■製品含有化学物質に関するトピックス(2016 年 9 月号) 発行 2016.9.25 ◆RoHS指令関連情報 *東芝など電機7社、電気コード調達停止−EUが素材のフタル酸エステルを規制 電機大手7社は家電や電子機器の電気コードに使われる化学物質「フタル酸エステル」(用語参照)4物質の使用 を停止する。欧州連合(EU)で2019年7月から電子機器への使用が大幅に制限されるのに先駆け、東芝は17年1 月にフタル酸エステルを含む製品の調達を止める。パナソニックは18年7月、富士通も19年1月から調達を停止す る。電気コードは電源や内部配線に大量に使われており、電機メーカーは対応を迫られている。 各社とも取引先に対して、フタル酸エステルの代替材料の採用を求める。東芝はパソコン、オフィス複合機、販売時 点情報管理(POS)システム、テレビの一部製品で代替材料の採用を始めた。19年7月までに対象製品の代替完了 を目指す。 パナソニックはすでに一部の製品で代替材料を採用している。その他の製品でも代替材料の品質評価を始めた。 富士通は6月末から購入品への含有状況を確認するため、取引先への調査を始めた。 ソニーは18年4月から取引先からの納入を止める。NECは6月に調達基準を改訂し、原則として18年7月からの 納入停止を取引先に伝えた。日立製作所は19年1月にグリーン調達基準を見直し、グループ各社が取引先に使用 停止を求める。代替材料の採用時期はグループ各社に委ねる。三菱電機は18年末までに購入品の代替を完了させ る計画だ。 EUは欧州特定有害物質規制(RoHS)で電子機器への使用制限物質にフタル酸エステル4物質を追加する。電気 コードは4次、5次サプライヤーが生産や調達を担い、代替材料への切り替えに時間がかかる。フタル酸エステルは 樹脂に混ざると判別が難しく、鉛よりも対応が難しい。 【用語】フタル酸エステル=樹脂を柔軟にする可塑剤。内分泌かく乱物質として疑われており、欧州では玩具への含 有が禁止された。すでにトリメリット酸系(TOTM)やアジピン酸系(DINA)などの代替素材があるが、電気コードは曲 げ伸ばしを繰り返すため耐久性など品質確認に時間がかかる。 (2016/9/7 日刊工業新聞) Q.491 顧客から RoHS 指令への対応を求められていますが、合金の場合は材料証明書があれば、分析試験 は実施しなくてよいのでしょうか? A.491 一般的に合金などの金属材料を手配する場合は、「RoHS 指令に対応していること」の要求と仕様を満たしているか を確認するための材料証明書などの提出も要求します。 合金には PBB、PBDE やフタル酸エステル類が混入していることは考えられないのすが、カドミウムや鉛は意図的 でなくても合金成分の不純物として含有している場合があります。 また、RoHS(II)指令の附属書 III(用途の除外)の 6(a)~(c)では、鋼材、アルミ材と銅材に鉛の添加を許容してい ます。 貴社の購入した合金について、「非意図的混入」と「用途の除外による添加」の両面から顧客に対して適合宣言す る必要があります。 1 合金中の鉛やカドミウムなどの金属成分分析は、比較的簡単な蛍光 X 線分析器で実施できます。合否判定が微妙 な場合は ICP・AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)、ICP・MS(誘導結合プラズマ質量分析)、AAS(原子吸光分析) を用います。 分析は確実な証明になりますが、材料としてサプライヤーから購入するのではなく、加工した部品類として購入した 場合などは、破壊分析ができない場合があります。 このような場合は、素材メーカーのミルシートなどの材料証明書により適合性を確認します。 ただ、JIS 材などの一般的な材料証明書は意図的に品質仕様のために添加した成分しか記載されていません。 RoHS(II)指令では真鍮材(銅合金)は、カドミウム 100ppm 以下、鉛 4wt%以下が要求事項ですが、日本においても、 JIS が改定され RoHS 指令に対応する合金が追加されています。 「銅及び銅合金の棒」に関する JIS H3250.2012 に、快削黄銅棒の規格 C3601~C3604 があります。これらの規格の RoHS 対応品として、C6801~C6804 の規格が制定されています。 快削アルミニウム合金 A2011 等の代替材(鉛フリー快削アルミニウム合金)や快削りん青銅 C5441 等の代替材とし ての低鉛快削りん青銅 C5341 が素材メーカーから販売されています。 合金などの金属材料は、大量生産企業の調達以外は、端材の購入になります。 端材と RoHS(II)指令仕様材の材料証明書のリンクが重要となりますが、これはサプライヤーの管理状態に左右さ れます。