2011 年 11 月改訂(第 8 版) − 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読み下さい。− 医薬品の「使用上の注意」の解説 添付の無痛化剤 (リドカイン) 含有 液で希釈使用 する製剤 です 内痔核硬化療法剤 劇薬 処方せん医薬品注) 硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸注射液 / LIDOCAINE 注)注意−医師等の処方せんにより使用すること 【禁忌】(次の患者又は部位には投与しないこと) 1.次の患者には投与しないこと (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等 への投与」の項参照) (2)授乳中の婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照) (3)透析療法を受けている患者〔使用経験がない。アルミニウムの排 泄が極端に遅延するおそれがある。〕 かんとん (4)嵌頓痔核を伴う患者〔症状を悪化させることがある。〕 (5)リドカイン等のアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者 〔添付の希釈液はリドカインを含有している。〕 2.次の部位には投与しないこと 直腸下部の粘膜下以外の部位〔壊死等の症状があらわれることがある。〕 製造販売元 〔提携先:レキオファーマ株式会社〕 はじめに ジオン注は、田辺三菱製薬株式会社とレキオファーマ株式会社が共同開発した内痔核硬化療 法剤で、硫酸アルミニウムカリウム水和物及びタンニン酸を有効成分とする局所注射用配合剤 で、2004 年 7 月に製造承認を取得しました。 本剤は、中国において 1979 年に承認されている「消痔霊」と基本的に同様の製剤処方とし、 添加物の一部を改良したもので、希釈液として無痛化剤(リドカイン)含有液又は日局生理食 塩液を添付する 2 種類の製剤規格を揃えています。 内痔核の治療は、従来、薬物治療や肛門部の衛生、その他の生活指導によって症状を改善し ていく保存療法が基本となり、これまでは保存療法を行っても症状が進行した場合に手術療法 が行われておりました。近年、保存療法と手術療法の間に位置する硬化療法などの処置法も内 痔核患者に対して行われておりますが、本剤は、脱出を伴う内痔核治療における新たな硬化療 法剤であり、本剤の適応対象は、手術が適応となるⅢ度、Ⅳ度の患者と通常は手術の対象外で あるⅡ度の患者です。 本冊子は、本剤のご使用に際しての注意事項を各項ごとに解説しました。本剤の適正使用の 一助となれば幸甚に存じます。 目 次 【効能・効果】…………………………………………………………………………………………2 【用法・用量】…………………………………………………………………………………………2 【使用上の注意】 ……………………………………………………………………………………… 3 1.禁忌 …………………………………………………………………………………………………… 3 2.用法・用量に関連する使用上の注意 …………………………………………………………………4 3.慎重投与 …………………………………………………………………………………………………6 4.重要な基本的注意 ………………………………………………………………………………………6 5.副作用 ……………………………………………………………………………………………………9 15 6.高齢者への投与 ………………………………………………………………………………………… 15 7.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ……………………………………………………………………… 15 8.小児等への投与 ………………………………………………………………………………………… 9.適用上の注意 ………………………………………………………………………………………… 16 18 10.重大な副作用の症例の概要 …………………………………………………………………………… 21 11.その他の副作用の症例の概要 ………………………………………………………………………… 1 【効能・効果】 脱出を伴う内痔核 【用法・用量】 本剤の投与に先立ち、局所麻酔により肛門括約筋を弛緩させる。 用時、ジオン注無痛化剤付 1 バイアル(10 mL)に添付の希釈液 10 mL を加えて 20 mL とし、硫酸アルミニウムカリウム水和物として 2 %溶液に調製する。 通常、成人には、1 つの主痔核あたり 2 %溶液として 9 ∼ 13 mL を分割して粘膜下 に投与する。 なお、投与量は患者の病態により適宜増減することとし、1 回の治療あたりの総投 与量は 2 %溶液として 60 mL 以内とする。 本剤をご使用いただく前に、本剤による痔疾患治療について講習を受けていただく必要が ございます。本剤を安全に使用し、又本剤の有効性を十分に活用していただくため、講習 会で投与手技について十分ご理解いただいた上でのご使用をお願いいたします。 2 【使用上の注意】 1.禁忌(次の患者又は部位には投与しないこと) 1.次の患者には投与しないこと (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等 への投与」の項参照) (2)授乳中の婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照) (3)透析療法を受けている患者〔使用経験がない。アルミニウムの排泄 が極端に遅延するおそれがある。〕 かんとん (4)嵌頓痔核を伴う患者〔症状を悪化させることがある。〕 (5)リドカイン等のアミド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者 〔添付の希釈液はリドカインを含有している。〕 2.次の部位には投与しないこと 直腸下部の粘膜下以外の部位〔壊死等の症状があらわれることがある。〕 〈解説〉 1.次の患者には投与しないこと (1)妊娠中の安全性が確認されておらず、また、動物実験(ラット)で胎 児へのアルミニウムの移行が認められていることから設定した。 (2)動物実験(ラット)において乳汁中へのアルミニウムの移行が認めら れていることから設定した。 (3)本剤の臨床試験において使用経験がなく、通常の透析においてはアル ミニウムが除去されにくく、排泄が極端に遅延するおそれがあること から設定した。 かんとん (4)嵌頓 痔核は急性の炎症を起こしている病態で、炎症惹起作用を有す る本剤の投与により更に症状を悪化させると考えられることから設 定した。 (5)添付の希釈液はリドカインを含有しており、リドカイン等のアミド型 局所麻酔剤に過敏症のある患者では、ショック等の過敏症を発現する 危険性が高いことから設定した。 2.次の部位には投与しないこと 本剤は内痔核硬化療法剤であり、不適切な部位に投与した場合、本剤の 組織障害性により壊死等があらわれることから設定した。 3 2.用法・用量に関連する使用上の注意 (1)本剤の投与に先立ち、痔核を十分に観察するための前処置として、肛 門周囲への局所麻酔を施行し、肛門括約筋を弛緩させること。 (2)輸液点滴を行い、静脈路を確保するとともに利尿を図ること。 (3)本 剤 は 、 硫 酸 ア ル ミ ニ ウ ム カ リ ウ ム 水 和 物 と し て 4 % 溶 液 の ま ま 使用せず、用時、添付の希釈液を用いて、必ず 2 %溶液に調製後、 使用すること。 (4)主痔核に投与する際には、以下の標準的投与量を参考に、投与手技に 注意しながら投与すること。 <標準的投与量> 上直腸動脈 痔 核 上 極 部 の 粘 膜 下 層: 3 mL 1 ①痔核上極部粘膜下層 痔 核 中 央 部 の 粘 膜 下 層: 2 ∼ 4 mL 痔核中央部の粘膜固有層: 1 ∼ 2 mL ②痔核中央部粘膜下層 3 2 ③痔核中央部粘膜固有層 4 痔 核 下 極 部 の 粘 膜 下 層: 3 ∼ 4 mL 歯状線 ④痔核下極部粘膜下層 <投与手技(四段階注射法)> ①痔核上極部の粘膜下層への投与: 痔核上極部の上直腸動脈の拍動部(時として拍動が触れないことがあ る)に注射針を刺入し、粘膜下層深部に 2 mL を投与する。