中小企業の冬季ボーナス支給状況

《アンケート調査》
2016.12.5
大阪シティ信用金庫
中小企業の冬季ボーナス支給状況
― 支給企業割合など、昨年比改善
経団連がまとめた 2016 年年末賞与の調査結果(妥結額の第 1 回集計、11 月 4 日発表)
によると、民間大手企業の 1 人当たり支給額は加重平均で昨年比 0.84%増の
92 万 7,892 円(単純平均では 4.15%増の 78 万 5,662 円)で、4 年連続の増加となる。
それでは、中小企業の支給状況はどうだろうか。当金庫取引先企業を対象にアンケート調
査を実施した。
■ 調査時点: 2016 年 11 月上旬(2∼8 日)
■ 調査対象: 大阪シティ信用金庫取引先企業(大阪府内)
■ 調査依頼先数: 1,140 社(無作為抽出)
有効回答数: 1,096 社
有効回答率: 96.1% (「家族従業者のみ」の先を除いて実施)
<有効回答の内訳>
業 種
実 数
484 社
製 造 業
190
卸 売 業
59
小 売 業
177
建 設 業
78
運 輸 業
108
サービス業
計
1,096
構成比
44.2%
17.3
5.4
16.1
7.1
9.9
100.0
従 業 者
20 人未満
20∼49 人
50 人以上
計
-0-
実 数
885 社
142
69
1,096
構成比
80.7%
13.0
6.3
100.0
1.支給企業割合
−2 年ぶり増加の 61.5%
まず、すべての企業に対し、この冬にボーナスを支給するかどうか(予定及び実績)聞いた結果が
第1表である。
全体でみると、「①支給する」と答えた企業の割合は、昨年より 3.9 ポイント増加し 61.5%である。同
割合は 2 年ぶりに増加し 6 割を超えたが、リーマン・ショック前に比べるとなお 10 ポイント程度下回っ
ている(第 1表 、後 掲 ・3 ㌻<時 系 列 表 >)。
一方、「②支給しない」と答えた企業割合は 38.5%で、さらにその内訳を見ると、「(ア)ボーナスは
支給できないが、少額の手当を出す」とする企業は 28.6%(昨年冬比 1.0 ポイント減)、「(イ)全く支給な
し」とする企業は 9.9%(同 2.9 ポイント減)である。
業種別にみると、「①支給する」と答えた企業割合は建設業が 66.7%で最も多いのに対し、小売
業が 45.8%で最も少ない。
第 1 表 ボーナス支給の状況
(%)
項目
区分
業
種
別
規
模
別
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
建 設 業
運 輸 業
サービス業
20 人未満
20∼49 人
50 人以上
全
体
①
支給する
②
支給しない
63.4
57.4
45.8
66.7
56.4
63.0
55.9
85.2
82.6
61.5
昨年冬比増減
(ア)少額
手当
(イ) 全く
なし
計
36.6
42.6
54.2
33.3
43.6
37.0
28.1
32.1
27.1
25.4
35.9
25.9
8.5
10.5
27.1
7.9
7.7
11.1
44.1
14.8
17.4
38.5
32.7
12.0
11.6
28.6
11.4
2.8
5.8
9.9
-1-
②支給しない
①支給
する
(ア)少額
(イ) なし
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
4.4
▲3.5
11.0
8.5
3.6
1.8
▲ 2.6
8.1
▲ 9.3
▲ 5.4
2.6
0.9
▲
▲
▲
▲
▲
▲
1.8
4.6
1.7
3.1
6.2
2.7
100.0
100.0
100.0
100.0
2.9
11.0
▲3.6
3.9
▲ 0.7
▲ 4.1
6.4
▲ 1.0
▲
▲
▲
▲
2.2
6.9
2.8
2.9
2.支給額
−平均は 277,086 円
次に、前項で「支給する」と答えた企業(61.5%、673 社)に対して、1 人当たりの支給額を聞いた結
果(税込み、単純平均)が第 2 表である。
全体でみると、1 人当たりの平均支給額は 27 万 7,086 円で、昨年冬に比べ 1,061 円、率にして
0.38%の増加となった。支給額の増加は 4 年連続である(第 2 表−1・2、後掲・3 ㌻<時系列表>)。
業種別にみると、サービス業が 30 万 5,156 円で最も多いのに対し、小売業では 23 万 8,403 円、
運輸業も 23 万 8,432 円と少なくなっている。
従業者規模別にみると、支給額は規模が小さくなるほど少なくなっている(第 2 表−3)。
以上のとおり、支給企業割合、支給額の両面から見て、今冬の中小企業のボーナス支給状況は
昨年に比べ「改善」と言える。
第 2 表−1 支給額の状況
(%)
項目 ①
20 万円
未満
区分
29.7
製 造 業
33.0
卸 売 業
業
55.6
小 売 業
種
24.6
建 設 業
別
24.9
運 輸 業
28.0
サービス業
規
模
別
20 人未満
20∼49 人
50 人以上
全
体
②
20∼29
万円
③
30∼39
万円
④
40∼49
万円
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
建 設 業
運 輸 業
サービス業
全
体
⑥
60∼69
万円
⑦
70 万円
以上
計
37.2
43.2
40.7
34.0
41.1
42.6
22.1
19.3
0
25.4
20.4
20.6
6.5
2.7
0
9.3
9.0
7.3
3.6
1.8
3.7
5.1
2.3
0
0.3
0
0
0.8
2.3
1.5
0.6
0
0
0.8
0
0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
35.0
15.7
15.8
38.3
41.4
35.0
18.1
30.6
26.3
5.2
7.4
14.1
2.4
4.1
7.0
0.6
0.8
0
0.4
0
1.8
100.0
100.0
100.0
29.9
38.5
21.1
6.4
3.1
0.6
0.4
100.0
第 2 表−2 平均支給額 〔業種別〕
業種等
⑤
50∼59
