24ページ - 長野県中小企業振興センター

平 成 13年 度
ベンチャー企 業 等 商 品 化 ・事 業 化 可 能 性 調 査
報告書
調 査 テ ー マ 名 中国華南地域における精密プレス金型、部品の市場性調査
代 表 法 人
財団法人長野経済研究所
(グループ名 )
(小松プレシジョン)
調 査 テーマを
有する中小企業
調 査 機 関
協 力 企 業
株式会社小松プレシジョン
財団法人長野経済研究所
株式会社ソーデナガノ
NIOM
<目次>
1. 調査内容の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1) 調査グループの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2) 調査事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2. (株)小松プレシジョンの概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(1) 技術・製品の特徴、強み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(2) 取り巻く環境変化と課題、対応策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(3) 販売先の状況、販売体制の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(4) 中国展開の経緯と現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3. 中国華南地域における精密プレス金型、部品の市場調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(1) 大手メーカー、県内製造業の中国シフトの動向と背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(2) 中国の製造業集積の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3) 中国進出日系完成品メーカーの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(4) 競合する香港・台湾部品メーカー、ローカル部品メーカーの動向、技術レベル・・・・・・・10
4. 中国における販路開拓に関する調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(1) 中国進出日系完成品メーカーの調達動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(2) 中国における販路開拓活動の成果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(3) 展示会への出展活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(4) 日系完成品メーカーのニーズ集約と対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
5. 販売戦略(アクションプラン)の策定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(1) 中国における販売戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(2) 今後の中国における事業展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(3)今後の日本における事業展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
6.(株)小松プレシジョン社長コメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
1. 調査内容の概要
(1)調査グループの概要
1) 調査テーマを有する中小企業の概要
①会社名
株式会社小松プレシジョン
②代表者名
小松崇邦
③所在地
〒394-0087 岡谷市長地鎮 1-6-43
④電話番号
0266-27-3050
FAX番号
0266-27-3096
⑤ホームページアドレス
http://www.komatsu-precision.co.jp
⑥Eメール
[email protected]
⑦資本金
2,500 万円
⑧従業員数
60 名
2) 調査機関の概要
①会社名
財団法人長野経済研究所
②代表者名
竹下弓太郎
③所在地
〒380-0936 長野市岡田 178-13 八十二別館
④電話番号
026-224-0501
FAX番号
026-224-6233
3) その他協力会社
①会社名
株式会社ソーデナガノ
②代表者名
早出隆幸
③所在地
〒394-0011 岡谷市長地御所 610
④電話番号
0266-27-0160
FAX番号
0266-27-0140
①会社名
NIOM(New Industrial Okaya Members)
②代表者名
早出隆幸
③所在地
〒394-0011 岡谷市長地御所 610
(株)ソーデナガノ内
④電話番号
0266-27-0160
FAX番号
0266-27-0140
(2)調査事項(調査フロー)
調査事項
① 中国華南地域における精密プレス金型、
② 中国における販路開拓調査
部品の市場調査(現地調査)
・ 現地進出日系企業へのヒアリング調査
・ 日系大手完成品メーカーの現地拠点への
・ 現地進出香港・台湾へのヒアリング調査
販路開拓活動
・ 現地部品展示会への出展活動(中国現地
企業への販路開拓活動)
・
中国の製造業集積の特徴、事業展開にあたっての留意点・リスクの把握
・
日系大手メーカー現地拠点の調達動向の把握
・
ニーズ集約と対応(テストマーケティングの実施)、新規取引先の開拓
・
競合部品メーカーの動向、技術力把握
・
当社製品の市場性(需要見込み)の把握
● 今後の中国における販売戦略の策定
● 今後の中国における事業展開の方向性と課題
● 今後の日本本社の事業展開、役割の模索
2. (株)小松プレシジョンの概況
(1)
技術・製品の特徴、強み
1 μm(マイクロ、ミクロン)
●高精度微細精密プレス加工、プレス金型
=1,000分の1ミリメートル
①微細穴プレス加工
・・・ φ50 μm ピアシング加工( φ40∼ φ20 μmへの挑戦)
・・・量産品 φ100 μm
②超薄物材料のプレス加工
・・・8 μm厚さの薄板(箔)
③フィルム系新素材(非金属)のプレス加工
・・・ポリエステルフィルム材、ルミラー材の加工(バリなし)
④工法転換⇒コストダウンを提案
・・・エッチング加工製品のプレス化など
⑤複合材(異なる材料を貼り合せた材料)のプレス加工
⑥上記加工を可能とする精密金型の設計、製作技術
微細穴プレス加工
フィルム系新素材プレス加工
工法転換(1)
工法転換(2)
(2)
取り巻く環境変化と課題、対応策
経営資源分析(SWOT 分析)
内部資源分析
S:強み
W:弱み
・顧客志向の技術探求
・顧客対応力、提案力
・社長のリーダーシップ、トップセールス、
機動性・意思決定の速さ
・現有技術の新分野への展開・応用、用途
開発
・中堅管理者、技術者の不足
・超精密微細加工技術への支持、技術発
揮可能領域の拡大←最終製品の小型化
・コストダウン可能なプレス加工への工法
転換に対する支持
・取引先の海外生産シフト、現地調達の強
まり⇒国内受注減少に拍車
・海外コンペティターの台頭、最終製品価
格の下落⇒コスト競争激化
O:機会
T:脅威
外部環境分析
経営課題と対応策
最大の経営課題:
●取引先の海外生産シフトによる受注減少、コスト競争激化
(背景:進出企業・現地企業のレベルアップによる競合激化、部品現地調達の進展)
●新規取引見込み先の中国シフトも進展⇒マーケットが中国に移っている
対応策・解決策
日本本社は?