その後、針 先を手元に引きながら 1 mL を投与する。 投与後は、粘膜表面がやや白っぽくなる。 ②痔核中央部の粘膜下層への投与: 主痔核の中央部に注射針を刺入し、粘膜下層深部に痔核体積に 1 mL を 加えた量を標準として投与する。 ③痔核中央部の粘膜固有層への投与: 「②痔核中央部の粘膜下層への投与」後、針先を少し手元に引いて粘 膜固有層へ 1 ∼ 2 mL を投与する。 投与量が適当であれば粘膜の表面がやや隆起する。 ④痔核下極部の粘膜下層への投与: 痔核の下極部(歯状線の上 0.1 ∼ 0.2 cm の部位)へ注射針を刺入し、粘 膜下層深部に 2 ∼ 3 mL 投与する。その後、針先を手元に引きながら 1 mL を投与する。 (5)主痔核の体積が 1 cm3 以下の場合、及び副痔核に投与する場合には、痔 核上極部及び痔核下極部への投与は行わないこと。 (6)筋層内には投与しないこと。誤って筋層内に刺入した場合には、針先 を一度戻し、改めて刺入してから投与すること。 (7)膀胱刺激症状に十分注意し、前立腺及び腟壁には投与しないように注 意すること。 4 (8)歯状線より下方への投与や、薬液が歯状線下に浸潤することにより、 嵌頓痔核や肛門部疼痛があらわれるおそれがあるので注意すること。 (9)全ての痔核への投与を行った後、過度の炎症を予防し、効果を十分に 得るため、手指で投与部位全体を十分にマッサージし、薬液を分散さ せること。 〈解説〉 (1)本剤の投与に際しては、痔核を十分に観察するため、局所麻酔剤の肛門 周囲への投与により肛門括約筋を弛緩させることが必要なため設定した。 (2)本剤の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物由来のアルミニ ウムが血中に移行することから、血中アルミニウムの早期排泄を促すと ともに、ショック等の緊急時に備えて血管確保を目的に設定した。 (3)本剤の至適濃度は 2 %であり、原液を投与した際には、投与局所に壊死や 出血等の組織障害と、線維化による高度な硬結が出現する可能性がある ことから、用時、添付の希釈液を用いて必ず 2 %溶液に調製後、使用する 旨の注意を記載した。 (4)本剤の有効性及び安全性を確保するためには、適切な量を適切な場所に 投与することが必要であるため設定した。 なお、誤投与を避けるための標準的な投与量、四段階注射法の具体的な 手順を記載した。 (5)小さい痔核の場合、用法・用量に規定した用量では過量となるため設定 した。 (6)誤って本剤を筋層内に投与した場合、直腸筋壊死が発現する可能性があ ることから、筋層内には投与しない旨記載した。 (7)本剤投与時に注射針が前立腺におよんで尿道を刺激したことが原因と考 えられる血尿の報告例があることから設定した。 (8)歯状線より下方では痛覚があるため、液剤が浸潤すると、肛門部疼痛が あらわれるおそれがあることから記載した。また、本剤の投与手技によ ると考えられる「嵌頓(かんとん)痔核」の症例が報告されている。 (9)投与後十分にマッサージをせず痔核の一部に薬液が集中した場合、硬結 が発生することがあることから、投与部位全体を十分マッサージし、液 剤を分散させる旨記載した。 5 3.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)腎障害のある患者〔アルミニウムの排泄が遅延するおそれがあるので、 尿量を十分に確保すること。〕 (2)高齢者又は全身状態が不良の患者〔希釈液にリドカインが含まれてお り、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることが ある。〕 (3)心刺激伝導障害のある患者〔希釈液に含まれるリドカインが症状を悪 化させるおそれがある。〕 (4)重症の肝機能障害又は腎機能障害のある患者〔希釈液に含まれるリド カインの中毒症状が発現しやすくなるおそれがある。〕 (5)前立腺癌等の放射線治療歴のある患者〔前立腺癌の放射線治療後、本 剤の投与により、出血を伴った直腸潰瘍を発現した症例がある。〕 〈解説〉 (1)本剤の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物由来のアルミニ ウムは腎臓より排泄されることから、腎障害のある患者ではアルミニウ ムの排泄が遅延するおそれがあるため設定した。 (2)∼(4)希釈液にリドカインが含まれており、塩酸リドカイン製剤の慎重 投与の項を参考に設定した。 (5)前立腺癌等の放射線治療歴のある患者では、放射線による直腸粘膜への 組織障害と本剤の薬理作用で直腸潰瘍が起こることが考えられ、本剤投 与との関連性が否定できない直腸潰瘍と出血を伴った症例の報告がある。 4.重要な基本的注意 ( 1 )本剤の投与は、痔疾治療に精通し、本剤を用いた手技を理解した医師 が四段階注射法を遵守して行うこと。 ( 2 )本剤は組織傷害性があることから、適切な場所に適量投与されなかっ た場合や原液を投与した場合、直腸筋層壊死、直腸狭窄等が発生する 可能性があるので十分に注意すること。 ( 3 )本剤は痔核を十分に露出させて観察するための前処置として、局所麻 酔の施行を選択する場合に使用すること。前処置として腰椎麻酔ある いは仙骨硬膜外麻酔を選択する場合には、ジオン注生食液付を使用す ること。 ( 4 )本剤の投与中あるいは投与後に過度の血圧低下、徐脈があらわれるこ とがあるので、本剤の投与に際しては、常時、直ちに適切な救急処置 のとれる準備をしておくとともに、予め静脈路の確保を行うこと。 (「重大な副作用」の項参照) ( 5 )本剤の投与手技上、以下の事象が発生する可能性があるので十分に注 6 意すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照) 1)前立腺炎、副睾丸炎、睾丸炎、血精液症〔男性の前側の痔核に注射 する際、直腸壁全層を注射針が穿通し、前立腺・精 とその近傍に 刺入・注射した場合に発生する。このような場合には、観察を十分 に行い、導尿、抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと。〕 2)痔核壊死〔痔核中央部への投与において、投与部位が浅い場合、又 は投与量が多く投与部位を十分にマッサージせず薬液が均一に分散 しなかった場合に発生する。このような場合には、観察を十分に行 い、抗生物質を投与するなど適切な処置を行うこと。痔核全体が壊 死した場合、手術等の適切な処置を行うこと。〕 3)嵌頓痔核、肛門部疼痛〔歯状線及び肛門管皮下に投与した場合、又 は肛門管皮下に薬液が浸潤した場合に発生する。このような場合に は、坐浴や消炎鎮痛剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、嵌 頓痔核が回復しない場合には手術等の適切な処置を行うこと。〕 4)硬結〔投与量の過多、又は投与後に十分にマッサージせず痔核の一 部に薬液が集中した場合に発生する。なお、痔核中央部の粘膜固有 層への投与量が多く、粘膜下層への投与量が少なかった場合にも発 生する。通常は自然に吸収され、肛門機能に影響を残さないが、硬 結が著しく排便障害等が認められる場合には、観察を十分に行い、 手術等の適切な処置を行うこと。〕 5)直腸筋層壊死〔針先が直腸の筋層まで達し、投与量が多い場合に発 生する。このような場合には、観察を十分に行い、消炎鎮痛剤及び 抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと。〕 6)直腸狭窄〔多くは痔核上極部の粘膜下層への投与量過多の場合に発 生する。なお、痔核中央部の粘膜下層への投与の際、痔核上極部の 粘膜下層に薬液が誤って注入された場合にも投与量過多となり発生 する。このような場合には、観察を十分に行い、狭窄部の切開やブ ジー*等の適切な処置を行うこと。〕(「重大な副作用」の項参照) ( 6 )本剤投与後、少なくとも前処置の麻酔の影響がなくなるまで、医師の 監督下で患者の全身状態の観察を十分に行うこと。 ( 7 )本剤の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物に由来する アルミニウムは、主に腎臓から排泄されるため、重篤な腎機能障害 のある患者においては、尿量が十分に確保できることを確認してか ら投与すること。 ( 8 )本剤投与 2 週間後までに一過性の発熱があらわれることがあるので、 このような場合には、観察を十分に行い、解熱鎮痛薬を投与するなど 適切な処置を行うこと。 ( 9 )本剤による治療後に重篤な直腸潰瘍や直腸狭窄等が発生する可能性が 7 あるので、治療後は定期的に経過観察を行うこと。また、投与に際し ては、患者に対して本剤の副作用等について十分な説明を行うととも に、出血、肛門痛等の異常が認められた場合には速やかに主治医に連 絡するように注意を与えること。 (10)添付の希釈液は、塩酸リドカインとして 0.5 %含有する。リドカイン はショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、投与に際して は、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認 められた場合には、直ちに救急処置のとれるように、常時準備してお くこと。 (11)塩酸リドカインの基準最高用量は、通常、成人 1 回 200 mg(0.5 %の 場合、40 mL)であることに注意すること。 (12)添付の希釈液は、ジオン注無痛化剤付の希釈以外の用途に使用しない こと。 〈解説〉 ( 1 )本剤は特殊な投与手技であるため、本剤投与時の副作用の発現を最小限 にするためには、手技を十分に理解し、四段階注射法を遵守して投与す ることが重要である。 本剤使用時の安全性確保のため、本剤の使用は痔疾治療に精通している医 師に限定しています。講習会により本剤の投与手技を十分ご理解いただい た上で、製品のご提供をさせていただきますのでご理解お願いします。 ( 2 )本剤は組織傷害性があり、誤った投与により直腸筋壊死、直腸狭窄等が 発現する可能性があることから設定した。 ( 3 )ジオン注無痛化剤付、ジオン注生食液付は、添付の希釈液が異なった製 剤であり、前処置の選択によって使い分ける必要があるため設定した。 ( 4 )本剤投与との関連性が否定できない「血圧低下、徐脈」の症例が報告さ れていることから設定した。このような症状があらわれた場合には早急 な処置が重要であることから、直ちに救急処置のとれる準備をしておく こと。また、輸液点滴を行い、緊急時に備えて静脈路を確保すること。 ( 5 )本剤の投与手技は複雑であり、投与手技に起因する有害事象発現の可能 性は否定できないことから、その場合の処置方法を含め設定した。 (*ブジー:臓器の狭窄を広げるためにそれより少し太い器具を通して拡張する こと。) ( 6 )本剤投与に際しては、前処置として麻酔を施すため、投与後の観察を十 分に行う必要があることから設定した。 ( 7 )重篤な腎機能障害のある患者において、尿量が十分に確保できないと、本 剤由来のアルミニウムの排泄が遅延するおそれがあることから設定した。 ( 8 )本剤投与 10 日前後に、一過性の発熱の発現症例が報告されていることか 8 ら設定した。 ( 9 )本剤投与との関連性が否定できない重篤な「直腸潰瘍」「直腸狭窄」の 症例が報告されていることから設定した。これらの副作用の重篤化を防 ぐためには、早期発見、早期治療が重要であり、そのためには治療後に 定期的な経過観察を行う必要がある。また、患者自身が副作用を自覚し て早期発見するために、患者に対して本剤の副作用等について十分な説 明を行い、出血、肛門痛等の異常が認められた場合には患者から主治医 に連絡するように注意を与えること。 (10)希釈液にリドカインが含まれており、リドカインの副作用としてショッ クあるいは中毒症状が報告されていることから設定した。 (11) 希釈液にリドカインが含まれていることから設定した。 (12)添付の希釈液は本剤専用であることから、他の用途に使用しないよう設 定した。 5.副作用 国内の臨床試験において、安全性評価対象例 126 例中 21 例(17 %)39 件に 副作用が認められた。主な副作用は発熱 9 件(7 %)、血圧低下 4 件(3 %)、 頭痛 3 件(2 %)、嘔気 3 件(2 %)、食欲不振 3 件(2 %)等であった。 また、主な臨床検査値異常変動としては、CRP 上昇 12 %(15/126 例) 、尿中 β2 マイクログロブリン上昇 8 %(10/122 例) 、リンパ球減少 6 %(8/125 例) 、 好中球増加 5 %(6/120 例) 、白血球数上昇 5 %(6/125 例)等であった。 更に、本剤の投与により発現することが予想された合併症を「投与後合併 症」として別に集計したところ、126 例中 117 例(93 %)に認められた。主 な投与後合併症は、肛門部硬結 98 例(78 %)、肛門部疼痛 60 例(48 %)、 排便困難 26 例(21 %)等であった。 市販後の調査において、安全性評価対象例 3,519 例中 364 例(10 %)に副作 用が認められた。主な副作用は発熱 104 件(3 %)、血圧低下 74 件(2 %)、 及び肛門周囲痛 48 件(1 %)であった(再審査終了時)。 また、添付の希釈液は塩酸リドカインとして 0.5 %含有しており、リドカイ ンによる「重大な副作用」としてショック、痙攣、悪性高熱が報告されて いるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行 うこと。 9 〈解説〉 本剤の臨床試験及び使用成績調査において発現した副作用及び臨床検査値の 変動に基づき記載した。 なお、「発熱」の副作用については巻末に代表症例の概要を記載した。 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 ○副作用一覧(再審査終了時) 承認時 使用成績調査 合 計 126 3,519 3,645 副作用等の発現症例数 21 364 385 副作用等の発現件数 39 502 541 16.67 10.34 10.56 調査症例数 副作用等の発現症例率(%) 発現症例数・件数(%) 副作用等の種類 承認時 感染症および寄生虫症 肺炎 代謝および栄養障害 使用成績調査 合 計 − 1(0.03) 1(0.03) − 1(0.03) 1(0.03) 3(2.38) − 3(0.08) 食欲減退 3(2.38) − 3(0.08) 神経系障害 3(2.38) 味覚消失 浮動性めまい 頭痛 5(0.14) 8(0.22) − 1(0.03) 1(0.03) − 2(0.06) 2(0.05) 2(0.06) 5(0.14) 1(0.03) 1(0.03) 3(2.38) 意識消失 − 心臓障害 2(1.59) 23(0.65) 25(0.69) 徐脈 2(1.59) 21(0.60) 23(0.63) 頻脈 − 2(0.06) 2(0.05) 血管障害 − 4(0.11) 4(0.11) 低血圧 − 1(0.03) 1(0.03) リンパ浮腫 − 1(0.03) 1(0.03) ショック − 2(0.06) 2(0.05) 呼吸器、胸郭および縦隔障害 − 4(0.11) 4(0.11) 呼吸困難 − 1(0.03) 1(0.03) 低酸素症 − 1(0.03) 1(0.03) 呼吸不全 − 2(0.06) 2(0.05) 159(4.52) 167(4.58) 2(0.06) 2(0.05) 胃腸障害 8(6.35) 腹部不快感 − 腹痛 − 5(0.14) 5(0.14) 下腹部痛 − 16(0.45) 16(0.44) 裂肛 − 2(0.06) 2(0.05) 痔瘻 − 1(0.03) 1(0.03) 肛門狭窄 − 6(0.17) 6(0.16) 肛門潰瘍 − 5(0.14) 5(0.14) 肛門直腸潰瘍 − 1(0.03) 1(0.03) 虚血性大腸炎 − 1(0.03) 1(0.03) 便秘 − 1(0.03) 1(0.03) 便意切迫 − 3(0.09) 3(0.08) 下痢 2(1.59) 便失禁 − 10 3(0.09) 5(0.14) 3(0.09) 3(0.08) :発現症例数 :件数 発現症例数・件数(%) 副作用等の種類 承認時 