第27回議事録 - 通称:宇宙法研究所

第27回宇宙開発委員会議事録
1. 日 時 平成13年7月18日(水)13:56~15:19
2. 場所 経済産業省別館827会議室
3. 議 題
(1)
アリアン5ロケットによる衛星打上げに関する不具合について
(2)
(財)日本宇宙少年団の活動と夏季行事について
(3)
再使用型ロケット実験機、第2回離着陸実験(RVT-6)の結果について
(4)
評価指針特別部会報告について
(5)
その他
4. 資 料
委 27-1
アリアンスペースフライト142
委 27-2
YACの活動と夏季行事
委 27-3
再使用型ロケット実験機、第2回離着陸実験(RVT-6)の結果に
ついて
委 27-4-1 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針
委 27-4-2 宇宙開発に関するプロジェクトの評価指針のポイント
委 27-5
第 26 回宇宙開発委員会議事要旨(案)
5. 出席者
宇宙開発委員会委員長 井口雅一
宇宙開発委員会委員
長柄喜一郎
〃
栗木恭一
〃
五代富文
アリアンスペース社東京事務所代表
ジャン・ルイ・クロードン
アリアンスペース社東京事務所副代表 高松聖司
(財)日本宇宙少年団理事長
松本零士
(財)日本宇宙少年団専務理事 岩崎信夫
文部科学省宇宙科学研究所
稲谷芳文
文部科学省研究開発局技術評価推進官 澤邊正彦
文部科学省研究開発局宇宙政策課長
芝田政之
6. 議事内容
【 井口委員長 】
それでは、第27回の宇宙開発委員会を始めさせていただきます。
本日は、3件の報告と、それから、1件、了承を得たいことがございます。
それでは、最初、議題の1番目でございますけれども、「アリアン5ロケットに
よる衛星打上げに関する不具合について」、アリアンスペース社の東京事務
所の代表でありますクロードンさんと副代表の高松さんに来ていただいてお
りますので、お話を承りたいと思います。それでは、アリアンについてお話を
伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【 クロードン代表 】
今日はできるだけ短い時間を使って簡単に御説明したいと思います。情
報も少ないので、あるだけ情報を使って御報告したいと思います。
【 高松副代表 】
アリアンスペースの高松です。アリアン・フライト142、アリアン510です
けれども、先週の金曜日に打ち上げたんですが、目標軌道に達することが
できませんでした。今、あまり情報がありませんけれども、現段階でわかっ
ていることを御説明したいと思っています。
今回の事故はアリアン5で起こったわけですが、アリアン5の現状はどうな
っているかと言いますと、アリアン5は、初飛行が1996年に行われました。
開発飛行試験は3回行われまして、98年の3回目のフライトの後でクオリフ
ァイされまして、商業運用は4号機から、いわゆる504と呼ばれる打上げか
らが商業運用になっております。それが1999年の末からのスタートですけ
れども、今回の失敗があったのはフライト510ということで、商業打上げの7
回目、商業打上げとしては初めての失敗になります。アリアン5全体で見る
と10回目の打上げということになります。
アリアン5で打ち上げられた日本の衛星は、今回510ですけれども、その
前の509、そのもう一つ前の508と、日本のペイロードが3つ続けて搭載さ
れておりまして、最初は、それは商業打ち上げというよりは日欧の協力だっ
たわけですが、NASDAさんの展開アンテナ実験ペイロード、その後、B-S
ATさんのB-SAT-2a、今回のB-SAT-2bということになります。
簡単にアリアン5の機体構成について御説明いたします。アリアン5は2
段式と言うべきか、3段式と言うべきか、ちょうどその間ぐらいにあるもので
すけれども、非常に大きいコア・ステージという液酸・液水のエンジンを積ん
だステージがあります。その両側にかなり大型のEAPと呼ばれる固体ブー
スタが搭載されておりまして、上段部としてEPS、これはフランス語になって
いますけれども、ストアラブル・プラペラント・ステージということで、液酸・液
水を使っているコア・ステージとは違って、いわゆるヒドラジン系の常温貯蔵
型の燃料を使っている上段部というような形になります。打上げのときは推
力の90%ぐらいを固体ブースタで出します。まず、この液酸・液水のヴァル
カン・エンジンに点火をして、燃焼の安定を確認した後、固体ブースタに点火
をして、リフトオフというシークエンスになりますけれども、実際に地上付近で
推力を発生しているのは、ほとんどがこのEAPと呼ばれる固体ブースタで
す。したがって、このEPCというのは、フライト中に点火してもいいんですが、
液酸・液水エンジンなので、点火が非常にデリケートだということで、地上
で 点火をしてリフトオフとなります。したがって、機体構成としては2段式に
固体ブースタがついたというふうにも見えますけれども、軌道設計の観点か
ら言うと、1段目がEAP、固体ブースタで、2段目がEPC、3段目がEPSと
考えることもできます。
今回の打上げ形態ですけれども、2衛星同時打上げ形態をとっておりまし
て、これがフェアリングの部分です。フェアリング内の上側に欧州宇宙機関
のアルテミスという衛星が搭載されました。シルダ5と呼ばれる2衛星同時
打上げの装置を介して、この中にB-SATさんのB-SAT-2b衛星を搭載
するという2衛星同時打上げ形態で打上げを行ったわけです。
アルテミスの打上げ時重量が3100キログラム、B-SAT-2bが1298
キログラムということですから、両方足し合わせても4.5トンに満たない。アリ
アン5は2衛星同時打上げで6トン近い打上げ能力がありますので、この打
上げ能力の余裕というものは、投入軌道をエネルギーの高い軌道に投入す
るというような形で行われました。
2つとも、静止衛星に最終的になりますけれども、ロケット側といたしまし
ては、その静止軌道に達する前の静止トランスファ軌道と呼ばれる楕円軌
道に投入するわけです。高い方の遠地点高度が大体3万6000キロで、静
止軌道とほぼ同じ高度、近地点高度と軌道傾斜角が、通常のアリアン5の
打上げですと、近地点高度が大体560キロメートルぐらい、軌道傾斜角が7
度ぐらいなんですが、今回パフォーマンスに余裕があったので、軌道傾斜角
を2度まで倒して、しかも、近地点高度を858キロメートルまで上げるという
軌道を目標軌道のパラメーターとして設定いたしました。
この打上げの打上げウインドウは、クールー時間、南米フランス領のギア
ナ、クールーというところから打ち上げますけれども、ここで7月12日木曜
日の午後6時58分から8時30分というのが、打上げウインドウとして設定さ
れました。クールーと東京の間にはちょうど12時間の時差があります。ちょ
うどこの裏がクールーになるわけですけれども、東京時間で7月13日の午
前6時58分から8時30分というのが打上げウインドウです。
実際、フライトで起こった状況について御説明いたしますが、まず、リフト
オフは日本時間7月13日の午前6時58分、つまり打上げウインドウが開い
た瞬間にリフトオフいたしました。リフトオフまでの打上げ準備はすべて順調
で、ロケット系、衛星系、天候地上系、オールグリーンの状態で、6時58分、
ウインドウが開くと同時のリフトオフは非常にスムーズでした。
その後、固体ブースタとコア・ステージの燃焼のフライトに入るわけですが、
固体ブースタEAP、それから、その後のコア・ステージのEPCのフライトはと
もに正常でした。EAPは燃焼時間が大体2分半ぐらいありまして、固体ブー
スタを分離。その後、EPCは大体トータルで10分ぐらい燃えるんですけれ
ども、これも順調に軌道を上昇していきまして、EPCのフライトが終了した段
階で、EPCと上段のEPSを分離する、これも正常に行われました。
この後、上段のEPSの点火ということになるわけですが、EPSを点火して
3秒後に燃焼圧の異常が認められました。推力を直接はかれないので、燃
焼室の圧力をはかっているセンサーがあるわけですが、このセンサーはリ
アルタイムでこのデータを見ていますが、これが大きく振動するような、そう
いうふうな兆候を見せました。その後、この燃焼圧のテレメータが途絶したと
いう情報もあるんですが、これはまだ未確認です。
燃焼圧の異常はあったんですけれども、ロケット自身は加速を続けており
ますので、上段エンジンは点火はしているということで、フライトは続けたん
ですが、テレメーターデータによると、酸化剤と燃料の混合比がおかしい。そ
の結果、推力が規定値に達しませんで、規定値の80%の推力で飛行を続
けるというような形になりました。
オンボードコンピュータは、一定推力に達しないということを感知いたしま
