Technical news Vol.22 特集① FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007 報告 特集② 対談∼育成年代の指導を語る 特集③ 女子特集 各カテゴリー日本女子代表の戦い 国内大会視察報告 JFAテクニカルスタディ 財団法人 日本サッカー協会 FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007 報告 2 特集② 対談∼育成年代の指導を語る 6 特集③ 女子サッカー FIFA女子ワールドカップ 中国 2007 AFC U-19女子選手権 中国 2007 国内大会視察報告 スーパー少女プロジェクト JFAテクニカルスタディ ナショナルトレーニングキャンプU-16 50 54 56 58 12 25 連載 キッズドリル紹介・第17回 16 連載 一語一会 17 活動報告 目指せ世界のトップ10 18 GKプロジェクト活動報告 20 JFAアカデミー福島活動報告 28 各地のユース育成の取り組み 30 連載 トレーニングの発展 32 連載 My Favorite Training 34 海外で活躍する指導者④ 36 連載 JFAフィジカルフィットネスプロジェクト 38 UEFTセミナーレポート 40 連載 育成の現場をたずねて・・・ 43 シンガポールで公認キッズリーダー養成講習会を開催 44 リフレッシュ研修会申し込み機能のお知らせ 46 連載 審判員と指導者ともに手を取り合って… 48 技術委員会刊行物・販売案内 60 A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 62 vol.22 1 3 2 4 Technical news 特集① ① FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007より훿Jリーグフォト㈱ ② 第62回国民体育大会サッカー競技・少年男子より 훿Jリーグフォト㈱ ③ 高円宮杯第18回全日本ユース (U-18) サッカー選手権大会より 훿Jリーグフォト㈱ ④ FIFA女子ワールドカップ 中国 2007より훿Jリーグフォト㈱ ○制作協力:エルグランツ㈱ ○印刷:製本:サンメッセ㈱ ※本誌掲載の記事・図版・写真の無断転用を禁止します。 本誌はJFA指導者登録制度において、所定の手続きを行ったJFA公認指導者の方に無償で配布されています。 1 特集① FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007報告 FIFA U-17ワールドカップ 韓 国 2007が2007年8月18日 ∼9月9日、韓国の8都市で開催 されました。 U-17日本代表は1勝2敗でグル ープ3位となり、得失点差の末、 惜しくも決勝トーナメント進出 はなりませんでした。 グループステージ3試合を中心 に、城福浩監督、伊藤裕二GK コーチの報告です。 【報告者】 城福 浩(U-17日本代表監督) U-17日本代表(vsU-17ハイチ代表戦)훿Jリーグフォト㈱ 1 試合までの準備 8月14日 国内キャンプ/Jステップ(静岡県) ①拘束日数は、国内(Jステップ)で6日間、 10日 練習試合 (40分×2)vs 静岡産業大学(2-1) 現地(韓国)で4日間、プラス韓国への移動日1日。 ②全国大会など、夏の過密日程や拘束日数を考慮 12日 練習試合 (45分×2)vs 清水エスパルス(2-4) ③可能な限りゲームを行う従来のアプローチ 韓国へ移動、現地入り 8月15日∼18日 トレーニング 8月8日∼13日 16日 練習試合 (40分×2)vs 全南高校(1-0) U-17日本代表∼FIFA U-17ワールドカップ韓国2007参加メンバー ○監督:城福浩(NCS/FC東京)○コーチ:小倉勉(NCS)○GKコーチ:伊藤裕二(NCS/名古屋グランパスエイト) Pos. 所属 名前 GK 廣永遼太郎 FC東京U-18 Pos. DF 所属 名前 高橋峻希 浦和レッズユース Pos. 所属 名前 MF 田中裕人 ガンバ大阪ユース GK 吉田智志 ルーテル学院高校 DF 甲斐公博 横浜F・マリノスユース GK 原裕太郎 サンフレッチェ広島ユース MF 八反田康平 鹿児島県立鹿児島中央高校 MF 山田直輝 浦和レッズユース DF 鈴木大輔 星稜高校 MF 益山司 岐阜県立岐阜工業高校 MF 米本拓司 兵庫県立伊丹高校 DF 金井貢史 横浜F・マリノスユース MF 水沼宏太 横浜F・マリノスユース FW 柿谷曜一朗 セレッソ大阪 DF 吉田豊 静岡学園高校 MF 河野広貴 ヴェルディユース FW 大塚翔平 ガンバ大阪ユース DF 奥井諒 履正社高校 MF 齋藤学 横浜F・マリノスユース FW 端戸仁 横浜F・マリノスユース 2 大会について (1)グループステージ第1戦 日本 3-1 ハイチ ハイチは事前情報から予測していた通り、 を感じたゆえに精神的な重圧を受けていた ー等のフィジカル的な要素のみならず、ギ ことも、大きな理由の一つと思われる。 相手がチームとしてオーガナイズされて リギリで判断を変える技術、状況判断、運 動量も非常に高いレベルにあるチームとい いなかったため、中盤や最終ラインでスペ ースがある瞬間があり、日本が得点を奪う う認識の上で、日本は3人ボランチの布陣を しいた。 身体能力が高く、かつ中盤の選手はボール ことができたが、主導権を握った時間帯が タッチも柔らかかった。1対1で簡単に相手 からボールを奪えないために、コレクティ 圧倒的に多いゲームではなかった。 ブな守備をやり続ける必要があり、思いの ほか守備に神経を使う展開となった。 MF 岡本知剛 サンフレッチェ広島ユース (2)グループステージ第2戦 日本 0-3 ナイジェリア 狙いは相手の球の出所である中盤の選手 に決定的な仕事をさせないこと。逆に中盤 でボールを奪って、相手が帰陣する前に揺 さぶる攻撃をすることを狙いとした。前半 はある程度、狙い通りの展開となった。そ ボールを奪った直後に激しいプレッシャ ーを受けていないにも関わらず、ミスパス ナイジェリアとは、プレ大会(8 Nations International Tournament/2007年6月/韓 れにも関わらず2失点したという現実が選手 たちやチームに重くのしかかったことは否 をする場面が多かったのは、開幕戦の緊張 国)での対戦や初戦の分析から、走るスピ めない。後半は主導権を握ることができず、 感だけではなく、ハイチの個人能力の高さ ード、フィジカルコンタクトの強さ、パワ 守備に追われ1失点でおさまった、という試 2 FIFA U-17 World Cup KOREA 2007 合内容となった。 (3)グループステージ第3戦 していく時間帯や場面を多くつくること。 すなわち、主導権を握る時間帯を多くつく ことでチャンスはつくれていた。 ることを一番大事にしてきた。 5 補足 日本 1-2 フランス 日本は引き分け以上で2位が確定し、負け 選手の選考やトレーニングで質を追求し ながら、生じるリスクをいかに埋めていく チームとして取り組んできた「主導権を ても1点差なら他グループの結果によっては 決勝トーナメント進出の可能性がある、と かがチームづくりであった。FIFA U-17ワ ールドカップにおいても、対戦国のストロ 握る」という観点では、どの相手にも主導 権を握る時間帯はあった。しかし、さらに いう状況で第3戦を迎えた。 ングポイント、ウイークポイントの情報は 時間帯や場面を増やさなければならないと キックオフ直後のフランスの印象は、リ スクを冒して出てくる姿勢ではないという 最小限に抑え、軸足を自分たちのサッカー をやろうとすることに置いた。 感じている。そういう意味では成果であり 課題でもある。 ものであった。しかし、フランスに前半の 早い時間帯にシュートまで持っていかれた (2)ボールを奪う いかにして(主導権を握っている)時間 を増やすかという課題に関しては、ボール のは、前線4名の能力の高さに日本のディフ ボールの状況によって奪いに行くか、ラ を奪う守備をしながらマイボール時にハイ ェンスラインが対応しきれていなかったか らである。前半終盤に日本が先制したため、 インを下げる、または時間をかけるかとい うことを判断することを基本とした中で、 スピード、ハイプレッシャーの中で判断と 技術のミスを少なくしなければならない。 フランスは後半開始時からチームとして前 がかりになってきた。日本が主導権を握る 強調したのは最終ラインで(人を)必要以 上に余らせないということであった。余ら すなわち「スキルの高い選手が攻守に動け、 それが集団になるとき」にチームとして主 時間帯も多く、決定機の一歩手前まで展開 せる、余らせない双方に生じるメリット、 導権を握る時間帯が増える。スキルの中に できていた中での立て続けの2失点は悔やま れるものであるが、アタッキングエリアで デメリットをチームで認識しながら、相手 を近くで挟んで奪えるチャンスを逃さない はポジショニングやコントロール、キック 等の要素すべてが含まれるが、冷静な判断 の攻守の力の差を受け止めなければならな い象徴的なものである。 ということを優先させた。 は1対1の自信から生まれることも再認識す る必要がある。 3 チームの取り組み(基軸) (3)セットプレーを早くする プレー時間を長くすることが、持久力を さらにもうひとつ、ゴール前の攻防は大 きな課題と言える。攻撃については、ゴー 生かし、かつ相手の隙を突くことになると ルに向かうプレー(動き、ドリブル、シュ (1)人とボールが動く チーム立ち上げ時からコンセプトを『人 いう考え方から、GKのフィードやセットプ レーを早くすることを心がけてきた。 ート)である。まず、絶対数が少なかった こと。また、相手ペナルティーエリア付近 とボールが動く』という言葉で表現し、自 分の意図で動き(引き出し) 、ボールを動か また、接触プレーの際、打撲による一時 的な痛みに限っては、できるだけ早く立っ からのスキルに絶対的な武器を持ち合わせ ている選手が少なかったことが挙げられる。 てプレーすることを選手に伝えてきた。3試 守備は、ロングまたはミドルシュートに 合で接触プレーの後、痛さで顔を歪めて倒 れるシーンはいくつかあったが、結果的に 対してのファーストディフェンダーやディ フェンスラインの対応が挙げられる。ミド メディカルスタッフがピッチに入ることは 一度もなかった。 ルシュートに関しては、日本国内の感覚を 捨てて危機感を持ったボールアタックをす 4 成果と課題 훿Jリーグフォト㈱ U-17日本代表vsU-17フランス代表(写真は岡本知剛) る必要性を感じた。 (チームの取り組みの観点から) 6 その他 ①プレッシャーが高くない中盤エリアまで ジュニアユース年代(U-15)から始まっ はある程度ボールを回せた。しかし、ミ スもあった。多少のプレッシャーであれ たこの代表チームの活動は、選手の招集に 関して苦労したことがあまりなかったこと ばもっと精度を上げたい。 は大変ありがたかった。所属チームと相談 ②ハイプレッシャー時(特にゴール前)は、 スキルの精度が極端に下がった。 しながら招集の有無を決めてはいたが、大 事な公式戦に重なったり、急な招集に応じ ③ゴールに向かう技術、意欲は足りなかっ た。 ていただいたり、 (選考から)漏れた選手の フォローをしていただいたりと、かなりの ④近くで相手を挟んでボールを奪えたシー 負担を所属チームに強いたことは間違いな ンが多かったが、瞬時のカバーの判断が できず失点した。 い。何とかして協力したい、というチーム の姿勢がなければここまでの準備はできな ⑤相手のミドルシュートに対しての危機意 識が足りなかった。 かった。あらためて、代表候補キャンプを 含めて招集したすべてのチーム関係者にこ ⑥セットプレーやGKのフィードを早くする の場を借りて感謝したい。 3 や、経験が乏しかったように思う。 また、日本代表もそうであったように、 GK報告 ゴールライン際までえぐられてからのクロ 【報告者】伊藤裕二(U-17日本代表GKコーチ) ス(プルバック)の守備はDFも含め非常に 難しく、多くのゴールが生まれていたが、 トなどが、スタッフから多くを要求しなく ても非常に良くできていたことは、所属チ 各チームがスピードのあるレベルの高い選 手をサイドに置いている限り、今後もこの ームでの普段の姿勢が良く現れていたよう に思う。 ような形からの失点を喫することが考えら (2)できなかったこと 今大会では6失点のうち、2失点がロング ていく必要があると感じた。 全体的にこの年代の特徴としては、DFが シュートを直接決められたもので、1失点が ロングシュートのセカンドボールから2次攻 ボールウォッチャーになることや、GKの経 験不足から、クロスの対応が悪く、ゴール 撃で決められたものであった。 また、フランス戦での相手の決勝点は、 が多く生まれていたように思う。