今号のトピックス 【環境保護・汚染物質排出削減】 1. 四川省環境保護庁、大気汚染対策研究プロジェクトを本格的に起動 2. 上海市環境科学院、土壌汚染に対応し国家級技術センター設立へ 3. 上海流域で豚の死骸を大量回収、給水場では伝染病ウイルス未検出 【省エネルギー】 4. 発展改革委員会、「低炭素製品の認証管理暫定施行弁法」を公布 【電力事情】 5. 上海市発電所、2012 年脱硫装置設置のユニット容量 1,422 万 kW 6. 電力改革のため送・配電の分離を強調、国家電網公司の解体を否定 【新エネルギー】 7.上海市で EV レンタルカーショップ開店、年内に 200 台へ拡大 (2013 年 3 月 27 配信) 【環境保護・汚染物質排出削減】 1.四川省環境保護庁、大気汚染対策研究プロジェクトを本格的に起動(3 月 16 日) 3 月 15 日、四川省環境保護庁は、四川盆地における大気汚染防止・対策研究プロジェクト を起動した。当該プロジェクトには、北京大学環境科学工程学院、四川省環境科学院、四川 省モニタリングステーションの専門家グループが参加。成都市を中心とした都市群及び四川 盆地南部の都市群における光化学スモッグを重点とする大気汚染の現状とトレンドについて 研究した上で、大気汚染対策の中長期戦略を提出する。 4 月 1 日から、本格的に大気汚染に対するモニタリングを開始する。プロジェクトのリーダー である四川省環境保護庁の李岳東・副庁長は、成都市内に 2 ヵ所、周辺の眉山市、綿陽市、 徳陽市に 1~2 ヵ所の固定モニタリングスポットを設置し、成都市及び周辺都市に舞い込む大 気汚染物質について分析する。また、大気汚染の深刻な冬季及び春季には、宜賓市や瀘州 市、自貢市などに臨時モニタリングスポットを追加する。これらのモニタリングから得られたデ ータに基づき、成都市及び周辺地区の工業生産、生活、交通計画、エネルギー消費方式に ついて建言すると説明した。 当該プロジェクトは 2 年間とし、来年 4 月には初歩的な研究報告を行い、来年下半期に成 都及びその周辺地区の大気汚染予報・警戒プラットホームを形成し、天気予報と合わせて、 深刻な空気汚染が発生する恐れがある場合、警戒予報を発する予定である。 出所:四川省人民政府 2.上海市環境科学院、土壌汚染に対応し国家級技術センター設立へ(3 月 18 日) 3 月 12 日、上海市環境科学院(SAES)による「国家級土壌汚染コントロール・修複事業の 技術センターの設立に関する FS 研究報告」が専門家の論証を経て、環境保護部から土壌汚 染コントロール・修複事業技術センターの設立の批准を受けた。同センターが設立するまでの 準備期間を 2 年間とする。環境保護部から受けた同センターの主な任務は次のとおり。 ① 中国の都市における土壌汚染を調査対象として、重金属、有機物、複合性土壌汚 染物質を対象に、土壌修復技術・設備開発及び産業化を展開する。 ② 土壌修復分野に関するコンサルティングサービスを提供し、産業・学術・研究機関の 一体化を進め、都市部における土壌汚染のコントロール及び修複産業の発展を推進する。 ③ 環境保護の監督管理部門、政策決定部門に技術支援とサービスを提供する。 ④ 国内外の交流と合作を展開し、優秀な技術人材と管理人材を育成する。 上海市環境科学研究院は、1979 年に設立、上海市環境保護局直属の研究学院である。 同研究院は、環境評価、クリーン生産に対する認証、環境汚染物質の測定、環境保護製品 の開発、環境事業のエンジニアリングなどに従事する。傘下には、上海環境保護有限公司と 上海環科環境認証有限公司がある。 出所:環境保護部 3.上海流域で豚の死骸を大量回収、給水場では伝染病ウイルス未検出(3 月 19 日) 3 月 8 日以降、上海市黄浦江上流で大量の豚の死骸が引き上げられた。豚の死骸は、3 月 18 日時点で、合計 9,795 匹。一部の死骸の耳に浙江省嘉興市で飼育されていたことがわかる コード番号が見つかったことから、嘉興市から投棄された可能性が高いと見られている。 大量の豚の死骸が見つかった水域は、黄浦江上流の水源地。