Vol. 23, No. 6

Vol.23 No.6 November – December 2007
セミコン・ジャパン 2007
展示会入場登録、セミナー情報はwww.semiconjapan.org
Contents
ii
SEMIの最近の活動から
P.16 TFT液晶ラインを立ち上げた20年間を振り返
って
P.1 巻頭言:EHSに取り組む私の礎
P.2 ISTF 2007(Industry Strategy and Technology
P.18 実装技術の世界をリードする半導体パッケー
ジ技術者交流会を開催
Forum)報告
P.4 第14回「STS Award」受賞者発表
P.20「半導体等エレクトロニクス製造のためのIFC
EHSガイドライン」
について
P.5 FPD International 2007 報告
P.6 SEMICON Taiwan / SEMICON Europa報告
P.22 MEMSコラボレーション
P.7 US通信:昨今アメリカのMBA事情
P.24 開発秘話:分析業務における短納期の実現
P.8 セミコン・ジャパン 2007 いよいよ開催
P.26 3族窒化物半導体関連物質の可能性の探索
P.10 2007年度「SEMIスタンダード日本地区プランニ
P.28 SEMI新会員企業のご紹介
SEMIの教育プログラム「ハイテク・ユニバーシ
ティ」
ング会議」報告
P.12 SEMIマーケット・レポート
P.14 JPEA 太陽光発電協会とその活動について
iii
SEMI Newsコラム:風力発電
SEMIの最近の活動から
今年の9月は日本の政界にとっては激震の月となりましたが、SEMIにとっての9月はその年の
クロージングに向けてアクセルを踏み直す月でもあります。
( 社)
日本半導体製造装置協会
前号で簡単にご報告いたしましたように、9月第一週には、
との合同フォーラムISTF(Industry Strategy and Technology Forum)
を、パシフィコ横
(SEAJ)
浜において、1,800名を超える参加者を得て盛大に開催することができました。9月第二週
には台北市でSEMICON Taiwanが開催され、出展社数756、小間数1,450、来場者数21,409
といずれもSEMICON Taiwan史上最大の規模となりました。これは単に台湾半導体産業の
力強さのみならず、半導体産業そのものの更なる成長性の証とも言えます。併催行事の中
では、450mmの今後についてのパネル、そして初めて開催された太陽光発電フォーラムが
特に高い関心を集め、いずれも定員を大きく上回る聴衆で埋まりました。
SEMIジャパン
代表代行 内田 傳之助
9月3日には、SEMIが太陽光発電協会(JPEA)
と共催で開催する太陽光発電に特化した展示
(2008年7月30日∼8月1日 於:東京ビッグサイト)
の正式アナウンスを行
会『PVJapan 2008』
い、直ちに出展社募集を開始いたしました。近年世界的な関心が急速に高まってきました
地球環境問題や新エネルギー問題の中で、特に太陽光発電は、無限大、無偏在のリソース、
そしてクリーンさで群を抜いた注目を集めております。SEMIでも、SEMICON Europaやセミ
コン・ジャパンを中心に、数年来この太陽光発電関係に取り組んでまいりましたが、今般太
“再生
陽光発電協会ならびに再生可能エネルギー協議会のご賛同を得て、3団体が協力し、
可能エネルギー世界フェア”と冠した総合イベントを開催することで合意、本『 PVJapan
2008』はその一環として開催するものであります。
すでにSEMIの20%以上の会員が太陽光発電関係の業務に携わっておられ、今後この分野
への進出は加速度を増すものと考えられます。SEMIでは、この太陽光発電関係に一層注力
してまいる所存です。SEMIジャパンにとりまして、その記念碑的な第一歩となります本
『PVJapan 2008』に対し、皆様方のご支援とご指導を心からお願い申し上げます。
引き続いて9月5日・6日には、東京と大阪でセミコン・ジャパンの出展社説明会を行い、800
社を超えるご出展社に出席いただきました。今年のセミコン・ジャパンには、すでに4,585小
間のお申込みをいただいており、過去最大規模での開催になる見込みです。これも長年に
わたる皆様方の格別のご支援・ご協力の賜物であると同時に、セミコン・ジャパンにお寄せ
いただいている強いご期待の表れであると存じます。SEMIジャパン一同、このことを深く肝
に銘じ、規模のみならず数々の併催行事を含め、質・内容の面でも皆様に真にご満足いた
だける最高の総合展示会とするべく、ベストを尽くしてまいる所存にございます。皆様揃っ
てのご来場を心からお待ち申し上げております。
10月第二週には、SEMICON Europaが、会場を昨年までのミュンヘンからシュツットガルト空
港に隣接して新設なったシュツットガルト・トレーデフエア・センターに移して開催されまし
た。今年は太陽光発電関連の展示も本格的に加わり、800社を超える出展社を迎え大変活
気のある展示会となり、好評裡に終了いたしました。
10月24日からは、パシフイコ横浜で、日経BP社との共催によりFPD Internationalを開催。国
内外のパネルメーカーの大小さまざまな鮮明で美しい新型ディスプレイがホールを埋め、来
場者も史上最多となり、会場は熱気に満ちて、薄型ディスプレイ時代の到来が肌で感じら
れる展示会となりました。25日夜には、FPDIに来訪した近隣諸国のFPD業界の要人をお招
きし、初めてのSEMI Asia Nightを開催。台湾、韓国、中国、そして日本を中心に約180名に
参加いただき、国際的なネットワーキングを大いに広め深めていただきました。
11月4日から7日まで、ハワイのマウイ島で第23回国際トレードパートナーズ会議が開催され
ました。改めてご報告申し上げます。
さて、いよいよ師走も近づき、皆様一段とお忙しくなられるとことと存じますが、ご自愛の上
ますますのご発展を祈念申し上げます。
SEMI News • 2007, 11-12
Contribution Article
EHSに取り組む私の礎
セイコーエプソン株式会社 取締役会長 草間 三郎
あきら
私が「2003年 井上 □ EHS賞」
組もうという一体感が活動を進める過程で醸成され、それが相
を受賞してから、早いもので 4
乗効果として結実したのだと思います。もちろん、半導体事業部
年近くが経ちました。この間、
も全社での全廃に先んじて、1991年に達成しています。
半導体産業にも、EHSに対する
考え方にも、それぞれ変化があ
エプソンの、そして私のEHSに対する姿勢は、このフロンレス活
りました。
動を抜きに語ることはできません。この活動での成功体験が、当
PCを中心とした情報通信分野に加え、
携帯電話、
半導体産業は、
社にとっては大きな転機となり、環境保全活動との両立を明確
ポータブル音楽プレイヤーに代表される小型携帯機器、家庭用
「井上 □ EHS賞」
の
に意識した企業活動が進められ、4年前の
ゲーム機などのエンターテイメント機器など、さらに市場の多
受賞という栄誉をもたらし、そして現在へとつながっているの
軸化が進み、
基幹産業として着実に発展を続けてきました。一方、
です。
あきら
EHSについても、毎年関心の度合いが高まっています。これは裏
を返せば、地球温暖化や異常気象、食品の安全管理問題など、
当社は現在、
「地球温暖化防止」
「資源循環・省資源」
「化学物
喜ばしくない話題に事欠かないためなのでしょう。
質管理」を柱に、全世界で活動を展開しています。
「地球温暖化
防止」活動においては、半導体をはじめとする電子デバイスの製
当社の半導体事業は、クオーツウオッチの部品として、小型・低
造工程におけるCO2の排出量削減に力を入れており、インクジェ
消費電力・高耐久という条件を満たすCMOS ICを自社開発す
ット技術を工業用に応用した革新的な製造プロセスを実用化し、
ることから始まりました。私がこの事業に携わったのは、1986年の
一定の成果をおさめています。また、
「資源循環・省資源」活動で
IC設計部長就任時に遡りますが、当時はパーソナルコンピュー
は、半導体製造工程で発生するフッ酸廃液のクローズドリサイクル
タの黎明期で、半導体の用途に拡がりが出始めた頃です。4年後
をはじめ、
徹底した資源の有効活用を進めています。
には事業部長としてすべての舵取りを担う立場となり、急伸す
る需要に対応するための生産体制・販売体制の整備、
製品群の
ただ、加速度的に進行する地球温暖化や、枯渇が目前と言われ
拡大と技術開発など、まさに奔走する毎日でした。忙しくも充実感
る石油や天然ガスなどの資源問題を考えると、企業として何をす
を得ることができたこの時の経験は、私の大切な財産であり、ま
べきかを、さらに突き詰めて考える時期に来ていると感じてい
た私の半導体事業への思い入れを深くする所以でもあります。
ます。企業も、宇宙船地球号の搭乗者ということを今一度肝に銘
じ、地球の恩恵を受けて活動する者すべてが、地球を守るために
私が環境問題と深くかかわることになったのも、半導体事業部
協力する。これは、かつてのフロンレス活動より、はるかに難し
に籍を置いている時です。当社は1988年に世界に先駆けて「フロ
い課題です。しかし、多くの知恵が集まれば、改善への糸口が
ンレス宣言」
を行いました。人体への毒性や引火性がなく、無味
見えてくるはずです。全世界に多くの会員企業を持つSEMIが推
無臭という優れた特性を持つことから、ピーク時には年間約
進するEHSへの取組みは、まさにそれを具現するものと考えてい
1,400トンものフロンを使っていましたが、一転してフロンがオ
ます。今後さらにリーダーシップを発揮して、この活動を広く深
「全廃」
を宣言した
ゾン層破壊物質だとわかるや、5年後のフロン
く展開していただきたいと思います。
のです。しかし、技術的な見通しなど何もない段階における宣言
あきら
に、正直なところ現場での困惑は否めませんでした。ところが、 「井上 □ EHS賞」受賞後の4年間に、私の立ち位置も少し変わ
エプソンの英知を集めた取組みの結果、驚くことに予定を大幅
りました。トップマネジメントの一人として、当社が成長し続ける
に短縮し、約4年で全廃を達成することができたのです。諏訪湖
ために全力を尽くすことには変わりありません。しかし、物事を
のほとりという風光明媚な地で操業する企業として、もともと
見る時、一歩後ろにさがると視界が拡がるように、私もこれまで
環境への意識が高かったこと、世の中にないモノを開発したい
より広い視野で、産業界のことを、地球環境のことを見渡せる
という意欲的な技術者が集まっていたことに加え、高い目標が
ところに立っています。これまでの経験を活かしながら、産業と環
ゆえに事業部間の壁を取り払い、全社がスクラムを組んで取り
境の両立という大きなテーマに挑戦し続けたいと思います。
11-12, 2007 • SEMI News
1
ISTF 2007 Report
ISTF 2007(Industry Strategy and Technology Forum)報告
半導体の新たなる潮流−多様化する用途そしてビジネス−
ISTF
(Industry Strategy and Technology Forum)
は、半導体および
FPD業界に対して、最新の技術およびマーケット情報を提供すると
ともに、デバイスメーカーと装置・材料メーカーの交流の場を提
とSEMI
供することを目的に、日本半導体製造装置協会(SEAJ)
の共催で2006年に新たに創出されたフォーラムです。
(火)
・5日
(水)
の両日、第 2回開催となるISTF 2007
去る9月4日
が、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で、1,881名の参加者を
得て盛大に催されました。今年は、ファウンドリーの躍進、ファブ
レスの台頭、ファブライトへの移行、そしてマーケティング重視
の経営など、最近の半導体業界の流れを踏まえて
「半導体の新た
図1
な潮流−多様化する用途そしてビジネス」
をメインテーマに掲
げ、ビジネスから技術の各論にいたる多様な内容について、さま
ざまな視点から議論を深めました。
去には、
トップメーカーからはだいぶ遅れる成熟したプロセス
初日午前に「基調講演」
、午後にパネル討論を含む「ビジネスス
技術を採用して顧客の設計した半導体デバイスを製造してきた
トラテジーセッション」が行われ、夜は場所を隣接するインター
、いまやプロセス開発、回路設計、製造にいたるま
が(図1上)
コンチネンタルホテルに移してレセプションが開催され、参加
。したがって、プロセス
で、顧客と緊密に協業している
(図1下)
者にとって情報交流やネットワーキング構築の絶好の機会とな
開発でもトップランナーとなり、300mmウェーハ月産10万枚規模
「個別製造技術」
「技術ロードマップ」
「装置・
りました。2日目は、
のギガファブでの生産だからこそ、歩留りも急峻に向上でき、コ
「市場動向」の5分野にわたる11のセッシ
ストラテジー」
「FPD」
ストも大幅に削減できるという説明をされると、会場からため息
ョンが同時並行で開催されました。
が漏れました。
■基調講演
■ビジネスストラテジーセッション
1日目午前のオープニングセッションでは、独立行政法人理化学
1日目午後のビジネスストラテジーセッションでは、
「技術を生か
研究所 脳科学総合研究センター所長の甘利俊一氏の「脳とコ
し、利益を厚くする、ロジック半導体のビジネスモデルとは?」
(Taiwan Semiconductor Manufacturing
ンピュータ」
、台湾TSMC
をテーマに、
(株)
ルネサステクノロジ 取締役 システムソリュー
Company)
製造担当シニアバイスプレジデントのMark Liu氏の
ション統括本部長の馬場志朗氏、米国IBMテクノロジー・アラ
「技術提携で差別化を図る」の2件の基調講演が行われました。
(株)代
イアンス・ディレクターのToshio Mii氏、山形日本電気
甘利氏は、まず、地球誕生から人類誕生までの46億年の歴史を
表取締役社長の佐藤奨氏、コバレントマテリアル
(株)代表取
振り返り、心を持ち社会に生きる生命体としての人間という生物を
締役社長の香山晋氏がそれぞれ講演された後、
(株)
ニコン
研究する意義について述べられました。心を持つ人間と持た
執行役員 精機カンパニー開発本部長の馬立稔和氏が加わり、
ないコンピュータについて対比され、脳科学のコンピュータへの
UBS証券会社 株式調査部シニアアナリストの進均氏が司会
応用の一端を紹介されました。20世紀には、物理学、数学、生物
進行を担当されて、パネル討論が行われました。
学、情報科学、人間科学などの基礎科学が個別に発達してきた
「本来なら日本勢が儲かって当然のデジタル家電やモバイル向
が、21世紀は、これらが統合したナノ・バイオ・インフォ・テクノロジ
けロジック半導体ビジネスで利益がでないのはなぜか?」
「ファ
ーという新たなスタンスで、人の心のなぞに迫る脳科学と取り
ブレス・ファブライトが増える中で、IDMとして設備投資して
組むようになると話を結ばれました。
いくメリットはあるのか?」
「なぜ日本の半導体メーカーはグロ
TSMCのLiu氏は、
「技術提携こそが他社との差別化の源泉であ
ーバル化できないのか?」
などの議論が交わされ、
「半導体メー
る」
とし、同社が過去のビジネスモデルから脱皮し、新たなビジ
カーは、最も得意な分野に絞り込んでシェアを確保し、キャパを
ネスモデルを採っていることを明らかにされました。つまり、過
増やすようにすべきだ。デバイスメーカーが何で勝負するのか
2
SEMI News • 2007, 11-12
ISTF 2007 Report
明確にしてくれたら、装置・材料メーカーも対処しやすい」
とい
う最大公約数的な意見が聞かれました。
Semiconductor International Japan 服部 毅
次に2日目の主なセッションを紹介します。
■マーケットトレンドセッション:
半導体ビジネスの中長期展望−どのようなアプリケーション
がビジネスチャンスを生むのか−
中長期で半導体ビジネスを展望した際、どのようなアプリケー
ションが今後ビジネスチャンスを生み出すのかをテーマに、業
界の著名な方々に議論いただきました。
た。本分野に造詣の深いパネリストの興味深いお話と、それ
フィノウェイブインベストメンツ
(株)取締役社長の若林秀樹氏
をうまく引き出された司会の若林氏のお力により、非常に有意
が司会となり、パネリストとして、経済産業省 産業技術開発
義なセッションになりました。レーザーテック
(株) 浅井 浩志
局 研究開発課 研究開発調整官 藤原達也氏、ローム
(株)取締
役研究開発本部長 高須秀視氏、
(株)
東芝セミコンダクター社
(株)代表取締役社
大分工場 長各務正一氏、TSMCジャパン
■アプリケーショントレンドセッション:
多様化する半導体アプリケーション―これからの5年
長 小野寺誠氏に参加いただきました。
今後の半導体市場の安定成長を牽引する新たなるアプリケー
司会の若林氏は、各パネリストに、①今後伸びるマーケットは?
ションが台頭しつつあります。太陽光発電、ICタグ、ナノテクノロ
②日本にファブレスメーカーが少ないことをどう考えるか?
ジー、バイオ・ヘルスケアの将来が期待される分野を選び、各分
③日本のメーカーが収益性を良くするにはどうしたら良いか?