排便回数増加 − 胃潰瘍 1(0.79) 使用成績調査 2(0.06) − 合 計 2(0.05) 1(0.03) 胃炎 − 1(0.03) 1(0.03) 消化管壊死 − 2(0.06) 2(0.05) 痔核 2(1.59) 12(0.34) 14(0.38) 悪心 3(2.38) 10(0.28) 13(0.36) 肛門周囲炎 − 10(0.28) 10(0.27) 肛門周囲痛 − 48(1.36) 48(1.32) 直腸狭窄 − 1(0.03) 1(0.03) 直腸潰瘍 − 16(0.45) 16(0.44) 嘔吐 − 5(0.14) 5(0.14) 肛門出血 − 14(0.40) 14(0.38) 排便障害 − 4(0.11) 4(0.11) 排便痛 − 2(0.06) 2(0.05) 消化管運動障害 − 2(0.06) 2(0.05) 肛門脱 − 2(0.06) 2(0.05) 肛門そう痒症 − 2(0.06) 2(0.05) 4(0.11) 5(0.14) 肛門直腸不快感 1(0.79) 肝胆道系障害 − 1(0.03) 1(0.03) 肝機能異常 − 1(0.03) 1(0.03) 4(0.11) 5(0.14) 皮膚および皮下組織障害 1(0.79) 薬疹 − 1(0.03) 1(0.03) 皮下出血 − 1(0.03) 1(0.03) 2(0.06) 3(0.08) 蕁麻疹 1(0.79) 筋骨格系および結合組織障害 筋骨格痛 腎および尿路障害 1(0.79) − 1(0.03) 1(0.79) − 1(0.03) 1(0.79) 排尿困難 − 血尿 1(0.79) 尿意切迫 − 頻尿 1(0.79) 多尿 1(0.79) 23(0.65) 24(0.66) 17(0.48) 17(0.47) 3(0.09) 4(0.11) 2(0.06) 2(0.05) 2(0.06) 3(0.08) − 1(0.03) 尿失禁 − 1(0.03) 1(0.03) 尿閉 − 2(0.06) 2(0.05) − 8(0.23) 8(0.22) 精巣上体炎 − 1(0.03) 1(0.03) 血精液症 − 5(0.14) 5(0.14) 前立腺炎 − 3(0.09) 3(0.08) 生殖系および乳房障害 :発現症例数 :件数 11 発現症例数・件数(%) 副作用等の種類 承認時 全身障害および投与局所様態 11(8.73) 胸部不快感 − 不快感 1(0.79) 異常感 − 熱感 1(0.79) 使用成績調査 合 計 145(4.12) 156(4.28) 2(0.06) 2(0.05) − 3(0.09) − 1(0.03) 3(0.08) 1(0.03) 注射部位びらん − 2(0.06) 2(0.05) 注射部位紅斑 − 1(0.03) 1(0.03) 注射部位血腫 − 1(0.03) 1(0.03) 注射部位出血 − 3(0.09) 3(0.08) 注射部位硬結 − 21(0.60) 21(0.58) 注射部位壊死 − 4(0.11) 4(0.11) 注射部位浮腫 − 5(0.14) 5(0.14) 注射部位疼痛 − 2(0.06) 2(0.05) 注射部位潰瘍 − 1(0.03) 1(0.03) 倦怠感 2(1.59) 発熱 9(7.14) − 2(0.05) 104(2.96) 113(3.10) 潰瘍 − 1(0.03) 1(0.03) 注射部位腫脹 − 3(0.09) 3(0.08) 滲出液 − 臨床検査 血圧低下 3(0.09) 3(0.08) 4(3.17) 76(2.16) 80(2.19) 4(3.17) 74(2.10) 78(2.14) 血圧上昇 − 1(0.03) 1(0.03) γ−グルタミルトランスフェラーゼ増加 − 1(0.03) 1(0.03) 心拍数減少 − 2(0.06) 2(0.05) 傷害、中毒および処置合併症 − 3(0.09) 3(0.08) 縫合断裂 − 1(0.03) 1(0.03) 処置後出血 − 1(0.03) 1(0.03) 術後尿閉 − 1(0.03) 1(0.03) MedDRA/J version 12.1 により集計した。 12 :発現症例数 :件数 ○臨床検査値異常発現頻度(承認時) 項 目 血 液 学 的 検 査 血 液 生 化 学 検 査 尿 検 査 件数/検査例数(%) 白血球数上昇 好中球増加 好酸球増加 単球増加 リンパ球減少 赤血球数低下 ヘモグロビン減少 プロトロンビン時間延長 PT(%)上昇 APTT 延長 アルブミン低下 A / G 比低下 6/125( 6/120( 4/125( 1/125( 8/125( 1/125( 1/125( 1/126( 1/126( 2/126( 1/126( 1/126( 5) 5) 3) 1) 6) 1) 1) 1) 1) 2) 1) 1) トリグリセライド上昇 総ビリルビン上昇 AST(GOT)上昇 ALT(GPT)上昇 LDH 上昇 ALP 上昇 γ-GTP 上昇 尿酸上昇 BUN 上昇・減少 血清カリウム上昇 CRP 上昇 1/126( 1) 4/126( 3) 4/126( 3) 4/126( 3) 1/126( 1) 2/126( 2) 3/126( 2) 2/126( 2) 2/126( 2) 1/126( 1) 15/126(12) 尿蛋白陽性 尿糖陽性 尿ウロビリノゲン上昇 尿潜血陽性 尿中 NAG *上昇 尿中β2マイクログロブリン上昇 1/126( 4/126( 1/126( 3/126( 4/122( 10/122( 1) 3) 1) 2) 3) 8) * NAG : N-acetyl-glucosaminidase 投与後合併症発現状況(承認時) 安全性解析対象症例数 126 投与後合併症発現症例数 117(93) 肛門部硬結 98(78) 肛門部出血 10( 8) 肛門部疼痛 60(48) 肛門部壊死 2( 2) 排便困難 26(21) 皮 垂 1) 排尿困難 20(16) 肛門部浮腫 19(15) 腰椎麻酔後頭痛 1)集計の分母: 111 例,2)集計の分母:腰椎麻酔症例(39 例)のみ 8( 7) 2) 9(23) (%) これら本剤投与後の合併症は「肛門部硬結」を除いて治療後早期に発現し、 一過性若しくは短期間で症状は消失している。肛門部硬結については 3 日後ま での発現が多いものの、治療後 2 週以上での発現症例もみられている。 (1)重大な副作用 1)血圧低下、徐脈(いずれも頻度不明):本剤の投与中あるいは投与後 に過度の血圧低下、徐脈があらわれることがあるので、本剤の投与に 際しては、常時、血圧及び心拍数を観察し、このような症状があらわ れた場合には適切な処置を行うこと。 (「重要な基本的注意」の項参照) 2)直腸潰瘍(頻度不明) :本剤の投与後に出血、肛門痛等を伴った直腸 潰瘍があらわれることがあるので、本剤投与後は定期的に観察を行い、 このような症状があらわれた場合には、抗生物質・痔疾用坐剤を投与 するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照) 3)直腸狭窄(頻度不明) :本剤の投与後に直腸狭窄があらわれることが あるので、本剤投与後は定期的に観察を行い、このような症状があら われた場合には、狭窄部の切開やブジー等の適切な処置を行うこと。 (「重要な基本的注意」の項参照) 13 〈解説〉 1)本剤投与との関連性が否定できない「血圧低下、徐脈」の症例が報告さ れていることから設定した。このような症状があらわれた場合に緊急に 対応するため、本剤投与に際しては、常時、血圧及び心拍数を観察する 必要がある。(「重要な基本的注意」の項(4)参照) 2)本剤投与との関連性が否定できない「直腸潰瘍」の症例が報告されてい ることから設定した。(「重要な基本的注意」の項(9)参照) 3)本剤投与との関連性が否定できない「直腸狭窄」の症例が報告されてい ることから設定した。(「重要な基本的注意」の項(5)− 6)、(9)参照) => 症例の概要 (2)その他の副作用 次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を 行うこと。 