 基盤企画課 池田 貫 氏
Overview
VIPRION により高性能な基盤に複数の
システムを集約、クラウドリソースとしての
活用を進めるソフトバンクモバイル
携帯電話のサービスを提供するためには、数多くのシステムが必要だ。携帯電話の契約
情報を登録するためのシステムもそのひとつで、販売店の店員が操作し、携帯電話の契
約者情報を参照、更新したり、新規契約者の情報を登録したりするために使われている。
業種
電気通信事業等
課題
・処理集中時のアクセスピークに耐えら
れるパフォーマンスの確保
・平常時の余剰リソースを有効活用でき
る柔軟なシステム基盤の構築
・運用の自動化によるリソースの流動的
な活用の促進
ソリューション
ソフトバンクモバイルではスマートフォンの人気機種販売開始による事務処理集中に伴
・VIPRION 2400
う高い負荷に耐え、平常時には余剰リソースを他システムとも共有できるパワフルで柔
・BIG-IP 8950S
軟なシステム基盤をめざし、契約事務を処理するシステムを刷新した。そこで採用され
たのは、複数のシステムを収容できる仮想化機能と高いパフォーマンスを持つ F5 ネッ
トワークスの VIPRION だ。
・複数のシステムを集約可能な VIPRION
でネットワークリソースもクラウド化
ビジネス上の課題
携帯電話にも人 気機種が登場し、人 気機種 発
こうした状況を抜本的に解決するために、ピー
売時には窓口業務はフル稼働を余儀なくされる。
ク時にあわせた パフォーマンスを持ちつつ平常
ソフトバンクモバイル の店 舗 業 務 支 援システム
時にもリソースを無駄にすることがない、仮想化
は、携帯電話事業を始めた 2006 年に構築され、
され たシステムの 再 構 築 を目指 すことになった
その後機能拡張と性能向上を重ねて使い続けら
と、池田氏は振り返る。
れていた。ソフトバンクモバイル株式会社 情報シ
ステム本部の池田 貫氏は従来のシステム運用状
況について次のように説明する。
「ソフトバンクグループは現在、ビジネスのグロー
バル展開を見据えたシステムリソースのクラウド
化を進めています。店
「構 築 当 初 は、そ れ ほ
舗 業 務 支 援 シ ス テム
ど大きな負荷を想定し
もこうした流れに沿っ
て い ま せ んでした が、
て再構築し、平常時に
ショップ 数や契約者数
余裕のあるシステムリ
が増え、人 気機種の発
ソースを他のシステム
売に合わせて一 斉に行
に 融 通 で きる よ う に
われる新規契約や機種
と 考 え、再 構 築 プ ロ
ジェクトがスタートし
変 更のタイミングで負
ソフトバンクモバイル株式会社
情報システム本部
システム基盤統括部
システム基盤企画部
基盤企画課
池田 貫 氏
メリット
・これまでのアクセスピークの数倍のト
ラフィックを処理可能な VIPRION を
採用
荷が想定以上に高まる
ように なり、近 年 は 拡
張により対応していま
した」
ソフトバンクモバイル株式会社
情報システム本部
システム基盤統括部
システム基盤企画部
基盤企画課 課長
中野 健司 氏
ました」
・API を 利 用した 運 用 の自 動 化により
サービス管理者が必要なリソースを必
要なときに使える環境の実現
Customer Profile
ソフトバンクモバイル株式会社
携帯電 話やタブレットデバイスなどの
通信端末と、そこで利用される通信サー
ビスを提 供するソフトバンクモバイル。
魅 力的な 端末のラインナップと高品位
な通信環境の提供を目指しつつ、グルー
プ全体のグローバル展開に歩調を合わ
せてサービスや社内システムのクラウド
化を進めている。
東京都港区東新橋 1-9-1
URL:http://www.softbankmobile.co.jp/
CASE STUDY
ソフトバンクモバイル株式会社
ソリューション
サ ーバ 単 位、サ ー ビ ス
従来のシステムは、個別のシステムごとにサー
「トラフィックの状況を詳細に把
握 できる VIPRION の 機 能を 活
かし、ダウンタイムゼロよりさら
に上、ダウンタイムマイナス 5 分
を目指しています」
バとネットワークを持つサイロ型で構築されてい
た。そのため、各システムにロードバランサ、SSL
アクセラレータが配置されており、総 数は 40 台
を超えていたという。
「これらを集約するために、従来のネットワークを仮
想化して収容できるシステムが必要でした。ピーク
ソフトバンクモバイル株式会社
情報システム本部 システム基盤統括部
システム基盤企画部 基盤企画課
佐々木 耕平 氏
時の負荷に耐えられる処理能力を持っているだけ
ではなく、従来利用していた認証などの機能も含め
て、独立したロードバランサとして動作してくれる
のは、全国の販売店に設置された 2 万台の端末か
ら同時にアクセスされても耐えられるパフォーマン
