国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 3.1 国家経済・社会開発計画 2001 年 5 月に発足した現政府の国家開発計画書である。 ・ Le Cinque Grandi Missioni per Cambiare l'Italia (イタリア改革に向けた 5 つ のミッション) (1) 国家全組織の再構成 (a) 国家組織改革 スポイルシステムが慣行となる現状の打破、ニューテクノロジーを活用 した継続的な人的資源開発を行うことで、官民双方の分野で活躍できる 公務員育成が重要とされる。 (b) 公共行政のデジタル化 (c) 公務員活用化 (a)国家組織改革を参照。 (2) 国家組織の構造改革 (3) 法律、法規の再編成 (4) 大規模公共事業計画 欧州各国と比較し、遅れをとっているインフラの整備、特に、南部地域に重 点が置かれる。このための計画には以下があげられる。 (a) 大規模公共事業 10 年計画 (i) 現在停止している大規模公共事業再開に向けた法整備 民間資金の導入 ジェネラルコントラクター、パブリックアドバイザーによる事業計 画 (ii) 高速道路網の再整備 (iii) 一般道路の再整備 (iv) 南部での高容量輸送システム、欧州横断回廊などによる鉄道網再 整備 (v) 環境、安全を重視した開発を目的とした都市部交通網再整備 大都市の地下鉄網強化 (vi) 主要港のハブ化に向けた周辺道路や倉庫などのインフラ整備によ る海上運輸の強化 (b) 国土保護 土石流災害対策を中心とした国土保護 (c) 文化/芸術遺産の活用 地方自治体との協力関係を強化およびツアーオペレータと連携したプロ モーション活動 (5) 南部計画 ・ Le Cinque Grandi Strategie per Migliorare la vita Degli Italia (国民の生活向 上に向けた 5 大戦略) (1) 繁栄への療法 (a) 財政改革 企業活動、労働に対する減税を推進して、経済成長促進を目的とする。 このため、投資、新規雇用を行う企業への減税、遺産相続/財産贈与税 1 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 廃止、低額所得者への免税、税率制度の見直し、新規事業家との事前合 意により 3 年間固定税を設定して脱税を克服、税制度の簡易化、闇労働 解消、税関連法の簡易化が行われる。 (b) 労働 若者、南部地域、長期化における失業問題への対策として以下の点があ げられる。 (i) 労働コスト削減 (税金、分担金) (ii) 公的機関であった職業安定所制度の民間分業化、特に、派遣社員の 仕組みを正式に導入 (iii) 既存労使契約の内容を遵守しながら、期限限定契約など、非定型的 雇用形態を促進 (iv) 全国規模ではなく、地方自治体 (州)ごとの労働協約 (v) 労働争議の簡易化 (vi) 公務員へのフレックスタイム導入 (vii)ニューテクノロジー分野などでの職業訓練充実、雇用機会創出 (c) 公共支出 (d) 規制撤廃、自由化、民営化 各種承認、許可、証明手続きの情報化、デジタル化による迅速化および 窓口の一本化、地方公共団体のサービス民営化、ENEL、ENI など巨大 公営企業の民営化、公有不動産の売却、「証券化」、「国際リーシン グ」、「プロジェクトファイナンシング」を活用した公的資産管理の近 代化、会社法の簡易化が指摘される。 (e) ニューエコノミー 社会のデジタル化を図るニューエコノミーの主眼は「E-コマース」の充 実で、同分野に対する IRPEG (企業所得税)、IRAP (生産活動税)免税に よる投資拡大を見込む。また、テレワークへの税制面優遇策、学校での デジタル教育強化、さらには、デジタル情報を普及させ、特に中小企業 による新技術投資への EU 基金導入拡大計画もあげられる。 (f) グロバリゼーション (2) 社会政策 (a) 第 3 世代 社会開発に関しては、特に高齢化が進む北部を中心に、医療、社会保障 サービスの充実が取りあげられる。第 3 世代へは労働を通じた積極的な 社会参加を計るため、分担金免除、パートタイムなどの非定型労使契約 を活用することが必要である。第 4 世代では、孤立現象を解消するため、 自宅介護などでのボランティア活動の充実、そしてこの分野でもニュー エコノミーの適用が必要とされる。 (b) 若者 少子化により相対数の減少する若者へは、学校離れの問題と同時に、修 学期間の長期化 (30 歳代での大学通学など)も解消すべき点として指摘 される。このため、若者の就労率向上を目的とした学校教育を提案する。 (c) 家族 2 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 伝統的家族形態が失われつつある中、課税対象を個人から家族単位とす ることで、家庭経済の活性化を図る。中央国家のみならず、地方行政に よる税金に関しても、特に未成年の子供を持つ家族への優遇策を取るこ とが必要である。仕事との両立を図れるよう幼稚園、保育園の設備を整 えるなど、経済面だけではなく働く親への支援が要される。 (d) 年金 収入、年齢を考慮しつつ、徐々に全国民が最低月額 100 万リラ (約 516.46 ユーロ)を 13 カ月分受給できることを目的とする。また、これ までの公的年金一本立てではなく、企業年金制度の導入などで若い世代 への年金保障に努める。さらに年金受給者の就労も自由化する方針が示 されている。 (e) 厚生 公的機関が主流の医療制度から、国民が経済的に懸念することなく官民 自由に選択できる制度に移行することが主眼になっている。また、地方 への権限移譲の一環として、現在、州が医療費を負担しているが、労使 契約に関しても全国統一ではなく州が独自に行えるなど、その権限、責 任の拡大が求められる。 (f) 障害者 国民の約 5%、262 万 3,000 人あまりが何らかの障害を持ち、52 万 2,000 人は外出不能な重度障害者であるという状況で、介護はほぼ全面 的に家族負担となっている。したがって、軽度の障害である場合には、 リハビリ、教育機関の充実により、仕事を通じて社会参加できる環境を 作ること、重度障害者に対しては、家族の経済的負担軽減のため、障害 手当てを十分なものとするほか、家庭内看護の制度を確立することが必 要である。そのためには市と学校、地域保健所との共同作業の強化が不 可欠である。 (g) 非営利活動 (h) スポーツ 若者の教育に欠かせないスポーツ活動支援への基金作りと同時に、学校 教育の中でのさらなるスポーツ奨励があげられる。州や地方自治体が主 体となり、地域に合った施設建設を実行するため、貸付機関である Credito Sportivo (スポーツ関係信用金庫)の体制強化も取りあげられる。 (3) 犯罪防止計画 (a) 安全 (b) 民事司法 (c) 刑事司法 (d) 司法官制度構成 (e) 行政司法 (f) 職業性 (4) 学校、大学、デジタル教育、科学研究 公立学校主体の現行制度を改革し、私立学校強化が必要である。このため、 大衆化した公立学校ではなく、低所得家族でも子供を私立学校に入学させら 3 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 れる援助体制を生み出す必要がある。また、従来の教育内容に加えた 3「i」、 国家の経済発展に繋がるとする「英語、インターネット、企業」教育もまた 必要である。 (a) 学校 (b) 大学 高等教育の場としてのみならず、企業活動に直結した教育を重視するこ と、さらには研究機関においても企業との連携、共同研究が必要である。 (c) 科学研究、改革 (5) 環境/市民の健康保護 (a) 環境 開発を阻止するのではなく、自然環境の価値を最大限に引き出し得る開 発の重要性が主張される。 (b) エネルギー 国家エネルギー計画の作成、エネルギー市場の自由化が主要点としてあ げられる。 (c) 農業 食品安全、品質向上、環境保護を柱とした農業政策を導入し、国際市場 でのイタリア特産品プロモーションを行う。 参考 Governo Italiano (イタリア政府) Website, http://www.governo.it/ ・ 構造基金 地域開発に対しては、European Social Fund Programme (欧州構造基金計画 書)の一環として設定される OP (Operational Programme:地域振興計画)を国 内で実施するため、PON (Programma Operativo Nazionale:地域振興国家計 画)と POR (Programmi Operativi Regionali:地域振興州計画)が作成された。 参考 European Union Website, http://europa.eu.int/ (1) 後進地域開発と構造調整 (a) 南部地域開発に向けた安全 Programma Operativo Nationale Sicurezza per lo Sviluppo del Mezzegiorno d’ Italia (内務省)が担当する。多発する犯罪、貧困、社会 的疎外に対抗し、移民現象による影響を管理しつつ、正義への文化、市 民参加を促進することで、地域の経済開発を振興させる。 参考 Programma Operativo Nationale Sicurezza per lo Sviluppo del Mezzegiorno d’Italia Website, http://www.sicurezzasud.it/ (b) 科学、技術開発、高度教育 Ministero dell’ Istruzione, dell’ Universita’ e della Ricerca (教育省)が 担当する。南部地域での科学、技術研究振興、特に IT 技術に注目して いる。 参考 4 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 Ministero dell’ Istruzione, dell’ Universita’ e della Ricerca Website, http://www.miur.it/ (c) 輸送システム Ministero delle Infrastrutture e dei Transporti (インフラ/交通省)が 担当する。他地域との連絡性を向上するため、南部地域での輸送システ ムを充実させる。 参考 Ministero delle Infrastrutture e dei Transporti Website, http://www.infrastrutturetrasporti.it/ (d) 発展のための教育 Ministero dell’ Istruzione, dell’ Universita’ e della Ricerca (教育省)が 担当する。欧州でも優先的戦略である雇用促進に向けた教育を実施する ための、学校制度改革をする。 参考 Ministero dell’ Istruzione, dell’ Universita’ e della Ricerca Website, http://www.miur.it/ (e) 漁業 Ministero dell Politiche Agricole e Forestali (農林政策省)が担当する。 南部地域での漁業近代化を促進する。 参考 Ministero dell Politiche Agricole e Forestali Website, http://www.politicheagricole.it/ (f) 地域企業開発 Ministero delle Attivita Produttive (生産活動省)が担当する。