・自社技術、資源の棚卸し
中国展開
⇒現有技術の深耕・高度化、成長分野へ
⇒新規取引先開拓、
の応用展開、および新たな技術を保有し
受注拡大
組合せ新市場へ展開
日本国内との相乗効果の発揮
・
中国で開拓し培った取引先との関係を、日本国内での取引に結びつける
・
日本では、取引先の新製品開発、工法開発、素材開発等の早い段階から関与し、提案型営
業で取引拡大
(3)販売先の状況、販売体制の現状と課題
販売先の状況
・
プリンターなど画像情報機器関連、カメラなど光学機器関連が中心
・
海外生産の一段の進展により、国内発注分は減少、新規は海外分が多い
・
特定企業への依存度合は薄れており、自動車関連(ブレーキ、緩衝器)の販売先も一部ある
が、電機・精密など IT 分野への傾斜が強い
⇒受注が不安定、短サイクル、常に不安がつきまとう
販売体制の現状
・
製品特性上、「顧客密着型」の販売体制
高い
顧客依存型
顧客密着型
製品密着型
顧客開発型
依
存
度
低い
標準化
適応度
カスタム
・
社長自らのトップセールスが販売・提案活動、新規開拓の中心
・
営業担当の社員は2名、既存先への営業・提案活動が中心で、新規取引先、特に従来と異な
る業種の新規開拓が十分でない
・
国内外の展示会に積極的に出展し技術を PR、商談につながる例も多い
販売体制の課題
・
新規取引先開拓の強化、取引先・業種の一層の多様化に注力する必要がある⇒受注の安定
化、リスク分散、技術の応用範囲拡大
・
大手セットメーカーへの直接営業は難しいため、一部商社ルートを活用⇒コスト高
・
先端技術は取引先との守秘義務契約があり、加工方法、加工サンプルを営業に活かせない
・
ホームページはあるものの、インターネットなど IT を活用した販路開拓には一段の取り組み余
地
・
技術提案型営業の強化、セールスエンジニアの確保が課題
(4)中国展開の経緯と現状
◆平成12年3月 香港現地法人設立<小松精密(香港)有限公司>
・
取引先をはじめとする大手メーカーの中国生産シフトに対応するため窓口確保
・
現在1名で営業活動展開
◆平成13年4月 中国・東莞市に生産拠点
・
香港企業との合弁の形で、中国・東莞市に生産拠点確保(委託加工工場)
・
現在従業員約40名
・
日本本社から技術指導のため技術者1名常駐
・
新規取引先を開拓中で、今後本格的に生産開始、事業展開予定
中国・東莞市にある当社生産拠点
3. 中国華南地域における精密プレス金型、部品の市場調査
(1)
大手メーカー、県内製造業の中国シフトの動向と背景
大手メーカーの中国シフトの動向と背景
・日本国内の需要低迷・飽和
海外生産シフトを
・グローバルな製品価格競争の激化
加速させる要因
・貿易自由化の一層の進展
・日本国内の割高な生産コスト、人材不足
◆投資先地域として中国が急増(新設・拡充)
・
研究・開発機能移転も含めた本格的・構造的なシフトが加速
・
ASEAN 拠点維持の一方、世界的な拠点見直しにより中国へシフトする動きも
・
WTO 加盟も好影響、今後も中国への進出意向は高い
中国シフトの背景
① 巨大な中国国内マーケットの魅力、中国国内販売狙う
② 集積機能のレベルアップ⇒調達可能部材の品質向上・範囲拡大、製品の短
サイクル化にも対応可能なスピード
③ 人件費、部材調達、インフラ利用など低コストで生産が可能
④ 質量とも豊富な人材(技術者、ワーカー)を確保できる
⑤ 投資環境の向上(インフラ整備、地域間の誘致競争、WTO 加盟)
新しい段階に入った県内製造業の海外シフト
◆目的は多様化しているものの、依然として多い「大手追随型」
・
取引先の海外シフトにより、受注減少、単価下落などの影響深刻化。対応策の1つとして中
国展開に活路を見出す
・
既存取引先からの受注の確保をメインに、コスト削減、新たな取引先開拓を組み合わせた
目的の進出が増加の兆し
◆進出地域は、中国に集中
(2)
中国の製造業集積の特徴
◆「集積が集積を呼ぶ」好循環で厚み増し、高度化
・
完成品メーカーの進出が部品メーカーの進出を促し、部品集積・高度化がまた新たな完成
品メーカーの進出を促す好循環
・
ハイテク化が進む一方、金型、表面処理、メッキをはじめとした基盤技術産業(サポーテリン
グインダストリー)の集積も進み、産業の裾野が拡大
・
華南地域では約5万社の部品メーカーがあると言われる
◆3つの大きな集積は、沿海部に集中
① 珠江デルタ(広東省・・・華南地域)
② 長江デルタ(上海市、江蘇省、浙江省周辺地域・・・華東地域)
