コンクリート 工学前期試験 (03/07/29)
1
以下の問題に答えよ.
1. 鉄筋コンクリートが有効な構造材料として広く利
4. コンクリートの圧縮終局状態の応力 – ひずみ関係
において, fck ≤ 50 N/mm2 の場合,圧縮ひず
用された理由を 3 つ書け. (3)
みが 0.002 までは二次式, 0.002 で最大となり,
【解】
その値は設計圧縮強度 fcd の ( 1
コンクリートと鉄筋の付着が良好であるため、互
2
圧縮ひずみの限界値を ( いに協同して外力に抵抗できる。コンクリートの
る.上記のコンクリートの設計用の応力 – ひずみ
品質および施工が十分ならば 、コンクリートがア
関係概形を描け. (3)
ルカリ性であるため、鉄筋は発錆しにくく十分な
【解】
耐久性を有する。コンクリートと鉄筋は同程度の
教科書,p.16, 図 -2.7
熱膨張係数であるため、温度変化による応力を考
0.85 ) 倍で,
0.0035 ) としてい
5. 耐力と耐久性について説明せよ. (2)
慮しなくてよい。
【解】
2. 鉄筋コンクリートの長所と短所を書け. (4)
耐力:作用する荷重とその累積に対する構造物の
【解】
強度
( 長所)
耐久性:耐用期間中の気象作用などに対する構造
• 任意形状、寸法の部材や構造物を一体的に製
造できる。
物の寿命
6. 鉄筋とコンクリートは一体となって外力に抵抗す
• 材料入手が容易で、一般的に経済的である。
る鉄筋コンクリートには両者の相互作用によって
• 良質な材料を使用し 、設計・施工が適切であ
どのような性状が現われるか. 4 つ記せ. (4)
れば構造物は耐久的である。
• 耐火性がある。
• 騒音・振動が少ない。
( 短所)
【解】
• イニシャルストレス
• 応力の再分配
• ひび割れ
• 引張強度が小さく、伸び能力も小さいため、
• 付着および定着
荷重作用による引張応力、乾燥収縮応力、温
度応力などによりひび割れが生じやすい。
• 自重が大きく、長スパンの桁や高い柱、また
軟弱地盤上の構築には不利。
7. 図 1 の (a), (b), (c) 点での RC はりに生じる現象
を書け.また,段階 I, III での応力状態の概形を
描け. (5)
• 施工管理が十分でないならば 、不完全な構造
物を造るおそれがあり、欠陥の検査や不都合
な部分の造り換えが困難である。
3. コンクリート標準示方書で用いられる鉄筋の設計
用応力 – ひずみ曲線の概形を描け.また鉄筋の弾
性係数を書け. (2)
【解】
教科書 p.11
図 -2.2 E=200kN/mm2
図1
2
【解】
(a) 引張鉄筋の降伏
(b) ひび割れ定常状態に達する点
(c) 初期ひび割れ発生点
教科書
p.19.図 -3.1a
,
3.1d
8. 図 2 はせん断破壊耐力とせん断破壊形式の関係を
図3
表したものである. (a), (b), (c), (e) に適当な用
【解】
語を記入せよ. (4)
(c) クリープ
(f) 遅れ弾性回復
(g) 永久変形
11. 鉄筋とコンクリートの付着に影響を及ぼす事項に
ついて 3 つ書け. (2)
【解】
• 鉄筋の表面の状態および形状
図2
• コンクリートの強度
• 鉄筋の埋め込み位置と方向
【解】
12. 単純引張を受ける RC 部材の変形挙動について,
(a) 斜め引張り破壊
下記の(
(b) せん断引張り( 付着)破壊
その模式図 (全引張荷重 – 伸び関係図) を描け.
