2015.4.21 日本商標協会レター298号 2015年4月20日号

日 本 商 標 協 会 レ タ ー
No.298
2015.4.20
東京都港区西新橋2−18−1 弁護士ビル2号館402号
古 関 特 許 事 務 所 内 日本 商 標 協 会 事 務 局
TEL 03−6432−4161 FAX 03−5472−1599 ht
tp
://www.
j
ta.
tokyo
* 住所、指定代表者等の登録内容に変更があった場合は、当協会のホームページから、又は上記連絡先まで
書面にて、お早めにご連絡下さい。
部 会 開 催 予 定 表
* 定例日のある部会開催予定(各部会への参加は自由となっています。)
部 会
開 催 日
審決研究部会
第1水曜日
午後3時∼5時
商標情報部会
第2火曜日
午後3時∼5時
不正競業部会
第2水曜日
午後3時30分∼5時
判決研究部会
第3水曜日
午後6時∼8時
法制度研究部会
第4木曜日
午後4時∼6時
部 会
開 催 時 間
開 催 会 場
(内容欄に特記のないもの。)
商工会館6∼8階会議室
TEL 03-3581-1634
東京都千代田区霞が関3−4−2
内 容
5月
6月
5月度例会
審決研究部会
審決公報:2月発行の2015−2(第2分冊)及び3月発行の2015
−3(第1分冊∼第2分冊)
13日
発表者:網野 誠彦(弁理士、網野国際商標特許事務所)
(水)
桐山 大(弁理士、野本・桐山国際特許事務所)
15:00∼
鈴木 昇(弁理士、曾我特許事務所)
17:00
会 場:商工会館6G
※5月の開催日が変更となっておりますのでご注意ください。
6月度例会
3日
(水)
15:00∼
17:00
審決公報:未 定
会 場:商工会館6G
5月度例会
テーマ:PITAVA(ピタバ)事件
薬剤成分の略称表示の商標的使用該当性など商標権侵害
20日
(水)
平成26年(ワ)
770号、平成26年(ワ)
772号、平成26年(ワ)
767号 18
:00∼
20:00
平成26年(ワ)
773号、平成26年(ワ)
768号
の成否
判決研究部会
リポーター:江頭 あがさ(弁護士)
会 場:商工会館7BC
6月度例会
テーマ:未 定
リポーター:堀籠 佳典(弁護士・弁理士)
会 場:商工会館7BC
−1−
17日
(水)
18:00∼
20:00
部 会
5月度例会
テーマ:①音商標と文字商標の関係について
②不使用取消審判の手数料について
法制度研究部会
5月
内 容
会 場:商工会館7D
6月
28日
(木)
16
:00∼
18:00
25日
(木)
16
:00∼
18:00
6月度例会
テーマ:未 定
会 場:商工会館7D
5月度例会
テーマ:クロレラチラシ配付差止等請求事件
景品表示法の優良誤認表示につき、適格消費者団体による
13日
(水)
15:30∼
京都地裁 平成27年1月21日判決 平成26(ワ)116
17:00
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84833
差止請求が認められた事例
不正競業部会
担 当:外村 玲子(弁護士/弁理士・中村合同特許法律事務所)
会 場:商工会館7D
6月度例会:休 会
休 会
5月度例会:休 会
休 会
実務検討部会
6月度例会:未 定
未 定
5月度例会:休 会
休 会
6月度例会
テーマ:「各国の識別性の判断等についてのアンケート調査に関して
商標情報部会
(仮)」
9日
(火)
15:30∼
17:30
講 師:前外国商標制度委員会委員長 中山 健一
(弁理士 杉村萬国特許事務所)
会 場:商工会館7BC
ご案内:ご出席くださる方は、連絡先までメールでご連絡ください。
※6月の開催時間が変更となっております。
5月度例会:休 会
関 西 支 部
休 会
6月度例会
テーマ:未 定
講 師:滝井 朋子(弁護士)
会 場:大阪弁護士会館
−2−
24日
(水)
16
:00∼
18:00
部
会
連
絡
先
審 決 研 究 部 会
弁理士 谷山 尚史(大房・谷山特許法律事務所) TEL 03-5545-0477
判 決 研 究 部 会
弁護士 大向 尚子(西村あさひ法律事務所)
法制度研究部会
弁理士 香原 修也(秀和特許事務所)
不 正 競 業 部 会
西平 幹夫(カゴメ㈱ 経営企画室 法務グループ) TEL 03-5623-8501
実 務 検 討 部 会
諸橋 昭雄(武田薬品工業㈱)
商 標 情 報 部 会
荒俣 智子(帝人㈱)
関
弁護士 溝上 哲也(溝上法律特許事務所)
西
支
部
TEL 03-5562-8500
e-mail: [email protected]
TEL 03-6892-3470
e-mail:[email protected]
TEL 03-3506-4459
e-mail:[email protected]
TEL 06-6441-0391
e-mail:[email protected]
委員会活動予定表
委員会への参加は、原則として委員になることが条件となっています。
興味のある委員会への参加を希望される方は直接委員長にご連絡の上ご参加ください。
委員会名
開催日時
ブランド・マネジメント 毎月第3木曜日
15
:
00∼17
:
00
委員会
模倣 対 策委員会
国際活動 委員会
外国商標制度委員会
デ ザイン 委 員 会
研
修
委
員 会
編集出版委員会
メンバーシップ委員会
フレンドシップ委員会
月1回
5月8日 東 京
6月12日 東 京
委員長/連絡先
足立 勝
日本コカ・コーラ㈱
TEL 03-5574-4737
[email protected]
古稲 計
YKK株式会社
TEL 03-5352-1515
FAX 03-5352-1518
弁理士 佐藤 俊司
隔 月(偶数月)
第3火曜日 3時∼5時 TMI総合法律事務所
随 時
弁理士 中山 健一
杉村萬国特許事務所
弁理士 中村 知公 毎 月
第3水曜日 4時∼6時 小西・中村特許事務所
随 時
