定期調査業務不履行の件について 平成 17 年 3 月 17 日に、当協会刈谷事業所において、調査業務の一部不履行という 不正事実が判明しました。 このような事態を受けて、当該事業所における詳細事実の確認を行なうとともに、同 様の事が他事業所においても行われていないかの確認のための点検を行ないました。 また、本件につきましては、中部近畿産業保安監督部長から以下の項目について報告 を求められました。 1.刈谷事業所における報告のあった定期調査の不履行に係る事実確認の結果 2.同事業所における他の定期調査が確実に実施されたかどうかの確認結果 3.同事業所以外の事業所の定期調査に関し、同様の不適切な事実が無いかどうかの 確認結果 4.上記 1 から 3 までの確認の結果、不適切な事実が認められた場合には、その原因 および再発防止対策並びに当該需要家に対する安全確保対策 点検の結果、すでに判明した調査員以外に不履行という事態は認められませんでした。 刈谷事業所の調査業務不履行分に係わるお客さまにつきましては、直ちにその全数 のフォロー調査を実施いたしました。 当協会では、平成 17 年 4 月分から携帯端末機による入力方式を採用し、このような 不正行為が行なわれ難いシステムに改善するなど、再発防止対策をとりまとめ、平成 17 年 4 月 25 日付けで経済産業省原子力安全・保安院 中部近畿産業保安監督部長宛て に、別添報告書概要の通り報告いたしました。 今後は、協会を挙げて再発防止に取組んで行く所存です。 ※ 調査業務 : 電気事業法第 92 条に基づく一般用電気工作物の調査 (本件に係わる問合わせ)電話 052-955-0781(代表) 担当 : 広 報 部 長 今 川 調 査 部 長 五味澤 調査部部長 加 賀 電気事業法第 106 条第 4 項の規定に基づく報告書(要旨) 当協会は、一般用電気工作物の定期調査を通してお客さまの電気の安全確保に努め てまいりましたが、今回、刈谷事業所で定期調査の不履行という不正事実が判明しま した。 今回の不正事実の判明を受け、当該事業所はもとより中部管内の全事業所の点検を 行なった結果、不正を行なった調査員以外での不正な行為がない事は確認できました。 このことは、登録調査機関として絶対にあってはならない事であり、深く反省する とともにお詫び申し上げます。 当協会は平成 17 年 3 月 21 日から不正行為が発生しにくい携帯端末機による入力方 式の本格運用を開始するとともに、更なる防止対策を講じ、二度とこのような事が起 きないよう協会を挙げて対処する所存であります。 なお、点検不履行をおこした調査員の受け持ったお客さまにつきましては、安全確 保に万全を期すため緊急にフォロー調査を実施しました。 定期調査業務不履行について(報告概要) 1 刈谷事業所における報告のあった定期調査業務の不履行に係る事実確認の結果 (1) 経 緯 平成 17 年 3 月 17 日(木)に岡崎支部から「岡崎支部刈谷事業所において定期 調査業務の一部不履行という事実が判明した」旨、報告があった。 ア 平成 17 年 3 月 11 日(金) 中部電気保安協会職員Kから刈谷事業所T調査課長に対して、自宅の定期調査実 施状況の問い合わせがあり、内線調査表の実施結果を確認して平成 16 年 10 月 20 日に実施済み(在宅で完了)であることを報告した。 イ 平成 17 年 3 月 14 日(月) T調査課長はKから「家人の誰も内線調査に関する訪問を受けていないことや、 調査済みシール貼付の形跡が無いことを確認した」旨の連絡を受けた。 平成 16 年度と平成 12 年度分の内線調査表の一部を抽出し、照合した結果、測 定値等の転記の疑いがあり、A調査員の業務処理内容に不履行の可能性があるこ とを確認した。 ウ 平成 17 年 3 月 15 日(火)∼16 日(水) A調査員の平成 15・16 年度実施分を異なる 2 地域で現地確認したところ、調 査済みシールの「貼付済み」で処理してあるお客さま宅で「貼付無し」を発見し た他、過去の測定値等の転記や「一般用電気工作物調査結果通知書」(改修通知書) の偽造の疑いが確認された。 エ 平成 17 年 3 月 17 日(木) 刈谷事業所長およびT調査課長が休暇中の本人宅を訪問し、調査結果を示した ところ、平成 15 年 4 月頃から内線調査表には前回調査した内線調査表の内容を転 記して改ざん作成し、かつ改修通知書には自筆サインや他人の印を押すなどして 偽造していた事実を認めた。 オ 平成 17 年 3 月 19 日(土)∼3 月 31 日(木) 平成 16 年 3 月∼平成 17 年 2 月の間にA調査員が受け持ったお客さま (10、686 口)に対し、調査期限である平成 16 年度末までに全数の調査を完了 した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 カ 平成 17 年 3 月 29 日(火)∼4 月 9 日(土) 平成 14 年 7 月∼平成 16 年 3 月の間にA調査員が受け持ったお客さま (16,660 口)に対して、調査を実施した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 (2) 事実確認の結果 岡崎支部刈谷事業所A調査員が、平成 14 年 7 月から平成 17 年 2 月までの 32 ヶ月間に受け持った 27,346 口について、A調査員が使用した内線調査表原票のコ ピーを持参して、全数現地に出向し、通常の定期調査方法により緊急調査を実施 した。