③ 華北エリア(北京(中関村)、天津、大連など)
◆「世界の工場」化には外資企業が大きな役割・・・輸出、高付加価値化、技術向上
・
部品では香港、台湾企業、完成品(自動車、携帯電話など)では欧米企業が大きな存在
感。日本企業のウェイトはさほど高くない。韓国、シンガポール企業の進出もあるがウェイト
は小さい
・
欧米企業は現地化戦略で浸透、香港・台湾企業は同じ華人のため人脈に強み
◆中国ローカル企業も着実に進歩
・
形態を大別すると、①国有企業、②郷鎮企業、③私営企業
・
既に国際的な競争力を持つ家電等完成品メーカーが台頭、部品レベルも向上
◆外資、ローカル入り交じリ、競争が熾烈に
珠江デルタ(華南地域)
華北エリア
広州
東莞
シンセン
長江デルタ
香港
珠海
(3)
中国進出日系完成品メーカーの動向(現地拠点ヒアリングより)
◆欧米企業に比べて遅れているとされる「経営の現地化」に向けての取り組み強化
・
購買、設計・研究開発など機能移転・拡大、現地権限強化
・
幹部、マネージャーに中国人登用
・
現地一貫生産を志向、部品内作志向も根強い
◆労働集約的工程が依然中心、高性能設備導入など資本集約的な先端工場も増加
◆製品の高付加価値化進む
・
日本国内での普及もこれからという高付加価値品、先端製品の生産を中国で立ち上げる例
が増加(デジタルカメラ・テレビ、第三世代携帯電話、ノートパソコン、DVD プレーヤー・レコ
ーダー、PDP(プラズマディスプレイパネル)、液晶データプロジェクターなど)
◆世界への輸出拠点としての役割が中心ながら、中国国内販売を狙う企業が増加
・
華南地域企業では、大きな消費地である上海周辺の動向を注視している
・
華南地域から上海周辺地域への拠点シフトが顕著(特に台湾企業、当社取引
先の日系カメラメーカーもシフトの動き)
◆部材現地調達の一層の進展、部材調達先の脱日系化
・
人件費コストよりもコストダウン余地は大きい
・
日系部材メーカーの進出増加、香港・台湾メーカーの技術レベル向上により、日本からしか
引けない部材の範囲が狭まっている
・
コスト低い香港・台湾メーカーからの調達比率が高まっている。要求品質を満たすため技術
指導、生産管理指導を徹底
・
今後、より低コストな中国ローカル企業からの調達を進める意向が強い
◆EMS企業の活用(製造委託)積極化
・
部材調達権限が大手からEMS企業に移行する可能性
中国における賃金について
〔深セン市内のある香港系企業の例(月給)〕
一般工員 600∼800 元(約 1∼1.5 万円)
金型製作者 1,200∼1,500 元(約 2∼3 万円)
設計技術者 3,000∼4,000 元(約 5∼7 万円)
月給 8,000 元(約 14∼15 万円)の CNC プログラマーもいる
(4)
競合する香港・台湾部品メーカー、ローカル部品メーカーの動向、技術レベル
中国進出香港、台湾部品メーカーの動向
◆香港、台湾からの中国進出企業数は日系よりもはるかに多く、存在感が大きい
・
中国とは同じ華人圏のため人脈の面で強み
・
現地化に本腰が入っている、不退転の決意(工場敷地内に居住など)
例えば、東莞市の外資企業 1 万 3 千社のうち、55%が香港、27%が台湾、日本企業
は 9%(金額ベース)
◆「低コスト」を最大の武器に、日系部品メーカーと競合
・
大規模な工場・人員、新鋭の高性能設備導入、スケールメリットの追求
・
機械は通常 24 時間稼動、低コストの労働力もフル活用
◆コスト面に加え、品質、技術レベル向上で競争力アップ
・
品質改善への積極的な取り組みと、納入先の技術指導、技術顧問・コンサルタ
ント(日本人が多い)の導入が寄与
・
品質要求は厳しいが技術指導を通じて技術力向上が見込め、生産管理のノウ
ハウが学べるため、日系セットメーカーを販売ターゲットとする企業が多い
⇒大抵の部品は日系企業でなくても、できてしまう
◆スピード経営も大きな特徴
・
創業からのスピード、設備導入・工場新設の意思決定のスピードなどが速い
◆華南地域への進出が大勢ながら、上海周辺地域への進出活発化
・
台湾企業は台湾企業同士の結びつきが強い。完成品メーカーの上海周辺への
新規進出、華南地域からのシフトの動きに伴い部品メーカーのシフトが顕著
日本製の高性能大型プレス機を次々と導入
ワイヤーカット放電加工機も新鋭モデル
中国進出香港・台湾金型、プレスメーカーの強み
① 豊富な資金力を背景にした積極的な設備投資、新鋭高性能機械の導入
