シイタケ菌床栽培における貝化石・ 消石灰・カキ殻の利用

シイタケ菌床栽培における貝化石・
消石灰・カキ殻の利用
シイタケの菌床栽培は、当県でも各地で導入されつつあり、施設利用、軽
労働であることから生産が増加し、平成12年には当県の生産量の77%を
占めるようになっている。しかし、外国産シイタケの輸入増加などにより価格
は低迷しており、一層の低コスト化、栽培技術の高度化等の技術改善が必
要とされている。それらに対応するため培地組成方法の改善に取り組んで
おり、培地に添加する栄養材の効果について調査している。ここでは、消石
灰、貝化石などカルシウムを主成分とした材料について、シイタケ菌床培地
への添加効果を検討した。
消石灰添加試験区は、対照区の水分調整後の培地に、培地重量の0.1、
0.25、0.5、0.75、1.0%をそれぞれ添加して設定した。貝化石、カキ殻添加区 シイタケの発生状況
は、同様に培地重量の0.5、1.0、2.0、3.0%をそれぞれ添加して設定した。
対照区は、培地基材(広葉樹おが屑)に対する栄養材の混合割合を容積比10対2とし、栄養材として米糠とフ
スマを容積比5対5で混合したものを用いた。培養期間は105日間と120日間とした。
栽培容器はキャップつきのPP袋で、培地の大きさは1kgを用いた。調整時の水分は65%程度とした。培養期
間は20℃で、発生期間は温度15℃、湿度95%以上の条件下で管理し、菌床表面が乾きすぎない程度の散水
を行った。
図 消石灰添加区(左)・貝化石添加区(右)の径級別収量
栽培試験の結果( 上図 )、培養期間105日で、消石灰では培地重量の0.25∼0.5%の添加により、貝化石で
は培地重量の2∼3%の添加により、カキ殻では培地重量の2%の添加により、それぞれ対照区に比べ2割程
度の増収効果が認められ、径級別の5cm以上の収量では逆にやや少ない傾向が見られた。
これらの結果から、総収量と形質面を考えた傘直径別の5cm以上の収量の両面から検討すると、培養期間を
105日としたほうが適していると考えられる。ただし、この培養期間等の結果は、当所における栽培条件、使用
容器によるものであり、貝化石、消石灰等の添加によっても各生産者それぞれの通常の培養期間等と同程度
でよいと考えられる。
今後、発生操作等管理技術の改善(培養、熟成、発生条件の把握)等について調査検討し、品質の向上、低
コスト等栽培技術の改善を進めていきたいと考えている。
(新潟県森林研究所 篠田 茂)
林業にいがた2002年2月号
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