がん臨床試験における評価方法 NCI-CTCAEv3.0 NCI

第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
抗がん剤の臨床試験では、有効性(効果)と
安全性(副作用)を世界共通規準で評価します。
がん臨床試験における評価方法
・ 副作用(毒性)を評価する→CTCAEを使用
(Common Terminology Criteria for Adverse Event)
NCINCI-CTCAE入門
CTCAE入門
・ 効果(腫瘍縮小)を評価する→RECISTを使用
RECIST入門
RECIST入門
国立がんセンター中央病院
北里研究所 臨床薬理研究所
勝俣範之
福谷美紀
(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)
1
2
有害事象と副作用
有害事象(A E)
薬物の投与中・投与後に生じた
あらゆる好ましくない医療上の事象
CTCAE v3.0
(Common Terminology Criteria for
Adverse Events )
有害事象共通用語規準v3.0
重篤な有害事象
(SAE)
副作用(ADR)
・死亡もしくは生命を脅かす
有害事象のうち薬物との因果関係が ・入院または入院期間の延長を要する
・永続的または顕著な障害・機能不全
否定できないもの
・先天異常を来す
etc
3
4
NCI-CTCAEv3.0
NCI-CTCAEv3.0
米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)に
よって作成
日本語訳はJCOG (Japan Clinical Oncology Group/日本臨床腫
瘍研究グループ)が中心に作成
„ NCIホームページ http://ctep.cancer.gov/
„ 日本語訳 (CTCAEv3.0日本語訳JCOG/JSCO版)
• JCOGホームページ http://www.jcog.jp/
zCTCv2.0 (1998.1∼日本語は1999.4∼ )
Common Toxicity Criteria:共通毒性基準
•
zCTCAEv3.0(2003.12∼、日本語は2004.10∼)
Common Terminology Criteria for Adverse
Event:有害事象共通用語基準
日本癌治療学会誌(International Journal of
Clinical Oncology Vol.9 SuppIII:1-82,2004)
副作用(毒性)ではなく有害事象の報告を目的とする
ことが明確にされた
5
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
6
1
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
NCI-CTCAEv3.0
CTCAEv3.0の構造
・ それぞれの有害事象の用語とその重症度
(Grade)に関する定義を示したもの
・がんの治療法の安全性評価を容易にし、すべて
のがん領域での有害事象の記録や報告を標準化
するために開発
・実地臨床が適切かどうかの監視や異なった有害
事象の重症度の比較をすることは目的としない
1) カテゴリー
2) 有害事象
有害事象を評価するための世界共通のものさし
アレルギー/免疫 ALLERGY/IMMUNOLOGY
Grade
有害事象
Short Name
アレルギー反応/過敏症
(薬剤熱を含む)
Allergic reaction/
hypersensitivity
(including drug fever)
アレルギー反応
Allergic reaction
5
1
2
3
一過性の潮紅あるいは皮疹;
<38℃の薬剤熱
皮疹; 潮紅; 蕁麻疹; 呼吸
困難;
≧38℃(≧100.4°F)の薬
剤熱
蕁麻疹の有無によらず症
状のある気管支痙攣;
非経口的治療を要する;
アレルギーによる浮腫/血
管性浮腫;
血圧低下
アナフィラキシ−
4
死亡
―
―
―
注: 明らかなアレルギー症状や過敏症反応を伴う蕁麻疹は,アレルギー反応/過敏症(薬剤熱を含む)にgradingする.