野の著名な講師をお招きして、講演いただきました。
等の重要な問いかけをしつつ、御自身でも企業間の人材流動化・
1. 世界の太陽光発電システム市場動向:
グローバル化の重要性等を指摘されました。
(株)資源総合システム
泉名 政信 氏
経済産業省の藤原氏は、同省が推進する技術戦略マップ
(導入
太陽光発電システムの利用が、2000年以降めざましい勢いで拡
の紹介をされ
シナリオ、技術マップ、技術ロードマップの3部構成)
大し、2005年には世界で1GWを超え、特にドイツが急拡大して
(2007年度)
に関し
ました。技術戦略マップは、先端産業25分野
ドイツ、日本がほぼ並ん
います。2005年末までの累積導入量も、
て策定し、産業技術政策の研究開発マネジメントツールとして
できました。2006年の世界の太陽電池生産量も、前年伸び率が
産業界・研究開発者に対して情報提供を目的とするものです。
40%を超え、その中で日本の生産は8年連続で世界一です。最近
ローム高須氏は、高付加価値化と差別化の視点から、戦略的に
の需要増加に対応するM&A、投資等で産業界全体に大き
方向性を決める重要性を述べられました。ロームが研究している
な動きが起こってきています。今後も、資源問題や環境問題の
具体例として、ElectronとOpto/Phonicの融合製品等の紹介をさ
対応として各国の政策主動の需要が見込まれます。2020年以
れました。
降における需要は現在の10∼数10倍と想定されるシナリオが
東芝の各務氏は、SoCのビジネスに関し、①今後5年間、携帯電
提示されており、持続的成長可能な太陽光発電産業の創出に
話用SoCが最も付加価値が高く生産量も多いアプリケーションで
向けた関連業界の取り組みが望まれます。
あり続けるであろうこと②一つの新アプリケーションには多く
2. 超小型ICタグの技術動向と応用:
(株)日立製作所 宇佐美 光雄 氏
のトランジスタが搭載された複雑なSoCが必要とされ、しかも
1998年に、ICタグのコンセプトをチップサイズ0.5×0.5mm2以
2∼3年ごとにそのトランジスタ数は約2倍になっていることを説明
下、EBの活用として技術開発を行ってきました。ICタグチップと
されました。
しては、2003年に0.3×0.3mm 、2006年に0.15×0.15mm を実
TSMC小野寺氏は、ゲーム機やi-Podの例から、市場の拡大スピ
現し、さらに0.05×0.05mm を開発中です。今後のアプリケーショ
ードが劇的に速くなっている事実や、携帯電話やPCでは同じアプ
ンとしては、Flexible RFID Cables、Thin RFID Papersおよびナビゲ
リケーションでもHi-EndとLow-Endへの2極化が進んでいるこ
ーション等に期待しています。コスト低減のための技術としては、EB-
とを指摘されました。
Written ID-Memory、SOI CMOS、Double-Surface Electrode
マーケットトレンドセッションでは、非メモリー分野において
が重要。ID-MemoryのScaled-Downメリット、Double-Surface
もやり方次第で大きな成長と収益が期待できることを感じまし
Electrodeの組立て容易性が低コスト化に大いに寄与します。今後
11-12, 2007 • SEMI News
2
2
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3
ISTF 2007 Report / STS Award
のアプリケーションの拡大およびビジネスモデルの確立が重要
を開発し、DNAの伸張固定および蛍光プローブDNAによるハ
です。
イブリ検出を確認しました。半導体−バイオ融合デバイスは、多
3. ナノテクノロジー研究開発動向と産業イノベーション:
数の企業・大学等で研究されており、実例として人工網膜等の身
(独)産業技術総合研究所 横山 浩 氏
体機能の補助となる半導体、飲込み内視鏡カプセル等がありま
ナノテクノロジーは、政府のR&Dにおける重点4分野の一つに
す。半導体・バイオ融合デバイス開発にはいろいろ方策がありま
挙げられている重要分野です。2001年から2003年におけるナ
すが、現状はマーケットがないことが難点です。確立した医療の
ノテクノロジーへの投資の伸び率は、年35%と大きな伸びを示
ハードルは高いが、技術的には見えてきているので、今後は、便
2
しています。産総研では、クリーンルーム600m のラインを構築し、
利だというPRが必要になってきます。
大学と連携して研究開発を進めています。ナノテクノロジーの特
5. インテルのデジタルヘルス戦略:インテル(株) 板越 正彦 氏
許が、産総研全体で2001年以降の5,200件のうち31%を占め、
インテルのヘルスケアは、1999年のエスノグラフィー
(民族誌
市場の大きいエレメント、最終製品でのIPのライセンスに注力
学)研究がきっかけで始めた統合デジタルホスピタルを目指し
しています。ナノテクノロジーは社会のいたるところで使われ
ており、医師、看護士等の医療従事者のニーズに対応する利
るようになり、炭素繊維複合材料の航空機、自動車への応用、イ
用モデルの要件を満たす各種のプラットフォームを提供していま
ンクジェットをSubμmに微細化することによる超微細な印刷の
す。モバイル・クリニカル・アシスタントは、医療従事者のニーズ
実現等があります。
に対応するために開発されたプラットフォームで、日本の医療
4. 半導体とバイオ融合の現状と将来:
機関でも検証しています。また、家庭での健康管理のニーズへの
(独)物質・材料研究機構
堀池 靖浩 氏
対応は世界共通の課題であり、各種ソリューションを提供して
無痛針による採血システムの開発による6μlの採血の実現と、
います。標準規格はシステムの普及に不可欠であるので、IEEE等
6μlの全血から3項目を測定する比色法診断チップの開発を行い、
に優秀な社員を送るとか、各種アライアンスを構築して、標準
実用化につながる測定結果を得ました。また、感染症診断チップ
化に力を入れています。
(株)日立製作所
周藤 仁吉
第14回「STS Award」受賞者発表
−SEMIテクノロジーシンポジウムにおいて優れた講演に授与−
SEMIでは、セミコン・ジャパン期間中に、STS(SEMIテクノロジ
ーシンポジウム)
を開催しています。STSは、1982年より開催し
・エム・エフエスアイ(株) 糸井 賢一
「先端のCu/Low-k多層配線に対応した極低温エアロゾル洗
ている半導体製造技術のシンポジウムで、今年で26回目の開催
浄技術」
となります。毎年、半導体の技術動向・技術課題を洗い出し、実
・
(株)東芝
用化技術を提示する場として、また、国内外の半導体メーカーと製
造装置・材料メーカーの技術交流の場として、高い評価をいただ
いています。
STSでは、優れた講演に授与するSTS Awardを設けています。こ
稲葉 聡
「hp32nmノード以降に向けたbulk-FinFET SRAM技術」
・日本電気(株) 水野 正之
「先端LSI設計・開発を支援するlps精度のオンチップジッタ測
定回路技術とその応用」
のSTS Awardは、前年のSTS全講演の中から、技術面での情報
授賞式は、
「SEMIテクノロジーシンポジウム2007」の中で行わ
の価値・有用性、適時性・タイミング、話題性・オリジナリティ、プレ
れ、受賞者はスピーチを行います。どなたでも無料でご出席いた
ゼンテーションに優れていた講演に授与されます。選考にはSTS
だけ、事前のお申し込みは不要です。
プログラム委員会があたり、聴講者アンケートの結果も参考にさ
(水) 12:50-13:15
日時:12月5日
れます。
会場:幕張メッセ国際会議場2FコンベンションホールA
第14回STS Awardには、次の方々が選出されました。
■第14回STS Awardの受賞者および受賞講演タイトル
・IBM, Sani R. Nassif
「Model to Hardware Matching for nm Scale Technologies」
・Nokia, Kauppi Kujala
「POPの必要性と期待」
4
STS論文募集
STSでは、毎年各セッションで発表いただく講演論文を広く募集
しています。2008年も5月中旬ごろに論文募集を行う予定です。
詳細はSEMI Webサイトwww.semi.orgに掲載されますので、内容
をご覧の上、ぜひご応募ください。
SEMI News • 2007, 11-12
FPDI Report
FPD International 2007 報告
フラットパネルディスプレイ製造・検査装置、部品・材料の総合展示会イベント
去る10月24日
(水)
∼26日
(金)
の3日間にわたって、パシフィコ横
(主催:日経BP社 共催:SEMI)
が
浜でFPD International 2007
開催された。SEMIが共催となって3回目の開催である。世界の
ほとんどすべてのパネルメーカーから最新のディスプレイが出
展されるとともに、装置ゾーン、部品材料ゾーンにも世界中から
(国内269社、海外61社)
、小間
出展があり、全体で出展社330社
数885小間、来場者も69,571名となった。今年もパシフィコ横浜
の展示ホール全館を埋め、次の時代が見えるFPD展示会として
定着した感がある。
海外パネルが勢ぞろいしているのに加え、液晶、PDPはもちろん
多くの来場者で賑う展示会場
のこと、有機EL、電子ペーパディスプレイ、さらにはFEDなど、
あらゆる種類のディスプレイがそろって出展され、さらに各種
用途に向けた多数の新技術も加わって、この展示会ならではの
展開となった。なかでも、有機ELは内外合わせて5、6社以上が
大小ディスプレイの展示を行い、新しい変化への注目を集めて
いた。これに対抗する薄型液晶が、大型テレビ用、ノート用とも
各社から薄さを競って展示されていた。
特に今年注目される傾向として、液晶材料、レジスト、バックラ
イト、各種フィルム、有機材料等、部品材料の有力企業が新規も
含めてそろって出展し、充実度が上がるとともに、この分野の出
展が増加した。製造、検査装置ゾーンが今年もまた最も大きな部
分を占め、すでに第10世代用に関する新技術、製品まで多数の
世界最大の液晶モニタ
(108型)
会社で展示されていた。
展示会の特徴となっているセミナーは、基調講演、基調セッショ
対応して、2日目の夜に、初めての
「SEMI FPD Asia Night」
ディナ
ンのほか、有料セミナーが全体で43セッション開催された。初日
ーが行われた。総勢177名の参加者は、地域別に、日本62名、台
には、Samsung Electronics President、Sang-Wan Lee氏ならびに
湾72名、韓国10名、中国28名、米国他5名であった。アジア各地
LG.
ソニー テレビ事業本部 本部長 福田隆志氏の基調講演と、
域のパネルメーカーVIPやFPD装置・材料業界のVIPが、これほ
Philips LCD、AU Optronics、Samsung SDIの3社によるFPD
どにグローバルな交流の場をもったのは初めてのことと思われ
サミット基調セッションの講演があり、会場にあふれるほど多く
る。世界で開催されているSEMIのFPDイベントを紹介する場
の聴講者を集めた。
ともなり、またグローバルなSEMIにしかできないイベントとし
初日の夜行われたVIPパーティーでは、日経BP社 大輝精一社長
て、FPD Internationalの一層のグローバル化に大きく貢献する
に 続 いて、SEMI Executive Vice President、Dan Martinが
ことができた。
SEMIを代表して挨拶を行い、その中で、
「SEMIは、このような展
また、SEMIスタンダード関連イベントとして、各委員会、タスク
、スタンダード活動などのFPD
示会や国際経営者会議(GFPC)
フォース会議のほか、
「FPD Factory Automationワークショップ:
活動を行うに当たって、世界のパネルメーカー、特に日本のパ
超大型基板対応のFPD生産に向けて」が開催され、台湾のAU
ネルメーカーから多大の協力を得てきました。それがSEMI関連
Optronicsの設備関連部長の講演を含む大型ガラス基板の枚葉
業界のこれまでの発展の原動力であり、ここに深く感謝申し上
搬送対応の標準化への取組みが半日にわたって発表された。
げます」
と感謝の言葉を述べた。
(水)
∼31日
(金)
来年のFPD Internationalは、2008年 10月29日
今年は、SEMI台湾オフィスが大勢の使節団を誘致してきたのに
の3日間にわたって同会場で開催の予定である。
11-12, 2007 • SEMI News
5
SEMICON Show Report
SEMICON Taiwan2007報告
−世界をリードする台湾へ / 太陽電池市場にも注目−
去る9月12日
(水)
∼14日
(金)
に台北市の世界貿易センターで開催
されたSEMICON Taiwan 2007では、過去最高の出展社数750
社、
1,500小間、
実来場者数約21,000名が集まった
(昨年:606社、
1,390小間、
19,873名来場)
。
展示会場では現地法人を含む日系企
業ブースが目立ち、
製造装置から計測・検査装置、
材料まで幅広
装置メーカーの話では、
台湾
くカバーし、
全体の約2割を占めた。
の巨大ファウンドリを支える労働力として女性が急増しており、
女性が使いやすい設計の装置を求められるようになったという。
Inotera、
ProMOS、
また、
台湾は設備投資も前年比50%増と活発で、
Rexchip、
そしてNanyaなど、
フラッシュメモリ、
DRAM共に今後
2011年ごろまでは好況が見込まれている。
台
も生産能力を増し、
0.18マイクロメートルの微細技術
湾企業の中国進出に関しても、
ある2社がそれぞれ異なる見解を見せた。
しかし、
「実際に移行
移転が許可されたことから、
ますますアジアの重要性が増して
という現実的な問題もあり、
可能なのは世界で3社だけでは?」
きている。
また、
併催プログラム
「次世代ファブ:300mmプライ
この議論の答えが出るのは、
まだ少し先のようだ。
では、
Applied Materials、
Brooks Automation、
富士通、
ム&450mm」
新市場関連では、
今年新たに開設された
「ソーラーエグゼクティ
ITRI、
TSMCをパネラーに迎え、
本音の議論が交わされた。
450nm
Motech、Neo Solar Power等
ブフォーラム」
に385名が詰めかけ、
に関しては、
積極姿勢を見せるTSMCと慎重姿勢のApplied
セルメーカーと、Applied Materials、ICOS、Oerlikon等の装置メ
Materialsという構図で、サプライヤーとカスタマーという関係に
ーカーのプレゼンに真剣に耳を傾けた。
太陽光発電にスポットをあてたSEMICON Europa 2007
今年のSEMICON Europaは、
8年間続いた春のミュンヘンから、
置メーカーのターンキーベースの薄膜太陽電池製造ライン、独
メルセデスベンツ、Max Planck研究所等が立地するドイツの先端
ゼネコンからは太陽電池工場新設の一括請負、
太陽電池のEMS
産業・研究開発中心の一つであるシュツットガルトに拠点を移
製造、
製造ラインにおける品質管理等々、
幅広いテーマについて
去る10月9日
(火)
∼11
し、
昨年を上回る約800社の出展を得て、
の発表があり、
参加者との間で熱心な議論が行われた。
日
(木)
まで盛大に開催された。
会場の新国際展示場は、
シュツッ
また、
スタンダードでは太陽電池製造装置の標準化についての
国際空港に面した交通の便
トガルト市内から地下鉄で約30分、
タスクフォースミーティングが持たれ、装置とホストおよび装置
2
に恵まれた開発ゾーンに約100,000m の規模で今春オープンした
2008年
間のコミュニケーションに関するSEMIスタンダードを、
ヨーロッパ有数の最新展示場で、ゆったりとした配置で9棟の展
秋までに開発することが合意された。
ドイツを中心に太陽電池
2
示ホールと5000m の国際会議場が併設されている。
メーカー、装置メーカー、ソフトウェア関係者からなる検討チー
今回の展示会場はHall 1とHall 3の2ホールを使用。Hall 1は主
ムが結成され、
今後本格的な活動を開始する。
Hall 3には約
として従来からの半導体関連の装置・材料を展示、
SEMI推定/予測によれば、
太陽光発電関連の製造装置、
材料の市
160社のPV関連の出展社を集めた。また、Hall 3の一角に約100
2006年の7億ドル、
20億ドルから、
2010年にはそれぞ
場規模は、
席のSEMI Technology Arenaを設置、
そこでの出展社プレゼンテ
40億ドルに達すると見込まれている。
その後も、
半
れ36億ドル、
ーションは黒山の人だかりの盛況で、
来場者の太陽光に対する
導体・FPD分野で培われた技術を活かした新技術とコストダウ
関心の高さと期待の大きさを痛感した。
ンが牽引車となって、
引き続き高い成長が期待されている。
今回
10月10・11日
国際会議場では、
世界各地から約80名が参加して、
SEMIでは、2008年
のSEMICON Europaでの成果を踏まえて、
の両日にわたって第3回Advanced Photovoltaic Manufacturing
の開催をはじめとして、こ
夏の東京ビッグサイトでの
『PVJapan 2008』
Technology Conferenceが開かれた。
この会議では、
欧米大手装
の分野での取組みを強化し、会員の皆様の期待に応えていきたい。
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SEMI News • 2007, 11-12
US Report
US通信:昨今アメリカのMBA事情
パシフィック・ドリームス・インク 代表取締役社長 酒井 謙吉
アメリカ人のビジネスパーソンたちはどのようにして常日頃か
が都市部に乱立し始めれば、おのずとMBA自体の持つ付加価
ら自らのキャリアアップをはかっているのか、恐らく日本のビ
値がどれだけ維持できるのかという要らぬ心配も頭をもたげてま
ジネスパーソンたちにとってもちょっと気になるところではな
いります。しかしそこは市場主義社会の国アメリカ、何の特徴も
いかと思います。今回は、特に日本でもよく耳にするようになった
ないようなビジネススクールは早晩自然淘汰されていきます。多く
MBAについてレポートしてみたいと思います。
のビジネススクールは、それなりの特徴をうまく出しながら、生き残
アメリカでバリバリ働いているビジネスパーソンを思い浮かべ
りどころか立派に成長を続けています。
るとすると、ビジネススクールで MBA( Master of Business
たとえば、私の住むオレゴン州セーレム市にある名門私立大学
Administration:経営学修士)
を取得したエリート社員のイメージ
ウイラメット大学アトキンス・ビジネススクールも、セーレムか
となるのでしょうか。アメリカのビジネススクールは、4年制の
らポートランドのダウンタウンにMBAプログラムを開設した
大学卒業後に進む、通常2年間の大学院プログラムであります。
ところなのですが、この大学は、ノン・プロフィット関係、つまり
ご存知のようにアメリカでは、いったん社会人になって組織の
非営利団体向けに特化したMBAプログラムということでは、全
中で実務を経験し、数年経ってから大学院に入り直すというパ
米で名前が知れ渡っています。当然このビジネススクールの卒
ターンが多く散見されます。
業生は、全米の主たる非営利団体の中で中核的な役割を担って
その辺のトレンドは、ビジネススクールを経営している大学側
います。このことは、ビジネススクールと非営利団体の世界との
も十分熟知していて、社会人でも働きながら学業を続けてMBA
間に太いパイプが敷かれることになり、結果として、ユニークな
の取得ができるようにと、週日の夜間中心のプログラムを設け
ミッション
(使命)
を提供している存在となったわけです。
ているところが増えつつあります。それらのMBAプログラムを、
ビジネススクール出身者はとかく理論先行の頭でっかちばかり
プロフェッショナルMBAであるとか、エグゼクティブMBAで
で、現場のことを理解していないとか、実務上で融通が利かない
あるとか、ビジネススクールによって名称は異なるのですが、場
とかいうような批判は、アメリカの産業界でも根強くあるので
所もオフィス街から便利の良いところに設置したりと、ビジネ
すが、公平に見ても、アメリカで生まれたこのMBAを取得した
ススクール側がビジネスピープル側に対して相当に便宜を図っ
ビジネススクール出身者は、現実的にアメリカそして世界のビ
て、アプローチをかけている感じがいたします。
ジネス界において、リーダーシップを大いに発揮しているので
一方で、アメリカ東部にある有名大学のビジネススクールが、最
はないかと思います。同じビジネススクール出身者の卒業後の
近西海岸の主要都市に進出してブランチ校を開設したりと、
結束も大変固いところがあり、ビジネス界での人脈を作る上で
MBAについてはかなり熾烈な競争が展開されています。それは
