建築費の「地域差地図」の作成調査

建築費の「地域差地図」の作成調査(平成 19 年度)
主席研究員
岩松
準
1.研究の目的
従来の日本の価格資料では、建築費の地域差指数は 10 都市程度の区分止まりとなっている。こ
の理由は、それが資材費や労務費や工事費など、複数のアイテムのコストを一定の手続きで集計
した指数であって、これらのアイテムが最終的にせいぜいその程度の区分でしか集計できないた
めである。しかし、資材アイテムの調査の中でも最も地域区分が詳細な生コンクリートでは、約
300 の区分での価格情報がある。また、労務費調査の代表である設計労務単価(51 職種)の公表
は 47 都道府県別である。一方では、米国の Means 社の発行する資料など、外国のコストブック
の中には数百地点の建築費指数を算出している例などもある。
このような価格アイテムの集合体としての建築費の地域差指数は、上述のようにせいぜい 10
程度の区分に止まっているのが現状であるが、それをもっと細かくできないかを検討したい。た
とえば、金本・徳岡(2001)1 )は、国勢調査データを元にしたいくつかの設定基準を用いて、全
国を 104~150 程度の都市圏に区分している。また、島田(1998) 2 )は「100-300 地点程度の建
築費地域差が算定できないか」と提言している。本研究ではこの程度の区分を念頭におき、建築
費の地域差について検討していきたい。
この成果は、最終的には「地域差地図」として表現されうるであろう。そこに至るまでは、解
決すべき問題も多いと思われる。本研究は自主研究であり、4 年ほどの期間をかけて順次研究を
進めることになっているが、当面は建築コストの地域差の実情が得られる統計資料を吟味し、地
域差を生じる理由などについてのこれまでの研究成果をフォローするなど、基礎的な検討を行う
こととする。
2.研究の全体像と今年度の取り組み内容
最終的な成果に至るまで、本研究が進むべきと思われる方向を示す。今年度は(1)の辺りが
中心である。
(1)利用可能なコストデータの調査
・建築コスト関係文献一覧の作成および収集
・建築コストアイテムの調査ポイント(地点)の調査
(2)作成指数の抽出方法に関する検討
・文献調査、地図表現のレベルの設定、アイテムの集計方法、推計手法の検討、地域補完方
法など作図法の検討、ほか
(3)地域差指数の表現方法に関する検討及び試作
・表現方法の検討、地図ソフトウェアの導入、1時点における地図の試作、ほか
(4)定常的な調査方法に関する検討
・定期的な作成を行うための検討、地域差地図の効果等についてのアンケート、ほか
1
2
金本良嗣・徳岡一幸「日本の都市圏設定基準」CSIS Discussion Paper No.37, 2001.6 等
島田良一「建築費の地域差地図」建築コスト研究 No.21, 1998 Spring, pp.3-5, 1998.4
- 17 -
具体的に本年度は、取りかかりの段階として、主要な資材と労務費についての政府統計(工業
統計、日銀物価指数、公共工事労務費調査結果)、物価調査機関のデータ等を利用した分析結果か
ら、個々のアイテムの価格の地域差にかかわる基本的な特性等を抽出した。また、一部について
は時系列的な推移も加味して検討を行った。
3.建築コストの「地域差」についての総論的考察
(1)知りたい「地域差」の意味
本来、価格の地域差を捉えるためには、価格決定におけるさまざまな個別差(取引規模など
取引条件の違い、物理的な運搬距離による違い、調達時期のズレによる違い、主体間の価格交
渉力の違い、ほか)とは区別が必要である。ここでは同一地域での個別差は無視して、一見同
一であると観念されるカテゴリーの建築物のコストが地域間でどう違うのかについて考えたい。
つまり、やや抽象的だが地域ごとの「建築コストの水準」とでも呼ぶべきものがあるといえる
のだろうか。
この前提は非常に重要である。なぜなら、国際比較においても同じことがいえるが、建築物
は同一のものはないと考えるのが一般的なためである。逆に、同一物の比較ですむのであれば、
地域差の議論は至ってたやすい。たとえばマクドナルド社の商品ビックマックは世界で同じ品
質のものが売られていると考えられるから、その価格比較は容易に成り立つ。逆にその価格差
は各国通貨の水準比較の指標などとしても用いられるのである 3 )。
しかし一方で、地域差をこのように「建築コストの水準」と定義すると、その実態を把握す
るのは思いのほか難しいことに気づく。たとえ建物一棟レベルやそれを構成する資材や労務な
どの原価要素のレベルにおける具体的なコストの観測が可能であったとしても、ばらつくはず
のそれらの価格傾向をどうみるか、どう集計するかは一筋縄ではいかない。実用に耐えるよう
な、納得いく結論が得られるためには、より多くの価格データの収集と、より慎重な集計作業
が必要になると思われる。
(2)地域概念について
このような趣旨で地域差を捉えて計算した資料はあることはある。財団法人建設物価調査会
の建設物価指数月報に掲載されている「都市間格差指数」や、国土交通省の新営予算単価にお
ける「地域別工事費指数」は代表的な公式の建築コストの地域差指数 4 )である。ところがこれ
らは地域の代表性ということでは若干の問題を抱えている。たとえば前者の「都市間格差指数」
は、東京を基準とした 9 都市の価格差を捉えたものに過ぎない。これによるとたとえば青森の
建築費の水準は仙台の値で代表されてしまうということが生じるが、これが正しい地域の捉え
方かというと素直には首肯できないであろう。この点は国土交通省の指数も同様 5 )である。
英国の経済雑誌 The Economist のビッグマック指数(Big Mac Index, BigMacCurrency Index)が有名である。
建築工事費の地域差を捉えて表現する方法としては次の3つが考えられる。
(1)指数を時系列で捉える場合
a. 指数の基準をある地域(たとえば全国平均または東京など)に固定してしまうもの・・・
「地域指数」とよぶ
b. 指数の基準を地域毎に固定するもの・・・「地域別指数」とよぶ
(2)ある年度における地域間の差を表すもの・・・「地域差指数」とよぶ
そして、この3つには次の関係が成立している。
(地域指数)=(基準年までの地域差指数)×(地域別指数)
5 国土交通省の地域差指数(新営予算単価の付属資料で、予算作成時に利用されるもので、
「地域別工事費指数」
と呼ばれている)は 9 都市よりも多く、一般 56、離島地域 16、積雪地域 6、沿岸地域 1 などの区別で指数が計算
3
4
- 18 -
このように、地域差をテーマとするにあたって、その「地域」が指し示す概念(地域概念)
は重要である。研究の本来の目的からすれば、行政区画とは無縁の地域概念 6 )がふさわしいと
も考えられるが、とくに今年度の分析では入手可能な統計データから推察できる資材や労務に
関する単価の地域差を議論するから、統計が表章する行政区画を念頭に置かざるを得ない。
(3)地域差が生じる理由
さて、以上のように、建築コストの地域差について、信憑性を確保しつつ客観的に捉えるこ
とは難しいが、地域差が生じる理由が何かについては、ある程度自明と思われる。
建築物はその土地に固定されるため、限られた狭い建設市場において工事価格が成立してい
る。基本的にそれぞれの地域で、資材や労務が調達され、その価格水準が最終的な建築コスト
に反映する。とくに建築物を構成する主な資材であるコンクリート、木材、鉄などは、その産
地が建設工事現場とどれほど距離が離れているかにより価格は一定程度の巾で変動する(標準
的な運搬費がかかる)。労務費についても同様である。このように考えたとき、水準としての建
築コストの地域差が生じる具体的理由をもう少し整理して考えてみよう。
1)移動費用の存在
建築物は土地に固着するものであり、建設資材は金額当たりの重量物が多いから、基本
的にその資材は建設現場の近くから調達するものが多くなる。また、必要な労務も当該地
域やその周辺から調達するのが基本であり、無理をしてでも遠方から確保することはあっ
ても、その距離には一定の限界がある。しかし、資材にしても労務にしても、建設現場の
近くで全ては調達できない。その場合は移動費用が発生する。これらは個々の現場の条件
であるが、建築現場の集合体としての地域を考えてみた場合でも、これらの差は埋没しな
い。たとえば、高炉製鉄所が存在しない沖縄では鉄骨は船舶で運んでくるものであって、
他地域より鉄骨という資材の調達コストは嵩むのが常識である。資材生産地と建設現場と
の距離関係は資材の種類によりさまざまで、とくに産地が限定される資材の場合は、その
移動費用が余計にかかる。このような移動費用の存在が、地域により価格水準の差を生む
原因の一つである。
2)賃金格差等の存在
公共工事設計労務費調査等のデータでも明らかであるが、同一職種でも賃金格差は存在
している。これには地域による経済格差、労働者分布の密度などが関係している。これが
労務費の差となって、建築費の価格差を生む原因の一つになっている。また、建築の生産
方式の違いなどを原因とする生産性の違いも地域によって存在する。これらも価格差の水
されている。モデルにアイテムの価格変化を考慮して地域差を算出するという考え方は財団法人建設物価調査会
のものと同じで、東京モデルを基本とし、寒冷地など仕様変更を加味しているなど工夫されている点はあるが、
両者とも積み上げの理屈であって、本研究が目指している地域全体の「建築コストの水準」を正確に捉えている
かというと、疑問が残る。
6 一般に地理学でいうところの地域概念は、実質地域(substantive area)と形式地域(formal area)に分けら
れる。後者の「形式地域」は統計調査区や行政区画など形式的に分けられた地域概念である。また、前者の「実
質地域」は実質的な地域の範囲として意味のある広がりと考えられるものであり、同質地域(homogeneous area)
と結節地域(nodal area, functional area, integrated area)に分けられる。
「同質地域」は地域を構成する諸要素
のなかで特定の要素に着目し、その要素について共通の特徴をもつ、すなわち、同質的である空間の集合として
定義される。また、