して、80%の推力で軌道回復をするように誘導則を組み直して、フライトを
続けたわけですが、予定燃焼終了時間の大体80秒ぐらい前に、上段エン
ジンが停止いたしました。これはオンボードコンピュータが目標軌道に達し
たということで、点火停止コマンドを送って停止したわけではなくて、おそらく
は酸化剤あるいは推進剤、どちらかわかりませんけれども、なくなってしまっ
たということで、センサーが、もう燃やすものがないという情報を出しまして、
停止シークエンスに入るというような形で停止が行われたわけです。
推力が規定値より20%少なかったことと、燃焼停止が予定秒時の80秒
前だということで、当然、速度ロスがあるわけですけれども、秒速500メート
ルぐらいの速度ロスがありました。秒速8.5キロか8.6キロくらいまでは行っ
たんですけれども、少し足りなかった。
ただ、軌道速度には達しておりましたので、実際の目標軌道には到達しま
せんでしたけれども、低い軌道に投入されました。したがって、ロケット側は
この低い軌道に衛星を投入するという作業を行うシークエンスに入りまして、
まず上側に乗っているアルテミスを分離、その後、B-SAT-2bをカバーし
ているシルダ5を分離して、B-SAT-2bを最終的に分離したというような
形でミッションが終了しております。
速度が足りなかったということで、低い軌道に入ったということなんですが、
低い軌道というのはどれぐらいかといいますと、近地点高度が予定で858
キロに対して592キロメートル、遠地点高度は予定の大体半分ぐらい、約3
万6000に対して1万7500ぐらい、軌道傾斜角が2度まで倒さなくてはい
けないところを2.9度というエネルギーの低い軌道に投入されたわけです。
この問題があったのはEPSと呼ばれる上段部であることは明らかなんで
すが、このEPSというステージはどういうふうになっているかといいますと、
これがEPSの全体像なんですが、縦方向に非常に短いステージになります。
ここにエスタスというエンジンが搭載されていて、そのノズルが見えますが、
このエスタスエンジンのノズルを囲むように4つの大きな球形タンクと黒い小
さな球形タンクが2個あります。これは衛星のアポジエンジンなどに使われ
ている2液混合型の自己着火のタイプでして、この4つある大きなタンクのう
ちの2つは、燃料としてモノメチルヒドラジンを搭載して、あとの2つは、酸化
剤である4酸化2窒素を搭載しています。こちらが燃料のタンクで、こちらが
酸化剤のタンクです。
ここに燃焼室があるわけですけれども、この燃料、酸化剤を燃焼室に送る
メカニズムというのは非常にシンプルで、ここに黒い小さなタンク、これはヘ
リウムの加圧タンクですが、ヘリウムで液面に圧力をかけて、燃焼室に燃料
と酸化剤を送る、いわゆるガス圧方式と呼ばれるもので、ターボポンプのよ
うな回転機械が何もない、非常にシンプルなものです。
現在わかっているテレメーターデータですと、このヘリウムタンクからの圧
力のかかり方は正常であったというふうに報告されておりますので、ここか
らこの間のどこかで問題があった。原因はまだわかりませんが、現象として
はこの間で問題があったというところまでが明らかになっております。
今後の予定ですけれども、7月、これは現地時間で書いておりますが、日
本時間は13日ですけれども、現地時間7月12日に事故が発生いたしまし
て、これが木曜日ですけれども、翌月曜日の7月16日に技術調査委員会
が設立されております。お手元の資料の2ページ目に、技術調査委員会の
メンバーのリストがあります。テレメーターの解析にはこれから入るわけです
が、8月の上旬に最初の報告を行うということをめどに作業を進めていくとい
うことになります。
したがって、今後はテレメーターの解析と技術調査委員会の報告を待た
なくてはいけないわけですが、アリアンスペースの方針で非常にはっきりし
ておりますのは、透明性確保、信頼性、柔軟性の重視、それから商業打上
げ志向ということで、我々は活動のすべてを商業打上げに依っています。こ
れを誤解されないように説明するのは難しいんですが、失敗というのはあっ
てはいけないことなんですけれども、今の技術レベルでは「ある」ということ
も考えなくてはいけない。したがって、失敗そのものも、そのリカバリーも、
我々の仕事の1つであるという考え方にのっとって、ユーザーへのインパク
トがミニマムになるような手段を講ずるというのが、アリアンスペースの基本
的な方針となります。
したがって、具体的にはユーザーサイドから見てビジビリティーといいます
か、透明性が確保されるということと、当然、信頼性を第一番に考えることは
申すまでもありません。それから、事故の影響というのは必ず出るわけです
けれども、商業打上げとそれからユーザーの利益ということを考えて、でき
る限りの柔軟性を発揮するということが重要になります。まとめて言いますと、
商業打上げという作業の中でリスクをミニマムにするということで事故対策
に挑むという考え方は、これまでのアリアンスペースの考え方ですし、これ
からも変わることはありません。
次の打上げですけれども、もともとのマニフェストですと、8月23日にイン
テルサットの902をアリアン4で打ち上げることになっておりました。今回の
事故原因は、アリアン5の上段エンジンということがはっきりしておりまして、
アリアン4とは技術的には相関がありませんので、8月23日のインテルサッ
ト902の打上げは予定どおり行うということで、現在、打上げ準備作業を進
めております。
今日現在わかっておりますのは、以上になります。
【 井口委員長 】
どうもありがとうございました。それでは、御質問、御意見がございました
ら、お願いいたします。
【 芝田課長 】
アルテミスは独自の推進力を持っていて、軌道投入を試みるというふうに
報道されていますけれども、それはもう始まっていて、今やっているところと
いうことですか。
【 高松副代表 】
我々はわからないところなんですが、ロケット側の作業というのは分離を
した段階で終わってしまうので、低い軌道から最終軌道に到達する手段とい
うのは、ユーザーと衛星メーカーとが議論することになります。ロケット側は、
できることがあれば何でも手伝うんですが、基本的には分離した後は、ロケ
ットはもうなくなっているので、手伝えることがありません。
【 クロードン代表 】
ただし、メーカーであるアレニア・スパシオと欧州宇宙機関の話によります
と、GEOには到達できそうだが、どのぐらいの寿命が残るのか、が問題だと
言っていました。インフォーマルな話ですけれども。
【 栗木委員 】
私、個人的にアルテミスに積まれているイギリスのイオンエンジンと、それ
から、ドイツのリタ10でしたか、リタだったと思う。これはかなりヨーロッパに
とっては大きな試験ではないかなと思ったんですけれども、この2つのシス
テムは健全に働いているんですか。まだそこまではわからないのでしょう
か。
【 高松副代表 】
まだわかりません。
【 栗木委員 】
これから火を入れるというところですか。
【 高松副代表 】
こちらの情報は先週、日本時間の金曜から夜の真夜中の情報ですけれ
ども、ESAのチームは、イオンエンジンなどを搭載しているので、トータルで
考えたときにこの衛星はフレキシビリティがあり、したがって、それを最大限
に使ってミッションを最大限に確保できるようなメニューをこれから考えるん
だ、と言っておりました。
【 井口委員長 】
お答えになりにくいかもしれませんが、こういうことがあると、保険料など
は上がる可能性はあるんですか。
【 高松副代表 】
非常にいい質問だと思います。先ほど透明性、信頼性、柔軟性が重要だ
と言った点なんですけれども、保険料に影響が出る可能性はあります。しか
し、今、例えばアリアン4は非常に信頼性がある。世界で最も信頼性がある
と言われていますけれども、その信頼性でも97%ないしは98%、つまりほ
かの交通機関と比べるとはるかに事故率は大きいということになります。し
たがって、ユーザーである衛星のオペレーターも、衛星メーカーも、それから
保険会社も、プロフェッショナルなので、事故は避け得ないという前提でビジ
ネスを行っています。
そうすると、事故そのものが起こったということに対して反応するのではな
くて、その事故が起こった後の対策をどういうふうにとるか。どういったフレ
キシビリティーを見せて、打上げの遅れをミニマムにして、どういった透明性
を確保して保険会社に説明をするかというのが、保険料を上げるか、上げな
いかという決め手になりまして、アリアン4は、信頼性があると言いながらも
事故の経験が我々ありますけれども、事故があったということで保険料が上
がったということはありません。逆に、中国の長征が、今は少しよくなったん
ですけれども、信頼性を少し犠牲にして低価格で参入してきていたときは、
事故が何回か続いたことがあって、そのときは保険料率があっという間に1