関連AE: サイトカイン放出症候群/急性輸注反応[症候群SYNDROMES-Cytokine]
アレルギー性鼻炎
(くしゃみ, 鼻づまり, 後鼻
漏を含む)
Allergic rhinitis
(including sneezing, nasal
stuffiness, postnasal drip)
アレルギー性鼻炎
Rhinitis
軽症
治療を要さない
中等症
治療を要する
3) Grade
4) 因果関係
7
8
NCI-CTCAEv3.0の構成
2)有害事象 Adverse Event
NCI-CTCAEv3.0の構成
1)カテゴリーCategory
病態生理や解剖に基づいた大分類
アルファベット順に28項目
・アレルギー/免疫: ALLERGY/IMMUNOLOGY
・聴覚/耳:
AUDITORY/EAR
・血液/骨髄:
BLOOD/BONE MARROW
・不整脈:
CARDIAC ARRHYTHMIA
・心臓全般:
CARDIAC GENERAL
・凝固:
COAGULATION
・・・・・
・症候群:
・血管:
SYNDROMES
VASCULAR
9
NCI-CTCAEv3.0の構成
NCI-CTCAEv3.0の構成
2)有害事象
10
3)グレード:Grade
Adverse Event
‡個々のAE:1000以上
‡アルファベット順
‡CTCAEにおける有害事象の定義
治療や処置に際して見られる、あらゆる好ましくな
い徴候、症状、疾患(臨床検査値の異常も含む)であ
り、治療や処置との因果関係は問わない
• 治療的介入によって引き起こされるものだけではな
い
11
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
Grade0:正常
Grade1:軽度のAE
治療を要さない;症状がない画像所見異常/
検査値異常
Grade2:中程度のAE
最低限の治療/局所治療/非侵襲的治療
Grade3:高度のAE
入院や侵襲的治療/IVR/輸血/治療的内視鏡/
手術 などを要する顕著な症状を有する
Grade4:生命を脅かす、または活動不能/動作不能となるAE集中
治 療や緊急処置を要する。
Grade5:AEによる死亡
12
2
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
NCI-CTCAEv3.0の構成
4)因果関係:Attribution
有害事象と治療や手技との関係の強さを示す
5段階を提示されている
判定
英語
NCI-CTCAEv3.0
使用上の注意点
定義
明確に
definite
明らかにその治療による
たぶん、十中八九は
probable
その治療によるもののようだ
ありそうな
possible
その治療によるかもしれない
ありそうにない
unlikely
その治療によらないもののようだ
関係ない
unrelated
明らかにその治療によらない
・発生した個々の有害事象に対し、研究者(医師)が
因果関係を評価
・因果関係については、「否定できる」「否定でき 13
14
ない」の2段階など、試験によって異なる
NCI-CTCAEv3.0
1.一般的注意
使用上の注意点
1.
一般的注意
z すべての有害事象を網羅的に評価する必要は
ない
z 有害事象をどこまで記録/報告するかはプロ
トコールごとに規定すべきである。
2. nearest matchの原則
3. baselineの原則
4. CTCAE v3.0に定義されていない有害事象
5. Gradingの責任
例)×検査値異常を逐一すべて報告する(白血
球分画、BUN低値など)。
6. 評価間隔(interval)
7. エピソード
CTCAE v3.0 Online Instructions and Guidelines
「CTCAEv3.0日本語訳 JCOG/JSCO版」解説と指針v1.0 より
15
16
3.ベースライン(治療前値・登録前値)
2.“nearest match”の原則
z 観察された有害事象が複数のgradeの定義に
該当するような場合、総合的に判断して最も
近いgradeに分類する
例)「食欲不振」grade3:輸液を要する
患者が希望して輸液を行ったらgrade3
は・・・誤り
z いくつかの有害事象では、症状や検査値がベース
ラインからどの程度変化したかによってgradeが定
義されている
-疲労・体重増加・下痢・成長速度など
z それ以外ではCTCAE v3.0の規準に厳密に従って
gradingを行い、ベースラインの患者の状態によっ
てGradeを調節してはならない
-治療前G1、治療後G2 → 2−1=G1としない
z 後に発生した有害事象との比較を容易にするため、
ベースラインデータを記録しておくことが推奨さ
れる
17
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
18
3
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
4.CTCAE v3.0に定義されていない有害事象
5.Gradingの責任
z CTCAE v3.0に定義がされていない有害事象
は、適切なカテゴリーの「その他(具体的
に記載)」でgrade1∼5の一般的な定義にあ
てはめgradingする
z 有害事象のgradingに関する責任は、その試
験に参加しているそれぞれの研究者にある
z 最終的な責任は研究代表者/主任研究者にあ
る
z 可能な限り定義された有害事象を用い、極
力「その他(具体的に記載)」は用いない
ようにする
19
6.評価間隔(interval)
20
7.“エピソード”
z 「消化管:嘔吐」で用いられる「エピソー
ド」については、CTCv2.0の和訳では「1回」
としたため誤解を招いたことから、原文に
ない注釈が「解説と指針」の中に加えられ
た
z 有害事象の持続期間や、急性・遅発性の区別に関す
る特定の規準を設けていない
z 有害事象は、プロトコールごとに規定する「評価
期間(評価間隔duration)」ごとに評価する
z Gradingに際しては、評価期間の最終時点ではな
く、評価期間内で観察された最悪のgradeを記録/
報告する
同一評価期間内で、同じ有害事象が2回以上起きた
時は、最も重いgradeのみ記録/報告すればよい
-「1エピソード」とは、1回嘔吐したことを指すので
はなく、嘔吐発作の一連の経過を指す。すなわち、
短時間に連続して2,3回の嘔吐があったとしても、
それは「1エピソード」としてカウントされる。
21
22
オーバークオリティは止めましょう!!