「結節地域」は、地域を構成する空間の相互依存関係に着目して定義される。地域には中心が
あり、それと機能面で一定の相互関係をもつ周辺の空間があり、それらが一つのまとまった地域を形成する。と
ころで、
「価格の地域差」については、建築コストについての実質地域に関する多面的な議論が期待されるところ
である。
- 19 -
準の違いを生む原因といえる。
3)建設物の内容・設計の差異
同じ用途・目的で建設される建物でも、地域によりつくられる建物の内容は異なる。た
とえば寒冷地では断熱のための仕様からして大きく異なる。設計に於ける地震力の違いな
ども差異の原因となる。また、都市と田舎では当然グレードが異なり、設計の内容が異な
る建築物が建つことになる。このように、建築コストが高い建物が多い地域とそうでない
地域とでは、全体としてみた場合、建設コストの水準に差が生じることになる。
4.建設物価調査機関における「地域」の表章法
(1)主要アイテムの価格調査ポイント数(
「建設物価」の調査)
価格の地域差を捉える場合に、どれだけの数の地域で価格情報が得られるのかは、検討すべ
きことの一つである。建築物の価格を構成する資材価格、労務単価、施工単価について「建設
物価」に掲載されている価格情報の調査ポイントがどの程度あるかを、主な価格情報について
調べてみた(表 1)。参考のために示した表 2 にあるように、財団法人建設物価調査会が発行す
る物価資料のアイテム数は 83,100 ほどあるから、その一部を調べたにすぎないが、最も多い調
査ポイントは生コンの 313 であり、続いて異形棒鋼の 52 ポイントである。それ以下は 47 都道
府県別(あるいは主要 47 都市別)に調べたものとして、労務単価(設計労務単価)
、市場単価
の一部(普通型枠、鉄筋工事)があるに過ぎず、ほとんどは多いもので 7~9 都市別の価格情報
となっており、さらに、アイテム数が最も多いのは全国一本のみの情報しかないものである。
表 1 「建設物価」における主な価格情報の調査ポイント数調べ
種
別
項 目
異形鉄筋
資
材
生コン
労務単価
型枠大工
普通型枠
鉄筋市場単価
C 打ち手間
市場単価
屋根アスファルト防水
壁せっこうボード
電線管
ダクト
(注)「建設物価」2007 年 5 月号より作成。 仕様等
SD295A16φ③
強度 21 SL18
設計労務単価
(材工運搬共)
(加工組立、運搬)
(ポンプ圧送共)
(A-2)
(t12.5)
隠蔽埋込 16φ
調査地点数
52
313
47
47
47
10
9
9
9
9
表 2 (参考)財団法人建設物価調査会の物価資料の収録品目数
編
共通資材編※
土木資材編
建築資材編
電気設備編
機械設備編
工事費編
建築コスト情報編
土木コスト情報編
収録内容
鉄鋼、セメント、生コン、骨材等
道路舗装材、上下水道材等
防水材、組積材、屋根材等
ケーブル、電線、配線材料等
配管材、バルブ、衛生機器等
土木、建築、電気、機械各工事費
建築、電気、機械各工事費、建築市場単価
標準施工規模、小規模施工S1・S2
単純合計:
(注)財団法人建設物価調査会ホームページより。 - 20 -
収録品目数
約 8,500
約 17,000
約 6,800
約 18,000
約 12,000
約 9,400
約 9,000
約 2,400
約 83,100
表 3 物調「都市選択順位」における各都市の代表都市数
●13 都市
1
札幌
1
盛岡
1
仙台
1
東京
1
新潟
1
金沢
1
名古屋
1
大阪
1
広島
1
高松
1
福岡
1
熊本
1
那覇
1
●47 主要都市
函館
1
旭川
1
室蘭
1
釧路
1
帯広
1
青森
1
秋田
1
山形
1
福島
1
水戸
1
宇都宮
1
前橋
1
高崎
1
さいたま
1
千葉
1
横浜
1
富山
1
福井
1
甲府
1
長野
1
岐阜
1
静岡
1
浜松
1
津
1
四日市
1
大津
1
京都
1
福知山
1
神戸
1
姫路
1
奈良
1
和歌山
1
鳥取
1
松江
1
岡山
1
下関
1
山口
1
周南
1
徳島
1
松山
1
高知
1
北九州
1
佐賀
1
長崎
1
大分
1
宮崎
1
鹿児島
1
2
20
8
9
0
11
3
8
14
9
5
15
7
3
0
0
0
0
0
5
5
3
4
4
8
7
1
3
9
9
4
5
3
9
9
4
0
7
1
4
6
0
4
2
0
6
2
3
4
0
5
1
4
4
3
0
3
6
6
7
6
都市選択順位
3
4
5
0
0
0
10
0
0
15
10
0
0
1
0
7
0
0
0
0
0
13
6
0
60
56
5
7
5
0
11
0
0
35
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
最終
0
0
0
317
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計
代表都
市数計
21
19
35
319
19
4
28
136
22
17
51
8
4
1
1
1
1
1
6
6
4
5
5
9
8
8
4
10
10
5
6
4
10
10
5
1
8
8
5
7
1
8
3
1
7
3
4
5
1
6
7
5
5
4
1
4
7
7
8
7
243
(注)財団法人建設物価調査会資料より作成。 - 21 -
(2)都市選択順位について
財団法人建設物価調査会では、ある
場所での価格情報を知る際に、
「都市選
択順位」という捉え方をしている。
最も細かい単位では全国を 318 の都
市として捉えており、具体的な都市名
が記されている。その都市名での直接
の価格情報がない場合には、第 2 位の
都市名が記されており、それでもない
場合は第 3 位、
・・・となり、最終的に
は全国を代表する値として東京という
都市が指定されている。
財団法人建設物価調査会では、上位
の都市をブロックを代表する13 都市と、
その下位に位置づけられる47 主要都市
を設定している。左表は、これら各都
市が代表している詳細なレベルの都市
の数を集計したものである。
(参考図)都市選択順位とは
(注)財団法人建設物価調査会ホームページより引
用。東北地方の例である。 表4
国の統計調査における地域区分数及び物価版における調査対象都市区分数
統計に用いる標準
財団法人建設物価調査会「単価データ」における都市数
地域コードの数
都市数
47 主要
13 都市
備 考
(平成 19 年 4 月
都市
13 都市名及び 47 主要都市名
都道府県名
1 日現在)
札幌
函館, 旭川, 室蘭, 釧路, 帯広
01 北海道
211
21
5
1
青森
02 青森県
49
6
1
0
盛岡
03 岩手県
47
7
0
1
仙台
04 宮城県
52
7
0
1
秋田
05 秋田県
32
6
1
0
山形
06 山形県
44
4
1
0
福島
07 福島県
74
5
1
0
水戸
08 茨城県
52
5
1
0
宇都宮
09 栃木県
38
9
1
0
前橋, 高崎,
10 群馬県
47
8
2
0
さいたま
11 埼玉県
90
4
1
0
千葉
12 千葉県
69
10
1
0
東京(下記区を除く 12 区)
13 東京都
69
17
0
1
横浜
14 神奈川県
65
10
1
0
新潟
15 新潟県
54
10
0
1
富山
16 富山県
18
5
1
0
金沢
17 石川県
26
4
0
1
福井
18 福井県
25
6
1
0
甲府
19 山梨県
34
4
1
0
長野
20 長野県
96
10
1
0
岐阜
21 岐阜県
52
10
1
0
静岡, 浜松,
22 静岡県
62
6
2
0
名古屋
23 愛知県
90
6
0
1
津, 四日市,
24 三重県
37
8
2
0
大津
25 滋賀県
32
5
1
0
京都, 福知山,
26 京都府
44
7
2
0
大阪
27 大阪府
80
3
0
1
神戸, 姫路,
28 兵庫県
59
9
2
0
奈良
29 奈良県
47
1
1
0
和歌山
30 和歌山県
37
7
1
0
鳥取
31 鳥取県
25
3
1
0
松江
32 島根県
29
4
1
0
岡山
33 岡山県
38
5
1
0
広島
34 広島県
37
7
0
1
下関, 山口, 周南
35 山口県
28
8
3
0
徳島
36 徳島県
33
5
1
0
高松
37 香川県
23
3
0
1
松山
38 愛媛県
28
5
1
0
高知
39 高知県
42
4
1
0
福岡
北九州
40 福岡県
94
9
1
1
佐賀
41 佐賀県
31
4
1
0
長崎
42 長崎県
28
7
1
0
熊本
43 熊本県
59
8
0
1
大分
44 大分県
22
7
1
0
宮崎
45 宮崎県
39
8
1
0
鹿児島
46 鹿児島県
61
7
1
0
那覇
47 沖縄県
47
4
0
1
全国
2,396
318
47
13
(注) 総務省資料及び財団法人建設物価調査会資料より作成。 表 4 は都道府県別に、総務省が設定する「統計に用いる標準地域コード」の数と財団
法人建設物価調査会の「都市選択順位」における都市数とを比較したものである。都道
府県別の違いもわかる。政府統計では全国は最大 2000 ほどの地域に分けているが、物
価版では最大 318 の区分で地域を設定している。いいかえると、物価版では全国を最大
318 の“同質地域”として価格調査結果を表章できることになっている。
- 22 -
5.主要な資材および労務関係の統計データが示す特性
(1)利用する統計データ
ここでは予備的検討段階を含めて以下の利用可能な統計データを用いた。表 5 は資材
関係(①、②)、表 6 は労務関係(③~⑥)である。このうち①、③は何れもコスト研
が両調査会の許可を得てインプットしたいわゆる物価版のデータであり、アイテム数や
地点数はそれぞれ一定程度に限られるが、1970 年からの長期時系列がフォローできる利
点がある。データの詳細はコスト研ホームページ 7 ) にも説明がある。
表5
No
①
②
資材関係データ一覧
データ名
内容
コスト研資材単 物価版掲載データ
価データ
のインプット
工業統計データ 製造出荷段階の都
道府県別出荷額と
数量(一部)
年
1970~2007
年
地点数
主要
9 都市
1995~2005 最大 47 都道
年
府県
アイテム数
19
98
備考
物調・経調の主要資材(建築、
設備)データで半期毎
単価計算可能(数量と出荷額の