大きな幅を利かせているのも事実です。
ここオレゴン州ポートランドのオフィス街でも、一昨年、東部ア
義理の弟マークの伴侶であるキャサリンは、オレゴン工科大学
イビーリーグの名門、コーネル大学のビジネススクールが、ポー
院でレーザー・テクノロジーでの修士号を取得後、ディポンに就
トランドのダウンタウンの一角にあるビルを使って、社会人用
職し、そこでエンジニアをしていたときに、デューク大学のビジ
のMBAをスタートしたところです。
ネススクールで、働きながらMBAを取得しました。MBA取得後
ご存知のように、アメリカの大学、特に州立大学などは、大学し
は、シリコンバレーにある半導体レーザーのベンチャー企業で
かないような田舎町に広大なキャンパスを有していて、日本で
シニアマネージャー職を得て、さらに今年になってからは、やは
は考えられないような素晴らしい環境の中で、学生が学業にそ
りシリコンバレーで、レーザーを使った自動車の排気ガス測定
してキャンパスライフにと、思う存分エンジョイしています。し
装置のベンチャーに副社長待遇として迎えられ、まさに絵に描
かし、そのような田舎町にある大学は、主要都市部からはかなり
いたような華麗なキャリアアップを達成しています。
離れたところにありますので、多くのビジネスピープルは、仕事
まあキャサリンのような成功者が出るのも、MBA取得者ならで
の帰りに遠距離を車で長時間運転して通わない限り、夜間のク
はだと思います。やはり、MBAはアメリカ人の心の奥底では、ア
ラスを取ることはかなわぬ状態に置かれています。そこで、主要
メリカンドリームを具現化できるひとつの成功への道標である
な州立大学は、
都市部の中心地にMBAのコースだけを開設して、
という意識が働いているのだろうと感じます。MBAはまさにア
社会人でMBA取得を目指すビジネスピープル獲得にいまやし
メリカらしい修士号であると申せます。今後とも、MBA取得希
のぎを削っている状況となっております。
望者は引きもきらないものと予測できますし、世界中から優秀
さて、これだけMBAプログラムを有しているビジネススクール
な人間を引き付け続けていくのではないでしょうか。
11-12, 2007 • SEMI News
7
SEMICON Japan 2007
セミコン・ジャパン 2007 いよいよ開催
展示会入場登録、プログラムとイベントのお申込みは www.semiconjapan.org で
今年もセミコン・ジャパンの開催が近づいてきました。来る12月5
も現れてきており、特に環境・健康・安全をめぐっては、未来にわ
日
(水)
∼12/7
(金)
の幕張メッセ全館を使用して、国内外から1,500
たっての多くの深刻な問題が浮上してきています。SEMIは、
社以上、約4,600小間のご出展を得て、史上最大規模での開催
我々人類が抱えるに至った多くの問題、特にEHSを取り巻く問
ナノテ
となります。
半導体製造装置・材料産業を中心に、MEMS、
題にも踏み込み、セミコン・ジャパンを、真の意味での半導体産
クノロジー、製造エンジニアリング、ベンチャー、有機半導体な
業の発展に貢献できる展示会にしていきたいと考えています。
ど関連産業の製品・技術・サービスを網羅した展示が行われます。
セミコン・ジャパン 2007では、半導体業界としてこの問題にど
特設イノベーションホールには、今年から新たに有機半導体パビ
う取り組んでいるかを紹介するコーナーを設け、半導体製造装
リオンが設置されます。また、セミコン・ジャパン期間中には、最
置・材料メーカー、半導体デバイスメーカー、さらには半導体デ
新の半導体製造技術が発表されるSEMIテクノロジーシンポ
バイスユーザーにおけるそれぞれの環境への取組みを具体的に
をはじめ、SEMIマーケットセミナー、EHS(環境・
ジウム
(STS)
紹介していきます(特設イノベーションホール内)
。半導体業界
健康・安全)
などのビジネス/技術セミナーならびに半導体技術
も注目する最先端の燃料電池車の展示や、
企業の環境対策につ
やスタンダード関連の教育セミナー、材料や製造技術の業界標
いての特別講演も行います。また、クイズに全問正解いただいた
準を決めるSEMIスタンダード会議など、多彩なプログラムとイ
SEMI特製エコバッグを進呈(数量限定)
。
さらに抽
来場者には、
ベントが開催されます。特に、近隣諸国へのプロモーションを
“エコテクグッズ”
が当たるという企画も行います。
選で豪華
通じて今年もアジアを中心に多くの海外からの来場者が見込
セミコン・ジャパン2007にご来場いただいた皆様が、環境問題に
まれ、セミコン・ジャパンは国際的な一大総合イベントとなり
ついて共に考え、理解し、更なる取組みへの動機づけとなること
ます。
を願っています。業界の環境問題に対する貢献とその先端技術
■ 実機・実物の展示と
『セミコン・ジャパン リリースプレゼン
“エコテクの未来へ”今私たちに何ができるのか皆様と
を理解し、
テーション∼出展社による新製品・新技術の発表会∼』
一緒に考えていきます。
展示会場内で開催される毎年好評の
「出展社セミナー/IRセミ
ナー」
に加えて、発表内容を新製品・新技術に限定したセミナー
『エコテクの未来へ!』特別講演
「セミコン・ジャパン リリースプレゼンテーション」
を新たに企画しま
12月5日(水)イノベーションホール内メインステージ
す。今年7月のSEMICON West以降に発表され、今回初めて
展示会に出品される新製品・新技術が出展社から発表されま
す。会場は、中央エントランス
(展示会場2Fの5ホール入口付近)
の特設ステージで、オープンスペースで開催されるのでどなたで
13:30-14:30 『進化し続けるテレマティクス∼最新のテレマ
ティクス動向とHondaの取組み∼』
本田技研工業
(株)
インターナビ推進室 室長 今井 武
15:00-16:00 『東芝セミコンダクター社の環境対策状況』
も聴講いただけます。直接会場にお越しください。ここに来なく
(株)東芝セミコンダクター社 プロセス技術推進センター
ては見られない製品や、ここに来なくては知ることができない情
生産技術企画部 企画担当主務 矢島 比呂海
報を、ぜひこのステージでキャッチしてください。
セミコン・ジャパンでは、実機・実物を中心とした展示、デモンス
■ 自然エネルギーの導入
トレーションを行っています。また展示会場内では、実機・実物
セミコン・ジャパン2007では、新しい試みとし
展示を行うブースにフラグを立てて皆様をお待ちしています。
て、展示会場で使用する電力の約 90 %
会場で配布されるイベントディレクトリーでは、新製品の展示
を、グリーン電力を購入するこ
(28,000kWh)
を「NEW」マークで、デモンストレーションの実施を「DEMO」
とで、自然エネルギー
(風力発電・バイオマス発
マークでご案内します。カタログやネットでは味わえない、実
電・マイクロ水力発電)
に切り替えています。
機・実物によるデモンストレーションを直にお楽しみください。
■ アカデミックロードマップ 展示コーナー=科学、技術、ビジ
■ SEMI特別企画コーナー『エコテクの未来へ!』
ネスの「知の交流」=
環境問題は私たちの生活にも影響を与え、より重要視されるよ
経済産業省から応用物理学会に委託されたアカデミックロード
うになりました。社会の成熟化と豊かさに伴いさまざまな歪み
マップの中間報告を展示します。応用物理学の視点から見た半
8
SEMI News • 2007, 11-12
SEMICON Japan 2007
導体関連業界の今後30年の予測を紹介し、
「学」
から
「産・官」
へ
新しいコミュケーションの場を提供するコーナーです。今後の
動向の指針にしていただき、次代の技術イノベーションの種、ビ
ジネスチャンスの種を発見してください。
■ 学生のための業界の魅力早わかり企画「セミコンへ行こう!」
今後ますます重要になると思われる日本の半導体分野への若い
優秀な人材確保の一翼を担うべく、昨年から開始した学生への
取組み「セミコンへ行こう!」をさらに充実させ、今年は1,000
名以上の学生・学校関係者の来場を見込んでいます。
「セミコンへ行こう!」講演会
日時・場所:5ホール前 中央エントランス 毎日12:00-12:50
12/5日
(水)
『半導体産業はすべてのライフスタイルの基礎だ!!』
産業タイムズ社 取締役編集局長 泉谷 渉
12/6日
(木)
『若者は、成長と夢の為にドアを叩け』
アンカー・ビジネス・システムズ 代表取締役社長 永田
一
12/7(金)『
「ものづくり」
と
「イノベーション」への誘い』
日経BP社 執行役員 電子・機械局長 藤堂 安人
半導体業界全体の夢・面白さが第一人者から語られる講演会を
行うとともに、半導体シニア協会員によるガイダンスなどで学
スを廻る企画を行っています。対象は半導体デバイスメーカ
生の展示会見学をサポートします。半導体業界への学生の認知
ーの若手社員で、すべて事前登録制となっています。
度を向上させるとともに、ひいては将来の優秀な人材の確保に
今年のセミコン・ジャパンでは、これら目玉企画が満載であると
つなげることを目指します。この企画では、学生に半導体製造業
同時に、来場者へのナビゲート機能も充実しています。定番とな
界が日常生活に占める役割や、業界の魅力を感じてもらうため
ったブース検索システム
「ブースナビゲーター」
を今年もWebに
の講演会を以下の通り行います。講演会は示唆に富む内容です
掲載するほか、会場の検索コーナーもインフォメーションデス
ので、学生にとどまらず、若手社員をはじめ興味のある方はぜひ
と隣接して配置することにより、会場案内機能
クや「iパーソン」
ご聴講ください。
とは、各ホール入口に配置され
をさらに高めます。
「iパーソン」
■ プロセスブースツアー
た案内係のことで、昨年より開始して好評をいただいています。
半導体シニア協会員のガイドを受けながら、テーマごとにブー
見所満載のセミコン・ジャパン 2007へぜおひお越しください。
セミコン・ジャパン 2007開催中のプログラムとイベント
特別プログラム
SEMIプレジデントレセプション
SEMIスタンダード授賞式・フレンドシップパーティー
SEMIテクノロジーシンポジウム(STS)2007
STS Award受賞記念講演
STS基調講演
特別セッション:ITRS Public Conference
セッション1:メモリー
セッション2:マイクロシステム/MEMS
セッション3:多層配線&エッチング
セッション4:リソグラフィ&マスク 1
セッション5:マニュファクチャリングサイエンス
セッション6:テスト
セッション7:リソグラフィ&マスク 2
セッション8:先端デバイス
セッション9:パッケージング
テクニカル/ビジネス プログラム
e-Manufacturing Workshop
SEMIマーケットセミナー
国際EHS規制適合セミナー
JEITA/SEMI EESワークショップ
International Packaging Strategy Symposium(IPSS)2007
第8回 SEMI地球環境シンポジウム
量産立上げに寄与するトレーサビリティー
DFMプロダクトマネジメントワークショップ
SEMIスタンダード関連プログラム
STEP/S2-0706 - 半導体製造装置の環境、健康、安全に関するガイドライン
半導体製造設備におけるEMC対策
次世代ファブアーキテクチャ ワークショップ
半導体製造装置における静電気問題と対策
STEP/S8-0307 - 半導体製造装置の人間工学エンジニアリングに対する安全ガイドライン
フリップチップの実装および技術と課題
ひずみSiデバイス実用化に向けた測定標準の確立
11-12, 2007 • SEMI News
12月5日
(水)
12月6日
(木)
18:30-20:00
18:00-20:00
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月6日
(木)
12月6日
(木)
12月6日
(木)
12月6日
(木)
12月7日
(金)
12月7日
(金)
12月7日
(金)
12:50-13:15
13:15-13:55
09:15-19:20
10:00-17:00
10:00-17:35
10:00-17:30
10:00-13:35
14:00-17:05
10:00-18:30
10:00-17:30
10:00-16:55
10:00-16:50
12月4日
(火)
12月4日
(火)
12月5日
(水)
12月6日
(木)
12月6日
(木)
12月6日
(木)
12月7日
(金)
12月7日
(金)
09:00-12:00
13:45-17:30
13:30-17:10
10:00-13:00
10:00-17:00
13:00-17:30
10:15-13:10
13:30-17:00
12月4日
(火)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月5日
(水)
12月7日
(金)
10:00-17:30
10:00-12:00
10:00-17:30
13:00-17:00
12:40-18:00
13:30-17:35
10:00-17:10
9
SEMI Standards
2007年度「SEMIスタンダード日本地区プランニング会議」報告
SEMIジャパン スタンダード / アドボカシー部
2007年度のSEMIスタンダード日本地区プランニング会議が、
挙げられる。企業および業界団体における標準化にとって重要
JRSC(日本地区スタンダード委員会)主催で、去る8月31日・9
なのは、標準化しない部分
(競争領域にしたい部分)
、標準化し
月1日の2日間、都内(汐留)で開催された。今年は、スタンダ
たい部分(競争領域にしたくない部分)
、標準化すべき部分(市
ード委員およびスタッフを含めて約60名が参加し、図1のような
場を守る部分)
を十分認識することである。
内容で、複数の示唆に富んだ講演と活発な議論が展開された。
2.「国際標準化への取り組みの重要性について」 和泉氏
300mmへの移行に伴う標準化活動開始からすでに10余年が経
(デジュールスタンダード開発のための)国際標準化活動に関
過し、
その間に半導体業界地図の変化、
デジタル家電に牽引され
して国内の各業界から聞こえる声の代表的なものとして、1)
社内
るデバイス需要の多様化・低価格化・短納期化など、市場環境
評価されにくい、2)
デファクトスタンダードの方が重要、3)1国1
も大きく変化している。最近では更なる生産性向上を目指した
票なので日本が不利、
などがある。
1)については、同一社内でも標
「300mm Prime」や
「450mm」
などが議論されている。このような
準化ノウハウが共有化されていない例が多く見受けられ、2)
につ
状況を受けて、今回はSEMIスタンダード活動のあり方を見直
いては、本来デジュールとデファクトは場面により使い分ける
す機会と位置付けられたプランニング会議となった。
べきものであり、3)
については、たとえばISOやIECは
(日本で
は同省が事務局とはなっているが)
民間の国際標準化機関であ
り、当該国の地場企業でなくとも外国企業の現地法人が参加す
ることが可能で、実際に日本企業以外ではそのように実践して
いる例が多い、という所見である。また、中国における電子情報
技術分野における標準化は、産業政策と標準化を政策的に官民
協同で推進する動きが活発化している。わが国でも知的財産戦
略本部を設置し、2015年までに欧米諸国に比肩しうる国際標準
化活動を戦略的に推進すべく、産学の関係者の協力をお願いし
ている。ISOやIECのデジュール標準と、SEMIも含めたあらゆ
る業界標準の究極の目的は同一であると考えるので、今後も一
層の交流を図りたいと考える。
上述の招待講演を受けた質疑応答が活発に行われ、
国際標準化
活動を担う人材に関して、次のような認識が全体で共有された。
図1 2007プランニング会議 概要
・人材は、
(a)
どこを標準化するかを見極める人と(
、b)
国際的な仕
■ 招待講演(経済産業省より)
掛けや人脈形成を通じて国際標準に作り上げる人、に大別で
経済産業省 産業技術環境局 認証課長
(独立行政法人 経済産業
きる。
研究所コンサルティングフェロー)の江藤 学氏ならびに同局
・特に日本では、
(a)
のタイプの人材が希薄であった。背景には、
情報電子標準化推進室長の和泉 章氏の両氏から、後述のよ
標準化活動に参画するのがエンジニア中心で、経営者層や営
うな「SEMIを取り巻く業界が『壮年期』
を迎えている」
という
業/マーケティング部門からの参加が少ないという事実がある。
前提に則した講演をいただいた。
・一方、SEMIスタンダード活動も元来
(b)
を志向するための仕組
1.「事業戦略ツールとしての標準化」 江藤氏
みとなっており、最近になってMTFによって
(a)
への取組みが
事業者にとっての標準化の目的は
「市場の創出・拡大」
と
「コスト
始まったところである。
ダウン」
に大別されるが、傾向としては、市場拡大期が短縮し先
■ 標準化活動と特許に関する講演
行者利益が確保しにくくなり、市場成熟期にある事業者にとっ
上述の招待講演でも触れられた「知財と標準の関係深化」
とい
ての標準化の目的がコストダウンへとシフトしている。その際、
う状況を受けて、
本講演が設けられた。
JRSCの浅川委員長の主
競争力の源泉となる得意技術領域(プロダクトイノベーション
旨説明に続き、ISC
(国際スタンダード委員会)規約小委員会の
領域)
を持ちながら、他社と共同で行う製品標準化によって可能
真白委員長から、
「SEMIの標準と特許に対する理念とルール」
となったコストダウンにより、得意技術領域にリソースを集中
と題して導入講演が行われた。SEMIスタンダード運営規約(以
させる必要がある。一方、標準化環境そのものが変化してきてお
下 規約)
の当該章
(15章)
の要点解説のみならず、誤認・誤用さ
り、具体的には、知財と標準との関係深化や、マルチスタンダー
れやすいポイントについての次のようなリマインドが行われた。
ド化(同一目的の複数標準が開発されやすくなる傾向)
などが
・SEMIはスタンダード活動の場を提供するものであって、特許問
10
SEMI News • 2007, 11-12
SEMI Standards
題に関しては次のどちらかのアクションを行うのみで、一切の
調停作業は行わない。
「そのスタンダードを使用する人に差別
なく妥当な対価で使用権が許諾されることを特許保有者に
求める。求めに応じない場合にはスタンダードを廃止する。
」
・機密情報についてスタンダード会議などで扱いを所有者が許
可した場合は、その情報は直ちに公開情報として扱われる。
その後、東京エレクトロン
(株)マーケティング部長の石田 大
氏より、
「国際標準化活動における知財面での留意点」
と題し、そ
の知財実務経験を踏まえて、特許と標準の基本的関係の整理
(相
互に共存し得るものとして)
や米国を中心とした訴訟制度の解
れる場合は、当初の権利保有者の許諾事項が継承されるのか
否かという不安が生じる。
・スタンダード外の不可避技術が権利化されているケース
(包
囲特許)
があるが、現行の規約では明確にカバーされていない。
したがって、スタンダード活動における必要な改善点として、
・原則として特許に関する情報の文書化は極力行わない。
・規約に沿った特許問題の適切な取扱いがなされるよう、
事務局
の質的向上が求められる。
・コミュニケーション方法についても配慮が必要であり、場合に
よっては法律家の専門的見解を仰ぐ必要もある。
説をしていただいた。
特に、
米国の特許裁判手続には
「Discovery
(証拠開示手続)
」
の仕組みがあるため、故意侵害を問われる可
能性があるので、電子メールなどのやり取りには特許に関する
法的な結論や見解を記さないことが重要であることが強調され
た。また、SEMIスタンダード活動における具体的留意点として
以下のアドバイスをいただいた。
・タスクフォース
(SEMIスタンダード開発の作業部会)会議で
は、できる限り既存技術をメンバー間で共通認識するように
努め、会議などの結果生まれた新しい技術コンセプトは、議事
録に記載して証拠とすること。
・スタンダードに関連する可能性がある特許の存在が判明した
ら規約に従って速やかに対応すること。
・特許問題については米国弁護士を介したコミュニケーション
図2 メインテーマ導入説明
が望ましい。
講演後には熱心な質疑応答が行われた。
その中で、
現行の規約で
◇グループ2:
「標準化テーマ選定方法(個別企業戦略と業界最適)
」
は、
特許技術とは、
登録済技術と、
出願済技術の内の公開情報だ
世界戦略なくしてスタンダード化で勝利者にはなれないことが
けが対象となると規定していることについての議論があり、知
前提。サプライヤは得意不得意分野を社内で明確にして、標準化
財分野が専門である江藤氏からは、公開情報だけと対象として
活動に参加する必要がある。
いる規約は限定的なケースであること、他の国際標準活動では
◇グループ3:
「日本でSEMIスタンダードを企業の事業戦略に
出願中情報全体を対象としていることが指摘された。
■ メインテーマ説明
『壮年期』のスタンダード活動について、JRSCの浅川委員長よ
するためには?