0%、20%、30%となって、最終的に付保不能ということになって、中国自
身もたしかIAFのときだったと思うんですけれども、これからは必要な投資を
行って信頼性確保に努力するということになって、また回復したということで
す。したがって、保険に対する問題というのは、事故そのものというよりも、
その前後の会社としての対応の仕方によって上がる場合と上がらない場合
があります。
【 五代委員 】
EPSの実績はどのぐらいありましたか。
【 高松副代表 】
フライト実績ですか。
【 五代委員 】
ええ。
【 高松副代表 】
フライト実績は9回ですね。10回打ち上げましたけれども、最初の1回は
EPSに点火する前に事故を起こしておりますから、502から510までと。
【 五代委員 】
だけど、EPS自身は全くの新規開発じゃなかったのではないでしょうか。
【 高松副代表 】
モノメチルヒドラジンと4酸化2窒素の組み合わせというのは、アリアン1の
時代から……。
【 五代委員 】
全部使っていましたね。
【 高松副代表 】
ええ、第1段、第2段、液体ブースタは全部そうなので、そういう意味では
エンジン機数で言うと、まあ、同じ構造ではありませんが、アリアン1からの
ときはバイキングと呼ばれるエンジンでしたけれども、これは1000機以上
飛んでいます。
【 クロードン代表 】
システムとしてかなり違いますけれども。
【 井口委員長 】
アルテミスが計画軌道に乗った、乗せることに成功した、とかいったことは
どこかから正式な発表があるんでしょうか。
【 塩満室長 】
これはESAのプロジェクトですので、ESAの方から情報を得るべきもので
す。
【 五代委員 】
実際にはそのための解析をして、どういうふうにアクションをとるか決めて、
それでアクションを始めるというまでに時間がかかるんですね。ただ、いろい
ろなことで時間的余裕があるかないかということも関係してきますが。
【 クロードン代表 】
バン・アレン帯を通っていますから、10日間あるかないかというぐらいの
話です。
【 五代委員 】
ええ、だからこの何日間が、皆さん、一番頭を使っているときですね。
【 クロードン代表 】
今、最適化をやっているんじゃないかと思います。
【 高松副代表 】
衛星そのものは、分離した後、ちょっと時間がかかるということで、すぐセ
ーフモードに入れて、セーフモードで2機とも飛んでいますから、軌道は低い
んですが、完全にユーザーのコントロールには入っています。
【 栗木委員 】
太陽電池はもう広げた状態で。
【 高松副代表 】
アルテミスは広げたと思うんですけれども、未確認です。
【 井口委員長 】
B-SATの方はどうなんですか。
【 塩満室長 】
B-SATは今、技術的な検討をしているところで、現在得ている情報では、
かなり悲観的です。
【 井口委員長 】
ほかに御意見はございますか。よろしゅうございますか。それでは、どうも
ありがとうございました。
次の議題に移らせていただきます。「財団法人日本宇宙少年団の活動と
夏季行事について」、財団法人日本宇宙少年団の理事長の松本さんと専務
理事の岩崎さんにお話を伺います。どうぞよろしくお願いいたします。
【 松本理事長 】
御紹介いただきました日本宇宙少年団の理事長を仰せつかっております
松本です。我々の活動は、「夢・科学・挑戦」という意味で、要するにこれか
ら長大な未来という可能性のある時間を持っている子供たちとともに、宇宙
開発へのエネルギーを作り上げていこう、それを目的として活動している団
体です。我々の目的及び方向性というのが、途中、多少ふらついた時期も
ありました。ところが、宇宙開発事業団、当時の科学技術庁その他、宇宙科
学研究所あるいは専門の先生方の大勢の御支援を受けまして、近年、会員
数も非常にふえてきました。気合が入ってきたところなんですけれども、そう
いうことで、我々は「夢」と言ってありますけれども、これは将来にかける願
望です、目的意識ですから、そういうことで多大なエネルギーを作れたらと
いうのを理念としております。
活動内容につきましては、岩崎専務理事の方から御説明申し上げます。
私はしゃべり出すと止まらない人間でありまして、周回軌道が無限大になり
ますので、一応ここでごあいさつだけにさせていただきます。
【 岩崎専務理事 】
岩崎と申します。それでは、御説明いたします。今日はYACの活動と夏季
の行事ということで御説明します。まず、YACの活動というのは、今、説明
があったとおりです。我々の財産というのは、地域に根づいたネットワーク、
それを支えている分団にはリーダーがいるんですけれども、リーダー、それ
から講演・執筆を引き受けてくれている宇宙飛行士を含んだ、非常に幅広い、
宇宙と科学、心の問題を教えることのできる先生方です。こういう日本でも
例を見ないネットワークを土台にいたしまして、宇宙、それから科学の普及・
啓発・教育について、1つのYAC理念のもとに統合的に、ということを我々
の目的として活動しております。
具体的な活動ですけれども、団員といたしましては全国に110分団あり
ます。すべてこれはボランティアベースでやられている団員です。その中で
例えばペットボトルでロケットを飛ばそうとか、工作教室を開こうとか、望遠
鏡で土星を見ようとか、サマーキャンプ、インターネットと、そういったいろい
ろなことを各分団で手がけております。団員数は現在、ちょっと少ないんで
すが、約4500人、これでも徐々にふえております。それを指導するリーダ
ーも600人程度ということです。
それに対して我々本部の方は、そういう活動・事業を行いつつ、1つは、
『ジュニア・サイエンティスト』という月刊雑誌、その前は『エルファイブ』という
人工衛星・ロケット専門の雑誌だったんですけれども、もう少し科学の一般
誌ということで『ジュニア・サイエンティスト』を編集・配布しております。ここら
辺のコンセプトとしましては、子供に科学のおもしろさをわかってもらうととも
に、科学を担っているのも人間、研究者であるということを子供たちにわか
ってもらおうというコンセプトでやっております。
それから、もう一つは、『スペースガイド』という、それぞれデータ集、ここら
辺を編集・配布しております。
それから、NASDAと一緒になりまして、いろいろリーダーズセミナー、コ
ズミックカレッジなどを運営しております。
また、今年から1つ、科学館と学校の連携のための学習資料の開発・普
及という非常に大きな仕事をいただいておりまして、これは科学館を学校教
育で活用しやすくすることを目的に、教材を製作しております。地域性を出し
たもの、それから全国で使えるという2タイプに対して、今年度は15の科学
館を選び、パイロット的に実施しております。
それから、助成金をいただきまして、これも今年からですけれども、「子ど
も宇宙ゆめ体験事業」というものを、今計画しているところですが、こういう
体験活動を通じまして、YACの本部、地域のリーダが中心になって、これに
対して指導しております。
どんなことをやっているかということを最後のページに示しております。分
団長会議というのを開いておりまして、その場で毎年「昨年はこんなことをや
った」という報告を聞いております。今回は今年の5月ですけれども、そのと
きは68人ぐらい、それから松本理事長、それから毛利宇宙飛行士がうちの
団長なので、毛利団長、それから宇宙研の的川先生も参加しまして、報告
を聞きました。
3つぐらい、その中から例を挙げたんですけれども、1つは、アルコールロ
ケット1号機の打上げに成功したということです。本当は今日デモンストレー
ションをしようと思ったんですけれども、いろいろありますので、持ってきませ
んでしたけれども、こういう右にあるような点火施設をやって、これのいいと
ころはカウントダウンで、「3、2、1、0」で発射できるということで、8メートル
ぐらい飛ばせます。
それから、2つ目の例として、これは岩手県の水沢の方からですけれども、
ケナフという、これはハイビスカス系の成長すると4メートルぐらいになる1年
草ですけれども、これを春の種まき、それから夏の草刈り、水、それから秋
に花を咲かせる。11月に収穫しまして、それをすいて、はがきを作る。正月
には年賀状を送る。そういうことを昼間やって、夜には天文台で、あそこに
は水沢天文台がありますので、いろいろ星座の観測をしたという例です。
そして3番目は、鹿児島のサンシャインテクノ分団からの報告で、小学校
の高学年から不登校になっていた子が、YACの活動で自分より小さな子の
面倒を見ている間に心を開いて、高1の今は学校へも通っている、非常に明
るい子になった、というような報告もありました。
資料の前に戻っていただきまして、こういう報告があったということで、こ
れから夏に入るわけですけれども、夏にYACではいろいろ活動をいたしま
