ボクセルを用いた折り紙建築作成ソフトの考察 A Study on a Software to Make Origamic Architecture with Voxel Date Structure 1DS04186T 高橋竜平 Ryouhei TAKAHASHI 1 はじめに 折り紙建築とは一枚の紙に切り込みや折り目を入れ建築物 イ)x軸に平行でない線分は必ず切断する。 ロ)x軸に平行な線分は周囲の構成面との関係から考える。 や動物などの立体的な造形物を表現したものである。(図1) ロ-1)線分を共有していない場合は切断する。 折り紙建築は「二つ折りに畳める」 「一枚の紙から作る」 「開 ロ-2) 線分を共有している場合はなす角によって山折りか谷 く度に立体が立ち上がる」などの制約を満たす必要がある。 折かを見分ける。 この折り紙建築を手軽に作ることの出来るポップアップカ ードデザイナー(以下 PCD)というソフトが存在する。このソ フトは目的とする三次元形状をボクセルで表現し、折り紙建 築として作成可能条件を折り紙建築制約式として求めている。 これを作成インターフェイス上でリアルタイムに計算して形 状作成を支援しており、複雑な三次元形状でも容易に折り紙 建築へと展開することが可能になる。しかし、作成される折 図1 図2 り紙建築は「平折り」のみであり、斜線や曲線に対して高い 形状再現性を得るためには、多数のボクセルから折り紙建築 3 「はす斜折り」への対応 を作成する必要があり、切断や折り曲げの回数が飛躍的に増 PCD で用いられている折り紙建築制約式は「平折り」のみ 加し、実際に制作する際に手間がかかるという問題がある。 に対応しており、 「はす斜折り」のような斜めの折り線には対 本研究では PCD を解析することにより、上記のような問題 応出来ない。今回は作成後の二次元展開図に対する後処理で 点を改善するための手法を提案していく。 はす斜折りの対応について検討する。今回は問題を簡略化す 2 ポップアップカードデザイナーの動作 るために、角度を斜め 45 度に限定している。 2.1 ボクセルモデルの作成 ボクセルモデルによって折り紙建築を表現する場合、その 二次元展開上の隣接する四つの格子点を A,B,C,D とする。 A とCが切断線の端点である場合、 辺ABは切断される辺であり、 立体形状は直方体の集合とみなすことにより、ボクセルモデ 辺 CD は折り曲げられる辺である。このとき、辺 AC は斜め折 ルとして近似的に表現することが可能である。この際、作成 り曲げ線とすることが可能である。次に、格子点 A,B,C,D の した三次元形状が次の折り紙建築制約式を満たしているとき、 斜め下の格子点 C,E,F,G を加えた場合について考える。 CとF その形状は折り紙建築へと展開可能である。 が切断線の端点だとする場合、辺 CG は切断線であり、辺 FG cell[x][y][z 1] = 1 and cell[x][y 1][z] = 1 if cell[x][y] [z] = 1 (x ³ 0, y ³ 0, z ³ 0) cell[x][y][z + 1] = 0 and cell[x][y + 1][z] = 0 if cell[x][y] [z] = 1 (x ³ 0, y ³ 0, z ³ 0) は折り曲げ線である。 こちらも同様に辺 CF は斜め折り曲げ線 PCD では、この制約式を満たすように自動的にボクセルが追 が可能である。 とすることが可能である。 辺CDと辺CFは同一直線状にあり、 B,C,G の延長線上にある格子点は無視することが出来る。す なわち、 切断線 CG は切断しなくても同じ形状を作成すること 加されることで、作成可能性を保障する。 4 まとめ 2.2 二次元座標への変換 このように、今回は隣接格子点の関係のみを考慮している 90 度に立ち上げた立体の状態と展開図の状態との間には ため斜め 45 度のみに限定されているが、PCD で作成された平 一対一の対応関係が存在する。立体の三次元座標から二次元 折りの図から斜め折り可能な点を検索し統合することで切断 上の展開図座標への変換は下記の通りとなる 線を省略し、 「はす斜折り」による簡単な折り紙建築へと再構 x( 2 D ) = x ( 3 D ) y ( 2 D ) = z ( 3 D ) - y ( 3 D ) 築することが可能であることが分かった。 2.3 展開図への出力 参考文献 上の操作で示されたボクセルモデルの折り紙建築に対して展 [1]三谷純, 鈴木宏正, 宇野弘:計算機によるボクセルを用 開図を作成する。その為には、折り紙建築モデル上での隣接 いた「折り紙建築」モデルの設計手法(2003 年) セルの有無、及びなす角を調べることで展開図上に現れる山 [2]三谷純, 鈴木宏正: 平面多角形の集合による「折り紙 折り線、谷折り線、および切断線を決定することが出来る。 建築」モデルの表現と計算機による設計支援(2004 年) 以下の手順で判定を行う。
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