地域企業 家への支援 (競争力強化、技術革新)により、国全体の企業組織を強化す る。 参考 Ministero delle Attivita Produttive Website, http://www.minindustria.it/ (g) 技術支援/機構的活動 Ministero dell’ Economia e delle Finanze (経済財政省)が担当する。欧 州構造基金の融資を受ける計画の質の向上、一貫性追及への技術支援を 行う。 参考 Ministero dell’ Economia e delle Finanze Website, http://www.tesoro.it/ (2) 教育、訓練、雇用の改善 (a) 機構的活動 Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali (労働/社会政策省)が担 当する。労働市場への積極的政策を促進、社会的疎外の危険性が高い層 の労働市場参入、生涯にわたる職業訓練、教育、指導の実施、競争力あ る労働力の開発/企業家支援/研究、技術開発部門での人的資源開発、 5 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 労働市場で女性への機会均等化、CSF (欧州共同体支援枠)/OP の推進 を目的とする。 参考 Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ 表 3-1 計 POR (地域振興州計画) 画 対象州 後進地域開発と構造調整 バシリカータ カラブリア カンパーニャ プーリア サルデーニャ シチリア モリーゼ 教育、訓練、雇用の改善 バッレ・ダオスタ ピエモンテ ロンバルディア フリウリ・ベネチアジュリア ベネト リグーリア エミリア・ロマーニャ トスカーナ ウンブリア マルケ ラツィオ アブルッツォ トレント ボルツァーノ特別自治県 表 3-2 構造基金からの補助金額 (2000∼06 年分) (単位:ユーロ) 計 画 補助金額 後進地域開発と構造調整 219 億 3,500 万 1 億 8,700 万 (モリーゼ州) 教育、訓練、雇用の改善 3 兆 8,770 億 *出典:Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ ・ 社会政策 (1) 高齢者サービス (a) 社会保障サービスの質、利便性のミニマムスタンダード保証を促進、確 認 (b) 困難な立場にある高齢者の基本的権利の支援 (c) 高齢者の知恵を生かす社会/文化的プロモーション支援 6 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 (d) 各協会、ボランティア、年金生活者組合、NPO、市民活動グループと の関係構築 (e) 高齢者問題を取りあげる EU、EU 委員会、国際機関、各国の公的組織 との関係構築 (f) 2000 年 11 月 8 日付け法律 328 号 (総合的社会福祉に関する法律)の規 定実施 同サービスに関し、高齢者問題調査の研究機関である Centro Maderna の 支援を得て社会政策を打ち出し実行する。また、国内高齢者データバンク は、CNEL (National Council for Economics and Labour:経済労働全国評 議会)と共同作成する。 健康省では夏季の高齢者対策として、コールセンター (No.1500)を設置する。 また、4 大都市 (トリノ、ミラノ、ジェノバ、ローマ)に居住する 70 歳以上 の高齢者を自宅訪問するサービスも行っている。 参考 Centro Maderna Website, http://www.centromaderna.it/ (2) 社会的活動を行う協会 (a) 各協会への財政援助の促進 (b) 協会活動の普及 (c) 社会活動を行う協会への全国監督機関書記局の設置 (d) 協会登録簿作成/管理 参考 Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ (3) 麻薬、薬物依存者 (a) 薬物/アルコール依存現象絶滅に関する政策調整 (b) Fondo Nazionale d'Intervento per la Lotta alla Droga (全国麻薬絶滅活 動基金)を活用しての麻薬中毒予防、復帰計画 (c) 麻薬患者の収容、治療活動を行う協会などと協働で、予防、回復、社会 /労働復帰を促進 (d) 麻薬、薬物依存に関する調査/研究、資料収集および調査方法の更新、 データの外部普及 (e) 麻薬不法製造、売買撲滅活動 (f) これらの活動は主に労働/社会政策省所属機関が主体で行う 参考 Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ (4) 家族 (a) 2004 年度から労働/社会政策省に全国家族観察局の設置 同局には各州代表 25 市と民間団体が参加し、家族支援に向けた新しい 政策モデルの研究 (b) 少子化対策の一環として 2003 年 12 月 1 日∼2004 年 12 月 31 日に誕生 した第 2 子に 1,000 ユーロの援助金 7 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 (c) 全州および自治県に 1 億 6,100 万リラの住宅購入、出生援助金 (d) 両親共に育児休暇、障害者看護、治療、教育休暇取得可能な制度の構築 (e) 保育園制度を充実させる基金の創設および企業内保育施設の促進 (f) 全国家族の日 (5 月 15 日)の設置 (g) 出産援助、3 人以上未青年の子供がいる家庭への援助 (h) 出産、病気、家族手当て (i) 家族優遇社会政策全国基金 参考 Ministero del Lavoro e delle politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ (5) 社会政策全国基金 医療政策から労働まで総括的な社会政策に向けた基金である。