(国際競争力の強化のために)
」
従来はユーザー要求による標準化が主流であったが、今後は利
益の出るスタンダードの開発を目指し、サプライヤは自らのビ
り、図2のような概要で導入説明が行われた。続いて、当該状況
ジネスにプラスになるように活動する必要がある。
を比較的強く受けると考えられる関連委員会の各委員長と事務
◇グループ4:
「JRSC(日本の標準化活動)
の競争力維持〈対ア
局からの状況認識に関するプレゼンが行われた。
ジア対応〉
」
■ グループディスカッション・検討結果発表
今まで以上に対アジアを意識した標準化活動を実施する必要が
メインテーマ説明を受けて、5つの個別テーマが示され、グルー
ある。従来の標準化活動で得られた知見に基づいたコミュニケ
プディスカッションと結果発表が行われた。
ーションをするべきである。
◇グループ1:
「特許と標準化」
◇グループ5:
「壮年期にすべき事(今後の標準化)
」
昨今のSEMIスタンダード活動にまつわる特許問題として、次の
今後、デバイスメーカーのビジネスモデルが分化することが想
ような課題がある。
定されるので、標準化の重要性も増す。たとえば、弱点を標準化
・通信関連スタンダードにおいて『ホールドアップ』
(一般には、
の対象とすべきという観点に立てば、設計分野などは日本にと
規格を利用するのに必須な技術に関する特許について、その利
って今後標準化が必要ではないか?
用を制限、または、高額なライセンス料を要求することを指す)
プランニング会議ならびにスタンダード活動に関するお問い
があった。
合わせは下記まで:
・特許保有企業が売買されることによって知財権も移転するの
SEMIジャパン スタンダード&アドボカシー部
で、
問題が複雑化する傾向にある。
反面、
知財権だけが売買さ
E-mail:kokuda@semi.org Tel. 03.3222.6018
11-12, 2007 • SEMI News
11
Market Statistics
SEMI マーケット・レポート −ナンバーワンを目指す開発を−
グローバルネット株式会社 代表取締役 武野 泰彦
サブプライムローンの破綻で、米国の内需が冷え込み始めてい
■8月は韓国受注額が前月比45.4%増の急上昇
る。このような状況下、世界的にドル離れが起こっている。中国
2007年8月までの世界半導体製造装置市場統計(SEMI)
が発
は世界のアセンブル工場として発展しきたが、パソコンのレノ
表されたので報告する。7月の受注額が30億5,500万ドル、前年
ボーグループのように世界的な大企業も登場してきた。日本の
同月比24.3%減、前月比7.9%減であった
(図1)
。8月の受注額が
産業は好景気であるが、内需が拡大しているわけではなく、中国
前年同月比20.7%減、前月比3.4%増の31億5,900万ドルであっ
を筆頭とするアジア市場に牽引され好調なのである。少子高齢
た。2007年1月から下降局面に入った半導体製造装置市場は、
化が進み、資源のない日本は、積極的に世界へ新しいビジネスの
8月は若干ではあるが増加した。地域別に2007年の受注額推移
提案をしていかなければならない。日亜化学は1993年に青色
を見ると、台湾市場が6月までトップであったが、7月に前月比22.7%
LEDの製品を発表し、1998年の販売額が160億円であったが、
減の7億700万ドル、8月8.1%減の6億5,000万ドルと下降局面に
2006年はその10倍以上の1,700億円の販売額となった。パワー
入り、トップの座を日本に受け渡した
(図2)
。日本市場は7月の受
デバイスを生産する日本のメーカーも好調である。また、NAND
注額が8億3,600万ドルと前月を若干増加し、8月は9.1%減少の7
フラッシュメモリを開発した東芝も3年連続で3,000億円規模の
億5,400万ドルとなった。8月は減少したが日本市場がトップにな
投資を計画し、ソニーの長崎工場を買収した。このように新しい
った。一方、韓国の8月受注額は前月比45.4%増の6億8,800万
技術を開発して受け入れられた企業は世界的に強い。日本の半
ドルであったので、台湾を抜いて2位に上昇した。
導体製造装置メーカーは世界のトップ10に入る企業がいくつか
■2007年(1∼8月)受注額は前年より減少、販売額は10%増
ある。もうすぐ開催されるセミコン・ジャパンでは、トップシェ
世界半導体製造装置市場の1∼8月期の受注・販売合計を年別
アを狙えるような新技術を発表してほしい。
に比較した。2000年同期の受注額は379億200万ドル、販売額は
1.80
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,500
35,000
4,000
1.40
3,500
30,000
1.20
1.00
2,500
0.80
2,000
0.60
1,500
1,000
0.40
500
0.20
0
0.00
0.80
20,000
0.60
15,000
0.40
10,000
0.20
5,000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月
2006年
1.00
25,000
100万ドル
3,000
B/Bレシオ
100万ドル
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
1.20
B/Bレシオ
40,000
1.60
B/Bレシオ
5,000
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0.00
2007年
図1 SEMI世界半導体製造装置市場月別推移(SEMI/SEAJ)
図3 世界の半導体製造装置各年別
(1∼8月合計)
推移
(SEMI/SEAJ)
8,000
1,200
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
台湾
7,000
1,000
1.20
6,000
1.00
日本
800
韓国
600
北米
0.80
4,000
0.60
3,000
400
欧州
0.40
2,000
200
中国
ROW
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
図2 2007年月別地域別市場推移
(SEMI/SEAJ)
12
B/Bレシオ
100万ドル
100万ドル
5,000
8月
0.20
1,000
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0.00
図4 日本の半導体製造装置各年別
(1∼8月合計)
推移
(SEMI/SEAJ)
SEMI News • 2007, 11-12
Market Statistics
299億9,400万ドルとピークになった。2001年から下降局面に入り、
8,700万ドル、販売額が13.6%増の52億5,500万ドル、B/Bレシオ
2003年の受注額125億3,500万ドル、販売額132億8,600万ドルが
0.83であった
(図7)
。ROWと中国の2007年同期受注額は前年
底となった。2004年の同期受注額は大幅に上昇し、前年の117%
比19.7%減の34億1,700万ドル、販売額も前年比3.4%増の40億
増の272億 2,200万ドル、販売額も前年同期比 66%増の220億
8,000万ドルとなった
(図8)
。欧州の2007年同期受注額は前年
3,100万ドル、B/Bレシオも1.24となった。しかし、2005年の受注額
比17%減の21億3,100万ドル、販売額は前年比22.6%減の18億
は前年同期比29%減の193億200万ドル、販売額は1.5%減の217
5,300万ドル、B/Bレシオも1.15となった
(図9)
。
億400万ドルで、B/Bレシオは0.89となった。2006年の受注額は前
年比50%増の289億6,600万ドルと世界的な好景気に牽引された。
2007年は受注額が前年同期比5.1%減の275億1,600万ドル、販
売額が前年同期比10.7%増の289億2,600万ドルと販売額は前
6,000
1.20
5,000
1.00
4,000
0.80
ていると思われる。
2007日本の同期受注額は前年比9.1%減の62億6,600万ドル、販
売額は前年比0.6%増の59億400万ドル、B/Bレシオも1.06と前
100万ドル
■日本の半導体製造装置市場は前年同期比(1∼8月)微減堅調
年ピーク時のわずかな減少となっている
(図4)
。2007年同期の
米国受注額は前年同期比21.7%減の39億6,800万ドル、販売額
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
3,000
0.60
2,000
0.40
1,000
0.20
B/Bレシオ
年を上回っているが、受注が減少しているので下降局面に入っ
が7.0%減の43億8,800万ドルでB/Bレシオ0.90となった(図5)
。
0
台湾市場の前年同期比41.5%増の73億4,400万ドル、同期販売
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0.00
額は前年比62%増の74億4,400万ドル、B/Bレシオ0.99と好調であ
る
(図6)
。韓国の2007年の同期受注額は前年比7.3%減の43億
12,000
図7 韓国の半導体製造装置各年別
(1∼8月合計)
推移
(SEMI/SEAJ)
6,000
1.60
Booking(受注額)
Billings(販売額)
1.40
B/Bレシオ
10,000
1.50
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
5,000
1.20
8,000
4,000
1.00
B/Bレシオ
0.80
100万ドル
6,000
B/Bレシオ
100万ドル
1.00
3,000
0.60
4,000
0.50
2,000
0.40
2,000
1,000
0.20
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0
0.00
図5 米国の半導体製造装置各年別
(1∼8月合計)
推移
(SEMI/SEAJ)
8,000
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
6,000
1.20
6,000
2001年
0.00
図8 ROWと中国の半導体製造装置各年別(1∼8月合計)推移(SEMI/SEAJ)
1.40
7,000
2000年
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
5,000
1.20
1.00
1.00
4,000
0.80
3,000
0.60
B/Bレシオ
0.60
100万ドル
0.80
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,000
B/Bレシオ
100万ドル
5,000
3,000
2,000
0.20
1,000
0
0.40
0.40
2,000
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0.00
図6 台湾の半導体製造装置各年別(1∼8月合計)推移(SEMI/SEAJ)
11-12, 2007 • SEMI News
1,000
0
0.20
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
0.00
図9 欧州の半導体製造装置各年別(1∼8月合計)推移(SEMI/SEAJ)
13
Photovoltaic
JPEA 太陽光発電協会とその活動について
JPEA 太陽光発電協会 事務局
1. はじめに
また
「大規模電力供給用太陽光発電系
算108億円が確保され、
太陽光発電協会は、1987年に設立以来一貫して太陽光発電専
統安定化等実証研究」
が、
平成18年度から5年間の継続事業と
門の普及団体として活動し、現在74会員で構成されています。
してスタートしております。幸い協会は、太陽光発電を主体として
20世紀の私たちは、地球資源やエネルギーを大量に消費し、廃棄
新エネルギーの創出を目指す幅広い会員で構成されており、そ
物を大量に放出するという生活スタイルを享受しましたが、こ
の総合力の発揮することにより、国の施策を追い風として、シリ
の代償として、地球温暖化や酸性雨などさまざまな地球環境問
コン原料の有効利用のための技術開発や、原料供給の影響を
題を引き起こしています。一方、世界の人口は増え続けており、
受けにくい薄膜系太陽電池の開発を加速するなど、自助努力を
エネルギー消費量もまた増加の一途をたどり、資源の枯渇問題
行い、再び力強い成長軌道に乗せて行きたいと考えております。
が指摘されています。
21世紀には、
「持続的な経済発展」
と
「地球環境保全」
という二律
2. 事業推進体制について
背反のテーマの両立が、全人類にとって最重要課題となり、その
協会の取り組むべき活動は多岐にわたり、また最近では海外向
ためには「省エネ」に加えて新しいクリーンなエネルギーを作
けの活動も増えてきております。皆様のご支援とご協力を賜り
り出す「創エネ」が不可欠な時代となります。
ながら、太陽光発電普及のため、次ページのような事業推進体制
現在、
太陽光発電は、
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換す
にて全力で取り組んでまいります(
。平成19年度 事業推進体制)
る
「クリーンなエネルギー変換システム」
として、地球規模の環
境問題の中で、
地球温暖化への対応策の大きな柱として、
世界的
3. 協会創立20周年について
な注目を集めています。
わが国の太陽光発電は、
国の積極的な支
当協会は、2007年4月27日をもって創立20周年を迎えることが
援と関連業界の技術開発・普及努力ならびにユーザーの環境意
できました。これも偏に関係各位のご支援ご協力の賜物であり、
識の向上により、
世界一の生産量を誇るに至り、
本格的な導入期
心より御礼申し上げます。当会への国内外からの期待も一層大
を迎え、更なる普及が急がれています。
きくなってきているなか、以下の20周年記念事業を行い、太陽光
発電の更なる普及促進に努めてまいります。
① シンボルマーク制定
(4月)
NHK情報ネットワークとの共同企画によるパネルディス
②(株)
カッション開催
(第24回太陽光発電システムシンポジウムに
て)
と無料招待実施
(6月5日)
③ 作文コンテスト
「太陽光発電と私の夢」実施
(4月∼5月募集、
6月5日表彰式)
④「第17回太陽光発電国際会議(PVSEC-17)併設展示会」主催(12月)
⑤「創立20周年記念誌」発行
(2007年秋)
⑥「太陽光発電システム最新事例」のホームページ掲載
(2008
年春)
等
太陽光発電システム累積導入量
しかし、昨年度のわが国の住宅用太陽光発電市場は、国による
補助政策が一段落したことや、シリコン原料高騰の影響と思わ
れるシステム価格の下げ止まりなどにより、停滞・縮小が感じら
れる年となりました。このことは、業界としても大きな危機感を
持って捉えております。
本年度は、
「新エネルギー技術フィールドテスト」
として新規予
14
IEA PVPS タスク9
(専門家会議ワークショップ)
SEMI News • 2007, 11-12
Photovoltaic
4. 太陽光発電の新総合イベント
『PVJapan 2008』の共同開催について
SEMIおよび太陽光発電協会が、2008年7月30日
(水)
∼8月1日
(金)
の3日間、東京ビッグサイトにおいて共同で太陽光発電に関
を開催いたします。
する総合イベント/展示会『PVJapan 2008』
第24回太陽光発電システムシンポジウム
PVJapan 2008は、新たに企画された太陽光発電関連の展示会
「太陽光発電システムシンポジウム」
を柱に、
と第25回目を迎える
国内外の太陽光発電関連の団体による多彩なイベントを併催す
る予定です。太陽光発電をキーワードに、国内外の太陽電池メー
カー、製造装置・材料サプライヤー、太陽電池設置関連企業、関
連学会・研究機関が一堂に会する展示会、シンポジウムおよび
さまざまな併催イベントを同時開催し、太陽光発電の総合イベ
ントといたします。特に展示会場では、ビジネスのみならず一般
消費者も視野に入れた総合的な展示を行い、太陽光発電の川
上から川下までを網羅した展示会を目指してまいります。
なお、
新エネルギー世界展示会
(主催:再生可能エネルギー協議
会)が 2008 年より会場を幕張から東京ビッグサイトに移して、
平成19年度 事業推進体制
PVJapanと同時・同会場で開催されることが合意されています。
これにより、再生可能エネルギー/新エネルギーに関する情報が
部 会
活 動 概 要
東京ビッグサイトに一堂に会することになりました。この2つ
を合わせて
「再生可能エネルギー世界フェア」
と総称し、SEMI、
光発電
太陽光発電に関する中長期的視野に基づいて総
合的な戦略、技術、普及などの活動を行う
住宅市場
住宅用システムの市場導入拡大に向けて、課題
解決と促進策に取り組む
公共・
産業市場
公共・産業用システムの市場導入拡大に向けて
課題解決と促進策に取り組む
国際業務
太陽光発電関連事業の国際ビジネス化に向け
て、課題解決と促進策に取り組む。また、国際ビ
ジネス推進のためのセミナーを開催する
地球環境問題に関心が高まる中、
原油価格の急騰などにより、
エ
建築
建物市場への普及拡大を図るために、建築的視
点に立って建築法規・保証等の建築制度及び品
質・施工等の技術的課題に取り組む
洞爺
す。
来年度は京都議定書のCO2削減のスタートの年であり、
新エネ戦略・
制度検討
主に、新エネルギー部会へ出席の協会会員の活
動支援他、官公庁に対する渉外活動を行う
家エネルギー戦略」
