フライス盤使用マニュアル

フライス盤
HITACHI 2MW-V
X 軸移動量: 710mm
Y 軸移動量: 300mm
Z 軸移動量: 400mm
●各部の説明
1 主軸起動スイッチ(主軸の回転)
ヘッド前面上部左側の主軸起動スイッチを押すと主軸は回転を始めます
2 主軸起動スイッチ(主軸の停止)
主軸停止スイッチを押すと主軸は止まります 異常事態の時は 10 の非常停止スイッチを押してください 機械の動きは
全て止まります
3 主軸回転変換レバー
ヘッド左側の主軸回転変換レバーにより主軸回転数の変換を行います レバーの組み合わせにより 12 段階(毎分 1500
回転)の回転数が得られます (変換レバーの動きが悪い時は主軸を少し手で回し、歯車のかみ合いをずらしてから行
います。工具交換はレバーの 1 本を「LOW」にして行います)
4 テーブル手送りハンドル(テーブル左右送りハンドル・・・X 軸)
サドル左端のテーブル手送りハンドルでテーブルが左右に動きます ハンドルを右に回すとテーブルは右に、左に回すと
左に動きます ハンドルの目盛りは 1 目盛り 0.02mm 1 回転 6mm です
5 サドル手送りハンドル(テーブル前後送りハンドル・・・Y 軸)
ニイ前面右側のサドル手送りハンドルでテーブルが前後に動きます ハンドルを右に回すとテーブルは前に、左に回すと
手前に動きます ハンドルの目盛りは 1 目盛り 0.02mm、1 回転6mm です
6 ニイ手送りハンドル(テーブル上下送りハンドル・・・Z 軸)
ニイ前面左側のニイ手送りハンドルでテーブルが上下に動きます ハンドルを右に回すとテーブルは上に、左に回すと下
に動きます ハンドルの目盛りは 1 目盛り 0.02mm、1 回転3mm です
7 テーブル・ニイ送りレバー(テーブル左右・上下自動送りレバー)
ニイ前面右上部のテーブル・ニイ送りレバーでテーブルの左右・上下の自動送りが出来ます レバーを右に倒すとテーブ
ルは右に、左に倒すと左に自動で動きます レバーを上に倒すとテーブルは上に、下に倒すと下に自動で動きます 自
動送りの送り量は送り速度変換ダイヤル 9 で設定します
8 サドル送りレバー(テーブル前後自動送りレバー)
ニイ右側面上部のサドル送りレバーでテーブルの前後自動送りが出来ます レバーを前に倒すとテーブルは前に、手前
に倒すと手前に自動で動きます 自動送りの送り量は送り速度変換ダイヤルで設定します
9 送り速度変換ダイヤル
テーブル自動送りの送り量は送り速度変換ダイヤルで設定します 目盛りはテーブルの送り量(mm/min)で、左右(X
軸)・前後(Y 軸)送りは数値通りに、上下(Z 軸)送りはその 1/2 になります
10 非常停止スイッチ
異常事態の時に押してください 機械の動きは全て止まります
●フライス盤の切削工具について
工具材料
刃部の材料としては耐磨耗性、靭性、高温硬さが要求される。材種は合金工具鋼、高速度鋼(high speed steel、ハイスと
呼んでいる)、焼結合金(超硬と呼んでいる)、セラミックス、ダイヤモンド等がある。実習室の工具はハイスと超硬合金が
大半をしめてしる。ハイスは切削速度を上げにくい小物、薄物、アクリル等の樹脂や、軟らかい金属(アルミニューム、銅、
黄銅等)に適している。超硬合金は高炭素鋼やステンレス鋼等の高張力鋼に適している。
切削工具の種類
エンドミル、ボールエンドミル、正面フライス、メタルソー、アンギュラカッター等種類はいろいろある。実習室でよく使われ
ているのはエンドミルと正面フライス(フライスカッターと呼んでいる)である。
エンドミル
ボールエンドミル
正面フライス
メタルソー
●フライス盤の切削条件について
切削条件
切削条件には次のものがある。
・切削速度(m/min)
・送り速度(mm/min)
・送り量(mm/刃)
・切込み深さ(mm)
・切込み幅(mm)
・食い付き角と離脱角
・上向き削りと下向き削り
・切削剤
これらの条件は切削工具の材種、被削材の材質、切削工具と被削材の取り付け方法、機械の能力、作業者の習熟度等
によって決まる。おおよその切削速度と送り量等を以下に示す。実際の作業でこの数値の決定にあたっては上記の各条
