ダンス・パフォーマンスについて…石黒節子・森田恵美…

舞 踊 観 賞 者 の感 受 性 につ い て の
一 考 察
-ダ
出演者
ン ス ・パ フ オ ー マ ン ス
(J.K)に
実 際 に踊 って も ら っ
た。
(2) 被 験者…お茶の 水 女 大 学 学 生108人
(3) 尺 度 構 成
に つ い て石黒
節子
o.森 田
恵美
尺 度 は, J.N.リ
ーバーマ ンの 定 義 した 遊
戯 の一 要 素 で あ る ユ ー モ ア に関す る言 葉,
舞 踊 鑑 賞 語(金 城, 大 城1975),
美的
快 感 に 関 す る言 葉(石 黒1985)を
参考
に50項 目 を選 び, ラ ンダ ム に並 べ た 。 評
1. 研 究 目的
今 日の 舞 踊 発 表 の傾 向 を み る と, これ まで の 舞
台 芸 術 と して の 舞 踊 か ら, ス タ ジオ や ギ ャラ リー
な どで, 独 自の 表 現 を展 開 して い る ダ ンス ・パ フ
定 は, 6段 階 評 価 で あ る。
4. 結 果 及 び考 察
計 算 は, 慶 応 義 塾 大学 の 計 算 セ ンタ ー の コ ン ピ
ュー タ(機 種: Facom34)を
使 用 した。
デ ー タ処 理 は, 主 因 子 法を 用 いて 因子 を抽 出 し,
そ の 後 バ リマ ッ クス 回 転 を行 な った 。
(1) 参 考 調 査
ォ ー マ ンスが 増 え て き て い る。
本 研 究 で は, 観 客 に ダ ンス ・パ フ ォー マ ンス を
見 せ, 因 子 分 析 を 通 して ダ ンス ・パ フ ォ ーマ ンス
にお け る観 賞 構 造 を探 った もの で あ る。 ま た, ダ
ンス ・パ フ ォ ー マ ンス の 観 賞 構 造 に遊 戯 の 特 性 が
見 出 され るか に注 目 し, J.N.リ
ー バ ー マ ンの
定 義 す る遊 戯 性 を 参 考 に考 察 を 行 な った 。
2.
「Implint」
パ フ ォ ーマ ン ス活 動 を積 極 的 に
行 な っ て い る モ ダ ン ・ダ ンサ ー
観 賞 者 の これ ま で に見 た表 現行 為 の 印 象 を 調 査
した。(13語 の 中 か ら適 当 な語 を選 択 して も らい,
遊 戯 性 を 構成 す る要 素 の モ デ ル
因 子 分析 に よ って そ の 構 造 をみ た もの)
(2) 作 品A
〈因 子 負荷 量 の 単 純 構 造 と因 子 解 釈 〉
〈作品A〉
J.N.リ
ーバ ーマン 「遊 び方 の 心 理 学 」P168
リーバ ーマ ンに よ れ ば, 遊 戯 性 は ユ ー モ ァ, 自
発 性, あ らわ な よ ろ こび か ら成 り立 つ と し, この
遊 戯 性 は遊 び, 想像, 創 造 性 に導 く要 因 で あ る と
い う意 味 を 示 して い る。 リーバ ー マ ン は, 新奇 性,
あ い ま い さ, 不 一 致 性, 驚 き, 複 雑 性 等 の 探 索 行
動 を活 気 づ け る要 素 が 熟 知 され た 明確 な もの にな
る とき, 遊 戯 の状 態 に な る と して い る。すなわち,
未 知 の事 柄 が 既 知 に な る と き, そ の事 柄 に対 し精
神 的 ゆ と りを持 って対 処 す る こ とが で きるときに,
遊 戯 の状 態 で あ る と して い る。
3. 方 法 及 び手 続 き
(1) 対 象 作 品
作品A…カルメン・
ブ シ ャ ッ ト作
「Clear Water」
作品B…メル・ウ
ォ ン グ作
-17-
2)
(3) 作 品B
〈因 子 負 荷 量 の 単 純 構 造 と因 子 解 釈 〉
〈作品B〉
山 口 勝 弘:
『パ フ オ ー マ ン ス 原 論 』
朝 日出 版
社.1985
3)
ロ ー ズ リ ー ・ゴ ー ル ドバ ー ク(中
『パ フ ォ ー マ ンス 』.
4)
『ユ リ イ カ ー 増 頁 特 集
土 社. 1984
5)
『Performance
A
Source
6)
パ フ ォ ー マ ン ス 』. 青
Index1952∼1984』
Book.
1985
『肉 体 言 語vo112パ
社.