サプライヤーの管理状態の評価により順法確認データを確定します。 このために、貴社がサプライヤー評価フロー(手順)を決定して、サプライヤーごとに評価することになります。評価 は、A:良い、B:良いがちょっと心配なところがある、C:取引上リスクが大きいなどとします。サプライヤー評価に関し ては、「CE マーキング 技術文書の作成の手引き 1)」に記載されており参考になります。 サプライヤーの管理状態では、RoHS(II)指令の要求事項の理解、購入から納品までの標準化された手順や扱う合 金に含有する可能性のある金属などの知識が基本的評価事項となります。 これらの過程において、材料証明書の提出のみで済ませられるのか、それとも分析試験も必要か等を決めること になります。 なお、合金に関しては、RoHS 指令附属書 III の適用除外用途更新状況に注視することが重要です。2016 年 7 月 21 日に有効期限切れとなる合金に関する調査(パック 9)によると、適用除外用途は次のように見直しが行われているこ とに注意しなければなりません。 ・既存の適用除外用途が詳細化されている ・詳細化された適用除外用途ごとに製品カテゴリーが特定され、有効期限が設定されている ・カテゴリー8,9 については最大有効期限 7 年が設定され、カテゴリー1~7 及び 10 についての有効期限は 3 年 (2019 年)または最大有効期限の 5 年(2021 年)が設定されている パック 9 に関する詳細は、「J-Net21 ここが知りたい RoHS 指令」のコラム 2)を参照下さい。 (2016/9/16 J-Net21“ここが知りたいRoHS指令”Q&Aより引用) ◆REACH規則関連情報 *第 16 次 SVHC 提案と成形品ガイダンス改訂案 REACH 規則では、認可対象候補物質リスト(Candidate List)に収載された SVHC を 0.1%以上含有する成形品につ いて情報提供(第 33 条)が、さらに同物質について、年間取扱量が 1 トン以上で用途が未登録場合には ECHA への 届出(第 7 条)が必要となります。そのため、多くの日本企業は直接または間接的に成形品に含有する SVHC の管理 を実施しています。 2 本コラムでは、成形品中の SVHC に関する最近の ECHA の動向として、第 16 次 SVHC 提案および成形品中の物 質に関するガイダンス(以下、成形品ガイダンス)の改訂案をご紹介します。 1. 第 16 次 SVHC 提案 ECHA は 9 月 6 日に、第 16 次 SVHC として次の 6 物質を提案し、10 月 21 日までの意見募集を開始 1)しました。 これまで同様に、意見募集によって寄せられた意見を踏まえた検討を経て、12 月に第 16 次 SVHC として認可対象候 補物質リスト(Candidate List)への収載が決定することになります。 6 物質の中には、6 月 3 日付の本コラム 2)でも取り上げ、感熱紙に対する制限要否について欧州委員会の最終決 定待ちとなっているビスフェノール A も含まれています。 物質名(英名) 物質名(和名) CAS 番号 主な用途 4,4'-isopropylidenediphenol 4,4'-プロパン-2,2- 80-05-7 PVC の酸化防 (bisphenol A) ジイルジフェノー 止剤、エポキシ ル(ビスフェノール 樹脂硬化剤、 A) 感熱紙 4-Heptylphenol, branched and 4-ヘプチルフェノ linear [substances with a linear ール、分岐および and/or branched alkyl chain with a 直鎖 - 区分 提案国 生殖毒性 フランス 潤滑油の添加 環境への重大 オースト 剤 な影響可能性 リア を有する同等 carbon number of 7 covalently の懸念 bound predominantly in position 4 to phenol, covering also UVCBand well-defined substances which include any of the individual isomers or a combination thereof] 4-tert-butylphenol 4-ターシャリ-ブチ 98-54-4 ルフェノール 552-30-7 表面処理製 環境への重大 品、ポリマー、 な影響可能性 接着材、シーラ を有する同等 ント の懸念 エステルやポリ 健康への重大 オラン ダ Benzene-1,2,4-tricarboxylic acid ベンゼン-1,2,4-ト 1,2-anhydride (trimellitic リカルボン酸 