この調査により当該お客さまの一般用電気工作物の安全確認およびA調査 員が実施したか、未実施であったかの確認をした。 現地調査は岡崎支部管内調査員(延べ 459 人日)を動員して実施した。 平成 16 年度分は平成 17 年 3 月 19 日から 3 月 31 日の間に調査員延べ 180 人日 で 10,686 口を先行実施し、年度内に全て完了している。平成 14 年∼15 年度分に ついては、平成 17 年 3 月 29 日から 4 月 9 日までの 12 日間に調査員延べ 279 人 日で 16,660 口を実施した。 現場での事実確認の結果、実施・未実施等の内訳は以下のとおりである。 実施、未実施別の状況表 単位 : 口 14 年度 15 年度 16 年度 合計 実 施 済 239 261 8 508 未 実 施 3,717 5,891 5,246 14,854 そ の 他 1,720 2,688 4,014 8,422 街路灯等(目視分) 972 1,172 1,418 3,562 6,648 10,012 10,686 27,346 不明 合 計 注1 「実施済」は、内線調査表にシール「貼付」の記録があり、かつ現場再 調査の結果シールが貼ってあったもの。 注 2 「未実施」は、内線調査表にシール「貼付」の記録があるものの、お客さま が在宅で再調査が実施でき、シールが「未貼付」であったもの。 注 3 「不明 その他」は、内線調査表にシール「貼付」の記録があるものの、2 回 の訪問でもお客さまが不在のため、シールの 「貼付」 が確認できなかったもの。 なおリーク測定による安全を確認している。 注 4 「不明 街路灯等」は目視による点検で、シール貼付はしない範疇のもの であるため、実施・未実施が確認できなかったもの。 2 刈谷事業所における他の定期調査が確実に実施されたかどうかの確認結果 (1) 内線調査表の紛失、および記載漏れについて 保安協会刈谷事業所管内には刈谷、西尾、碧南および安城の 4 つの中部電力の営 業所がある。それぞれの営業所は、管轄する地域を 1k㎡の方形に区切った管理区 が数十から数百箇所あり、管理区毎に存在する一般用電気工作物について、4年の 周期で定期調査を実施するよう管理している。上記 4 営業所の全管理区 479 につい て、平成 13 年度、14 年度、15 年度および 16 年度の口数と、内線調査表の調査口 数を照合することにより、内線調査表の紛失の有無を確認した。また全内線調査表 (356,285 口)について記載漏れがないかの点検をした。点検の結果、紛失および 記載漏れのないことを確認した。 単位 口 調査数 ア.調 査 数 イ.点検実施日 13 年 14 年 15 年 16 年 合計 86,602 91,590 90,923 87,170 356,285 356,285 口 平成 17 年 3 月 26 日(土)∼4 月 4 日(月) (2)内線調査表の記載内容の照合 刈谷事業所の全調査員(A調査員以外)について、平成 16 年度実施済みの内線調 査表から調査員ごとに任意の 2 ヶ月分を抽出し、4 年前に実施された調査結果とお 客さまごとに記載内容を比較照合し、完了・終了、漏れ電流値、回路数など過去デ ータが転記してないかどうかを点検した。 点検の結果、過去データの転記のないことを確認した。 ア.対象調査員数 イ.調 査 数 ウ.点検実施日 3 13 名 17,061 口 平成 17 年 3 月 23 日(水)∼28 日(月) 刈谷事業所以外の事業所の定期調査に関し、同様の不適切な事実が無いかどうかの 確認結果 刈谷事業所以外の全調査員について、平成 16 年度実施済みの内線調査表から調査 員ごとに任意の 1 ヶ月分を抽出し、4 年前に実施された調査結果とお客さまごとに記 載内容を比較照合し、完了・終了、漏れ電流値、回路数など過去データが転記してな いかどうかを点検した。 点検の結果過去データの転記がないことを確認した。 (1)対象調査員数 (2)調 査 数 (3)点検実施日 4 292 名 214,173 口 平成 17 年 3 月 23 日(水)∼28 日(月) 上記1から3までの確認の結果、不適切な事実が認められた場合には、その原因 および再発防止対策並びに当該需要家に対する安全確保対策 (1) 不適切な事実 刈谷事業所(前記 2(1)、2(2))および全事業所(前記 3)においてそれぞれ内線調査 表を点検した結果、不適切な処理はA調査員の「定期調査業務不履行」以外に は無いことを確認した。 (2)定期調査業務不履行となった原因 ア 原因はA調査員が楽をしたいための行為と判断 A調査員は上司との面談で調査業務に馴れ、他の調査員の指導も出来る旨述 べており、かつ将来は竣工調査も担当したい等積極的な態度であった。 