頻度 種類 血液 5 %以上 1 ∼ 5 %未満 蕁麻疹 尿中β 2 マイク ログロブリン上 昇 尿酸上昇、尿 糖陽性化、尿 潜血陽性化、 尿中 NAG 上昇 頻尿、血尿、多尿、 BUN 上昇・減少、 尿蛋白陽性化、尿 ウロビリノゲン上 昇、血清カリウム 上昇、尿閉注) 循環器 徐脈、血圧低 下 消化器 下痢、食欲不振、 不快感、胃潰瘍、下 嘔気 腹部痛注)、嘔吐注) 肝臓 総ビリルビン上 昇、AST(GOT) 上昇、ALT (GPT)上昇、 A L P 上 昇 、γ GTP 上昇 精神神経系 その他 頻度不明 リンパ球減少、 好 酸 球 増 加 、 単球増加、赤血球 好 中 球 増 加 、 APTT 延長 数低下、ヘモグロ 白血球数上昇 ビン減少、プロト ロンビン時間延長 皮膚・粘膜 腎・泌尿器 1 %未満 アルブミン低下、 A/G 比低下、トリ グリセライド上昇、 LDH 上昇 頭痛 発熱、CRP 上昇 全身閨怠(感)、 肛門不快感、頚肩痛、 肛門周囲膿 血 栓 形 成 性 痔 熱感、肛門浮腫 注)、 瘍 肛門周囲炎 注)、肛門 核 縁 腫 脹 注 )、肛 門 出 血注) 発現頻度は承認時までの臨床試験に基づき記載した。 注)承認時までに認められなかった副作用については、承認後の調査結果を含めて頻度を算出した。 〈解説〉 10 ページ参照のこと。 14 6.高齢者への投与 一般に高齢者では腎機能が低下していることが多いので、尿量が十分に確 保されていることに注意すること。 〈解説〉 本剤の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物由来のアルミニウム は腎臓より排泄され、一般に高齢者では腎機能が低下していることが多く、 尿量が確保できていない場合は、アルミニウムの排泄が遅延するおそれがあ るため設定した。 7.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔妊娠中 の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット) で胎児へのアルミニウムの移行が認められている。〕 (2)授乳中の婦人には投与しないこと。〔動物実験(ラット)で乳汁中への アルミニウムの移行が認められている。〕 〈解説〉 (1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、ラットを用いた 生殖発生毒性試験において十分な量を投与できず安全性を十分確認でき ていない。更に、ラットを用いた薬物動態試験の結果、移行性は低いも のの胎児へのアルミニウムの移行が認められている。これらのことから 設定した。 (2)ラットを用いた薬物動態試験の結果、アルミニウムの乳汁中への移行が 推定され、乳児におけるアルミニウムの経口摂取による安全性が確認で きていないことから設定した。 8.小児等への投与 小児等への安全性は確立していない。(使用経験がない。) 〈解説〉 臨床試験では小児等は対象でなく、使用経験がないことから設定した。 15 9.適用上の注意 (1)調製時: 1)本剤は添付の希釈液で調製後、速やかに使用すること。 2)細菌の汚染を避けるため、調製は投与直前に行い、使用後の残液は 再使用しないこと。 3)バイアルの液目盛り線は、薬液調製後の液面のおよその目安として 使用すること。 (2)薬液の調製方法: ジオン注無痛化剤付のバイアルのフリップオフキャップを外し、ゴム 栓表面をアルコール綿で清拭する。次いで、添付の希釈液 10 mL を注 射筒に採り、ゴム栓の中心部に注射針を垂直に刺入してバイアル内に 注入する。注入後、バイアルを軽く振盪し、均一に混和していること を確認した上で使用すること。 (3)投与時: 1)注射針刺入時、血液の逆流のないことを確かめること。 2)粘膜下へ刺入した際の筋層抵抗をつかみやすいよう、細くて弾力の ある注射針(長さ 4 cm 程度、太さ 25 G程度)を使用することが望 ましい。 〈解説〉 (1)調製時: 1)2)細菌汚染を避けるための注意事項を記載した。 3)本剤は添付の希釈液を用いて、2 %溶液に調製する必要があり、バ イアルに液面の目安を印したことから記載した。 (2)薬液の調整方法: 本剤は希釈液を用いて調製することから、調製方法を記載した。 (3)投与時: 本剤の投与手技は複雑であり、有効性及び安全性を確保するためには、 適切な場所に投与することが必要であり、そのための標準的な注射針 を記載した。 16 <薬液の調製方法> ジオン注無痛化剤付バイアル 希釈液(無痛化剤入り) ①添付の希釈液 10mL を注射筒に採る. ②ジオン注無痛化剤付バイアルのゴム栓の中心部に注 射針を垂直に刺入して①の希釈液 10mL を注入する. ③注入後、ジオン注無痛化剤付バイアルを軽く振盪し、 均一に混和する. ④ジオン注無痛化剤付バイアルから③で調製した薬液 を注射筒に採り、使用する. 17 10.重大な副作用の症例の概要 <血圧低下、徐脈> 患 者 1 日投与量 症 例 性・ 使用理由 投与期間 No. 年齢 [合併症等] (発現日) 男・ 肛門直腸 70 代 障害 [なし] 21mL 1 日間 (1 日目) 1 併用薬 血圧低下、徐脈 投与 28 分前: 手術室入室時、血圧 140/84。 仙骨硬膜外麻酔施行(2 %リドカイン 12mL)。 投 与 開 始 時 : 本剤投与開始(ジャックナイフ体位)、血圧 127/79。 投 与 5 分 後 : 嘔気、冷感出現。血圧 50/17、脈拍数 36。 塩酸エフェドリン 10mg 静注、硫酸アトロピン 0.5mg 静注。 投 与 9 分 後 : 本剤投与終了。血圧 124/79。ミルキング終了。 終 了 5 分 後 : 血圧 119/76。血圧改善し帰室。回復。 投与 28 分前 投与開始時 投与 5 分後 投与 9 分後 終了 5 分後 血圧(mmHg) 140/84 127/79 50/17 124/79 119/76 脈拍数(/分) 67 71 36 101 98 40mL 1 日間 (1 日目) 2 血圧低下、徐脈 投 与 4 分 前 : 腰椎麻酔施行(サドルブロック、塩酸ジブカイン・塩酸パラブチルアミノ安 息香酸ジエチルアミノエチル 1.0mL)。 投 与 開 始 時 : 本剤投与開始(ジャックナイフ体位)。 投 与 8 分 後 : 血圧 79/45、脈拍数 41。塩酸エフェドリン 20mg 静注、硫酸アトロピン 0.5mg 静注。 投与 17 分後: 本剤投与終了。 終了 1 時間後: 血圧、脈拍とも正常化した。回復。 投与前 投与 8 分後 投与 10 分後 投与 13 分後 投与 17 分後 終了 1 時間後 血圧(mmHg) 138/87 79/45 80/41 90/60 196/122 132/71 脈拍数(/分) 62 41 46 50 110 68 塩酸ジブカイン・塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル※、酢酸リンゲル液(ブドウ糖加)、維持液(6) 男・ 痔核 80 代 [なし] 3 経 過 及 び 処 置 リドカイン※、酢酸リンゲル 男・ 痔核 50 代 [なし] 併用薬 副 作 用 15mL 1 日間 (1 日目) 血圧低下 投与 15 分前: 局所麻酔施行(1 %リドカイン 10mL、塩酸リドカイン・エピネフリン(1) 10mL)。血圧 120/70。静脈路確保。乳酸リンゲル液 250mL × 2 本点滴静注。 投 与 開 始 時 : 本剤投与開始(シムス体位)。 投与 10 分後: 本剤投与終了。ミルキング実施。 終 了 5 分 後 : 血圧 58/34 に低下、生あくびがみられた。塩酸エフェドリン 8mg × 2 回静注、 コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム 100mg 静注。 終了 27 分後: 血圧 158/80 に上昇。 終了 45 分後: 血圧 128/80。回復。 血圧(mmHg) 併用薬 投与 15 分前 終了 5 分後 終了 27 分後 終了 45 分後 120/70 58/34 158/80 128/80 リドカイン※、塩酸リドカイン・エピネフリン(1)※、乳酸リンゲル液 ※併用被疑薬 18 <直腸潰瘍> 症 例 No. 