z ヘモグロビン低下、ヘマトクリット低下、赤血球
数低下とすべて記録する
RECIST Guideline
(Response Evaluation Criteria in Solid
Tumors Guideline)
固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン
z 臨床第三相試験で軽微な有害事象まですべて記録
する
→ある国際共同治験で日本のみ有意に「風邪が多かった!」
z 観察期間内に消失、発生した有害事象まで逐一記
録する
23
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
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4
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
用
語
RECISTガイドライン
‡RECIST ガイドライン
„ J Natl Cancer Inst 2000;92:205–16
‡ “RECIST規準”は間違い
„ 日本語訳 (JCOG版)
• JCOGホームページ http://www.jcog.jp/
‡ “Response Evaluation Criteria in Solid Tumors
Guideline”
• 日本癌治療学会誌(International Journal of
Clinical Oncology Vol.9 SuppIII:1-82,2004)
25
26
治療効果判定の目的
治療効果判定の目的
1.
臨床的な
改善
日常の患者管理
1. 日常診療における治療継続の判断根拠
概念的にも実際にも
明確な区別が必要
2. 臨床第II相試験における主たる指標
3. 臨床第III試験における副次的指標
2.
臨床第II相試験
3.
臨床第III試験
客観的な
腫瘍縮小効果
27
RECIST
標的病変と非標的病変
RECIST
測定可能病変と測定不能病変
‹
• 標的病変 (Target lesions)
測定可能病変 (measurable)
– 測定可能病変
– 1臓器につき最大5ヶ所、合計10病変
‐ 最長径の和を記録し、ベースライン長
径和とし評価の対照とする
– 少なくとも一次元で測定可能 (最長径)
– 20 mm以上 (Helical CTなら10 mm以上)
– 治療開始前4週以内に計測
– 内視鏡、腫瘍マーカーは不可
‹
28
• 非標的病変 (Non-target lesions)
測定不能病変 (nonmeasurable)
– 標的病変以外のすべての病変
– 骨病変、軟膜病変、腹水、胸水、肺リンパ管症
– (放射線照射後の病変:プロトコールごとに定義)
• 標的病変でない測定可能病変
• 測定不能病変
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使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
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5
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
RECIST
効果判定基準
RECISTガイドラインのポイント〔治療前〕
1 測定可能病変の有無の確認
• 標的病変 (すべての標的病変の最長径の和で判定)
測定可能病変があり、RECIST評価が可能か
– CR (Complete response, 完全奏効)
• すべての標的病変の消失
– PR (Partial response, 不完全奏効)
• 最長径の和が30%以上減少
– PD (Progressive disease, 進行)
• 治療開始以降の最小の最長径の和より20%以上増加
– SD (Stable disease, 安定)
• CR/PRにはいたらず、PDにもならない。
2 検査方法の決定
腫瘍の大きさでヘルカルCT10mm幅にするか、5mm幅に
するか。骨病変がある場合、X-Pで測定を行ったかなど、
経過観察の可能な正しい検査方法の選択
3 ベースラインの決定
ベースラインとなる画像は、治療開始前4週間以上経過し
ていないか
4 標的病変と非標的病変の決定
• 非標的病変
– CR (Complete response, 完全奏効)
• すべての非標的病変の消失かつ腫瘍マーカーの正常化
– PD (Progressive disease, 進行)
• 明らかな増悪
– IR/SD (Imcomplete response/Stable disease, 不完全奏効/安定)
• 病変の残存
病変の大きさや部位により、何を標的病変に、何を非標的
病変にするか、決定する
5 同じ検査法での次の検査の日程の決定
プロトコールで決められた間隔で、同じ検査法での標的病
変、非標的病変の観察
31
32
RECIST
RECISTガイドラインのポイント
総合効果
標的病変の
効果
CR
非標的病変の
効果
CR
確定(confirmation)
新病変出現の
有無
総合効果
なし
CR
CR
IR/SD
なし
PR
PR
PD以外
なし
PR
SD
PD以外
なし
SD
PD
問わない
問わない
PD
問わない
PD
問わない
PD
問わない
問わない
あり
PD
RECISTガイドラインのポイント
腫瘍縮小効果の評価
■確定(confirmation)
観察された奏効率の過大評価を回避するのが目的