② スケールメリットによるローコストオペレーションの実現→部品によって異なるが単価は日系
企業比2∼3割安い
③ 技術力、品質向上への強い意欲(日本人技術顧問・コンサルタントの活用、納入先の技術指
導の積極受け入れなど)⇒技術レベル向上
④ 人脈活用(同じ華人経済圏)⇒有利に事業展開
⑤ スピード(事業開始後の拡大スピード、戦略意思決定のスピード)
⑥ 積極的な IT 活用(CAD/CAM、LAN、Internet(日本語ホームページ)など)
台湾メーカーの精密プレス部品
CAD/CAM を使いこなす設計技術者の賃金は高い
プレス加工の現場には若い女性が目立つ
仕上げの細かい手作業にも女性活用
中国進出香港・台湾金型、プレスメーカーの技術レベル
◆一部企業は日系と遜色ない技術水準、精密プレス金型・加工品分野で競合
・
日系、欧米メーカーを主要顧客にする一部企業では、納入先から技術指導を受け、技
術力が急向上し、日系レベルと遜色ないレベルに達している
・
こうした一部企業は、高性能機械を有し、日系大手からの受注が集中している「この機
械が入っていれば大丈夫」⇒一層のスケールメリットの発揮
・
部品によって異なるが単価は日系企業比2∼3割安い。多くはそれなりの品質である
が、総体的にみて技術レベルの向上は急速に進んでいる
・
比較的中物・大物が得意、プレス機 300∼400 トンクラスも導入
・
精密分野での競合先は現状、一部の台湾企業。こうした企業では、フィルム材加工も
手掛け日系カメラメーカーに納入するなど当社と真正面から競合
◆加工方法、設備の特徴、金型の精度
・
単発プレス加工が中心、一部企業では順送加工を行っている
・
技能、ノウハウの不足を高性能NC機械で補っている
・
金型製造は、ワイヤーカットによる加工がほとんど。高い精度が出る日本製、スイス製
機械が多くみられる
・
プレス加工機は、台湾製、中国製が中心であるが、一部日本製機械も導入している。
台湾製機械は精度向上している
・
部品精度により日本製機械のラインと台湾製機械のラインを使い分けている⇔機械で
出せる精度を理解している
・
人海戦術でバリを取り除く姿はみられない⇒金型の精度が良いことの証し
・
CADを活用した金型の設計、レイアウトに独自のノウハウ、強みの一端が感じられる
・
プレス加工機の回転(ストローク数)は速い(50spm以上)、金型の精度が高いため可
能と考えられる
・
金型標準ダイセットはあまり使用していない
・
金型の製造現場に熟練者は必要とされていない。組み付け、調整に技能、経験がさほ
ど要らないということは、金型パーツの精度が余程良いと考えられる(標準化できてい
れば経験が少なくてもできる)
・
不良品率は(工場内掲示板より)、日系企業よりやや高く、まだ甘い印象
※以上は、実際訪問した企業へのヒアリング、工場見学を基にまとめたものであるが、訪問企
業は中国進出香港・台湾企業の中でも技術レベルが高いと推察されることから、必ずしも全体
的な動向、技術レベルをあらわすものではない点に留意する必要がある
中国進出香港・台湾金型、プレスメーカーの弱み(日系大手へのヒアリングより)
・
「決められたことしかやらない」、マイナーチェンジ、予定量超過といった当初取り決めた事項
を上回る顧客の要請に対応できない⇒かえってコスト高になる
・
セットメーカーに対する提案力、ともに「作り込んでいく」姿勢が欠如
・
モノづくりへの情熱・執念、技術・技能の伝承、およびは技術開発、工法・材料開発では日系
企業が優る
・
今後、急拡大ゆえの「成長の壁」に当たる可能性もあると考えられる(重い設備投資負担、ス
ケールメリット追求の限界、採算割れコストで受注している可能性)
金型製造に携わるワーカーは平均 7∼8 年の経験
組み立て工程を持つ部品メーカーが多い
中国ローカル部品メーカーの動向、技術力(日系大手へのヒアリングより)
・
若い世代がこれまでとは異なるスタイルで経営にあたっている企業が多い
・
特に私営企業が急速に台頭している
・
全般にプレス金型、部品の技術レベルは上がっているが(特に汎用品)、精度の高い部品、金
型については、日系大手の要求品質を満たす水準には至っていない(訪問した日系大手に限
ってはローカル企業からの高精度部品の調達は皆無)
⇒精密プレス金型、部品に関しては、現状では日系と競合している状況にはない
・
ただし今後は、技術力向上に向けた積極的な取り組みと、納入先の技術指導などもあって急