日本はこ 大畑拓也/ジュビロ磐田ユース)から廣永、 吉田、原の3名を選出した。廣永は所属チー クロスからニアサイドで先に触られて決め のことは比較的よくできていたが、フラン ス戦での2失点目では、DFとGKがボールウ ムで試合に出ていないこともあり、残りの 2名は所属チームでレギュラーポジションを られたもので、まさしく大会前から取り組 んできたことからの失点となってしまった。 ォッチャーになったことと、ボールに寄る ことができなかったことで、失点を喫して 1 選出GK 廣永遼太郎(FC東京U-18) 185cm/75kg 吉田智志 (ルーテル学院高校) 182cm/73kg 原 裕太郎(サンフレッチェ広島ユース) 187cm/80kg GKは予備登録の4人(廣永、吉田、原、 獲得していることを優先にした選考となっ た。 れることから、GKとDF、MFを含めて、い かにしてゴールを守っていくのかを克服し しまった。 3 GKから見た大会の特徴 世界のトップレベルではニアサイドへの 速いクロスと、FWの動き出しの精度が高 間)と現地での5日間のトレーニングで大会 に臨んだが、Jステップで2試合、現地で1 日本代表はロングシュートから3失点を喫 したが、そのほかのグループでもロングシ く、この年代が国内で経験しているレベル よりも、ひとつ高い対応力が求められた。 試合のトレーニングマッチを行った。 ※本大会グループステージ3試合はすべて廣 ュートがたくさんうたれており、失点につ ながる場面も多かったように思う。プレッ GKも大会までに、ニアもファーもシュート Jステップでの大会直前キャンプ(一週 永が出場 シャーが甘ければ、多少の距離があっても、 にも素早く対応できるように、トレーニン グをして大会に臨んだが、どうしてもニア 2 これまでの取り組み 強いシュートで枠をとらえる技術を持った 選手が多く、日本人の感覚よりも、シュー サイドの守備が甘くなる傾向にあり、最後 はそこを突かれてしまった。これはGKコー チとして非常に残念であるとともに反省材 今大会までの準備で主に取り組んできた トレンジが5∼10m長かったように思う。わ れわれも簡単に飛び込んではいけないゾー ことは、 「状況に応じた効果的な配球」 、 「ク ロスの守備範囲拡大と判断(特にニアサイ ンと、うたせてはいけないゾーンとの判断 を、選手に要求していたが、シュートレン ドの守備) 」 、 「DF背後のボールへの判断と ジの認識が甘かったことは否めない。また、 としてとらえるのではなく、育成年代のコ ーチが、世界基準のレベルを共有認識して 対応」 、ミドルシュートの対応として、 「つ かむ、弾くの判断とその技術」が中心であ シュートをうった後のセカンドボールに対 しての反応が非常に速く、フランスなどは 取り組んでいかなければ、世界との差は埋 まらないのではないかと感じた。 った。 非常によく教育をされていると感じた。 このことについては、日本国内での環境 (1)できたこと 3試合を通して常にゲームへ関わり続ける ことができ、コーチング、ポジショニング、 配球では及第点であった。 また、ハイチ戦では相手FWとの1対1を 良い準備から絶妙なタイミングで飛び出し て防ぐなど、チームの勝利に貢献すること ができた。 配球はチームの戦術を理解し、テンポ良 くできていた。コーチングでは、守備のギ ャップの修正に注意を払い、早め早めの声 かけを心がけていた。 また、控えGKのトレーニングに取り組む 姿勢や、試合への準備、チームへのサポー 4 料として、今後に生かしていきたいと思う。 これらのことはU-17日本代表だけの問題 4 他国のGK (隙があれば積極的にゴールを狙われること や、常にリバウンドを狙われることなど) にまだまだ甘さがあり、GK自身にも危機感 日本と同グループでは、ナイジェリアの GKはサイズが180cm前後であるが、非常に 훿Jリーグフォト㈱ FIFA U-17 World Cup KOREA 2007 身体能力が高く、しなやかな身のこなしで 守備範囲が広いことが特徴的であった。し られたり、ハイチ戦でPKをとられたりと、 若さを露呈するシーンもあったが、ポテン ペインのGKも非常に良いGKであった。韓 国のGKはプレ大会でも感じたようにサイ かし、ボールの質やスピードを見極めてク シャルも含めて今後、ますます良くなって ズ、身体能力、技術ともにアジアでは目立 ロスボールに飛び出すのではなく、とにか く出るというように判断ミスをする場面も いくであろうと感じる選手たちであった。 ハイチのGKの1人は、そこそこプレーで つ存在で、今後さらに経験を積めば良いGK になるであろうと感じる選手の一人であっ 多かった。しかし、判断ミスをも取り返す ほどに、GKも周りの選手も能力が高いため きていたが、残りの2人は低いレベルであっ た。その中で試合に出ていたGKは技術、判 た。 に、失点につながることはなかった。 断ともに教育がしっかりとされていない印 フランスのGKは身長も高く、身のこなし もスムーズで、立ち姿からも良いGKの雰囲 象であったが、身体能力の高いGKであっ た。ハイチにはGKコーチは付いておらず、 気を漂わせていた。トレーニングも暑い中 ハードに行っていたが、3人とも集中を切ら 大会までは、韓国のGKコーチをパートタイ ムで雇い、連日GKのトレーニングを行って すこともなく、技術のレベルも動きの質も いたが、ドリル形式のトレーニングをチー 高かった。トレーニング自体はフィールド プレーヤーと同様に判断を伴わないものが ムと離れて延々と行っていた。 また、テレビ観戦であったが、ドイツの 多かったように思う。ゲームの中では、日 本戦で柿谷曜一朗にロングシュートを決め GKはサイズや技術、GKとしての風格があ り、非常に存在感のある選手であった。ス U-17日本代表vsU-17フランス代表훿Jリーグフォト㈱ FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007大会結果 ■グループステージ グループA 韓国 ペルー コスタリカ トーゴ 勝点 勝 分 敗 得点 失点 差 順位 1 2 1 0 0 1 1 2 2 0 1 1 朝鮮民主主義人民共和国 イングランド ブラジル ニュージーランド 勝点 勝 0●1 韓国 ペルー 1○0 コスタリカ 2○0 0●1 トーゴ 1●2 0△0 グループB 1△1 朝鮮民主主義人民共和国 イングランド 1△1 ブラジル 6○1 1●2 ニュージーランド 0●1 0●5 グループC 2●4 4○2 アルゼンチン 4○1 1△1 2○0 1●2 シリア 2○1 1○0 0△0 1△1 1△1 1●6 1○0 2○1 5○0 7○0 0●7 ホンジュラス スペイン アルゼンチン シリア ホンジュラス スペイン 0●2 1●4 0●2 1△1 2○1 0△0 0△0 ■決勝トーナメント チュニジア (グループE 1位) 3 7 4 2 2 2 3 2 4 -2 0 2 2 1 3 -1 ハイチ 3○0 4○1 勝点 勝 分 敗 得点 失点 差 順位 3 1 1 0 0 1 0 1 2○1 1△1 0 1 2 2 ベルギー チュニジア タジキスタン アメリカ 勝点 勝 1●2 日本 0●3 1●2 ハイチ 1●4 1△1 分 敗 得点 失点 差 順位 グループE 1 1 0 0 1 3 7 -4 3 0 8 2 6 1 1 14 3 11 2 3 0 13 -13 4 ベルギー 勝点 勝 分 敗 得点 失点 差 順位 0 2 1 1 0 1 2 1 3 0 0 1 0 7 5 4 日本 2○1 フランス 1 2 2 0 4 7 6 0 ナイジェリア フランス 2●4 チュニジア 4○2 タジキスタン 0●1 0●1 アメリカ 2○0 1●3 グループF 3△3 3△3 ドイツ トリニダード・トバゴ 0●5 0●5 2○1 2●3 ガーナ 1○0 0●2 1○0 3○1 4○3 3●4 コロンビア ドイツ トリダード・トバゴ ガーナ コロンビア 3 10 -7 4 7 4 3 1 5 2 3 2 3 2 1 3 3○1 1●3 5○0 1●2 5○0 3○2 1●4 4○1 9 4 3 1 9 4 4 3 2 7 4 0 6 -2 8 -5 1 2 3 4 分 敗 得点 失点 差 順位 1 3 1 1 0 0 0 0 2 0 2 2 勝点 勝 分 敗 得点 失点 差 順位 1 2 0 2 1 1 0 0 1 9 5 4 3 0 11 5 6 1 3 1 14 -13 4 1 8 5 3 2 3 9 3 3 4 7 0 6 3 8 4 6 6 -3 3 5 5 -1 7 -1 4 1 3 2 ■3位決定戦 延長 フランス (グループD 2位) スペイン (グループC 1位) 1 2 3 0 PK 5-4 1 0 1 2 3 朝鮮民主主義人民共和国 (グループB 3位) ガーナ (グループF 2位) 2 優勝: ナイジェリア 0 延長 2 1 0 0 PK 0-3 3 1 1 ブラジル (グループB 2位) ペルー (グループA 1位) PK 5-4 3 ガーナ ドイツ 1 2 コスタリカ (グループA 2位) ナイジェリア (グループD 1位) コロンビア (グループF 3位) イングランド (グループB 1位) 1 2 1 0 4 1 1 アルゼンチン (グループC 2位) 1 0 タジキスタン (グループE 3位) グループD ナイジェリア 3 1 2 4 2 準優勝:スペイン 第3位: ドイツ シリア (グループC 3位) ドイツ (グループF 1位) 1 アメリカ (グループE 2位) U-17日本代表vsU-17ナイジェリア代表 (写真は山田直樹)훿Jリーグフォト㈱ 5 FIFA U-17ワールドカップ 韓国 2007(U-17日本代表vsU-17ハイチ代表) より훿Jリーグフォト㈱ 対談 育成年代の指導を語る 特集② の代表の一つの目的は上につなげること。将 15歳である年の11月に韓国と対戦しなくては 来的に日本代表に育っていくような選手に良 ならなかったわけです。2005年1月にチーム 布 啓一郎技術委員会副委員長(以下、布) い経験をさせる。そう考えながら選手をピッ クアップし、強化をしていきました。その中 を立ち上げたときから、韓国か中国か朝鮮民 主主義人民共和国のどこかと同じグループに 今日は、世界大会で闘った吉田靖U-20日本 代表監督、城福浩U-17日本代表監督と、前回、 で世界大会を経験するか、しないかで全く成 長の度合いが異なってくるので、なんとして なることが分かっていました。日本のこの年 代はすごく不安定なので、フィジカルの勝負 前々回の世界大会でU-20日本代表を率いた大 も出場しなくてはいけないと考え、チームづ に持ち込みたくない、という思いが最初から 熊清監督を交えて意見交換したいと思いま す。大熊監督は現在、日本代表のコーチをし くりを進めていきました。 日本代表につながる選手をピックアップし あって、 「いかにボールを動かせるか」とい うことを立ち上げから念頭に置き、コンセプ ていますので、イビチャ・オシム日本代表監 督の考えている、日本のサッカーのポイント て良い経験をさせる。良い経験をさせるため には、やはり勝ち上がっていかなくてはなら トもそのようにうたってきました。それはチ ームとしてそうしたかったというのもありま がどういうところにあるのか、われわれが目 ない。矛盾はありますが、将来性のある選手 すが、 「そういう選手を選びますよ」という 指している方向性に関して示唆があるのか、 そういったことも話していただきたいと思い に良い経験をさせて、次につなげていくとい うことをずっと考えていました。 発信でもあり、あえてそういう意味もあって、 ずっと言い続けてきました。 ます。 まず、チームづくりの部分について、アジ 内容として、まず考えたのは、技術がある 選手を集めるということです。現代サッカー 立ち上げたときが14歳で、15歳になってい くこの年代は、いろいろなところにいろいろ ア予選から世界大会を実際に経験した中で、 ではスピードが求められますが、速いプレー な選手がいるので、そういうアドバルーンを 考えた通りにいったところ、いかなかったと ころがあるのではないかと思います。そこで をするためには技術がないとできない。それ でまず、技術のある選手を選びました。その 揚げながら、選手の情報をもらい、選びなが ら、そういうサッカーを目指して臨んだ1次 何が予定通りにいって、何がいかなかったか。 なぜ、それが予定通りにいかなかったのかと 中で、この年代になるとある程度の特徴が出 てくるので、特徴のある選手を選びました。 予選でした。 実際に韓国と対戦してみたら、すごくボー いうことを、監督の目から分析してほしいと 思います。 私は攻撃的に行きたかったので、両アウトサ イドは速くて運動量が多く、どんどん前へ行 ルをつなぐチームで、フィジカル勝負のチー ムではありませんでした。