州および各地 域で援助を要する人々の生活レベル向上を目的とした資金融資を行う。 2004 年度の基金総額は約 18 億 8,434.7 万ユーロ、2004 年 5 月 20 日付け国 家/州合意に基づいて各州へ配分される。 参考 Ministero del Lavoro e delle politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ (6) 障害者 障害者の社会参加、機会均等化、家族支援を中心とした政策が取られる。 基本法は 1992 年法律 104 号 (2000 年法律 53 号、388 号、2001 年委任立法 令 151 号で改正)により、以下の点が特に重視されている。 (a) 税制面での優遇 (b) 学校教育参加、教育の権利保障 (c) バリアフリーの強化 (d) 地方自治体を中心とした地域障害者対策 就労に関しては、従業員 15 人以上の企業に対し、その規模に応じた障 害者雇用義務が課せられている (1999 年 3 月 12 日付け法律 68 号)。 参考 ・Ministero del Lavoro e delle politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ ・障害者支援 (フリーダイヤル) TEL:800-196-196 (7) 外国人労働者 基本法は 1998 年の単一法典 286 号である。その 45 条では、外国人とイタ リ ア 人 と の 機 会 均 等 を 図 る た め の Fondo Nazionale per le Politiche Migratorie (移民政策全国基金)設置を規定し、その 80%は州および特別自治 県が活用する。 この基金を利用して結ばれた州の Accordi di Programma (計画合意書)は、 以下についての推進を規定する。 (a) イタリア語教育 (b) 職業訓練 8 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 (c) 住居確保支援 (d) 異文化/習慣の相互理解の強化 (e) 外国人としての権利保障 (f) 外国人住民を考慮した州条例制定 労働/社会政策省は、外国人企業家への融資、銀行サービス享受に関する計 画の立案、労働に関する 2 国間協定を結ぶ、安全に関する PON を支援する などのため、Direzione Generale per l’Immigrazione (移民主局)を設置する。 未成年の外国人に対しては、1998 年 7 月 25 日付け委任立法令 286 号 33 条 により設置された外国人未成年者委員会が、1989 年「児童の権利条約」に 基づいて活動を行う。 (8) 未成年者 1997 年法律 285 号を基本法とする。 1997 年 12 月 23 日付け法律 451 号により「la Commissione Parlamentare per l’Infanzia e l’Osservatorio Nazionale per l’Infanzia (児童のための国会 委員会および全国監督局)」の制定以降「Piano Nazionale di Azione e di Interventi per la Tutela dei Diritti e lo Sviluppo dei Soggetti in età Evolutiva (発育期児童の権利保障、発展のための活動/助成全国計画)」が 3 年ごとに作成される。 労働/社会政策省に設置される未成年者サービス局は、EU 常設政府間のワ ーキンググループ L'Europe de l' Enfance、Child On Europe に参加する。 参考 Child On Europe Website, http://www.childoneurope.org/ (9) 青年 2001 年 EU 委員会作成による「欧州の若者への新たな推進力」と題される 白書で提案されるテーマを実行する。 参考 Europa Website, http://europa.eu.int/ 上記に対しては、欧州社会基金のうち、若者政策、社会的疎外対策を対象と する基金を活用する。 若者の麻薬対策、中毒患者の回復/社会復帰を目的とした、「若者による新 しい協会設立」と題される計画への国内基金が試験的に設置され、2000∼ 02 年には全国 43 のプロジェクトを実施し、14∼25 歳の若者が参加した。 (10) ボランティア活動 労働/社会政策省のボランティアサービス部が、Segreteria Tecnica dell' Osservatorio Nazionale per il Volontariato (ボランティア活動全国監督局 事務局)として機能し、同監督局とボランティア活動グループとの仲介役と して、その基金を振り分け、活動のプロモーションを行う。また、地方自治 体とボランティア協会、第 3 セクターとの間の調整により、社会的サービス、 助成への全国計画を実施する。 9 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 3.2 国家 HRD (人的資源開発)計画 ・ Formez 国家、公的機関への人的資源開発 首相府内公共機能局に属し、主に担当する。 国家 (公共機能局)、地方自治体協会 (県、市、山岳共同体)、州 (サルデーニャ、 バシリカータ、プーリア、カンパーニャ、モリーゼ)により構成される。 