20110309-1 中国法令調査報告書 刑法修正案(八) 報告日:2011 年 3 月 9 日 管理番号:20110309-1 今回のご報告のポイント 本法は、刑法を修正するものである。この修正案については、2010 年 9 月に草案が 公表され、パブリックコメントの募集が行われていた(2010 年 9 月 29 日付け法令調査 報告書ご参照)が、修正を経て公布された。企業単位による偽造インボイスの保有に 関する犯罪について、主要責任者個人の処罰規定が盛り込まれた(刑法第 210 条の 1)。 また、新設された労働報酬の不払いに関する犯罪(刑法第 276 条の 1)について、草案 では、公訴提起前に労働報酬を支払った場合には、刑事責任を追及しないことができ るとされていたが、本修正案では、刑罰の任意的減軽という形に明確化された。また、 「国連腐敗防止条約」にもとづき新設された外国公務員等に対する贈賄罪は、草案ど おりに盛り込まれている(刑法第 164 条 2 項)。 1. 法令等の名称・番号 中国語名称:刑法修正案(八) 日本語訳: 刑法修正案(八) 法令番号: 主席令(第 41 号) (ソース)全国人民代表大会ウェブサイト 2. 公表した政府部門 全国人民代表大会常務委員会 3. 公布日 2011.2.25 4. 発表日 2011.2.25 1 ANDERSON MŌRI & TOMOTSUNE 20110309-1 5. 実施日 2011.5.1 6. 分野 刑法 7. 概要・コメント 刑法第八次修正案の主な内容は、以下の通りである。 一、 刑法第133条に1条を追加し第133条の1とする。内容は、以下の通りである。 「道路上で、自動車を運転して追いかけて競争し、情状が重大である場合、又は道 路上で、酒に酔って自動車を運転した場合、拘留に処し、罰金を併科する。」 前項の行為があり、同時にその他の犯罪を構成した場合、処罰が重いほうの規定に 従い罪を決定し処罰を行う。」(本修正案第22項) 二、 刑法第143条について、以下のように修正する。内容は、以下の通りである。 「食品安全基準に適合しない食品を生産し、又は販売し、重大な食物中毒事故又は その他の重大な食源性疾患をもたらすのに足りる場合は、3年以下の有期懲役又は拘留 に処し、罰金を併科する。人体の健康に対して重大な危害をもたらし、又はその他の 重大な情状がある場合、3年以上7年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。結果が 特別に重大である場合、7年以上の有期懲役又は無期懲役に処し、罰金を併科し、又は 財産を没収する。」(本修正案第24項) 三、 刑法第144条について、以下のように修正する。内容は、以下の通りである。 「生産し、又は販売した食品の中に有毒若しくは有害非食品原料を混入し、又は有 毒若しくは有害非食品原料が混入されていることを明らかに知りながら食品を販売し た者は、5年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。人体の健康に対して重大な危害 をもたらしたか、又はその他の重大な情状がある場合、5年以上10年以下の有期懲役に 処し、罰金を併科する。人を死亡させ、又はその他特別に重大な情状がある場合、本 法第141条の規定に従い処罰する。」(本修正案第25項) 四、 刑法第210条に1条を追加し第210条の1とする。内容は、以下の通りである。 「偽造のインボイスであることを明らかに知りながら所有し、数量が比較的に大き いである場合、2年以下の有期懲役、拘留又は管制に処し、罰金を併科する。数量が莫 大である場合、2年以上7年以下の有期懲役に処し、罰金を併科する。 単位が前項の罪を犯した場合、単位を罰金に処し、かつ、その直接責任を負う主管 人員及びその他の直接責任者に対して、前項の規定に従い処罰する。」 2 ANDERSON MŌRI & TOMOTSUNE 20110309-1 (本修正案第35項) 五、 刑法第276条に1条を追加し第276条の1とする。内容は、以下の通りである。 「財産の移転、隠匿等の方法により労働者の労働報酬の支払から逃避し、又は支払 能力があるにもかかわらず、労働者の報酬を支払わず、金額が比較的に大きく、政府 関連部門の支払命令を受けてなお支払わない場合、3年以下の有期懲役又は拘留に処し、 罰金を併科し又は単科する。重大な結果をもたらした場合、3年以上7年以下の有期懲 役に処し、罰金を併科する。 単位が前項の罪を犯した場合、単位を罰金に処し、かつ、その直接責任を負う主管 人員及びその他の直接責任者に対して、前項の規定に従い処罰する。 前2項の行為があるものの、重大な結果が生じておらず、公訴が提起される前に労働 者の労働報酬を支払い、かつ、法により関連する賠償責任を負った場合、処罰を軽減 し又は免除することができる。」(本修正案第41項) 以上 上記の事項についてさらに詳細な情報をご希望される場合には、下記までご連絡いただきます ようお願いいたします。 森脇 章 パートナー弁護士 Email: [email protected] Telephone: 03-6888-1055(東京事務所) 中川 裕茂 パートナー弁護士、北京事務所首席代表 Email: [email protected] Telephone: 03-6888-1174(東京事務所) +86-10-6590-9060(北京事務所) 本報告書は、法令の一般的な解釈を示したものであり、当事務所の法律上、会計上、税務上の アドバイスを含むものではありません。 本報告書の著作権は、出典が明記されているものを除き、アンダーソン・毛利・友常法律事務 所に帰属します。 3
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