幸い1次予選は通 アイディアのある選手を いかに伸ばすか 予定通りにいかなかったことは日本の課題 ける選手、前線は、1人は高さのある選手、 過することができましたが、 「ひょっとした であり、それを今後、日本がどのように克服 していくシナリオを考えるか、これはトレセ 中盤は技術がありながら、いろいろな判断が できる選手、センターバックも守備だけでな ら韓国の方がボール回しはうまいな」という 印象がありました。最終予選では中東も入っ ンやキッズなど、長期的なビジョンになると 思うのですが、育成への示唆ということで、 く、ある程度ボールも動かせるというところ で、ピックアップしていきました。ただすべ てくるので、やはりもっとそこのレベルを上 げていかないと、今度はフィジカル勝負にな ご自分の思ったことを聞かせてください。 て私が考えていたようにピックアップでき ってしまう、要はフィフティ・フィフティの それでは最初の質問です。このチームで世 界に向けて準備するにあたり、どのようなこ ず、最終的には足りないところを補いながら、 アジア予選や世界大会を戦いました。 ボールの場面が多い試合になると、自分たち の弱みを突かれやすいので、そこのところを とを考えてチームづくりをしようと思ったの でしょうか。 布 城福監督はいかがでしょうか? 城福浩(以下、城福) アジア1次予選が韓 もっと磨いていかなくてはならないと考えま した。そういうことで、またさらにそういう 吉田 靖(以下、吉田) やはり、育成年代 国と同じグループになりました。選手たちが 目で選手を集めてチームづくりを行ってきま 6 対談∼育成年代の指導を語る Dialogue した。 ただ、結局最後まで、両サイドバックは所 「ボールと人が動く」というサッカーです。 「考えながら動く」 。どこに、どのように、ど ながら他のところのレベルを上げていくこと が大切になります。中村俊輔(セルティッ 属チームで中盤をやっている選手でした。私 はボールを動かしたかったので、そういう選 のようなタイミングで動くか、ということも 含めての「動く」ということを言っています。 ク/スコットランド)にしても、以前に比べ て代表戦ですごくハードワークするようにな 手をそのポジションで使いました。センター ウォーミングアップのボール回しでも、例え りました。おそらく、彼がいろいろな環境を バックも最終予選のところまでは、ボールを 動かすのを大事にしたかったので、大きい選 ばビブスの色の違う選手に必ず出す等の条件 をつける。そうすると第3の動きが出る。ア 経験する中で、それもしなくてはだめだとい うことが自然に身についたのだと思います。 手や守れる選手よりもボールを動かせる選手 にし、180㎝に満たないセンターバック2人で ップだけでも第3の動きやどのタイミングで 動くか、そういうイメージを持ちながらやり だからアイディアもあるし他の仕事もできる ようになりました。そういうものだと思いま 臨みました。世界大会ではそれでは通用しな ます。ボールと人が動くという中での、これ す。この部分は教えてもなかなか変わらない いだろうと考えて、大きい選手を一生懸命探 しましたが、やはり大きい選手になるとボー からは質の問題になっていきます。ただ走れ ば良いというのではなくて、 「どこに、どの から、アイディアのある子にそういう環境を 与えて自然とできるようにする方が良いでし ルを動かせない、あるいは1対1で守り切れな い、という状況の中で、 「何を選ぶか」を最 ように、どのタイミングで走るか」というこ とが重要になります。 ょう。つくった選手よりも自然とできる選手 の方が最後はものをいうと思います。教えら 後の最後まで悩みながらやってきました。最 そして、ハードワークという言葉の通り、 れている選手はどこかで答えがなくなってし 後、選んだ選手は本当によくやってくれたと 思います。 攻守に動くということをやっていかなくては なりません。城福監督の報告でもありました 吉田 付け加えになりますが、最初にまず技 術のある選手、もう一つ私がキーワードにし が、世界でも下位のチーム相手であればボー ます。指導者が考えなくてはいけないことは、 ルが奪えるのですが、トップが相手になると、 「アイディアのある選手はつくれない、子ど たのは、 「ハードワークができる選手」です。 まずは技術がある選手を選びながら、可能性、 極端にボールを奪うことに労力が必要になり ます。まずマイボールにならない。日本国内 もが自然に持っているものを変にいじくり回 しても余計だめになる」ということです。 能力がある選手に「ハードワークしないと世 よりもマイボールにするということに、よほ 大熊 今年度、公認A級コーチU-12が新設さ 界では太刀打ちできない」ということを要求 していきました。 どの労力がいるのです。そういう意味ではハ ードワーク、人とボールが動くというのを、 れましたが、そういうことを理解した指導者 がどんどん4種に増えていかないと、選手を 日本が世界に打って出て勝つためには、1 対1のところでは現段階ではまだまだ負ける もう少し守備、ボールを奪うというところに シフトしていく必要があるかもしれません。 消していってしまう面があるのではないかと 思います。 ことが多いでしょう。そうしたときには運動 スキルというと攻撃だけがイメージがされが 吉田 だいたいアイディアのある選手は少し 量で上回らない限りは勝てません。そういう 部分をずっと言ってきました。攻撃のときは ちですが、守備のスキルとかスライディング のスキル、ヘディングのスキル等、守備のう 言うことを聞かないような選手が多いかもし れません。でもそこにうまく指導者が関わっ どんどん飛び出し、人数を多くかけていく。 守備のときも切り替えを早くして戻り、でき まさも重要です。そちらに偏って攻撃がなく なるということではなくて、やはり両方だと て、その子にはそういう才能があるから、後 は足りないところを伸ばしていこうという感 るだけ人数を多くしてボールを奪っていく。 いうことを、もっと全国で4種年代からやっ じで指導していかないと、どこかで芽を摘ん それを最初、招集したときから言い続けてき ました。言い続けることによってだんだんと ていかなくてはいけないと感じます。少年団 の子どもたちを見ても、だいたいシュート練 でしまうのではないでしょうか。 大熊 スキルは絶対です。絶対なのですが、 変わってきました。1年目は全然ハードワー クができず、不安定な闘いを繰り返していま 習とかゲーム形式で、守備のことなど言って いないことがほとんどです。高学年くらいに 国体などを見ても、最終的にはハードワーク ができなくてはなりません。それには持久力 したが、2年目になり1次予選をなんとか勝ち なったら、どうやってボールを奪うか、どの も強くなければならない。そういう意味では、 上がったくらいから、徐々に言っていること を理解しだして、2次予選の辺りからだいぶ ポジションでどうするとか、声をかけること が少しできるとか、もう少しその辺りのレベ スキルは絶対的に必要なのですが、ではフィ ジカルはいいか、ととられてしまうと困りま ハードワークができるようになりました。世 界大会ではさらに前線から厳しくやることが ルを上げていかないと間に合わないのではな いかと感じています。 す。プライオリティ的に1がスキルで2がフィ できました。この辺りがこのチームではキー ポイントになっていました。 それに加えて、オシム監督が言っているの は、 「アイディアがある選手」 。勤勉で教えす 布 前回、前々回の世界大会を経験した大熊 ぎると出てこない部分かもしれないし、その 監督が思うこの年代のサッカーと、最初に吉 田監督が言った日本代表につなげていくとい 辺も、下の年代のところでどういう指導をし ていくかということで、それは非常に難しい うことを見越して選手を招集していくという こと。また、日本代表が今、実際にこういう と思います。正確にやれということでアイデ ィアも消してしまってはいけません。特にペ ことを目指しているというようなことを、オ ナルティーエリアの近く、アタッキングサー シム監督の考え方も含めて、お願いします。 大熊清(以下、大熊) 方向性は、城福監督 ドではアイディアという言葉をよく使ってい ます。 も吉田監督も、ボールと人が動くサッカーで あったり、ハードワークであったりを打ち出 吉田 アイディアのある選手はなかなか育て られません。あとは発掘になります。その選 していますが、オシム監督がやっているのも 手を、うまくアイディアを消さないようにし まう。自然と自分で育ってきた選手はいろい ろな環境ですぐに答えを見つけることができ FIFA U-20ワールドカップ カナダ 2007 (U-20日本代表vsU-20チェコ代表) より훿Jリーグフォト㈱ 7 そういう意味では、そのレベルの選手を下の 年代からもっとたくさん出して「では君たち なくてその選手が落ち着いてしまっている国 では大きな差ができるでしょう。 の中で誰が一番、攻守にサッカーができるの か」という競争の状況に日本が早くならなく 指導者の質が問われるとき 選手の将来像に合わせた指導を てはいけないと思います。 先ほど話に出たように、アイディアは教え られません。われわれも自問自答しなくては 布 先ほど大熊監督が言った、スキル、フィ ジカル、アイディアは縦列ではないといった いけないことですが、下の年代にはアイディ アがあるが生意気で言うことを聞かないよう 点は、非常に重要な要素だと感じます。それ をやはりわれわれ指導者がどれだけ分かって な選手はもっといるのに、上に残ってきてい いるか。例えば少年のころは技術が大切だか ないのではないかと感じます。その点はもう 一回、検証してみる必要があるでしょう。そ らといって技術だけを教えていれば良い選手 になるかというと、そうではない。もちろん ジカルで、と考えるのではなく、横とか同じ 丸の中にあるものととらえてほしい。絶対に ういう選手にしっかりサッカーをさせ、上に 来たときにその中での競争があるようにしな 技術が大切なのは大前提ですが、そこにアイ ディアを出すためにはオンのところだけでは 技術がなくてはいけないのですが、そのスキ ルも、オシム監督が言うのはスピードに乗っ いと、良い物を持っていても、欠落している 出せないわけだし、オフのところで周りを観 たスキルやプレッシャーの中でのスキルで ところのある選手が自分で直そうとしないの ではないでしょうか。 るとか周りと関わることの大切さを教えない といけない。やはり指導者の質が問われてく す。 吉田 特に両ゴール前のポジションを担当す もちろん、代表チームでいうとわれわれ指 導者側のアプローチも足りない部分がまだま るでしょう。 また、層を厚くしていかなくてはならない る選手は、フィジカルは非常に重要な要素と なります。日本がフィジカル面で劣っている だあるのですが、そういう絶対数がもっとも ことについて、今出てきた話ですが、日本で っとないといけない。彼らも、 「日の丸を着 る選手というのはこういうものなのだ」とい は多少不十分な部分があってもこの年代では 仕方がないかなと思って世界に行ったら、世 ません。でもここが試合を決定付けるわけで、 うことが示されたときに「そうか、俺はこれ ができるけれど、これはできないから出られ 界のトップでは不十分なところはほとんどな かった。それは、U-17の年代だけではなくU- レベルが高い試合になったときにキーポイン トとなってきます。そこが長年出てこないと ないんだな」ということが思い知らされるよ うな状況でないと変わりません。このパイを 20の年代でも同じで、コンバートや組み合わ せでやらざるを得ない。それが日本の現状で いうのは、なかなか難しい日本の課題です。 布 日本代表やU-20代表はある程度、選手と 広げて早くスキルの高い選手が競争し合うよ す。どうやって今後、良い方向に、層を厚く して見えてくる年代。それに対して15∼17歳 うになっていかないと、アイディアのある選 手がピッチの上に立つのは簡単ではない。そ していけるでしょうか。 そういった点について、オシム監督から言 はまだまだポジション的な特徴の部分は見え なくて、先ほど城福監督が言ったようにコン ういうパイを広げることを日本全体でやらな いといけない。17歳くらいのところでいうと、 われていることはありますか。 大熊 そうですね、こういう選手がいないと バートという一つのやり方で、ボールを動か せることを考えていった。そういう中で、教 まだもっといてもいいのではないかと感じま か、教えすぎではないか、それによってつぶ えていく部分とアイディアを出す部分と、フ す。 吉田 20歳のところでもパイが少ない。守備 してしまっている面があるのではないかとは 言われます。日本は何でもあるし、何でも教 ィジカル等、技術だけでなく、いろいろ必要 になってきます。そういうことに関してU-17 はいいけれど、攻撃が不十分な選手と、守備 の甘さが目立つが全体を統率できて、ある程 えすぎているのではないかと感じる部分があ るようです。しかし、それを発信として流し の年代ではどのように考えましたか。 