が策定され、
「世界最先端のエネルギー需給
調査統計
太陽電池の出荷統計を四半期毎に実施し会員
他に公表する。また、需要予測等も視野に入れて
活動する
広報
イベント等の参加や会報誌、ニュースレター、ホ
ームページを通じて幅広い広報活動を行う
会員等に普及促進に役立てることを目的とした
プレゼンテーション資料の整備と専門知識の高
揚をはかるセミナーを開催する
な貢献を果すべく、また、産業としても
「世界に冠たる太陽光発
セミナー
太陽光発電の普及促進に向けて国の諸施策・導
入事例の紹介、その他今日的な課題を発表する
向けた活動の更なる強化を図っていく方針であります。皆様の
シンポジウム
11-12, 2007 • SEMI News
太陽光発電協会、
再生可能エネルギー協議会の3団体が協力し
て開催いたします。
5. おわりに
ネルギー安全保障にも改めて目を向けねばならなくなっていま
湖サミットが予定されております。このような情勢の下、
「新・国
構造の確立を図る」ための方策として、
「新エネルギーイノベー
ション計画」
などが打ち出され、太陽光発電にも注目が集まって
おります。
当協会では、これらのエネルギー・環境問題の解決に対して大き
電産業の強化・確立」
を目指して、太陽光発電システムの普及に
ご支援を宜しくお願い申し上げます。
15
FPD
TFT液晶ラインを立ち上げた20年間を振り返って
元 株式会社日立ディスプレイズ 砂原 和雄
1.はじめに
私はこの7月に㈱日立ディスプレイズを定年退職いたしました。
この20年間のほとんどを、TFTプロセスおよび設備の技術者とし
て、TFT液晶ディスプレイ生産の本流の中で量産ラインの立上げ
に係わってきました。退職を機に、これまでを振り返って感じた
ことをまとめさせていただきました。
2.私のルーツは多結晶Si TFT
私は1971年に
(株)
日立製作所に入社し、茂原工場の開発部門
に配属されました。当初は製品に関連した各種成膜技術の研究
に従事しておりましたが、1979年から製品と直結しないで純粋に
薄膜トランジスタ:TFTを開発研究することになりました。TFTの命
名者はRCAのP. K. Weimer氏と言われており、その文献や、そ
の他各所で研究、発表されていた論文を読んで、
トレース実験を
写真1 ワシントンで発表した論文の一部
始めました。最初はCd-SeのTFTを検討しました。真空中でマスク
を数枚交換しながらTFTを作り上げていく装置も、文献を見なが
発一気に押し進めました。1984年3月に太陽電池を終了し、1ヵ月
ら自分で作りました。しかし、できあがったTFTは、電界効果は出
間サーベイを行って、5月には10数人の開発プロジェクトがスター
るのですがヒシテリシスが強くて、使い物になりませんでした。
トしました。そして10月には最初の試作に成功しました。100mm
翌年の1980年、国の補助金で超高真空の蒸着装置が導入され、
角基板を使った4型、200×200画素のカラーTFT液晶ができあ
その超高真空中でシリコンをEB蒸着すると、低温で良好な多結晶
がりました。半年という短期間で開発できたので、事業化を加速す
Si薄膜ができました。しかしTFTとしては、当時広く用いられてい
るため、全社の関連部門、研究所が加わり、本格的な全社プロ
たSiO2ゲート絶縁膜では、スパッタでも蒸着でもあまり良い特性
ジェクトがスタートしました。1985年のことでした。
は得られませんでした。そこで新たにAl2O3を使ってみると、非常に
3.大型液晶ラインの開発
きれいな特性が得られました。
全社プロジェクトでポータブルテレビを目標にして、5型TFTカ
その結果を論文にまとめ、国際学会IEDMに投稿したところ採用
ラーディスプレイが開発製品化されました。さらにパソコン用
され、翌1981年、アメリカのワシントンへ行って論文を発表しま
に6.3インチカラーモニターを開発しました。そして、6.3型カラ
した
(写真1)
。IEDMは今も非常にレベルの高い国際学会です
ーディスプレイ
(640×200画素)
を搭載したラップトップ型パソ
が、当時は新しい薄膜トランジスタができたということだけで、
コンが発売されました。
論文発表することができました。発表後、伝説のWeimer氏にロビ
我々の最初の基板サイズは、従来のSTN液晶ラインに合わせた
ーで声をかけられ、
「Good paper」だと言われました。それがい
200×270mmでした。量産開始といっても月数百枚のレベルでし
ちばん思い出に残っている大きな出来事でした。私のTFTのルー
たが、最初は歩留りは数%でした。10数%といった時期もかな
ツはこの多結晶Si TFTです。
り長かったと思います。歩留り50%までいけば夢のようだな、
と言っ
その後、太陽電池の事業化の話が舞い込み、初めてアモルファ
ていたことを覚えています。
スシリコンを扱うようになりました。太陽電池には約2年間取組み、
歩留りの低さもさることながら、マーケット拡大の展望もなかなか
要求仕様を満足する製品ができましたが、諸般の事情により結
開けず、TFT液晶にとって苦しい時期がしばらく続きました。
局事業化は中止となりました。開発グループは解散して、最後に
私は、1992年に開発、製造部門から生産技術部に移り、新ライン
私と上司の二人が残りました。そしてこの直後、TFT液晶の開発
の導入、立上げを主業務とするようになりました。1993年に第2世
を始めました。1984年当時、すでにセイコーエプソンが多結晶Si
代のラインを作り始め、実際に稼働したのは1994年の秋でした。
TFTによる小型カラー液晶テレビの発売を始めており、STNでは
我々は10.4型を4面取りするため、他社より5mm大きい 370×
限界があるとして、アクティブマトリックスのカラーTFT液晶を
470mm 基板サイズを採用しました。しかし汎用の装置では
次の開発目標に決めたのです。
365mmまでしか対応しないため、専用装置を関連会社とともに
社内でも、中央研究所他で研究が進められていましたので、我々
開発しました。
工場側で事業化計画を立て、研究所を巻き込んで、製品技術開
アモルファスSiを形成するP-CVD装置は、第1世代ではインライ
16
SEMI News • 2007, 11-12
FPD
ン型でしたが、第2世代からクラスター型枚葉処理装置となり、
TFT液晶は大きく発展しました。当社でも枚葉型装置の開発によ
って、パーティクルが2桁は改善され、稼働率も上がり、TFT液晶
は初めて事業として成り立つような歩留りになったと思います。
その頃になると、TFT液晶はノートパソコン用として急激に成長
し始めました。1995年、その次の世代のラインが検討されました。
我々は他社より大きな650×830mmにしました。12.1型を9枚取る
ためです。通常の第3世代基板では12.1型が6枚しか取れません。
この場合も当社は、装置開発にリスクがありましたが、1.5倍の優
位性を取りました。
私の仕事は、アレイ工程全体について必要な設備を開発し、新ラ
インを立上げ、生産をスタートすることにありました。こういう
写真2 スタンダードワークショップでの講演
仕事は大変でしたけれども、自ずとそういう役割を自覚し、充実
感を持って仕事に当っておりました。24時間連絡が取れる態勢に
務めるようになり、2006年のFPD Intrnationalで開かれたスタンダ
して、絶えずラインの安定稼働を意識しておりました。多分こ
ードワークショップにおいて、
「FPD枚葉搬送システムへの期待
ういう役割の人たちがどこのパネルメーカーにもいて、各社のラ
と課題」
と題して講演を行いました(写真2)。スタンダードを
インの稼働が進展していったのだろうと考えています。
盛り上げるためには、パネルメーカーから参加しやすいように、
3.5世代の次に第4世代基板(730×920mm)低温p-Si
(LTPS)
ラ
パネルメーカーの幹部の方の理解を得ていただくことが重要と
インを担当しました。LTPSとしては当時最大サイズの基板を採
思います。
用したため、既存設備がなく、各装置メーカーを走り回って新た
5.生産技術は逆転する
な装置の開発をお願いしました。この時、多くの装置メーカー
TFTラインの設備生産技術において画期的な進歩を与えた技
の方々の絶大なご協力をいただきました。とても感謝しており
術として、第 5世代前後で導入されたスリットコータとODF
ます。
( One Drop Filling)技術が挙げられると思います。ODF技術
4.SEMIのPCS活動とスタンダード活動への参加
は第4世代ごろから数社によって検討され始め、なかなか難しい
SEMIのPCS
(Production Cost Saving)
フォーラム活動には、93
技術でしたが、台湾、韓国での5世代ラインのために開発され、
年のフェーズⅠの時から参加しました。私は装置分科会の副会
それが4世代ラインにも遡って導入されています。
長を務め、第3世代ラインについて、また、その次はどうするの
またスリットコータは5世代から始まっていて、ほとんど適用
かという議論をしていました。PCSのスタート時点では何を議
されていると思います。4世代の頃に、絶対この次はスピナーは
論したらいいのか、何を決めていこうか、いちばん苦労した覚え
無理だなという感想を関係者が持ち、5世代で普及しました。乾
があります。その後1995年からのフェーズⅡ、1998年からのフェ
燥もスピンレスのエアナイフ方式の技術が確立しました。日本
ーズⅢと続き、第4世代の基板サイズや多くの標準化課題に
の装置メーカーは第5世代ライン用にこのような画期的なブレー
ついての議論までやっておりました。装置メーカーの方も多数
クスルーをやり、それ以降の世代に繋がっていきました。
参加されて、熱心に討論されました。皆さんが義務感を持って、
翻って、液晶初期の革命は、P-CVDの枚葉処理化、およびコータ
お互い社内で議論をされた結果を持ち寄って、真剣に討論され
ーデベロッパーのスピン化が挙げられます。それ以前の塗布は
たと思います。ただ基板の寸法等については、会議で標準を決め
ロールコータを使った方式で、現像は平流し方式のシャワー現
ても、結局それを越えるような形で進んで行きました。
像でした。それが半導体で使われたスピン方式を導入すること
2000年に始まったPCSフォーラムフェーズⅣのロードマッ
によってピンホールフリーになり、革新されました。現像、洗浄、乾
プも、長期見通しを得る貴重な活動だったと思います。あのロー
燥にもこのスピン方式を使うことによって、クリーンレベルが
ドマップによって、10年先までの製品やその時代のTFT性能が、
一気に上がりました。液晶立上げ時の大きな革命だったと思
この時期にはこれぐらいの大きさになるであろうとか、いろい
います。液晶の歴史とともに生産技術を振り返ってみると、技術
ろ検討され、第6世代や2mを越える第7世代の基板サイズも提
は時とともに逆転しながら進歩してきたように思えます。
唱されました。そうなると、対応する装置や部品材料のいろいろ
6.結び
問題点がクリアになり、それであればスピンナーをあきらめ他
これまでを振り返って、TFT液晶という、随分大きなものにめぐ
のことを考えなければとなり、設備開発のきっかけになったと
り会ったなと思っています。今なお発展を続ける素晴らしいTFT
思います。
液晶ディスプレイに黎明期から関係し、かけがえのない経験が
1999年からはSEMIのFPD設備関係のスタンダード委員会委員も
できたことを、心から幸せに思っています。
11-12, 2007 • SEMI News
17
Semiconductor Design
実装技術の世界をリードする半導体パッケージ技術者交流会を開催
半導体新技術研究会 代表 / 株式会社元天 代表取締役 村上 元
近年の電子機器は、半導体素子技術と半導体パッケージ技術の
融合によるシステムLSI設計の採用により、実装システムの機能
向上を目指して、小型・薄型・高機能化が実現されてきている。特
に、携帯電話やデジタルカメラなどの情報機器は、その適用を加
速させている。半導体パッケージ関係の産業は、日本で設計開発
された設計思想が世界に拡大しており、この産業に関わってい
る材料メーカーや装置メーカーの多くは、東証一部上場会社と
して活動し、世界の電子産業の発展を下支えしている。
今後も日本が半導体パッケージ技術分野で世界をリードし続け
るためには、半導体が使われる電子機器市場を把握し、市場ニ
ーズに合った的確な技術開発を行うために、技術方向の共有化
と協調開発体制の推進が必要であり、最近の技術開発方向の
共有化のため、最近活動状況を報告することにする。
は、SiP製品適用拡大で特徴ある電子機器を産出してきている
(株)
ルネサステクノロジの赤沢隆SiPセンター長にお願いした。
基調講演に引き続き、LSI積層技術で最重要なウェーハ薄型化
1.ISTF2007でパッケージ組立装置討論会を開催
のバックグラインド技術やレーザーダイシング技術について
とSEMIが共催するISTF
社団法人日本半導体装置協会
(SEAJ)
(株)
東京精密 執行役員 小林一雄氏、金線ワイヤーボンディン
( Industry Strategy and Technology Forum)2007が、去る9月4
グの金線技術について田中電子工業(株)技術部の花田信一
日・5日の両日横浜パシフィコで開催された。今年のテーマは、
“半
氏、ワイヤーボンディングのループ制御技術による多段積層化な
導体の新たな潮流−多様化する用途そしてビジネス”
と設定され、
どのボンダー技術について(株)
新川の応用技術部部長鳥畑
5日の午前中に組立実装セッションが開催された。このセッション
稔氏にご講演をお願いし、最後に、今後のSiP組立装置の目指
の企画編集にあたり、筆者に司会進行役のご指名をいただいた
。
す方向に関してパネル討論させていただいた
(図1)
ので、セッションリーダの
(株)
カイジョーの鳥越聡蔵氏など委員の
方々と協議して、
「世界を拓くSiP組立技術と組立装置の開発方
2.第25回半導体新技術研究会シンポジウムを開催
向」を今年度セッションのテーマとした。本セッションの基調講演
「極限薄化・極限狭
同じく去る9月26日・27日の2日間に亘り、
ピッチ接続・極限薄膜多層配線に向けたチャレンジ“最先端SiP
実装・組立セッション 9月5日9:30-12:30
テーマ:
「世界を拓くSiP組立技術と組立装置の開発方向」
組立薄型多層化技術と今後の対応”
」
をテーマとして、第25回半
導体新技術研究会シンポジウムを開催した。基調講演は、SiP適
司会:半導体新技術研究会 代表 村上 元
用製品の組立技術で業界をリードしている
(株)
ルネサステクノロジ
「SiPが切り開くシステムLSIの応用分野」
講演1:
実装技術開発部 部長 島本晴夫氏にお願いし、SiP組立技術の
(株)ルネサステクノロジ SIP開発センタ センタ長 赤沢 隆
「超薄型ウェーハ加工技術の現状と今後の対応」
講演2:
(株)東京精密 半導体社 執行役員 小林 一雄
「狭ピッチ対応のAu線技術の現状と今後の対応」
講演3:
田中電子工業(株)技術部 花田 信一
製品動向と技術開発動向を説明していただいた。その後、ウェー
ハプローブのプロービング針の先端狭ピッチ化対応の技術、ウ
ェーハの薄型化技術、ウェーハからの素子の取得数の向上や
乾式加工などを目的としたレーザーダイシング技術、素子の多段
「狭ピッチ組立技術の現状と今後の対応」
講演4:
化のためのダイシングテープ技術、極細金線技術、多層化チッ
(株)新川 応用技術部 部長 鳥畑 稔
プへのワイヤーボンデインング技術、極限フリップチップ技術、PoPの
パネルディスカッション
はんだ付け実装技術、狭ピッチインターポーザ基板加工技術、接
テーマ:
「次世代組立装置の開発方向」
合部品の形状検査技術など、最先端の接合周辺技術について、
講演者と会場とのQ&A方式で今後の装置開発の方向性を討議
図1 ISTF 2007のパッケージセッションの討論内容
18
。それぞれの技術の開発課題
関係会社から報告を戴いた
(図2)
に対する取組み状況など活発な討論がなされた。半導体パッケ
SEMI News • 2007, 11-12
Semiconductor Design
ージの最重要技術である接合技術開発の進め方について、関係
研究会の活動に協力いただいてきた
会社の協調体制を中心として開発を進めていくことが確認された。
方々を中心に、教本を企画編集すること
とした。日本がこの分野で世界をリード
し、この技術分野を事業にした会社は、
極限薄化・極限狭ピッチ接続・極限薄型多層に向けたチャレンジ
世界的企業として育ってきているが、半導
“最先端SiP組立薄型多層化技術と今後の対応”9月26日・27日
体パッケージに関わる本が少ないことに鑑
Ⅰ 基調講演:
「微細接合技術の現状と今後の展望」
み、半導体新技術研究会編纂の
『図解
(株)
ルネサステクノロジ 生産本部 技術開発統括部 実装技術
最先端半導体パッケージ技術のすべて』
開発部 部長 島本 晴夫
Ⅱ 積層SiPとウェーハ検査
(株)
日本マイクロニクス 半導体機器営業統括部 営業企画室・
統括主任技師 江口 光一
Ⅲ ウェーハの薄化技術の現状と今後の対応
(株)
ディスコ PSカンパニー 営業技術部 リーダー 川合 章仁
Ⅳ レーザーダイシング技術の現状と今後の対応
(株)
東京精密 半導体社 ダイサーシステムグループ主査 酒谷 康之
と題する本の発刊を、工業調査会にお願いし、9月25日に初版の
発刊に至った。執筆には、半導体パッケージ技術で活躍されてお
られる方々を中心に、各分野の第一人者68名にご参加をいただ
いた。
半導体産業に携わる多くの方々に愛読いただき、今後の半導体
パッケージ技術開発と事業推進を行い、今後も日本がこの技術
分野で世界をリードし続けていくことを願うものである。
Ⅴ 薄型ウェーハ用ダイボンディングフィルムの現状と今後の対応
日立化成工業
(株)電子材料事業部 半導体材料部門 半導体