(c) せん断圧縮破壊
(e) せん断スパン
)に適当な用語を入れよ.また,
1 )が全くない場合は,
鉄筋∼コンクリートに( 2 ) + (
3 )の剛性から,ただ 1 本の
初期の( ひび割れの発生によって,ただちに( 3 )のみの
9. 鉄筋コンクリートには乾燥収縮によりひび割れが
1 )がある場合,
剛性に移行する.一方,通常の( 発生する.そのメカニズムを説明せよ. (3)
その変形曲線が初期ひび割れ発生とともに部材の
【解】
3 )のみの剛性に緩やか
剛性は徐々に低下し ,( コンクリートは、水分の蒸発による乾燥収縮する。
に漸近する.これは,( 3 )と( 2 )の( 1 )作
一方、鉄筋は収縮しないため、鉄筋コンクリート
用により,ひび割れ間ではコンクリートが引張力
部材では、コンクリートの収縮が鉄筋によって拘
に対して,なお有効に抵抗しているためである.
束される。そのため、鉄筋には圧縮応力が生じ 、
4 )という. (5)
このような力学的現象を( コンクリートには引張り応力が生じ 、これがコン
【解】
クリートの引張り強度より大きくなるとひび割れ
が発生する。
教科書 p.29,
図 -3.12
1 付着
2 コンクリート
3 鉄筋
10. クリープ 現象に関して,図 3 の (c), (f), (g) に適
当な用語を記入せよ. (3)
4 テンションスティフニング
コンクリート工学試験 03/7/29
2
3
図 4 に示す単鉄筋長方形断面 (b=600 mm, h =
250 mm, d = 200 mm ) のはり部材において、曲げ
モーメント M = 5 × 107 N·mm が作用している.以下
【解答】
(1)
Ec = 2.5 × 104 (N/mm2 )
の問に答えよ.
Es = 2.0 × 105 (N/mm2 )
Es
2.0 × 105
n=
=
Ec
2.5 × 104
nAs
2bd
−1 + 1 +
x=
b
nAs
8 × 2533
2 × 600 × 200
=
−1 + 1 +
= 87.26mm
600
8 × 2533
1. 鉄筋の引張応力度 σs を求めよ. (5)
2. 曲げひび割れ幅 w を求めよ. (5)
3. 許容ひび割れ幅 wa を計算し ,ひび割れに対する
安全性を検討せよ. (5)
ただし 、コンクリートのヤング係数 Ec = 2.5×10 4N/mm2 、
とする。
5D25=2533mm 2
D25
6
2M
bx(d − x/3)
2 × 5 × 107
= 11.18N/mm2
=
600 × 87.26 × (200 − 87.26/3)
σc =
D25
12
D25
12
D25
12
D25
12
nσc
(d − x)
σs =
x
8 × 11.72
=
(200 − 87.26) = 115.56N/mm2
87.26
h = 25
εcs = 150 × 10
−6
d = 20
6
(cm)
b = 60
(2)
φ
= 250 − 200 − 25/2 = 37.5mm
2
w = 1.0 × {4 × 37.5 + 0.7 × (120 − 25)}
115.56
−6
+
150
×
10
= 0.158mm
2 × 105
図4
c=h−d−
以下の表や式を用いよ.
nAs
2bd
−1 + 1 +
x=
b
nAs
σc =
2M
bx d − x3
(3)
(a)一般環境
nσc
(d − x)
σs =
x
w = k {4c + 0.7 × (cs − φ)}
表 -2.1
σs
+ εcs
Es
コンクリート強度,弾性係数,弾性係数比
fck (N/mm2 )
18
24
30
40
50
Ec (kN/mm )
22
25
28
31
33
n
9.1
8.0
7.1
6.5
6.1
2
異形鉄筋
鋼材の腐食に対する環境条件
一般の環境
腐食性環境
厳しい腐食性環境
0.005c
0.004c
0.0035c
O.K.
(b)腐食性環境
wa = 0.004c = 0.004 × 37.5 = 0.150mm
wa < w = 0.158mm
OU T !
(c)厳しい腐食性環境
wa = 0.0035c = 0.0035 × 37.5 = 0.131mm
OU T !