1,2- マーの製造、 な影響可能性 anhydride) 無水物 研究使用 を有する同等 ドイツ の懸念 Nonadecafluorodecanoic acid ナデカフルオロデ 3108-42-7 可塑剤、潤滑 生殖毒性、 スウェ (PFDA) and its sodium and カン酸、ノナデカフ 335-76-2 剤、界面活性 PBT ーデン ammonium salts ルオロデカン酸ア 3830-45-3 剤、湿潤剤、防 ポリマー中や 環境への重大 ドイツ 他物質の合成 な影響可能性 ンモニウム、ノナ 腐剤 デカフルオロデカ ン酸ナトリウム p-(1,1-dimethylpropyl)phenol 4-tert-ペンチルフ 80-46-6 ェノール を有する同等 の懸念 3 2. 成形品ガイダンス改訂案 2015 年 9 月に公表された、複合成形品に対する欧州司法裁判所の判決によって SVHC の含有濃度を算定する際 に用いる分母の解釈が示されたことによって、ECHA は成形品ガイダンスを 2 段階で改訂する意向であることを示して いました。 第 1 段階として、ECHA は、判決内容と齟齬がある記載や事例を削除した第 3 版を 2015 年 12 月に公表し、新たな 例示の追加や全体的な見直しを 2016 年中に実施することを発表していました。ECHA は 8 月 5 日に第 2 段階として 同ガイダンス全体を見直した第 4 版案 3)を公表し、改訂手続きを開始しました。 第 4 版案では、本文の全体的な構成は大きく変更されていませんが、本文や各付録においても、第 3 版で削除され た事例に代わる新たな事例が追加されています。 中でも事例を挙げて解釈を示している付録では、付録 3、4、5 が新たに設けられたことにより、付録の数が 7 種から 次の 10 種に増加しています。 付録 1:容器又は担体材料中の物質/混合物の境界ケース 付録 2:天然又は合成材料から最終形品に加工するまでの過程における境界設定の例 付録 3:成形品中の Candidate List 収載物質の濃度決定方法の例 付録 4:異なる成形品に含有する Candidate List 収載物質の合計量決定方法の例 付録 5:Candidate List 収載物質 に対する要件の適用に関する実践的ヒント 付録 6:第 7 条および第 33 条に基づく要求が適用されるかどうかを確認する実例 付録 7:成形品中の物質に関する情報源 付録 8:成形品中の物質のサンプリングおよび分析方法 付録 9:成形品中の物質の用途を制限するその他法律 付録 10:関連する REACH 規則の部分 なお、新たに追加された付録にはそれぞれ次のような事例が示されています。 付録 3:成形品中の Candidate List 収載物質の濃度決定方法の例 例 1 プラスチック製の椅子(物質または混合物で製造された成形品) 例 2 絶縁電線(物質または混合物を既存の成形品と組み合わせてできた成形品) 例 3 プリント T シャツ(物質または混合物を成形品に組み込み、一体となった成形品) 例 4 粘着テープ(物質または混合物を成形品に積み重ね、一体となった成形品) 例 5 布張りソファ(2 つ以上の成形品を機械的に組み合わせた成形品) 例 6 航空機の胴体パネル(物質または混合物を使用し、2 つ以上の成形品を組み合わせた成形品) 付録 4:異なる成形品に含有する Candidate List 収載物質の合計量決定方法の例 例 1 異なる成形品(フライパン、グリルパン等)の合計量 例 2 最終製品中(電源タップ)に組み込まれた複数の成形品の合計量 付録 5:Candidate List 収載物質に対する要件の適用に関する実践的ヒント 例 1 アウトドアジャケット 例 2 プリント基板 同ガイダンスは 2017 年初頃には最終化される予定であり、その後、ECHA の執行情報交換フォーラムによって、成 形品中の SVHC に関する順守状況の調査が 2017 年に実施される予定となっています。このような動きの中、輸入製 品中の SVHC に対する EU 域内輸入者の関心がより一層高まるものと想定されます。 (2016/9/16 J-Net21“ここが知りたいREACH規則”コラムより引用) 4 *非意図的添加とリスク管理 RAPEX1)で、「Years=2016」「Free text search=REACH」「Risk type=Chemical」をキーワードにして摘発状況を検索 (検索日 9 月 18 日)したところ 184 件ヒットしました。 REACH 規則の制限(附属書 XVII)に関連する特徴的な事例について、企業対応を考えてみたいと思います。 (1)玩具に di-(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)を 4.1%含有している。基準値は附属書 XVII Entry No 51(DEHP、 DBP 、BBP )0.1% ・DEHP を基準値以上含有している事例です。 (2)溶接用革製保護手袋に六価クロムを 23 mg/kg 含有している。準値は附属書 XVII Entry No 47 3 mg/kg (0.0003%) ・六価クロムを基準以上に含有している事例ですが、皮膚接触革製品の基準が 2015 年 5 月 1 日から 3ppm に強 化された直後の摘発です。産業用専門家用途製品での摘発で注目されます。 (3)宝飾品にカドミウム(47%)、鉛(0.22%)を含有している。基準値は、カドミウムは附属書 XVII Entry No 23 0.01%、鉛は附属書 XVII Entry No 63 0.05% ・宝飾品のロー付け部分の摘発と思われますが、日本では合法的に販売されているロー材です。 (4)装飾用ランプのランプが子供の手が届き飲んでしまう可能性がある。基準値は附属書 XVII Entry No 3 危険物 質の使用禁止と表示 ・燃料(危険物質)に対する表示(この液体を入れたランプは子供の手の届かない所に保管しなければならない) がないという使用方法による摘発です。 (5)魔法瓶(Thermos flask)にアスベストファイバーを含有している。基準値は附属書 XVII Entry No 63 意図的使用 禁止 ・基準値がなく、意図的使用は極微量でも不適合となります。一方、非意図的含有との識別の難しさがあります。 REACH 規則の制限の企業対応は、事例(1)が中心で考えられています。事例(2)は、2015 年 5 月施行されて間も なく、仕掛在庫、物流在庫の管理が課題となる事例です。 事例(3)は、販売が日本国内であったものが、顧客が輸出したような商流により適合、不適合になる事例です。 事例(4)は、製品そのものより使用方法による摘発です。RoHS(II)指令などのニューアプローチ指令の"The Blue Guide 20162)"の 2.7 項(意図した使用/誤使用)でいう「合理的に予見できる使用条件を誤使用を含めて深く考慮す る」の考え方です。 事例(5)は、基準値ではなく「意図的使用禁止」という理念は理解できるものの企業対応に悩むところです。 意図的使用は、かつて ELV(廃自動車)指令 3)の Annex I で特定有害物質の最大許容濃度は非意図的添加として カドミウム 0.01%、水銀、鉛、六価クロムは 0.1%としていました。その脚注で意図的添加を「最終製品に特定の特徴、 外観もしくは質を提供するために、 継続的な存在が要求される材料や部品が組織として計画的に利用されることを 意味する」と説明していました。 その後、最大許容濃度は意図的非意図的を問わずと改正され、RoHS 指令も同様の規制になりました。 日本企業のグリーン調達基準でも「意図的使用禁止」「使用禁止」などがあります。長いサプライチェーンを考えると、 「意図的使用」でないことの適合説明をどのようにするかが企業の課題になります。 参考になる例として、食品接触材料に関する規則(Regulation 10/2011)4) plastic materials and articles intended to come into contact with food 通称:PIM)があります。 PIM では、附属書 I に収載されたユニオンリストに収載された物質しか意図的に利用できなく(第 5 条)、この適合宣 言(Declaration of compliance:DoC)を附属書 IV により作成しなくてはなりません(第 15 条)。 附属書 IV には食品へのプラスチックからの物質の溶出量に関する技術的データが要求されています。適合宣言を サプライチェーンで渡していきますが、トレサビリティが要求されます(第 17 条)。 5 PIM で問題になるのが「非意図的添加物質」の含有です。用語の定義では、「非意図的添加物質(non-intentionally added substance)とは、物質中の不純物、生産プロセスで生成された反応中間体、分解物、反応生成物」としていま す。また、サプライチェーンのなかで、上流からの物質に追加、多層化することやコーティングや印刷することもありま す。このような場合は、DoC は修正されます。 サプライチェーンのなかでの追加、合成などでの追加物質は、ユニオンリストに収載されていない物質も当然あり 得ますので、PIM での最終製品には、「意図的添加物質」と「非意図的物質」が含有されています。当然ながら「非意 図的物質」の安全性は要求されます。 