ス。これは従来の 10 倍以上のキャパシティだ。ネッ
トワーク面では、想定されるピークの 3 倍の処理能
力を持ち、さらに将来のスケールアウトが可能なこ
と。こうした要件に基づいていくつかの機器を比較
検討した結果、選ばれたのは VIPRION
2400 だっ
た。要件を十分満たすパフォーマンスを持ち、ルー
トドメイン機能を使って複数のルーティングテーブ
ルを保持できるため、従来のシステム構成を変える
ことなく集約できるのが大きなポイントとなった。
販売店の端末では SSL クライアント証明書を利用
して認証を行なっており、証明書の種類によって
アクセス可能なシステムを分けていた。しかし新
システムはひとつのネットワークに集約されたた
め、証明書の中身によりアクセス可能なリソースを
振り分けなければならなくなった。
「 VIPRION は SSL クライアント証明書 の OU(部
門名)情報まで参照できるので、iRules を使って
アクセス可能なリソースを制限しています。細かい
接続先をコントロールできるので、ネットワークを
集約しても以前と同じ構成、機能を維持できてい
ソフトバンクモバイル株式会社
情報システム本部
システム基盤統括部
システム基盤企画部
基盤企画課
佐々木 耕平 氏
発生を未然防止するための目標だと、ソフトバン
クモバイル株式会社 情報システム本部の佐々木
耕平氏は語る。
リソースの有効活用に向けて API を活用
2012 年秋の人気機種発売に伴う処理ピークも
また、池田氏は、SSL クライアント証明書を複
示した新システムだが、その分、平常時にはシステ
数取り扱えることも VIPRION のメリットだと語っ
た。販売店によっては、新旧の端末が混在した環
境で業務を行わなければならない。SSL クライア
ント証明書も複 数の種 類が混 在することになる
が、そうした混在環境に対応可能な機器は他にな
かったという。
でき、安定した業務環境を手に入れたソフトバン
クモバイルだが、今後発生し得る高負荷状況にお
いてもシステムの安定稼働を維持すべく、さらな
る工夫を凝らしている。
「以前のシステムではトータルのトラフィックしか把
握できませんでしたが、VIPRION の GUI 画面なら
ムリソースに余 力を残した状 態 で運 用されてい
る。現在は、この余剰リソースを有効活用していく
ための取り組みを進めている最中だ。
「当初の予定通り、システム基盤をクラウド化する
ことでシステムリソースの柔軟な割り当てを可能に
す。簡単な操作でネットワークリソースを割り当て
られるようになれば、サービス担当者だけで必要
なリソースを確保し、運用できるようになります」
自動 化へ の 対応 で 重 要な 役 割を果 たすの は、
VIPRION が持つ API だと中野氏は言う。システム
運用を簡略化できるため、ネットワークに深い知
識を持たない担当者でもミスなくリソースを割り当
てる操作が可能で、必要なリソースを必要なときに
活用できるようになると期待されている。
「自 動 化 を 実 現し、クラウド 化 を 進 めて い け ば、
VIPRION はシステムの仮想化、リソース共有を進
BIG-IP LTM(SSL)
WAN
余力を持ってこなすほどの高いパフォーマンスを
すべく、設定変更などの操作を自動化する予定で
データセンター
める上での重要なコンポーネントとなっていくで
しょう。より多くのシステムでそのパフォーマンス
を共有していくことで、投資対効果を高めたいと
VIPRION
2400
(負荷分散機能)
考えています。システム単位、サービス単位で投
A
system
B
system
C
system
クラウド化
Internet
目指しています」
ます」
各支社
一般ユーザ
ゼロよりさらに上、ダウ
ンタイムマイナス 5 分を
に兆候を発見して障害
新システムで十分なパフォーマンスを得ることが
SSL クライアント証明書の柔軟な扱いに対応
ることで、ダウンタイム
は、障 害 発 生 の 5 分 前
運用状況の可視化でダウンタイム -5 分を目指す
メリット
これらの 数値を監 視す
ス 5 分 にするというの
ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム本
要件について説明してくれた。新システムに求めた
現 在 の 新 規コネクショ
ン数まで把握できます。
ダウンタイムをマイナ
機器を探しました」
部の中野 健司氏はさらに、パフォーマンス面での
単位のコネクションや、
・・・
資するのではなく、リソースベースで投資して徹底
的に活用していくことを考えると、VIPRION が持
つ高キャパシティ、柔軟性、安定性はとても心強
いですね」
池田氏は今後 の期待を込めて、VIPRION につ
いて最後にそう評してくれた。
2013 年 5 月 A