両者がある)な建築関係資材の
み
表6
No
③
労務関係データ一覧
データ名
内容
コスト研労務単 物価版掲載データ
価データ
のインプット
④
公共工事設計労 公共事業労務費調
務単価データ
査
⑤
屋賃県別データ 厚生労働省の屋外
労働者職種別賃金
調査
国勢調査結果デ H12 年の国勢調査
ータ
抽出詳細集計結果
⑥
年
地点数
アイテム数
1970~2007
年
主要
9 都市
11
2000~2007
全国及び 47
年
50
都道府県別
(H12~19)
2000~2004
30
年
47 都道府県
(計含む)
(H12~16)
2000 年(H
12)のみ
47 都道府県
備考
物調・経調別の半期ごとのデー
タ。1997 年以降は④データと同
じ
2006 年分より 51 職種別となっ
た。本分析では「交通誘導員 B」
を除外。
平均実労働日、実労働時間数、
推計労働者数のデータもある
61 職業中分類別の人数がわか
(61 職種別
るが、労務賃金等の情報は一切
の人数)
無い(補足のためのデータ)
(2)価格の地域差の捉え方について
本分析では価格の地域差を把握するためにいくつかの指標を利用している。
1)東京価格=1 とした場合の価格指数
ある時点での東京価格=1.0 とした場合、同時点の 9 都市の当該価格の比率を計算
して、それを(東京地区との)「地域差」と称することとする。この値は当該都市の
当該資材単価や労務単価について 1 意に決まる値であり、地域や時間を超えて横並び
の比較ができる数値である。
2)全国平均価格=1 とした場合の価格指数
47 都道府県のデータが得られる場合、その単純平均を 1 とした場合の各都道府県の
価格指数を考えることができる。これも(1)と同様に地域や時間を超えた比較が可
能な数値である。
7
コスト研ホームページの「建築市場単価等の経年変化資料の公表について」
http://www.ribc.or.jp/tankashiryomain.htmを参照。
- 23 -
3)変動係数(Coefficient of variation)
「地域差」が全体として生じているか否かを判断する指標として、ひとまとまりの
データについての変動係数を計算すればよい。変動係数=標準偏差÷平均値であり、
無名数であって、異なる単位であっても相対的な散らばりの大きさ、すなわち地域差
の量についての比較が可能である。この値が大きいほど地域差が大きく、逆は小さい
という意味になる。
4)特化係数(Specialization coefficient)
ある地理的エリア(地点)の全体からの乖離の程度を知るのに1)や2)の指数を
利用することもできるが、特化係数による表現が可能である。特化係数はもともと国
際貿易での比較優位を示す指標である 8 ) が、本論文では単価差ではなく、労働者人数
の分布の程度を議論する際に用いた。
以上、1)~4)の指標を分析対象となる統計に応じて使い分けている。
(3)資材単価の地域差
1)資材の価格差の存在
一般に資材価格は市況等を反映して変動するものであるが、近年の鉄鋼関係など変
動の激しい資材、あまり変動しない資材がある(図1)。同様に、もともと地域差があ
るもの、あまり地域差がないものもある。また、この図は全国平均の変動を示すもの
であって、ほんらい価格変動は地域により微妙に異なっている。
400
製材 Timber
合板 Plywood
普通鋼小棒
建設用木製品 Wooden products for construction
木製家具・装備品 Wooden furniture and fixtures
350
板ガラス Sheet glass
安全ガラス・複層ガラス Safety glass and multilayered glass
セメント Cement
300
セメント製品 Cement products
普通鋼形鋼
生コンクリート Ready mixed concrete
建設用陶磁器 Pottery, china and earthenware for construction
その他の建設用土石製品 Other structural clay products
250
鋼材 Steel products
普通鋼形鋼 Section steel (ordinary steel)
出典:
日本銀行「企業物価指数」の産出物価指
数(IOPI)。うち、「製造業総合部門内訳
小分類指数」の中から建設関連と思われ
る主な資材の価格指数を表示。
(注)指数は2000年基準の固定基準ラス
パイレス指数であり、2000年平均=100と
したものである。
200
150
電線・ケーブル
普通鋼鋼板 Steel plate (ordinary steel)
普通鋼鋼管
普通鋼鋼帯 Steel strip (ordinary steel)
普通鋼小棒 Steel bar (ordinary steel)
その他の普通鋼熱間圧延鋼材 Other hot rolled steel (ordinary steel)
特殊鋼熱間圧延鋼材 Hot rolled steel (special steel)
普通鋼鋼管 Steel pipes and tubes (ordinary steel)
特殊鋼鋼管 Steel pipes and tubes (special steel)
鉄鋼関連
の資材
合板
普通鋼冷間仕上鋼材 Cold-finished steel (ordinary steel)
特殊鋼冷間仕上鋼材 Cold-finished steel (special steel)
100
めっき鋼材 Coated steel
電線・ケーブル Electric wires and cables
建築用金属製品 Metal products for architecture
50
図1
2008.07
2008.01
2007.07
2007.01
2006.07
2006.01
2005.07
2005.01
2004.07
2004.01
2003.07
2003.01
2002.07
2002.01
2001.07
2001.01
2000.07
2000.01
配管工事付属品 Plumber's supplies
建設・鉱山機械 Machinery and equipment for construction and mining
電気照明器具 Electric lighting fixtures and apparatus
畳・わら加工品 "Tatami" (straw matting) and straw products
主要な建設資材の価格変動状況(日銀作成の産出物価指数:2000 年平均=100)
(注 ) 近年はとくに鉄鋼、木材関連の資材が急激に値上がりしている。なお、国内の建設業が直接購入している 資
材は、図中左上の「国内・中間財」に当たる部分であるが、ここで示した価格指数は全体を含んでいる。 8
総務庁統計研修所監修『統計小事典』による。特化係数は「たとえば世界貿易に占めるある商品の比
率が 10%であるときに、ある国の同一商品の輸出に占める割合が 20%であれば、特化係数は 2.0 と計算
され、この国は、この商品に比較優位があるとされる」ものである。
- 24 -
図 2 は、主要な建設資材 19 アイテムについて、東京地区の 35 年間の価格変動の大
きさ(対前年同月比)を横並びで比較したものである。データは表 5 の①で、財団法
人建設物価調査会の物価資料よりとった。資材により価格変動の幅が異なることがわ
かる。鉄筋、H形鋼、型枠合板、建具、電線において顕著な価格変動がある 9 )。
50.0
(
対
前
年 40.0
同
月 30.0
比
)
% 20.0
10.0
404
7404
8404
7804
8910
8710
8010
704
9604
9504
7604
9610
710 704
7410
8010
8110
0.0
8210
-10.0
8510
8104
8810
7204 310
9104 7210
8210
204
210
-20.0
-30.0
7310
604
8904
404
7810
8410
7604
404
7510
9110 304
8304 8404
210 204
7104
8004
7410
7704
7410
9604
704
8104
9610
7404
8504 7610
8010
610
8810
7310
8504
7904 8304
9304
9110
9104 8910 9210
7104 110
8904
9210
8904
7910
8110
7704
7904
104
7810
204
7704
310
9810
9804
7504
9504
9804 310
4 9810
7710
304
9904
404 310
404
210 404
410 9610
7710 9610
410
8304 8604 8610
9310
410 9610
9410
7510 204 8104
9604
9510
10
9604
7110
-40.0
8004
604
7410
7210 7404
7410
7404
604
7204
9610
7310
7710
9410
8610
7810
8004
7410
510
7604
504
604
7510
7210
410
7710
9404
7504
-50.0
異形 異形 生コ H形 型枠 床用 外壁 軽鉄 天井 板ガ 建 木 衛生 照明 照明 照明 IV電 IV電 塩ビ
棒鋼 棒鋼 ンク 鋼- 用合 磁器 用小 天井 化粧 ラ 具- 材- 器 器具 器具 器具 線 線1. ライ
SD2 SD3 リー 東 板- 質タ 口タ 下 吸音 ス- 東 東 具- (FR (FS (FS 38- 6- ニン
95A 45A ト- 京- 東 イ イ 地- 板- 東 京- 京- 東 S2- S4- S9- 東 東 グ鋼
-東 -東 東 物調 京- ル- ル- 東 東 京- 物調 物調 京- 402) 402) 322) 京- 京- 管-
物調 -東 -東 -東 物調 物調 東
京- 京- 京-
物調 東 東 京- 京- 物調
京-
京- 京- 京-
京- 京- 物調 物調
物調 物調 物調
物調
物調 物調 物調
物調 物調
図2
主要建築資材価格の対前年同月比の増減率の分布(東京地区 1970~2007 年)