速に技術レベルの向上が見込まれる
・
単価は日系部品比5割程度安い。ただし多くはそれなりの品質(金型の場合耐久性など)。一
段のコストダウン余力ある
・
プレス金型、部品に比べれば、プラスチック金型、成形品の技術レベルは日系に接近しつつ
ある(地場金型産業の集積地が中国内にいくつかある)
4. 中国における販路開拓に関する調査
(1)中国進出日系完成品メーカーの調達動向
●華南地域、上海周辺地域の日系完成品メーカーの現地拠点訪問、調達動向把握
◆調達動向の全体的傾向
・
コスト、スピードの点から現地生産品の調達が基本、地理的近接性も重視
・
部品メーカーに対するニーズは、「低コスト」最優先
・
さらなるコストダウン実現のため、①香港、台湾企業からの調達増加、②内作への転換のほ
か、今後、③中国ローカル企業からの調達を増やす意向
日系完成品メーカー現地拠点の精密プレス金型、部品の調達動向
主要品目
現在の部品調達状況
今後の方向性・課題
取引条件など
A社
モータ
(東莞)
現地調達率70%超(うち日系 中国ローカル企業から 3時間以内で調達
60%)
の調達ウェイト増加
できること
B社
カメラ
(東莞)
プレス部品は香港・台湾企業 絞り加工部品、薄物プ
からの調達が中心、ほとんど レス部品の現地調達安
定化
の部品が周辺で調達可能
―
C社
複写機
(東莞)
現地調達率90%弱、東莞・シ
中国ローカルからの調
ンセン周辺中心、日系のウェ
達ウェイトの増加
イト高い
―
D社
プリンタ
(深セン)
E社
時計
(深セン)
G社
プリンタ
(深セン)
部品のモジュール
常時調達先90社のうち9割が
小ロット部品(1∼2万台
化(2∼3年後には
華南地域内(片道2時間以
/月)の調達先確保
完全モジュール化)
内)
3年ほど前から調達先
日系以外からの調達が中
の「脱日系化」を進めて 調達は2社購買
心、プレス金型も日系以外
いる
現地調達率95%(数量ベー
ス)、部品の4分の3が外作
―
30分圏内に立地、
現地での金型製作
汎用プレス部品は中国ロー
カル中心、一部台湾企業か レンズ金型の現地調達
現地での金型製作
ら外部調達、華南地域からも 化
調達
使用部品の5割が外部調
調達は必ず2社競
J社 自動車部
達、コスト・効率性から内作 外部調達費は抑制傾向
合
(上海) 品
強化
3時間圏内が限
現地調達率は金額ベースで
電子部品の現地調達率 度、華南地域から
K社 センサ、タ
15%程度、プレス部品は多
では現地調達にな
向上
(上海) イマ
種少量
らない
I社
カメラ
(上海)
(2)中国における販路開拓活動の成果と課題
●日系完成品メーカー現地拠点に対する販路開拓活動
・
華南地域、上海周辺地域の約20社訪問
・
当社パンフレット、部品サンプルを示しながら、内・外作の別、現在の調達先、調
達ニーズ、条件、今後の方針等をヒアリング、当社製品・技術の需要見込みを把握
販路開拓活動の成果
・
商談にまで発展している例はないが、訪問企業のうち数社とは引き続き接触中
・
当社の華南地域進出は遅い部類に属するが、現状では、精密プレス金型、部品の競合先は
日系および台湾企業の一部に止まっているため、チャンスはある
・
当社は、現地競合先との差別化の“切り札”となり得る高い技術を有している
・
今後中国製製品は高機能化、軽薄短小化することが見込まれ、当社技術が発揮できる領域
の拡大が期待できる
⇒基本的には、当社製品の中国における市場性(需要)はある。当社の強みを生かすととともにタ
ーゲットを明確化すれば、むしろ日本より販売機会は多いと認識される。ただし、以下の条件を
満たす必要
販路開拓にあたっての課題、条件
・
実際の受注獲得に至るには、下記の課題、条件に対処しクリアしていく必要
競合先に打ち勝つコスト競争力、プラス高品質、高付加価値の実現
日本と同じ高精度精密プレス加工品、金型を現地で作り供給する必要
① 日本本社と同様の高精度の精密プレス加工品で勝負していくことが必要
② 日本からの輸出ではなく、中国現地で生産することが条件
③ 金型についても、変更、メンテナンスなどいちいち日本とやり取りしていたのでは時間がか
かりすぎるため、中国現地で作る必要がある
④ 現地での競合先と、まずは価格で競争し打ち勝っていく必要がある
⑤ 価格競争をクリアした後、納期、品質や付加価値の競争となる
⑥ コストダウンに対応し、かつ付加価値を高めることのできる生産システム、およびそのため
の人材の確保・育成を図っていく必要がある
