リコール学の法則 - MAPS(株式会社マップス)

Ten Minutes Marketing
009
教えて、ミニッツ先生・・・。
課長たちが「最近、自動車のリコールが多いね」「リコール学の法則だと、今が
課長たちが「最近、自動車のリコールが多いね」「リコール学の法則だと、今が
自動車の買い時だね」と言っていました。そもそも・・・、
自動車の買い時だね」と言っていました。そもそも・・・、
「「リコール学
リコール
法則
リコール学
学の
の法則」
法則」
って何ですか。
リコール学
法則」」 って何ですか。
2008年1月に刊行された(文藝春秋)、内崎巌氏、畑村洋太郎氏の「リコール学の法則」の言葉なんだ。
2008年1月に刊行された(文藝春秋)、内崎巌氏、畑村洋太郎氏の「リコール学の法則」の言葉なんだ。
「リコール」とは、設計・製造上製品に欠陥がある場合に、法令や製造(販売)者の判断で、無償修理・
「リコール」とは、設計・製造上製品に欠陥がある場合に、法令や製造(販売)者の判断で、無償修理・
交換・返金などの措置を行うこと。著者らが使う「リコール学」とは、“機械
機械と
機械
隙間
から
派生
交換・返金などの措置を行うこと。著者らが使う「リコール学」とは、“機械
機械と
と人
人の
の「「隙間」
隙間」
から派生
派生してく
してく
機械と
隙間」」から派生
から派生してく
派生してく
る
問題を
問題
を
構造的に
構造的
に
見落とさないための
見落
とさないための思考方法
思考方法を身につける”ことを目指した学問領域と位置づけて
る問題を
とさないための思考方法
思考方法を身につける”ことを目指した学問領域と位置づけて
問題を構造的に
構造的に見落とさないための
見落とさないための
とさないための思考方法
思考方法
いるんだ。トラブル
トラブルの
トラブル
背景要因
るのが
リコール
いるんだ。トラブル
トラブルの
の背景要因を
背景要因を
を探
探るのが「
るのが「
リコール学
学」」ということだね。
ということだね。
トラブルの
背景要因を
るのが「「リコール学
リコール学
「リコール=悪いこと」とイメージしてしまうのですが。
本著でも取り上げている02年の三菱ふそう社のタイヤ脱落事故、04年の六本木ヒルズの回転ドア事故な
本著でも取り上げている02年の三菱ふそう社のタイヤ脱落事故、04年の六本木ヒルズの回転ドア事故な
ど、リコールには悪いイメージがあり、失敗
失敗を
失敗
めることを
極端
忌避
してきた
日本社会
風土
ど、リコールには悪いイメージがあり、失敗
失敗を
を認
認めることを極端
めることを極端
めることを極端に
極端に
に嫌
嫌い
い忌避してきた
忌避してきた
忌避してきた日本社会
してきた日本社会
日本社会の
の風土があ
風土があ
風土
失敗を
極端に
してきた日本社会の
日本社会の
る。しかし、技術進歩にはリコールが付きまとう。失敗を「隠す」のではなく、重大事故
重大事故になる
重大事故
になる
る。しかし、技術進歩にはリコールが付きまとう。失敗を「隠す」のではなく、重大事故
重大事故になる
になる前
前に
に芽
芽を
を摘
摘
重大事故になる前
になる前
む
リコールするからこそ
リコール
するからこそ
品質
になっていくという
認識
必要
がある
むという意味で、リコール
という意味で、リコール
リコールするからこそ
するからこそ高
高い
い品質になっていくという
品質になっていくという
になっていくという認識
認識を
を持
持つ
つ必要がある
必要がある
があるんだね。最も重
リコールするからこそ高
するからこそ高
品質になっていくという認識
になっていくという認識を
認識を
必要があるんだね。最も重
がある
要なことは、製品
製品に
製品
不具合
じた
絶対
さない
要なことは、製品
製品に
に不具合が
不具合が
が生
生じた時
じた時
時に
に絶対に
絶対に
に隠
隠さないことだ。迅速にリコール対応する意識を企業が
さないことだ。迅速にリコール対応する意識を企業が