(注) 掲載した資材データは代表的な 19 アイテム。元データは財団法人建設物価調査会(物調)の物価版より採取
したもの。一部の資材は価格データがない年もある。価格データは毎年 4 月号と 10 月号をインプットし 、増
減率は 1 年前の数字から計算したもの。外れ値の数字は物価版の出版年月を表す。 このような資材価格形成の態様としては、原材料の調達から生産・運搬に至る一連
の経済活動の中で歴史的に形成されてきたものといえる。具体的には、資材の原材料
の生産地からの運搬事情、資源枯渇状況、加工手間、商流の状況、取引の大きさ・頻
度などの買い手の購買力の大きさ、売り手の企業規模、支払などさまざまな取引条件
の違い、等の影響を強く受けて決定されるものと考えられる。
とくに建設資材は、相当の重量物であることが多く、また、伝 統的には当該地域で
採取され、あるいは生産される汎用的なものを利用してきたが、中には工業化の進展
に伴って高度の加工を施して付加価値の高まった製品などは、遠くからも運搬され利
用されている。資材価格の地域差が生じる原因にはこのような点が関係していると考
えられる。
9
(財)建設物価調査会では、価格変動の多く使用頻度が高い「A資材」は毎月調査、価格変動が少な
く使用頻度も比較的少ない「B資材」は年 2 回調査、実勢価格の把握が困難な「C資材」は年 1 回の通
信による「公表価格」の調査を行うなど区別をしている。これは物価調査機関において価格変動の大き
さにより資材が区別されていることを示す。財団法人経済調査会も同様。
- 25 -
2 )主要都市別 の資材価格差とその推移
図 3 に集計したように、資材価格の地 域差が大きい資材とそうではない資材がある。
生コンクリートは最も地域差が大きい資材の一つである。木材も地域間の差が比較的
大きい。また、全般に生産地に近いためか東京を除く 8 都市の資材価格は東京よりや
や高めのものが多いこともわかる。
東
京
価
格
に
対
す
る
比
率
1.4
1.3
7204
1.2
8604
1.1
8604
7310
(
)
倍
1.0
0.9
7104
8304
7104
7110 7210
7004
7610
7304 8310
8404 8304
7010
7604
7104 7004 7410
7104
510 504 610
604 404
7004 504 404 9410
7010
704
8810
410
8210
7110
410
710
510
7904
8004
7910
8304
504
0.8
異形
棒鋼
SD29
5A物調
図3
異形
棒鋼
SD34
5A物調
生コ H形 型枠 床用 外壁
ンク 鋼- 用合 磁器 用小
リー 物調 板- 質タ 口タ
ト物調 イ
イ
物調
ル- ル物調 物調
軽鉄
天井
下
地物調
天井 板ガ 建
木 衛生 照明
化粧 ラ 具- 材- 器 器具
吸音 ス- 物調 物調 具- (FRS
板- 物調
物調 2物調
402)
-物
調
照明
器具
(FSS
4402)
-物
調
照明 IV電 IV電 塩ビ
器具 線
線 ライ
(FSS 38- 1.6- ニン
9- 物調 物調 グ鋼
322)
管-物
物調
調
主要建築資材価格の東京価格に対する比率の分布(全国 9 都市;1970~2007 年)
( 注) 資材データは代表的な 19 アイテムで、前図と同じ。9 都市は東京、大阪、名古屋、福岡、広島、仙台、札幌 、
新潟、高松である。この図には東京のデータ(各資材とも 1.0 )を含んでいる。 このことを都市別に観察したのが図 4 である。この図ではすべてが東京価格との比
較になっている。一時点あるいは全体期間の傾向ではなく、それぞれの時点における
傾向が分析されており、価格差(東京価格との差)の推移をみることができる。
東京に比べると「07 札幌」の資材価格は全体的に高めの水準で安定的に推移して い
る。また、近年の「02 大阪」や「03 名古屋」の資材価格は全体的に低めに、また、
「06
仙台」、「08 新潟」はやや高めに推移している。
図 4 では同時に外れ値がどの資材であるかがわ かる。たとえば大阪では、長年にわ
たり e(型枠用合板)が高めに推移してきたが最近ではそうでもなくなっている様子
がわかる。逆に b(異形棒鋼)はかなり安い時代が 2000 年くらいまで続いていた。
また、名古屋でも 1999 年くらいまで e(型枠用合板)が高めであった。一方、福岡で
は、95 年くらいから s(塩ビライニング鋼管)が高めである。
また、この図からは 19 アイテムの資材に限った話になるが、 東京との価格差が大
きかった時代(たとえば、80 年代後半から 90 年代前半にかけてのバブル期)とそう
でもない時代とが波打っていることもわかる。
- 26 -
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
1.20
1.15
倍 1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
1.20
1.15
1.10
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1.00
0.95
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1.10
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1.10
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1.00
0.95
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1.10
1.05
1.00
0.95
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1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
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1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
1.20
1.15
1.10
1.05
1.00
0.95
0.90
0.85
01
東
京
価
格
に
対
す
る
比
率
東
京
(
b
e
j
e
e
b
d
e
d
b
b
e
e
e
b
e
d
e
e
e
e
e
e
ee
e
e
e
e
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r
be
j
b
b
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e
r
b
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b
e
d
b
e
e
d
b
b
ee
e
e
e
e
b
大
阪
j
03
e
d
b
b
d
02
)
e
e
e
e
e
ee
e
e
j
名
古
屋
j
b
b
bb
b
s
ss
ss
s
s
04
s
s
s
s
s
s
s
s
sss
福
岡
d
d
d
d
05
広
島
b
b
e
b
d
e
d
e
b
b
d
e
06
e
e
de
d
e
仙
台
b
j
s
07
s
j j
札
幌
e
b
d
b
b
e
b
r
d
d
b
b
b
e
e
08
b
d
新
潟
09
高
松
7
0
0
4
7
0
1
0
7
1
0
4
7
1
1
0
7
2
0
4
7
2
1
0
7
3
0
4
7
3
1
0
7
4
0
4
図4
7
4
1
0
7
5
0
4
7
5
1
0
7
6
0
4
7
6
1
0
7
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0
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1
0
7
8
0
4
7
8
1
0
7
9
0
4
7
9
1
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0
0
4
8
0
1
0
8
1
0
4
8
1
1
0
8
2
0
4
8
2
1
0
8
3
0
4
8
3
1
0
8
4
0
4
8
4
1
0
8
5
0
4
8
5
1
0
8
6
0
4
8
6
1
0
8
7
0
4
8
7
1
0
8
8
0
4
8
8
1
0
8
9
0
4
8
9
1
0
9
0
0
4
9
0
1
0
9
1
0
4
9
1
1
0
9
2
0
4
9
2
1
0
9
3
0
4
9
3
1
0
9
4
0
4
9
4
1
0
9
5
0
4
9
5
1
0
9
6
0
4
9
6
1
0
9
7
0
4
9
7
1
0
9
8
0
4
9
8
1
0
9
9
0
4
9
9
1
0
0
0
0
4
0
0
1
0
0
1
0
4
0
1
1
0
0
2
0
4
0
2
1
0
0
3
0
4
0
3
1
0
0
4
0
4
0
4
1
0
0
5
0
4
0
5
1
0
0
6
0
4
0
6
1
0
0
7
0
4
0
7
1
0
19 アイテムの資材価格の地域差(東京価格=1)推移
(注) 19 アイテムは図 2 などに示した代表的な建築資材。図中の外れ値の記号(b:異形棒鋼、d:H 形鋼、e:型枠用合
板、j:板ガラス、s:塩ビライニング鋼管)は資材名を表す。財団法人建設物価調査会及び財団法人経済調査会
のデータ。 - 27 -
3)工業統計にみる 47 都道府県別の資材の地域差
経済産業省のホームページで公表している工業統計調査の結果から 1999 年~2005
年までの 7 年分のデータをダウンロードした 10 )。資材価格の地域差を知る目的である
から、品目編から「3.品目別、都道府県別の出荷及び産出事業所数(従業者4人以
上の事業所)」というデータ 11 )を収集し、下の表 7 の要領でデータ表として整備した。
この統計データから単価情報が抽出可能なのは 98 種類の建設関連資材となる。
表7
本分析における工業統計からの単価データ集約手順
1.