す。特に1番目に書きました「国際コンファランス」を今年度は日本の主催で
やります。これはYACの国際的な組織、そこに書いてありますようにYAIと
いうヤング・アストロノート・インターナショナルという組織に、これは1987年
に組織されたのですが、現在12カ国が加盟しております。そこで、今年は
日本でやるということで、海外から韓国、香港、中国、オーストラリア、フラン
ス、スリランカ、フィリピンと行った国々から60名程度参加する予定になって
います。これも当初は100名程度参加の予定だったんですけれども、例の
教科書問題で韓国が大分減ったというのがありまして、さらには中国がビザ
の関係の向こうの手続ミスで来れなくなったということで、それでも何人かは
来ますけれども、60名程度ということになっています。これは石川県金沢市
と我々が共催して、主催・共催の関係で行います。これは、来週の火曜日か
ら行います。
それから、それに引き続きまして「スペースサイエンスセミナー」ですけれ
ども、これはそのコンファレンスに参加した海外の人を連れて、富山県の小
矢部というところに移りまして、宇宙飛行士との交流、このときは星出宇宙
飛行士に来てもらうことにしておりますが、そういった活動を予定しています。
それから、種子島のスペースキャンプ、これはそれまでの300~400人
に比べて非常に少ない70人くらいの参加人員ですけれども、鹿児島、それ
から種子島の町の御支援をいただきまして、宇宙の射場、それから、いろい
ろな地元の子、都会の子が集まって体験活動をするというのが3番目です。
それから、4番目から6番目まで、これは宇宙開発事業団が主催いたしま
す。我々は運営を任されているということで、1つは、これは毎年やっている
んですけれども、「コズミックカレッジ」を開いて、「宇宙飛行士、宇宙科学者
になろう」ということをスローガンに、いろいろな講義、実験を行います。
それから、もう一つ「エデュケーターコース」、これは子供ではなく先生を対
象にしまして、つくばで、これは8月8日から9日、10日と行います。
あともう一つ、宇宙科学研究所のある臼田で、これは子供たち対象に望
遠鏡を作ったり、いろいろなことをして、みんなで楽しく過ごそうというイベン
トを行います。もしもよろしければ、細かいところは一応コピーを1つずつ、そ
の中からパンフを用意しましたので、もしも取材等をしていただける方がおり
ましたら、是非パンフをお持ちいただきたいと思います。
以上で私の説明を終わります。
【 松本理事長 】
そういうわけでして、私たちの目的というのは、子供たちを通じて、未来と
いう時間の中で、この宇宙開発というものに巨大な支援をしてくれるための
エネルギーを蓄積していく、それが基本的な考え方です。そして、全員が宇
宙飛行士にもちろんなるわけでもないし、それぞれの分野に子供たちは進
むわけですけれども、心のどこかに宇宙開発に対する理念とか、そういった
情熱を抱いててくれれば、私はこれは何にもまさる巨大なエネルギーとなっ
て、宇宙開発、つまりロケットを宇宙へ打ち上げていく巨大なエネルギーに
なってくれるはずだと確信を持っております。
それからもう一つ、宇宙へ飛ぶ以上、もう国境などと言っている場合では
ありません。私は、脳細胞の数は世界中全部同じだ、速い遅いの問題はあ
っても、地球人という一体感というのが非常に大事なことで、宇宙開発という
のは、そういう部分についての国境を取り払うという協力体制を作り上げて
いくという、その母体になるはずだという確信のもとに国際交流、特に子供
たち同士の交流ということに非常に力を入れております。そして、子供たち
の世代から、お互いの理念あるいは夢を理解し合えば、地球上での確執も
確実に減るだろう。将来、地球人という形での生命体になれるはずだ。そう
いう、やや自分の職業柄、つい夢は壮大になってしまうんですけれども、私
は、夢は大きければ大きいほどいいというのが信念でありまして、そういう
形で国際間の交流を進めながら、ともに肩を並べて、今はたとえけんかして
いても、将来の我々の子孫はともに肩を並べて、ともに宇宙を飛びましょう、
こういうメッセージを発し続けたいと思います。何カ国かからはそれに対する
確実な反応も得ております。ともに肩を並べて飛ぶこともあるでしょう。そう
いうことで、そのエネルギーに未来を託す、と言ったらいいでしょうか。ただし、
その中で私たちの子孫が、何代か後の子孫が宇宙開発の現場で惨めな思
いをすることのありませんように、「ここのハッチをあけてよろしいでしょうか」
と恐る恐る聞く立場じゃなくて、「あける」と言ったら断固としてあける。その
かわり「あいつがあけるんならば」という絶対の信頼感をかち取れるような、
私たちの子孫が存在していることを、してくれることを願って、こういう活動を
続けるわけです。惨めな思いをさせたくない。ともに対等の能力を持った仲
間として、私たちの子孫が宇宙を渡っていける日が来ますように、それを願
ってこういう活動をしているわけです。
さきに申し上げましたけれども、私の名前の「零」というのは、丸をかくと、
実は無限大になるんですね。この周回軌道はしゃべり出すと3日ぐらい続き
ますので、収拾がつかないことで有名であります。ですけど、どうか子供た
ちとともに描いている情熱だけはよろしく御理解いただき、また御支援を賜り
たいと思います。よろしくお願いいたします。
【 井口委員長 】
どうもありがとうございます。御質問、御意見ございましたら、お願いしま
す。
事務的なことですけれども、補助金を受けておられると伺いましたけれど
も、どこからですか。
【 岩崎専務理事 】
補助金は、まだいただいていないんですけれども、オリンピック青少年セ
ンターから「子ども宇宙ゆめ体験事業」ということでこれから審査していただ
くものが一番大きいです。それからほかには、例えば大きく出していただい
たのが、名古屋のパチンコ屋さんで成功した人の会社とか、そういう意味で
はいろいろなところから補助金、賛助金という形で出してもらっています。そ
れから、具体的な賛助金としましては、宇宙関係の幾つかの企業からいた
だいております。
【 井口委員長 】
NASDAはどうですか。
【 岩崎専務理事 】
NASDAは補助金ではなくて、コズミックカレッジとか、全体で説明したよう
なものの運営を任せていただいて、それで言うなれば大スポンサーをやって
いただいています。
【 栗木委員 】
私も宇宙科学研究所におりましたころに、小中学生が大勢参加する一般
的なところに講演を頼まれて、講演に行ったことがございます。大体年齢層
を見ますと、年寄りか若い小中学生でして、真ん中が欠けておりまして、真
ん中は大体あしたのことが忙しくて、そんなの聞いている暇がないという、そ
んな感じでした。お年寄りはどちらかというと、地球の寿命があと、太陽系も
含めて50億年、そういう話が大好きでございまして、ところが、子供の方は
「宇宙にいつ行けるの」という極めて切実な質問が出てくるというのが、大体
私の統計的な感触であります。
10年ぐらい前ですと、私も「君たちが大人になるころには行けるよ」と言っ
て返事をしておったんですが、10年たってみまして、なかなかまだ行けない
なということを最近は極めて重く感じておりまして、随分空手形を発行したな
という感じがしております。しかしながら、最近はそれが言いにくくなったとい
うことは、少し近づいているのかなという予感も多少ありまして、この次の発
表に、再利用型ロケット実験機のお話を宇宙研の稲谷先生が発表されます
が、これも終局的には、きっと人を乗せるものだと私は確信しておりまして、
その分だけ近づいたということから、いつかは空手形じゃなくて、もう少ししっ
かりした手形を、是非このYACの方にお渡ししたいなと思っております。私
の希望でございます。
【 松本理事長 】
実はその抜けていた層が今、皆、パソコン・コンピューターに飛びついて
おりまして、それで実はだんだん埋まりつつあるんです。そして、作業自体
が国際化しまして、国境はもうないんです。そういうことで夢という単純にサ
イエンスフィクション的な世界を通じて、それから、技術的なものをお互いに
意見を交流しながら、そういう活動が既に始まってしまっています。ですから、
国境が消えつつあって、私自身も、仕事で恐縮ですけれども、自分の仕事も
いきなり国境を越えて作業して、いきなり世界中にぶちまけるという作業に
なってきております。ですから、もう世代的なそういう意味での区分けが次第
にぼんやりしてきました。
私も確かにこの年までには火星に行くつもりでいたんですよ。行けると小
学生のときには確信していたんです。ところが、ほかのものは全部現実化し
たのに、宇宙開発だけが想像より遅い。これはやはりそれだけ難物である、
それだけ手ごわい相手だというのがよくわかるわけです。でも、私は手ごわ
いだけにやりがいがあると思っています。私自身が月ぐらいにまでは行く夢