製品に
不具合が
じた時
絶対に
さない
持つことで、少なくとも死傷事故や人命につながる重大事故へのリスクは減るんだね。
持つことで、少なくとも死傷事故や人命につながる重大事故へのリスクは減るんだね。
「リコール学の法則」って何でしょうか。
多数のリコール事例の背景要因を探っていくと、共通項(失敗の基本パターン)が見られる。“どうやったら
多数のリコール事例の背景要因を探っていくと、共通項(失敗の基本パターン)が見られる。“どうやったら
同じような失敗を避け、フィードバックを最大限生かすことができるか、他産業
他産業が
他産業
一般的
同じような失敗を避け、フィードバックを最大限生かすことができるか、他産業
他産業が
が一般的な
一般的な
なビジネスシーン
ビジネスシーン
他産業が
一般的な
にも応用
にも
応用
くよう
エッセンス
抽出
したもの
にも応用
応用が
が利
利くようエッセンス
くようエッセンス
エッセンスを
を抽出したもの
抽出したもの
したもの”がリコール学の法則と、著者らは定義しているんだ。
にも応用が
応用が
くようエッセンスを
エッセンスを
抽出したもの”がリコール学の法則と、著者らは定義しているんだ。
したもの
どんな法則がありますか。
本著では15
15の
15
法則
本著では15
15の
の法則がある。法則1:「見えないリンク」を発見する/法則2:目先の利益だけでなく長期ス
法則がある。法則1:「見えないリンク」を発見する/法則2:目先の利益だけでなく長期ス
15の
法則
パンで判断する/法則3:ポカミスは根性では解決しない/法則4:高いレベルのデザインレビュー/法
パンで判断する/法則3:ポカミスは根性では解決しない/法則4:高いレベルのデザインレビュー/法
則5:トラブルを想定して仮想演習する/法則6:「伝えたはず」「わかってるだろう」にご用心/法則7:「当
則5:トラブルを想定して仮想演習する/法則6:「伝えたはず」「わかってるだろう」にご用心/法則7:「当
社の基準」を常に疑え/法則8:リコールの種は重層チェックすればするほど素通りする/法則9:担当者
社の基準」を常に疑え/法則8:リコールの種は重層チェックすればするほど素通りする/法則9:担当者
任せは失敗の元/法則10:古い設備には気をつけろ/法則11:事実は想像を超える!/法則12:技術
任せは失敗の元/法則10:古い設備には気をつけろ/法則11:事実は想像を超える!/法則12:技術
者こそ3現主義(現地・現物・現人)が必要だ/法則13:使われ方が分からない時は、3倍の覚悟を持て
者こそ3現主義(現地・現物・現人)が必要だ/法則13:使われ方が分からない時は、3倍の覚悟を持て
/法則14:過去の失敗事例を活かす/法則15:素人でも作れる設計をしよう、の15個なんだ。
/法則14:過去の失敗事例を活かす/法則15:素人でも作れる設計をしよう、の15個なんだ。
[文中の“ ” の部分は書籍の引用]
‐1‐
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009
具体的にいくつかの法則を説明して下さい。
例えば法則
法則7
法則
:「
当社
基準
例えば法則
法則7
:「当社
当社の
の基準」
基準」
を常
常に
に疑
疑え
えは、安全面を疎かにして重大事故を起こした企業の多くは、自
は、安全面を疎かにして重大事故を起こした企業の多くは、自
法則77:「当社
:「当社の
当社の
基準」」を
社マニュアルを守っていた。しかし、社会
社会との
とのズレ
意味
社会
ズレ
がある
基準
社マニュアルを守っていた。しかし、社会
社会との
とのズレ
ズレがある
がある基準
基準は
は意味が
意味が
が無
無い
いんだね。著者の畑村氏は“技
んだね。著者の畑村氏は“技
社会との
とのズレがある
ズレがある基準
がある基準は
基準は
意味が
術屋は能率の良いものを安く速く作ろうとするが、大間違い。製品
製品が
製品
実社会
でどう
いられるか
