出光UIMの作用

出光 U I M
出光 UIM(Ultrasonic Injection Molding)は、射出成形に超音波振動を利用し
た、精密成形技術です。
● 成形プロセス
金型全体を超音波振動により共振させながら射出成形を行います。
● 装置の特長
特長1:金型全体を共振させることで、金型内に変位分布(図中変位波形)を発生させる
特長2:キャビティー部を変位の一番大きい腹の位置とほぼ一致させ、超音波の振動エネ
ルギーを最大限に効率良く成形品へ付与できる構造
特長3:金型の固定及び射出ユニットのノズルタッチ部の位置を変位の一番小さい節の位
置と一致させ、金型以外への振動の流出を防ぎ、金型の共振状態を乱さない構造
2002 年 10 月版
● 金型振動状態
出光UIMでは、節を支点として金型が1秒間に19,000回伸縮運動を繰り返しま
す。従って、キャビティーは、設定振幅で往復運動を繰り返します。
節 キャビティー 節
ノズル
設定
振幅
2002 年 10 月版
● 出光UIMの作用
― 超音波の摩擦低減作用 ―
出光UIMでは、図1に示すように、振動面で溶融樹脂と金型壁面間ですべりが発生し、
流動抵抗が低減します。
0.2
流速(cm/sec)
0.15
0.1
実験値:振動有
0.05
計算値:振動有
計算値:振動無
0
0
0.125
0.0625
振動面からの距離(cm)
振動面
図1
振動を与えた場合の流速分布
― 超音波の局所加熱作用 ―
出光UIMでは、図2に示すように、冷却時に成形品内部で発熱が起こります(Tg以
下の比容の低下が緩やかになるため)。
0.96
3
比容積(cm /g)
0.94
材料:ポリカーボネート
圧力:10MPa
Tg
0.92
0.9
超音波無し
0.88
超音波有り
0.86
50
100
150
200
250
温度(℃)
図2 比容積の温度依存性
2002 年 10 月版
● 流動性の向上
出光UIMでは、図3に示すように、超音波の振幅を大きくするとスパイラルフロー長
スパイラルフロー長(cm)
が長くなります。
50
40
30
20
ポリスチレン
10
ポリカーボネート
0
0
2
4
6
8
10
振幅(μm)
図3 振幅とスパイラルフロー長の関係
● 転写性の向上
出光UIMでは、図4に示すように、微細形状(マイクロプリズム:高さ70μmの三角
錘状)を低い金型温度で転写させることができます。
転写率(%)
100
80
60
通常成形
出光UIM
40
80
90
100
110
120
130
金型温度(℃)
図4
金型温度と転写率の関係
2002 年 10 月版
● 出光UIMの効果
摩擦低減作用
薄肉化
流動性向上
音圧の圧力差
流動配向低減
低複屈折化
熱応力緩和
超音波
射出成形
高精度化
高ウェルド強度化
局所加熱作用
(ソリ低減化)
保圧力向上
慣性力
高転写化
脱気作用
● 金型設計(振動解析)
― 超音波共振金型 ―
出光UIMでは、振動解析による金型設計が必要となります。(既存の金型に超音波は適
用できません)
振動解析例
(金型外径φ210で製品部が中心からφ140以内の場合)
振動入力面
振幅(μm)
20
製品部
15
10
5
-150 -100 -50
0
50
100 150
キャビティー面の中心からの距離(mm)
製品部を均一振動
図5 振動解析で設計した金型キャビティ面の振動状態
2002 年 10 月版
― 超音波共振ダイス―
振動解析による押出成形用ダイスの設計も可能で、インフレーション、ブロー、シート、
異形押出成形等への適用も可能です。
2002 年 10 月版