PRまたはCRの確定:
最初に規準を満たしたときから4週以降におこな
われる再評価で再び規準を満たすこと
SDの確定:
プロトコールで定義する期間(試験登録後の最短
期間で、
一般的に6∼8週以上)を越えて少なくとも1度は
規準を満たすこと
RECISTガイドラインのポイント
腫瘍縮小効果の評価
„Best overall response (最良総合効果)
– 治療開始から増悪/再発までに記録された最良の効果
CT
治療開始前4週間以内
– 測定値の規準と確定の規準の療法を用いる
– CR>PR>SD>PDの順に「良好」であるとし、全コースを
CT
CT
標的病変(肺)
X線
治療開始後6週間
治療終了時
PR
PR
X線
X線
SD
SD
非標的病変(骨)
通じて良好な総合効果をもって最良総合効果とする。
最良総合効果 PR
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
6
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がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
RECIST基礎判定 1
標的病変縮小率と効果判定 例題
標的病変の縮小率と効果判定を出してみましょう
RECIST基礎判定 1
標的病変の縮小率と効果判定
標的病変の縮小率と効果判定を出してみましょう
肝臓に1個の評価病変のある症例
腹部CT 治療前
腹部CT 治療前
腹部CT 治療開始8週目
腹部CT 治療後4週間目
腹部CT 治療後4週間目
長径 6cm
長径 5cm
長径 4cm
縮小率=16.6%
効果判定 SD
長径
例題
縮小率=2/6=33%
効果判定 PR
長径 5cm
6cm
縮小率=6-5/6=16.6%
効果判定SD
(PRには30%の縮小が必要)
RECIST基礎判定 1
標的病変の縮小率と効果判定 例題
RECIST基礎判定 1
標的病変の縮小率と効果判定
例題
標的病変の縮小率と効果判定を出してみましょう
治療前
長径 6cm
治療後4週目
長径 5cm
治療後8週目
長径 4cm
縮小率=33%
効果判定 PR
縮小率=16.6%
効果判定 SD
標的病変の縮小率と効果判定を出してみましょう
標的病変2個ある症例
治療前
1回目評価
2回目評価
標的病変1(肺)
5cm
4cm
3cm
標的病変2(肺)
5cm
4cm
3cm
全標的病変の長径の和
10cm
8cm
6cm
縮小率
効果判定
−
20%
SD
40%
PR
治療後12週目
長径 5.5cm
増大率=1.5/4=37.5%
効果判定 PD
RECIST基礎判定2
RECIST基礎判定2
総合効果
総合効果
例題
例題
総合効果を出してみましょう
標的病変2個ある症例
総合効果を出してみましょう
症例1 症例2 症例3 症例4 症例5
標的病変
SD
PR
CR
SD
CR
非標的病変
SD
SD
CR
CR
IR
新病変
なし
なし
あり
なし
なし
治療前
1回目評価
標的病変1(肺)
5cm
4cm
3cm
標的病変2(肺)
5cm
4cm
3cm
非標的病変
胸水
増量なし
減量
新病変
−
なし
なし
縮小率
10cm
8cm
20%
6cm
40%
総合効果
−
SD
PR
全標的病変の長径の和
総合効果
SD
PR
PD
SD
PR
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
2回目評価
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第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
RECIST基礎
RECIST基礎判定3
最良総合効果 例題
CR,PRのconfirmationは4w
SDは6wとプロトコール設定
最良総合評価を出してみましょう
3
最良総合効果 例題
CR,PRのconfirmationは4w
SDは6wとプロトコール設定
最良総合評価を出してみましょう
治療日
1回目判定
2回目判定
06/4/1
06/5/1
06/6/1
標的病変
PR
PR
標的病変
PR
PR
非標的病変
SD
CR
非標的病変
SD
CR
新病変
なし
なし
PR
PR
新病変
なし
なし
総合効果
総合効果
PR
PR
PR
最良総合評価
1回目判定
治療日
05/4/1 05/5/1
SD
最良総合評価
(confirmationの4wが取れていない)
RECIST基礎3
RECIST基礎3
最良総合効果 例題
最良総合効果 例題
最良総合評価を出してみましょう
CR,PRのconfirmationは4w
SDは6wとプロトコール設定
治療日
1回目判定
2回目判定
3回目判定
05/4/1
05/5/1
05/5/20
05/6/20
2回目判定
05/5/20
CR,PRのconfirmationは4w
SDは6wとプロトコール設定
最良総合評価を出してみましょう
治療日
1回目判定
2回目判定
3回目判定
05/4/1
05/5/1
05/6/20
05/7/14
標的病変
PR
PR
PR
標的病変
非標的病変
SD
CR
CR
非標的病変
PR
SD
PR
CR
PR
CR
新病変
なし
なし
なし
新病変
なし
なし
あり
総合効果
PR
PR
PR
総合効果
PR
PR
PD
最良総合評価
PR
最良総合評価
(PR in 5/1 PR Confirmation 6/20)
PR
こんな時どうする?