はまだ捨てておりません。だから、ロケットの1個や2個、これはここで言って
いいかどうかわかりませんが、海へ飛び込んだからといって、そのことにつ
いて私は悲観する必要はない。それぐらい手ごわい技術的な壁を突破しな
ければならない相手である。そして、それを突破して、信頼できる技術を確
立しないことには人類の未来はないというふうに、子供たちと一緒に、これ
は夢じゃないです、願望を語り合いたいわけです。そういうわけで、その点で
は気合が入っておりますので、どうか御安心ください。
【 井口委員長 】
大変な激励をしていただいた気もします。私も子供たちが宇宙飛行士の
話を聞いたりするときの目の輝きといいますか、あれを見ますと、我々の責
任というのは大変重いという感じを常に持っております。
また、大学の先生の話でも、今、一番優秀な学生が来るのは宇宙だと言
うんですね。私の親戚の今度、大学に入るのが、宇宙をやりたいと言うんで
すけれども、身近になりますと、その後の就職が大変だ。これをまた我々が
何とか努力して解決しなければいけない1つの課題だと思っております。今
日は我々を大変元気づけてくださるお話をいただきまして、まことにありがと
うございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとう
ございました。
それでは、次に、「再使用型ロケット実験機、第2回離着陸実験(RVT-6)
の結果について」、文部科学省宇宙科学研究所の稲谷教授に御報告をい
ただきます。
【 稲谷教授 】
宇宙研の稲谷です。先ほどの「難物」にという話に対する助になっている
かどうかは、皆さんに御判断いただきたいと思いますけれども、我々、気持
ちとしてはそういう気持ちでやっております。将来に向けて、現在、ロケットに
はいろいろな問題があるという話になっております。我々としましても、もう
少し先の将来に向けて、どういうことをやったらいいかということを真剣に考
えております。そのうちで、今の使い捨てのロケットではなく、再使用という
言葉を使いますけれども、そのロケットができるならば「飛行機のようにどん
どん繰り返し飛んでいるような図式になる」という将来の夢、その具体的なイ
メージは後でお話ししますけれども、頭の中はそういうことを考えて、それで
今日できること、あしたできることを、できれば計算機の中の世界とか、紙の
上ではなくて、実践を伴った形でやりたいというのが基本の考えであります。
将来に向けてということで、どういうエンジンのスタイルになるかとか、機
体をもっと軽くしないといけない、など、要するに技術的な議論というものは
かなり多くされているわけですけれども、もう一つ足りないのは、どういうも
のを目標にすべきかという話、これがなかなか先の話なので、10年後を考
えるか、20年後を考えるか、あるいはもっと先かというところで、ある意味で
後ろの境界条件がオープンであるために、いろいろな話がなかなか現実味
を持って進められないというのが環境としてあります。アメリカがやっている
からこれをやろうとか、よそがやっているからこれ、それは考えとしてはあり
ますけれども、我々独自に将来どういうふうになるかということを自分の頭で
考えて、そのために何が必要か、そういうアプローチをしたいというふうに考
えています。
この宇宙研の中の基礎研究という範疇の非常に小規模な、予算的に言っ
て小規模なところでやっておりますが、我々としては今後、日本の中で、ある
いは今、行政改革その他で「宇宙3機関が連携してやりなさい」というような
環境になる中で、その中でできれば我々の考えが生かされていくような方向
で考えたい。
ついては、物で実践するのが一番知識を蓄積するという意味では効果的
であるということで、実験機を作るというような形で仕事をさせていただいて
います。しかしながら、小規模な実験ではありますので、あまり大きな期待を
しても、いきなり宇宙に行ったとか、上に行って、地球の丸いところの写真を
撮ったとか、そこまではなかなか行くのは大変でして、言い方を変えれば、
その辺をぷらぷらと飛んで歩けということではあるかもしれませんけれども、
後で絵をお見せしますが、その実験風景とか、やっているものの姿を見てい
ただいて、少しでも将来に近づいたというふうに感じていただければ幸いか
と思います。
今、使い捨てロケットは、いろいろな事故の失敗などはもちろんありますけ
れども、そういうことは飛び越えて、ある意味で技術的には完成している。も
ちろん残された問題は少なくはない。ただ、将来の輸送システム、それがど
んなものであるかについては非常に大きな議論があります。先ほど申しまし
たけれども、その議論において、実はどういうものを目指すべきかの議論に
ついては、現在のところ、なかなか収束しておりません。しかしながら、気持
ちとしてはということも含めて、ロケットがもっと身近になって、先ほどのお話
ではありませんが、だれでもそれに乗っかっていける。だれでもお金を払え
ば、それから返ってくる利益を直接的に享受できる。そういうことになるため
には、もっと輸送のコストが下がる、あるいは非常に効率的な運用ができる、
そういうシステムにならないといけないというふうに考えています。具体的な
例については後でお話しします。
そのためには、今の「使い捨てロケット」ということとの対比においてどうい
うことが言えるかということが大事で、もちろん行ったり来たりただ帰ってくる
だけ、1回帰ってくるだけの技術ができたらそれが再利用、と言えなくもない
ですが、そういう話はとんでもなくて、それがどんどん何回も繰り返しできる、
もちろんそのためには高い信頼性と安全性が必要です。ここで安全性と申
しますのも、いろいろ意味があります。故障しないという意味の安全と、故障
したときにどうするか、そういう安全。それから、もちろん非常にシンプルな
システムで軌道上まで往復しようとしますと、これではもうエンジンも機体も
すべて高性能になり、多くの課題があります。
我々はこれにどういうふうにアクセスするか。今日あしたでそういうものは
一気に作れない。それは段階的に行った方がいいでしょう。そういう繰り返し
ができるような機体を、少し大きな規模で、例えば大気圏の外に行って帰っ
てくるというような実験機を作って、そこでいろいろな技術を考えながら勉強
したらどうかということを提案していく。これは少し大きな規模になりますので、
開発までに4~5年、ということになると思いますけれども、最初のスタート
は、既存の技術レベルでスタートできるというふうに考えています。
それをスタートさせたいというプロポーズをしているわけですけれども、プ
ロポーズだけではやはり計算だ、紙の上だという話になりますので、それで
は、本当にプロポーザルが迫力を持って受け入れられるというためには「物
で試しましょう」ということで、できる範囲で小さなものを作って飛ばしていくと
いうのが、現在の図式です。
今この時点でできることは、もちろんすべてのことができるわけではありま
せんが、特に繰り返しに特化したようなエンジンに関する部分、エンジンはも
ちろん将来必要という意味で、液体水素を燃料にしたロケットエンジンを使う。
では、おりてくるためにはどうするか。いろいろなおり方がありますけれども、
我々は小規模な実験からスタートできるという意味で、上がっておりるという
のをロケットエンジンでやっています。その中で繰り返しのためのいろいろな
技術を勉強しよう。そういうことがこの実験の目的であります。
一昨年になりますが、既に1回実験を行っています。後との比較で、これ
がいかにしょぼいものだったかというのをここでお見せします。
これは液体水素のエンジンです。H- などの燃料としてはおなじみのも
のです。2年前にこの実験を終えまして、初めてやったので、「初めてやりま
した」ということをお知らせしまして、多少、「ああ、こんなこともできるのか」と
いうインパクトはあったかと思います。ここから、これが今回の実験、後で少
し細かくお見せしますけれども、大分宇宙に行けそうかなという気がするか
どうかというところを御覧いただけたらと思います。
これは点火前にエンジンを冷やすために、水素酸素を流して、ここで点火
します。煙が邪魔していますが。
これだけと言えばこれだけなんですが、後でお見せしますけれども、再使
用ということで、どういうことが使い捨てロケットと違うかということをひとつお
話しします。少なくとも繰り返し飛ばせる仕立てを1回手に入れると、いろい
ろなことが何回もできる、これは当たり前です。使い捨てロケットのミッション
というのはどういうことか。開発をずっとやってきて、完成しました。最初の1
発目からフルのミッションを課せられて、フルスペックのフライトをしないとい
けない。そこでいろいろなリスクがあるために、設計が保守的になったり、検