実装材料開発部 部長 宇留野 道生
Ⅵ 狭ピッチ対応金線技術の現状と今後の対応
田中電子工業
(株)技術部 花田 信一
Ⅶ 狭ピッチ接合組立技術の現状と今後の対応
(株)
カイジョー ボンダー事業部 開発グループ チームマネージャ
今井 玲
Ⅷ 狭ピッチフリップチップ接合装置の現状と今後の対応
芝浦メカトロニクス
(株)ボンディング装置事業部 営業部 担当課長
藤原 靖
Ⅸ 狭ピッチ部品接合技術の現状と今後の対応
パナソニックファクトリーソリューションズ(株)工法開発グループ
グループマネージャー 酒見 省二
Ⅹ BGA用狭ピッチ配線加工技術の現状と今後の対応
イビデン
(株)電子回路事業本部 電子部品事業部 開発技術部
部長 高田 昌留
XI 高精細パターン・小型部品の外観検査技術現状と対応
アイコスビジョンシステム
(株)技術部 部長 櫻井 靖史
図2 第25回半導体新技術研究会の討論内容
「最先端半導体パッケージ技術のすべて」
監修:村上 元
編集:半導体新技術研究会 版型:B5版 頁数:324
主要目次:第1章 半導体パッケージの機能と目的
第2章 半導体パッケージ構造と組立プロセス
第3章 複合パッケージの構造と設計
第4章 半導体パッケージ材料技術
第5章 組立プロセス
第6章 今後の電子機器の動向
半導体パッケージ設計技術は、電子機器の機能や性能を決める
重要な技術である。本書では、世界の高機能・高密度電子機器を
支える最先端半導体パッケージ技術の設計・材料・装置技術、今
後の応用までを、第一線研究者、技術者が平易に解説。
<参考文献>
1.SEAJ/SEMI共催 ISTF2007「半導体の新たなる潮流多様化する
用途そしてビジネス」
(社)
日本半導体製造装置協会CD版
2.半導体新技術研究会編「第25回半導体新技術研究会シンポ
ジウム“最先端SiP組立薄型多層化技術と今後の対応」ISS
産業科学システムズ
3.半導体パッケージ技術に関する教本の発刊
3.半導体新技術研究会編「図解 最先端半導体パッケージ
半導体産業の技術では、微細加工技術を中心としたデバイス設
技術のすべて」工業調査会2007年9月25日初版発刊
計技術や論理設計技術とならび、半導体パッケージ技術が重
定価3,500円+税
要であるが、筆者は半導体パッケージ技術の重要性を知る人が
少ないのではないかと感じていた。半導体パッケージ設計技術
は、半導体パッケージ技術の電子伝導現象を、物理現象・化学
現象から捉え、電子機器の長期寿命に耐えられるように設計して
いく材料物性を追及する重要な技術であるので、半導体新技術
11-12, 2007 • SEMI News
「第26回半導体新技術研究会シンポジウム」開催予定
「次期半導体パッケージに向けた各社実装開発戦略と2008年の展開」
日時:12月13日
(木)10:00∼20:00
会場:アルカディア市ヶ谷・私学会館(東京/市ヶ谷)
詳細は、http://www.ebrain-j.comをご覧ください。
19
EHS
「半導体等エレクトロニクス製造のためのIFC EHSガイドライン」について
東京エレクトロン株式会社 井深 成仁
今回は、本年
(2007年)
4月30日に公開されたWorld Bank Group
・イオン化・非イオン化放射とレーザーへの曝露
のIFC
(International Finance Corporation)
の
「半導体等エレク
1.3の「公共上の健康と安全」
セクションでは、半導体等のエレク
(Environmental,
トロニクス製造のためのIFC EHSガイドライン
トロニクス製造工場の操業・建設・解体時の健康と安全へのイン
Health, and Safety Guidelines for Semiconductors & Other
パクトを述べているが、これらは他の産業と類似しており、一般
Electronics Manufacturing)
」
を紹介する。
を参照することを促している。
「EHSガイドライン」
World Bank Groupは、
半導体等のエレクトロニクス製造向け以外
(General EHS Guidelines)
と、各
にも、一般的EHSガイドライン
第2章は「パーフォーマンスの指標と産業ベンチマーク」である。
産業用のEHSガイドラインを公開した。詳しくはwww.ifc.org/
2.1の「環境」セクションでは、
「大気放出と排水」
として、Table
ifcext/enviro.nsf/Content/EnvironmentalGuidelinesで参照可
1とTable 2を示している。
能である。
Table 1
World Bank Groupでは、
「EHSガイドラインは、
“Good Interna-
Table 1. Effluent levels
tional Industry Practice
(GIIP)
”
の一般的そして産業固有の事
例を持つ技術的な参照文書である」
と位置付けている。
「World
Bank Groupの一つ以上のメンバーが何らかのプロジェクトにお
いて活動する場合に、本EHSガイドラインが適用され、本EHSガ
( General
イドラインは同時に公開された一般 EHSガイドライン
EHS Guidelines)
も共に使用される。本 EHSガイドラインは、合
理的なコストで既存の技術で新規の工場で達成し得ると考えら
れるパーフォーマンスレベルと施策を含んでいる」
となっている。
本EHSガイドラインは、主として人間の健康影響と環境への影響
への考察で構成されている。
第1章は「産業固有のインパクトとマネジメント」であるが、こ
の章の各セクションは、半導体等のエレクトロニクス製造の操
業時に関連するEHS事項の要約を提供している。
1.1の「環境」セクションでは、半導体等のエレクトロニクス製造
では、次の事項を含んだ考慮を求めている。
・有害性物質の使用と廃棄処理マネジメント
・大気放出
・廃水
・エネルギー消費
・プロセス改変
1.2の「就業時の健康と安全」
セクションでは、半導体等のエレク
トロニクス製造において、健康と安全上の危険源として次の事
項を含んだ考慮を求めている。
・ハンドリングやメカ操作で基板から放出される物質への曝露
・金属粉を含む有害性プロセスケミカルへの曝露
Pollutants
Unitts
Guideline Value
―
6―9
COD
mg/L
160
BOD5
mg/L
50
Total suspended solids
mg/L
50
Oil and grease
mg/L
10
Total phosphorus
mg/L
2
Fluoride
mg/L
5
Ammonia
mg/L
10
Cyanide (total)
mg/L
1
Cyanide (free)
mg/L
0.1
AOX (adsorbable organic
bound halogens
mg/L
0.5
Arsenic
mg/L
0.1
Chromium (hexavalent)
mg/L
0.1
Chromium (total)
mg/L
0.5
Cadmium
mg/L
0.1
Copper
mg/L
0.5
Lead
mg/L
0.1
Mercury
mg/L
0.01
Nickel
mg/L
0.5
Tin
mg/L
2
Silver
mg/L
0.1
Selenium
mg/L
1
Zinc
mg/L
2
℃
<3a
pH
Temperature increase
a
・物理的危険源と、エネルギー危険源
(運動、電気、空圧、油
圧)
への曝露
20
At the edge of a scientifically established mixing zone which takes into
account ambient water quality, receiving water use, potential receptors
and assimilative capacity.
SEMI News • 2007, 11-12
EHS
Table 2
・環境モニタリング活動
・モニタリング頻度
Table 2. Air emission levelsc
Pollutants
・モニタリング記録保持
Units
Guideline Value
mg/Nm3
20
・モニタリングデータ分析とレビュー
Ppmv
20
・付加ガイダンスAdditional guidance
Ppmv
0.42
HCI
mg/Nm3
10
HF
mg/Nm3
5
Phosphine
mg/Nm3
0.5
Arsine and As
compounds
mg/Nm3
0.5
Ammonia
mg/Nm3
30
Acetone
mg/Nm3
150
VOCa
Organic
HAPb
Inorganic
HAPb
2.2の「就業中の健康と安全」
セクションでは、以下の事項を記述
している。
・就業中の健康と安全ガイドライン
・事故と致死性に割合
・就業中の健康と安全のモニタリング
NOTES:
a Applicable to surface cleaning processes.
b Industry- specific hazardous air pollutants (HAPs) include: antimony
compounds, arsenic compounds, arsine, carbon tetrachloride, catechol,
chlorine, chromium compounds, ethyl acrilate, ethylbenzene, ethylene
glycol, hydrochloric acid, hydrofluoric acid, lead compounds, methanol,
methyl isobutyl ketone, mathylene chloride, nickel compounds,
perchloroethylene, phosphine, phosphorous, toluene, 1,1,1trichloroethane, trichloroethylene (phased-out), xylenes. Current industry
practice is not to use ethylbenzene, toluene, xylene, methylene chloride,
carbon tetrachloride, chromium compounds, perchloroethylene, 1,1,1trichloroethane, or trichloroethylene.
c At 3 percent O2
第3章は「参考文献と付加的ソース」である。
「一般的な解説と産業界の活動」
として、以下を記述
付属書Aは
している。
・半導体製造
・ナノテクノロジーとマイクロエレクトロニクスシステム
・プリント基板製造
・プリント基板アセンブリー製造
また、
「資源の使用と廃棄物発生」
としてTable 3を示している。
・受動コンポーネント製造
Table 3
・磁性デバイス製造
Table 2. Air emission levelsc
Pollutants
Units
Guideline Value
mg/Nm3
20
Ppmv
20
Ppmv
0.42
HCI
mg/Nm3
10
HF
mg/Nm3
5
VOCa
Organic
HAPb
Inorganic
HAPb
mg/Nm3
0.5
mg/Nm3
0.5
Ammonia
mg/Nm3
30
Acetone
mg/Nm3
150
Figure A. 1: Schematic View of Semiconductors Manufacturing Process
Silicon compound
deposition
SILICON WAFER
Application
of photoresist
UV light
exposure
Chemical
developers
NOTES:
a Applicable to surface cleaning processes.
b Industry- specific hazardous air pollutants (HAPs) include: antimony
compounds, arsenic compounds, arsine, carbon tetrachloride, catechol,
chlorine, chromium compounds, ethyl acrilate, ethyibenzene, ethylene
glycol, hydrochloric acid, hydrofluoric acid, lead compounds, methanol,
methyl isobutyl ketone, mathylene chloride, nickel compounds,
perchloroethylene, phosphine, phosphorous, toluene, 1,1,1trichloroethane, trichloroethylene (phased-out), xylenes. Current industry
practice is not to use ethylbenzene, toluene, xylene, methylene chloride,
carbon tetrachloride, chromium compounds, perchloroethylene, 1,1,1trichloroethane, or trichloroethylene.
c At 3 percent O2
recycle and reuse
%
「半導体製造プロセスの図式」が示されている。
最後に、図A.1で
85
NOTES:
a The semiconductor manufacturers should aim at realizing a“zero waste”
plant
Source: International Technology Roadmap for Semiconductors (2005).
Developing
Liquid
wastes
Reactive
ionized gas
Acid / bases
(caustic soda)
Etch
Deionized water
Deionized
water rinse
Wastewater
Doping
Diffusion
Ion
implantation
Exhaust
Acid solvent
Acid / solvent
rinse*
Spent
acid
solvent
Dielectric
material
Copper(Cu)
Metal
deposition
* Intermadiate step
that may be
performed during
different phases of
the process
Passivation
Dicing into chips
(For new application)
Backgrinding
Testing, Marking
Gas
POCI3
AsH3
(Waste
reduction)
Spent acid
alkalinic
Assembly
さらに、
「環境モニタリング」
として以下を示している
・環境モニタリングプログラム
11-12, 2007 • SEMI News
2-2 / 30 TIMES
Phosphine
Arsine and As
compounds
Solid waste recycle and reuse
・スクリーン製造
Silicon
powder
(dust)
FINISHED
SEMICONDUCTOR
Source: Adapted from the Australian National Pollutant Inventory (1999)
図 A.1
21
MEMS
MEMSコラボレーション
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 江刺 正喜
1.はじめに
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)
は、半導体微細
加工技術を基本にして高付加価値の部品を製作する技術であ
る。多様な技術を組み合わせ、一連の設備を用いて製作し、広
い分野に使われるため、これにはコラボレーションが重要である。
以下では、その三つのプログラムを紹介する。一つ目は高校生
を対象とした「スーパーナノメカニクスプログラム」で、勉強してい
る物理などが、身の回りのハイテク製品などにどのように使われ
図1 東北大学と早稲田塾による
「スーパーナノメカニクスプログラム」
ているかを理解してもらうことを目的としている。2つ目は毎年セミ
コン・ジャパン会期中に行ってきた
「SEMIマイクロシステム/MEMS
セミナー」
※が昨年10周年を迎えたのを記念して、シリコンウェー
いただいた。またこれらのパネルは、MEMSが身の回りでどのよ
ハを移動して複数のMEMS関連企業でそれぞれの工程を行っ
うに使われているかを説明するのに、その後も使わせていただ
た「MEMS携帯ストラップ」である。3つ目は「マイクロシステム融
いている。
合研究開発拠点」
として、本格的な集積回路を乗り合いで製作
1.ゲーム機Wiiのコントローラ
(加速度センサ)
したシリコンウェーハを用い、チップに分割せずそれにMEMSの
2.プレーステーション2(光ディスク、光通信など)
追工程を行うものである。
3.ハードディスク付パソコン
(記録装置
(磁気ディスク)
など)
4.DLPビデオプロジェクタ
(表示用DMD(Digital Micromirror
2.スーパーナノメカニクスプログラム
Device)
など)
未来の人材を育成するため、高校生にインセンティブを与えるた
5.インクジェットプリンタ
(プリントヘッドなど)
めの、東北大学と早稲田塾によるプログラム
( http://www.
