5.第1章:市場の理論

1.5 均衡分析
(1) 均衡分析とは
価格の変化はどんなときに起きるのか?
P
P‘
A→Eへ動き : 同じ需要曲線上での動き
(価格調整機能による変化)
不均衡 → 均衡
S
A
E
D
E1→E2への動き :
需要曲線や供給曲線
S‘
S そのものの変化による動き
E2
Q
E2
S
E1
D‘
D
均衡から新たな均衡へ
E1
D
均衡分析
1
需要曲線のシフトと供給曲線のシフト
(2) 需要曲線のシフト
需要曲線そのものが動く (価格は不変でも需要量が変化する)
これまでと同じ価格のもとで需要量が増える
(
にシフト)
これまでと同じ価格のもとで需要量が減る
(
にシフト)
(要因)
P
P0
D
① 好みの変化や市場の変化
Q
買い手の好みそのものが変化する場合
(例) 「赤ワインは体に良い」
「アイスクリームはダイエットに悪い」
需要曲線の(
(
)シフト
)シフト
② 所得の変化
所得が増えると需要量も増える(通常)
需要曲線の(
)シフト
正常財(上級財)
2
※ 所得が増えても需要量が減る場合もある→劣等財(下級財) (第2章参照)
③ 他財の価格の変化
その財と密接な関連をもつ他の財の価格が変化した場合
※ このとき、その財の価格は不変であることに注意する
代替財
他方の財の価格が上昇すると需要量が増加する場合
(例) コーヒーと紅茶、 コメとパン など
(例A) 紅茶の価格が上昇すると?
補完財
コーヒーの需要曲線は
(
)シフト
他方の財の価格が上昇すると需要量が減少する場合
(例) コーヒーと砂糖、 紅茶とレモン、パソコンとソフト など
Pコーヒー
P0
(例B) 砂糖の価格が上昇すると?
コーヒーの需要曲線は
(
)シフト
※ (
)の場合、需要曲線は次のように
示される
(例) Pコ = 10−Qコ +2P紅
D
・P紅=1のときは?
・P紅=2のときは?
Qコーヒー
つまり、紅茶の価格の上昇はコーヒーの需要曲線を
(
)へシフトさせる
3
(3) 供給曲線のシフト
供給曲線そのものが変化する
(要因)
(価格は不変でも供給量が変化する)
︵
P
① 投入物(原材料)の価格変化
(例) エサ
投入
S
イセエビ
︶の変化
供給曲線の
(
)シフト
エサ代が上昇すると?
② 技術の変化
(例) 技術革新
Q
(
)シフト
P
③ 自然条件
(例) 豊作か凶作か
S
P0
天候不順でエビの捕獲量が減った場合、
市場価格と取引量は?
D
Q
※ 実際にはこれらの要因が相互に関連しあっている
4
(例題1)
(金谷・吉田 「グラフィック ミクロ経済学 第2版 」(P47より)
昔、オレンジは日本への輸入が禁止されていたが、その後、
輸入が解禁された。これは日本のミカンの価格にどのような
影響を与えたと考えられるか?
ミカンの価格
P
S
オレンジの輸入
→ ミカンからオレンジへのシフト
→ ミカンの(
)曲線が
D
(
)へシフト
Q
0
ミカンの数量
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(例題2)
以下において、パンは正常財であり、その市場価格は、代替財である
米の価格、補完財であるバターの価格、原料である小麦の価格、
消費者の所得などによって、影響を受けるものとする。
・ 米の価格が上昇すると、パンの価格は(
・ バターの価格が上昇すると、パンの価格は(
・ 小麦の価格が(
)する。
)する。
)すると、パンの価格は上昇する。
・ 消費者の所得が上昇すると、パンの価格は(
)する。
(出所)「証券アナリスト1次受験対策演習問題集(経済)」
2007年版 経済法令研究会より一部改題
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(例題3)
以下の変化は、ある若者向けのTシャツ市場において生じた、さまざまな変化
である。これらの要因はそれぞれ、需要曲線、または供給曲線に対して
どのような変化を生じさせると考えられるか。また、その結果、このTシャツ市場の
価格はどのように変化するか。
1. 10代の若者の小遣いが2倍になった。
2.Tシャツメーカーにおいて、労働者に支払う賃金が上がった。
3.生産ラインの作業ロボットが増えて、以前より効率的に生産できるようになった。
4.会社の広告宣伝活動が活発化した結果、若者がTシャツを好んで着るようになった。
5.そもそも若者向けに作られたTシャツであったが、大人たちの間で人気商品になった。
6.輸入Tシャツの数量が増えた。
(出所) 山岡道男・浅野忠克(2013) 「アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書」P97∼P105
の内容をもとに、問題として編集。
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