証が十分足りない場合は失敗したりする、そういうことです。それに比べて、
再使用というのは、繰り返し飛ばせる環境というのを私たちとしては積極的
に使う。
具体的に何をやるかというと、飛ばすためにいろいろな新しい技術を入れ
ながら実験をする。現に、この一番左のものが2年前に飛ばした機体で、真
ん中の機体を飛ばしたというのが今回の実験なわけですけれども、このエン
ジンは再使用のことを考慮して、耐久性を上げるためのいろいろな工夫をし
て作った新しいエンジンです。それから、将来、飛ぶときに備えてGPSを航
行データとして、それをループに入れて飛ぶ。これもなかなか、GPS、GPS
と皆さん言いますけれども、本当にループに入れて飛んだというのは、あま
り話は聞かない。すべて調べたわけではありませんが、初めてに近いんじゃ
ないでしょうか。
それから、将来に備えてエアロシェルを取り付けて、空力を管理する。そ
のあたりのいろいろなことをして、飛行範囲を拡大していくというようなことを
繰り返して、再使用の環境を利用するという形の開発スタイルをとります。
この次に、もし可能であれば、あるいは事情が許せば、さらに軽量化のた
めの技術、タンクを複合剤化するであるとか、エンジンの推力制御性を上げ
るとか、1回上に上がって、エンジンを止めて、またつけておりてくるなど、そ
ういう形で飛行能力を拡大していく。3番目をいつやるかについては、今検
討中ですけれども、またうまくいけば御紹介できる機会があるかと思います。
それから、もう一つは、これは今回3回、繰り返して飛ばしたわけですけれ
ども、3回のフライトの高度と飛行距離のデータはこのようになっています。
これは何が言いたいかといいますと、再使用ができるために、飛ばす範囲も
最初はこわごわ、もうちょっと勇気を出して、オーケーだったらもっと行こう。
そういうことが繰り返しできる。これも使い捨てロケットではあり得ないことで、
振り返ってみると、飛行機というのは多分こういうふうに開発してきたのでは
ないかと思います。我々、ロケットの世界にいると、ロケットのやり方が当た
り前だと思っていることに対して、「再使用というのはいろいろな意味で違う」
ということを、例えばこういう実験機を飛ばすことで知らしめることがもしでき
れば、それも成果の1つかなというふうには思っております。そのあたりは皆
さん、どう御判断いただくか。我々としてはそういう主張をしたいというふうに
考えております。
ちょっと先の話もしますけれども、再使用の行き先は何かということについ
て、いろいろな議論があるというのは先ほど最初にお話をいたしました。
我々の考えている意味で、本当の意味で再使用が役に立つ、あるいは経済
的にみんながそこからの利益を享受できるようになるという仕事で、今、定
量化された予測がなされているのは、1つは「宇宙旅行」、もう一つは「太陽
発電」です。その他いろいろな提案がありますけれども、この2つについては
仕事の規模とか、社会的なインターフェースの部分、そういうことでかなり軽
量化されています。少なくともこの2つの最終ゴールを実現するためには、
輸送コストというのを、経済性というところからさかのぼって、2けたのコスト
ダウンが必要です。そうすると、どかんと宇宙の輸送の需要が伸びる。けた
違いに伸びるということが指摘されています。
ただし、それは今日明日といった話ではなく、すぐにはやってこない。そう
しますと、今、何が必要かというと、これに対して現在の輸送需要、先ほど
来あります通信衛星とか放送、電波を広く薄くばらまいて広く薄くお金を集
めましょう、といったことが経済的には成り立っているわけですけれども、こ
れとそれとの間に非常に大きなギャップがある。そうすると、実際、再使用の
R&Dをやる立場の我々として考えるべきは、ここからここへのトランジショ
ンをどういうふうにするかというところが一番問題となります。そこで、ここで
の開発目標みたいなところは、ある意味でポリシーとして設定していただくこ
とになります。いただくというのを我々の立場で言っていいのかどうかわかり
ませんけれども、必ずしもこの両極端ある中でやれというのでは、アクティビ
ティとしてもなかなかつらいということが言えると思います。
我々としては、今のアクティビティが、プロモーションとしてこういう3つの
技術課題についてチャレンジしているわけですから、ここで次の目標を30
年、40年ではなく、5年かあるいは10年かというところで、どういうものをセ
ットするか、これが今非常に大きな議論になるかと思っておりまして、いろい
ろなレベルでこの議論をしていきたいと思っています。ただ、議論しているだ
けではなかなか進まないというのも、我々としては、そのサイドでは今のよう
な形で物をもって示したいというのが、アクティビティの考えです。
この写真をお見せしますが、この間の実験です。これで離陸をして・・・、こ
の間にどこか、宇宙へどこまで行くか、100キロ、地球を1周するかというこ
とをして、その後で・・・、というふうにイメージを膨らませていただければ、あ
るいはこういうものがもう少しあれば、私たちはできると思っています。
ですから、さっきの松本先生の話の後で、示し合わせたような感じで申し
たのではありませんし、それから、栗木先生が人を乗せよとおっしゃるかどう
か知りませんけれども、そういうポテンシャル、少なくとも安全に帰ってくる仕
立てを作ろうというアクティビティという意味では、そこに共通点はあって、
我々も何か形で、先ほどクエスチョンマークが3つ並んでいる絵をお見せし
ましたけれども、そこの目標として何か絵になることを見つけて、みんなが元
気を出して、力を出し合える、そういう場になっていければ、我々の仕事の
発展としても幸いだ、そういうふうに考えております。
以上、御報告と余分なこともしゃべりましたけれども。
【 井口委員長 】
どうもありがとうございました。御質問、御意見がありましたら。
【 五代委員 】
再利用からいずれは有人という意味で、技術的に今までの、要するに「使
い切り」と違う技術開発がいっぱいあるんですね。これまた非常に皆さんも
夢を持ちますし、それから間違いなくこういう方向に行くわけですね。形態は
わかりませんけれども。私自身も3年、4年くらい前ですか、ホワイトサンズ
で例のDC-Xの、実際のこういう飛行実験をゴールディン長官とかと一緒
に見たことがあります。そのときは非常に大成功でしたけれども、その次の
1カ月ぐらい後にやったときには、足が1本うまく開かないというので、そこで
終わって、壊れちゃったんですね。燃えちゃったんです。こういう実験という
のは、私、できるだけ繰り返して、いろいろなパラメーターをとるのがいいと
思うんですが、実験1回あたりの金額は今どれぐらいミニマムでできるので
しょうか。できる限り実験を繰り返したらと思うんですけれども。
【 稲谷教授 】
この実験についてということですか。
【 五代委員 】
ええ、例えばこの2で言えば。あるいはその次の3の場合でもよろしいで
すが。
【 稲谷教授 】
機体が1回でき上がってしまいますと、人件費をどう勘定するかは難しい
ところがありますけれども、大体30人ぐらいの人件費、インハウスが20人、
メーカーの方が7~8人、もう少し考えると10人ぐらいですか。それから、あ
とは消耗品の燃料代その他です。1回の実験、この実験に限って言えば、こ
の3回飛ばしたキャンペーンで大体2000万弱ぐらいのキャンペーンです。
規模的には、そのうちの消耗品とか燃料というよりは、人件費が多いと思い
ます。
それから、ハードウエアはいろいろ作るために投資をしていますけれども、
この1件のためにゼロから作ったんじゃない。先ほども説明しましたように1
回目を作って、そのうち半分を乗せたりしています。今、宇宙研の中では40
00~5000万より下の規模のことを基礎開発と言っております。年間我々
が使えるお金というのは、先ほどの試験機も含めてそれぐらいのものです。
ですから、設計とか物の試験とか、そういうものにできるだけインハウスの
人間を使って、その人件費は半年ぐらいはもちろん半分になるかもしれませ
んけれども、そういうことで外部に対して発生する費用というのは少なくした
上で、今のような形で、この規模の実験はできる。もう少し大きな規模になっ
たときに、1発当たり幾らのフライトができるかというのも考える必要があり
ますけれども、それも100万円というのは難しくて、1000万円という規模に
なります。それをもっと人手を減らすとか、そういうことをしないと、経済性は
出てこない。ただし、実験機のレベルでは、そういうことを試しながらやるの
が実験機だと思いますので、今の時点ではそういう形です。
【 五代委員 】
このあいだの実験では、2号機はもともと想定していた試験項目をほぼ終
えたわけですか。
【 稲谷教授 】
はい。エンジンの再使用性、寿命を管理した設計というのをやりました。た