主に上海市郊外の松江区、金 山区、閔行区、奉賢区へ給水され、6 つの水源口と 9 ヵ所の給水場がある。1 日当たりの供給 量は約 241 万トン、市全体の 22%を占めている。 上海市水務局は、豚の死骸が発見された後、国家標準の水質指標 9 項目に対する測定を 行うほか、豚サーコウイルスなどの微生物指標を水質の測定範囲に加えた。また、給水場出 口付近に、ブタ連鎖球菌、サルモネラ菌、大腸菌 O157、耐熱性大腸菌などの測定対象を追 加。現在のところ、これらのウイルスは検出されていないという。 豚の死骸の処理について、上海市は焼却を主要手段とし、埋め立てを補助手段としている。 現在奉賢区にある上海市動物無害化処理センターでは、毎日フル稼働の状態を超えている。 この状況を考慮して、上海市は、動物無害化処理センター2 ヵ所を新設する予定である。上海 市環境保護局の方芳・副局長は、無害化処理センターに高温高圧の滅菌装置を取り付けて、 資源の再利用、処理企業の利益取得を実現させたいと語った。 3 月 15 日夜、同死骸の出所とされる浙江省嘉興市政府が記者会見を開き、趙樹梅・副市 長は、豚の死因について、以下の 2 点を主張した。①嘉興市では大量の養豚を行っており、 規模が小さく、養豚密度が高い。規模の小さな養豚場では、管理水準が低く、豚の死亡率が 高まった。②昨年の冬から今年の春にかけて、気温が低かったため、抵抗力が弱い子豚は 凍死、病死率が高まった。 一方、養豚場では、豚を高値で販売するため、添加剤「有機ヒ素」を飼料の中に大量に混 ぜ合わせて豚に摂取させ、豚の体内に溜まった「有機ヒ素」が「無機ヒ素」へ転化して死亡を 引き起こしたという噂もある。 また、今回の事件は、環境整備への取組みを反省させる契機になるとともに、再び真相の 公開や地域間の協力メカニズムの構築が問われることとなった。 出所:人民網、中国農業新聞網 【省エネルギー】 4.発展改革委員会、「低炭素製品の認証管理暫定施行弁法」を公布(3 月 20 日) 2 月 18 日付で、発展改革委員会と認証認可監督管理委員会は、温暖化ガスの排出削減に 取り組む対策として、「低炭素製品の認証に関する管理暫定施行弁法」(以下「管理弁法」と する)を公表した。 「管理弁法」で規定される低炭素製品とは、同種類の製品又は同機能の製品と比べて、二 酸化炭素の排出量が低く、炭素製品関連の評価基準や技術規制に適合した製品である。 今後、国は、低炭素製品の認証制度を策定し、製品カタログ、基準、認証に係る技術規定・規 則、証明書及び標識を全て統一する予定である。このため、「管理弁法」では、低炭素製品の 認証機構について、設立の資格を規定。低炭素認証技術委員会を新たに設立し、管理部門 の認証に係る技術問題の研究審査をサポートする職責を担う。 低炭素製品の認証証明書は有効期限 3 年で、有効期限を過ぎた場合、再び認証を行う必 要がある。 国家発展改革委員会エネルギー研究院の姜克隽・研究員によると、管理弁法は1つの段 階的な任務として、低炭素製品の使用段階について認証規制を策定しているが、長期目標と して、製品のライフサイクルに基づいて認証規制を策定すべきである。国際市場では、環境ラ ベルが国際的に認識されているが、中国ではスタートしたばかりであり、ロードマップを作成し て、今後の歩み方を決定すべきである。消費から生産に影響を与えることが最終目的である と述べた。 出所:国家発展改革委員会、中国経済網 【電力事情】 5.上海市発電所、2012 年脱硫装置設置のユニット容量 1,422 万 kW(3 月 22 日) 3 月 21 日、上海電力監督管理作業会議が開催された。会議の報告では、2012 年、上海市 の石炭を燃料とする 10 万 kW 以上の火力発電ユニットは、1kWh当たりの平均石炭消費量が 304.88gであり、前年比で 1kWh当たり 3.41g削減し、標準石炭換算で約 243.2 万トン(tce)の 節約を実現したという。 2012 年、上海市の各大型発電所では、排煙に含まれる硫黄と硝を削減するため、脱硫脱 硝施設を設置・稼動させた。同年末時点で、上海市の脱硫ユニット容量は前年比 18.5%増の 1,422.4 万 kW。脱硫装置の稼働率は、同 3.61%増の 99.29%。