イヌリンの高齢者食への応用と評価 静岡大学 教育学部 新井映子 ・ 静岡大学 農学部 森田達也 フジ日本精糖㈱ 食品物資本部 機能性食品事業部 小枝貴弘 〔成果〕 米粉にイヌリンを添加して製パンするためには，イヌリンの添加時期と添加方法，米粉に予 め添加するグルテンのグリアジン比率などを変化させる必要があった。その結果，100 g で 6 g 以上の食物繊維が摂取可能な高齢者用米粉食パンを試作することができた。イヌリン添加パン は，無添加パンよりもやわらかくて付着性が低く，モデル食塊は凝集性と付着性が低かった。 そのため，イヌリン添加パンは，無添加パンよりも咀嚼や嚥下が容易であり，高齢者用食パン として適した物性を有するものと推察された。 ラットを用いた動物実験により，イヌリン添加パンの摂取は，無添加パンよりも盲腸内短鎖 脂肪酸やムチンの生成を促進することが確認された。また，イヌリン添加パンの摂取では，盲 腸内 IgA の増加も認められた。これらの結果より，イヌリン添加パンは高齢者の腸内環境を改 善し，感染防御能を高めることが推察された。 〔アピールしたい点〕 米粉 ＋ 酵素合成イヌリン （フジFF,フ ジ日本精糖㈱） 新たな 製パン技術 イヌリン添加米粉食パン 歯に付きにく く ， 食べやすいかも ？ お腹の調子に いいかも ？ イヌリンの添加効果 テ クスチャーの改変 （かたさ ，付着性，凝集性） ラ ット盲腸における短鎖脂肪酸， ムチン，IgAの生成促進 高齢者用イヌリン添加米粉食パンの特性 〔今後の展開・応用〕 新たな食品へのイヌリン添加技術の開発 排便習慣の改善やメタボリックシンドロームの 予防などに対する効果の検証 〔研究者からの一言〕 砂糖を原料としたイヌリンを使用して，高齢者がおいしくしかも安全に食べることができ， 摂取後には生体調節機能も期待できる高齢者用食品のシリーズ化を目指しています。
© Copyright 2024 Paperzz