工業統計の「品目編」から都道府県別のデータを利用し、全データを結合。なお、1999 年~2002
年は品目番号が旧分類になっているので、
「工業統計調査用商品分類コード・名称(適用期間:平成
14 年以降(平成 15 年 9 月現在))」により新分類に変換した。
2.
1999 年~2005 年のデータを結合した。(全データで 288,024 行となった。)
3.
建設資材と思われる主な資材のうち、数量単位が存在するモノを選択。全部で 98 種類であった。
4.
2 の作成データから品目番号により 98 種類を選択した。(この作業でデータ数は 17,255 データとな
った。)
工業統計の品目編ではかなり細かな製品分類が行われているとはいえ、集計されて
いる数値がまったく同品質のものであるわけではない。たとえば、「生コンクリート」
はこの統計では 1 品目しかなく、呼び強度、スランプ、粗骨材径などで価格のバリエ
ーションがあるという特徴を全く捨象したデータであり、そのことでは欠点を抱えて
いる。また、単価が計算できる資材に限定すると、建設資材であっても分析対象にな
らない資材は多数ある。さらに、事業所出荷段階での価格をもとにした数字であり、
これらの点には分析結果の解釈において留意が必要である。ただ、インプットした 19
アイテムの物価版データ(表 5 の①)では捉えきれない数多くの資材アイテムについ
ての都道府県別データ(最大で 47 となる 12 )) が得られるという魅力も捨てがたい。
表 8 に複数の都道府県データが得られた 84 品目の一覧を示す。これは各年の産出
都道府県の変動係数の単純平均値を計算し、その順番で並べたものである。この順番
で単価の違いが小さいことを示している。単純な建設資材である銅線、くぎ、プラス
チック波板、形鋼、生コン、などの単価のバラツキが小さいことがわかる。一方、単
価のバラツキが大きいのは、加工度の高い製造品である。図 5 は、各年の各資材アイ
テムの変動係数の値をプロットしたもので、表 8 と同じ順番で並べている。年による
バラツキがあるアイテムは各都道府県で作っている製品の品質が異質なものが含まれ
る可能性がある。
工業統計アーカイブス( http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/archives/index.html)には、戦
前からの工業統計結果の情報が掲載されている。「品目編」は 1953 年からの情報があるが、調査時点で
はエクセルに入力されていたのは 1979 年以降のデータであった。たびたび産業分類改訂の影響で品目コ
ードが変更になっている。1999 年と 2002 年がその年に当たるため、本分析では 1999 年以降のデータ
を採取することとした。
11 工業統計には「市区町村編」もあり地理的区分は多数となるが、残念ながら品目別の集計データはな
い。資材の価格情報が掲載されるのは、品目編の 47 都道府県別が最も地理的な単位は細かい。
12 もちろん産出事業所がない都道府県や事業所数が少なく秘匿されたために不明の都道府県のデータは
含まれない。
10
- 28 -
表8
建設関係資材の都道府県別の平均単価のバラツキ(1999~2005 年工業統計による)
工業統計 6 桁コードおよび品名
No.01
No.02
No.03
No.04
No.05
244111 銅荒引線
257111 鉄丸くぎ
191112 プラスチック波板(厚さ 0.5mm以上硬質)
231121 大形・中形棒鋼
231116 形鋼(鋼矢板,リム・リングバー,
サッシバーを含む)
222211 生コンクリート
222317 道路用コンクリート製品
254111 鉄骨
222312 遠心力鉄筋コンクリート柱(ポール)
231143 構造用鋼
223112 うわ薬かわら,塩焼かわら
257112 鉄特殊くぎ
222311 遠心力鉄筋コンクリート管(ヒューム管)
222111 ポルトランドセメント
327211 畳,畳床
222313 遠心力鉄筋コンクリートくい(パイル)
223211 普通れんが
131113 ひき角類
222316 土木用コンクリートブロック
231118 小形棒鋼
229411 ロックウール,同製品
131112 ひき割類
222315 空洞コンクリートブロック
221211 合わせガラス
244115 電力ケーブル
231126 普通鋼磨棒鋼
263131 さく岩機
221212 強化ガラス
131111 板類
269211 高温・高圧バルブ
239311 鋳鉄管
257911 鉄製金網(溶接金網、じゃかご含む)
229612 石こうボード,同製品
191111 プラスチック平板(厚さ 0.5mm以上硬質)
254113 橋りょう
245211 アルミニウム・同合金鋳物
254114 鉄塔
254112 軽量鉄骨
245311 アルミニウム・同合金ダイカスト
245411 亜鉛ダイカスト
222314 普通コンクリート管
253211 ガスこんろ
No.06
No.07
No.08
No.09
No.10
No.11
No.12
No.13
No.14
No.15
No.16
No.17
No.18
No.19
No.20
No.21
No.22
No.23
No.24
No.25
No.26
No.27
No.28
No.29
No.30
No.31
No.32
No.33
No.34
No.35
No.36
No.37
No.38
No.39
No.40
No.41
No.42
0.0350
0.0702
0.0737
0.0837
0.1141
2005 年
産出都道
府県数
6
16
9
10
14
No.43
No.44
No.45
No.46
No.47
0.1197
0.1211
0.1248
0.1475
0.1501
0.1536
0.1580
0.1680
0.1691
0.1756
0.1767
0.2061
0.2095
0.2152
0.2156
0.2161
0.2203
0.2295
0.2389
0.2440
0.2461
0.2463
0.2478
0.2570
0.2773
0.2836
0.2854
0.2860
0.2960
0.3060
0.3125
0.3145
0.3155
0.3190
0.3198
0.3298
0.3298
48
48
48
20
17
15
18
42
20
48
34
14
48
48
25
20
48
48
21
20
16
14
21
48
20
21
47
25
27
48
40
29
48
38
30
28
11
No.48
No.49
No.50
No.51
No.52
No.53
No.54
No.55
No.56
No.57
No.58
No.59
No.60
No.61
No.62
No.63
No.64
No.65
No.66
No.67
No.68
No.69
No.70
No.71
No.72
No.73
No.74
No.75
No.76
No.77
No.78
No.79
No.80
No.81
No.82
No.83
No.84
変動係数
の平均値
順位
0.3525
0.3656
0.3805
0.3865
0.3934
2005 年
産出都道
府県数
14
12
12
20
23
0.3942
0.3946
0.4063
0.4149
0.4177
0.4357
0.4369
0.4508
0.4624
0.4657
0.4682
0.5093
0.5305
0.5680
0.5697
0.5763
0.5795
0.5900
0.6002
0.6105
0.6395
0.6613
0.6619
0.6755
0.7216
0.7424
0.7950
0.8578
0.9317
0.9446
1.1247
1.1836
1.2212
1.3558
1.4029
1.4654
1.6251
40
37
38
11
19
24
48
10
23
25
36
16
46
48
13
26
38
26
26
10
15
23
11
10
23
14
30
45
24
22
13
15
30
14
27
19
24
変動係数
の平均値
工業統計 6 桁コ ード および品名
順位
191411 プラスチッ ク雨どい・同 附属品
257912 非鉄金属製 金網
273111 一般照明用 電球
244114 巻線
222922 木材セメン ト製品
(パルプセメント板,木 片セメント板を含む)
327212 畳表
222318 プレストレストコンクリート製品
245111 銅・同合金 鋳物
263118 せん孔機
263111 ショベル系 掘さく機
222921 厚形スレー ト
231168 鉄くず
266213 合板機械( 繊維板機械を 含む)
269212 自動調整バ ルブ
222321 テラゾー製 品
258114 木ねじ,小 ねじ,押しね じ
257915 溶接棒
258111 ボルト,ナ ット
254311 板金製タン ク
263114 整地機械
257913 鋼索(鋼よ り線を含む)
244113 銅被覆線
258112 リベット
223111 いぶしかわ ら
253213 ガス湯沸器
271512 抵抗溶接機
269213 給排水用バ ルブ・コック
266211 製材機械
223311 陶管(土管 を含む)
253312 温水ボイラ
273121 蛍光ランプ
271211 標準変圧器
254115 水門
266212 木材加工機 械
253311 温風暖房機 (熱交換式の もの)
263117 基礎工事用 機械
263112 掘さく機( ショベル系を 除く)
263116 コンクリー ト機械
271511 アーク溶接 機
271212 非標準変圧 器
271213 特殊用途変 圧器
271214 計器用変成 器
(注) 工業統計結果から表 7 の手順で選択した資材のうち、複数の都道府県で単価が計算できたものについて、価
格のバラツキを示す変動係数の単純平均値の大きさでソートした。 平
均
値
3.0
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
244
111
銅
荒
引
線
257
111
鉄
丸
く
ぎ
191
112
プ
ラ
ス
チ
ッ
ク
波
板
…
231
121
大
形
・
中
形
棒
鋼
231
116
形
鋼
(
鋼
矢
板
,
リ
…
222
211
生
コ
ン
ク
リ
ー
ト
222 254 222 231 223 257 222 222
