PMDAの「医薬品副作用データベース」を 用いた副作用リスクの評価 -自社医薬品の副作用リスクのポジショニングへの活用- (4)JMPを用いた副作用リスクポジショニングの視覚化 山田 雅之1,須々田 寛2 1 キッセイ薬品工業株式会社 臨床開発部 2 田辺三菱製薬株式会社 データサイエンスセンター 本日の構成 • はじめに • 方法 • JMPによる3種類のグラフ表示 – ドリルダウン付散布図 – ツリーマップ – セルプロット • まとめ 1 はじめに • ある副作用のシグナル指標のラインリストが得られ た際,それらの情報のもつ意味を容易に理解させる 視覚化の方法を示す • 視覚化にあたり,JMPに標準的に備えられている3 つのグラフ「ドリルダウン付散布図」,「ツリーマップ」 及び「セルプロット」を用いる 2 方法 • PMDAの「医薬品副作用データベース」を整形し,解析用に 加工したデータを原データとした(広岡ら) • この原データを用いて,「間質性肺炎」に対するシグナル指標 を算出し,ラインリストを作成した(澤田ら) • 本論文で用いたシグナル指標のラインリストに含まれる項目 – 項目名:薬効分類名,医薬品(一般名),報告件数(N),ROR,ROR 95%信頼区間下限(ROR下限),PRR,カイ2乗値 情報の視覚化のために,以下の前処理を行った 1) グラフで薬効分類別のマークを表示できるようにする 2) JMPのラベル機能を使って,グラフに医薬品(一般名)及び 薬効分類名を表示できるようにする 3 ドリルダウン付散布図 • ドリルダウン付散布図とは,2つのシグナル指標の 関係を示した散布図に対して,詳細を示すために薬 効分類名や医薬品(一般名)を表示した散布図 散布図は横軸にカイ2乗値を,縦軸にPRRを示した 4 散布図 横軸:カイ2乗値,縦軸:PRR X,Y軸とも対数表示,右上がPRRが高く,カイ2乗値も高い薬剤を示す 5 ドリルダウン付散布図 横軸:カイ2乗値, 縦軸:PRR 前頁の散布図の右上を拡大し,薬剤分類を表示した。漢方製剤,抗がん剤が多い。 6 ツリーマップ • ツリーマップ(treemap)は,二次元平面上の領域を入れ子状 に分割することによって,ツリー構造のデータを可視化する手 法 • ツリーマップの有名な例 – 世界のニュース記事をタイル状に並べて閲覧できるnewsmap • ツリーマップの利点 1) 限られた空間を利用して効率よく情報の視覚化を実現できる 2) 分割された各領域の面積を自由に決められる 全薬剤と,散布図でカイ2乗値とPRRが高い医薬品の多い 薬効分類(漢方製剤,その他の腫瘍用薬)に絞ったツリー マップを示す 7 ツリーマップ(全薬剤) • • グラフ→ツリーマップを選択 サイズにカイ2乗値,色分けにPRR,カテゴリに薬効分類名,及び医薬品 (一般名)を選択 8 ツリーマップ(全薬剤) 長方形のサイズ:カイ2乗値,色分け:PRR 白色(低)~赤色(高) 9 ツリーマップ(漢方製剤) 長方形のサイズ:カイ2乗値,色分け:PRR 白色(低)~赤色(高) 10 ツリーマップ(その他の腫瘍用薬) 長方形のサイズ:カイ2乗値,色分け:PRR 白色(低)~赤色(高) 11 ツリーマップ(指標の入れ替え) 長方形のサイズ:PRR,色分け:カイ2乗値 白色(低)~赤色(高) 12 セルプロット • セルプロットは,複数のシグナル指標を同時に表示させるた めに,横はシグナル指標の数だけ展開され,縦は医薬品名 が展開されたテーブルである • テーブル内の各四角(セル)が,列の値の範囲や種類に応じ て色分けされるので,各シグナル指標の大きさが一目で確 認できる PRR及びカイ2乗値に加えて,薬剤ごとの報告件数,ROR, ROR95%下限の3つの指標を追加し,全部で5つのシグナル 指標の大きさを色分けしたセルプロットを示す 13 セルプロット • • グラフ→セルプロットを選択 応答変数にN,PRR,カイ2乗値,ROR,ROR下限をラベルに医薬品名 を選択 14 セルプロット(漢方製剤) 青色(低)~ 赤色(高) 15 セルプロット(その他抗腫瘍薬) 青色(低)~ 赤色(高) 16 まとめ • 「特定の副作用が起こった場合,あるいは想定された場合に, 日本で承認された医薬品でこれまでその副作用がどのくらい 報告されて,潜在リスクの可能性は他の医薬品と比べて高 いのか低いのか」等の検討の際に,自発報告された副作用 情報を視覚化・俯瞰することで容易にその情報を把握・理解 できることを示した • 潜在リスクのポジショニングにおいて,表示するシグナル指 標の選択など留意すべき問題は残っているが,試行錯誤的 な検討を重ねることでノウハウが蓄積されると考えられる 17 参考文献 1) Steve Jolly, Using Spotfire to Quickly and Intuitively Analyze Drug Safety Data, https://www1.vtrenz.net/imarkownerfiles/ownerassets/709/Jolley%20LS%20For um%20Oct2010%20Distn.pdf 2) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構:デ-タマイニイング手法の導入に関す る検討結果報告書(平成21年3月), http://www.info.pmda.go.jp/kyoten_iyaku/file/dm-report20.pdf 3) 広岡禎,山田雅之:PMDAの「医薬品副作用データベース」を用いた副作用リスク の評価 -自社医薬品の副作用リスクのポジショニングへの活用- (2) PMDAの「医 薬品副作用データベースの活用,(2012),SASユーザー総会論文集 4) 澤田克彦,重田寛文:PMDAの「医薬品副作用データベース」を用いた副作用リス クの評価 -自社医薬品の副作用リスクのポジショニングへの活用- (3)シグナル検 出指標の解説と「間質性肺炎」でのシグナル評価,(2012),SASユーザー総会論文 集. 5) 浜本階生:具体例で学ぶ!情報可視化のテクニック 第3回 ツリーマップによる木 構造の可視化(前編), http://gihyo.jp/dev/feature/01/visualization/0003. 6) 浜本階生:具体例で学ぶ!情報可視化のテクニック 第4回 ツリーマップによる木 構造の可視化(後編), http://gihyo.jp/dev/feature/01/visualization/0004. 7) SASインスティチュートジャパン:JMPテクニカルニュース:2012年2月28日号, http://www.jmp.com/japan/mail/tn201202.shtml. 18
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