万円
平均支給額
274,366
295,820
238,403
266,448
238,432
305,156
277,086 円
第 2 表−3 平均支給額 〔規模別〕
昨年冬比
従業者
0.20%
0.04
0.00
1.40
0.00
0.43
0.38
20 人未満
20∼49 人
50 人以上
-2-
平均支給額
267,134 円
302,815
334,742
昨年冬比
0.37%
0.41
0.42
<時系列表> 冬季ボーナスの支給状況
(%、円)
1998 年
支給企業割合
( )内は夏
79.6 (93.8)
1999 年
73.1 (76.4)
2000 年
74.1 (70.3)
2001 年
平均支給額
前年比
△ 6.5 (△17.4)
32.0
対前年増減
-
28.3
△3.7
1.0 (△6.1)
282,277
△723
69.8 (72.1)
△ 4.3 ( 1.8 )
272,727
△9,550
2002 年
63.2 (62.9)
△ 6.6 (△9.2)
266,127
△6,600
2003 年
70.9 (64.0)
7.7 ( 1.1 )
266,677
550
2004 年
71.1 (65.8)
0.2 ( 1.8 )
268,174
1,497
2005 年
72.0 (68.4)
0.9 ( 2.6 )
281,472
13,298
2006 年
73.6 (68.5)
1.6 ( 0.1 )
284,824
3,352
2007 年
71.4 (68.5)
△ 2.2 ( 0 )
285,809
985
2008 年
62.3 (65.6)
△ 9.1 (△2.9)
283,085
△2,724
2009 年
56.2 (56.7)
△ 6.1 (△8.9)
273,685
△9,400
2010 年
50.4 (51.0)
△ 5.8 (△5.7)
272,435
△1,250
2011 年
49.0 (50.8)
△ 1.4 (△0.2)
271,536
△899
2012 年
50.2 (49.4)
270,963
△573
2013 年
56.2 (50.1)
1.2 (△1.4)
6.0 ( 0.7 )
272,442
1,479
2014 年
58.3 (59.4)
2.1 ( 9.3)
274,483
2,041
2015 年
57.6 (62.9)
276,025
2016 年
61.5 (61.6)
1,542
1,061
△ 0.7 ( 3.5)
3.9 (△1.3)
注)1998∼1999 年の支給額の単位は万円
-3-
277,086
3.成果給割合
−平均は 2.2 割
前項1で「支給する」と答えた企業(61.5%、673 社)に対し、支給総額のうち、従業員個々の能力
や成果を反映した「成果給」の割合がどれくらいあるか聞いた結果が第 3 表である。
全体でみると、成果給割合は「①1∼2 割」とする企業が 36.7%で最も多く、次いで「②3∼4 割」が
25.3%となっている。また、「③5∼6 割」(9.5%)や「④7 割以上」(2.8%)など、ボーナスの大半を成
果給が占めている企業も少数ながらある。一方、「⑤成果給割合はゼロ」と答えた企業も 25.7%あり、
これら全企業における成果給割合の平均は 2.2 割となる(成果給のある企業だけでは 2.9 割)。
第 3 表 支給額に占める成果給割合
(%)
項目
区分
業種別
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
建 設 業
運 輸 業
サービス業
規 20 人 未 満
模 20∼49 人
別 50 人 以 上
全
体
(2015 年 冬)
(2014 年 冬)
①1∼2 割
②3∼4 割
37.0
42.2
37.1
36.5
34.1
27.9
36.2
41.4
31.6
36.7
(40.0)
(35.1)
24.8
22.0
18.5
24.6
36.4
29.4
21.0
32.2
47.3
25.3
(24.0)
(22.1)
③5∼6 割 ④7 割以上
7.5
13.8
11.1
9.3
4.5
14.7
9.3
10.7
8.8
9.5
(6.3)
(8.1)
-4-
3.3
1.8
3.7
4.2
0
1.5
2.6
5.0
0
2.8
( 2.8)
( 3.4)
⑤成果給
ゼロ
計
平均
(割)
27.4
20.2
29.6
25.4
25.0
26.5
30.9
10.7
12.3
25.7
(26.9)
(31.3)
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
(100.0)
(100.0)
2.1
2.3
2.2
2.3
2.0
2.4
2.0
2.7
2.6
2.2
(2.0)
(2.0)
4.収益に照らした支給状況
−「無理をしている」が 2 割強
最後に、前項1でこの冬にボーナスを「支給する」と答えた企業(61.5%、673 社)に対し、その支給
は自社の収益に照らし、適正なものと言えるか、無理はないか聞いた結果が第 4 表である。
全体としてみると、「①適正の範囲内」と答えた企業が 79.8%と多いが、「②無理をしている」と答え
た企業も 20.2%あった。
このように、ボーナスを支給する約 6 割(61.5%)の企業のうち、2 割(20.2%)は士気高揚や人材確
保などのため、無理をした支給となっているようだ。
第 4 表 収益に照らした支給状況
(%)
項目
① 適正の範囲内
② 無理をしている
計
区分
業
種
別
規
模
別
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
建 設 業
運 輸 業
サービス業
20 人未満
20∼49 人
50 人以上
全
体
77.8
79.8
77.8
83.0
86.4
79.4
22.2
20.2
22.2
17.0
13.6
20.6
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
79.4
80.1
82.5
20.6
19.9
17.5
100.0
100.0
100.0
79.8
20.2
100.0
-5-