317 111 312 143 112 112 311 111
道 鉄 遠 構 う 鉄 遠 ポ
路 骨 心 造 わ 特 心 ル
用
力 用 薬 殊 力 ト
コ
鉄 鋼 か く 鉄 ラ
ン
筋
わ ぎ 筋 ン
ク
コ
ら
コ ド
リ
ン
,
ン セ
ー
ク
塩
ク メ
…
…
…
… …
327
211
畳
,
畳
床
222
313
遠
心
力
鉄
筋
コ
ン
ク
…
223
211
普
通
れ
ん
が
131
113
ひ
き
角
類
222
316
土
木
用
コ
ン
ク
リ
ー
…
231
118
小
形
棒
鋼
229
411
ロ
ッ
ク
ウ
ー
ル
,
同
…
131
112
ひ
き
割
類
222
315
空
洞
コ
ン
ク
リ
ー
ト
…
221
211
合
わ
せ
ガ
ラ
ス
244
115
電
力
ケ
ー
ブ
ル
231
126
普
通
鋼
磨
棒
鋼
263
131
さ
く
岩
機
221 131 269 239 257 229 191
212 111 211 311 911 612 111
強 板 高 鋳 鉄 石 プ
化 類 温 鉄 製 こ ラ
ガ
・ 管 金 う ス
ラ
高
網 ボ チ
ス
圧
( ー ッ
バ
溶 ド ク
ル
接 , 平
ブ
金 同 板
… … …
254
113
橋
り
ょ
う
245 254 254 245 245 222 253 191 257
211 114 112 311 411 314 211 411 912
ア 鉄 軽 ア 亜 普 ガ プ 非
ル 塔 量 ル 鉛 通 ス ラ 鉄
ミ
鉄 ミ ダ コ こ ス 金
ニ
骨 ニ イ ン ん チ 属
ウ
ウ カ ク ろ ッ 製
ム
ム ス リ
ク 金
・
・ ト ー
雨 網
同
同
ト
ど
…
…
管
…
273 244 222 327 222 245
111 114 922 212 318 111
一 巻 木 畳 プ 銅
般 線 材 表 レ ・
照
セ
ス 同
明
メ
ト 合
用
ン
レ 金
電
ト
ス 鋳
球
製
ト 物
品
コ
…
…
263
118
せ
ん
孔
機
263
111
シ
ョ
ベ
ル
系
掘
さ
く
機
222
921
厚
形
ス
レ
ー
ト
231
168
鉄
く
ず
266
213
合
板
機
械
(
繊
維
板
…
269
212
自
動
調
整
バ
ル
ブ
222
321
テ
ラ
ゾ
ー
製
品
258
114
木
ね
じ
,
小
ね
じ
,
…
257
915
溶
接
棒
258
111
ボ
ル
ト
,
ナ
ッ
ト
254
311
板
金
製
タ
ン
ク
263
114
整
地
機
械
257
913
鋼
索
(
鋼
よ
り
線
を
…
244
113
銅
被
覆
線
258
112
リ
ベ
ッ
ト
223
111
い
ぶ
し
か
わ
ら
253
213
ガ
ス
湯
沸
器
271
512
抵
抗
溶
接
機
269
213
給
排
水
用
バ
ル
ブ
・
…
266
211
製
材
機
械
223
311
陶
管
(
土
管
を
含
む
)
253
312
温
水
ボ
イ
ラ
273
121
蛍
光
ラ
ン
プ
271 254 266 253 263 263 263
211 115 212 311 117 112 116
標 水 木 温 基 掘 コ
準 門 材 風 礎 さ ン
変
加 暖 工 く ク
圧
工 房 事 機 リ
器
機 機 用 ( ー
械 ( 機 シ ト
熱 械 ョ 機
交
ベ 械
…
…
271
511
ア
ー
ク
溶
接
機
271
212
非
標
準
変
圧
器
271
213
特
殊
用
途
変
圧
器
271
214
計
器
用
変
成
器
資材名
図5
建設関係資材の都道府県間の各年単価のバラツキ(1999~2005 年工業統計による)
(注)資材名は、変動係数の平均値の大きさによりソートしてある。 つづいて、図 6 は都道府県別の資材価格の特徴を抽出しようと試みたものである。
最大 84 アイテムの建設関係資材の全国平均単価を 1 としたときの各年各アイテム各
都道府県の単価の比率を、都道府県別にプロットし、箱ひげ図で描いた。
- 29 -
当
該
年
当
該
ア
イ
テ
ム
の
全
国
平
均
を
1
と
す
る
単
価
の
比
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
46
30
14
01
北 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 神 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 和 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 鹿 47
海青岩宮秋山福茨栃群埼千東奈新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈歌鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮児沖
道森手城田形島城木馬玉葉京川潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良山取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎島縄
都道府県名
図6
工業統計による建設資材単価の地域差(1999~2005 年)
(注) 当該年当該アイテムの全国平均単価を 1 とする各都道府県単価の比率の分布を示す。この箱ひげ図のデータ
は最大 84 アイテムの資材の 1999~2005 年データを元に計算したものであり、含まれるデータ数は都道府県
によって異なる。(最大で 84 アイテム×7 年分) 4)生コン価格の変動の地域差について
前項までは全体としての資材価格の地域差を述べたが、ここで特定資材の生コンに
注目して検討してみた。物価版に一番詳しく(地理的区分が細かく)載っている資材
が生コンである。その他の資材についてもここでの分析と同様の取り組みが可能とい
えるが、地域差について議論するためには現時点では必要な情報が不足している。
図 7 は工業統計から各都道府県の生コン平均価格の年次別(1999~2005 年)の変
化をプロットしたものである。また、図 8 は物価版(財団法人建設物価調査会の建設
物価)のある 1 時点での各都道府県内の生コン単価の分布を示したものである。前者
は価格変化の激しさ、また後者は地域内の価格分布の大きさを表す。これを2軸にし
て各都道府県をプロットすると図 9 となる。これは生コン価格についての各都道府県
の特性を表したものとなる。
都道府県内の地域差が大きく、また年次間の価格変動も大きな激しく動くマーケッ
トであるのは、福井県、鳥取県、栃木県などである。一方、地域差も小さく、年次間
の価格変動も小さい安定的なマーケットとなっているのは、大阪府、和歌山県、埼玉
県などである。これらの府県のマーケットの性格は全く異なっているといえる。
- 30 -
(
資 16,000
材
価 15,000
格
14,000
)
円
/ 13,000
単
位 12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47
全 北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼 千 東 神 新 富 石 福 山 長 岐 静 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿 沖
国 海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉 葉 京 奈 潟 山 川 井 梨 野 阜 岡 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児 縄
道
川
山
島
都道府県名
図7
コン21SL18
生
生コン出荷平均値の都道府県別の価格推移の巾(1999~2005 年工業統計)
18,500
17,500
16,500
15,500
14,500
13,500
12,500
11,500
10,500
9,500
8,500
7,500
6,500
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖
海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎児縄
都道府県名
図8
価
格
変
化
率
の
大
き
さ
都道府県内の生コン価格の分布(建設物価 2007 年 5 月号掲載価格)
33
0.06
6
0.05
31
43
47
16
8 17
0.04
0.03
0.02
2
0.01
25
35
13
11
30
12
39
41
3
7
18
24
34
22 19
26
32
27
36
38
40
9
4
37
15
44
21
14
10
45 28
1
42
23
46
20
5
0.00
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
域内価格差の大きさ
図9
0.30
都道府県名
01北海道
24三重
02青森
25滋賀
03岩手
26京都
04宮城
27大阪
05秋田
28兵庫
06山形
30和歌山
07福島
31鳥取
08茨城
32島根
09栃木
33岡山
10群馬
34広島
11埼玉
35山口
12千葉
36徳島
13東京
37香川
14神奈川
38愛媛
15新潟
39高知
16富山
40福岡
17石川
41佐賀
18福井
42長崎
19山梨
43熊本
20長野
44大分
21岐阜
45宮崎
22静岡
46鹿児島
23愛知
47沖縄
生コン市場の地域的特徴
(注) Y 軸:価格変化率の大きさ=年変化率の標準偏差(図 7)、X 軸:域内価格差の大きさ=都道府県内単価の変
動係数(図 8)。奈良県は 1 データのため X 軸のデータは無い(Y=0.031)。両軸の参照線は 46 都道府県の単純
平均値である。 - 31 -
(4)労務単価の地域差
ここでは分析に利用する統計データが対象としている技能労働者の職種別賃金につい
て議論する。資材単価の地域差と同様に、この単価にも地域差がある。
1)建設労働者の地域的偏在
一般的には、専門職種に対する地域の需要と供給のバランスがその単価に反映する
と考えられる。そこでまず、建設関連の職能の地域的な偏在について、特化係数で検