また不履行に至った動機がお客さまとの対話が苦手であるためと本人は主張 しているが、着任以来不履行を重ねていることから、単に楽をするための行為 と判断した。 イ 点検不履行が発見できなかった原因 (ア)A調査員は未実施分の内線調査表に 4 年前の調査済結果の記載された内 線調査表から必要事項を転記し、あたかも実施したように装い、上長に 発見できないようにしていた。 (イ)内線調査表の転記は当直時に密かに実施しており、周囲の誰も気付かな かった。 (ウ) 内線調査表は鍵付の書棚に保管してあったが、鍵は火災などの緊急時 対応のため「当直保管」となっており、結果的にチェック体制が働いて なかった。 (エ)お客さまに発行する改修通知書には、お客さまの確認印を受領すること としているが、本人が自分でサインを記入するなど書類を捏造していた ため発見できなかった。 (3) 再発防止対策 (別紙) 「再発防止対策」 (4) 当該需要家に対する安全確保対策 A調査員が、平成 14 年 7 月から平成 17 年 2 月までの 32 ヶ月間に受け持った 対象のお客さま全数(27,346 口)について、1(2)事実確認の結果のとおり安全確 保のため、緊急に現場調査を実施した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 なお、定期調査が未実施であることにより、この期間において、これらのお 客さまに、電気火災、感電などの異常事象は発生していないことも確認した。 ア 平成 16 年 4 月∼平成 17 年 2 月の調査対象のお客さま 10,686 口に対しては、 3 月 19 日∼3 月 31 日の間で緊急調査を実施し、調査期限年度内に調査を完了 した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 イ 平成 15 年 4 月∼平成 16 年 3 月の調査対象のお客さま 10,012 口に対しては、 3 月 29 日∼4 月 9 日の間で、緊急調査を実施した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 ウ 平成 14 年 7 月∼平成 15 年 3 月の調査対象のお客さま 6,648 口に対しては、 3 月 29 日∼4 月 9 日の間で、緊急調査を実施した。 その結果、保安上問題となる事象はなかった。 以 上 別 紙 再 発 防 止 対 策 項 目 実 施 内 容 (1) 調査未実 ア 抜き取りによる現場チェックの強化 施および不正行為 管理職が調査済みのお客さまをサンプリン の具体的防止対策 グにより抜き取り、直接お客さまを訪問し て、調査品質を確認する。 イ 機械システムによるチェック機能の強化 (ア)携帯端末機による入力方式を採用し、 入力画面は定められた業務順序でのみ展 開し、かつ必須入力個所は入力しなければ 先へ進まない等のエラーチェックをかけ、 不正な実績計上が出来ないようにした。 (イ)一度入力して上長が確認したデータに ついては、修正不能とし、保存についても バックアップ機能を付加してセキュリティ を確保するようにした。 ウ 調査未実施データの入力防止 調査を実施しないでデータのみ入力すること を防止するために、管理職が携帯端末機の入 力データから1時間当りの処理件数をチェッ クし、標準的な処理件数を超えるものはその リストを出力し、調査員の個別確認を実施す る。 エ 改修通知書へのお客さま承認等の明記 一般用電気工作物調査結果通知書(改修通知 書)への署名・押印等の記載方法を明確化する とともに、原票に記載が無く、お客さまから 直接聞かなければ分からない所・番地を記入 させることにより、証明書類としての品質の 向上を図った。 オ 調査済みシール管理強化による貼付の管理 調査済みシールの個人別出納管理を強化する ために「調査済シール管理のガイドライン」 を制定し、シール貼付と管理の適正化を図っ た。 対策実施時期 平成17年6月開始 平成17年3月21日 実施済 平成17年7月目途 平成17年4月6日 実施済 平成17年3月24日 実施済 (2)教育面での具 ア 全支部の支部長、統括部長、調査担当長を召 体的対策 集し、理事長から不祥事の実態を周知すると ともに16年度実施分の緊急点検および職員 に対する再発防止施策の徹底を指示した。 平成17年3月22日 実施済 イ 全支部の管理職に対し、本部の幹部が、コンプライ アンスの教育とその徹底および再発防止施策の 実施を指示した。 平成17年4月11日 ∼20日 実施済 ウ 調査員に対する個別面談を行い、コンプライアンス について認識させるとともに適正な業務履行 を指導する。 エ 支部調査担当長に対して、今般の事象の共有 化および改定した運用ルールの再確認と今後 の業務執行の厳正実施について、周知徹底し た。 平成17年4月末まで 平成17年4月14日 実施済
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