度ボールを動かすことができるという選手を てしまうと、日本だと「では言わなければい 城福 U-17だと未完成な部分が多いので、 組み合わせるしかなかった。でも、他をずっ と見てきたときに、ボールを動かせるし守備 いんだな」となってしまいそうで、それも違 います。この辺は非常に難しいと思います。 ができるという両方できる選手はいませんで した。世界のトップは両方できるような選手 例えばゲームフリーズが良いとか悪いと か、怒鳴るのが良いとか悪いとかではなくて、 が残っている。組み合わせでなんとかごまか 怒鳴らなければならない選手もいれば、黙っ してきましたが、トップレベルではそれでは 間違いなく後手を踏む。それが選手層の大き て見守っていた方がアイディアが出る選手も いる。選手によって千差万別。だから、逆算 いという認識がありました。それは、絶対数 な差です。 また、森島(康仁/セレッソ大阪)が今、 の方式というか、最終的な姿を想定しつつ、 それに向けて選手が変わらなければ怒鳴るこ がまだ少ないということも関係していると思 います。トップにはそのレベルの選手がもっ 良くなってきていますが、森島が良くなった のはマイク・ハーフナー(横浜F・マリノス) ともあるし、やらなかったらやらせなければ ならない。アイディアが出るオーガナイズに とたくさんいて、その中でできない部分が決 定的に欠落しているものがある選手は、おそ がいて、お互い競い合いながらやってきたか しなくてはならない。止めてはいけないとか、 らくフランス代表のユニフォームは着ていな らです。それが1人しかいなくて落ち着いて しまったら、あのように伸びるのは難しかっ 怒鳴ってはいけないとか、黙っていなくては いけないとかではなくて、素材が違う分、選 い。日本はまだそういう選手の絶対数が少な くて、そこでの競争が少ないのだと思います。 たでしょう。そういう同じレベルがたくさん いる中で切磋琢磨している国と、少ししかい 手が良くなっていくための方法をとり、変わ らなかったら方法を変える。逆算のところか 公認A級コーチU-12養成講習会より훿Jリーグフォト㈱ のは間違いありません。良い選手は中盤には 結構いるのですが、両ゴール前はなかなかい 「ハイレベルでできることと、コンスタント にできないもの」が顕著に表れています。世 界大会に行ってみたら、トップ・オブ・トッ プのチーム・選手は、できないものが少なか った。 「多くの面で安定的にできる」選手が たくさんいました。まだ、日本では年齢的に も安定してできないものがあっても仕方がな 8 対談∼育成年代の指導を語る Dialogue ら見ていけるように指導者がならないといけ ないと思います。例えばJFAが言ったことを、 いろな引き出しを持つ中で出せるコーチをも っと増やしていかないといけません。まだま カーが発展しようが、ボールをしっかり蹴る 単純な練習は繰り返しやらなくてはならな 素材が違うのに、そのまま同じやり方をやっ ていたらうまくいかないこともあります。そ だそこまでのレベルに行っていないケースを 見かけます。 い。そういうことも必要。しかし、そういう 練習だけではアイディアも出てこないかもし れを考えていかないと、なかなか育たないと アルゼンチンやブラジルは、何の指導もし 思います。 吉田 例えばJFAがゲームフリーズをやり始 なくても子どもたちが切磋琢磨しながら良い 選手が自然に出てきますが、日本はそんな環 サッカーをすることは並列ではなく、多面的 なもの。本当に「これだけ」というものはな めたら、小学校のところでもやっている。止 めたって子どもは分からないし、それよりも 境がないので何かやらなくてはならない。む しろヨーロッパ的です。ヨーロッパもいろい くて、もっと広く教えていかなくてはなりま せん。先ほど話しが出たように心に入り込ま どんどんやらせた方がいい。技術は繰り返し ろトライしています。日本はヨーロッパより なくてはならないこともあるし、しっかりと やらないと身につきません。それを止めて、 列にいっぱい並んで、ボールに触る回数も少 ももっと遅れている。ヨーロッパはサッカー が一番だから、能力のある子が皆サッカーを 言わなくてはいけないこともある。そういう ことをすごく感じます。 なくて、という練習をまだ主流としてやって います。日本のサッカーを変えていくために する。でも日本の場合はいろいろなスポーツ があるので、能力のある子が皆サッカーに来 布 アイディアを出すと言っても、ベースが なければ出せません。城福監督がU-17の報告 は、その辺のところで環境を変えていかなく るとは限りません。いろいろなことをやると で言っていたことですが、選択肢が一つしか てはなりません。 環境のキーポイントとなるのは指導者。各 いうところで、さらにテンポアップしていか ないと、トップ10になるというのは本当に難 ないと、やはりパスは読まれ、奪われてしま う。選択肢をいくつか持っているから相手の 年代でここが重要だというところでやり方が 異なるので、その辺のところを理解した指導 しいのではないかと感じます。 布 現実的に本当に簡単なことではありませ 逆をとることがアイディアという形になりま す。 者をもっと増やさないといけないと思いま ん。日本人の勤勉さ、真面目さから、 「こう す。U-12年代で大人と同じことをやっていて も効果的ではないわけだし、中学校年代、高 しなければならない」になりがち。 「これを しなくてはいけない」ということはないわけ ボールが持てる選手をということで国内では 中盤をやっている選手を集めたときに、それ 校年代でも、大切なところが違ってくる。も ちろん幹の部分は共通ですが。その辺のとこ で、例えばトレーニングメニューの一つのや り方の提示であって、それをどうやってかみ はどうだったのでしょうか。選択肢がまだ持 てなかったのか、何が足りなかったのか。ス ろでまだまだ問題を抱えているのではないか と思います。そこの質を上げていかない限り、 砕いたりもっと発展させたりしていくのかを やっていかなくてはいけない。そして、どう キルとか判断とか、いろいろな要素があった のだと思いますが。 そこの環境を変えていかない限り、日本のサ やってアイディアのある選手を、やんちゃで 城福 結局、相手を観ることができない。相 ッカーはステップアップしていかないでしょ う。 言うことを聞かない選手でもどのように指導 していくか。その選手の考えの深いところに 手を観て相手の逆をとるというのが、目の前 の相手だけでなくてボランチを観てとかにな 城福 A級コーチU-12の担う役割はとても大 きいでしょう。その受講者自身が伸びるだけ 入っていかないと、これはダメだと言っても なぜダメなのかということを伝えられなけれ りますが、せいぜい味方しか観えない。もっ といろいろなものを観れる、というのは結局 ではなくて、その人たちがこの年代の指導の ば、この人は自分のことを分かってくれてい スキルがないと観れないのですが、ボールを あるべき姿をどう広げていくかというのが、 非常に大きなファクターになるのではないか るというふうにはなかなかなっていかない。 そういう中でも「だめなものはだめ」という 持つときにそういう余裕がありませんでし た。もちろん足元に来たらかわすとか、もと と思います。 吉田 教えるとしても、表面上にならず、指 部分もある。そこはしつけ。JFAアカデミー 福島のクロード・デュソー氏もそれはよく言 もと中盤の選手だからサイドバックの選手も そういうことはできるのですが、ではボール 導の心をうまく伝えていかないといけないで っています。だめなものはだめだとしつけな を持ったときにどこまで観えているのかとい しょう。 昔よくトレセンであったのは、トレセンの くてはいけない。その上で、もっと状況に応 じてやっていけるようにしなくてはなりませ うと、相手の意図までは見えていません。中 盤ができる選手の中でできるだけ身体の強い メニューをそのまま指導現場に持っていっ て、できない子にもやらせてしまっていた。 ん。 大熊 「アイディアがない選手が多い」とオ 選手をサイドバックにコンバートしたのです が、日本で中盤をやれている選手でもそうい そうではなくて、その子に応じた指導をいろ シム監督は言っていますが、また一方で、 うところがなかなか観れていないという現実 AFCアジア/アフリカチャレンジカップ2007 (日本代表vsエジプト代表) より훿Jリーグフォト㈱ れないから、他のこともしなくてはならない。 話しを戻しますが、城福監督のチームで、 「日本の選手は、ボールが蹴れないが、それ はつまらない練習を育成年代にやっていない がありました。おそらくもっと観れる選手を そこに置いたら守備の面で完全にやられてい のではないか」とも言っています。単純でシ ンプルだが必要な練習を十分にしていないの たでしょう。少なくともサイドバックをもと もとやっている選手ではそこまで観れる選手 ではないか。つまり、サッカーは急速に変化 しているけれど、普遍の部分もあって、それ はいないし来たらかわせる技術もないけれ ど、来たらかわせるという選手は、では相手 はボールを止める、蹴るという部分です。ち の意図まで見ながらフィードしたりやめた ょっとプレッシャーがかかったら、ストッパ ーでボールが蹴れる選手が誰もいないじゃな り、判断を変えたり、というのは、なかなか そこまでのレベルには至りませんでした。い いかと監督によく言われます。あるいはシュ ートがうまくないとか。やはりベーシックな ろいろなポジションがいろいろな局面で、相 手の意図まで観て判断を変えたりというの 部分はもっとやらなくてはなりません。サッ は、ピッチに立った全員ができるわけではあ 9 りませんでした。 それができる選手のレベルというのは、ち っかりやって、この分母を増やすこと。アル ゼンチンやブラジルはその分母が非常に大き 布 今回の世界大会で、城福監督の報告にも、 ミドルシュート絡みで失点を受けたとありま ょっとしたところで味方とスペースが見える が、相手も観える。そこの差で、そのレベル い。そこから闘える選手やいろいろな選手が 出てきているのだと思います。 した。 城福 シュートレンジは明らかに国内とは違 が11人いたら違うサッカーができただろうと 布 その辺のところを目指していかなくては っていました。守備に関しては、組織を早く 感じています。では、そういうレベルを集め ればいいではないかと言われるかもしれませ なりません。大熊監督が言ったように、たく さんシンプルなことをやり続けないと、技術、 つくりすぎることの弊害を私も感じていま す。組織をつくることで満足してしまってい んが、逆にボールを奪えない選手ばかりにな ったりとか、ハードワークができない選手ば スキルというのは身についていかない。その こともやらせなくてはいけないし、そういう るのではないか。 「うちのチームはこれだけ しっかり組織ができる。しっかり指導してあ かりになったりします。やはり全部そろった 中でシンクロコーチングとゲームフリーズの るからだ」という目的がそれになっていて、 選手はなかなかいません。技術という面で、 その3つ目が観える、相手が観えるというと バランスの話も出ましたが、フリーズが多す ぎてプレーをしないのもだめだし、だからと 自分が指導していることをそれで実感してし まっていることがあるように思います。実際 ころがまだまだ足りなかったと痛感していま す。 言って「いいよ、いいよ」でただやらせてい ても選手に気づかせることができない。なん は攻撃のところが一番時間がかかるところ。 見えづらいから、自分でもやっているかどう 吉田 観るというところで言うと、顔が上が でも野放しでやっていれば良いということで かが分かりにくい部分です。やっていること らないと観えません。アイディアにしても、 観ていろいろなアイディアがわくわけだか はありません。そこのコーチングの質を高め ていくことが重要です。それはトレーニング が分かりやすく出るのは守備のブロックをつ くること。下の年代でそれをやりすぎるのは ら、やはり顔が上がるように小学生のうちに しておくことが必要。そこから先は、コーチ 環境。 もう一つはゲーム環境を今後どうしていく 弊害になるのではないでしょうか。自分の国 内での経験、そして今回のナイジェリア戦で ではどうしようもできません。アイディアを か。先ほど大熊監督から守備の文化の話が出 もそうなのですが、奪えない相手には腹が立 持てと言っても持てない。いろいろな答えを 教えてあげることはできるかもしれないが、 ましたが、世界大会レベルになるとプレッシ ャーが強くて周りが観れない、選択肢を持て って意地でも奪いに行く、取られたら奪えな いから取られないようにする、取られてしま ゲームのいろいろな状況の中でアイディアが 浮かんでくるという選手は、それはやはり持 ない、アイディアが出せない。それはスキル 不足もあるだろうけれども、プレッシャーと ったらいつまでたっても奪えない、そういう ところで頭から湯気を出してボールを奪いに っているもの。その中で、コーチはここまで はできるという部分があるわけです。