だし、これはもちろんこのエンジンを燃やしたのは、燃焼試験も含めて15~
16回やったと思いますけれども、その範囲では予定の機能を出しています。
それから、エアロシェルをつけたというのは、これは水素漏れに非常に注意
したいと思った結果でして、水素漏れをどうやって防ぐか、それは機体の設
計上、つなぐ箇所をできるだけ溶接化するとかそういう工夫をしたということ、
水素検知の方法、それをリアルタイムでモニターして、危なければ止めると
いう操作、そしてその運用を考える、といったことが挙げられます。
それから、航法系は、先ほど言いましたGPSをループに入れて飛ばす。
これも3回飛ばしたうちの2回目、3回目はそのGPSで飛ばす。もちろん飛
行中の安全、現実には3日半のうちに3回の飛行をするという強行軍ではあ
ったんですが、それはやむを得ずの部分もありますけれども、デイリーフラ
イトをするかどうか。何かやるときの1つの目標になります。そのデイリーフ
ライトのインターバルは、定量的に10日間続けろと言えば苦しいかもしれま
せんけれども、3日間ぐらい続けてデイリーフライトをやるというのはできる。
そういう意味で、ある種システムも安定をしてきたし、再使用性もあるという
ことで、そういうところはもちろんこの仕立て自身は、いろいろ問題はありま
すけれども、次に作るときの参考になるような情報は非常に多く得られたと
考えています。
【 井口委員長 】
先生御自身は、いつごろになったらこれにお乗りになりますか。
【 稲谷教授 】
実はこのあたりに人が乗った絵を作ったんですけれども、今日はお見せし
ませんけど。
【 五代委員 】
それは何なんですか。RVT の何番になると。
【 稲谷教授 】
それは人工の写真の話でして、これのてっぺんに人を乗せた写真を作っ
たんですけれども、まあ、冗談抜きにして、我々は別のところで旅行のため
の安全の基準をどうするかという仕事をしています。そのためには、飛行機
と同じ部分も多いんですが、故障したときに安全におりるという仕立てをつ
けることが一番です。信頼性の向上というと、単に99を99.9にするというこ
とではなくて、あるいは冗長を2から3にするということじゃなくて、こいつが
死んでもこいつが補って、安全に飛ぶ、そういうシステムにしなきゃいけない。
これはまだ古くさいロケットのスタイル、エンジンは1機しかありません。それ
が壊れたらもうお釈迦です、ということになっていますので、そういった「人が
乗っていい」という安全性に関して、飛行機の基準をそのまま当てはめてい
いとはもちろん思いませんけれども、そこの考察を十分した上で、ロケットで
はこれで必要十分であろうということをして、これの発展型みたいなことをす
れば、それは水素であろうが、何であろうが、そういう安全の対策をやってい
れば可能だと思いますので、 いつからと言われますと、もちろん「適切な
投資が行われれば」という前提はあると思いますけれども、技術的には、さ
っき言った何十年先ではなくてもう少し10年とかいう単位でそういう投資を
やれば、それは十分できると思っています。
ただし、1段式で宇宙へ行けという話は、これはまた別の難しさがあります。
それとこれとを一緒にするか別にするか、その辺が議論になるかと思います。
これは5メートル上がれ、100メートル上がれというようなもの、あるいは10
0キロまで上がって帰ってくるというようなものは、私の気持ちとしては「10
年以内には十分できる」と申し上げますが、ただそこから先が多分難しいこ
とであろう、と個人的にはそう思います。
【 栗木委員 】
航空機の話が幾つか出てまいりましたので、私もそのアナロジーで2つば
かり、これはお聞きしたいんじゃなくて、今後の活動の中で是非調査も含め
てやっていただきたいなと思いますのは、先ほど出ました有人飛行と太陽発
電の話です。要するにパッセンジャーとカーゴ、両方の役割が輸送系には
今後出てくると思うんです。航空機の歴史を見ますと、どちらが先かというと、
例えば郵便事業のようなものが先に出てきて、命知らずのパイロットが飛ん
でいるうちに、旅客、いわゆるパッセンジャーの方がついてきた。今後、商業
的に再利用型の信頼性を高めていくプロセスの中で、2つのパスをどう仕分
けして、あるいはどういう割合で進めていくか。おそらく航空関係の方は極め
てそういうセンスをお持ちだろうと思いますが、現在のカーゴとパッセンジャ
ーがどのぐらいのフリークエンシーで飛んでいるかというのは私はよく知らな
いのですが、ほとんどカーゴは夜間飛んでいるんだろうなと思っていたりし
ますけれども、そのあたりも是非調査をしていただきたい。
もう一つは、先ほどの絵を見ていましたら、向こうに海が見えました。それ
がちょっと気になりました。私、航空でもって飛行機のデザインをやりました
が、低翼はいいけれども、高翼を作ると必ず着水したときの逃げ方を考えろ
と言われました。あの足のまま海へおりちゃいますと、どうやって逃げ出す
かということもちょっと気になりましたので、必ずこういうものが飛ぶときには、
思いどおりのところへおりられるとは限らないので、そうすると、海へおりた
場合はどうかというようなことも是非、飛行機のセンスでお考えいただけれ
ば、と思います。よろしくお願いします。
【 稲谷教授 】
今の御質問の部分については、スタディの中で、海に落ちたらどうなるか
という計算をしています。ボトンとこうなっちゃって、キャビンが下になって落
ちちゃう。あるいは非常脱出のことを考えると、飛行機と同じ基準の90秒間
では全員逃げられない。それをこういうプロジェクトでどうするか。答えはま
だないんですけれども、そういう問題認識はもちろん先生と共有してよいか
と思いますので、何とか答えを見つけよう、あるいはどうするかということを
考えようと考えています。承知しました。
【 五代委員 】
いずれにしても、無人のミサイルとは言わないけれども、使い切りロケット
から出た文化と、完全な飛行機、要するに人を乗せるという文化と、かなり
違うわけですね。そこを全部、飛行機の文化にするというと成り立たない。だ
から、そこで非常にいいところを探していただいて、どういう問題があって、
そこのところをどうしていったらいいのかという、そのあたりを今度また教え
てください。よろしくお願いします。
【 稲谷教授 】
一緒に御議論させていただきたいと思います。
【 井口委員長 】
先生どうもありがとうございました。
次は「評価指針特別部会報告」を、栗木先生と、それから技術評価推進官
の澤邊さんにお願いをします。
【 栗木委員 】
それでは、27-4-1の資料と、それから4-2、両方に基づきまして御
説明申し上げます。宇宙開発委員会の方から、大型のプロジェクトの進め
方について、事前、中間、それから事後と、どのような評価をしていくべきか、
あるいはそれは仕組みとしてどういうシステムを用意すべきか、そういうよう
な付託を受けまして、この部会を開いて、報告書にまとめました。これもまだ
これから運用していく段階でいろいろあるかと思います。私どもがやりました
のは、6回の会合のうち、前半は諸外国ではどうやっているか。特にNASA
ではどうやっているか。そういうようなサーベイから、これを自分なりに解釈
して、どんなような基準を作っていくか。あるいは、これをすぐに当てはめる
と、今、これの対象となる宇宙開発事業団では、これを受け止めてもらえる
かどうか。そんなような使い勝手も含めて、とりあえずの調査を行いました。
その動機と、その感懐といいますか、この指針をまとめていく上で感じまし
たことが、この表紙の裏表紙のところに書いてございます「はじめに」と書い
たこの1枚でございます。それから、それに続く目次の中身が、このA3の横
長の紙に概要が書いてございますので、まず「はじめに」をざっと読み上げ
まして、その後、どこにその項目が該当するかというような順序でご説明し
たいと思います。
「はじめに」は、字句を追って読みますと、平成12年の末に宇宙開発委員
会が策定した「我が国の宇宙開発の中長期戦略」が出されました。「宇宙開
発活動のマネジメント」が取り上げられまして、多くの資源を投入する宇宙開
発活動の評価の必要性が説かれました。そのねらいは、開発着手前の企
画立案活動を精査して、適切に資源を配分し、着手後のリスクを最小限に
抑えるとともに、開発終了後はその成果の得失面、よかった面、悪かった面、
両方から評価して以降の開発活動につなげることにある。
他方、中央省庁再編前の科学技術会議は、平成9年に「国の研究開発全
般に共通する評価の実施の在り方についての大綱的指針」という長いタイト
ルの書類を作成しまして、これは表題にもあるとおり、一般的な評価指針、
例えば大学の研究等にも適用されるような評価指針を出す。しかしながら、
これが宇宙に使うということから、宇宙開発委員会は評価指針特別部会を