随 時
随 時
随 時
電話/Fax/e−ma
i
l
[email protected]
TEL 03-6438-5611
FAX 03-6438-5622
[email protected]
TEL 03-3581-2241
FAX 03-3580-0506
[email protected]
TEL 052-229-1070
FAX 052-201-1074
[email protected]
弁理士 松田 雅章
松田特許事務所
TEL 03-6277-8129
FAX 03-6277-8129
弁理士 矢崎 和彦
協和特許法律事務所
TEL 03-3211-2325
FAX 03-3211-1710
弁理士 小川 雅也
小川商標特許事務所
TEL 03-6277-6528
FAX 03-6277-6529
鶴岡 直樹
トムソン・ロイター・
プロフェッショナル株式会社
TEL 03-4589-3900
[email protected]
−3−
[email protected]
[email protected]
[email protected]
最近の商標関連裁判例リスト
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
平成27年2月2日∼平成27年2月27日裁判所ウェブ公表分
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、商標登録出願により生じた権利を承
継した原告が本願商標につき請求した拒絶査定
不服審判の請求棄却審決に対する取消訴訟で
ある。
審決では、本願商標は商標法 3 条 1 項 3 号に
該当し、自他商品識別機能を果たさないと判断
された。
本判決も、
本願商標のうち「湘南二宮」
部分は、
知的財産高等裁判所
1 第1部
平成27年1月28日
平成 26(行ケ)10152
【本願商標】
審決取消請求事件
棄却
湘南二宮オリーブ
商標権 行政訴訟
・商標法3条1項3号
原告:㈱ユニバーサル農場
(標準文字)
・同法3条2項
被告:特許庁長官
(3、25、39)
「湘南地方の二宮町」を表したもの、「オリーブ」
はオリーブオイルの原材料を表したものと理解さ
れ、オリーブオイルを含む食用油の分野では、原
材料や原材料の産地を商品名の一部としたり、
商品説明に記載しているという取引の実情が認
められることからも、本願商標「湘南二宮オリー
ブ」
を指定商品に使用しても、取引者及び需要者
は「湘南二宮産のオリーブ」を表したに過ぎない
ものと理解するため、商標法 3 条 1 項 3 号に該
当するとして、原告の請求を棄却した。また、原告
が挙げる証拠からは、本願商標が需要者の間で
広く周知となっているとは認められないため、商
標法 3 条 2 項には該当しないとされた。
−4−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、控訴人
(原審原告)
が、被控訴人
(原審
被告)Y が著述し、被控訴人会社が発行する被
控訴人書籍における表示又はその形態が、控訴
人の著名な商品等表示(書籍の題号に含まれる
「巻くだけダイエット」の表示及び書籍の巻末に
付録としてバンドを折り畳んで添付している形
態)を冒用するものであるとして、被控訴人書籍
の製造、販売又は販売のための展示の差止、そ
の破棄、損害賠償を求めたところ、原審が請求を
棄却したため控訴した事案である。
争点は、
①被控訴人書籍の題号として「お腹が
凹む!巻くだけダイエット」と表示すること等が控
訴人の著名な商品等表示の冒用行為にあたるか、
②書籍の付録としてバンドを折りたたんだ状態
で添付する形態が控訴人の著名な商品等表示の
知的財産高等裁判所
2 第2部
平成27年1月29日
冒用行為にあたるかである。
平成 26(ネ)10095
不正競争行為差止等請求
控訴事件
不正競争 民事訴訟
控訴人(原審原告):X
①について、被控訴人書籍の表示は、書籍の
−
棄却
・不正競争防止法
2条1項2号
被控訴人(原審被告)
:Y1、
内容を表示することを超えてその出所を識別す
る態様で用いられておらず、被控訴人が「巻くだ
けダイエット」を自己の商品等表示として使用して
いるとは認められないこと、
「巻くだけダイエット」
㈱宝島社
の表示は控訴人の業務の内容を需要者に示して
いるものにすぎず、控訴人の業務の出所を指し
示すものと認められないことから、被控訴人書籍
において控訴人の著名な商品等表示が冒用され
たと認められないとした。
②についても、商品の形態自体であっても、特
別顕著性、周知性があれば商品等表示に該当す
る可能性があることを認めたものの、本件につい
ては、書籍に物品等の付録を添付することは、ゴ
ム製バンドにかぎったとしても、控訴人書籍の発
行時において全くありふれた形態であり特別顕
著性は認められないため、書籍の付録としてバン
ドを折りたたんだ状態で添付する形態は控訴人
の商品等表示と認められないとして、被控訴人
書籍において原告の著名な商品等表示が冒用さ
れたと認められないとした。
−5−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、商標登録異議申立の登録取消決定に
対する取消訴訟である。
取消決定では、本件商標は、他人
(木村医科器
械:平成 24 年 3 月 12 日に破産手続が確定し、
その事業に係る商品及び商号他について被告補
助参加人に譲渡されている。
)の業務を表示する
ものとして、取引者、需要者の間に広く認識され
ていた商標と同一又は類似する標章であって、そ
の商品又は役務と同一の商品又は役務について
使用する商標というべきであるから、商標法 4
【本件商標】
知的財産高等裁判所
3 第2部
平成27年1月29日
平成 26(行ケ)10144
商標登録取消決定取消
請求事件
商標権 行政訴訟
原告:㈱キムラメド
被告:特許庁長官
被告補助参加人:
クロス・メディカル
サービス㈱
条 1 項 10 号に該当し、また、木村商標 1 が商標
登録されていないことを奇貨として、これと実質
的に同一といい得るほど酷似した本件商標を木
(10、37)
村医科器械の破産管財人の承諾を得ずに先取り
【木村商標 1】
的に商標登録した原告の行為は、公正な競業秩
棄却
序を害し、公序良俗には反するものであるため商
・商標法4条1項7号、
標法 4 条 1 項 7 号に該当するとされた。
11号
本判決では、木村医科器械の事業停止後にお
いても、本件商標登録出願時と近接した時期に
破産管財人によって木村商標 1 及び 2 の付され
【木村商標 2】
た商品が流通に置かれていたこと、原告のイン
ターネットサイトにおいて本件登録出願時及び
登録査定時に、木村医科器械製商品とともに木
村商標 1 及び 2 が掲示され続けたこと他を総合
的に勘案すると、木村医科器械による商標の「使
用」の事実があったと認められることから、本件
商標が商標法 4 条 1 項 10 号に該当するとの決
定の判断に誤りはないとされた。
また、本件商標
が商標法 4 条 1 項 10 号に該当する以上、商標
法 4 条 1 項 7 号の適用について判断するまでも
なく、本件商標登録は取り消されるべきものとさ
れた。
本件は、無効審判請求を不成立とした審決に
対する取消訴訟である。
審決では、本件商標と原告商標「玄米菜食」
と
は、健康食品の主たる需要者である一般の消費
者が通常有する注意力をもってすれば、商品の
【本件商標】
出所について誤認混同を生ずるおそれは低く、
互いに紛れるおそれのない非類似の商標という
醗酵玄米菜食ギャバ
知的財産高等裁判所
4 第2部
平成27年2月12日
平成 26(行ケ)10180
審決取消請求事件
商標権 行政訴訟
原告:㈱ヨネキチ
被告:㈱マルセイ
(標準文字)
(5)
【引用商標】
べきであるとして、商標法 4 条 1 項 11 号の該当
性が否定された。
棄却
・商標法4条1項11号
本判決も、本件商標 9 文字の中央部分 4 文字
・同法46条1項1号
のみを分離抽出することは著しく不自然であり、
本件商標は構成全体を一体不可分のものと認
めるのが相当であること、玄米菜食が原告の出
所を示す商標として周知又は著名なものである
(30)
ことを認めるに足る証拠もないことを考慮する
と、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観
念のいずれにおいても明瞭に区別できるもので
あり、本件商標は商標法 4 条1項 11 号に違反す
るものではないとして原告の請求を棄却した。
−6−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、拒絶査定不服審判の請求不成立審決
に対する取消訴訟である。
審決では、第 29 類
「牛肉,牛肉製品」を指定商
品とする本件商標「しあわせ牛」の登録出願が、
第 29 類「牛肉」を指定商品とする引用商標「千
【本件商標】
葉しあわせ牛」と類似するとして、商標法 4 条 1
しあわせ牛
知的財産高等裁判所
5 第2部
平成27年1月29日
平成 26(行ケ)10185
審決取消請求事件
商標権 行政訴訟
原告:㈱しあわせ牛
被告:特許庁長官
(標準文字)
(29)
項 11 号に基づく拒絶理由に該当すると判断され
た。
判決では、本件商標と引用商標は、
「千葉」と
棄却
いう文字の有無で外観の差異があるが、引用商
・商標法4条1項11号
【引用商標】
標の要部である「しあわせ牛」の構成文字は同一
であり、その要部からは、
「シアワセギュウ」又は
「シアワセウシ」の称呼が生じ、これらの文字は、
(29)
「幸せな牛」との意味合いを想起させる点でも同
一であり、そして、両商標の指定商品も同一、類
似であるため、本願商標は、商標法 4 条 1 項 11
号に該当し、原告の請求は理由がないと判断さ
れた。
本件は、拒絶査定不服審判の請求不成立審決
に対する取消訴訟である。
審決では、本願商標「全国共通お食事券」は、
その構成全体から「全国に共通して食事に利用
できる金券」ほどの意味合いを認識させ、指定役
務である「全国の加盟店で利用可能な食事券の
発行」
に使用した場合、役務の質及び内容を記述
的に表すため商標法 3 条 1 項 3 号に該当し、また、
原告の提出した証拠を総合してみても、本願商標
は、商標法 3 条 2 項所定の要件を具備するに
至っているとは認められないと判断された。
判決では、本願商標を指定役務に使用すれば、
取引者、需要者、すなわち、加盟店関係者及び一
知的財産高等裁判所
6 第2部
平成27年1月29日
平成 26(行ケ)10193
【本件商標】
審決取消請求事件
棄却
商標権 行政訴訟
全国共通お食事券
・商標法3条1項3号
原告:㈱ジェフグルメ
(標準文字)
・同法3条2項
カード
(16、36)
被告:特許庁長官
般消費者は、
「全国で共通して所定の取扱店にお
いて食事に利用できる金券」程度の意味合いを
認識し、これは、本願指定役務に係る「発行」の
対象である「全国の加盟店で利用可能な食事
券」とほぼ同義といえ、本願商標は、役務の質を
普通に用いられる方法で表示する標章のみから
なるといえるから、商標法 3 条 1 項 3 号に該当し、
同旨の認定をした本件審決の判断に誤りはない
と判断された。また、商標法 3 条 2 項の適用の
可否について、原告食事券を示すものとして、
「全
国共通お食事券」の語が単独で使用されたこと
はなく、同語は、常に
「ジェフグルメカード」の語
と併記されて使用されてきたものであり、全体と
して「ジェフグルメカード」の方が、「全国共通お
食事券」よりも強い印象を看者に与える態様で
表示されてきたということができ、
「全国共通お
食事券」の表示のみによって原告食事券の出所
が原告である旨を認識することはなく、商標法 3
条 2 項は適用できないと判断された。