3 年計画に基づき、地方公共団体を中心とした技術、情報提供、人材教育、各省 での人材育成のほか、国内、国外の公的および民間組織と共同での技術開発、 人材育成活動を行う。1999∼2001 年の実施計画数は、300 あまりで 3,000 以上 の公共団体が参加した。 参考 Centro di Formazione Studi Website, http://www.formez.it/ (1) そのほかの公共行政機関に対する人材育成機関 (a) (b) (c) (d) (e) (f) CERISDI (Centro Ricerche e Studi Direzionali) Scuola di Amministrazione Pubblica "VILLA UMBRA" A.S.A.P. (Agenzia per lo Sviluppo delle Amministrazioni Pubbliche) Servizio Formazione e Sviluppo Organizzativo Regione Toscana Scuola di Formazione del Personale Regionale delle Marche Istituto F. S. Nitti; Agenzia Regionale per lo Sviluppo delle Risorse Amministrative ed Organizzative (g) IREF (Istituto Regionale Lombardo di Formazione) (h) Isfod s.r.l. (Istituto per la Formazione e la Direzione nella Pubblica Amministrazione) (i) SSPAL (Scuola Superiore di Pubblica Amministrazione Locale) (j) Centro Studio e Lavoro "La Cremeria" (k) Agenzia per l'Innovazione nell'Amministrazione e nei Servizi Pubblici Locali s.r.l. (l) Servizio Progetti per il Sistema Degli Enti Locali Regione Toscana (2) オンライン教育を行う機関 (a) (b) (c) (d) (e) (f) (g) (h) (i) (j) (k) SSPA (Scuola Superiore della Pubblica Amministrazione) SSPAL SSEF (Scuola Superiore dell’Economia e delle Finanze) SSAI (Scuola Superiore dell’Amministrazione dell’Interno) Istituto Tagliacarne Cerisdi Villa Umbra Irfod Scuola di Governo Toscana Scuola Marche Iref 10 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 (l) La Cremeria (m) Agenzia per lo Sviluppo Empolese-Valdelsa (n) Agenzia per l'Innovazione nell'Amministrazione e nei Servizi Pubblici Locali ・ 一般の人的資源開発 労働/社会政策省の外郭団体である Italia Lavoro Spa (イタリアラボーロ株式会 社)が公的機関として支援を行う。同社は、1997 年の首相府令によって設立され た経済財政省 100%出資の株式会社である。2002 年の財政法は労働政策、雇用 サービス分野において、労働/社会政策省が Italia Lavoro Spa の機能を活用す るものと規定している。 参考 Italia Lavoro Spa Website, http://www.italialavoro.it/ 政府の優先目的は、期間限定労使契約、試用期間、見習いなどに関する 1997 年 法律 196 号に規定する措置実施に向けた、積極的な労働政策推進である。この 目的のために、Italia Lavoro Spa は、州、地方自治体と協働して以下を遂行し ている。 *出典:Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali, “Libro Bianco sul Mercato del Lavoro in Italia, (労働白書), October 2001. (1) 新規企業家、自営業者の育成に力を入れ、長期失業者を労働市場に再編入す る。 (2) 市民、企業向けの雇用センター、労働情報システムネットワーク開発を支援 するマルチメディアサービスを構築する。 (3) 職業安定所サービスにおける官民の協力体制を促進する。 (4) 失業者、雇用機会を得られない市民に対する、コンピュータ、英語教育計画 実施の促進、支援を行う。 特に近年、民間会社による派遣社員形式の雇用が増加する一方、従来の公的職 業安定所を活用しての職探し、それらの機関主宰による職業訓練コースへの参 加があまり活発ではないことを鑑み、効果的なオンラインサービス提供の充実 を図ることが必須とされる。また、2001 年の憲法改正により導入された補完の 原則に基づき、雇用開発は国家ではなく州、地方自治体 (県所属機関である Servizi per l’ Impiego (雇用サービス)が担当)の権限であるため、それら各団体 への支援が求められる。