練習に いう部分で、守備が国内ではどうなのだろう か。国内のゲーム環境を考えたときに、こう 行ったり、奪われないようにしたりというこ とであればいい。でも「奪われてもいい、う よってボールを何回も触らせながら、顔をあ いうふうでないと選手は育っていかないので ちにはこの組織がある」という感じになって る程度上げさせることはできる。そこまでの 仕事をもっともっと多くの子どもに対してで はないか、という部分についてはどうでしょ うか。 しまっているように思います。 吉田 インターセプトの回数が減っていま きるようにしないといけないと思います。こ こから先、アイディアのある選手は10人に1 大熊 一番良いのは、インターセプトを1タ ッチでスルーパスが出せることですが、イン す。組織をつくって、間に入ってきてもやら れないから平気、ということで満足している。 人かもしれないし、100人に1人かもしれない ターセプトはあまり見る機会がありません。 でもボールに対して寄せることができない。 けれど、全体を増やせば3人、4人、5人とど んどん人数は増えてきます。それでアイディ そういう守備の文化というか、ボールを奪う という守備が攻撃の第一歩であるという意識 国内の大会を見ていても、組織をつくってい ても、実際にまだまだボールの出所に対する アのある選手が10人いて、そこから闘える選 手が3人くらいかもしれない。先ほど言った で教えているかどうか。4種がそれをどの程 度やっているのかが分かりません。スライデ 1対1の守備では、近寄って相手の近くで守備 をすることができていません。これで国内で ように、分母を増やしていく。フィジカルと ィングもそうだし、高学年は、諸外国を見て はやられないからいいのですが、それも問題。 かアイディアというのはその子が持っている 天性なので、なかなか指導者が変えられない。 いるともう少しやるかなと感じます。 吉田 守備の文化に関して自分が思うのは、 世界では近寄れないとやられてしまいます。 だからもっともっとボールに対して近くで守 それを環境で伸ばすことはできるかもしれま せんが。でもここの最初の段階のところまで ボールを奪い合うということが少なくなって きているということ。それよりも組織をつく 備をすることを強調しないと、組織をつくっ てやられないからOKにしているとできるよ は、指導者は結構、影響を与えられると思い ってしまって、満足してしまっている面があ うになりません。 ます。その影響を与えられるところまでをし るのではないでしょうか。少年団でも、Jリ ーグと同じような形で大人と同じ組織で守備 城福 両方の問題ですね。攻撃力も不十分だ から、守備はそれで済んでしまっている。裏 をしているところも、全部ではありませんが 見受けられます。 腹です。 布 行かない方が楽ですからね。アプローチ 世界に行ったときにはもっともっと相手に 近づいて守備ができる選手がいないと守れま をかけて下がってくるのは労力を使うこと。 だから余計避けてしまう。 2007ナショナルトレセンU-12東海より훿AGC/JFAnews 10 せん。世界では少しでも離れていたら自由に 別な部分で、JFAアカデミー福島の試験で やられてしまいます。その辺のところで、早 めに組織をつくりすぎているのではないかと 子どもを見ていると、何もコーチングをして いないのですが、子どもはすごくボールに対 思います。もっとシンプルに「ボールを奪い に行け」というところから入った方が良いの して奪いに行っています。試験ということの モチベーションもあるとは思いますが、相手 ではないか。そこが気になっています。 と絡んで倒れてもすぐに立ってプレーを続け 対談∼育成年代の指導を語る Dialogue ます。 そういうのを見ると、日本の子どもも奪い という見方ができていない。本当にその選手 が高いレベルで変わっているかという見方を ズの取り組み等によって、やる子が増えるこ とで、能力のある子も増えていくでしょう。 たくないということは決してないと感じま す。奪いたいという気持ちがある中で、いつ 続けていかないと。指導者がもう一歩踏み込 んでいかないとなかなか変わらないのではな もう一つは、選手を変えられるのは練習と 試合なわけで、そのキーポイントとなるのが、 の日か、だんだん確かにブロックはできてい いでしょうか。 練習のところでは指導者であり、試合のとこ るが、ボール保持者に対する守備が甘くなっ ていく。その点に関しては、われわれコーチ ボックスに関しては、1対1だけでなく、2 対1をつくることも大切だと思います。日本 ろはゲーム環境。その部分をより向上させて いくこと以外ないと思います。小さな積み重 の方が、もう1ランク、2ランクアップして、 子どもたちの素養を消さないでやっていくこ は走れる力があるのだから。あまり1対1だけ でなく、2対1をつくるタイミング等も1対1の ねしかなく、特効薬はない。地道にやってい くしかありません。 とが必要だと感じます。どうしても簡単な方、 一つの要素。そのタイミングを知ることもや 城福 分母を増やすこと。ある方面にとがっ つまり個の力のなさを組織でごまかすことの 方が簡単ですが、簡単な方を日本の中でわれ っていくべきでしょう。数的優位をつくって 1.5とか2対1で崩すこともしながら1対1をや たところのある選手の数を増やさないと、そ こから必ず上に行くにしたがって減っていく われコーチが選んでいたら、多分この先変わ っていかなくなるでしょう。われわれはそれ ることが大切です。 布 ボール保持者に対して味方がオフで関わ わけだから、下の年代であればあるほど、い ろいろな方面のとがった選手を削るのではな をしっかりやっていくようにしなくてはいけ ることによって、1対1がより有利になるとい く、どれだけ出すか。その次の世代でそれを ないと思います。 城福 応援している保護者等、環境の影響も うことですね。 大熊 いつも1対1で抜ける、抜けないだけで また削るのではなく、それを生かしながら足 りないところをつけていくようにする。そし あるのではないかと思います。そのことに関 しては、非常に難しい問題ですね。 は厳しい。1.5とか1.2にして1対1を考えた方 が日本化の考え方には合っていると思いま て最後に向けてさらに減っていくでしょう が、その絶対数を増やしていくことが重要で す。 す。スタートのところで、競技人口の分母を 全国で普段の試合がこのようになっていた ら全然違う状況になるでしょう。 吉田 U-12のトレセン等で、どういうシステ ムが良いかという質問を受けることがありま す。そういうときに、 「自分のシステムはつ 「指導者は選手の未来に 触れている」 増やすとともに、とがったところのある選手 をどれだけ増やしていけるか、ということか 布 そのためには、子どもはオンだけでやっ らスタートして、その上で、その選手たちを どうするか、という感じになっていければ、 くりません、相手に合わせ全部1対1をつけま す。1対1をやられたら負けます。多分これを ていればいいということではなくて、子ども のうちでも、ボールスキルを高めながら、ヘ 最後のところでの競争がもっと至るところで 見られるようになるのではないかと思いま やったら負けるでしょう。でもこれで1対1は ッドアップをし、オフの選手も足元ばかりで す。 強くなりますよ。でも負けますよ」と答えて います。 なくアクションを起こしていかないといけな い。残念ながら国内のゲームを見ていると、 布 一朝一夕にできることはあまりない。時 間もかかるし、根気もいること。しかし、や 布 あとは、ゲーム環境ということで、もう 一点。ボックス、ゴール前のところをどう改 どこにアクションを起こせば有利かというこ とをあまり分かっていないように感じます。 はり根底の部分はわれわれ指導者。今3人が 言ったことは、すべて「指導者が選手の未来 善していくか。 サッカーの理解度が低いのではないか。子ど に触れている」ということ。そういう中でい 大熊 少年のところは8人制でシュート場面 を多くする、ということがもちろんあります。 ものころから組織を教えこまれて、やること を限定されたところでやっていることが多い かにジェネラルなベースになるところの技術 やフィジカルを持ちながら、個性を消さない まだまだ大きいコートで11対11でやっている ところが圧倒的に多いです。4対4や8対8を活 からではないでしょうか。ポジションの理解 度を高めるためにも、小さいときにもっとい ような選手育成ができるか。それをやるため にはすそ野が大きくなければ山は高くならな 用して、ボールにたくさん触ることができて ろいろなポジションをやらせることが必要で いので、すそ野の部分をいかに大きくしてい シュート場面がたくさん出るようにする。そ れによって、守備のシビアさも上がるのでは す。 では、最後に、日本サッカーが2015年、 くか。月並みかもしれませんが、それを地道 にやっていかないと、魔法の杖でいきなり世 ないかと思います。そういうふうになってほ しいと思います。 2050年に向けて変わっていくために、こうい うことを皆さんと一緒にがんばっていきまし 界で活躍する選手が日本に生まれるというこ とはないでしょう。 ょう、ということを一言お願いします。 大熊 「教える」というより「引き出す」と 手に自立を求めるのと同じで、指導者も良い 意味で自立というか、自分独自のものを出す 大熊 先ほどと重なりますが、逆算して子ど もたちを見て指導することだと思います。あ いう考え方でやるべきですね。とがったとこ ろのある選手のいいところを引き出してあげ ようにしていけるようにしないと、選手もこ れ以上伸びないのではないでしょうか。 る方法で与えても変えられなかったら、方法 を変えられるのが指導者の質になります。将 るという見方になればいい。素材を見てその いいところを引き出す考え方で子どもたちを 相手がいなければいいことができる、では なく、もう少し完成図を思い描きながら、完 来のためになっているかどうか、完成図で何 ができなければならない、ということを知り 見てあげられれば、キャパシティーも増える と思います。下の年代の指導ほど難しいもの 成するためにもっとやらなくてはいけないと ながら、逆算して変わっているかどうかを見 ですが、そこが重要です。特に、重要な4種 伝えることが大切。今それでもやられていな いからそれで良しとしていると、できるよう ながら指導していくことをぜひやっていきた いと思います。そのことを、日ごろ子どもの 年代こそ、全体像が見えた良い指導者を増や していくこと。それで変わってくると思いま にはなりません。低いレベルでできているこ とを良しとしてはいけません。そのときに、 指導を見て実感しています。 吉田 一つには、日本が本当に強くなるには、 す。 布 われわれも含めて良い指導者になれるよ 高いレベルになったときにそこでできるか、 サッカーをやる子を増やしていくこと。キッ う、がんばりましょう。 ただ、なかなかそうならないときには、選 11 JFA テクニカル スタディ 훿Jリーグフォト (株) ∼ユース年代の国内 各種大会を視察・分析∼ 高円宮杯第18回 全日本ユース(U-18) サッカー選手権大会 【報告者】 吉田靖(ナショナルトレセンコーチ) 開催期間:2007年9月9日∼10月8日 開催地:埼玉県ほか 出場チーム数:24チーム 優勝:流通経済大学付属柏高校 (関東/千葉県) 準優勝:サンフレッチェ広島ユース (中国/広島県) 第3位:浦和レッズユース (関東/埼玉県) 、 名古屋グランパスエイトU18 (東海/愛知県) 12 1 훿Jリーグフォト (株) 大会全般 (1)9地域で開催されている「JFAプリンス リーグU-18」から「高円宮杯全日本ユース はなくなった感がある。 決勝トーナメントになると、すべての試 合が実力伯仲の好ゲームとなっていた。 (U-18)サッカー選手権大会」へつながる ようになって、今年で4回目の大会である。 (3)優勝した流通経済大学付属柏高校は、 どの試合も攻撃的で積極的な試合運びでゲ クラブ14チーム、高校10チーム計24チーム が、4チーム6グループに分かれて1次ラウ ームを支配した。特に守備では浅いディフ ェンスラインから積極的にボールにプレス ンドを戦い、各グループ2位以上と3位4チ をかけて高い位置でボールを奪い、奪った ームの計16チームが決勝トーナメントに進 出し、優勝を競い合った。 ら前線に積極的に飛び出してゴールに迫る 攻撃は迫力があった。また、ボールも人も 動く流動的な攻撃は相手を混乱させていた。 (2)1次ラウンド・決勝トーナメント合わ せて51試合で、引き分け8試合、1点差23試 (4)決勝トーナメント進出チームは、クラ 合、2点差7試合、3点差以上13試合であっ た(5点差以上の試合は2試合) 。まだまだ1 ブ10チーム、高校6チームとなり、ベスト4 はクラブ3、高校1であった。 次ラウンドではすべての試合が拮抗したも のではなかったが、以前と比べても地域差 クラブ、高校の戦術的違いは、今ではほ とんどなくなりつつあるように思う。 