−7−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、不使用取消審判の請求不成立審決に
対する取消訴訟である。
審決では、審決使用商標の表示された貨物空
輸用コンテナに作業を施した事実が認められ、本
件商標を本件指定役務中の「航空機による輸
送」に使用したことを証明したというべきである
から、その登録を取り消すべきでないと判断され
た。
判決では、被告は要証期間内に、その運航する
航空機に荷物の入った貨物空輸用コンテナを積
み込み、空港に到着した同航空機から同コンテ
ナを搬出し、空港における搬出作業の過程で、同
コンテナは車両により牽引され、同コンテナには
図案化された「JAS」との欧文字から構成される
標章が表示されていた事実を認め、役務を提供
知的財産高等裁判所
7 第4部
平成27年1月29日
平成 25(行ケ)10294
審決取消請求事件
商標権 行政訴訟
原告:ジャス ワールド
ワイド エス アー
エール エル
被告:日本航空㈱
するに当たり「その提供を受ける者の利用に供す
【本件商標】
(39)
る物」に該当するものと認められるから、商標法
棄却
2 条 3 項 3 号及び 4 号の「使用」
に該当し、また、
・商標法2条3項3号、
機体から搬出される過程で同役務の取引者・需
4号、5号
要者である航空機の乗客や貨物代理店の従業
・同法50条1項
者により視認することが可能な状態に置かれて
いたから、これは「航空機による輸送」の「役務の
提供のために展示」
したものと認められ、商標法
2 条 3 項 5 号の「使用」に該当すると判断され、
本件審決にこれを取り消すべき違法は認められ
ないと判断された。
なお、原告は、被告
(日本航空)
と日本エアシス
テムの統合の経緯に照らせば、要証期間より前
に「JAS」が表象する日本エアシステムは「JAS」
ブランドとともに完全に消滅していたことや、コ
ンテナに付された「JAS」
との表示は、かつて日本
エアシステムという会社が存在したことの歴史
的な名残にすぎず、被告の提供する
「航空機によ
る輸送」
に係る役務について、被告を他者から識
別させる機能を果たす態様において用いられた
とはいえない旨等を主張したが、いずれもその主
張は理由がないと判断された。
知的財産高等裁判所
8 第4部
平成27年1月29日
平成 25(行ケ)10295
審決取消請求事件
商標権 行政訴訟
原告:ジャス ワールド
ワイド エス アー
エール エル
被告:日本航空㈱
(商標構成以外は、
上記判決の要旨と同じである。
)
【本件商標】
棄却
−
(39)
−8−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、原告が被告に対し、被告が原告の商
標権を侵害していると主張して、商標法 36 条 1
項及び 2 項に基づき被告標章の使用の差止め
及び被告標章を付した薬剤の廃棄を求めた事案
であるが、原告の請求はいずれも棄却された。
争点は、本件商標と被告標章の類否
(争点 1)、
【本件商標】
PITAVA
(標準文字)
(5)
商標的使用の有無(争点 2)
、被告標章は普通名
称か否か
(争点 3)、本件商標の登録は無効審判
によって無効にされるべきものか否か(争点 4)、
権利の濫用の成否(争点 5)
である。
【被告標章】
判決では、争点 2(商標的使用の有無)につい
て、被告各商品の有効成分「ピタバスタチンカル
1.
シウム」の表記は医薬品の一般的名称として定
められており、これを有効成分とする医療用後発
東京地方裁判所民事
9 第40部
平成26年11月28日
医薬品はその販売名に、一般的名称及び剤型、
平成 26(ワ)767
商標権侵害差止請求事件
商標権 民事訴訟
原告:興和㈱
被告:小林化工㈱
2.
棄却
・商標法36条1項、
2項
含量、会社名(屋号等)を付さなければならない
こと、
「スタチン系」
の薬剤の存在、
「ピタバ」
の略
称が業界内で使用されていること等を根拠に、
被告標章「ピタバ」は調剤時の間違い予防や患者
の誤飲防止のために表示されたものであり、商
標としての自他商品識別機能若しくは出所表示
機能を果たす態様で使用されておらず、本件商標
の「使用」に該当しないと判断した。
原告は、
患者を取引者、
需要者であるとして、患
3.
者は「ピタバ」の表示を商標であると認識する等
と主張したが、裁判所は、被告商品は処方せん医
薬品であり、医師等からの処方せんなしに購入す
ることはできないから、患者が自ら錠剤の表示に
基づいてその出所を識別して薬剤の処方を受け
ることは一般的ではないとして、原告の主張を退
けた。
また、原告は誤飲防止としての表示を自他商
品識別機能を奏するための表示であると主張し
たが、
この主張も退けられた。
−9−
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、原告が被告に対し、被告が原告の商
標権を侵害していると主張して、商標法 36 条 1
項及び 2 項に基づき被告標章の使用の差止め
及び被告標章を付した薬剤の廃棄を求めた事案
であるが、原告の請求はいずれも棄却された。
争点は、本件商標と被告標章の類否
(争点 1)、
商標的使用の有無(争点 2)
、被告標章は普通名
称か否か
(争点 3)、本件商標の登録は無効審判
によって無効にされるべきものか否か(争点 4)、
権利の濫用の成否(争点 5)
である。
判決では、争点 2(商標的使用の有無)につい
【本件商標】
PITAVA
(標準文字)
(5)
て、被告各商品の有効成分「ピタバスタチンカル
シウム」の表記は医薬品の一般的名称として定
められており、これを有効成分とする医療用後発
医薬品はその販売名に、一般的名称及び剤型、
【被告標章】
含量、会社名(屋号等)を付さなければならない
こと、
「スタチン系」
の薬剤の存在、
「ピタバ」
の略
1.