討してみた。図 10 は平成 12 年の国勢調査結果から 47 都道府県別に得られる職業中
分類別の建設業就業者数を使い、各都道府県の特化係数を計算し、その最大と最小の
巾を示したものである。技術関係の職種は特化係数の巾が大きく、技能職種(建設作
業者)はそれが狭いことから、前者は地域的な偏在の程度が大きく、後者はその程度
が低い。すなわち建設作業者は各地域に一定程度の密度で分布していることがわかる。
100,000
6.0
10,000
4.0
1,000
2.0
(56 )電気作業者
(58 )建設作業者
(16 )一般事務従事者
(21 )販売類似職業従事者
(55 )定置機関 ・機械及建設機械運転作業者
(14 )会社 ・団体等役員
(54 )その他の製造 ・制作作業者
(60 )その他の労務作業者
(57 )採掘作業者
( 2 )技術者
(15 )その他の管理的職業従事者
(59 )運搬労務作業者
(27 )その他のサービ ス職業従事者
(33 )自動車運転者
(41 )一般機械器具組立 ・修理作業者
(24 )飲食物調理従事者
0 1調査職種計
0 7技能職種計
2 9職長
1 3配管工
0 2土工
3 0各種見習
1 6板金工
1 8機械運転工
1 7溶接工
1 9鉄筋工
0 9とび工
1 4塗装工
1 1左官
2 0鉄骨工
1 5貨物自動車運転者
計)
0 4軽作業員 (
0 8大工
- 32 -
(20 )商品販売従事者
(19 )事務用機器操作員
(28 )保安職業従事者
( 3 )保健医療従事者
(39 )窯業 ・土石製品製造作業者
2 4型枠工
,
,
1 2電気工
男)
0 5軽作業員 (
女)
0 6軽作業員 (
工
0 3重作業員
2 5建具工
れんが積
2 2タイ ル張工 ・
2 6屋根ふき工
(注)屋外職種別賃金調査結果(H12~H16)より作成。
調査職種
(12 )その他の専門的 ・技術的職業従事者
(10 )美術家 写真家 デザイナー
(40 )金属加工作業者
(49 )木 ・竹 ・草 ・つる製品製造作業者
( 1 )科学研究者
(35 )その他の運輸従事者
(34 )船舶 ・航空機運転従事者
(36 )通信従事者
(48 )衣服 ・繊維製品製造作業者
(42 )電気機械器具組立 ・修理作業者
2 3は つり工
1 0石工
2 8ボーリ ング工
発破工
2 1掘削 ・
2 7潜函土工
技能労働者の職種別地域的偏在(H12~H16 の平均)
図 11
(43 )輸送機械組立 ・修理作業者
(17 )外勤事務従事者
(26 )居住施設 ・ビ ル等管理人
(29 )農業作業者
(30 )林業作業者
(37 )金属材料製造作業者
(38 )化学製品製造作業者
1,000,000
各職種の人数全国計(右目盛り)
(人)
9.0
道府県別の人数比の特化係数の最大と最小の巾(全国平均=1)
10.0
建設業就業者の職業別地域的偏在(H12)
図 10
職業中分類
(注)平成12年国勢調査結果より作成。
100,000
8.0
7.0
10,000
5.0
1,000
3.0
2.0
100
0.0
(人)
9.0
100
0.0
(44 )計量機器 ・光学器具組立 ・修理作業者
6.0
4.0
特
化
係
数
7.0
5.0
特
化
係
数
1,000,000
建設業の人数全国計(右目盛り)
8.0
10,000,000
道府県別の建設業人数比の特化係数の最大と最小の巾(全国平均=1)
10.0
3.0
1.0
(注)特化係数の最大値を 10 で表現している。また右目盛りは対数表示。下図も同様。 1.0
一方、下の図 11 は技能労働者の中でどの程度、地域的偏在があるのかをみたもの
である。ほとんどの職種ではそれほど大きな偏在は認められない。ただ全体人数が少
ない職種ではやや偏在している。
2)職種別賃金の地域差
職種別賃金については 2 つの調査がある。それぞれの 47 都道府県別データから地
域差を変動係数の算出で行った。
図 12 は「公共工事設計労務単価」の平成 12 年から平成 20 年の結果を 51 の職種別
にみたもので、変動係数の平均値の順でソートしてある。同様の図を描いた資材単価
の地域差と比べると、労務関係の地域差は相対的に小さいことがわかる。詳細にみて
みると、該当人数は少ないと思われるが、トンネル世話役、橋りょう世話役などの職
種の賃金の地域格差はかなり少ないことがわかる。これらは比較的広域で活動する職
種でもある。主要な 11 職種では鉄筋工、普通作業員、特殊作業員、とび工、交通整
理員、電工、左官、ダクト工などで地域格差は比較的小さく、一方、保温工、一般運
転手、大工などで地域格差が大きい。
変
動 0.20
係
数
地
域 0.15
差
(
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
)
0.10
0.05
0.00
a21
ト
ン
ネ
ル
世
話
役
a24
橋
り
ょ
う
世
話
役
a27
普
通
船
員
a18
さ
く
岩
工
a26
高
級
船
員
a20
ト
ン
ネ
ル
作
業
員
a16 a04 a05
潜 造 法
か 園 面
ん 工 工
工
a10
鉄
筋
工
■
a22
橋
り
ょ
う
特
殊
工
a41
サ
ッ
シ
工
a30
潜
水
送
気
員
a19
ト
ン
ネ
ル
特
殊
工
a02
普
通
作
業
員
■
a01 a39 a06
特 板 と
殊 金 び
作 工 工
業
■
員
■
a45
交
通
整
理
員
■
a25
土
木
一
般
世
話
役
a40 a09 a35
タ 電 左
イ 工 官
ル ▲ ■
工
a17
潜
か
ん
世
話
役
a47
ダ
ク
ト
工
▲
a29
潜
水
連
絡
員
a37
は
つ
り
工
a33
型
わ
く
工
■
a36
配
管
工
▲
a14 a28 a46
運 潜 建
転 水 具
手 士 工
(
特
殊
)
■
a03
軽
作
業
員
■
a50 a43 a38 a07 a11
設 内 防 石 鉄
備 装 水 工 骨
機 工 工
工
械
工
▲
a42
屋
根
ふ
き
工
a08 a34 a23 a12 a15
ブ 大 橋 塗 運
ロ 工 り 装 転
ッ ■ ょ 工 手
ク
う
(
工
塗
一
装
般
工
)
■
a44 a13 a49
ガ 溶 建
ラ 接 築
ス 工 ブ
工
ロ
ッ
ク
工
a48
保
温
工
▲
a31 a32
山 軌
林 道
砂 工
防
工
調査職種
図 12
「公共工事設計労務単価」の職種別の地域差
(注)調査職種名に付した記号で、■は主要 11 職種(建築・土木関係)、▲は設備関係の主要職種。 もう一つの調査は、
「屋外職種別賃金調
集計職種を含めると
)
30 程度であり、上述の
0.25
0.20
0.15
統計と比べると若干少
0.10
ない。また、全般的に
0.05
変動係数の大きさが大
0.00
きく出ている。さらに、
職種別の地域差の大小
H12
H13
H14
H15
H16
0.30
(
査」である。職種数は
変
動
係
数
地
域
差
29 06 07 01
職 軽 技 調
長 作 能 査
業 職 職
員 種 種
( 計 計
女
)
13 02 30 05 11 12 09 04 08 18 15 20
配 土 各 軽 左 電 と 軽 大 機 貨 鉄
管 工 種 作 官 気 び 作 工 械 物 骨
工 工 業
工
見 業
運 自 工
習 員
員
転 動
(
(
工 車
計
男
運
)
)
…
の順番は若干入れ替わ
る部分もある。これは
24
型
枠
工
16
板
金
工
17
溶
接
工
14
塗
装
工
19 10 25 26 23
鉄 石 建 屋 は
筋 工 具 根 つ
工
工 ふ り
き 工
工
28
ボ
ー
リ
ン
グ
工
03
重
作
業
員
22
タ
イ
ル
張
工
・
…
21
掘
削
・
発
破
工
調査職種
図 13
「屋外職種別賃金調査」の職種別の地域差
- 33 -
ており両統計の比較が可
両 2.4
統 2.2
計
間 2.0
の 1.8
格
差 1.6
能な図 14 に示した 11 の
倍
両統計の性格の違いを想
起させる。
そこで職種名が一致し
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県 46鹿児島
03岩手県
03岩手県
(
)
県の両データの賃金額の
0.8
47沖縄県
47沖縄県
03岩手県
03岩手県
47沖縄県
26京都府
40福岡県
図 14
両統計間の都道府県別賃金の倍率(11 職種)
(注) 2 つの統計で職種名が共通する 11 職種について平成 12~16 年各年
の都道府県別賃金の比率を計算し、箱ひげ図にプロットした。 25,000
24,000
02大 工
23,000
22,000
22,000
21,000
21,000
21,000
20,000
20,000
20,000
19,000
19,000
19,000
18,000
18,000
18,000
17,000
17,000
17,000
16,000
16,000
16,000
15,000
15,000
15,000
14,000
14,000
14,000
13,000
13,000
13,000
12,000
12,000
12,000
11,000
11,000
11,000
10,000
10,000
10,000
9,000
9,000
9,000
8,000
8,000
7,000
7,000
7,000
9,000
8,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
7,000
20,000
9,000
8,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
24,000
18,000
22,000
21,000
21,000
21,000
20,000
20,000
20,000
19,000
19,000
19,000
18,000
18,000
18,000
17,000
17,000
17,000
16,000
16,000
16,000
15,000
15,000
15,000
14,000
14,000
14,000
13,000
13,000
13,000
12,000
12,000
12,000
11,000
11,000
11,000
10,000
10,000
10,000
9,000
9,000
9,000
8,000
8,000
7,000
7,000
9,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