設け、宇宙開発に特化した評価を宇宙開発委員会が行う際の指針をまとめ
ることとなった。
宇宙プロジェクトの開発は単独でも5年を超えるものが多く、その成果が
連綿として継続・発展をもたらすためには、大規模な開発の流れ、衛星とか
ロケットでございますが、大規模な開発の流れ(プログラム)に適正に位置
づけられ、最大の効果を発揮せねばならない。こうした体系化された企画立
案が従来の宇宙開発では十分でなかったということが、上記の「中長期戦
略」にも指摘されており、今後は十分に内容をただして、国民にも納得でき
るプロジェクトであることを確認する必要がある。
こうした意図を含んでまとめた本指針は宇宙開発プロジェクト全般を対象
としているが、ロケット、人工衛星、宇宙ステーションなど、各々異なる性質
を持っていること、またそのミッションに含まれる長期的視野に立って人類の
新しい知見を得るという活動を含むものもあることから、今後の適用に当た
っては指針を踏まえて事前に評価実施要領を定めることとしている。また、
本指針は金科玉条というより、広く活用されてこそその目的を果たすのであ
るから、必要に応じて見直しも行い、開発実施機関にも受容される評価指針
としていきたいというのが、この部会の作業に当たりました全員の趣旨でご
ざいます。
その中身というのが、横長の紙にまとめてございます。まず、評価指針の
位置づけでございますが、これは宇宙開発委員会が、宇宙開発事業団の
実施する大規模プロジェクトの進行管理を評価するという共通的な考え方
に立っております。個々のプロジェクトは、先ほど申し上げたようにロケット、
人工衛星、少し性質が違うもの、これをどう当てはめるかという議論をした
上で当てはめていくことが大切だ、と書いてございます。
本文の方の11ページを御覧になっていただきますと、図-1というのがご
ざいます。ここに位置づけがチャートでもって示されております。箱が3つ、4
つと段になって並んでおりますが、一番上の方にございますのは、政策決
定レベル、この最終的な意思決定者というのが文部科学大臣ということにな
っております。宇宙開発事業団から、こういうようなプロジェクトを実施したい
というようなこと、あるいはそれを踏まえて宇宙開発委員会の方で出した基
本計画というのがございますと、そのプロジェクトをどのように実施するかと
いう、宇宙開発事業団の方から出てきた方針を宇宙開発委員会が精査しま
して、プロジェクトの方向性がそれでよろしいかどうか、どうやるべきであると
いうことを助言するという格好で、これは文部科学大臣に報告するというと
になっております。これを踏まえて文部科学大臣がその政策の最終的な意
思決定者としてプロジェクトにゴーをかける。
こういったような枠組みで行われますと、プロジェクトの細々した話ではな
くて、大づかみに従来の開発の流れにきちっとはまっているかどうかというこ
とが、宇宙開発委員会の中での一番の関心事となります。この下の方に書
いてある小さい箱がございますが、これは宇宙開発事業団が個別にいろい
ろな審査を行ったり、設計の審査を行ったり、技術的な検討をすることを表し
ています。ここは実施機関に任せようというのが、宇宙開発委員会の趣旨で
ございます。
横長の資料に戻りまして、右上の隅に書きました箱の中にある対象は大
規模なもの、小さなものは宇宙開発委員会はやらないけれども、ある程度
以上大きいものを精査していきます。基本的な考え方としては、開始時、中
間、終わったときの評価ということに力を入れると同時に、社会的な、科学
技術的な、あるいは経済的な意義をただして、このプロジェクトを行う上で、
そのコストと、これに内在するどうしても避けられないリスクは受容できる範
囲になっているかどうかということも含めて、コストとリスクを評価していく。そ
の結果を、多額の資金を必要とする宇宙開発を実施するということからも、
先ほどの図にも書いておいたんですが、国民にこれを公開してからプロジェ
クトの着手に当たる、というのがこの本筋でございます。
この資料では3段階、3つのプロセスを経ておりますが、これも概念的に
書いたもので、具体的なプロジェクトが出てきますと、要らないものがあった
り、実際にはこの事前の評価が何段階にもわたったりということがあるかと
思われます。事前評価の段階では目的の意義だとか目標とか、きちっと優
先度も確認した上で、それが評価の場に出ていく。それから、リスクの管理、
システムの選定、いろいろなオプションについて検討したか、というようなこ
とも判断をして助言をする。
右側の方にa、b、c、d、e、f、g、hまで書いてありますが、こういう細かい
ことも一応やってくださいよということでこういうものを出してもらって、これら
の大所高所から見たときの方針というのに間違いがないかということを見て
いきます。
それから、もしこれでもって開発にゴーがかかった後、中間評価になりま
すが、開発着手したときの条件、環境条件、社会的な技術的動向、それか
ら、国際的な環境条件、そういうものが変わって、このまま続けていいかどう
かということになったときに、この中間評価を行って、宇宙開発委員会として
は、場合によっては大幅な変更とか中断も考える。それから、開発自身のマ
イルストーンというのがうまく実施されているかどうかということも見ていきま
す。
このようなことで見直したときに、「事前評価」というのがうまく機能してい
たかどうか、ということも、逆に事前評価に対する評価という格好で受け止
めていこう。つまり、それは事前に評価するのも、最初からうまくいくとは必
ずしも限りませんから、そういう場合にはこうやって事前評価をやっていくべ
きだという反省もここで生まれてこよう。そういうような認識でこの中間評価
を書いております。
事後の評価は、プロジェクトがうまくいったかどうかということを効率性に
ついて判断することになります。事後の評価を精査して将来の計画にフィー
ドバックする、ということが、この事後評価の一番大事な点であろうと考えて
おります。その右に向かって矢印が書いてございますけれども、成果の「ア
ウトプット」と「アウトカム」について、ここだけ細かい話ですが、この委員会で
も部会でももめた点でございまして、御紹介しておきます。
「アウトプット」というのは何かといいますと、例えばロケットを作る。人工衛
星を作る。それがうまくできました。軌道上で働きました。これが「アウトプッ
ト」でありまして、つまり、これは目標を立てるときに、そういうものを作ります、
働かせますといったようなことを指します。しかしながら、これを長い目で見
たときに、商業利用がこれによって展開しただろうか。それが有人の場合に
はお客さんを乗せるようになったであろうか。そういう極めて超長期的な意
義を踏まえて目指しているものというのが、これによって第一歩が築かれた
か、そういうようなことを「アウトカム」という片仮名で表現しております。した
がって、この「アウトカム」の方はやや時間がかかって、打上げが終わった
からといって、すぐに結論が出るものじゃない。もっと簡単な例を書きますと、
ある橋をかけました。橋が立派にかかりました。しかし、その橋を渡るときに
お客さんから料金を取って、橋床の建設費をまかなうべく、うまく経営として
成り立つようなことはできるでしょうか。これは「アウトカム」でありまして、か
なり時間をかけて見ないとわからない。そういうような中身に分け まして、
最終的な評価というのもある程度時間をかけてやっていこうというのが、こ
の趣旨でございます。
こういうことを行うに当たっては、留意事項に書きましたように幾つかの観
点、実際に評価される場合、過度の負担にならないようにする、公表の仕方、
事業団が行う内部評価を尊重する、知的所有権などはこれらは保護するよ
うな格好での公開というのが必要、そそして、これも先ほど申し上げたように
金科玉条ではないので、これが用いられるということが最終目標ですので、
見直しもやっていい、そういうようなことをまとめて留意事項といたしました。
以上でございます。
【 井口委員長 】
どうもありがとうございました。これは特別部会の報告ですが、特別部会
の委員は、部会長が栗木委員、長柄委員と五代委員が委員でございます
が、3人の御賛成のもとに出されたんでしょうか。
【 栗木委員 】
と思っております。
【 井口委員長 】
そうであれば、ここでも4人のうちの3人御賛成であれば、もう私もこの部
会にはちゃんと出て、意見は申し上げておりますので、全員が賛成、了承と
いうことでございますので、この評価指針を了承ということにいたしたいと思
います。どうもありがとうございました。
あと1件は、前回の会議の議事要旨でございます。後ほど御確認をお願
いいたします。
それでは、本日はこれで終了いたしたいと思います。第27回宇宙開発委
員会を閉会いたします。ありがとうございました。
---了---
(研究開発局宇宙政策課)