称が業界内で使用されていること、被告商品の
PTP シート上部に「ピタバスタチン」の文字が表
平成 26(ワ)772
東京地方裁判所民事
10 第40部
平成26年11月28日
棄却
・商標法36条1項、
2項
商標権侵害差止請求事件
商標権 民事訴訟
原告:興和㈱
被告:東和薬品㈱
記されていること、被告商標の下段には「スタチ
ン Ca」の文字が記載され、被告標章は横二段標
章の一部にすぎないこと等を根拠に、被告標章
「ピタバ」は調剤時の間違い予防や患者の誤飲防
止のために表示されたものであり、商標としての
自他商品識別機能若しくは出所表示機能を果た
す態様で使用されておらず、本件商標の「使用」
※拡大図
に該当しないと判断した。
(これは、被告の横二段標章を一体としてみた場
合も同様。
)
原告は、
患者を含む取引者・需要者は「ピタバ」
の文字部分を独立して一つの標章と認識し、該
部分が自他商品識別機能と出所表示機能を果た
していると主張したが、裁判所は、スペース等に
制約のある中で有効成分や含量を表示する必要
性から被告標章のような表示態様となったもの
と判断した。
さらには、被告商品は処方せん医薬
品であり、医師等からの処方せんなしに購入する
ことはできないから、患者が自ら錠剤の表示に基
づいてその出所を識別して薬剤の処方を受ける
ことは一般的ではない等として、原告の主張を退
けた。
− 10 −
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、原告 A が、被告による虚偽内容の文
書の送付によって名誉を棄損されたとして、被告
に対し、名誉棄損の不法行為に基づく損害賠償
を請求し、原告株式会社ハートウィング(以下
「原告会社」という。)が、虚偽内容の文書を送付
した被告の行為が名誉棄損の不法行為又は不
競法 2 条 1 項 14 号の不正競争に当たり、また、
文書送付によって原告会社の顧客を奪取した被
告の行為が不法行為に当たると主張して損害賠
償を請求した事案で、請求が棄却された事案で
ある。
争点は、原告 A につき、名誉棄損の不法行為
東京地方裁判所民事
11 第40部
平成27年1月21日
の成否、損害の発生の有無及びその額、原告会
平成 25(ワ)5714
損害賠償等請求事件
不正競争 民事訴訟
原告:㈱ハートウィング、
A
被告:㈱石井式国語教育
社につき、名誉棄損の不法行為の成否、不競法 2
棄却
・不正競争防止法
2条1項14号
・同法4条
−
条 1 項 14 号の不正競争該当性、顧客奪取の不
法行為の成否、損害の発生の有無及びその額で
ある。
判決は、原告 A に対する名誉棄損の不法行為
につき、本件文書の表現は社会的評価を低下さ
研究会
せるものであるとはいい得るが、被告が本件文書
を送付したことはいずれも名誉棄損についての
違法性又は故意、過失を欠くものと認められると
して、不法行為の成立を否定した。名誉棄損の不
法行為については、原告会社との関係において
も同様の判断をしている。
不競法 2 条 1 項 14 号
に関する判断については、本件文書記載の事実
が虚偽であることの立証がされておらず、かえっ
て記載された事実の重要な部分はいずれも真実
であると認定した。顧客奪取の不法行為につい
ては、原告会社の主張がその前提を欠くものであ
り採用できないとしている。その余の争点は判断
されていない。
本件は、原告が、原告が有していた本件商標
(不使用取消審判により取消)について、被告が、
自社が発行する雑誌(以下「被告雑誌」という。)
に被告標章を付して使用することにより侵害した
【本件商標】
として、主位的に不法行為による損害賠償、予備
的に商標権使用料相当額の不当利得の一部の
東京地方裁判所民事
12 第46部
平成27年1月29日
平成 25(ワ)24622
【被告標章】
貸金等請求事件(分離後
の損害賠償請求関係) 1.
商標権 民事訴訟
原告:X
被告:㈱政界往来社
2.
棄却
・商標法32条1項
・同法38条3項
・民法1条3項
・同法703条
・同法709条
・同法724条
支払いを求めた事案である。
争点は、先使用権の有無、消滅時効の成否、損
害額ないし不当利得額。
原告は、先使用権の有無について、発行部数
が被告主張より少なく周知性がない、雑誌の発
行が数回にわたり中断していたため継続的に使
用していないと主張した。これに対し裁判所は、
被告雑誌は創刊から 50 年以上経過しているこ
と、被告雑誌には大手企業の広告や大手企業社
長のインタビューが掲載されていること等から周
知性を認め、原告の主張には理由がないとし、先
使用権の成立を認めたことから、その余の判断
をするまでもなく、
原告の請求を棄却した。
− 11 −
No.
