平成 20 年度事業計画書 平成 18 年の所有土地売却を契機に、当協会は組織の構成を大幅に変革、今後、 経済を理由に寄付行為の遂行に支障がないような措置を講じた。 その新たな 編成から二年目、今年度は事業の数よりも、質と内容を重視、従来から経験を 積んで来た演劇教育事業を主眼に据えた。 演劇教育事業の質的向上は、即コスト高につながる為、利益追求の一般会社に おいては手を出したがらない分野であるが、この公益的性格の強い事業こそ、 当協会の寄付行為中の本命、最重要課題として向後に備えるつもりである。 助成、寄付等の多くを望めない現況下では、年間収支のバランスを取る事が、 当分の間、容易でないと予想されるが、収益性のある事業の研究と開発も怠り なく続ける所存である。 1)国際演劇交流による演劇講座の開催 「英国王立演劇アカデミー特別セミナー‘RADA イン東京 2008’」 当協会は創立時より演劇による国際交流を実践して来たが、平成 5 年より 英国王立演劇アカデミー(RADA)より講師を招聘し、集中ワークショップを 開催している。本年度は、内容を、一層、深化、拡充させ、RADA のシス テム化された講座を、受講者は体験する事となる。 <日 程> 7 月 21 日~7 月 26 日(10:00~16:00 6日間);アマチュア俳優コース及び 演劇指導者コース 7 月 28 日~8 月 9 日(10:00~16:00 日曜を除く 12 日間);俳優コース <会 場> 東京都豊島区池袋 3-30-8「みらい館大明」内 現代演劇協会 稽古場 <講座内容> ○アマチュア俳優コース RADA の俳優教育システムの基礎であるアレグザンダー・テクニックを体験習得、 演技の基礎をゲーム感覚で学ぶエクササイズやインプロヴァイゼイション。 講師:ニコラス・バーター(演技指導) イラン・レイシェル(ムーブメント指導) ○演劇指導者コース RADA の俳優教育システムの基礎である、アレグザンダー・テクニックを体験習得、 演技の基礎をゲーム感覚で学ぶエクササイズやインプロヴァイゼーション、戯曲を使って のシーンワーク等を学びながら、それらの指導法を習得。 講師:ニコラス・バーター(演技指導) イラン・レイシェル(ムーブメント指導) ○俳優コース(RADA ワークショップの経験者クラスと未経験者クラスの 2クラス) 経験者クラス/ムーブメント、ボイストレイニングの訓練、戯曲を使いリハーサル形式 の演技指導 未経験者クラス/ムーブメント、ボイストレイニングの基礎訓練、エクササイズ、及び、戯曲 を使っての応用訓練 講師:ニコラス・バーター(演技指導) イラン・レイシェル(ムーブメント指導) バーディ・トーマス(ボイストレイニング) <参加条件> ○アマチュア俳優コース:アマチュア劇団俳優、演劇専門学校・専攻学生 及び高校演劇部生徒 ○演劇指導者コース :演劇指導者及び教育者 ○俳優コース :国内でプロとして活動している俳優 *RADA(Royal Academy of Dramatic Art)/1904 年、ロンドンに創立され た演劇学校で、セントラル演劇学校、ギルドホール演劇学校などと並ぶ、 英国で最も歴史と権威のある演劇学校の一つ。 2)協会主催による演劇公演他の開催 (A)「白鳥の歌(一幕)」の公演 作 :アントン・チェーホフ 訳:米川正夫 日程:11 月 19 日~23 日 5 回公演 会場:池袋 シアター・グリーン 料金:3,500 円(予価) 演出:福田 逸 老役者二人が登場するチェーホフの名作に、劇団昴の重鎮‘西本裕行’と 以前劇団昴に所属していた盟友‘西沢利明’が、小劇場の濃密な空間で、 重厚で、且つ、軽快な役作りに挑む。 (B)「美しい日本語を目指す朗読会」の開催 日本語の乱れを指摘する声は喧しいが、何をもって糺すかは意見の分かれる ところである。演劇事業を営む当協会としては、俳優が話す‘美しい語り 言葉’をもって、実技の面から聴き手を説得しようというのが、本企画の 狙いである。 俳優生活 60 年の経験を有する久米明が、明治以降の名著の朗読をライブ 公演の型で全国的な展開を試みる。 作品は、現代文学の中でも今や<古典>となりつつある幸田露伴、泉鏡花、 尾崎紅葉、国木田独歩、田山花袋、森鴎外、夏目漱石等々の著書を取り上げ るが、これら世代の著書を若い俳優は読みこなす事が難しくなっている現状 を鑑み、あえて久米明を起用する所以である。 タイトル: 「久米 明~朗読の夕べ」 語り手 : 久米 明(劇団昴) 日 程 : 2008 年 5 月 20 日(火) 会 場 : 池袋 イーストステージ 対 象 : 一般 料 金 : 3,000 円(予価) この東京会場を基本パターンとして各府県の近代文学館に呼びかけ、全国に このユニークな朗読会を浸透させるべく、先ず、本年度は5会場を計画して いる。 3)劇団昴による演劇公演の開催 以下の二演目は、本来、当協会が主催すべき処を、経済的リスクを避ける 目的で助成公演とした。採択の基準は、あく迄も、当協会の寄付行為の 範囲内で、且つ、当協会の許可する作品内容と云う条件下で、本年度は 「ジュリアス・シーザー」と「修道女」の二本を、劇団昴に付託した。 (A)「ジュリアス・シーザー」 作 :ウイリアム・シェイクスピア 訳:福田恆存 演出:ニコラス・バーター 日程:6 月 19 日~6 月 29 日 13 回公演 会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) (B)「修道女」 作:ドニ・ディドロ 脚色:マーガレット&ジュリアン・ホーサイス 演出:村田元史 日程:10 月 12 日~10 月 26 日 18 回公演 会場:大山 サイスタジオ 4)「福田恆存戯曲集」の刊行 当協会の創設者である福田恆存の戯曲は、全集等に一部含まれているもの の、現在、ほぼ入手困難であり、未刊行の戯曲を含めて全作品を俯瞰、 収載作品を選択、順次刊行して行く。本年度中に第一集刊行を予定。 以 上
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