「意図的添加物質」の含有証明はできるのですが、「非意図的物質」については「意図的に入れていない」ことの証 明は難しいものがあります。 Food Packaging Forum が非意図的添加に関する資料 5)を公開しています。 非意図的添加物(NIAS)は、材料の中にありますが、生産プロセス中では技術的な理由で加えられていない化合 物です。食物コンタクト材料(FCM)中のそれらの存在は、消費者に一般に知られていないものといえます。 NIAS の構成物質としては、「分解生成物(ポリマーの分解・添加物の分解)」「不純物」「副生成物(プロセスでの酸 化防止剤・UV プロテクト・接着剤・染料による生成)」「リサイクル由来」などがあります。 分析方法はクロマトグラフィーで分離しマススペクトロ分析しますが、様々な問題があります。 ・未知物質もあり、すべての構成物質を分析できない ・100%抽出できるか ・熱分解法はフラグメンテーションが複雑 ・物質特定ができるか 毒性学による評価は高額になるのでデータベース化が期待されます。 分析で確定できないのであれば、開発での材料選択、サプライヤ選択、工程などのプロセスのリスクアセスメントを 行い、NIAS の構成物質の生成の可能性を踏まえて、DoC の項目の詳細化が必要となります。 DoC の第 7 項の「物質に関する適切な情報、それらの特定の移動のレベルに関する、実験データあるいは理論計 算によって得られた情報」、第 8 項の「温度などの諸条件」がリスクアセスメントのポイントになります。 印刷インクや接着剤などは DoC が必須ではなく、全項目は記載できない場合がありますが、第 8 項などは有用な 情報になりますので、伝達が推奨されています。 EuPIA(European Printing Ink Association)は「非意図的に添加された物質に関するポジションステートメント(声明 書)」を公開 6)しています。声明書では、「印刷インクには化学物質を含有しているが、非意図的に添加された物質で あり、分析もできないが非意図的に添加された物質を含有している」としています。 REACH 規則では、Candidate List 収載物質が成形品に利用される可能性のある情報 7)(Information on Candidate List substances in articles)を開示しています。情報には成形品カテゴリ(Article Categories)と特定された 用途(Identified Uses)が示されていますので、リスクアセスメントのポイントが絞れます。 PIM は多くの皆さまには、直接的に関係しないと思いますが、非意図的添加の対応の考え方は、RoHS 指令や RACH 規則が要求する情報伝達の企業対応の参考になると思います。 (2016/9/23 J-Net21“ここが知りたいREACH規則”コラムより引用) 6 ◆chemSHERPA(ケムシェルパ)関連情報 *パナソニック、化学物質管理システム刷新-調達先1万社に説明 パナソニックは2017年1月、7年半ぶりに化学物質管理システムを刷新する。経済産業省主導で開発した化学物 質情報の伝達方式「ケムシェルパ」に対応するため。8月末までに調達先1万社に対し、新システムの説明資料を配 布した。調達先には17年度中にケムシェルパ方式での情報提供に切り替えてもらう。大手家電メーカーのケムシェル パへの移行スケジュールが明らかになるのは初めて。 化学物質管理システムは製品や部品に含まれる物質情報を登録する。調達先にネットワーク経由で情報を提供し てもらい、パナソニックが製品の法規制への適合を判定するために活用する。新システム稼働後、当面はケムシェル パ方式と、既存のアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)方式の両方の情報を受け取る。これまでパナソニッ クは、調達先にJAMP方式で情報提供を求めてきた。 パナソニックは既存システム「GP―web」を09年7月に立ち上げた。当時は家電事業が中心だったため、自社で 開発した。現在は車載部品事業の拡大などでパナソニックが情報を提供する機会が増えており、新システムは社外 から購入し、独自仕様も入れた。 経産省は複数の方式の乱立が中小企業の負担になっていると考え、標準方式となるケムシェルパを開発した。 現在、OKIがケムシェルパ方式の情報を受け取れるシステムを運用している。また、NECは17年4月にケムシェル パ対応システムを稼働させるほか、シチズンホールディングスも18年度までに対応させるなど利用が広がっている。 (2016/9/2 日刊工業新聞) 7
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