発行日 H19.6.5 発行者 小角幸人 4号 リン値が下がらない! (チェックポイント) リンが多く含まれる食品・食材ばかりに気をとられてい ・無尿の透析患者の場合、リン除去は血液透析1回当た ませんか?充分な量のリン吸着剤を服用しているにもか り通常1,000mgの透析液への排泄と約400mg/日の かわらず血清リン濃度が高い場合には、生の肉や魚な 便中への排泄により行われることを認識していますか? どを手間をかけて調理するのではなく、安易にハムやソ ・一般にたんぱく質10gを摂取するとリンの摂取量は13 ーセージなどの加工食品を使用している可能性がありま 0mgになることを認識していますか? す。タンパク質の摂取量が多くなるとリンの摂取量も多く ・1日のリン摂取量(800mg以下)を認識していますか? なることを忘れないで下さい。通常、タンパク質の摂取量 因みに、健常人が食べる一般的な食事には、1日あたり とリンの摂取量は共に変化し、タンパク質 1gにリンは 1〜 1000∼1200mgのリンが含まれています。 1.5%含まれています。特に肉や赤身魚などの動物性タ ・リン吸着剤は、量が少なくないですか?食直前もしくは ンパク質 1gには約 2%のリンが含まれています。また、食 食事中に服用していますか? 品添加物として多くの食品にリン酸化合物が含まれてい ・透析中に食事をする場合でも、リン吸着剤を忘れずに ます。食品化合物にも気をつけてください。 服用していますか?(特にリンが高い場合) まず、食事のタンパク質制限を実行しましょう。成人の ・ リンを多く含む食品(乳製品、かまぼこ等の加工食品、 1日の適正タンパク質摂取量(所要量 g)は適正体重 小麦粉を使ったパンやお菓子等)を多く摂取していませ (kg) X 1.2 とします。(体重 50kg では 60g となる)さらに んか?同じたんぱく質を摂取するのでも、加工食品を食 加工食品やスナック菓子は避けましょう。リンを多く含む べてしまうと、リンが多くなってしまいます。 食品にはチーズ・レバー・わかさぎなどがあります。 ・外食は多くないですか? リンコントロールの基本 ・ 副甲状腺ホルモン(PTH)のデータと併せ、活性型ビ リンコントロールの基本は、過剰な蛋白質摂取を慎む タミンD製剤の種類と量は問題ありませんか?(経口薬と ことが第一の方法であり、次に食品選択、薬物療法との 静注薬ともCaだけでなくリンも高くしてしまうので、基本 兼ね合いを考慮することです。リンをコントロールするた 的に血清リン数値5.5mg/dl以下に維持されているとき めのステップを次に紹介しておきましょう。 にのみ活性型ビタミンD製剤は使用可能です。 ●ステップ1<基本> ・リンを抜くために充分な透析量を確保することも大変大 ・蛋白質摂取量を適正に(1.0∼1.2g/kg/day) 事なことです。リン除去の観点からも、自分の身体がつ 食べ過ぎに注意=蛋白質1gのリン含有量は12∼16 いてこられる限り、透析効率を追及し透析量を上げよう。 mg、さらに大雑把に蛋白質10gのリン含有量は130mg ・高リン血症が今後、どのような合併症を引き起こすかの 程度 認識をしていますか?(骨病変、皮膚掻痒症、血管石灰 ・リン吸着剤の服用を忘れずに(食事中、ないし「塩酸 セベラマー」は食直前に服用) ●ステップ2<基本の次に注意すること> 化、副甲状腺機能亢進症等) ・ 副甲状腺機能亢進症に伴い副甲状腺ホルモン(PT H)が高いままですと、骨からカルシウムだけでなく、リン ・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ等)を摂り過ぎない も溶け出して、血清リン数値も高くなってきます。内科的 ・レバー、卵類(鶏卵・いくら等)を摂り過ぎない 治療(活性型ビタミン製剤による治療等)に抵抗する「高 《血清リン値の目安》 PTH血症(intact-PTH>500pg/ml)が持続し、「高C ①5.0mg/dl以上・・・・・・・注意(高P血症) a血症(補正 Ca>10.0mg/dl)」、または「高P血症 ②2.5∼5.0mg/dl未満・・・良好 (P>6.0mg/dl)」が存在する場合は、副甲状腺インタ ③2.5mg/dl以下・・・・・・・注意(低P血症) ーベンション(副甲状腺摘出術または経皮的エタノール 注入療法)が考慮されます。
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