環境保全・地球温暖化防止への取り組み

重要課題
環境保全・地球温暖化防止への取り組み
環境事故等
環境マネジメント
環境マネジメント
金属事業カンパニーと環境との関わり
当カンパニーでは、中期経営計画にて『環境・安全への
当カンパニーの事業活動には非鉄製錬、銅加工があり、
充分な配慮』を全ての戦略の基本に位置付けており、これ
製錬所や銅加工工場において生産活動を行う限り、環境に
に従った活動を行っています。
2013 年度において、化学物質の流出等の事故は発生しま
負荷を与える物質の発生は避けられません。このため当カ
ンパニーでは、操業に関わる環境法規制の確実な遵守、環
せんでした。
境や地域社会に配慮した原料調達、省エネやリサイクル事
業、生物多様性の保全等に積極的に取り組んでいます。
大気への排出
化石エネルギーの燃焼に伴い、硫黄酸化物(SOX)や窒素
■エネルギー・マテリアルバランス
インプット
原材料
エネルギー
水資源
酸化物(NOX)等の発生は避けられません。このため、事
アウトプット
業所の排気装置からの SOx、ばいじん等の排出濃度管理、
製品
大気への排出
排水
廃棄物
設備点検、道路・貯蔵施設等における粉じん対策等を実施
し、大気汚染防止に努めています。
■SOx 排出量★
■NOx 排出量★
■ばいじん排出量★
環境に関する法規制の遵守
(t/年)
(t/年)
(t/年)
環境管理と関連法規制の遵守を徹底するために、当カン
パニーの国内事業所では ISO14001 認証を取得していま
す。P.T. Smelting においては、環境担当部署を設置し、月
1 回の環境委員会開催、三交代による環境監視の実施とい
った現地環境法規制の遵守体制を整え活動しています。こ
(年度)
(年度)
(年度)
うした環境管理の成果もあり、当カンパニーでは、2013 年
水資源の有効活用
度において、環境法令違反による罰金、操業停止命令、許
製錬所、銅加工工場では、冷却、工程処理、飲用等に水
可取り消し等の行政措置はありませんでした。
を使用します。2013 年度における水使用量は 30,317 万 m
※
3
3
のうち約 9 割(28,402 万 m )は海水からの取水です。限
堺工場における環境保全活動
堺工場における環境保全活動
りある水資源を大切に使うため、排水処理システムのクロ
堺工場では、工場内食堂や社員の各家庭から出る使用済
ーズド化システムや排水の循環利用を進めています。
みの食用油を回収しているほか、2011 年には社員有志で
「ひまわり倶楽部」を結成。工場内敷地でひまわりを育
てて、その種から搾油した油も回収しており、これらは、
最終的には京都市市営バスのバイオ燃料 ※として使われ
ています。また、これらの活動実績に応じてポイントを
付与し、貯めたポイントをエコに関連した商品と交換で
きるような仕組みを構築しています。こうした活動を通
じ、さらなる意識改革を目指しています。
※バイオ燃料:植物等の生物体(バイオマス)の持つエネルギーを利用
した燃料。石油のような枯渇性資源を代替しうる非枯渇性資源として注目
されている他、CO2 の総排出量が増えないと言われている。
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■水源別水使用量(淡水使用量)★ ■ 排水量(千 m3)★
■PRTR 法対象化学物質の排出量・移動量★
(千 m3/年)
2013 年度
12,526
114
19
河川・湖沼
下水
その他
海域
総量
(t/年)
294,758
307,417
(年度)
(年度)
※水使用量より排水量が多い理由は休廃止鉱山の湧水(地下水)の廃水処理
をしているためです。
※細倉金属鉱業株式会社の算定方法を見直し、過年度データを修正しました。
※P.T.Smelting は含まれておりません。
排水水質の管理
■水質汚濁物質の排出量★
(t/年)
各事業所の製造
小名浜製錬所 ミストコットレル設置によるヒ素排出量の
ミストコットレル設置によるヒ素排出量の低減
コットレル設置によるヒ素排出量の低減
工程等で使用した
水は、浄化処理を行
小名浜製錬所では、従来より種々の環境対策を進めて
った後に排水して
来ましたが、PRTR 法対象化学物質による環境への負荷