裁判所・判決日
事件番号・種類等
対象商標(区分)
結論・条文
判決要旨
本件は、原告が、発明の名称を「発光ダイオー
ド」とする特許権を有する被告による本件プレス
リリースの掲載が、不競法 2 条 1 項 14 号所定の
不正競争行為に該当し、被告による先行訴訟の
提起等が不法行為を構成するとして不競法 4 条
及び民法 709 条に基づき、損害額 500 万及び
遅延損害金の支払を求めた事案で、本件プレスリ
リースの掲載により被った損害額として 110 万円
(うち弁護士費用 10 万円)及び遅延損害金が認
大阪地方裁判所
13 第26民事部
平成27年2月19日
平成 26(ワ)3119
損害賠償請求事件
不正競争 民事訴訟
原告:㈱立花エレテック
被告:日亜化学工業㈱
−
一部認容
・不正競争防止法
2条1項14号
・同法4条
・民法709条
容された事案である。
争点は、不正競争行為の該当性、被告による先
行訴訟の提起等が不法行為を構成するか否か、
損害額の 3 点である。
判決は、本件プレスリリースの掲載が不正競
争行為であると認定し、被告による先行行為の
提起等については不法行為には当たらないと認
定した。特許権侵害に関するウェブサイト上のプ
レスリリースにおける注意義務については、あら
かじめ、他者の実施行為等について、事実の調査
を尽くし、特許権侵害の有無を法的な観点から
検討し、侵害しているとの確証を得た上で、プレ
スリリースを行うべき注意義務があるとして、事
実を詳細に検討して判断している。
(判決研究部会 部会長 大向尚子、裁判例リストチーム)
− 12 −
尚、同部会で検討対象になった審決に、以下
のものがある。
審決公報26-12
審決公報26-12
不服2014-18265
不服2014-14428
本願「ASHLEY B」(K25)
本願「Vitamin IP」
(K16)
※ 引用「ashley」(K35)
※ 引用1「VitaminZ」
(K09)
引用2「VitaminX」
(K09)
審決では、本願商標は、外観上まとまりよく
引用3「VitaminY」
(K09)
一体的に表わされ、称呼も、格別冗長でもな
引用4「VitaminR」
(K09)
く、よどみなく一連に称呼し得るとしたうえ
(引用1乃至4は同一商標権者)
で、「
『ASHLEY』と『B』の欧文字との組
合せからなるものと理解されるとしても,
『B』
の部分を,殊更省略して,『ASHLEY』の
審決では、本願商標は、視覚上、一体的なま
とまりあるものとして看取され、よどみなく一
「
『Vitamin』
文字部分のみに着目するというよりは,むしろ, 連に称呼し得るとしたうえで、
構成文字の全体をもって,一種の造語を表した
の欧文字は,栄養素の一である『ビタミン』の
ものと認識し,把握されるとみるのが自然であ
意味を有する英語,
『IP』の欧文字は,
『知的
る」として、引用商標とは、相紛れるおそれの
財産』の意味を有する英語『intellec
ない非類似の商標と認められるとした。
tual property』の略語として使用
部会では、語尾に付加されるアルファベット
される場合があるとしても,本願商標に係る構
1文字は、なおも型番等を表す記号・符号と認
成においては,その構成全体をもって,本願の
識されるとみるべきではないかといった意見や、 指定商品の出所識別標識として認識されるもの
語尾のアルファベットが異なればすべて併存可
と認められる」としている。
能ということになりかねないのではないかと
審決において言及はないが、
「Vitamin」
いった意見が挙がった。
昨今の審決において、語頭又は語尾における
の語が、
「ビタミンA」のように、語尾に配さ
アルファベット1又は2文字の結合の有無によ
れるアルファベットと結合しやすく、かつ、語
り、非類似と判断されるケースは少なくない。
尾に結合されたアルファベットが重視されやす
しかし、とりわけ、アルファベット1又は2
いといった事情が勘案されている可能性はある
字が、語尾に配される場合には、前に配される
かもしれない。
語の識別力や、商標全体としての観念的結合の
有無等からみて、常に一体とみるべき事情がな
い限り、なおも型番等を表す記号・符号にすぎ
ないとみるべき場合も少なくないように思われ
る。
− 13 −
尚、前掲不服2014-18265では、請
審決公報27-01
求人が提出した証拠(引用商標の商標権者の閉
不服2014-14155
鎖事項全部証明書)に基づき、引用商標の商標
本願「清龍」
権者が、「平成18年3月9日に設立され,同
※ 引用「清流」
(05)
23年6月15日午後5時に,大阪地方裁判
所の破産手続開始(同年6月17日登記)
,同
審決では、
「いわゆる健康食品の取引の実状
24年1月11日に,大阪地方裁判所の費用不
を踏まえ、これらの外観、称呼及び観念を総合
足による破産手続廃止の決定が確定し(同年
的に考察すると、本願商標と引用商標とは、相
1月23日登記),同日に同社の登記簿が閉鎖
紛れるおそれがない非類似の商標といえる」と
されたものと認められる」ことから、「少なく
判断している。
とも,本願商標の登録出願時である平成24年
具体的には、
「本願商標と引用商標の指定商
4月16日以降において,引用商標がその正当
品は、いずれもいわゆる健康食品といわれるも
な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受
のであるところ、
健康食品は、
一般消費者にとっ
けた者)によって使用される可能性は極めて低
て、自己の健康にかかわる重要なものであるか
いものと認められ,引用商標と本願商標との間
ら、その商標が当該商品を示すものとして周知
で商品の出所についての混同を生ずるおそれは
となっているなどといった特段の事情が認めら