これらを背景とし、Italia Lavoro Spa は次の 6 つのア クションプランを立てる。 (1) Area Alfabetizzazione Informatica e Linguistica (技術、言語教育) 現代社会に必要不可欠であるコンピュータ技術と英語の教育を、失業者向け の初等レベルから、就労者向けの継続的研修、そして特に教育担当者向けの 専門レベルまで幅広くオンラインで行う。 参考 Italia Lavoro Spa Website, http://www.italialavoro.it/ (2) Area Servizi per l’ Impiego (Centri per l’ Impiego (雇用センター)へのサー ビス) Centri per l’ Impiego は県の Servizi per l’Impiego の一環で、職業安定所の 11 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 役割を果たす。適性に応じた雇用斡旋により成功を収めた民間派遣会社の例 に従い、公的機関でもオンラインで同様のコンサルタント業務、職業訓練を 行えるよう技術支援する。 (3) Area Creazione di Iimpresa e Strumenti per il Reimpiego (長期失業者、 LSU (公益職務従事者、雇用調整助成金の対象となった長期離職労働者で、 公的機関から期限限定雇用されたもの。ワークフェアに類似)へのサービス) 個々人に適切な職業再訓練を実施し労働界への復帰を促すと共に、協同組合 形式で労働者自らによる会社設立を支援 (4) Area Mobilità Sud-Nord-Sud (雇用機会の増大) 特に南部地域での失業率が高いため、労働者、企業の国内移動、移転を促進 する。 (5) Area Politiche Migratorie (外国人労働者、在外イタリア人への職業訓練、 適性に応じた雇用斡旋の推進) (6) Area Orientamento e Placement Scolastico (学校教育) 学生の適性確認、職業訓練を行う。企業内研修を促進することで、学校と労 働社会との結びつきを強化する。 参考 ・ Italia Lavoro Spa Website, http://www.italialavoro.it/ ・ Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ Formez と Italia Lavoro Spa は、各地方自治体の Servizi per l’impiego (雇用サ ービス)職員の能力向上を図り、効率良い雇用斡旋遂行を目的とした職員教育プ ログラムをオンラインで提供するシステム構築に向け、協働で取り組むことと している。 ・ 教育義務 1999 年法律 144 号に従い、義務教育 (中学)終了後、最低 18 歳までは教育活動 参加が義務付けられている。そのため 3 種類の方法が予見される。 (1) 学校での高等教育を受ける。 (2) 3 年以内の見習い契約を結び、仕事をしながら企業内で指導に従い教育を受 ける。 (3) 補完的職業/技術訓練コースを受講する。コースのプログラムは各地方自治 体が作成する。 義務教育を担当する学校は、毎年 12 月 31 日までに、翌年満 15 歳を迎える生徒 の要望を雇用センターに伝える。地域管轄センターは、教育義務に関する必要 な情報を対象者に提供する。 労働/社会政策省は、コンピュータを使用した通信教育、E-ラーニングによる 生涯教育システムを開発した。 参考 ・ Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ ・ Ministero dell’ Istruzione, Universita’ e della Ricerca Website, http://www.miur.it/ 12 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 3.3 雇用創出計画 地方分権制度の補完主義を考慮した 1997 年委任立法令 469 号により、労働市場の 管理は国家から州、地方自治体の管轄へと移行された。同令の規定を受け、州、県 はそれぞれ労働市場観察局 (州:Osservatorio Regionale delle Politiche per il Lavoro, per la Formazione e per l’Istruzione、県:Osservatiorio del Mercato del Lavoro Provinciale)を設けて管轄地域での雇用開発の可能性探索、適切な教育/訓 練計画を立てる。 CNEL は労働問題に関する調査データおよび国家政策情報を提供する。 参考 CNEL Website, http://www.cnel.it/ 企業支援による雇用可能性増大を求めるため、以下のような援助が行われる。 (1) 工業活動促進機関である IPI (Institute for Industrial Promotion)での起業支援 参考 Institute for Industrial Promotion Website, http://www.ipi.it/ (2) 生産活動省による企業融資 参考 Ministero delle Attivita Produttive Website, http://www.minindustria.it/ (3) 生産活動省による企業の国際化支援 特に、中小企業と研究機関との協働による質の高いイタリア製品研究、開発、 紹介を行い、国際見本市や外国での宣伝活動に力を入れる。 