副 作 用 患 者 1 日投与量 性・ 使用理由 投与回数 年齢 [合併症等](確認日) 女 70 代 1 併用薬 肛門直腸潰瘍、肛門周囲膿瘍、注射部位浮腫、肛門周囲痛、肛門不快感、注射部位硬結 内痔核 40mL 直腸粘膜脱 投与日 1回 :内痔核+直腸粘膜脱による脱出に対し硬化療法施行(入院にて腰椎麻 [過敏性腸 (13 日目) 酔下にて施行)。 3 日目 症候群、 :硬化療法後、肛門部に異和感を認めたが出血なく退院。 6 日目 肛門機能 :肛門管に硬化を触知、soiling 時々(+)、直腸肛門の感覚不良。 13 日目 障害(軽 :便意はある。排便時に肛門痛あり、シャワートイレがしみる。 34 日目 度)、高血 :肛門周囲と肛門管に知覚異常あり、しみる感じ。湿布でかぶれる。 52 日目 圧、C 型肝 :他院受診(入院中)。 55 日目 炎] :転院。絶食、疼痛コントロール開始。 57 日目 :MRI 検査。 66 日目 :肛囲膿瘍のドレナージ手術施行。その後も絶食、疼痛コントロール。 79 日目 :MRI 検査。 80 日目 :人工肛門造設(排便時、粘液流出時の疼痛の改善ないため)。 100 日目 :退院。指診では疼痛消失したが硬結は残る。 127 日目 :疼痛で来院、硬結は改善しているが、潰瘍はまだ残っている。 170 日目 :潰瘍は浅くなった。痛みはあるが、以前よりは軽快。 175 日目 :骨盤 MRI :膿瘍腔消失。 213 日目 :大腸内視鏡:直腸潰瘍は平坦化。scar、炎症性ポリープとなっている。 252 日目 :肛門内圧、エコーともに正常。 265 日目 :人工肛門を閉鎖。 281 日目 :退院。 303 日目 :肛門部もやわらかで排便時にも支障はない。痛みの訴え等、その他の 不具合の訴えもない。 塩酸ジブカイン・塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル 内痔核 男 40 代 [なし] 2 経 過 及 び 処 置 33mL 1回 (11 日目) 投与前日 投与日 2 日目 7 日目 11 日目 18 日目 33 日目 併用薬 直腸潰瘍 :全大腸内視鏡検査を施行したが問題なし。 :内痔核に対し、仙骨硬膜外麻酔下に本剤による硬化療法施行。 :夜より肛門痛を自覚。鎮痛薬連日使用。退院延期。 :退院。 :退院後も肛門痛あり外来受診。大腸内視鏡検査施行し、直腸潰瘍所見 を認めた。 :保存的治療を行い、外来にて大腸内視鏡検査の結果、改善傾向を認めた。 :肛門痛はほぼ消失。大腸内視鏡検査の結果、潰瘍の消失を認めた。 酢酸リンゲル、リドカイン 19 <直腸狭窄> 症 例 No. 患 者 副 作 用 1 日投与量 性・ 使用理由 投与回数 年齢 [合併症等](確認日) 男 内痔核 50 代 [なし] 20mL 1回 (25 日目) 経 過 及 び 処 置 直腸狭窄、潰瘍形成、粘膜浮腫、発赤、出血、下血、下痢 投与日 7 日目 24 日目 25 日目 40 日目 51 日目 1 53 日目 57 日目 67 日目 136 日目 137 日目 140 日目 163 日目 197 日目 221 日目 256 日目 併用薬 塩酸リドカイン・エピネフリン、リドカイン、ロキソプロフェンナトリウム 男 内痔核 70 代 [痔瘻切除] 35mL 1回 (2 日目) 直腸狭窄 投与日 2 日目 3 日目 2 43 日目 55 日目 併用薬 :投与前の診断:Ⅲ度の内痔核(3 ヶ所:前方 1 ヶ所・後方 2 ヶ所)。局所 麻酔下、右側臥位にて後方 2 ヶ所の痔核に本剤をそれぞれ 10 mL ずつ投 与(前方の 1 ヶ所は後日投与予定)。内痔核に対して、本剤投与による 内痔核硬化療法施行。 :患者から下血、下痢の症状があったとの連絡あり(来院なし)。 :肛門部痛軽快しないため、近医受診。下血を認めたため、入院。 :大腸内視鏡にて、AV より約 10 cm に全周性の粘膜浮腫、発赤、出血、 潰瘍形成を認めた。 :follow up CF にて同部位の全周性狭窄を認めた。Fiber は通過する程度 で、炎症所見は増悪傾向あり。 :CF にて同部位の狭窄は更に増悪し、ピンホール状となった。炎症所見 も増悪。 :転院。 :CF にて、51 日目の所見とほぼ変化なく、生検 7 ヶ所施行。全て group 1 の診断。骨盤 MRI にて、直腸壁の全周性壁肥厚及び狭窄を認めた。 :双孔式回腸人工肛門造設。 人工肛門造設以降、バルーンブジーにて狭窄部の拡張を試みる。 :直腸狭窄に対し内視鏡的ブジー施行。狭窄部が 15mm 程までは広がる。 :退院。 :イレウスにて入院。イレウス管挿入。 :イレウス解除術施行。 :内視鏡的ブジー施行。連日、用指的ブジー施行。 :人工肛門閉鎖術施行。 :退院。 :本剤投与。 :直腸狭窄出現。 :排便なく腹部膨満あり、グリセリン浣腸 120 mL 施行。翌月末までグリ セリン浣腸を毎日のように施行。直腸診断にて、硬結著明、示指挿入可。 硬結は徐々に硬化縮小するも、排便困難持続した。クエン酸モサプリド 3 錠、ジメチコン 3 錠、酪酸菌配合剤 3 錠、及び麻子仁丸エキス 1 包、ト リベノシド・リドカイン軟膏 4.8 g/分 2。 :指診上、硬結あるも狭窄改善。 :硬結そのまま、排便困難は改善中だが残存。 なし 20 11.その他の副作用の症例の概要 <発熱> 患 者 症 1 日投与量 例 性・ 使用理由 投与期間 No. 年齢 (合併症) 1 女・ 内痔核 20 代 36.5mL 1 日間 副 作 用 経過及び処置 発 熱 投 与 日 :内痔核に対し、本剤投与。 (終了日) 終 了 6 日 後 :10 : 00 36.7 ℃、咳、鼻汁あり。 15 : 00 37.0 ℃、咳、閨怠感あり。塩酸ホミノベン3 日分処方。 17 : 00 36.4 ℃、閨怠感あり。 21 : 00 退院。 終 了 9 日 後 :39.8 ∼ 40.0 ℃の発熱のため近医を受診。解熱剤により症状改 (発現日) 善。 終了 11 日後 :再度発熱のため当院受診。 12 : 00 入院。塩酸セフォチアム 1g 点滴静注(維持液(4) 1000mL)。ク−リング開始。 15 : 30 39.9 ℃、ケトプロフェン(1 管)及び塩酸リドカイン (1mL)投与。全身閨怠感あり。 16 : 30 38.5 ℃、発汗多量。 18 : 30 37.3 ℃。 21 : 00 37.8 ℃、体熱感あり。自覚症状なし。 23 : 30 38.0 ℃。 終了 12 日後 : 7 : 30 37.4 ℃。 10 : 00 37.0 ℃、閨怠感あり。時々頭痛と咳あり。食欲不振 あり。メトクロプラミド(2 管)点滴静注(維持液(4) 1000mL)。 18 : 00 37.7 ℃、頭痛あり。 21 : 00 36.5 ℃、頭痛消失。ケトプロフェン(1 管)及び塩酸 リドカイン(1mL)投与。 終了 13 日後 : 7 : 00 35.8 ℃。 9 : 00 36.3 ℃、メトクロプラミド(2 管)点滴静注(維持液 (4)1000mL)。 15 : 00 36.8 ℃、食欲あり。 16 : 00 入浴及び翌日の診察後の退院を許可する。 終了 14 日後 : 7 : 40 両肩から頚部にかけて痛みあり。フルルビプロフェ ン 2 枚貼付。 19 : 00 退院。 併用薬:カルメロースナトリウム、酸化マグネシウム、パンテチン、塩化ベタネコール、ピコスルファート ナトリウム、塩酸ホミノベン 21 日本標準商品分類番号 **2011年11月改訂 (第10版) D12 *2010年1月改訂 貯 法:室温保存 使用期限:外箱及びラベルに表示の 使用期限内に使用すること ** 872559 承 認 番 号 21600AMZ00516 薬 価 収 載 2005年3月 販 売 開 始 2005年3月 再審査結果 2011年9月 希釈液:10mL中 無痛化剤としてリ ドカイン43.27mg (塩酸リ ドカインとして50mg,0.5%) を含有する 注) 注意−医師等の処方せんにより使用すること 【禁忌】 (次の患者又は部位には投与しないこと) 1. 次の患者には投与しないこと (1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 (「妊婦, 産婦, 授乳婦等への投与」 の項参照) (2) 授乳中の婦人 (「妊婦, 産婦, 授乳婦等への投与」 の項参照) (3) 透析療法を受けている患者 〔使用経験がない. アルミニウムの排泄が極端に遅延するおそれがある. 