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事例発表 5-7
塩害等により腐食した鉄筋の力学的特性に関する 研究
村上祐貴(長岡高専環境都市工学科)
キーワード塩害,鉄筋腐食,降伏応力,引張強度
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1 はじめに
鉄筋コンクリート構造物は鉄筋とコンクリートが一
体となり外力に対して抵抗する構造体である。 中性化
。
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o
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町
凹
や境害などに起因して鉄筋の一部が酸素と結合して錆
が生成されるが,この錆の部分は非常に脆く力を負担
o !健政結果(腐食率四)
・
b
実験結果{腐食率21
.3%)
ー
ー
ー ー僻価弐 〈
康食率0
則
1
0
0
できない。すなわち,構造材として鉄筋の有意な部分
は非腐食部であり,この領域は腐食が進むにつれて減
少することとなり,耐荷性能の低下につながる。
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1一一ー 線価弐{腐食率引,.)
0・
一
一
一
一
一
一
一
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1
2
1
5
E(
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図
一方,鉄筋腐食によって構造材として有意な鉄筋量
は減少することとなるが,鉄筋の降伏応力,引張強度
および弾性係数などの力学的特性は,本来変化するこ
とはない。 しかしながら,鉄筋腐食は断面内において
1 腐食鉄筋の応力 ひずみ関係
は,腐食の偏りや孔食の影響により低下するが,その
低下の程度は,鉄筋の材料劣化は鉄筋径や腐食環境に
同心円上には発生せず,偏りを有するとともに鉄筋表
よって相違するものと考えられる。そこで,既往の研
究において報告された本実験と異なる鉄筋径や腐食環
面に孔食が発生することにより,腐食鉄筋では,荷重
が均等に作用しないことに加えて応力集中が発生し,
鉄筋の力学的性能が低下することが考えられる。 この
境において実施された腐食鉄筋の引張試験結果を整理
し,以下に示す腐食鉄筋の力学的構成則モデ、ノレを構築
した。
ような腐食鉄筋の力学的特性の低下は RC構造物の耐
恒
荷性能に影響を及ぼすことから,腐食鉄筋の力学的特
性を定量的に評価することは重要な位置づけにある。
e:
5c
r
y
E
J
(
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'=ん
,, 1
σ=Ef
.
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y<E豆 &"
そこで本研究では腐食鉄筋の引張試験を実施し,腐
食鉄筋の力学的特性モデノレの構築を行った。
σ=!cYd
.e>8s^
σ =1
1-EXP((ら
0" +(
2 実験概要
&
)1k
)
)
(
ん
んJ
ん"=(
1
.0-3.04exp(-0.42D)・α)
ル (10壬 D 三 16)
ん =(
1
.0-1.l2exp(-0.35D)・α)λ(10壬 D s16)
鉄筋 (
D16SD2
95A) の引張試験は J
I
SZ2241に基づ
いて実施した。載荷試験終了後,鉄筋を 1
0%濃度のク
エン酸二アンモニウム溶液に 24時間浸演させ,腐食生
ら =1
2700x1
0<α
( 壬 10%)
叶
“
(α>1
0%)
ら =0
.
4
α
成物を除去した後に質量を計測し,腐食前後の質量減
少率(以下腐食率)を算出した。実験パラメータは鉄
k=
0
.
0
3
2
(
4
0
0
1んd)
"
3
筋の腐食率であり,目標腐食率は 0%,1
0% ,20%およ
ここで, σ 鉄筋応力, ε 鉄筋ひずみ,E 鉄筋の弾
び 30% の 4水準とした。鉄筋の腐食手法としては電食
試験法を採用した。
性係数,んd 腐食鉄筋の降伏応力 ,J;~ 非腐食鉄筋の
降伏応力,ん腐食鉄筋の引張強度 .f
u 非腐食鉄筋
の引張強度,D 鉄筋径, α 腐食率(%), ε
:
s
h ひずみ
硬化開始時点の鉄筋ひずみである。
図ー 1に本評価モデノレの適用例を示す。本評価モデ
3
. 実験結果概要および評価モデル概要
図 -1 に鉄筋の応力 ひずみ関係の一例を示す。 な
お,鉄筋ひずみは,鉄筋にひずみゲージを貼付け測定
した。鉄筋の応力を算出する際に用いた断面積は腐食
後の断面積である。 いずれの腐食レベノレにおいても鉄
筋は降伏し,ひずみ硬化も確認されたが,ひずみ硬化
開始時点のひずみは腐食率の増加に伴い,小さくなっ
た。 これは腐食率が大きいほど孔食深さも増し,応力
集中がより顕著に生じたためであると考えられる。
腐食鉄筋の降伏応力や引張強度といった力学的特性
ノレは腐食の有無によらず,実験値と比較的良好な一致
を示しており,その妥当性が確認できる。 なお,現状
のモデルでは腐食鉄筋の破断点を評価するこ とができ
ず,今後の課題としたい。
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氏名村上祐寅
連絡先電話番号
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7
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