⑦ これを実現するためには、技術指導体制を整備するほか、内部管理体制を構築するなど、
現地拠点の機能高度化を図る必要がある
(3)展示会への出展活動(中国現地企業への販路開拓)
◆調査期間中、香港、上海、深センで開催された部品展示会・見本市に出展
・
中国内開催の展示会の方が有効と認識
・・・香港は大手メーカーのIPO(国際調達拠点)として依然大きな役割を果たしているが、中
国工場へ購買機能が移転していることなどから、見本市開催地としての有効性が中国に
移行しつつある
・
展示会で引き合いがあった大手と商談進行中のケースもあり、販路開拓の有力な手段と位
置付けられる
・
有効な商談のためには現地に拠点を有していることが必要
・
上海では中国ローカル企業から引き合いあったが成約に至らず、課題を残した
◆展示会出展に合わせ、中国語版の会社案内パンフレットを新たに作成し、活用
調査期間中の現地展示会出展活動
名 称
アジア国際工
香港MEX 業器材展覧会
2001
Inter
第10回中国国
Electronics 際電子部品展
China2001 覧会
場所
期間
香港
2001年8月29
日∼9月1日
2001年11月
上海
21日∼24日
深セン国際電
2001年12月5
深セン「逆
気・電子部品調 深セン
日∼7日
見本市」
達展示会2001
香港MEX∼県もバックアップ
出展者数
来場者数
―
―
約140
約11,000人
(うち当社
ブース来場
400人)
約60
成果等
日系数社とのコン
タクトあり
上海周辺のローカ
ル企業を中心に8
社より見積り依頼
あり
出展していた大手
に対し70点ほど見
約15,000人
積り提出→フォ
ロー中
上海展示会∼高い精密部品への関心
(4)日系完成品メーカーのニーズ集約と対応
日系大手完成品メーカーのプレス加工部品、金型に関するニーズ集約
● 基本は現地調達
・
現地で調達できる企業を探す⇒探せば大抵はある⇒なければ技術指導して作ら
せる、または設計でカバーする
・
スピード対応のため、地理的な近接性も重視(2 時間圏内程度)
● コスト最重視ながら、一部に品質重視の動き
・
「コスト」で調達先を“一次選別”→結果として香港、台湾企業のウェイト上昇→今後
はさらにローカルメーカーからの調達増やす意向
・
一部企業では、「品質」重視の姿勢に戻りつつある
・
香港、台湾メーカーに対する信頼感が十分でないこともあって、できれば日系部品
メーカーとコミュニケーションを取りながら、良いものを作って行きたいとの潜在的ニ
ーズがある
● 金型についても現地調達のニーズ強い
・
スピード対応のため現地生産の精密金型に対する需要は強い
・
金型外販(売り型)に対する需要も強い
● プレス加工品に関しては、単品納入では厳しい
・
プレス単品でも超精密部品、絞り加工部品等のニーズは比較的高い
・
部品ユニット化(複合化)、または製品自体の生産委託(OEM、EMS)のニーズが高
まっている
・
フィルムプレス加工品に対するニーズは、現状、カメラなど一部品目に限られる
ニーズ対応の成果
日系S社のニーズ(ユニット化)を他企業との連携によって満たし、新規受注獲得に至った取り組
み事例
・
S社中国工場では、部品の現地調達率を高めるべく、現地で部品を探していた
・
取引の条件は、①現地生産、②ユニット化(金属プレス加工部品とプラスチック成形品の複合
化)だった
・
これに対応するため当社では、当社中国拠点近くの日系プラスチック成形メーカーに話を持ち
かけ、ユニット化を実現させた。現在生産を開始している
・
当初の受注量は少ないが、今後S社工場の能力増強により拡大が見込めるほか、別の部品に
ついても相談を受けるようになっている
5. 販売戦略(アクションプラン)の策定
(1)
中国における販売戦略
販売戦略の基本スタンス
◆日本での取引関係にとらわれず新たな取引先を開拓・拡大する
⇒中国で開拓し培った新規先との関係を日本で発展させる(相乗効果の発揮)
◆取引先、業種の多様化を図る
◆ターゲットは、日系企業に限定しない。現地に進出している欧米企業、香港・台湾
企業、および中国ローカル企業も対象とする
◆基本的に販路開拓は自力で行う
・
顧客密着により情報収集、技術提案などを強めるためにも、商社等に任せるの
ではなく、自ら直接営業、展示会出展などで販路を開拓する
・
但し日系以外のメーカーへの販路拡大には販売面のパートナーが必要