以上より、この鉄筋コンクリート部材は一般の環境下で
は特に問題はない。しかし 、腐食性環境や特に厳しい腐
食性環境におかれる場合には、ひび割れ幅が許容値を越
普通丸鋼
PC 鋼材
wa > w = 0.158mm
wa < w = 0.158mm
表 -2.2 許容ひび割れ幅 wa (mm)
鋼材の種類
wa = 0.005c = 0.005 × 37.5 = 0.188mm
0.004c
−
c:かぶり( mm )
−
えることになるので、このままでは使用限界状態に対す
る合格条件を満足しない。そのため、例えば 、より細い
径の鉄筋を使用するなどによりひび割れ幅を減少させ、
w ≤ wa となるようにする必要がある。
4
3
図 5 に示すような単鉄筋長方形断面の設計曲げ耐
力 Mud を求めよ.ただし ,材料の力学的性質および安
【解】
等価応力ブロック による設計曲げ耐力の算定
全係数は次のとおりである. (20)
∗
コンクリートの設計基準強度
コンクリートの設計強度
fck = 30 N/mm2
∗
コンクリートの圧縮終局ひずみ
εcu = 0.0035
∗
鉄筋の降伏強度 (特性値)
fyk = 295 N/mm2
∗
安全係数
γc = 1.3,
γs = 1.0,
fcd = fck /γc = 30/1.3 = 23.08N/mm2
鉄筋の設計強度
γb = 1.15
fyd = fyk /γs = 295/1.0 = 295N/mm2
(1) 釣合鉄筋量 Asb の計算と破壊モード の判定
d = 550mm, εcu = 0.0035
εs = fyd /Es = 295/(2.0 × 105 ) = 1475 × 10−6
ひずみ適合条件
x : εcu = (d − x) : εs
εcu
0.0035
× 550
d=
εcu + εs
0.0035 + 0.001475
= 386.9
x=
図5
fck = 30 ≤ 50N/mm2 −→
以下の図や式を用いよ.
β = 0.8
Cc = 0.85fcd · 0.8x · b
= 0.85 · 23.08 · 0.8 · 386.9 · 500 = 3.036 × 106
鉄筋の引張力 : T = Asb fyd
Cc = T より
Asb
C
= c
fyd
3.036 × 106
= 10292mm2
295
As = 1150 < Asb = 10292mm2
=
曲げ引張破壊
• ひずみ適合条件
ε
x : εcu = (d − x) : εs → x = cu d
εcu + εs
等価応力ブロックにおけるβ 値(土木学会式)
•
2
fck ≤ 50N/mm −→
(2) 設計曲げ耐力 Mud の計算
コンクリートの圧縮合力
β = 0.8
= 0.85 · 23.08 · 0.8 · 500x = 7847.2x
• コンクリートの圧縮力
鉄筋の引張力
Cc = 0.85fcd · β · x · b
•
x=
T = Asb fyd
Mu = Cc (d − βx/2)
または,
Mu = T (d − βx/2)
T = As fyd
水平方向の力のつり合い条件
鉄筋の引張力
• モーメントのつり合い条件式
Cc = 0.85fcd · 0.8x · b
Mud
=
=
=
CC = T
As fyd
1150 × 295
=
= 43.2mm
7847.2
7847.2
As fyd (d − 0.4x)
γb
1150 × 295 × (550 − 0.4 × 43.2)
1.15
8
1.572 × 10 N · mm = 157.2kN · m
コンクリート工学試験 03/7/29
4
5
(2) 硬化
プレストレストコンクリートの記述について以下
の 空白 に適当な用語や語句を記入せよ。
1.