います。各事業所で
の更なる低減を目的として、2012 年 11 月に局所排気系
統にミストコットレルを 2 基設置し、運転を開始しまし
は、法令で定められ
(年度)
た排出基準よりも
た。これは、原料である銅精鉱中不純物濃度上昇(特に
厳しい自主管理基
ヒ素)が近年著しく、更なる回収率アップによる対応を
準を設け、水質汚濁物質の排水中濃度管理に努めるととも
図ったものです。
ミストコットレルは湿式の電気集塵機で、線状の放電
に、原因となる物質の使用量削減や排水処理施設の管理・
極と、板状又は円筒状、角筒状の集塵極の間に直流の高
点検を徹底し、環境汚染防止に努めています。
電圧を掛けることにより、放電極の周りの粒子を荷電さ
PRTR 法対象化学物質の排出量・移動量
せ、集塵極に集めるというもので、広く用いられている
設備です。
各事業所からの PRTR 法対象化学物質の排出量・移動
量は特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改
2013 年 6 月には計画通りに更にもう 1 基を追設し、
善 の 促 進 に 関 す る 法 律 ( PRTR [Pollutant Release and
最終形となりました。これらの効果により、2013 年度
Transfer Register]法)に基づき、毎年集計・報告を実施し
のヒ素の排出量は 2012 年度の 40%に低減しました。
ています。当カンパニーの 2013 年度の移動・排出量は 542t
で、2012 年度に比べ排出量、移動量の合計が約 355t 減少
しています。また、小名浜製錬所での銅スラグ水砕水クロ
ーズド化システムにより水域への排出量低減を進めていま
す。
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■産業廃棄物の種類別排出量(t)★
循環型社会構築
循環型社会構築への取り組み
構築への取り組み
2013 年度
リサイクル資材の活用
汚泥
廃油
廃酸
廃アルカリ
廃プラスチック類
木くず
ガラス・コンクリート・陶磁器くず
がれき類
廃電気機械器具
混合廃棄物
特別管理産業廃棄物
合計
2013 年度の当カンパニーにおける原材料・資材投入量
は、約 357 万 t で、このうち約 44 万 t(約 12.4%)は、SD、
廃基盤等のリサイクル原料を利用しました。 リサイクル原
料のうち約 20 万 t は産業廃棄物であり、リサイクルされな
ければ埋め立て処分されていたものです。
当カンパニーの事業では銅鉱石をはじめ天然資源を大量
に使用しています。このため、各種スクラップの積極的活
25
324
506
8
514
395
132
20
0
7
529
2460
用により、バージン原料の使用量を削減し、資源の有効利
※P.T.Smelting は含まれておりません。
用に取り組んでいます。各スクラップの発生源は多岐にわ
2013 年度における国内産業廃棄物の排出量のうち、約
たるため、処理とともに回収にも力を入れています。
80%は外部処理委託先において再資源化されていることを
■原材料・資材投入量★
廃棄物管理票及び現地確認で確認しています。自工程で発
生するスクラップは可能な限り自工程内で繰り返し利用し
ます。自工程内での利用が不可能なスクラップはグループ
内の事業所へ処理委託し、そこから更に製錬同業他社へ処
理委託する場合もあります。このように、スクラップに含
まれる物質の回収工程を持つ事業所とスクラップをやりと
りするネットワークにより、極力回収に努めています。こ
のネットワークで回収不能なスクラップについては、最終
的に外部に処理を委託することになります。これらの取り
組みにより、埋め立て処分となる産業廃棄物の削減を図っ
ています。
■産業廃棄物の処理方法内訳(2013 年度)★
最終処分
シュレッダーダスト
廃基盤
廃棄物の排出削減に向けた取り組み
2013 年度における国内事業所からの産業廃棄物排出量
再資源化
は 2,460t で、このうち特別管理産業廃棄物が約 22%を占め
ています。続いて、廃プラスチック類、廃酸、木くずがそ
れぞれ約 21%、約 21%、約 16%を占めています。