JFA Technical Study うことで、しかけながらいろいろな判断が できる選手が少ない気がする。 る選手に対してのプレスが甘く、人はいる がボールにプレスがかからず、相手に自由 ③フィニッシュ やはり決定的なゴール前のチャンスをシ にプレーされていたように思う。また、ゴ ール付近でのマークも甘く、中盤と同様、 全体的な技術の質は上がってきているた ュートミスで決められないケースが多かっ 人は相手より多い状況であるにもかかわら め、以前よりビルドアップの能力は上がっ た。ただ、 “世界”と比べるとまだまだボー た。特にフリーになっているのに、焦って シュートしてしまったり、GKを観ずにシュ ず、やられるケースが多かったように思う。 ②1対1 ルの動かしが遅く、 (ボールを)止めて(味 方を)探してからのパスで相手に読まれて ートし、防がれてしまうようなことが多か った。ただ、流通経済大学付属柏高校のFW やはり、1対1に課題が多い。特に相手に 対して近くで守れる守備者が少ないように インターセプトされるケースが多い。 大前元起選手はゴール前の落ち着きがあり、 思う。相手のドリブルに対して簡単に離れ 味方だけでなく相手も観ながら、前方に 供給できるようにならないと、プレスの厳 多くの得点を挙げていたのが印象に残った。 てしまい、相手を楽にしているケースが多 い。身体を寄せきれず、シュートをうたれ しい相手には、攻撃を意図的に組み立てら れないのではないだろうか。 (2)守備 ①組織 るディフェンダーが数多くいたように思う。 ③GK 前述のビルドアップの質を上げるには、 特に中央にいるセンターDF、ボランチが重 どのチームも非常に組織化された守備を 構築していたと思う。1-4-4-2、1-4-5-1等の GKのレベルは年々上がっている。大型 で、ある程度動けるGKも増えてきた。た 要になる。センターDFのところで、相手の システムでライン、ゾーンディフェンスを だ、イージーなミスもまだ目立ち、それが 先手をとってボールを動かせるようになら ないと苦しい。ボランチについても同様、 敷くチームが多かった。守備ではディフェ ンスラインをある程度浅くし、中盤で積極 勝敗に直結していた(準決勝、決勝) 。 相手のFW、MFの間の狭いスペースでボー ルを受け、相手の守備の状況によってボー 的にボールにプレスしてボールを奪いに行 こうとしていたチームが多かった。 2 技術・戦術的課題 (1)攻撃 ①ビルドアップ 3 所感 ルを展開できないといけない。今大会は世 ただ、まだ半分くらいのチームは、ただ 高校・クラブが一緒になり、地域のリー 界大会と比べると、高レベルでボールを配 球できるセンターDF・ボランチはいなかっ 3ラインをしいているだけで、間に入ってく グ戦から勝ち上がり、高校生年代の真の日 た。先のFIFA U-20ワールドカップ カナダ 2007の上位チームには、攻守ともレベルの 高いボランチが必ず存在した(例:アルゼ ンチン、スペイン) 。 トップの選手については、前線で確実に 攻撃の起点となれるトップは少なかったよ うだ。 ②しかけ・突破 アタッキングサードでのしかけでは、ま だまだ技術の精度が悪く、決定的な形に結 びつかないケースが多かった。このエリア ではスピードに乗った中でのパス、コント ロールの質が求められる。また、プレッシ ャーも中盤より厳しいため、少しの技術の ぶれでチャンスを失うことになる。 ただ、優勝した流通経済大学付属柏高校 は、アタッキングサードでの技術の質は高 く、スピードに乗ったしかけやワンタッチ パスで数多くのチャンスをつくっていた。 また、アタッキングサードでのしかけとい 훿Jリーグフォト (株) 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会・1次ラウンド(市立船橋高校vs名古屋グランパスエイトU18)より 13 場となった国民体育大会サッカー競技・少 年男子(以下、国体) 。今年度は従来の高体 連・技術委員会による選評・優秀選手選出 を変更、JFAナショナルトレセンコーチ3名 に高体連、クラブユース連盟から各2名、地 元県協会(秋田県)から3名のスタッフでテ クニカルスタディグループ(TSG)を立ち 上げ、2回戦より本格的な活動を開始した。 来年以降、さらに充実した取り組みを行っ ていく予定である。 (1)会場・参加チーム 훿Jリーグフォト㈱ 高円宮杯第18回全日本ユース (U-18)サッカー選手権大会・決勝(流通経済大学付属柏高校vs サンフレッチェ広島ユース) より 本一を決めるにふさわしい熱戦が各地で繰 り広げられていた。レベルも年々上がって できないと、能力のあるアタッカーには自 由にプレーされてしまう。相手のミスを待 きている。 また、どのチームも夏の全国高校総体、 つのでなく、積極的に自分からしかけてボ ールを奪えるDFの育成が大切である。 日本クラブユースサッカー選手権(U-18) は、日本の育成における物差しとなる大会 である。選手・チームとも以前よりは数段 たように思う(特に守備) 。 ただ、組織的な反面、やや特徴のある個 もレベルが上がっている感はあるが、世界 もそれ以上に進歩している。各チーム、選 が埋没してきているようだ。特に組織的な 手とも、国内だけでなく常に世界に目を向 守備を崩せる個人が足りないように思う。 FIFA U-20ワールドカップ カナダ 2007で けて取り組んでいかないといけない。 タレントが数多く存在した。例えば、アル ゼンチンのFWアグエロ(大会MVP&得点 王)、メキシコのFWドス・サントス等は、 組織プレーをしながら、大事な場面で試合 を決定付ける仕事をしていた。 ひと昔前は決定的な仕事のできる選手は、 ある程度チーム内の役割を軽減されていた 面もあったが、現代サッカーではチームプ レーの中で、その才能を発揮できる選手で ないと通用しなくなっている(レベルの高 いチームでは試合に出場できない) 。そのよ うなタレントの出現が、日本のサッカーを さらに進歩させていくのではないだろうか。 また、世界大会と比較すると1対1の厳し さの違いがある。もっと相手の近くで対応 14 ンドおよび練習グラウンドが見事なまでに 整備された状態であった。参加24チーム中、 新たに予選突破した12チームと、大会での 試合からも47FAユース年代の取り組み、強 化が進んでいる印象を受けた。 高校年代のトップの大会である高円宮杯 大会から成長の跡が見られた。特にチーム としての組織の構築がしっかりなされてい も上位に進出したチームは、チームの中で の役割をこなしながら、個性を発揮できる 大会期間中は好天に恵まれ、ピッチはJFL 所属のTDK SC(秋田県)のホームグラウ 第62回 国民体育大会 サッカー競技・少年男子 (2)試合時間・大会方式 大人のサッカーの入り口として70分(35 分ハーフ)は課題であり、5連戦の大会方式 も検討の余地があろう。 (3)指導者 各FAの状況によりさまざまである。監督 以下多くのスタッフを擁して大会に臨むチ ームが増えている。選手とともに指導者に も良い経験の場となっている。愛知県では 【報告者】 北原 由 (全国高等学校体育連盟/東京都立武蔵野北高校) 開催期間:2007年9月30日∼10月4日 開催地:秋田県 出場チーム数:16チーム 優勝:東京都 準優勝:神奈川県 第3位:京都府 1 大会概要とその取り組み 昨年よりU-16年代のゲーム環境を整え、 都道府県を代表する選手として真剣勝負の TSGミーティングの様子 JFA Technical Study 敗退後も現地に残り、若手指導者の研修を 行っていた。 (4) TSGミーティング 試合分析とともに、県協会とJFAの取り 組みの方向性をすり合わせる貴重な場とな った。今後も国体を活用し、開催県を含む 地域との結びつきを強める場としてユース 強化の一翼を担うことになろう。 2 テクニカル 〈アウトライン〉 「昨年から感じてきたことであるが、U16としてのサッカーのクオリティーは間違 いなく上がってきた。ゲームの中に意図を 感じ取れるチームが多い。ただし、この年 代でもう一歩高いレベルを目指さないと世 界には追いつけない」 (1回戦視察の小野剛 JFA技術委員長) (1)個人技術・戦術 勝ち上がるにつれプレッシャーの中でコ ントロールできない場面が目立った。トレ ーニングの段階で改善の余地があると思わ れる。また、ボールしか見ていない、ファ ーストタッチが足下に入る場面が多く、有 効な視野の確保ができず、 「団子状態のサッ カー」現象も見られた。この年代では常に 動きながら判断を伴う技術の発揮が求めら れ、そのためにオフの準備、ファーストタ ッチの質を高める必要がある。ヘディング、 コンタクトスキルについても世界基準から 考えるとさらに反復練習が必要だ。戦術面 では味方と相手の状況により、有効なプレ ーを選択できるようにしていきたい。 (2)攻撃 ①ビルドアップで68mの幅を使えていたの は神奈川県だけであった。多くのチームは 40mの中で組み立てようとしていた。意図 の明確でないロングボールも多く、守備組 織が整っていても前へ蹴るという安全策的 なサッカーが見られた。GKを含めたDFラ インからのビルドアップを、パススピード、 훿Jリーグフォト㈱ 第62回国民体育大会サッカー競技・少年男子・決勝(東京都vs神奈川県)より 精度を伴って行えるようにしていかなけれ とも多く、幅・深さを取ることが当たり前 ばならない。 ②ワンタッチ、ツータッチパスの精度が低 にできる中で、ブロックをつくりながらボ ールを奪えるチャンスを逃がさないという く、また選択肢を持てていなかった。ボー せめぎ合いができるようにしていきたい。 ルに寄ることは大切だが、周りを観つつ意 図を持ったプレーができなければならない。 ③GKに関しては世界レベルで考えるとサイ ズが足りない。安定感を求めざるを得ない アタッキングエリアで相手の逆を突くとい ったプレーも乏しく、相手を崩し切れない が、トレセン等ではサイズのあるGKの育成 も行ってほしい。 ことが多かった。 ③フィニッシュに至るプレーでは、プレッ 3 まとめ シャーが強くなるとシュートの精度が低か った。ペナルティーボックスでのシュート 技術はまだまだ不足していた。 (3)守備 今夏のFIFA U-20ワールドカップ、FIFA U-17ワールドカップで、それぞれの日本代 表が世界レベルに挑戦し、その余韻のある 中での国体でどのようなゲームが展開され ①バイタルエリアであと一歩寄せればとい るか、注目して見てきた。各県ともユース う場面が多く見られた。1対1で勝負された ときに粘り強い対応ができず、突破される 年代の強化に力を入れていることを実感す るとともに、世界から見ればまだまだ課題 場面も目立った。インターセプトを狙うポ ジショニングと、相手のボールを奪うため の克服に努力が必要であろう。大会での経 験が今後の選手、指導者、さらに都道府県 に近づく守備を徹底したい。 レベルでのサッカーを発展させるものであ ②不用意なファウルでFKを与えてしまうこ るよう期待する。 15 連 載 第 17 回 キッズドリル紹介 1 復活しっぽ取り <オーガナイズ> ・2チーム対抗でしっぽ(ビブス)を奪い合う。 ・コーンの上に予備ビブスをたくさんかけておく。 ・しっぽを取ったら、そのしっぽを首にかける。 ・しっぽを取られたら、後方の予備ビブスをしっぽにし て復活する。 ・終了時に多くしっぽを奪ったチームの勝ち。 ! キーファクター 守ることより、奪うことにチャレンジさせましょう! (復活できるので) 〔清水エスパルス 小野木 玲〕 2 対決 だるまさんが転んだ <オーガナイズ> 「だるまさんが転んだ」ボール奪い合戦。 ・2チーム対抗で、 ・コーチの「だるまさんが転んだ」の言葉を合図に、そ れぞれがボールまで行き、自陣のフラフープにボール を持って帰り、集める競争。 ①手で集める ②ドリブルで集める ・「だるまさんが転んだ」の言葉をコーチが言い終わっ た時点で、止まる。動いたらボールをその場に置いて、 スタートラインに戻る。 ・時間内に多く守ったチームの勝ち。 ! キーファクター C フ ラ フ ー プ コーチ フ ラ フ ー プ ・コーチの「だるまさんが転んだ」の言い方に変化を つけましょう。 〔コンサドーレ札幌 宗像 訓子〕 3 「Shoot go!! go!!」 <オーガナイズ> ・2人組で手をつないでのShoot合戦。 ・ゴールはグリッドの4すみに配置。しるしとしてビブス をさげておく。 ・ボールは4個程度使用。 (人数によって増減) ・玉入れ形式で、自分と同じ色のビブスがさがっている ゴールにShoot。 ・ゴールに入ったボールは、また別のゴールへShootしてもOK。 ・終了後にたくさんゴールへボールを入れたチームの勝 ち。 (ゴール数のカウントによる勝負もOK) ! キーファクター ・手をつないだことにより、2人のコミュニケーション が大切になります。 