〕 かんとん (4) 嵌頓痔核を伴う患者 〔症状を悪化させることがある. 〕 (5) リ ドカイン等のアミ ド型局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者 〔添付の希釈液はリ ドカインを 含有している. 〕 2. 次の部位には投与しないこと 直腸下部の粘膜下以外の部位 〔壊死等の症状があらわれることがある.〕 【組成・性状】 本品1バイアルには, 希釈液1バイアルが添付されている. 本品は, 添付希釈液 (無痛化剤としてリ ドカインを含む) で希釈し, 硫酸アルミニウムカリウム水和物として2 %溶液に調製して使用する. 希釈液(1バイアル10mL中) ジオン注無痛化剤付(1バイアル※10mL中) 無痛化剤 日局 リドカイン 43.27mg 有効成分 日局 硫酸アルミニウムカリウム水和物 400mg(4w/v%) タンニン酸 14mg(0.14w/v%) リン酸水素ナトリウム水和物 10.00mg クエン酸ナトリウム水和物 150mg 塩化ナトリウム 72.00mg デキストラン40 70mg パラオキシ安息香酸メチル 5.00mg 添加物 添加物 グリセリン 1000mg パラオキシ安息香酸ブチル 0.50mg 亜硫酸水素ナトリウム 15mg 塩酸 0.022mL 性 状 微黄色∼淡黄色澄明の液でわずかに粘性がある 水酸化ナトリウム 適量 2.2∼2.9 pH 無色澄明の液 性 状 ※20mLバイアルに充てんされている pH 5.0∼7.0 調製後の性状(本品1バイアルに希釈液10mLを加え て硫酸アルミニウムカリウム水 和物として2%溶液に 調製) 外 観 pH 浸透圧比 無色∼淡黄色澄明の液 約3 約3 (生理食塩液に対する比) 【効能・効果】 脱出を伴う内痔核 【用法・用量】 本剤の投与に先立ち, 局所麻酔により肛門括約筋を弛緩させる. 用時, ジオン注無痛化剤付1バイアル (10mL) に添付の希釈液10mLを加えて20mLとし, 硫酸アルミニウ ムカリウム水和物として2%溶液に調製する. 通常, 成人には, 1つの主痔核あたり2%溶液として9∼13mLを分割して粘膜下に投与する. なお, 投与量は患者の病態により適宜増減することとし, 1回の治療あたりの総投与量は2%溶液として 60mL以内とする. <用法・用量に関連する使用上の注意> (1) 本剤の投与に先立ち, 痔核を十分に観察するための前処置として, 肛門周囲への局所麻酔を施 行し, 肛門括約筋を弛緩させること. (2) 輸液点滴を行い, 静脈路を確保するとともに利尿を図ること. (3) 本剤は, 硫酸アルミニウムカリウム水和物として4%溶液のまま使用せず, 用時, 添付の希釈液を用 いて, 必ず2%溶液に調製後, 使用すること. (4) 主痔核に投与する際には, 以下の標準的投与量を参考に, 投与手技に注意しながら投与すること. <標準的投与量> 痔核上極部の粘膜下層:3mL 痔核中央部の粘膜下層:2∼4mL 痔核中央部の粘膜固有層:1∼2mL 痔核下極部の粘膜下層:3∼4mL <投与手技 (四段階注射法) > 上直腸動脈 ①痔核上極部の粘膜下層への投与: 痔核上極部の上直腸動脈の拍動部 (時として拍動が ①痔核上極部粘膜下層 1 触れないことがある) に注射針を刺入し, 粘膜下層深部に ②痔核中央部粘膜下層 3 2mLを投与する. その後, 針先を手元に引きながら 2 1mLを投与する. 投与後は, 粘膜表面がやや ③痔核中央部粘膜固有層 4 白っぽくなる. 歯状線 ②痔核中央部の粘膜下層への投与: 主痔核の中央部に注射針を刺入し, 粘膜下層深部に 痔核体積に1mLを加えた量を標準として投与する. ④痔核下極部粘膜下層 ③痔核中央部の粘膜固有層への投与: 「②痔核中央部の粘膜下層への投与」後, 針先を少し手元に引いて粘膜固有層へ1∼2mLを投 与する. 投与量が適当であれば粘膜の表面がやや隆起する. ④痔核下極部の粘膜下層への投与: 痔核の下極部 (歯状線の上0. 1∼0. 2cmの部位) へ注射針を刺入し, 粘膜下層深部に2∼3mL投 与する. その後, 針先を手元に引きながら1mLを投与する. (5) 主痔核の体積が1cm3以下の場合, 及び副痔核に投与する場合には, 痔核上極部及び痔核下極 部への投与は行わないこと. (6) 筋層内には投与しないこと. 誤って筋層内に刺入した場合には, 針先を一度戻し, 改めて刺入してか ら投与すること. (7) 膀胱刺激症状に十分注意し, 前立腺及び腟壁には投与しないように注意すること. * (8)歯状線より下方への投与や, 薬液が歯状線下に浸潤することにより, 嵌頓痔核や肛門部疼痛があ らわれるおそれがあるので注意すること. (9) 全ての痔核への投与を行った後, 過度の炎症を予防し, 効果を十分に得るため, 手指で投与部位全 体を十分にマッサージし, 薬液を分散させること. 十分に行い, 抗生物質を投与するなど適切な処置を行うこと. 痔核全体が壊死した場合, 手術等の 適切な処置を行うこと. 〕 肛門部疼痛 〔歯状線及び肛門管皮下に投与した場合, 又は肛門管皮下に薬液が浸 * 3)嵌頓痔核, 潤した場合に発生する. このような場合には, 坐浴や消炎鎮痛剤の投与等の適切な処置を行うこ と. また, 嵌頓痔核が回復しない場合には手術等の適切な処置を行うこと. 〕 4) 硬結 〔投与量の過多, 又は投与後に十分にマッサージせず痔核の一部に薬液が集中した場合に 発生する. なお, 痔核中央部の粘膜固有層への投与量が多く, 粘膜下層への投与量が少なかった 場合にも発生する. 通常は自然に吸収され, 肛門機能に影響を残さないが, 硬結が著しく排便障害 等が認められる場合には, 観察を十分に行い, 手術等の適切な処置を行うこと. 〕 5) 直腸筋層壊死 〔針先が直腸の筋層まで達し, 投与量が多い場合に発生する. このような場合には, 観察を十分に行い, 消炎鎮痛剤及び抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと. 〕 6) 直腸狭窄 〔多くは痔核上極部の粘膜下層への投与量過多の場合に発生する. なお, 痔核中央部 の粘膜下層への投与の際, 痔核上極部の粘膜下層に薬液が誤って注入された場合にも投与量 過多となり発生する. このような場合には, 観察を十分に行い, 狭窄部の切開やブジー等の適切な 処置を行うこと. 〕 (「重大な副作用」 の項参照) (6) 本剤投与後, 少なくとも前処置の麻酔の影響がなくなるまで, 医師の監督下で患者の全身状態の観察 を十分に行うこと. (7) 本剤の有効成分である硫酸アルミニウムカリウム水和物に由来するアルミニウムは, 主に腎臓から排泄 されるため, 重篤な腎機能障害のある患者においては, 尿量が十分に確保できることを確認してから投 与すること. (8) 本剤投与2週間後までに一過性の発熱があらわれることがあるので, このような場合には, 観察を十分 に行い, 解熱鎮痛薬を投与するなど適切な処置を行うこと. (9) 本剤による治療後に重篤な直腸潰瘍や直腸狭窄等が発生する可能性があるので, 治療後は定期的 に経過観察を行うこと. また, 投与に際しては, 患者に対して本剤の副作用等について十分な説明を行 うとともに, 出血, 肛門痛等の異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するように注意を与 えること. (10) 添付の希釈液は, 塩酸リ ドカインとして0. 5%含有する. リ ドカインはショックあるいは中毒症状を起こすこ とがあるので, 投与に際しては, 十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに, 異常が認めら れた場合には, 直ちに救急処置のとれるように, 常時準備しておくこと. (11) 塩酸リ ドカインの基準最高用量は, 通常, 成人1回200mg (0.5%の場合, 40mL) であることに注意する こと. (12) 添付の希釈液は, ジオン注無痛化剤付の希釈以外の用途に使用しないこと. 3. 副作用 国内の臨床試験において, 安全性評価対象例126例中21例 (17%) 39件に副作用が認められた. 