参考 ・ Ministero delle Attivita Produttive Website, http://www.minindustria.it/ ・ Ministero del Lavoro e delle politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ (4) 全国雇用サービスネットワーク 参考 Spinn Website, http://spinn.welfare.gov.it/ (5) 労働者、企業の国内移動促進による雇用活性化 参考 Sud Nord Sud Website, http://sudnordsud.welfare.gov.it/ (6) 長期失業者の労働市場参入促進計画 特に困難な状況にあるナポリ県を中心とする。 参考 Inserimento al Lavoro Website, http://inla.welfare.gov.it/ (7) アブルッツォ、ラツィオ、ロンバルディア、シチリア、ベネト州で、肩書きを 持つ失業者への雇用促進サービス 参考 Progetto Quadri Website, http://quadri.welfare.gov.it/ 13 国名:イタリア (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 10 月 22 日 (8) 外国人労働者 (EU 圏外)の季節労働情報サービス 参考 Siles Website, http://www.welfare.gov.it/ (9) 興行従事者への情報提供サービス 参考 Collocamento dello Spettacolo Website, http://www.welfare.gov.it/ 【参考文献】 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. Centro di Formazione Studi Website, http://www.formez.it/ Centro Maderna Website, http://www.centromaderna.it/ Child On Europe Website, http://www.childoneurope.org/ CNEL (National Council for Economics and Labour) Website, http://www.cnel.it/ Collocamento dello Spettacolo Website, http://www.welfare.gov.it/ Europa Website, http://europa.eu.int/ European Union Website, http://europa.eu.int/ Governo Italiano (イタリア政府) Website, http://www.governo.it/ 9. 10. 11. 12. Inserimento al Lavoro Website, http://inla.welfare.gov.it/ IPI (Institute for Industrial Promotion) Website, http://www.ipi.it/ Italia Lavoro Spa Website, http://www.italialavoro.it/ Ministero delle Attivita Produttive (生産活動省) Website, http://www.minindustria.it/ 13. Ministero dell’ Economia e delle Finanze (経済財務省) Website, http://www.tesoro.it/ 14. Ministero delle Infrastrutture e dei Transporti ( イ ン フ ラ / 交 通 省 ) Website, http://www.infrastrutturetrasporti.it/ 15. Ministero dell’ Istruzione, dell’ Universita’e della Ricerca (教育省) Website, http://www.miur.it/ 16. Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali (労働/社会政策省), “Libro Bianco sul Mercato del Lavoro in Italia (労働白書),” October 2001. 17. Ministero del Lavoro e delle Politiche Sociali Website, http://www.welfare.gov.it/ 18. Ministero dell Politiche Agricole e Forestali (農林政策省) Website, http://www.politicheagricole.it/ 19. Progetto Quadri Website, http://quadri.welfare.gov.it/ 20. Programma Operativo Nationale Sicurezza per lo Sviluppo del Mezzegiorno d’ Italia (内務省) Website, http://www.sicurezzasud.it/ 21. Siles Website, http://www.welfare.gov.it/ 22. Spinn Website, http://spinn.welfare.gov.it/ 23. Sud Nord Sud Website, http://sudnordsud.welfare.gov.it/ 14
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