22,000
21,000
21,000
21,000
20,000
20,000
20,000
19,000
19,000
19,000
18,000
18,000
18,000
17,000
17,000
17,000
16,000
16,000
16,000
15,000
15,000
15,000
14,000
14,000
14,000
13,000
13,000
13,000
12,000
12,000
12,000
11,000
11,000
11,000
10,000
10,000
10,000
9,000
9,000
8,000
9,000
8,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
18,000
25,000
25,000
24,000
24,000
10鉄筋工
23,000
9,000
8,000
20,000
11,000
10,000
13,000
12,000
22,000
21,000
21,000
20,000
20,000
19,000
19,000
18,000
18,000
17,000
17,000
16,000
16,000
15,000
15,000
14,000
14,000
13,000
13,000
12,000
12,000
11,000
11,000
10,000
10,000
9,000
9,000
8,000
8,000
7,000
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
9,000
8,000
11,000
10,000
13,000
12,000
図 15
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
20,000
7,000
20,000
9,000
8,000
11型枠工
20,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
20,000
年
H12
H13
H14
H15
H16
Fit line for
合計
(注) X 軸:屋外職種別賃金調査 7,000
7,000
19,000
18,000
09溶接工
<凡例>
23,000
22,000
17,000
16,000
7,000
7,000
19,000
15,000
14,000
8,000
7,000
7,000
13,000
12,000
23,000
22,000
7,000
11,000
10,000
24,000
08板金工
23,000
8,000
9,000
8,000
22,000
9,000
20,000
25,000
24,000
07塗装工
23,000
19,000
18,000
06配管工
7,000
20,000
25,000
24,000
17,000
16,000
7,000
9,000
8,000
20,000
25,000
15,000
14,000
8,000
7,000
19,000
18,000
13,000
12,000
23,000
22,000
8,000
11,000
10,000
24,000
05電気工
23,000
22,000
7,000
9,000
8,000
20,000
25,000
24,000
04左 官
23,000
7,000
19,000
25,000
25,000
03とび工
23,000
22,000
7,000
31鳥取県
18福井県
47沖縄県
07福島県
24,000
R2 乗線形 = 0.102
47沖縄県
19山梨県
04宮城県
03岩手県
47沖縄県
25,000
8,000
02青森県
格
格
格
格
格
格
格
格
格
格
格
差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-- 差-01軽 02大 03と 04左 05電 06配 07塗 08板 09溶 10鉄 11型
作業 工 び工 官 気工 管工 装工 金工 接工 筋工 枠工
員
設計労務単価調査÷屋外
01軽作業員(計)
02青森県
47沖縄県
42長崎県
47沖縄県
47沖縄県
16 年デー タにつ いて の
23,000
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県
02青森県
47沖縄県 47沖縄県
倍率(平成 12 年~平成
24,000
41佐賀県
41佐賀県
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県
1.2
1.0
25,000
47沖縄県
1.4
職種について、47 都道府
職種別賃金調査)を計測
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県
47沖縄県
7,000
9,000
8,000
11,000
10,000
13,000
12,000
15,000
14,000
17,000
16,000
19,000
18,000
20,000
Y 軸:公共工事設計労務単価 原点をとおり傾きが 1:1 の線と分布
データの回帰線を描いた。 主要 11 職種の日額賃金の都道府県別比較(H12~H16 の 5 ヵ年分)
- 34 -
してみた。結果では電工や軽作業員の賃金比率はそう大きくずれていないが、鉄筋工、
型枠工、大工などでは両統計間の格差があることがわかる。また、比率が大きく異な
るのは、職種により若干異なるが、沖縄、岩手、青森、長崎、佐賀、宮城、福井、鳥
取、山梨、京都などの府県のデータである。
図 15 には直接のデータ比較が可能な 11 職種 5 ヵ年分の賃金データを直接プロット
して散布図で示した。各図とも X 軸が屋外職種別賃金調査、Y 軸が公共事業労務費調
査の結果である。都道府県別では単価の巾がかなりあることが改めて認識される。X
軸方向の広がりが大きく、Y 軸方向の広がりは若干小さくなっており、全体を囲う円
を描くとやや水平方向に扁平したものとなる。
原点をとおり傾きが 1 のラインは X 軸と Y 軸の値が等しくなるラインで、このライ
ン上の点は 2 つの統計調査結果が一致していることを示すが、01 軽作業員計、05 電
気工、08 板金工の 3 職種を除く多くの職種では、プロットデータがこのラインよりも
左上に存在する。すなわち、屋外職種別賃金よりも公共工事設計労務単価が高めにな
っているデータが多い。これは先に述べたように、両調査の性格の違いに起因するも
のである(表 9)。
表9
調
都道府県別の職種別賃金データが得られる 2 調査の主な違い
査
名 屋外労働者職種別賃金調査 公共事業労務費調査 実 施 主 体 厚生労働省(指定統計第 53 号) 国土交通省・農林水産省 調 査 目 的 建設業及び港湾運送関係事業に雇用される
労働者の賃金を職種別に調査し、その実態
を明らかにする。 公共工事の予定価格の積算に必要な公共工
事設計労務単価を決定するため、農林水産
省及び国土交通省が所管する公共事業等に
従事した建設労働者等に対する賃金の支払
い実態を調査するもの。 二省(独立行政法人、事業団等を含む)、都
道府県および政令指定都市所管の公共工事
で、毎年 10 月の調査月において調査対象工
事に従事した労働者の賃金を調査するも
の。元請、下請(警備会社を含む)を問わ
ず、全ての労働者(51 職種)が対象。有効
サンプル数は約 12 万人。20 万人近くに対す
る調査が行われるが約 4 割が無効標本とな
っている。 調 査 対 象 常用労働者を 5 人以上雇用する建設業の民
営事業所並びにそこに雇用されている常用
労働者及び日雇労働者を対象。調査は毎年 8
月 31 日現在で行われている。 平成 14 年(2002)調査の調査事業所数及び
調査労働者数は、建設業(約 1 万 5,000 事業
所,14 万 1,000 人)。ほかに港湾運送業に対
する調査も行われている。 表 章 職 種 30 職種(集計職種含む。建設業関係。) 51 職種(H18 まで 50 職種) 調 査 沿 革 昭和 23 年(1948)11 月に実施された「日雇 昭和 45 年より定期的に実施。価格変動が激
労務者賃金調査」を源とし、翌 24 年(1949) しい時期には年 2 回調査される。 から年数回実施されたが、27 年(1952)11
月調査から「職業別賃金調査(乙調査)」と
して年 1 回調査となり、さらに 32 年(1957)
からは現行名称に改められた。 土木関係のサンプルが中心で、建築関係は
平成
16 年度調査を持って廃止された。 備
考 少ないともいわれている。また、不良率の
大きさは都道府県ごとに違いがある。 - 35 -
この表で整理したような違いを理解して使うべきだが、技能労働者の賃金に関して
都道府県別の違いを議論する際には、その実態をより重視するならば、屋外労働者職
種別賃金調査の方を選択すべきと思われる。ただ残念なことに最近はこの調査はフォ
ローされなくなってしまった。
6.まとめと今後の課題
本研究は最終的に建築コストの「地域差地図」を作成することを目的にしており、平成
19 年度はその予備的検討を行った。具体的には、建設物価調査機関の調査ポイントの分析
から建設物価調査における地域の捉え方について考え、次に、資材と労務の単価が得られ
る統計資料等を分析対象として、価格の地域差の存在やそれら単価アイテムにおける違い
を観察し、都道府県レベルなどでの地域の特徴等の一端を描くことができた。今後は、同
様の作業を、施工単価(市場単価)など集計された単位の価格データについても行ってみ
ることも必要であろう。
それとは全く別のアプローチとして、工事費の成約価格情報の利用が近年は可能になり
つつある。その一つは、建築着工統計であり、市町村単位での集計値も公表されている。
今後は、これによる分析も視野に入れつつ、建築コストに関する地域差の研究を深めてい
きたいと考えている。
<参考文献>
大友篤『地域分析入門・改訂版』東洋経済新報社、1997.7 島田良一ほか「建築資材価格の地域差に関する研究:地域差の時系列安定性について」日本建築学会
大会学術梗概集(東海)昭和 60 年 10 月, pp.461‐462 総務省統計局『日本の物価構造(解説編):平成 14 年度
全国物価統計調査報告
年 3 月刊、ほか 山田浩之(編)『地域経済学入門』有斐閣コンパクト、有斐閣、2002.8 - 36 -
第6巻』平成 17