主な 副作用は発熱9件 (7%) , 血圧低下4件 (3%) , 頭痛3件 (2%) , 嘔気3件 (2%) , 食欲不振3件 (2%) 等であ った. また, 主な臨床検査値異常変動としては, CRP上昇12% (15/126例) , 尿中β2マイクログロブリン上昇 8% (10/122例) , リンパ球減少6% (8/125例) , 好中球増加5% (6/120例) , 白血球数上昇5% (6/125例) 等であった. 更に, 本剤の投与により発現することが予想された合併症を 「投与後合併症」 として別に集計したところ, 126例中117例 (93%) に認められた. 主な投与後合併症は, 肛門部硬結98例 (78%) , 肛門部疼痛60例 (48%) , 排便困難26例 (21%) 等であった. ** 市販後の調査において, 安全性評価対象例3,519例中364例 (10%) に副作用が認められた. 主な副作 用は発熱104件 (3%) , 血圧低下74件 (2%) , 及び肛門周囲痛48件 (1%) であった (再審査終了時) . また, 添付の希釈液は塩酸リ ドカインとして0. 5%含有しており, リ ドカインによる 「重大な副作用」 としてショッ ク, 痙攣, 悪性高熱が報告されているので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には適切な処置を 行うこと. (1) 重大な副作用 1) 血圧低下, 徐脈 (いずれも頻度不明) :本剤の投与中あるいは投与後に過度の血圧低下, 徐脈が あらわれることがあるので, 本剤の投与に際しては, 常時, 血圧及び心拍数を観察し, このような症状 があらわれた場合には適切な処置を行うこと. (「重要な基本的注意」 の項参照) 2) 直腸潰瘍 (頻度不明) :本剤の投与後に出血, 肛門痛等を伴った直腸潰瘍があらわれることがあ るので, 本剤投与後は定期的に観察を行い, このような症状があらわれた場合には, 抗生物質・痔 疾用坐剤を投与するなど適切な処置を行うこと. (「重要な基本的注意の項参照) 3) 直腸狭窄 (頻度不明) :本剤の投与後に直腸狭窄があらわれることがあるので, 本剤投与後は定 期的に観察を行い, このような症状があらわれた場合には, 狭窄部の切開やブジー等の適切な処 置を行うこと. (「重要な基本的注意」 の項参照) (2) その他の副作用 次のような副作用があらわれた場合には, 症状に応じて適切な処置を行うこと. 種類 頻度 血液 5%以上 0.1∼5%未満 リンパ球減少, 好 好酸球増加, APTT延長 中 球 増 加 ,白 血 球数上昇 皮膚・粘膜 1%未満 頻度不明 単球増加, 赤血球数低下, ヘモグ ロビン減少, プロトロンビン時間延長 蕁麻疹 ** 腎・泌尿器 尿中β2マイクログ 尿酸上昇, 尿糖陽性化, 尿潜 頻尿, 血尿, 多尿, BUN上昇・減少, ロブリン上昇 血陽性化, 尿中NAG上昇 尿蛋白陽性化, 尿ウロビリノゲン上 昇, 血清カリウム上昇,尿閉注) 循環器 徐脈, 血圧低下 ** 消化器 肝臓 精神神経系 発熱, CRP上昇 ** その他 下痢, 食欲不振, 嘔気 不快感, 胃潰瘍,下腹部痛注), 嘔吐注) 総ビリルビン 上 昇 ,A S T アルブミン低下, A/G比低下, トリグ (GOT)上昇, ALT(GPT)上 リセライド上昇, LDH上昇 昇, ALP上昇, γ-GTP上昇 頭痛 頚肩痛, 熱感, 肛門 肛門周囲膿瘍 全身 怠(感), 血栓形成性 肛門不快感, 浮腫注), 肛門周囲炎注), 肛門縁腫 痔核 脹注), 肛門出血注) 【使用上の注意】 ** 発現頻度は承認時までの臨床試験に基づき記載した. 1. 慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること) ** 注)承認時までに認められなかった副作用については, 承認後の調査結果を含めて頻度を算出した. (1) 腎障害のある患者 〔アルミニウムの排泄が遅延するおそれがあるので, 尿量を十分に確保すること. 〕 (2) 高齢者又は全身状態が不良の患者 〔希釈液にリ ドカインが含まれており, 生理機能の低下により麻酔 4. 高齢者への投与 に対する忍容性が低下していることがある. 〕 一般に高齢者では腎機能が低下していることが多いので, 尿量が十分に確保されていることに注意する (3) 心刺激伝導障害のある患者 〔希釈液に含まれるリ ドカインが症状を悪化させるおそれがある. 〕 こと. (4) 重症の肝機能障害又は腎機能障害のある患者 〔希釈液に含まれるリ ドカインの中毒症状が発現しや 5. 妊婦, 産婦, 授乳婦等への投与 すくなるおそれがある. 〕 (1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと. 〔妊娠中の投与に関する安全性は確 *(5) 前立腺癌等の放射線治療歴のある患者 〔前立腺癌の放射線治療後, 本剤の投与により, 出血を伴っ 立していない. また, 動物実験 (ラッ ト) で胎児へのアルミニウムの移行が認められている. 〕 た直腸潰瘍を発現した症例がある. 〕 (2) 授乳中の婦人には投与しないこと. 〔動物実験 (ラッ ト) で乳汁中へのアルミニウムの移行が認められて 2. 重要な基本的注意 いる. 〕 (1) 本剤の投与は, 痔疾治療に精通し, 本剤を用いた手技を理解した医師が四段階注射法を遵守して 6. 小児等への投与 行うこと. 小児等への安全性は確立していない. (使用経験がない. ) (2) 本剤は組織傷害性があることから, 適切な場所に適量投与されなかった場合や原液を投与した場合, 7. 適用上の注意 直腸筋層壊死, 直腸狭窄等が発生する可能性があるので十分に注意すること. (1) 調製時: (3) 本剤は痔核を十分に露出させて観察するための前処置として, 局所麻酔の施行を選択する場合に 1) 本剤は添付の希釈液で調製後, 速やかに使用すること. 使用すること. 前処置として腰椎麻酔あるいは仙骨硬膜外麻酔を選択する場合には, ジオン注生食 2) 細菌の汚染を避けるため, 調製は投与直前に行い, 使用後の残液は再使用しないこと. 液付を使用すること. 3) バイアルの液目盛り線は, 薬液調製後の液面のおよその目安として使用すること. (4) 本剤の投与中あるいは投与後に過度の血圧低下, 徐脈があらわれることがあるので, 本剤の投与に際 (2) 薬液の調製方法: しては, 常時, 直ちに適切な救急処置のとれる準備をしておくとともに, 予め静脈路の確保を行うこと. ジオン注無痛化剤付のバイアルのフリップオフキャップを外し, ゴム栓表面をアルコール綿で清拭する. (「重大な副作用」 の項参照) 次いで, 添付の希釈液10mLを注射筒に採り, ゴム栓の中心部に注射針を垂直に刺入してバイアル内 (5) 本剤の投与手技上, 以下の事象が発生する可能性があるので十分に注意すること. (「用法・用量に に注入する. 注入後, バイアルを軽く振盪し, 均一に混和していることを確認した上で使用すること. 関連する使用上の注意」 の項参照) (3) 投与時: 1) 前立腺炎, 副睾丸炎, 睾丸炎, 血精液症 〔男性の前側の痔核に注射する際, 直腸壁全層を注射針 1) 注射針刺入時, 血液の逆流のないことを確かめること. が穿通し, 前立腺・精嚢とその近傍に刺入・注射した場合に発生する. このような場合には, 観察を 2) 粘膜下へ刺入した際の筋層抵抗をつかみやすいよう, 細くて弾力のある注射針 (長さ4cm程度, 太さ 十分に行い, 導尿, 抗生物質の投与等の適切な処置を行うこと. 〕 25G程度) を使用することが望ましい. 2) 痔核壊死 〔痔核中央部への投与において, 投与部位が浅い場合, 又は投与量が多く投与部位を 【包 装】 十分にマッサージせず薬液が均一に分散しなかった場合に発生する. このような場合には, 観察を ジオン注無痛化剤付:10mL 1バイアル 希釈液 10mL 1バイアル添付 ● ● 詳細は添付文書等をご参照ください。 禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意ください。 2011年11月作成
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