標的病変の選択
RECIST判定
こんな時どうするシリーズ
例題
肺に多発性転移病巣が無数に存在する症例
ヘリカルCTで測定可能な10mm以上の病変を、
大きい順に右肺5ヶ所、左肺5ヵ所、合計10ヵ所を標的病変
として抽出。それ以外の病変は非標的病変
Q:標的病変はこれって正しいの?
ガイドラインでは標的病変は1臓器5ヶ所
尚、肺は左右で1臓器、従って、左右の病変を合わせて
大きいものから順に5カ所を標的病変とし、それ以外を
非標的病変とする
(肺以外は例えば卵巣など左右別臓器)
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
8
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
こんな時どうする?
ベースライン 例題
手術時の肉眼所見は4cmの腫瘤で試験に登録
ただし、手術前CT画像では腫瘤は確認できなかった
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
こんな時どうする?
標的病変の測定法
例題
化学療法が良く効いて、一つの病変が複数に分裂して
しまった
Q:こんな場合、どのように計測すればよいの?
Q:手術中の肉眼所見を標的サイズにしていいの?
効果判定をRECISTに従う場合には、一般的には
登録条件に画像での測定可能病変を有する症例と
規定される。この場合には、画像評価がないため
登録不可
3cm
5cm
4cm
RECISTでは長径を測るため、10cm→12cm 20%増
この場合、研究代表者に相談し、プロトコール続行と
するか決定尚、RECIST評価と治療の評価とは別と考
える
こんな時どうする?
こんな時どうする?
標的病変の測定法
10cm
例題
いびつな形の病変
Q:どのように計測するの?
標的病変の評価
例題
卵巣がんの原病巣のサイズは化学療法により変化しなか
ったが、充実性だった腫瘤の内部が壊死して嚢胞状にな
った
Q:これってどう評価するの?
3.5cm
4.7cm
5cm
5cm
5cm
6cm
病巣内でのみ測定、長いほうの径を測る
この場合、5cm
こんな時どうする?
標的病変の評価 例題
卵巣がんに化学療法を行い、10cmあった原発巣2cm
まで縮小してPRを確定した
その後のセカンドルック手術を実施して、摘出した卵巣
の病理学的検査はネガティブであった
つまり、化学療法ですべて腫瘍は消失していたらしい・・
画像上、明らかに嚢胞と判断できれば、その場合
には嚢胞を外した測定で3.5cm 縮小30%でPR
嚢胞かどうか、疑わしい場合には、関係なく測
定し5cmでSD
こんな時どうする?
標的病変の評価
例題
肝臓の病変に治療の効果があり、4コース終了時には
5.0cmが0.7mmまで、縮小した
しかし、6コースの時点で測定したら1.2mmだった。
Q:計算すると71%の増大となる。これはPDと判断する
の?
Q:これってCR?
RECISTは画像での評価、この場合の判定はPR
手術の評価を入れたいならば、最初からプロトコルに
規定しておくべき
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
これは試験ごとあるいは研究グループごとに基準を
つくること例えば、JCOGの試験では長径和の絶対値
が20mm以下であれば長径和が20%増大した場合に
もPDにしないなど。
9
がん臨床試験における評価方法(勝俣 範之/福谷 美紀)
第16回CSPOR・CRCセミナ―(2008/3/8∼9)
こんな時どうする?
最良総合効果 例題
治療前4/1
1回目判定5/15
標的病変
(肺)
胸部CT
胸部CT
PR
非標的病変
(腹水)
腹部CT
新病変
総合効果
2回目判定
6/20
3回目判定
7/30
胸部X線
病変消失
胸部CT
PR
超音波
腹水確認
超音波
腹水消失
腹水消失
なし
なし
なし
PR
評価不能
PR
腹部CT
お疲れ様でした。
最良総合効果はPR
5656
使用目的を研究者の自己学習用に限り,その他への転用を禁じる
10