※P.T.Smelting は含まれておりません。
11
P.T.Smelting は日本国外の事業所であり、管理区分等が
■エネルギー投入量★
異なるため本項の種類別排出量や処理方法内訳には含めて
お りません が、別途 モニタリ ングを実 施してい ます。
P.T.Smelting の 2013 年廃棄物発生量は 1,283 t です。
希少資源のリサイクルの推進
銅製錬の原料である銅精鉱中には、希少資源として貴重
な PGM(Platinum Group Metals:白金族金属)が含まれま
す。直島製錬所の貴金属製造工程から得られる PGM が濃
(年度)
縮 した中間 品ととも に電子材 料メーカ ーから発 生する
PGM 含有スクラップや宝飾品系スクラップを MERC(株)
当カンパニーでは、「エネルギー原単位 1%減」を目標
小名浜事業所に集めて精製を進め、最終製品化しています。
白金、パラジウム、ルテニウムはメタルとして、ロジウム
に掲げ、省エネ活動を推進しています。2013 年度に各事業
は化合物の形で回収しています。
所で実施した省エネ及びエネルギーコスト削減の効果は、
原油換算で約 495kL、金額換算で約 2100 万円でした。各事
白 金 ・パ ラジ ウ ム市 場で 品質 面 の信 頼を 得 るた め に
LPPM(London Platinum & Palladium Market)へのブラン
業所の主な省エネ内容別の内訳は下表の通りです。
ド登録申請を進め、2012 年 9 月に認証を取得しました。今
■2013 年度省エネ実績
後も製品の品質向上に努めるとともに、市民生活に欠かす
ことのできないレアメタルの安定供給を図ります。
直島製錬所
堺工場
高効率設備導入
省エネ効果
金額
原油換算
(百万円)
(kL)
14.6
379
設備改善
6.1
高効率設備導入
0.3
12
21.0
495
合計
104
※MERC(株)および P.T. Smelting は調査対象外です。
省エネ効果の大きい主な実施例としては、
再生・回収した白金
①
3AT ブロワインバータ化による電力使用量削減(直島
製錬所)
②
S 炉底ファンインバータ化による電力使用量削減(直
地球温暖化防止への取り組み
地球温暖化防止への取り組み
島製錬所)
省エネルギーの推進
等が挙げられます。
製錬・銅加工工程では、直接エネルギーとして石油・ガ
ス・石炭を、間接エネルギーとして電力・蒸気を使用して
います。2013 年度の合計エネルギー投入量は 13,421TJ で
あり、前年度の 12,684TJ より 737TJ 増加しました。
12
2008 年 12 月に三菱連続製銅法の S 炉のみを反射炉の上流
物流における省エネルギー
側に設置し、従来の反射炉と組合わせることにより、鉱石
当カンパニー(グループ会社を除く)の 2013 年度の物
処理は S 炉主体で行い、SD 処理は反射炉で行う方式に変
流におけるエネルギー使用量は約 186TJ★でした。輸送手段
更しました。
として船舶とトラックがあり、船舶輸送が約 148TJ(約
しかし反射炉で使用する微粉炭バーナーの仕様は鉱石処
80%)を占めます。また物流に伴う温室効果ガス排出量は
理には適していたものの、SD 処理には効率が悪く、重油混
12,990t-CO2★でした。
焼を余儀なくされていました。そこで微粉炭バーナーの改
物流エネルギー原単位を改善する方策の1つとして、トラッ
善に取り組み、微粉炭直接焚き(重油混焼)から微粉炭間
ク輸送の約 1/4 の原単位との統計結果もある船舶輸送へのシ
接焚きに変更した結果、微粉炭バーナーの燃焼改善に成功
フト(モーダルシフト)があります。この方策は限界に達しつつ
しました。2009 年 10 月からのテスト操業を経て、2009 年
あるものの、継続して改善に努めています。原単位改善の
12 月から 24 時間連続運転に移行しています。
ため採用している他の方策として、トラック輸送での大型
車比率増加があります。
生物多様性保全に向けた取り組み
生物多様性の保全・回復- 細倉鉱山における取り組み
温室効果ガス排出削減に向けた取り組み
細倉金属鉱業(株)では、自然環境改善への積極的な取
当カンパニーの 2013 年度の温室効果ガス排出量は約
