Case Study

Case Study
● LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス
最新タブレット端末( iPad)の運用
保守を現場目線でワンストップ提供
救急車で搬送される人は毎年増え続けている。搬送時間の全国平均も 37 分以上が現状。それよ
りは悪くないものの、佐賀県でも深刻な状況が続いていた。その改善に活用されたのが、タブ
レット型携帯端末。使いやすい iPad を県内すべての救急車に搭載。病院、救急車のいまを「見え
る化」し、現場の救急隊員、医療スタッフが適切に判断できる効率的な救急搬送を実現した。
システム概要
Outline
Profile
一般の県民や救急隊員が、患者の症状に応じ適切に県内の病院を探すための「99 さ
がネット」
。平成 14 年から運用を開始していたが、入力項目が多いなど使いにくいこ
ともあり、とくに緊急を要する救急車の隊員はそれを十分に活用することは難しかっ
た。そこで、システムの老朽化を機に、これを一新。県内すべての救急車に iPad を導
入し、病院受け入れ状況、救急車による搬送情報を、病院、救急車それぞれが容易に情
報共有できる環境を新たに構築した。これにより、救急隊員が効率的に搬送先を探せ
るようになっただけでなく、どの病院に搬送が集中しているかという情報を基に、搬
送の集中を回避し、搬送先の適切な分散が可能となり、結果的に、県内における救急
搬送時間の短縮を実現した。
システムの特徴
県としても知られている。
佐賀県庁:840-8570
佐賀市城内 1 丁目 1-59
●シンプルな構成、使いやすく壊れにくい iPad の活用とクラウドで運用コストを削減
●救急現場のニーズにあった運用、保守体制の提供でシステムの活用を促進
システム・端末サポートサービス図
①障害コール
各病院 / 消防署
コールセンター
<障害受付>
<救急医療情報システム端末利用>
電話&メール
障害切り分け
インシデント管理
ハードウェア
ソフトウェア
サーバー
障害管理
端末管理
技術員管理
LCMサービスデスク(東京)
現地交換
端末設定・確認
<情報システム端末障害受付>
③出動指示 &
配送指示
ざまな野菜や果物、さらには佐賀牛などの農産
募して採用するなど、ICT の利活用に積極的な
●搬送状況の「見える化」で搬送先の集中を回避、搬送時間の短縮を実現
オンサイト交換
担ってきた。佐賀県の気候は、年間平均気温が
16 度前後の地域が多く穏やかな気候で、さま
里、有田などは、古くから陶磁器の産地として
●シンプルな操作性で、各種情報を共有できる環境が実現
情報システム端末設定(現地)/
情報システム端末代替機保管
朝鮮半島に近いこともあり、古くから大陸文化
の窓口として歴史的、文化的にも重要な役割を
有名である。また、2003 年には、県の CIO を公
● iPad の活用で、救急隊員が容易な操作で情報入力可能に
サービス・ステーション
<現地オンサイト>
いう 2 つの海に接している。関西や関東よりも
物に恵まれている。また、県西部の唐津、伊万
Features
④オンサイト交換
佐賀県は九州の北西部に位置し、東は福岡県、
西は長崎県、また、北は玄界灘、南は有明海と
電話&メール
受付時間【365日】09:00−20:00
②出動要請
(端末障害時)
電話:0952-24-2111
http://www.pref.saga.lg.jp/
Case Study
導入前の課題
Before
システムの複雑性がユーザーの利便性を阻害
導入後の効果
After
iPad を活用し救急現場での容易な操作性を実現
佐賀県では、一般の県民が Web ページ上で病院を探す、あるいは救
当初、新たなシステム導入は、救急隊員にとっては手間が増える恐
急車の隊員が搬送先病院を探す、そして災害時の病院状況を把握す
れがあり、懐疑的な面もあったとのこと。その課題を解決したのが
るために「99 さがネット」というシステムを、平成 14 年から運用し
iPad だった。ノート PC と異なり、電源を入れればすぐに立ち上
てきた。これは、Web ページで症状を入力すると対応できる病院情
がる。面倒なネットワーク接続の手間もない。さらに、入力はキー
報を表示するもので、当初は県民から数多くの利用があった。しか
ボードではなく画面にタッチするだけ。システム側でシンプルな
し病院側では入力項目が多岐にわたり、情報更新処理が煩雑で時間
ユーザーインターフェイスを実現したこともあり、隊員は数回の
がかかり、更新がなされていない病院もあるなど課題もあった。ま
タッチで容易に病院情報を取得でき、搬送結果も簡単に入力でき
た、病院を探す際にも、数多くの項目を埋める必要があり、使い勝