ないものである」とされている。
れない限り、現物を手にとって慎重に選ぶのが
部会では、「破産した会社を被請求人として
通常であり、単に称呼のみで購入することはま
請求された審判請求の取扱い」(審判便覧50
れと考えられるものである」との指定商品の取
-00)との関係において、不使用取消審判を
引実情が勘案されている。
なす際の請求人側の負担が少なくないことから、
このような判断を歓迎する声も聞かれた。
部会では、共通する称呼が生ずる以上、類似
と判断すべきではないかとの意見が挙がった。
指定商品の分野における取引実情が積極的に
勘案されること自体は、指定商品ごとの商標の
類否判断において望ましいことであると考える。
しかしながら、例えば、テレビショッピング
やインターネット通信販売などでは、電話によ
るサプリメントの受注が大々的に行われている
事情もあることからすると、自己の健康にかか
わる重要な商品であるとすれば、なおも、称呼
が、商品を慎重に購入する際の重要な要素のひ
とつとなる場合も少なくないのではないだろう
か。
− 14 −
ある商標に対して、指定商品を記述する語を
審決公報26-12
不服2013-16992
付加した結合商標が、商標全体の外観上のまと
本願「このまちうどん」
まりのよさや、よどみなく一連に称呼できるこ
=引用「このまち」(30)
とをもって、非類似とされる審決は少なくない
ように見受けられ、部会では、これまで、指定
審決では、
「構成中の『うどん』の文字は、
商品を記述する語を除いた部分に相応した称呼
指定商品中『愛知県豊田市産のうどんの麺』と
が生ずるとみるべきではないかとの意見が挙が
の関係において、該商品を含む上記『麺類の一
ることが多かった。
種』を表す一般的な表示であるから、該文字部
これら2件の審決は、いずれも、指定商品を
分から出所識別標識としての称呼、観念は生じ
記述する語を除いた部分からの称呼が生ずると
ない。
認定し、引用商標と類似するとしたものである
してみると、本願商標は、その構成中の『こ
のまち』の文字部分のみをもって取引されるこ
ところ、部会では、これらの審決の判断を首肯
する意見が多く挙がった。
とも決して少なくないというのが相当であり、
その構成全体から生じる『コノマチウドン』の
称呼のほかに、
『このまち』の文字部分に相応
して、『コノマチ』の称呼をも生じ、特定の観
念は生じないものである」として、引用商標と
類似の商標であると判断した。
審決公報26-12
無効2013-890047
本願「芋一石」
=引用「いっせき」(33)
審決では、「『芋』の文字は、その指定商品と
の関係において、商品の原材料を表示したもの
と認識されるから、自他商品の出所識別標識と
しての機能を果たし得ない」として、当該文字
部分からは、
「商品の出所識別標識としての称
呼及び観念が生じないものと認められ、該文字
部分を捨象し、
『一石』の文字が商品の出所識
別標識として看取され、取引に資される場合も
決して少なくないから、『一石』の文字部分だ
けを他人の商標と比較して商標のそのものの類
否を判断することが許されるものといえる」と
して、
「イッセキ」の称呼を共通にする類似の
商標であると判断した。
− 15 −
(審決研究部会 部会長 谷山 尚史)
新しいタイプの商標セミナー報告書
日本商標協会関西支部
テーマ:新しいタイプの商標セミナー
日 時:2015年3月18日(水)13:00~17:00
会 場:日本弁理士会近畿支部室
協 賛:経済産業調査会近畿本部
出席者:117名 (事務所:66名・企業:50名・その他1名)
(会員:71名・非会員:46名)
講 師:田村祐一氏(特許庁法制専門官)
松井宏記氏(弁理士・レクシア特許法律事務所/日本商標協会理事)
パネリスト:田村祐一氏(特許庁法制専門官)
松井宏記氏(弁理士・レクシア特許法律事務所/日本商標協会理事)
堤 信夫氏(取締役執行役員 法務部長・久光製薬株式会社)
大向尚子氏(弁護士・西村あさひ法律事務所/日本商標協会理事)
コーディネーター:川瀬幹夫氏(弁理士・三協国際特許事務所/日本商標協会理事)
<概 要>
田村祐一講師より、「新しいタイプの商標に関する制度改正と審査基準の概要」と題する資料
に基づき、約90分間、制度改正と審査基準について詳細にご講演を頂いた。
その後、松井宏記講師より、
「新商標の意義と立体商標及び意匠との比較」と題する資料に基
づき、約50分間、代理人としての実務対応の視点からご講演を頂いた。
後半は、パネリストの堤信夫氏及び大向尚子氏に各10分間のパネリストスピーチをしてい
ただいた上、講師2名が加わり、川瀬幹夫氏のコーディネートにより、制度の運用及び実務上
の諸問題について、出席者からの質問も交え、パネルディスカッションを約60分間行った。
<今後のスケジュール>
(1)例 会
平成27年4月21日(火) 発表者:中川 博司[三枝国際特許事務所 弁理士]
報告(溝上 哲也)
− 16 −
外国情報
(外国商標制度委員会)
外国事務所・刊行物から得た情報を紹介します。情報の確認や更に詳
細な情報が必要なときは、会員各位のチャネルに接触下さい。
マドリッドプロトコル情報
締約国情報
マドリッドプロトコルに、アフリカ知的財産機関(OAPI)とジンバブエが加盟し、それぞれ
2015 年 3 月 5 日、同 3 月 11 日に発効した。また、先だってカンボジアが WIPO 国際事務局に加
入書を寄託し、2015 年 6 月 5 日発効予定である。これによりマドリッドプロトコルの加盟国は、
95 ヶ国となる。なお、OAPI とカンボジアはそれぞれ、以下の宣言のうち、1と2(OAPI)
、1(カ
ンボジア)を行っている。
1.拒絶通報期間 18 ヶ月、異議申立てに基づく暫定的拒絶通報 18 ヶ月期間満了後も発行で
きる旨の宣言
2.個別手数料の宣言