り組みを考え、2002 年以降植樹活動を継続しています。
124 万 t(CO2 換算)で、2012 年度と比較して約 4.7 万 t
2007 年には横浜国立大学の宮脇昭名誉教授より現地にて
増加しています。全体の約 75%はエネルギー消費に伴って
植樹のご指導を受けました。構所内植栽面積の実績は 2003
排出されており、残りの約 25%は廃棄物処理や工業プロセ
年~2013 年までの合計で約 73,600 ㎡に達しました。
スからの排出です。
また 2009 年には宮城県が実施する「みやぎスマイルロー
★※1, 2,
■温室効果ガス排出量の内訳(t-CO2 換算)
温室効果ガス
ド・プログラム」に参画し、
「スマイルサポーター」に認定
2013 年度実績
されました。このプログラムは県道に面した斜面にツツジ
CO2
エネルギー起源
非エネルギー起源
廃棄物由来
その他の温室効果ガス※3
合計
928,668
22
やあじさいを植樹し、以降のメンテナンス(清掃・緑化・
304,542
除草・除雪作業)も自主的に実施するものです。2009 年 9
1,861
月~2013 年 6 月までの実績値合計は、植樹面積:約 4,900
1,235,094
㎡、植樹本数:約 1,900 本、従業員延べ参加人員 175 名、
※1 物流からの排出を除く
1
※2「温室効果ガス排出量の算定・報告マニュアル」Ver.3.5 により
地域住民延べ参加人:165 名となります。地域社会貢献の
算出しています。
※3 HFCs、PFCs、SF6、CH4、N2O
一環として今後も継続してまいります。
温室効果ガス発生の主体がエネルギー起源であることか
ら、当カンパニーでは省エネ活動を柱としたエネルギー使
用の効率化により、温室効果ガス排出削減の取り組みを実
施しています。例えば、小名浜製錬所では、他に先駆けて、
廃自動車や廃家電から発生する SD の処理に取り組んでき
ました。同所での処理方法は、当初、銅熔錬の既存設備で
ある反射炉に原料鉱石とともに SD を挿入する方法でした。
植樹活動の様子
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直島製錬所における取り組み
生物多様性保全には、自然保護区が大きな役割を担って
火災直後の様子
いることから、国立公園に接する事業所を生物多様性保全
上の重要拠点と位置づけています。当カンパニーでは、直
2
島製錬所(事業所面積 181 万 m )のみ国立公園(瀬戸内海
国立公園)に隣接して立地しており、生物多様性保全に向
けた環境管理目標を設け、年間の緑化計画を推進していま
す。緑化は 1950 年頃開始し当初は土砂災害の防止を主目
的としていましたが、2004 年に発生した山火事後の復旧に
おいて、地元に自生する広葉樹により焼失した社有地の緑
山林火災(2004年1月)からの緑の復興
地回復に努める等、近年は緑化による地域本来の生態系の
保全・回復に取り組んでいます。
2004 年 1 月に発生した森林火災は鎮火まで 1 週間を要し、
122ha(うち当社社有地 100ha)の森林を焼失しました。
この森林を元の姿に戻すため、横浜国立大学の宮脇名誉教
授のご指導により植樹を実施し、島の内外から千人を超え
植樹の様子
現在の様子
る方々にご参加頂きました。植樹から 7 年半が経過し、現
在では写真の通り緑が蘇っています。
なおしま環の里創生プロジェクト
また、製錬所の操業に伴う排気、排水等による生態系へ
直島製錬所では、CSR 活動の一環として、香川県・直島
の負の影響を最小限に抑えるために、ISO14001 を通じた
町より「なおしま環の里創生プロジェクト」を受託し、ヒ
環境管理を徹底しています。
マワリの栽培やビオトープの整備・管理を行なっています。
「従業員ならびに直島町の方々の憩いの場にしたい」と
いう想いを込め、琴禅地にあるビオトープを整備していま
したが、2013 年 11 月に行なわれた従業員有志による作業
をもって完工しました。
今後もボランティアチー
ムを中心に整備を行なって
いきます。
ビオトープ整備の様子。
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