◆価格競争力をベースに、付加価値の高い製品・サービスで差別化し勝負する
差別化ポイント
競合先との価格競争力が前提、プラス高機能、高品質
・
当社の「薄板加工」、「微細穴加工」、「フィルム系新素材加工」、「工法
転換提案」は差別化の切り札となり得る技術
顧客密着型提案営業、デザイン・イン
ニーズ対応力、問題解決力などトータルソリューション力発揮
迅速なニーズへの対応
他企業との連携による高付加価値化(部品ユニット化など)
珠江デルタと長江デルタ∼プレス加工品の販売からみた特徴比較
◇ 華南地域は、複写機、プリンター、パソコン、モーターなど IT 関連メーカーの厚い集積に伴って、
プレス部品メーカーの進出が多く、コスト競争が激しさを増している。完成品メーカーにとっては、
ほとんどの部品が周辺で調達できる「買い手市場」
◇ 上海周辺地域は、自動車、半導体、携帯電話など完成品メーカーの大規模工場の集積に特徴が
ある。精密プレスメーカーの進出は比較的少ないため、販売機会は多い。しかし、金型も含め内作
化している大手が多いほか、最近では台湾プレスメーカーの進出が顕著で、今後競合が激しくな
ることが予想される
具体的な販売戦略
◆当面の販売ターゲットは、日系企業に絞る
・
現状では、当社技術、提案力を活かせる対象として日系完成品メーカーが最適
◆まずは低価格で勝負、プラス高品質と高付加価値で差別化
・
“第一関門”となる価格競争力を高め、競合先に打ち勝っていく
・
その上で、高品質、ニーズ対応など高付加価値で差別化、他企業とも連携
・
まずは受注を確保し、その後、新製品開発などに関与しトータルで利益を確保
◆中国内で開催される部品見本市・展示会を販路開拓手段として積極的に活用
・
顧客への直接営業に加え、展示会を販路開拓の有力なルートと位置付ける
・
現有技術の新用途、新分野への展開を模索するため、これまでとは異なる業種、分野の展
示会への出展も検討する(自動車部品、医療機器関連など)
・
必要に応じて、商社等外部のルートの活用を検討する(半導体関連など)
◆当面は地理的に近い華南地域で販売先を開拓
・
地理的な近さを重視する大手のニーズも満たせるため、東莞市、深セン市を中心に取引先
を開拓する
・
上海周辺地域は日系大手のシフト動向など継続的に情報収集する必要
◆販売先としての中国ローカル完成品メーカー、EMS企業、部品商社の動向注視
・
中国ローカルメーカーへの販売は、現状では①当社ほどの精密部品の需要は少なく、②代
金回収問題もあって、時期尚早。香港・台湾企業も同様の懸念からローカルとの取引は敬
遠傾向。ただし今後は、製品の高機能化が進むため、当社の技術が発揮できる領域が拡
大する可能性
・
欧米系、日系完成品メーカーは、大手EMS企業に生産委託する傾向が強まっている。今
後、部品調達権限がEMS企業に移行する可能性もある
・
部品商社も、半導体関連を中心に部品キッティング事業(部品を集め大手に提案)の展開
を本格化しているほか、自ら製造機能を持つ動きがある(一部はEMS化)
(2)
今後の中国における事業展開
中国における事業展開の方向性と課題、対応策
経 営
◆ 現在より自由度の高い経営形態(委託加工、または独資)への転換を検討
◆ より良い立地の検討(華南地域内での検討、上海周辺地域も視野に)
◆ IT を積極的に活用
・
①インターネットを当社技術 PR、販路開拓の一手段として活用、②情報共有、意思決定
迅速化を通じた競争力向上・・・日本本社と香港現法、中国拠点との間、及び取引先との
間の情報円滑化
◆ 現地への機能移転、権限委譲を進め、最終的には現地完結型の経営を目指す
生産システム
◆ コストダウンに対応し、かつ高品質で付加価値を生める生産システム整備
・
高付加価値で勝負するにも、まずはコスト対応力を高め競合先に勝つ必要(今後ローカ
ル企業が台頭してくるとコストはまだ下がる)
◆ 今後の受注増加に対応し得る生産体制作り
◆ 機能移転・高度化
・
金属小物の加工から始め、順送加工、フィルム材加工、金型製造・設計など順次現地で
手掛けていく
◆ 他企業との連携
・
異業種企業との技術補完(→ユニット化など)、同業企業との連携
・
金属材料、熱処理、メッキなどの最適調達体制を構築(常に動向把握)
◆ 大手のニーズに対応すべく、当社単独でも、プラスチック成形、アッセンブルの機能を持つこと
を検討
人材・ネットワーク
◆ 中国人の管理者・技術者の確保、責任と権限の付与(範囲の検討、コントロール)