社員
術屋は能率の良いものを安く速く作ろうとするが、大間違い。製品
製品が
が実社会でどう
実社会でどう
でどう用
用いられるか社員
いられるか社員
社員であ
であ
製品が
実社会でどう用
でどう用
いられるか社員であ
社員であ
る
前
に
社会の
の
一員として
として考
考
えられない技術者
技術者は
は
二流”と指摘している。
社会
一員
として
えられない
技術者
二流
る前に社会の
社会の一員として
一員として考
として考えられない技術者
えられない技術者は
技術者は二流”と指摘している。
二流
また、法則
法則12
意欲を
法則
12
技術者
こそ
現主義
必要
意欲
って
現場
直接現物
たり
また、法則
法則12
12:
技術者こそ
こそ3
現主義が
が必要だ
必要だ
だは、意欲
は、意欲
意欲を
を持
持って現場
って現場
現場に
に足
足を
を運
運び
び、、直接現物を
直接現物を
を見
見たり、
たり、
現
法則12:
12::技術者こそ
技術者こそ3
こそ33現主義が
現主義が
必要だ
意欲を
って現場に
現場に
直接現物を
たり、、現
場
にいる人
人
の
話
に
耳
を
傾
けることの大切
大切さ
さ
を説いている。3現主義を疎かにすると、「ユーザーの言うまま」
にいる
けることの
大切
場にいる人
にいる人の話に耳を傾けることの大切
けることの大切さ
大切さを説いている。3現主義を疎かにすると、「ユーザーの言うまま」
「営業の言うまま」になる。技術者だけでなく、ビジネスマンには欠かせない法則だね。
「営業の言うまま」になる。技術者だけでなく、ビジネスマンには欠かせない法則だね。
これらの法則は、様々な産業に応用ができるものですね。
法則を使えば失敗の本質をクリアに分析できる。例えば、07年に起きた「ジェットコースター死傷事故(コー
法則を使えば失敗の本質をクリアに分析できる。例えば、07年に起きた「ジェットコースター死傷事故(コー
スターと車輪装置をつなぐピンが折損して車輪が脱落し、その結果死者を出した)」の直接の原因は「ネ
スターと車輪装置をつなぐピンが折損して車輪が脱落し、その結果死者を出した)」の直接の原因は「ネ
ジの締め付け不足でピン固定ネジが緩んだ」ため。しかし、上流の原因は緩んだネジを増し締めする工
ジの締め付け不足でピン固定ネジが緩んだ」ため。しかし、上流の原因は緩んだネジを増し締めする工
具用のスペースが設計段階で考慮されていなかったんだ。つまり、法則
法則4
法則
レベル
具用のスペースが設計段階で考慮されていなかったんだ。つまり、法則
法則4
高い
いレベルの
レベルの
のデザインレビュー
デザインレビュー
法則44::高
レベルの
が実施しにくく、「
「「経験豊富
経験
設計
熟練工
不足
豊富
が実施しにくく、「
経験豊富
豊富な
な設計者
設計者
者や
や熟練工の
熟練工の
の不足」
不足」
という大きな原因があった。法則は他産業に応用
経験豊富な
豊富な
設計者
熟練工の
不足」」という大きな原因があった。法則は他産業に応用
できる。自動車産業
自動車産業で
で
多発する
するトラブル
トラブルの
の
背景要因は
は
、
自動車産業
多発
する
トラブル
背景要因
家電産業
にも
共通
する
できる。自動車産業
自動車産業で
実は
は家電産業にも
家電産業にも
にも共通
共通する
するものがあるんだ。
自動車産業で多発する
多発するトラブル
するトラブルの
トラブルの背景要因は
背景要因は、実
家電産業にも共通
にも共通する
共通するものがあるんだ。
する
重大な事故はどうして起こるのですか。
軽微な
軽微
事故
重大
事故
っこで
がって
軽微な
な事故と
事故と
と重大な
重大な
な事故は
事故は
は必
必ず
ず根
根っこで繋
っこで繋
繋がってい
がってい
いる
るんだ。背景要因を追求しないと、重大事故に発展
んだ。背景要因を追求しないと、重大事故に発展
軽微な
事故と
重大な
事故は
っこで繋
がってい
する可能性がある「
「