状況に応じて、ボールを増減したり、ゴールを増減 してもOKです。 〔ベガルタ仙台 渡辺 篤史〕 2007Jリーグアカデミー キッズ研修会より 16 一語一会 哲学のない指導者に、 選手はついていかない アンディ・ロクスブルグ アンディ・ロクスブルグ氏(第5回フットボールカンファレンスより) Jリーグフォト㈱ アンディ・ロクスブルグ(UEFA技術委員長) 第28回UEFTシンポジウム報告でのアンディ・ロクスブルグ氏の言葉。 トップコーチからグラスルーツのコーチに至るまで、すべての指導者に向けられた言葉である。 リーダーシップはこの哲学が礎になって発揮されなければ力を持たない。 17 Reports from Japan National Teams た。 中盤でのポジショニングバランスや攻守への関わり方のバラン スも悪く、意識をしている選手も少なかった。 【第3試合 0-1(前半0-1/後半0-0) 】 スコア以上に差のあったゲームであったが、遠征の最後のプロ グラムでもあり、疲労もあったのは確かである。しかし、疲れた 中でもしっかりと技術を発揮し、次のプレーを予測して主導権を 握ってゲームを進める力を付けさせたいものである。 全体的に攻撃も守備も個人でしか行わない場面が多く、集団の 中で力を発揮するという場面は少なかった。攻撃では2対1をつく り、うまく使う、守備では相手の攻撃を予測しながらチャレンジ とカバーを繰り返すなどの基本的なプレーの徹底が急務であると 感じた。 JOC日韓競技力向上スポーツ交流事業より (中央は吉武博文監督)훿Jリーグフォト㈱ また、シュート場面でもパスを選択するなど、プレーの原則が まだまだ理解されていない。さらに、ゲームが60分間を経過する とパフォーマンスが大きく落ちる傾向にあることは、国内のゲー ムが60分であるので仕方ないのだろうが、この年代の課題である 持久力の定着を考えると、70∼80分程度は闘える体に引き上げた い。 ただ、選手全員が体格の良い韓国選手や特に球際に闘争心をむ き出しにするプレー等に触れられたこと、内容的には良くなかっ たが、結果的には最終戦で0-1という僅差のサッカーを演じられた ことは、今後の自分磨きの材料と明日に向って切磋琢磨する活力 にはなっただろう。 JOC日韓競技力向上スポーツ交流事業(U-14日本選抜vsU-14韓国代表) より훿Jリーグフォト㈱ いろいろな角度からの選手へ刺激は大変貴重なものであった。こ れからの財産にしてほしい。 (3)合同トレーニングについて 日本の選手たちと韓国の選手たちが入り乱れての合同トレーニ ングを企画した。 午前中は韓国のコーチが韓国式で、午後は日本のコーチが日本 式で普段と同じ内容で指導した。選手同士、言葉が通じない中で 5.まとめ 選手たちは日本食ではないバイキング形式の食事をバランスや量 を考えてとったり、トレーニング時間より随分早くピッチに出たり、 も身振りや手振り、おぼつかない英語で、トレーニングのやり方 朝の活動に積極的に取り組んだ。その行動から遠征に参加できた喜 びをかみしめて、何かを得ようという意気込みを強く感じた。 等を説明するなど良い体験となった。 トレーニングの内容については、日本・韓国ともにクロスの質 しかし、韓国選手の食事量は日本の選手の1.5倍だったり、ゲー ムではまだまだ「いつでも、どこでも、誰とでも」"関わること"が とタイミング良い飛び込みには難があった。日本・韓国ともに、 アジアでは上位グループに位置すると思われるが、世界レベルで できなかったり、なぜか闘志を前面に出せなかったりという場面も はまだまだ通用しないのは、クロスの攻守にあるのかもしれない と思わせる内容でもあった。また、トレーニングにおいて、負け たチームには土下座を強いたが、やはり日本の選手以上に韓国選 手は勝敗へのこだわりを持って取り組んでいた。 (4)その他 韓国の選手たちとの合同食事会を郊外のレストランで行った。 見られた。この遠征を通し、選手たちは海外の選手との差を知り、 自分のできること・できないことを知り、どんな環境でも自分を出 すことの大切さを知った。それだけでも選手たちにとっては価値あ る体験となっただろう。その選手たちをスタッフとして援助できた かというと、 「こんなこともすればよかった。 」 「ああしておけばよ かった」と後悔ばかりである。今後のわれわれスタッフ自身の課題 として真摯に受け止めたい。 第1戦・合同トレーニングを経ての会となったので、近くの席に相 また、今回の海外遠征では、従来の成田国際空港集合から現地集 合・現地解散に挑戦した。成田・関西・福岡の3か所から韓国・仁 手選手を手招きするなど、和やかなムードで異文化体験交流がで きた。相手の肉を焼き、皿に取り分けたり、タイミングを見なが 川国際空港のロビーに集まった。選手20人スタッフ6人の全員の顔 がそろいバスに乗ったときは、まだまだ幼さを感じた選手たちも、 らお土産交換、注文の品の説明をしてもらったりと、筋書きのな い意志のやり取りは楽しそうであった。韓国スタッフの心使いで、 一週間後にチェックインカウンター前で解散するときにはたくまし 昨年にはなかった合同食事会を今回は企画していただき、選手の さを感じた。この遠征で新たな体験を積むごとに成長した吸収力は、 今後の成長に大いに期待できると確信した。 体験値を考えると本当に良かった。来年も継続してほしい。 また、途中より小野剛技術委員長、クロード・デュソー氏(テ 最後に夏季の締めくくりとしてチームでいろいろな活動がある 中、選手を派遣していただき、各チーム関係者には心より感謝して クニカルアドバイザー)にもミーティングに参加していただき、 います。 19 活動報告 JFA GK AFCアジア/アフリカチャレンジカップ2007(vsエジプト代表) より 훿Jリーグフォト㈱ 日本代表 3大陸トーナメント 【報告者】加藤好男 (日本代表GKコーチ/GKプロジェクトチーフ) 今号では日本代表の3大陸トーナ メント、AFCアジア/アフリカ プロジェクト チャレンジカップ2007、JFA JFA Goalkeeper Project since 1998 15 GKキャンプの報告をお送 エリートプログラム、U-18/U- りします。 得点者:中村俊輔2、巻誠一郎、 面でフィールドプレーに参加した。また、 矢野貴章 GK:川口能活 守備面では相手の攻撃的の特徴を理解し て、味方との連携に時間を割いた。オース 3.招集GK 1.大会概要 トリア、スイス両国とも185cmを超える大 型選手が多数いるため、クロスに対する対 ●川口能活(ジュビロ磐田) 応を中心にトレーニングを行った。 2007年9月7日∼9月11日まで、オースト リアのウィーン、クラーゲンフルトの両市 1975年8月15日生 180cm/77kg ●楢崎正剛(名古屋グランパスエイト) 状況判断、ゴール前の把握、DFとの連 携などを意識して取り組んだ。 において3大陸トーナメントが開催された。 これは、2008年にオーストリア、スイス 1976年4月15日生 187cm/80kg ●川島永嗣(川崎フロンターレ) 6.成果 両国で共同開催されるUEFA EURO(ヨー ロッパ選手権)に向けた大会準備および強 化を目的としたものである。 日本代表は、クラーゲンフルトのグラウ ンド開きも兼ね、9月7日に地元オースト リア代表と闘った。結果は0-0の末、PK負 1983年3月20日生 185cm/78kg 4.GKテーマ (1)相手に得点をさせない ①味方とコミュニケーションをとり、相手 の得点機会を最小限にする。 けとなったが、9月11日のスイス代表に4-3 で勝利して逆転優勝となった。そのほかの ②味方攻撃時の守備のバランスおよび相手 ③カウンターに対する準備 参加チームは南米大陸よりチリ代表が出場 した。ヨーロッパ遠征をしてアウェイで結 ④セットプレーの守備構築 果を出せたことがチームとしても大いに自 信となった。 2.大会結果 優 勝: 日本代表 1勝1分(1PK負け) 勝点4(総得点4、総失点3) 9月 7日 対オーストリア代表 0-0 PK3-4 GK:川口能活 9月11日 対スイス代表 4-3 (2)積極的な攻撃への参加 ①考えながら走るサッカーの中で、味方の リズムで配球を考える。 ②素早い配球とノーリスクによるプレーの 使い分け 5.GKトレーニング テーマに沿ったトレーニングを行った。 チームと合流するトレーニングでは、攻撃 ・時差調整、気温の差、環境の変化など、 難しい状況ではあったが、集中したトレ ーニングとアフターケアをしっかり行え たことにより、体調を崩すことなく大会 を迎えることができた。 ・オーストリア遠征2日目、2部練習を行 い、地元チームと練習試合を実施できた ことが、いち早くコンディションを整え る上で良かった。 ・2試合を通じて流れの中で失点すること なく、試合を進められたことは良かった。 ・クロスに対する判断では、的確な判断に よって安定したプレーができた。また、 DFとの連携ではプロテクションやカバ ーとも問題なくプレーした。 ・大会を優勝で終えたことは、アウェイと いう難しい環境の中で結果が伴い、大い に自信となった。得点力不足という中で 堅守スイスを相手に4得点できたことは 今後につながる。 7.今後の展開 2008年2月より開催される2010FIFAワー ルドカップ南アフリカ大会アジア地区予選 に向けた準備の一環として、10月にエジ プト代表と年内最後の対外試合を行う。こ の試合に向けた準備を進めると同時に、選 手の所属クラブにおける状態の把握が重要 となる。各選手のコンディションと個の課 題に対する取り組みを視察するとともに、 3大陸トーナメント (日本代表vsスイス代表) より훿Jリーグフォト㈱ 20 代表チームとしての課題克服に向けた準備 を行うことが今後の展開となる。 JFA Goalkeeper Project 活動報告 JFA GKプロジェクト 日本代表 AFCアジア/ アフリカチャレンジカップ2007 【報告者】加藤好男 (日本代表GKコーチ/GKプロジェクトチーフ) 1.大会概要 ●楢崎正剛(名古屋グランパスエイト) 1976年4月15日生 187cm/80kg ●川島永嗣(川崎フロンターレ) 1983年3月20日生 185cm/78kg 4.GKトレーニング ※テーマは前ページ「4.GKテーマ」と同様。 「AFCアジア/アフリカチャレンジカッ プ2007」が2007年10月17日、大阪長居ス テーマに沿ったトレーニングを行った。 チームと合流するトレーニングでは、攻撃 タジアムで開催された。2007年最後の日 本代表戦となったこの試合には、前回の 面でフィールドプレーに参加した。また、 守備面では相手の攻撃的特徴を理解して、 CAF(アフリカサッカー連盟)チャンピオ 味方との連携に時間を割いた。エジプトは ンのエジプト代表が来日した。日本代表は 10月15日よりミニキャンプを張り準備し 中盤に良い選手が多く巧みなパスワークで 崩してくる。したがって、スルーパスへの た。キャンプ初日には、JFLで首位を走る 佐川急便SCと練習試合を組み、調整を図 対応やクロスの対応を中心にトレーニング を行った。状況判断、ゴール前の把握、 った。試合は、再招集組の選手が奮起して DFとの連携などを意識して取り組んだ。 得点を挙げ4-1と快勝した。このことによ り来年からスタートする2010年FIFAワー 5.成果 ルドカップ・アジア地区予選に向けて選手 間の競争がより活発化するであろう。 ・良いコンディションで試合を迎えられ4-1 で勝利したことは良かった。 内最後のミニキャンプが予定されている。 このキャンプに向けた準備を進めると同時 ・JリーグやACLなど過密日程により10月8 に、選手の所属クラブにおける状態の把握 が重要となる。また、11月25日にFIFAワ 2.大会結果 日本代表 4-1(前半2-0)エジプト代表 得点者:大久保嘉人2、前田遼一、加地亮 GK:川口能活 3.招集GK ●川口能活(ジュビロ磐田) 1975年8月15日生 180cm/77kg 日からの早期キャンプは見送られたもの の、短期間に集中した中で準備ができた ことは良かった。 ・海外クラブの選手や欧州遠征に参加した 훿Jリーグフォト㈱ たが、その他の部分で安定した守備がで きたことは自信となった。 ・攻撃への参加では、GKからのビルドア ップも再三行われ、スムーズな切り替え ができたことは良かった。 6.今後の展開 2008年2月より開催される2010年FIFAワ ールドカップ南アフリカ大会アジア地区予 選に向けた準備の一環として、12月に年 ールドカップ予選の組み合わせが決定す る。対戦国の情報収集や分析もスタートし なければならない。また、各選手のコンデ 選手から怪我人が出たため、再招集され た選手が活躍したことでチーム内の競争 ィションと個の課題に対する取り組みを視 察するとともに代表チームとしての課題克 がさらに激しくなったことは良かった。 服に向けた準備を行うことが今後の展開と なる。 ・リスタートから失点したことに課題が出 JFAエリートプログラム (U-14日本選抜) 韓国遠征∼JOC日韓競技力向上 スポーツ交流事業 【報告者】井上祐 (ナショナルトレセンコーチ) 1.概要 期日:2007年8月22日∼28日 場所:韓国・玻洲(パジュ) U-14エリートプログラムメンバー18名 (GK2名)が、JOC日韓競技力向上スポー ツ交流事業の一環として韓国へ遠征した。 6泊7日の日程でU-14韓国代表と3試合 (40分ハーフ)戦い、日韓合同でトレーニ 훿Jリーグフォト㈱ ングも行った。 21 の自分のプレーができたのが最後のゲーム になってしまった。今後は、精神的なタフ さを持たせなければならない。 GKからのビルドアップでは、DFの状況 を観ないで配球する場面が見られた。意識 は良いのだが、状況を把握するところまで はできていない。しかし、チャレンジした ことは評価できる(失敗から学ばせる) 。 8.今後に向けて 最初は環境の変化から自分のプレーを発 揮できずにいたが、このプログラムを通し て本来の自分のプレーを取り戻すことがで きた。精神面で自分のプレーをどんな環境 下でも発揮できるようにしてもらいたい。 JOC日韓競技力向上スポーツ交流事業(U-14日本選抜vsU-14韓国代表) より훿Jリーグフォト㈱ 2.GK参加選手 (1)グッドポジション(見て状況を判断し、 良い準備) ●田尻 健(ガンバ大阪ジュニアユース/ (2)DFとの連携(コミュニケーション& 箕面市立第六中学校) 1993年6月11日生 179cm/64kg ●下川照平(FC東京U-15むさし) 1993年8月23日生 177cm/62kg 〔ゲームでのチーム目標〕 (1)GKからのビルドアップ (2)オプション=選択肢を持つ&持たせる 3.試合結果 (3)クロス 8月23日 vsU-14韓国代表 1-3(前半0-2) 前半 田尻、後半 下川 8月25日 vs横浜FC U-16 リーダーシップ) (3)攻撃参加(GKからのビルドアップ) 0-8(前半0-4) 前半 下川、後半 田尻 8月26日 vsU-14韓国代表 1-3(前半1-0) 前半・後半 田尻 8月23日 vsU-14韓国代表 0-1(前半0-1) 前半・後半 下川 4.チーム目標として (1)ゲームに参加しよう。Relationship 6.GKとしてのテーマ 「基本技術の習得とゲームでその技術を 発揮する。」を目標に今回の遠征に取り組 んだ。 7.取り組み GKからのビルドアップをチームの目標 にし、ゲームに参加する意識(関わる)を 持たせるよう取り組んだ。 トレーニングでは、2人の特徴を把握す (関わる) (2)Positive Thinking(プラス思考) ること、修正するプレーの分析、同じくゲ ームにおいても分析を行った。初めのゲー (3)Fair Play(フェアプレー) (4)感謝の気持ち ムで簡単に失点し、GKの存在感が薄くな った。しかしFIFA U-17ワールドカップの (5)Enjoy Football(楽しむ) 。 U-17ブラジル代表vsU-17イングランド代 そして今回のチームコンセプトとして、 On・Off the pitchともに 5.GKテーマ 〔トレーニング&ゲーム〕 22 表を観戦し、GKの存在感の部分で刺激に なり、最後のゲームではリーダーシップを 発揮し積極的にプレーできた。このゲーム を観戦できたタイミングは良かった。また、 環境の変化に合わせることができず、本来 彼らにはもっと経験を積ませ、さらなる成 長を期待したい。 U-18/U-15 GKキャンプ 【報告者】加藤好男 (日本代表GKコーチ/GKプロジェクトチーフ) 1.開催概要 第9回「2007年JFA U-18/U-15 GKキャ ンプ」が10月19日より10月21日まで、Jヴ ィレッジで開催された。昨年までは、スト ライカーキャンプと合同で東西に分かれて 開催されていたが、今年はナショナルトレ ーニングキャンプU-16の中でストライカ ーがポジション別トレーニングとして行わ れたため、GKのみのキャンプとして国内1 カ所、1回のみの開催となった。 参加選手は、U-18選手が11名、U-15選 手が10名、コーチングスタッフ8名によっ て指導された。昨年から導入された大型 GK トレーニングも継続されたが、彼らの パフォーマンスが向上されたため、特別に 分ける必要がなくなった。したがって、全 体が合流した形でともにトレーニングを行 った。 2.キャンプテーマ グッドフットボーラー = グッドゴールキ ーパー Good Footballer= Good Goalkeeper JFA Goalkeeper Project 活動報告 JFA GKプロジェクト 3.参加選手 2007 U-18/U-15 GKキャンプ メンバー 【U-18選手】 氏名 赤堀勇太 原裕太郎 松本実 曳地裕哉 石森慎也 清木穣 大森圭悟 川浪吾郎 中西竜兵 奥山陸 八木直生 所属 ジュビロ磐田ユース/磐田東高校(静岡県) サンフレッチェ広島F.Cユース/広島県立吉田高校(広島県) 高知高校(高知県) コンサドーレ札幌ユースU-18/北海道札幌厚別高校(北海道) 岩手県立盛岡商業高校(岩手県) 如水館高校(広島県) サンフレッチェ広島F.Cユース/広島県立吉田高校(広島県) 柏レイソルU-18/柏日体高校(千葉県) 東海大学付属第五高校(福岡県) 川崎フロンターレU-18/神奈川県立麻生高校(神奈川県) 鹿島アントラーズユース/鹿島学園高校(茨城県) 生年月日 1989.11.18 1990.04.23 1990.04.25 1990.09.02 1990.10.26 1991.01.19 1991.04.22 1991.04.30 1991.05.01 1991.12.12 1991.12.18 身長 190cm 187cm 184cm 191cm 180cm 195cm 189cm 192cm 186cm 175cm 197cm 体重 78kg 88kg 75kg 82kg 73kg 82kg 82kg 80kg 71kg 70kg 72kg 所属 生年月日 東京ヴェルディ1969ジュニアユース/新宿区立四谷中学校(東京都) 1992.04.07 京都サンガF.C.U15/枚方市立杉中学校(京都府) 1992.06.12 コンサドーレ札幌ユースU-15/札幌市立栄南中学校(北海道) 1992.08.11 アルビレックス新潟ジュニアユース/新潟市立上山中学校(新潟県) 1992.10.04 ACNジュビロ沼津/沼津市立第三中学校(静岡県) 1992.10.25 青森山田中学校(青森県) 1993.01.29 名古屋グランパスエイトU15/長久手町立長久手中学校(愛知県) 1993.05.12 ガンバ大阪ジュニアユース/箕面市立第六中学校(大阪府) 1993.06.11 名古屋グランパスエイト三好FC/豊川市立代田中学校(愛知県) 1994.02.10 FC四日市/鈴鹿市立大木中学校(三重県) 1994.03.19 身長 173cm 182cm 182cm 179cm 178cm 179cm 179cm 179cm 182cm 172cm 体重 58kg 73kg 82kg 67kg 68kg 66kg 59kg 64kg 72kg 72kg 【U-15選手】 氏名 キローラン菜入 村下達郎 松原修平 渡辺泰広 久保田晃次 櫛引政敏 伊藤悠稀 田尻健 鈴木椋大 岩脇力哉 ①良い準備 훿AGC/JFAnews U-18 コーディネーショントレーニン グ、パス&コントロール、コミュニケーシ ョン、スターティングポジション(前後) 、 スルーパスへの対応、1対1、1対1+GK、 3対1+GK、3対3+フリーマン+2GK、ほ か U-15 コーディネーショントレーニン グ、パス&コントロール、コミュニケーシ ョン、構えとそのタイミング、ハンドリン グ、移動技術、フロントダイビング、1対 U-18/U-15合同でウォーミングアップ、 1、1対1+GK、3対3+2GK、ほか Good Footballer、パス&コントロール、コ ミュニケーション 10月20日 PM 「クロス」 U-18 コーディネーショントレーニン ②チャレンジ U-18 消極的にならず、自発的に行動してみる。 やってみる。 ミング、移動技術、ポジショニング、体幹 筋力トレーニング、コーディネーショント グ、パス&コントロール、コミュニケーシ ョン、スターティングポジション、ハイボ ③リーダーシップの発揮 各人がリーダーシップを心がける。 レーニング、ほか U-15 「基本スキルの徹底」構えとそ 1+2対1+2フリーマン+2GK、3対3+2フ リーマン+2GK、体幹筋力トレーニング、 のタイミング、移動技術、ポジショニング、 ほか U-15 ピッチの内外を問わず、常に目的のために 「良い準備」を心がける 4.トレーニング内容 10月19日 PM 「シュートストップ」 「応用スキル」構えとそのタイ ハンドリング、ほか 10月20日 AM 「ブレイクアウェイ」 ール処理、パンチング、1対1+GK、2対 4対1(ボールポゼッション) 、ス ターティングポジション、判断(予測)、 ハイボール処理とステップワーク、パンチ ング、1対1+フリーマン+GK、1対1+1 対1+2フリーマン+2GK、ほか 10月21日 AM 「フィールドプレー&配球」 U-18/U-15合同ウォーミングアップ、コ ーディネーショントレーニング、Good Footballer、パス&コントロール、多ゴー ルゲーム、ほか U-18 4対4+2GK、4対4+フリーマン +2GK、ほか U-15 キック&スローイング、5対3 (ポゼッションゲーム) 、ほか 5.ミーティング U-18/U-15 GKキャンプより훿AGC/JFAnews 10月19日 夜 23 JFA Goalkeeper Project 活動報告 JFA GKプロジェクト 自己分析…トレーニングシーンの各自VTR を観てディスカッション。テーマは、「良 い準備」で主に構えとそのタイミング、移 動技術、セットポジションなど(U-18/ U-15共通) 。 10月20日 夜 FIFA U-20およびU-17ワールドカップの VTRを観て、同帯同GKコーチより説明。 世界の各世代GKのプレー分析、「日本GK の健闘とこれから求められるもの」など (U-18/U-15共同) 。 6.成果 U-18/U-15 GKキャンプ훿AGC/JFAnews ・U-15/U18とも共通する課題や取り組み をともに行えたこと。 ・昨年と比較すると各人の成長が大きく見 られたこと。特に大型GK組に関し、コ ーディネーション能力が向上したことに より、GKプレーそのものがスムーズと なってきたこと。 ・各種世界大会に帯同したコーチから直接 指導を受け、ミーティングで世界に通用 プレーでの重要度を伝えたことから4回 みは良いが、一度で安全につかめないと のトレーニングで改善が見られたこと。 いう判断ができない。自身の体勢やボー ルの質、相手の位置や競り合いなど状況 7.課題 ・良い準備の中の「構えとそのタイミング」 の認知に課題があった。 ・コーディネーション能力の向上は見られ においては、悪い癖が身についてしまっ たが、今後の継続は必要となる。U-18 た者もいて、自身でわかっているが改善 できない選手がいる。意識の継続が課題。 においては体幹筋力の向上とともにステ ップワーク、柔軟性、バランス(オン・ するために何が必要か、今何をしなけれ ばならないかを聞けたこと。 ・ペナルティーエリア周辺のプレーにおい て、エリア内でプレーするか、エリアを ・各世代のライバルとともに寝食し、トレ ーニングをしたことで、より高い意識と 出てプレーするかの判断が不安定な面が オフ交互)などのレベルアップが必要と なる。 8.総括 向上心を持ちサッカーに取り組めたこ あった。縦方向に来る相手攻撃の予測と 決断は課題が残った。 と。 ・フィールドプレーの要素、コーディネー ・クロスにおいては、つかむか弾くかの判 断およびパンチングスキルにおいて課題 ニングキャンプU-16と合同トレーニング になることを受けて、どのように実施する が残った。すべてをつかみに行く取り組 か迷ったが、結果として開催できたことは ショントレーニングを毎回行うことで、 今回、ストライカーがナショナルトレー 良かった。各選手の状態を多面的に見るこ とができた。また、指導者間の連携も活発 化して、それぞれの担当地域へ落とし込み が容易となる。ナショナルレベルがどのよ うなものか、世界基準の評価も含めて帯同 コーチとともに指導することで共通の課題 を共有することができた。大型GKのレベ ル向上は今後の日本GKを取り巻く環境を 大きく変えてくれるものと確信している。 その存在感、守れる範囲の広さは群を抜い ている。今後、彼らが筋力アップするにつ れ、スピードとパワー溢れるプレーが期待 できる。後はいかに実践の場を与えること ができるか、試合経験を増やすことが最大 の課題となるであろう。 U-18/U-15 GKキャンプ参加メンバー훿AGC/JFAnews 24
© Copyright 2024 Paperzz