7)
フ オ ー マ ン ス 』. (株)星雲
1985
『朝 白 ジ ャ ー ナ ル1/18号
ナ ウ!』.朝
8)
原 佑 介 訳):
リ ブ ロ ボ ー ト. 1982
パ フ ォ ー マ ンス
日新 聞 社.1985
清 水 徹 ・山 口 勝 弘:
『冷 た い パ フ ォ ー マ ン ス 』
朝 日新 聞社
9)
10)
渡辺
譲:
『芸 術 学 』
ホ イ ジ ンガ(高
ス 』 中 公 文 庫.
11)
カ イ ヨ ワ(多
東 大 出版 会
橋 英 夫 訳):
1973
田 道 太 郎,
と 人 間 』. 講 談 社 文 庫.
12)
シ ラ ー(石
13)
J.N.リ
ー バ ー マ ン(沢
岩 下 豊 彦:
『美 学 芸 術 論 集 』. 冨
田 慶 輔, 沢 田 端 也 訳):
『SD法
サ イ エ ン ス 社.1980
に よ る イ メ ー ジ の 測 定-
そ の 理 解 の 手 引 』. 川 島 書 店.
15)
柳 井 晴 夫.
16)金
17)石
1976
城 光 子 。大 城 宣 武:舞
黒 節 子:
る 研 究-印
水女子大学
が, 本 テス トで は ユ ー モ ァ と新 奇 性 は同 じ因 子 の
中 に抽 出 され た。 これ らの 因 子 は, リーバ ー マ ン
の モ デル に よ れ ば, 遊 戯 性 を 構 成 す る一 特 性 と し
て認 め られ て い る。 した が って, ダ ンス ・パ フ ォ
ー マ ンスの 観 賞 構 造 に お いて, ユ ーモ ア ・新 奇 性
と い う遊 戯 の特 性 が み られ る こ とが 示 され た。
力動 性, 快 的情 緒, 美 的 印 象 の 因 子 は, 従 来 の
モ ダ ン ・ダ ンス に お け る認 知 あ るい は印 象 に つ い
て の先 行 研 究(参 考 文 献16, 17)で 抽 出'され て お
り, ま た新 奇 性 の 因 子 も抽 出 され て は い るが, ユ
ー モ ァ と は結 び つ い て いな か った 。 す な わ ち, ユ
ー モ ア ・新 奇 性 の 因 子 は観 賞 者 を 遊 戯 へ 導 くこ と
図1
を示 して い る と 同 時 に, ダ ンス ・パ フ ォ ー マ ンス
の 観賞 構 造 を 特 徴 づ け る因 子 で あ る と い え る。
本研 究 よ り, 今 日の 舞 踊 発 表 の 傾 向で あ るダ ン
ス ・パ フ ォー マ ン ス に は従 来 の モ ダ ン ・ダ ンス に
はな い 遊 び の 要 素 が 見 出 され た と い え よ う。
【参 考 文 献 】
図2
『身 体 論 とパ
-18-
1983
『複 雑 さ に 挑 む 科 学 』.
踊認知の因子分析的研
究.『 体 育 学 研 究 』. 第21巻.
86.1975
が 抽 出 され, 作 品Bか らは, 快 的 情 緒, 美的 印象,
ユ ーモ ア ・新 奇 性, 力 動 性 の 因 子 が 抽 出 され た。
ユ ー モ ア ・新 奇 性 の 因 子 は, 参 考 調 査 に お い て ユ
ー モ ア性 の 因 子 と, 新 奇 性 の 因 子 に分 か れ て い た
1) 市 川 浩 ・山 口 昌 男: 別 冊 国 文 学.
フ オ ー マ ンス 』学 燈社1985
岩 井 秀 一:
フ ル ー バ ッ ク ス.
調 査 の結 果 よ り, 被 験 者 が これ まで に見 た 表 現
行 為 の 印象 を選 択 した 言 葉 の 因 子 構 造 を探 る参 考
調 査 か らは, ユ ー モ ァ性 ・新 奇 性, 感 動 性 の 因子
が抽 出 され た 。 ま た 作 品Aか らは, 力 動 性, ユ ー
モ ア, 新 奇 性, 快 的 情 緒, 美 的 印 象, 満 足 の 因子
『遊 び
1977
『遊 び 方 の 心 理 学 』.
14)
塚 崎 幹 夫 訳):
1973
原 達 二 訳):
山 房 百 科 文 庫.
『ホ モ ・ル ー デ ン
第2号.
P77∼P
「舞 踊 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 す
象 構 造 を 手 が か り に-」.
「人 文 科 学 紀 要 」 第38巻.
お茶の
1985