る。その結果、隊員による搬送結果情報の入力は、ほぼ 100% 行わ
手がいいとは言えず、月日の経過ともに利用頻度も低下していた。
れるようになり、リアルタイムな情報蓄積が可能となった。
救急車からは利用しにくいシステムだった
病院、救急隊員間での適切な情報共有で搬送時間を短縮
救急隊員にとっても、旧「99 さがネット」は活用しにくかった。当
病院側が入力する搬送可能状況だけでなく、なぜ搬送を断られたか
時端末は PC だったが、移動中のキーボード操作は容易でなかった。
といったデータも共有される。これにより、同様な症状の場合に、
また、救急現場では機器の慎重な扱いができない時もあり、ノート
すでに断られている病院を除外し適切に病院を選ぶことが可能だ。
PC では故障リスクも大きかった。さらに、ネットワーク環境の確
さらに、どの病院が現在どれくらい搬送を受け入れたかが、救急隊
保も課題。当時は、モバイルネットは充分整備されておらず、安定
員だけでなく各病院側でも把握できる。また、病院側ではこの領域
性やレスポンス確保は非常に困難だった。そのため、救急車からは
は積極的に受け入れ可能といった情報も入力でき、これら情報を
システムを利用せず、本部に電話し、本部 PC にて受入先医療機関
iPad からすぐに参照可能だ。そのため、救急隊員は、病院への問い
を探していたが、それでは手間がかかり、結局は救急車から直接病
合わせ電話を繰り返すことなく、迅速かつ適切に病院を選ぶことが
院に電話し搬送先を探す状況だった。
でき、搬送時間の短縮が実現された。
救急現場でも使える簡単で堅牢な情報活用環境が必要
情報の「見える化」で新たな課題解決の土台が確立
旧「99 さがネット」のシステムも、老朽化し平成 22 年度には更新の
円城寺氏は「今回のシステムにおける一番の成果は、情報の見える
検討を始める。当初は仕組みは変更せず、機器更新だけを行う予定
化が実現できたこと」と語る。これまでは、年に一度、前年の救急搬
だった。しかし、コストをかけ更新するのであれば、より現場で有
送実績はこうという統計情報が、後から得られるだけだった。しか
効に活用できるものにしたい。同年 4 月から担当になった健康福祉
しいまでは、日々の状況がほぼリアルタイムに把握できる。救急搬
本部医務課医療支援担当主査の円城寺雄介氏は、まずは救急の現場
送現場の情報、そして受け入れをする病院側の情報、双方を蓄積し
に具体的にどのような課題があるのかを知るために、実際に一晩中
多くの関係者がそれを容易に共有できるようになったのだ。
「情報
救急車に乗り、病院に赴き、生の現場の状況を自分の目で見るとこ
共有したことで、それぞれの人の思考が変わってきます。今後の課
ろから始めた。その結果、より簡単な仕組みで、緊急対応の場でも
題解決のために、共有している情報を土台に話し合いができる。こ
使いやすく壊れにくい環境が必要ということがわかった。
れは、大きな前進です」と円城寺氏は言う。
お客様の評価
Client's Voice
iPad のライフサイクル運用管理をワンストップで提供する体制を評価
「99 さがネット」では、ユニアデックスの ICT 運用管理ソリューション LCM を採用している。約 100 台の
iPad の万一の障害に備え、障害の切り分けからインシデント管理、さらにはオンサイトでの端末交換に至
る、日常的な保守管理を一貫し提供しているのだ。
「導入した ICT システムのメリットを十二分に引き出す
には、機器の調達、導入はもちろん、日常的な運用保守体制は極めて大事」と円城寺氏は語る。ICT の構成
佐賀県健康福祉本部医務課
医療支援担当主査
円城寺 雄介 氏
要素として、コスト削減や柔軟な構成が可能で安全な日本ユニシスの U-Cloud の採用と、iPad をワンス
トップで運用管理するユニアデックスの体制を、高く評価している。
どんな優れた仕組みやシステムをつくったとしても、現場で実際に使う人が使いづらければ、なんの意味もない。
救急車で使っているのと同じ iPad を取り出し、
「このカバー、いいでしょう」と円城寺氏はにこやかに語る。実はこのカバーもユニアデックスが調
達した。救急現場では堅牢性は必須。カバーも重要な要素だった。たんに頑丈なだけでなく、画板のように首から紐でつり下げ立ったままでも使え
る。さらに、色も重要で、救急現場で利用して違和感のないオレンジ色を選択した。
「どんなにシステムが立派でも、救急隊員がこの端末を使って
くれなければ意味がありません。そういう意味では、どんなカバーかも重要でした」と言う。こういった、実際に扱う人の顔が見えるような、現場
目線での提案は、ポイントが高いとのことだ。
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