(3) 付着
(3)
プレストレストコンクリートとは
(4) ポストテンション
鉄筋コンクリートの短所は、荷重の作用によって
容易に
(1)
(2)
その設計ではコンクリートは
いことにしている。もし 、
(2)
を与えて
(2)
(3)
3. プレストレストコンクリートの分類 II
はこ
(2)
を打ち消すように働く。
もあらかじめ与えた
(7) グラウト
が発生する部
あるとすると、荷重によって生ずる
(3)
(6) シース
を負担しな
(3)
分のコンクリートにあらかじめ
の
(5) 定着
が生ずることである。したがって、
有効プレ ストレスと荷重作用による応力度を加え
より
の方が大きければ 、
(1)
断面に生じる応力は全部圧縮となり、
た合成応力度のうち、引張側で引張応力が生じな
をプレストレスといい、プレストレスを
うにプレストレスを与えることを、
(2)
とい
う。この場合、短期の荷重に対して
(3)
の発
生を認めるようにプレ ストレスを与える方法もあ
ンクリート (prestressed concrete : 略称 PC) と
る。コンクリート標準示方書では、 PC 構造は、
いう。
使用限界状態において
【解】
(3)
の発生を許さない
ようにプレ ストレ スを導入する構造で、 PRC 構
造は、プレストレスを導入するとともに
(1) ひび割れ
配置し 、使用限界状態での
(2) 引張り応力
しながら、
(3) 圧縮応力
(5)
(3)
2. プレストレストコンクリートの分類 I
(7)
方式は、あらかじめ型枠内に配置した PC
した後に PC 鋼材の緊張を
(3) ひび割れ
解放し 、その端部を PC 鋼材とコンクリートとの
(4) 異形鉄筋
トを打設して
(2)
(1) フルプレストレッシング
(2) パーシャルプレストレッシング
鋼材を緊張して引張力を与えておき、コンクリー
によってコンクリートに伝え、プレスト
(5) ひび割れ幅
レスを与える方式である。
(4)
方式は、コンクリートの
(2)
後にこ
れを反力として PC 鋼材を緊張して引張力を与え、
その端部をコンクリートに
(5)
させてプレ
ストレスを与える方式である。この場合普通は、
緊張材を収容するための孔を形成する
(6)
と
呼ばれる棒状の筒をコンクリート中に埋め込み、
緊張後にはその中に
生じさせる。
【解】
(1) プレテンション
(7)
を注入して
(3)
を
(4)
の発生を許
を制御する構造である。
【解】
(3)
と
いう。合成応力度が許容引張応力度を越えないよ
与えてある鉄筋コンクリートをプレストレスト コ
(1)
(1)
いようにプレストレスを与えておくことを
は
生じない。このように、あらかじめ与えておく
(3)
(5)
も
6
5
図 5 に示す長方形断面 PC 部材において,上縁応
力度 σco = 0,下縁応力度 σcu = 15N/mm2 となるよ
うに,プレストレスを導入せよ (プレストレス Pi および
偏心距離 e を求める).ただし,プレ ストレ ス導入時に
は部材自重モーメント Md1 = 100 MN·mm がこの断
面に作用するものとする. (10)
50
75
e
Pi
図6
【解】
A0 = 500 × 750 = 3.75 × 105 mm2
I0 = 500 × 7503 /12 = 1.76 × 1010 mm4
y0 = 750/2 = 375mm
yu = 750/2 = 375mm
z0 = I0 /y0 = 1.76 × 1010 /375 = 4.69 × 107 mm3
zu = I0 /yu = 4.69 × 107 mm3
プレストレス導入時の縁応力度
σc0
=
=
σcu
=
=
Pi
Pi e Md1
−
+
A0
z0
z0
Pi
Pi e
100 × 106
−
+
= 0N/mm2
5
7
3.75 × 10
4.69 × 10
4.69 × 107
Pi
Pi e Md1
+
−
A0
z0
zu
Pi
Pi e
100 × 106
+
−
= 15N/mm2
5
7
3.75 × 10
4.69 × 10
4.69 × 107
1 ,
2 を連立方程式として解く.
Pi = 2.81 × 106 N = 2.81MN
e = 161mm
1
2
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