リコールの
の
種
」
が隠れている。水面下のソフトとハードの直接原因ばかり探って対処し
リコール
する可能性がある「
「リコールの
リコールの種」が隠れている。水面下のソフトとハードの直接原因ばかり探って対処し
ても、思わぬ重大事故は避けることはできない。背後にある軽微な事故の「
「「見
えない
リンク
ても、思わぬ重大事故は避けることはできない。背後にある軽微な事故の「
見えないリンク
えないリンク
リンク」
、さらには現場
えないリンク」
リンク」」、さらには現場
の作業工程や企業文化
企業文化にまで踏み込まないと、本当の対策にはならないんだね。
企業文化
の作業工程や企業文化
企業文化にまで踏み込まないと、本当の対策にはならないんだね。
企業文化
[文中の“ ”の部分及び下図は書籍の引用]
【エレベーターでの原因究明の考え方】
【家電製品と自動車の共通背景要因】
頻繁に起こっている様々な事故
共通する背景要因
挟まれ(扉)
閉じ込め
誤作動
重大
事故
A.使い方のレスカ
レート
C.発展期の技術
分野における試
行錯誤
これからやるべき
原因究明
従来やってきた原因究明
B.海外へのマー
ケット拡大
D.生産設備の老
朽化
‐2‐
家電製品
自動車
• 冷蔵庫からの
発火
• 連続超低速運転に
よる潤滑不足で変
速機ベアリングが焼
き付き、走行不能
• デジタルカメラ
の表示部に画
像が出ない
• 凹み路面が多い道
路を繰り返し走行し、
二輪車のホイール
のスポークが破談
• 地震直後のエ
レベーターで
閉じ込め発生
• エンジンをかけたま
ま車を離れたら勝
手に発進
• エチレン精製
プラントの爆発
• 汚水で塗装直前の
コイルスプリングを
洗浄したため、腐食
が進行して折損
Ten Minutes Marketing
009
それでも、リコールと言われると良いイメージはありませんね。
残念なことに、日本でリコールされた車の評価は下がる。しかし、アメリカではリコールされた車の中古車
残念なことに、日本でリコールされた車の評価は下がる。しかし、アメリカではリコールされた車の中古車
価格はあまり低下しない。正
正
しく
リコール
された
信頼性
まり
品質
くなっている
価格はあまり低下しない。正
正しくリコール
しくリコール
リコールされた
された車
車は
は信頼性が
信頼性が
が高
高まり、
まり、
品質が
が良
良くなっていると考えられて
くなっていると考えられて
しくリコールされた
リコールされた車
された車
信頼性が
まり、、品質が
品質が
くなっている
いるからなんだ。自動車だけでなく、他工業品も同じ。1つの製品を社会全体で長く使う努力は今後ます
いるからなんだ。自動車だけでなく、他工業品も同じ。1つの製品を社会全体で長く使う努力は今後ます
ます必要になってくるだろう。製品を長く使うということで、環境
環境対策
環境
対策
一環
としても
リコール
改善
ます必要になってくるだろう。製品を長く使うということで、環境
環境対策
対策の
の一環としても
一環としても
としても、
リコールで
で改善された
改善された
された
環境対策の
対策の
一環としても、
としても、、リコールで
リコールで
改善された
製品を
製品
積極的
評価
していく
姿勢
大切
製品を
を積極的に
積極的に
に評価していく
評価していく
していく姿勢
姿勢が
が大切になるんだ。
大切になるんだ。
製品を
積極的に
評価していく姿勢
していく姿勢が
姿勢が
大切
リコールは、技術者が自分の失敗を他人に伝えていくことですね。
筆者らの最大のメッセージは、“リコール
リコールは
リコール
すものではなく
かすもの
筆者らの最大のメッセージは、“リコール
リコールは
は隠
隠すものではなく活
すものではなく活
活かすもの”。失敗から徹底的に学び、リコー
かすもの”。失敗から徹底的に学び、リコー
リコールは
すものではなく活
かすもの
ルを活かすと、長い目で見たときに結果的に大きなコストダウンになるんだね。パナソニック(旧松下電器