件を考慮して適宜変更する。
切削速度
加工物が回転し刃先を通過する速度で、1分間の距離(m)で表します。
V=πDN/1000
V:切削速度(m/min) D:被削材の直径(mm) N:機械主軸の毎分回転数
切削工具と被削材質によって標準的な切削速度が推奨されています。その切削速度から上式を変形し、主軸毎分回転
数を求めて作業します。
実習室では切削工具、被削材質によっておおむね下記のように設定してください
フライス盤作業による主軸回転数
エンドミル径
低炭素鋼
ステンレス
黄銅
アクリル
アルミニウム
〜5
1000
600
1000
1000
1000
5〜10
600
400
1000
1000
1000
10〜20
300
200
600
600
600
20〜30
300
200
600
600
600
フライスカッタ(D=60) 300
200
600
600
600
送り速度と送り量
テーブルの 1 分間の移動距離(mm)を送り速度といい、そのときの工具の 1 刃当たりの削り量を送り量といいます
F=fNZ
F:送り速度(m/min) f:送り量(mm/刃) N:主軸毎分回転数 Z:工具の刃数
実習室ではおおむね下記のように設定してください
フライス盤作業による送り速度(mm/min)
エンドミル径(2刃)
低炭素鋼
ステンレス
黄銅
アクリル
アルミニウム
〜5
30
12
60
60
60
5〜10
36
16
100
60
100
10〜20
60
20
120
60
120
20〜30
40
30
80
60
120
80
240
120
240
フライスカッタ(4 刃) 180
切込み深さと切込み幅
実習室ではおおむね下記のように設定してください
フライス盤作業による切込み幅と切込み深さ
切込み深さ(mm)
D=工具径
切込み幅(mm)
使用工具
アクリル・アルミ
炭素鋼・ステンレス
アクリル・アルミ
炭素鋼・ステンレス
エンドミル
D/2
D/5
3D/4
2D/3
フライスカッタ
2
2
3D/4
2D/3
食付き角と離脱角
食付き角と離脱角が大きくても工具刃先の磨耗や欠損を生じやすい。高炭素鋼やステンレスでは顕著なので注意が必
要です。角度を小さくするには刃先直径の大きなものを使えば良い。
実習室で高炭素鋼やステンレスを切削するとき、刃先直径は被削材幅の 1.5 倍以上にしてください。たとえば切削幅が
10mm のステンレスのときは φ15mm 以上のエンドミルを使います。
上向き削りと下向き削り
上向き削りは切削工具の回転方向と被削材の送り方向が対面している切削加工で、下向き削りは工具の回転方向と被
削材の送り方向が同一の加工方法です。下向き削りのほうが上向き削りよりも刃先寿命が長い、仕上り面が良好ですが、
テーブル送り装置にバックラッシ(遊び)のないことが条件になります。遊びがあると送り方向に被削材がテーブルごと引
き込まれて、工具刃先や加工物の損傷につながります。
実習室では特に指示のない限り、上向き削りで加工してください。
切削剤
切削剤は加工時の発熱を奪い、工具寿命を延ばし、仕上り面を良好にする働きがあります。油性と水溶性があり、前者
は潤滑性に、後者は冷却性に優れます。加工目的にあったものを使用します。
実習室では油性を使用します。ただし、被削材が黄銅丸棒と鋳鉄の時は使いません
●フライス盤の掃除方法
掃除は作業のうちの一つです.機械の精度を保ち、良い部品、実験装置製作の為にも安全の為にも欠かせません.常
に整理整頓をして作業しましょう.少なくとも始業前と同程度、出来ればそれ以上にきれいな状態にしましょう
1.大きな切屑、大量の切屑はかき出し棒(もしくは小箒)と塵取りでおおまかに取り除く。切屑は材種別に分別処理をして
いるので、それぞれ所定の場所に捨てる。床に落ちたものは掃き集めて全てドラム缶に捨てる。
2.細かな切屑を掃除機で吸い取る
・バイスの上
・テーブルの上
・テーブルの後ろ(サドル案内面)
・機械のベース部分
3.ごく細かな切屑、油汚れをウエスで拭く。
・バイスの上
・テーブルの上
・テーブルの後ろ(サドル案内面)
・機械のベース部分
4.フライス盤周囲の切屑を掃き集めてドラム缶に捨てて終わりです。