OAPI は、フランス語圏を中心とするアフリカ諸国からなる知的財産権に関する国際機関で、ベ
ナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コモロ、コンゴ共和国、コー
トジボワール、ガボン、ギニア、赤道ギニア、マリ、モーリタリア、ニジェール、ギニアビサウ、
セネガル及びトーゴ(17 ヶ国)より構成されている。
なお、ASEAN 諸国が、2015 年中に加盟する旨宣言を行っているところ、残るインドネシア、タイ、
マレーシア、ブルネイ、ラオス、ミャンマー(可能性は薄いが)の加盟が期待される。
マドリッド協定、マドリッドプロトコル共通規則の改正
2014 年 9 月開催の第 48 回マドリッド加盟国総会において承認された共通規則の改正に基づき、
マドリッドプロトコルについて以下の点が変更された(発効日:2015 年 1 月 1 日)
。
1.継続手続規定の新設(第 5 規則の 2(新規)
、第 20 規則の 2(3) 及び第 27 規則 (1))
出願人、名義人が、個別手数料における第二段階料金納付等、以下の手続について、期間内
に国際事務局に対し応答を行えなかった場合、継続手続の申請が可能となった。継続手続の申
請は、当該期限より2ヵ月以内に、MM20(新規)を用いて、出願人又は名義人が署名のうえ、
国際事務局に提出する。申請手続の費用は、200 スイスフランである。
・出願人に依拠する欠陥(第 11 規則 (2) 及び (3))(なお本国官庁を経由して提出される第 12
規則及び第 13 規則には適用なし。)
・ライセンスの記録請求に関する欠陥(第 12 規則の 2(2))
・事後指定の請求に関する欠陥(第 24 規則 (5)(b))
・国際登録簿の記録の変更・取消に関する欠陥(第 26 規則 (2))
・個別手数料における第二段階料金納付の期間徒過(第 34 規則 (3)(c)(iii))
・承継国への国際登録の効果継続に関する請求の期間徒過(第 39 規則 (1))
− 17 −
2.一部更新(第 30 規則)
従来、ある指定国において一部区分の商品・役務のみにしか保護されていなかった場合、事
前に減縮(MM6)の手続を行わなければ、国際登録簿のメインリストに記録されたすべての区
分についての更新費用を支払う必要があったが、2015 年 1 月より、事前の減縮手続をする必要
がなくなった。ただし、当該指定国で保護されていない商品・役務について保護を欲して審判
手続などが係属している場合は、紙による手続 (MM11) で区分を限定することなく更新するこ
とも可能である(なお、MM11 の様式は変更されている)
。
3.更新が認められなかった旨の通報(第 31 規則)
更新がされず取り消された国際登録について、国際登録事務局より、名義人、代理人、指定
国官庁に通報がされることとなった。
出所:WIPO Information Notice Nos.4/2014、No.6/2015、WIPO 日本事務所ウェブサイト マド
リッドハイライト 2014 年 12 月 No.4/2014
外国商標制度委員会(河合千明)
− 18 −
入会者
(個人会員)
乾 利之(弁理士)
IPNJ 国際特許事務所
〒 151-0053 渋谷区代々木 2-23-1-325
電話:03-5309-2970 FAX:03-5309-2971
乾 智彦(弁理士)
株式会社 IHI
〒 135-8710 江東区豊洲 3-1-1 豊洲 IHI ビル
電話:03-6204-7093 FAX:03-6204-8651
黒田 充正
㈱伊勢半 生産本部 薬事管理部 知的財産担当
〒 102-8370 千代田区四番町 6-11 ※ 大熊一雄会員より変更
電話:03-3262-3119 FAX:03-3222-6725
村上 季実子(弁理士)
※ 松本尚子会員より変更
横山 良平(弁理士)
加藤 貞晴(弁護士)
(業)三枝国際特許事務所
〒 541-0045 大阪市中央区道修町 1-7-1 北浜 TNK ビル 11F
電話:06-6203-0941 FAX:06-6201-0586
TBK
Bavariaring 4-6, 80336 Munich, Germany
電話:49-89-544-690 FAX:49-89-544-69290
武蔵法律事務所
〒 103-0007 中央区日本橋浜町 3-3-1 トルナーレ日本橋浜町 216
電話:03-5641-0646
退会者
(個人会員)
佐藤 壽見子(弁理士)
大熊 一雄(㈱伊勢半) ※ 黒田充正氏へ変更
松本 尚子(弁理士) ※ 村上季実子氏へ変更
菊池 桂子(弁理士)
(法人会員)
富士フイルム㈱
− 19 −
事務局からのお知らせとお願い
平成27年度定時総会について
来る5月26日(火)13時30分より,如水会館において定時総会を開催いたします。
詳細な案内は5月上旬にお送りいたしますが,ご予定に入れておいてくださいますよう
お願いいたします。
新しいタイプの商標出願について
4月14日,新しいタイプの公開商標公報が発行されました。
なお,音商標については,4月28日以降,順次公表される予定です。
当協会ホームページにログインしておられない方へ
昨年11月に当協会のホームページをリニューアルし,会員に向けて有用な情報を提供
しておりますが,ログインされておられない会員の方々が多数おられます。
ログインしておられない会員の方々は,下記のいずれかにより,「ログイン希望」の旨を
事務局までお知らせください。
・当協会ホームページ(http://jta.tokyo/)右上の「お問い合わせ」から
・事務局メールアドレス([email protected])へ
なお,法人会員は,指定代表の方が「ログイン希望」の旨をお知らせください。指定
代表が不明な場合も,同様にお知らせください。
事務局
− 20 −