6.鼓膜体温計、電子血圧計(赤外線センサ・圧力センサ)
wasedajuku.com/program/snp.asp)を図1に示す。図2のように、
組立実習では、センサのキットなどを各自それぞれ一台ずつ組
2006年の12月から2007年の4月まで行ったもので、60名程の応募
み立てプレゼンした。またMEMS実習では、東北大学でフォト
者の中から選んだ18名を対象にした。分解
MEMS実習のほか、大学
実習、
組立実習、
施設やMEMS工場の見学、講義などから
5月の連休に3名を台湾
なる。
優秀賞として、
(工業技術研究院)
など)
に参加させた。
10:00
分解実習では3名からなる6グループで以
下のような装置を分解し、カッコ内に示す
MEMSデバイスなどがどのように使われ
第2回
第3回
第4回
第5回
12 月 24 日
2 月 11 日
3月4日
3 月 25 日
4月1日
4月2日
4月3日
日
日
日
日
日
日
月
火
秋葉原校
秋葉原校
秋葉原校
講義&実習
プレゼン&講義
講義&実習
講義&実習
メカニクス分解
実習事前
調査発表
メカニクス
分解実習
センサ組立て
実習①
センサ組立て
実習④
SEMによる検証
昼食
昼食
昼食
メカニクス
分解実習
メカニクス分解
実習プレゼン
テーション
センサ組立て
実習②
センサ組立て
実習プレゼン
テーション①
MEMS工場
見学②
MEMSコア
休憩
休憩
休憩
休憩
休憩
開会式
東北大学
青葉山キャンパス
講義&実習
オープニング
講義
認定証授与
「東北大学と
メカニクス
秋葉原校
での見学実習(APM社、青華大学、ITRI
プログラム
概要紹介
12:00
∼ものづくりの
歴史∼」
ているか、
それを物理の教科書の内容や発
展の歴史などと関連付けて理解してもら
ナノメカニクス&
マイクロマシニング
施設見学
休憩
うようにした。分解する前に原理を調べて
15:30
メカニクス分解
実習に向けての
オリエンテーション
発表してもらい、分解して大きな説明用パ
ネルを作って部品などをそれに張り付け
17:30
た後、再びプレゼンしてもらうというもの
である。これには、オムロン
(株)、ソニー
(株)
、
(株)
リコーなどから機器を提供して
22
東北大学青葉山キャンパス
MEMS
実習①
MEMS工場
見学①
東化セミ
コンダクター
メカニクス
分解実習
昼食(学食) 昼食(学食)
センサ組立て
センサ組立て
実習に向けての
実習③
グループ
オリエンテーション
ワーク&
ディスカッション
センサ組立て
実習プレゼン
テーション②
新幹線で東京へ
17:30
実習&見学 講義&実習
メンバー紹介
(12:30終了予定) 昼食
(学食にて)
13:00
第6回
第1回
12 月 l7 日
ティーパーティー
(懇親会)
留学生との交流
ティーパーティー (懇親会)
(懇親会)
MEMS
実習②
まとめ
新幹線で
東京へ
図2 「スーパーナノメカニクスプログラム」の日程
SEMI News • 2007, 11-12
MEMS
リソグラフィを経験してもらったが、各自パソコン上で描いた
4.マイクロシステム融合研究開発拠点
パターンをOHPフィルムにプリントし、それをフォトマスクとし
集積回路では、微細化による性能向上だけでなく多様化による
て用いて転写し、ガラス基板上の金属薄膜をエッチングした。
高付加価値の方向も重要で、その柱となるのは回路チップと一
その間、赤坂俊輔氏をはじめとする早稲田塾のスタッフや、研究
体化した集積化MEMSであるが、その開発は容易でない。設備
室の戸津健太郎助教などにお世話いただき、毎回研究室の大
を使いリスクをかけることになるが、会社では設備があっても
学院生、留学生から高校生に話をしてもらった。このほか、
(株)
リスクをかけられず、大学ではリスクはかけられても設備を維
MEMSコアや東北セミコンダクタ
(株)
などのMEMS工場の見
持することはできない。
欧州では、
公的研究機関の運営に助成金
学もさせていただいた。高校生からは、全員が書いた色紙
だけでなくライセンシングすることが要求されるため、その先
のお礼をいただいたが、
「死ぬ程楽しかった」などと好評で、
行研究が産業界へ寄与しているが、我が国ではこのようなリス
勉強していることがどのように役立つかを知ってもらう重要性
クをかけしかも総合力を要する研究開発が行われないため、将
を改めて感じた。
来の産業のネタに不足し、開発が容易で数が出る同じような製
品に多くの企業が集中する傾向にある。図5のように回路を製
3.MEMS携帯ストラップ
作した乗り合いウェーハに、MEMSの追加工を可能にしてい
「SEMIマイクロシステム/MEMSセミナー10周年記念イベン
ト」で製作した「MEMS携帯ストラップ」の写真を図3に示す。
図3 製作したMEMS携帯ストラップ
る。図6のような競合しない企業群と東北大学とのコラボレー
ションで外注したウェーハを、扱い易い大きさのウェーハに切り
これは東京エレクトロン
出し、それに低温接合や低温堆積などの追加工を行って、集積
(株)の円城寺啓一氏の発
化MEMSの研究開発を低コストで行うプロジェクトである。こ
案により、国内のMEMS関
れによって、開発がコスト面から困難なため製品化できない集
連企業にボランティアとし
積化MEMSへの道を拓く試みを、文部科学省の科学技術振興
て協力していただいたもの
調整費による「マイクロシステム融合研究開発拠点」
として行
である。SOIのシリコンウ
っている。
ェーハを用いて、文字のパ
ターンを形成したダイア
フラムを形成してある。図4のように、MEMS関連企業の回
り持ちで4インチウェーハを処理していただいたが、図の企業
以外にウシオ電機
(株)、住友精密
(株)
や丸紅ソリューション
(株)
にもご協力いただいた。
図5 追加工を可能にする乗り合いウェーハ
謹製 MEMS 携帯ストラップ
1)熱酸化&酸化膜全面エッチング
2)フォトリン
0)SOI 基板、研磨
3)Si RIE
4)フォトリン
7)結晶異方性 Si エッチング
5)酸化ドライエッチング
8)酸化膜除去
6)基盤接合
9)ダイシング)
図6 マイクロシステム融合研究開発拠点
※SEMIマイクロシステム/MEMSセミナー」は、本年は、STS(SEMI
図4 MEMS携帯ストラップの製作工程
11-12, 2007 • SEMI News
テクノロジーシンポジウム)
のセッション2として開催されます。
23
Innovation Stories
開発秘話:分析業務における短納期の実現
株式会社住化分析センター 長谷川 幹男
1. はじめに
に記述した通り、電子材料表面清浄度評価分析を即納システム
当社、住化分析センターは、昭和47年に創立以来、本年で創立35
化しており
(午前中に届いた試料は当日中に分析結果を速報)
、こ
年を迎えました。発足当初の環境分析事業から現在の環境調
れが当社の分析技術力とともに顧客から大きな信頼を得ています。
査・測定、エレクトロニクス、危険性調査、食品分野・微生物試験、
医薬品・バイオ、科学・工業用製品・原材料、化学物質の登録申
3. 分析業務の細分化と標準化
請・安全性調査、機器・付属品販売等の綜合分析・評価会社と
(Double Intellectual People System)
に
業務の分業化は、DIPS
して、この間幾多の苦難はありましたが各企業の方々からのご愛
(Simplification:
関する図書等に紹介されている通り、3つのS要素
顧のお陰で、業容は概ね順調に拡大基調で推移してまいりまし
単純化、Standardization: 標準化、Specialization: 専門化)
に大きな
た。この場をお借りしまして御礼申し上げます。
効果があると言われています。そして、生産性向上は分業と3Sから
は、ゆるぎない
当社
(Sumika Chemical Analysis Service: SCAS)
とも言われています。また、整理、整頓、清掃の3Sは、安全管理、品
お客さまとのパートナーシップを目指して、Speedy、Cost-conscious、
質管理の上でも重要でどの企業でも実施していますが、この3Sを
Accurate、Serviceを行動基準としております。そのひとつのSpeedy
加えた3S+3Sでさらに生産性向上の効果が上がります。
は、納期を大幅に短縮し、約束した期日の厳守を目指しています。
ラボにおける分析業務を分業化するにあたり、まず業務の細分
お客さまからのご依頼は、工程管理、開発研究、トラブル対策、監
化とその効果をもう少し具体的に下記に述べてみます。
視等いろいろな目的がありますが、ご依頼を決断された時点か
分析業務をプロセス順にみると、試料内容により差異はあるも
ら、結果を少しでも早く知りたい、結果によって次のアクションの
のの、①サンプリング→②分解・溶液化→③精製・濃縮→④測定
要否、方法、スケジュールを早く決定したい等、納期には非常
→⑤データ解析→⑥報告書作成の6つのプロセスに分類するこ
に高い関心を持っています。したがって、受託分析事業において
とができます。その中で、①から⑤までの各プロセスに対する処
は、納期管理はもとより、納期短縮は最重要な戦略のひとつであ
理方法は一種類だけではなく、通常何種類かの方法があります。
ります。
たとえば、②の分解・溶液化の方法において、酸を使用する場合
我々の職場では電子産業分野を対象とした分析を主な業務とし
でも、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、王水、その他各種混酸等と多種
ていますが、この短納期化の構築は、特に電子産業分野向けに
(ICP
の酸を使う方法があります。④の測定においては、ICP/MS
おいては重要な課題です。本題の開発秘話には若干趣を異にし
質量分析法)
、ICP/AES
(ICP発光分析法)
、AAS
(原子吸光法)
、
ますが、短納期システム構築例の一端として、電子材料表面清浄
GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析法)、イオンクロマトグラ
度評価としての金属元素分析報告即納化の実現例をご紹介い
フ法等、多くの方法があります。データ解析方法においても、何
たします。
通りかの方法が考えられます。
上記5つのプロセスでそれぞれ5通りの方法があると仮定した場
5
2. ご依頼からご報告まで
合、その分析方法は5 =3,125通りの方法が存在することになり
お客さまからのお問い合わせについては、先ず営業部門が担当
ます。したがって、ある分析を実施する場合に、非常に多くの方
し、その内容は営業部門担当者から電話なり電子メールで分析
法の中から1つの方法を選定しなければなりません。そのため
ラボに伝わります。技術的判断、実施可否、納期等を検討して、最
には3,125個のマニュアル作成が必要になりますが、これは非現
終的に当社ネットワークの受注・分析管理システムに、分析項目、
実的です。しかし、各プロセスの業務・作業を独立したものとし
料金、試料受領予定日、納期等が契約内容として登録されます。
て細分化して考えると、各プロセスの作業方法は5通りになり、
分析試料が届くと計画に従って分析がスタートされ、着手日、担
5×5通り=25通りの方法となります。非常に簡素化されて、分析
当者、完了予定日、完了日等がその都度ネットワークへ入力され
マニュアルも25個の作成でよく、分析標準化が大変容易となり
て、進捗管理システムを通じて納期管理されます。
ます。このように、業務を単位作業で捉えれば、大部分が標準化
お客さまへの報告の納期は、分析内容によっていろいろ異なり
された既存の分析方法で対応できることになります。
ますが、通常納期は1週間程度としています。ただ短納期をご要
しかし、分業については長所、短所も考えられ、特に分析業務の
望された場合は、分析装置・設備・器具の確保、試薬準備等を
分業化はその業務量、分析技術者数等の一定条件が整う必要
考慮して、3日程度で緊急対応処理しています。当職場では、冒頭
があって、多くのラボでは実施していません。方法は理解してい
24
SEMI News • 2007, 11-12
Innovation Stories
てもなかなか実行できないのが実情です。
行うという強い前向きな意識が必要で、今まで当たり前に行っ
てきた作業方法をもっと効率的にできないか、簡素にできない
4. 分析業務の分業化と実現
かという、自ら見直す分析者個々の士気、職場全体の活性とチ
一般的には、受注案件ごとに熟練した分析者が最初から最後ま
ームワークが最大のポイントであったと考えています。分析の効
で受け持って分析します。この一案件一担当者システムは分析
率化、スピードアップを検討すれば、どの職場でも思いつく方法
者のプロ意識を満足し、受注数量、分析者数が少ない場合には
ではあっても、あるいは知ってはいても、実際に効果的に実現で
大きな弊害がなく、むしろよい方法といえます。我々の職場でもこ
きているところは少ないといえます。分析以外のスポーツなどあ
の一案件一担当者システムで処理していましたが、受注数量の
らゆる場面で共通ですが、“やり方が分かっている”
と
“実行で
増加、それに伴う分析者数の増加により、共用の設備、分析装置
きている”
には大きな隔たりがあります。
等の使用時間帯が重複することがしばしばみられるようになり
ました。
6. 短納期化を目指した分析プロセスの改革
この問題・状況を、従来から日常的に行っていたチームミーティ
短納期を目指した最も基本的な部分は、前述した業務の分業化、
ングの場で話題に取り上げ、装置の使用の順番待ち、分析装置
平準化とこれに対応した分析技術者の的確な配置でした。これ
による検量線作成の使用者毎重複作成等、非効率的状況をチ
をさらに進めて、分析試料受領当日に速報が可能な短納期化を
ーム全員で認識しました。測定を専任化すればこれらの重複問題
目指しました。分析技術そのものの分析所要時間の大幅短縮は、
は回避できるのではという対策案でまとまりましたが、反面、このよう
分析技術の根本的な開発が必要で容易ではありません。そこ
な分業は分析者が一歯車的存在になるのではという、特に分析
で、その分析業務プロセスに関し、各プロセスの徹底的効率化を
熟練者のプライド意識の問題がありました。改革には当然功罪が
図るとともに、それぞれが活かされるようにシステム化を図りま
伴いますが、分業化のメリットを考え、現実の重複問題解消に
した。
はぜひ取り入れる必要があることをチームリーダーの強い方針
効率化については、受付、試薬・装置準備、分析ローテーションの
と全員の合意で決意し、取り入れることになりました。分業の中
最適化、装置機能の有効活用、データ解析方法の効率化、報告
には、受付・外部対応も専任化することにし、これにより、分析担
書作成方法の効率化、etc.と徹底して各プロセスを見直しました。
当者の受注案件に関する多くの電話、メール等での問合せの
これらは、分析受注管理方法の改善、作業予定表の改善、試料
対応による分析作業の中断が回避できます。受付∼報告まで
容器の改良、容器識別方法の改善、分析治具の考案、試料溶解
を4作業に分類して分業化することとしました。
方法の改善、分析正確度改善、分析データ解析方法の改善、分
析済み試料返却方法の改善、etc.と非常に多くの改善策として提
5. 分析業務のローテーションと平準化
案され、大部分が実行に移されています。
業 務 の 分 業 化 は 3項 に 記 述した Simplification: 単 純 化 、
効率化、平準化は、生産性向上、納期短縮に大きな効果として成
Standardization: 標準化、Specialization: 専門化の効果がありま
果が現れました。これをチーム全員の合意の下で確実に運用する
した。マニュアルは完備され、各プロセス担当者はその業務に
ため、それぞれをシステム化しました。このシステムが現在うま
ついて専門化し、習熟し、知識・技術も専門的に深化、高度化し
く機能して、分析データの短納期体制が実現しています。
て一定の成果が現れました。反面、プロセス担当者を固定化す
るとそれぞれの業務繁忙度のばらつき、担当者自身の技術の多
7. おわりに
能化欲望等に対する問題の発生を経験し、必ずしも満足できる
分析データの短納期化は、ひとつだけの対策だけで成立する決
体制とはいえませんでした。この問題についても、チーム員全員
定打はありません。プロセス全体にわたっての地道な細部の効
で現状の問題、対策方法を議論した結果、分業化した各業務を
率化追求が必要です。それぞれ一つひとつの効率化は小さくて
それぞれがローテーションするという案を採用することにしました。
も、それをプロセス全体として効果的に運営できるシステム化
各プロセスの配置を一定期間ごとにローテーションし、これを繰り
が大幅な納期短縮に繋がります。この短納期化の実現は、初期
返して全員が全プロセス技術を習得できるような運営体制に見直
にチームメンバーの分業化抵抗意識がありましたが、方針決定後
しました。各人の技術修得欲望を満たし多能化が図られ、繁忙
は全員の協力意識、そして実行力が日常の中で培われていたこ
プロセスへの相互補完も容易となりました。このような業務の平準
とが大きな要因でした。その成果は見える形で分析技術者に示
化は、各人の休暇取得も容易になるなど側面的な効果もあり
すことが大切です。達成感、やりがいを感じながら、継続した活
ました。
力、追及体質が醸成されます。そのベースは、各分析技術者の
“本
この体制を構築するには、チームワーク、分析者自ら業務改革を
気、やる気、元気”
な集合した力強い現場力であったといえます。
11-12, 2007 • SEMI News
25
Technology
#族窒化物半導体関連物質の可能性の探索
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 尾鍋 研太郎
1. はじめに
GaNに代表されるⅢ族窒化物半導体は、青色発光ダイオードの
材料として90年代前半に大ブレークして以来、可視短波長や紫
外域の発光材料、さらには固体白色照明光源の材料としてその
応用分野が拡大してきた。現在では光分野だけではなく、超高
速・大電力で用いられる電子デバイス材料としても実用化研究
1, 2)
が進んでいる
。
ところでこのようなⅢ族窒化物半導体の隆盛
を横目に、
私の研究室では少し観点を変えて、
窒素を含む新しい
材料の可能性に目を向けた研究を進めている。そのひとつは立
方晶Ⅲ族窒化物半導体であり、
もうひとつはⅢ-V-N型の混晶半
導体である。
2. 立方晶3族窒化物半導体
Ⅲ族窒化物はふつう六方晶系に属するウルツ鉱型結晶構造を有
する。これはGaAsなどよく知られたⅢ-V化合物が立方晶系に
図1 立方晶GaN(111)B面からの六方晶GaNの発生の模式図と断面TEM像
属する閃亜鉛鉱型構造を有するのと大きな違いである。発光デ
バイスや電子デバイスとして応用が進展しているInGaN/GaN、
六方晶GaN
(h-GaN)が発生する。六方晶が発生する界面の微
AlGaN/GaN層構造は、すべて六方晶結晶によっている。ところ
像の観察から知れる。
平坦な
構造は透過型電子顕微鏡
(TEM)
最近接の原子の配置は全く同じ正
でこれらの2つの結晶構造は、
面の成長を進行させるには、
GaAs基板結晶
立方晶GaN(001)
四面体配置であり、
第2近接原子の位置に違いがあるだけである。
の表面平坦度を保つことがまず重要であり、そのために緩衝層
Ⅲ-V化合物はSiのような元素半導体と同じく本来共有結合性の
の採用と最適化を進めた。
その結果六方晶の混入度を1%以下
結晶であるが、イオン性も有しており、イオン性がある程度大き
六方晶の混入度の評価にはX線回折
に抑えることに成功した 。
くなると、同種原子どうしのクーロン反発力により、六方晶の方
逆格子空間マッピングという方法を用いる。重要な物性値であ
が安定となる。Ⅲ族窒化物が一般に六方晶であるのはまさにこ
るバンドギャップは立方晶GaNでは3.2eVであり、六方晶GaN
の理由による。しかし、立方晶とのエネルギー差はさほど大きい
より約0.2eV低いことが明らかになった。ついでAlの添加に
わけではない。特定の基板結晶上に層状に結晶を成長させるエ
より立方晶GaN/AlGaNヘテロ構造による、光励起レーザー発
ピタキシーにおいては、基板結晶に適当な立方晶を用いること
振も確認でき、
まずまずの結晶品質が実証できた。どこまで六方
GaNが立
で、
Ⅲ族窒化物でも準安定相として立方晶が成長する。
晶の混入を抑えることが可能かという問題が残るが、これにつ
方晶で得られれば、平行な結晶へき開面を利用するレーザー共
いては、図2に示すように、GaAs(001)基板上にストライプ状の
振器の作製に有利であり、またSiやGaAsデバイスとのモノリシ
A面を成長面とするきわめて低
選択成長を進めた場合に、
(311)
ックな結合も考えられる。
)
欠陥の立方晶GaN層が成長することを見出しており 、高品質立
90年代前半よりGaAs上の立方晶GaN
(c-GaN)
私の研究室では、
方晶GaN 層成長の有力な方向と考えている。このほか立方晶
の成長を試みており、結晶成長上の特性や特徴的な物性を明ら
InN、InGaNについても、六方晶混入度が10%以下のものが得
かにしてきた。成長方法としては有機金属気相成長
(MOVPE)
られており、結晶品質が向上しつつある。
3)
4
法と分子線エピタキシー
(MBE)法を用いている。結晶成長上
の最大の問題は、安定相である六方晶が混入して、結晶品質を
3. 3-V-N型混晶半導体
(001)面上の成長では、図1に示
低下させることである。GaAs
GaAsとGaNはそれぞれ安定な結晶構造が異なる上、Ga-Nの結
(001)
面が成長しても、成長表面のわ
すように、立方晶GaNの
合長はGa-Asのそれより20%も小さいために、そもそもGaAsN
B面が生じると、そこから積層欠陥の形で
ずかな荒れから
(111)
は安定な均一混晶とならない。
熱力学に基づいてGaAsに対する
26
SEMI News • 2007, 11-12
Technology
図2 選択成長立方晶GaNの断面TEM像と各部位の電子線回折像
Nの平衡固溶度を計算すると、800℃で2×10−9(モル比)しかなく、
−13
これは10
cm3の不純物濃度に相当する。このように極端な非混
和性を有する系であるが、有機金属気相成長や分子線エピタキ
シーにおける非平衡な成長環境により、平衡固溶度をはるかに
1
)
同様に
超えて、
数%のNを含む事実上の混晶が実現できている 。
GaPやInAsにNを添加することによりさまざまなⅢ-V-N型
の混晶が考えられる。
図3 GaAsN混晶のX線回折プロファイルのN濃度依存性
図3は有機金属気相成長によりN濃度5.1%までのGaAsNを実
現した例であり、Nを添加することにより、格子定数が小さくな
5)
4. むすび
りX線回折ピークがシフトしていく様子がわかる 。細かい振動
上に述べた一連の物質は、いずれも準安定相として実現される
波形は薄膜干渉によるものであり、界面の平坦な均一性の高い
ものであり、応用上素性の良い材料とはいえないかも知れない。
膜が得られていることを示している。成長温度を550 ℃から
結晶工学上の興味本位のいわばマニアックな研究とみなされて
500℃に下げることにより、同じN供給量でも固相へのNの取り
も仕方がない面があることは承知している。しかしながら、非平
Nの添
込みが増加する。
Ⅲ-V-N型混晶に共通の顕著な特徴は、
衡下の特異な結晶成長現象やそれに伴う特徴的な結晶欠陥の
加によりバンドギャップが急激に減少することである。これは、
性状や発光特性など、これらの研究を通じて学ぶことは多いの
バンドギャップの組成依存性のカーブにおける強い下に凸の性
である。
質、いわゆる
“巨大バンドギャップボウイング”の現れであり、軌
道半径の小さいNの価電子準位が深いことに起因している。し
〈参考資料〉
かし実現している混晶組成域が限られているためにその全貌は
1)赤崎勇編著「Ⅲ族窒化物半導体」
(培風館 1999年)
明らかではない。当研究室ではこれまでGaPN、GaAsPN、
2)高橋清監修、長谷川文夫・吉川明彦編著[ワイドギャップ半
InGaAsN、InGaPN、InAsNなどさまざまなⅢ-V-N型混晶の成長
Nの固溶限界の拡大の手法を追及してきた。準安定な状
を試み、
態を凍結させるためには低温成長が有効であり、有機金属気相
成長では通常用いられるアンモニアではなく、低温成長に有利
なジメチルヒドラジンや有機As原料を用いることがひとつの鍵
N起因の局在準位や局在フォノンが、発
であった。
物性的には、
光特性やバンドギャップの温度依存性に及ぼす特徴的な効果が
明らかになった。またInGaAsNやInAsN量子ドットの実現は、光
6)
通信波長帯での発光材料としての可能性を示すものとなった 。
11-12, 2007 • SEMI News
導体光・電子デバイス]
(森北出版 2006年)
3)K. Onabe, J. Wu, R. Katayama, F. H. Zhao, A. Nagayama
and Y. Shiraki, phys. stat. sol.(a)180, 15(2000).