脱硫効率は同 2.31%増の 95.3%に達した。 出所:上海市人民政府 6.電力改革のため送・配電の分離を強調、国家電網公司の解体を否定(3 月 21 日) 電力体制の改革推進に関して、先日、国家電網公司を解体して電力網(電力系統)企業 5 社へ編入されるという計画が、3 月 18 日から行われた「全国人民代表大会」と「中国共産党代 表大会」後に起動される可能性があるという報道があった。これに対して、国家電網公司新 聞(報道)処の王敬軍・処長は、解体はないと明確に否定した。 3 月 20 日、国家電力監督管理委員会の内部関係者も、国家電網公司の解体は盛り込まれ ていないと強調。更に、同関係者は、中国電網公司は元々6 つの地域の電力網企業(華北電 網、華東電網、華中電網、東北電網、西北電網と、南方電網)を傘下にもち、5 社だけに解体・ 再編される可能性は少ない。しかし、電力体制の改革のため、送電・配電による分離はありう ると語った。 目下、電力監督管理委員会はすでに能源局に統合され、その内部編成に取り組んでいる ところであり、国家電網公司の解体問題どころではないという現状がある。 国泰君安証券の劉驍・アナリストは、電力体制は改革されると予測しているが、改革方案 は、電力網ではなく、送電と配電の分離であるという。電力改革の重点目標は電力価格の定 価メカニズムを調整し、電力網コストの調整を行う必要がある。 世界最大の電力網企業である国家電網公司は、2012 年、電力販売量 3 兆 kWh 以上、収入 1.8 兆元で、世界 500 強企業の第 7 位にランクイン。一方、発展改革委員会が、数回にわたっ て電力価格を引き上げたものの、国家電網公司の運営効率は上がらなかった。 出所:中国広播網 【新エネルギー】 7.上海市で EV レンタルカーショップ開店、年内に 200 台へ拡大(3 月 19 日) 3 月 19 日、レンタカーサービスに従事する「一嗨租車」(http://www.1hai.cn/)は、国内初の 新エネルギー自動車販売店の上海高瞻新能源汽車有限公司と電気自動車(EV)のレンタル 事業に係る運営、メンテナンス、技術サポートについて、戦略合作協議を結んだ。 4 月から、「一嗨租車」は、嘉定区にレンタカーショップ 3 店舗を設置し、その初店舗は、国 際汽車城の周辺に設置し、徐々に中心部の住宅地や、オフィスビル、ショッピングモール、地 下鉄駅へ展開する見通しである。同社は、今年上半期 50 台の電気自動車を導入し、年内に 200 台まで拡大させる予定であるという。 レンタル料金は、時間制から月極めまでの各プランを揃え、1 日当たりのレンタル料金は 100~150 元、保険料、車検料、メンテナンス料、充電料などの費用を一切支払う必要がない。 初のレンタル車種は、上海汽車の電気自動車ローバーE50。 上海国際汽車城(集団)有限公司の曹光宇・副総経理は、2011 年、嘉定区は国内初の電 気自動車モデル区として批准された。今回、「一嗨租車」による電気自動車レンタルサービス の提供をきっかけとして、電気自動車の運転を体験してもらい、電気自動車による環境保護 を伝えたいと期待を寄せた。電気自動車のレンタルサービスの展開は、電気自動車のモデル 化が実質的な段階に入ることを意味し、電気自動車のビジネスモデルの推進となると述べ た。 上海市発展改革委員会及び上海市経済信息化委員会の関係部門によると、電気自動車 の充電・充電池交換施設の建設が、今年のエネルギー事業の重点であるという。今後 5 年間、 上海市は、5,000 カ所の公共充電スポット、若干の私用充電スポット、50 カ所の公共充電池交 換スポットを設置する予定である。 出所:新民晩報、人民網 ジェトロ上海ニューズレター エネルギー・環境レポート(2013 年 3 月下期号) 中国上海市延安西路 2201 号上海国際貿易中心 21 階 TEL:021-6270-0489(EX.1306、1300) 作成者 ジェトロ(日本貿易振興機構)上海事務所 経済信息部 張培葉、鈴木貴詞
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