◆ ワーカーの確保と技術指導
・
ノウハウ、技術定着のためのしくみづくり←高い離転職率との兼ね合い
・
適切なインセンティブの付与、動機付け、中堅幹部への登用
・
一方で、技術の全面的流出防止についての検討(工程細分化など)
・
将来的には日本からの技術者派遣は極力減らす
◆ 外部機関の活用などネットワーク重視、信頼できるパートナーの確保
・
販売面でのパートナー
・
行政、通関など当局との折衝ができる人材、人脈の確保
・
外部コンサルタント・アドバイザー活用の検討(特に法務、税務面)
(3)
今後の日本における事業展開
方向性
◆中国拠点との役割分担を明確にし、共生を図る
・
中国拠点の機能高度化を図る一方、日本本社は「常に一歩前」を行く必要
・
中国に「出す技術」と、「出さない技術」の仕切りが必要
・
中国華南地域の今後の方向性、大手の動向などを掴み、戦略的に意思決定
◆自社資源(技術、人材など)の棚卸し⇒強みの強化と弱みの補完
・
伸ばすべき部分の見極めと重点配分・・・コア技術の強化、熟練技能の継承
・
生産体制を見直し、中国拠点以上に生産性を上げ高付加価値化を図る
・
内部管理体制、人材育成の強化
◆外部との連携・ネットワークの一層の活用、パートナーシップの構築
・
自社で持つべき資源、技術の明確化と、不足する部分は外部資源を活用
◆技術提案型営業の強化、IT 活用で新たな取引先、分野を開拓
・
技術の応用分野、可能性が掴みきれない現状では、自社技術 PR の場、大手メーカーとの
接触の場を一層拡大する必要(ホームページの拡充(英語版および中国語版)、これまでの
顧客とは異なる業界、業種の展示会・見本市出展など)
技術を伸ばす
◆技術の高度化・深耕、応用、及び新技術保有による新たなマーケットへの展開
①技術の高度化・深耕と、技術を活かし成長分野に応用展開を図る
②新たな技術を保有し、現有技術と組み合わせることによって、新たなマーケットへの展開を図
る
現有技術の高度化・深耕
・取引先からの新製品、新材
料、加工法などの情報収集、
対応
組み合わせ
応用展開
現有技術が活かせる成
長見込み分野に展開、
用途開発
+
工法転換を提案
新たな技術の保有
例えば、
・三次元形状成形技術
(シートメタルの精密鍛造技術など)
・精密モールド成形技術
新たなマーケットへの展開
様々な分野の複雑形状機能部
品市場への展開
・自動車関連分野
・医療用マイクロマシン関連分野
など
6.(株)小松プレシジョン社長コメント
今回の調査において、一段と中国の変化の速さを痛感しました。特に台湾、香港系
の大陸での事業の拡大、技術レベルの高さに目を見張るものがあります。又、日系セ
ットメーカーも目を向けているローカル企業も相当な力をつけてきていることも確かで
あります。台湾、香港系の会社で技術を習得した技術者が独立し会社を起こしてい
る、エッと思うくらい若い社長が多い、現場で長い経験を積んでいるわけでもない、そ
れはプレス加工において一番大事な金型製作にあると思われます。設計においては
CAD、部品加工についてはコンピュータ制御の NC 機械をそろえていることです。きち
っとしたレイアウトさえできていれば相当なレベルまでの部品はできてしまうのが現実
です。
急速に発展してきた現状でただひとつ違うのは、我々が言う熟練者、職人がいない
ことではないかと思います。いくらすばらしい機械があってもやはり長年の経験による
肌で得た技術は必ず必要となります。しかし今日の中国でそこを補っているのは日本
人の熟練者、職人さんであります。全ての業種でそうだとは言えませんが多くの日本人
が指導しているようであります。この現実は我々にとっては脅威であります。弊社は光
学部品のウェイトが高いのでそのような立場で見た所感ですが、このような状況が続く
限り国内では、今後益々受注の減少、価格競争等厳しい状況になるのではないかと
思われます。だから海外に出れば良いというものではありません。どんどん生産が大陸
へシフトされている今日、「見ていなさい、そのうち国内に戻ってくるから」という言葉を
時々聞きますが今の大陸の勢いでは考えられません。法的にどのようになるか疑問は
ありますが。
弊社においては、中国での生産活動をするにあたって、いかに大陸メーカーに価格
で勝負できる生産システムを確立できるかにあると思います。このことを肝に銘じ今後
受注拡大に励んで参りたいと思います。
最後にこのような機会をいただけましたこと、関係者の皆様に深く感謝申し上げま
す。