4)Sanorpim, E. Takuma, J. Wu, K. Onabe, H. Ichinose, Y.
Shiraki, phys. stat. sol.(a)192, 446(2002).
5)F. Nakajima, S. Sanorpim, W. Ono, R. Katayama, and K.
Onabe, phys. stat. sol.(a)203, 1641(2006).
6)S. Kuboya, Q. T. Thieu, F. Nakajima, R. Katayama, and K.
Onabe, phys. stat. sol.(c)4, 2387(2007).
27
SEMI Membership / High Tech U Japan
SEMI新会員企業のご紹介
−日本で入会された会員企業をご紹介します−
■ 会社名 1)所在地、連絡先(電話・URL)2)代表者 3)設
立年度 4)取扱製品
※以下50音順
Tel:03-3839-7676 URL:http://www.space-energy.co.jp
2)代表取締役社長 仁村 利尚
■ 株式会社東レリサーチセンター
3)1995年
1)〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-1-8 日本橋都ビル
4)ソーラーウェハーメーカー:中国に4単結晶工場と日本にウェ
Tel:03-3245-5665 URL:http://www.toray-research.co.jp
ハー工場を持ち、2009年に月産800万枚を供給する。
2)代表取締役社長 林 健二
■ 清水建設株式会社
3)1978年
1)〒105-8007 東京都港区芝浦1-2-3
4)半導体材料・デバイス、FPD等の受託分析。主要手法:電子顕
微鏡、
各種表面分析、
無機・有機分析、
分光、
磁気共鳴等
Tel:03-5441-0136 URL:http://www.shimz.co.jp/
2)生産プラント本部 本部長 廣川 純
■ 住友大阪セメント株式会社
3)2002年(※エンジニアリング事業本部の設立年)
1)〒274-8601 千葉県船橋市豊富町585番地
4)クリーンルーム、プロセスユーティリティ設備の設計・施工
Tel:047-457-0742 URL:http://www.soc.co.jp/
2)新規技術研究所・グループリーダー 生原 幸雄
3)1907年
■ プログレッシオ LLC
1)〒125-0052 東京都葛飾区柴又1-6-10
Tel:03-5660-3210 URL:http://www.progressio.jp
4)静電チャック、スパッタリングターゲット、SiC製ヒーター等
半導体装置用セラミック部品の製造・販売
■ スペースエナジー株式会社
1)〒110-0005 東京都台東区上野1-20-11 鈴乃屋-室建ビル8F
2)代表/研究開発 バイヤーズ エマニュエル
3)2007年
4)半導体業界における先進の半導体製造装置システムの企画、
製造、販売
SEMIの教育プログラム「ハイテク・ユニバーシティ」
−2008年3月に茨城にて第2回開催決定−
「ハイテク・ユニバーシティ」は、SEMIが2001年に開始した高
校生を対象にした教育プログラムです。これまでに、米国を中心
・共 催:㈱日立ハイテクノロジーズ
㈱ルネサステクノロジ
に50回以上開催されており、日本では、今年3月に第1回目が
・後 援:茨城県教育委員会
2008年3
熊本県で開催され、
このたび業界各社のご協力を得て、
スポンサーシップ募集のご案内
月に第2回開催される運びとなりました。
本教育プログラムの趣旨にご賛同くださり、開催場所(会議・研
SEMIは、
「ハイテク・ユニバーシティ」
を通じて、高校生に科学・
修室)
の提供や実習体験、
工場見学などへのご協力、
またスポン
技術の面白さ、半導体産業の重要性を伝え、理系への進学・半
サーシップとしてご参加いただける企業様を募集いたしており
導体産業への就業への関心を喚起し、ひいては次代を担う有用
ます。ご協力のご検討をお願いいたします。
な人材育成・人材確保をサポートしていきたいと考えています。
■「第2回High Tech U Japan−ハイテク・ユニバーシティ」
開催概要
スポンサーシップ:一口20万円
関連製作物
特典として、
協賛企業のロゴを
「High Tech U Japan」
Webサイト等)に掲載いたします。
(パンフレット、
ポスター、
教材、
(火)
・26日
(水)
・開催日:2008年3月25日
また、スポンサーシップは、資金提供のみならず、実験機材・文具
・会 場:㈱日立ハイテクノロジーズ 那珂事業所
等の提供等、さまざまな形でのご支援をお願いしています。
㈱ルネサステクノロジ 那珂事業所
(茨城県ひたちなか市)
・主 催:SEMI
28
お問合せ先:SEMIジャパン
Tel:03-3222-5993 Email:jeventinfo@semi.org
SEMI News • 2007, 11-12
Column
SEMI Newsコラム:風力発電
水野 修
本年5月、
ドイツのある空港に降り立った人が驚いたそうである。
境への影響が問題となることがある。日本野鳥の会
(柳生博会
あたり一面が菜の花でまっ黄色だったというのである。菜種か
長)
によると、たとえば2004年以来、北海道ではオジロワシの衝
らバイオ燃料をとるためである。
突死だけでも7件が確認されているという。オジロワシは絶滅
ドイツは2021年の原子力発電全廃を決めている。
危惧種である。
もっとも最近では、温室効果ガスを出さない発電ということで
ところが日本では、風力発電設備の設置に際して環境影響評価
原発見直しの意見も強くなっているそうだが、原発依存の高い
が義務づけられていない。
西の隣国フランスとは対照的である。フランスはエネルギー自
少々遅い感はあるが本年2月、環境省と資源エネルギー庁が合同
給率向上と安定化のため原発を推進し、現在では総発電量の
で風力発電の環境影響を検討すべく
『風力発電設備と自然環境
80%を原発が占める。
保全に関する研究会』
を立ち上げ、8月には論点が明らかにされ
ドイツは自国で石炭を産することもあって、総発電量の50%は
た。この論点に特段の目新しさは感じられないものの、重要な論
。原発は25%ほどで、こ
石炭火力である
(火力全体では約60%)
点の一つはセンシティビティマップの作成である。野鳥など、環
の原発依存率は日本と同じ程度である。ドイツはこれを全廃し
境への影響の大きさの度合いを地図の上に明らかにしたもので、
ようというのである。
要するに風力発電設備を設置してもよい場所を明確にするもの
ドイツは風力発電先進国である。風力発電量で世界一はドイツ、
である。これは日本ではまだ手付かずだが、ヨーロッパ諸国では
次いでアメリカ、スペイン、デンマークとつづく。そのドイツの
とうに実施されているものである。このマップの作成にはカネ
風力発電量は現状で2000万KW強。対して日本は約140万KW。
と時間が必要であり、早急に省庁横断的に取り組む必要がある。
しかもドイツは現状日本の倍程度を毎年増やしている。
一方、せっかく風力で発電しても、日本では電力会社に全量の買
太陽光発電でも世界一はドイツである。かつては日本が一位だ
取り義務はない。電力が本当に必要な時に風がなかったらどう
ったが、2005年にドイツに抜かれ、今ではドイツの太陽光発電量
するか。日本の風はヨーロッパに比べ安定度が低い。
は日本の倍以上になっている。日本の太陽光発電量は約160万
「風まかせでは、あてにできない」
KWだが、
ドイツではそれと同程度の量を毎年増やしている。日
というのが電力会社の言い分である。
本は2005年の補助金打切りで伸びが鈍った。
しかし、否定的にばかり見ていては前に進めない。
ドイツは風力や太陽光での電力の全量買取り義務を電力会社に
このところ石油価格が急上昇している。今後も下がる見込みは少
課している。その買取り価格は日本の3倍以上で、赤字分は税金
ない。つられて他のエネルギーも上がるだろう。近未来の世界
で補填されている。こうして普及と同時に関連産業の育成も図
的エネルギー不足を考えれば、エネルギー自給率わずか4%の日
っている。
本は、もっと危機感をもって自然エネルギー利用を進めなければ
以上の事実を見ると、ドイツは明解なポリシーをもって自然エ
なるまい。それが地球温暖化防止にも直結する。
ネルギー利用を推進しており、そのための政策を実施している
『21世紀環境立国戦略』
を纏めた。9月に国連
この6月、政府は
ことが分かる。原発を全廃するには同量の新たな電力を生みだ
で開催された温暖化防止に関する会議での日本のプレゼンテー
さねばならない。これは並大抵のことではないが、北の隣国デン
ションもこの『戦略』をもとにしている。それらの論調は技術
マークでは既に電力の40%が風力によるものであることを考え
開発と途上国援助である。同『戦略』
の技術開発項目を見ると、
ると、不可能な話ではけっしてない。
太陽光発電等いくつか列挙されているが、風力はない。つまり風
日本の発電内訳は概略で、火力66%、水力9%、原子力23%、そ
力の技術は既に完成しているという考えだろう。ならばもっと
火力が多いが、
その内訳は石炭:天然ガス:
の他2%となっている。
国内での普及を図らなければならない。
エネルギー資源小国として、
エネルギ
石油の比が約2:2:1である。
エネルギー不足対策も温暖化防止も、技術開発とその普及は車
ー源多様化の方針の下、バランスのとれた電力構成になっている
の両輪である。この普及は政策として取り組まなければ進展す
といえる。
る性質のものではない。日本の政策はこの視点が抜けている。
しかし、日本の自然エネルギー利用については大方針すら明確
これを改めないと、努力して開発した技術も外国に利用される
でない。法の整備も遅れている。
だけになる。日本で関連産業が育たない。
『環境立国』
にならな
風力発電設備を設置すると野鳥の衝突死が懸念されるなど、環
いのである。
11-12, 2007 • SEMI News
1
2007年
1月31日(水)∼2月2日(金)
SEMICON Korea
ソウル
3月13日(火)∼3月15日(木)
FPD China
上海
3月21日(水)∼3月23日(金)
SEMICON China
上海
3月26日(月)
・27日
(火)
ハイテク・ユニバーシティ
セミコン・ジャパン 2007 いよいよ開催へ!
12月5日
(水)∼7日
(金)幕張メッセ
入場事前登録、出展社情報、各種セミナー情報はこちら
>>>http://www.semiconjapan.org
セミコン・ジャパンの開催が迫ってきました。
当日は混雑が予想されますので、
まだ入場事前登録をされていない方は、
熊本県合志市
4月11日(水)∼4月14日(土)
Global FPD Partners Conference
ハウステンボス 長崎
5月8日(火)∼10日(木)
SEMICON Singapore
シンガポール
6月4日(月)∼6日(水)
上記アドレスよりご登録ください。事前登録でご来場の方には、会場受
SEMI Expo CIS
付にて毎日2,000名様(先着合計)
に記念品を差し上げます。
モスクワ
また、会期中に開催される多彩なプログラムとイベントにもぜひご参加
6月18日(月)
・19日
(火)
ください。
SEMI FORUM JAPAN
グランキューブ大阪
幕張メッセでお待ち申し上げております。
7月4日(水)∼6日(金)
お問い合わせはSEMIジャパン展示会/プログラム部まで。
FPD Expo Taiwan
Tel:03-3222-6022 E-mail:jshowsinfo@semi.org
台北
7月17日(火)∼19日(木)
SEMICON West
太陽光発電の新総合イベント『PVJapan 2008』
サンフランシスコ
太陽光発電協会(JPEA)
とSEMIの共催により2008年開催へ!
9月4日(火)
・5日
(水)
7月30日
(水)∼8月1日
(金)東京ビッグサイト
出展社募集中、詳細情報はwebサイトへ
http://www.pvjapan2008.org
『PVJapan 2008』は、
「太陽光発電」
をキーワードに、国内外の太陽電池メ
ーカー、製造装置・材料サプライヤー、太陽電池設置関連企業、業界団
Industry Strategy and Technology Forum(ISTF)
パシフィコ横浜
(SEAJとの共同主催)
9月12日(水)∼14日(金)
SEMICON Taiwan
台北
10月9日(火)∼11日(木)
SEMICON Europa
体関係者、さらには太陽光発電に関心を持つユーザー、消費者が集い、
シュツッツガルト
展示会、太陽光発電システムシンポジウム、セミナー等のイベントを通じ
10月24日(水)∼26日(金)
て交流を図るとともに、新しいビジネスの機会を創出する国内最大級の
FPD International
太陽光発電に関する総合イベントです
お問い合わせは SEMIジャパン PV部門まで。
Tel:03-3222-5776 Email:pvj@semi.org
パシフィコ横浜
(主催:日経BP社 共催:SEMI)
11月4日(日)∼7日(水)
International Trade Partners Conference
マウイ島、ハワイ
12月5日(水)∼7日(金)
セミコン・ジャパン
幕張メッセ
*予定は変更される場合があります。
2007年
10月15日 「ハイテク・ユニバーシティ」次回開催について
10月11日 シリコンウェーハ出荷面積のコンセンサス予測を発表
10月01日 「SEMIテクノロジーシンポジウム(STS)2007」開催について
10月01日 「セミコン・ジャパン 2007」開催について
09月11日 第14回 STS Award 受賞者発表
09月03日 「PVJapan 2008」の開催について
SEMI ジャパン
〒102-0074
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Tel: 03.3222.5755
Fax: 03.3222.5757
SEMI OnLine:www.semi.org
Email:[email protected]
©2007 SEMI ジャパン
発行人:内田傳之助 編集人:浦田玉恵
10月22日 「セミコン・ジャパン 2007」の新企画について
SEMI News 11-12月号 2007年11月19日発行(隔月刊)
最近のニュースリリース
www.semi.org/news
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November - December 2007
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