ルを活かすと、長い目で見たときに結果的に大きなコストダウンになるんだね。パナソニック(旧松下電器
産業)のFF式石油温風器の事故のように、家の設備に組み込まれたものはリコールしにくく、回収もなか
産業)のFF式石油温風器の事故のように、家の設備に組み込まれたものはリコールしにくく、回収もなか
なか進まなくなるんだ。リコール学は、“失敗
失敗から
失敗
から
たものを
みに
えていく
強力
知的
スタイル
なか進まなくなるんだ。リコール学は、“失敗
失敗から
から得
得たものを真
たものを真
真の
の強
強みに変
みに変
変えていく強力
えていく強力
強力な
な知的スタイル
知的スタイル
スタイル”
失敗から得
から得
たものを真
みに変
えていく強力な
強力な
知的スタイル”
スタイル
と著者らは述べている。
と著者らは述べている。
リコールは技術の進化には欠かせないものなんですね。
その通り。自動車の場合は登録制度があり、定期的な車検があり、税金があるので、リコールした場合に
その通り。自動車の場合は登録制度があり、定期的な車検があり、税金があるので、リコールした場合に
持
持
特定
することが
容易
特定
持ち
ち主
主を
を特定することが
特定することが
することが容易
容易。しかし、家電製品の場合、事故件数の報告のみで持
持ち
ち主
主を
を特定すること
特定すること
すること
特定することが容易
することが容易。しかし、家電製品の場合、事故件数の報告のみで持
容易
特定すること
が
困難
が困難と、制度として整備されていないという現状があるんだね。
困難と、制度として整備されていないという現状があるんだね。
困難
自動車と違って、一度市場に投入してしまうと、致命的な事故が起きてもリコール回収が不可能な製品・
自動車と違って、一度市場に投入してしまうと、致命的な事故が起きてもリコール回収が不可能な製品・
設備は世の中にはある。だからこそ、「
「「高
「「見
レベル
での
デザインレビュー
えない
リンク
発見
する
設備は世の中にはある。だからこそ、「
高い
いレベルでの
レベルでの
レベルでのデザインレビュー
でのデザインレビュー
デザインレビュー」
や「
見えないリンク
えないリンク
えないリンクを
リンクを
を発見する
発見する
発見する」
する」
でのデザインレビュー」
デザインレビュー」」や「
リンクを
する」」
といった法則を徹底的に理解・実践し、本質的な安全を確保するような、緊張感のあるモノづくりが重要
といった法則を徹底的に理解・実践し、本質的な安全を確保するような、緊張感のあるモノづくりが重要
になるんだね。
になるんだね。
[文中の“ ” の部分は書籍の引用]
「リコール学の法則」の論点
リコールは産業のスパイラル成長には欠かせない。しかし、コストを惜しんで不具合を
隠したり、場当たり的な修理に終始してしまっては、意味がない。失敗を失敗と認め、そ
れを後世に伝えてより本質的に安全なもの、品質を高める努力をしていくことこそ、リコー
ル学の本質である。けれども、日本ではリコールや回収された製品・設備に対する風当
たりは強く、マイナスのイメージが根強くある。アメリカのように、リコールされた自動車こ
そ、品質が向上しているという発想をする日本人は少ない。それが、2010年のアメリカで
のトヨタリコール問題において、アメリカの日本バッシングという構図における日本側の
報道の仕方の根底にある。ともあれ、リコールを責任問題とは別に技術の発展には欠か
せない制度として前向きに捉え、法則として整理したことは、失敗学の流れからも注目
すべきことである。
‐3‐
Ten Minutes Marketing
009
「リコール学の法則」/内崎巌、畑村洋太郎[著]
<著者紹介>
<目次>
内崎巌
内崎技術事務所代表。技
術士(機械部門)
1947年生れ。東京大学工学部機
械工学科卒業。71年(株)竹中工
務店に入社、技術研究所勤務。
在職中にマサチューセッツ工科
大学に留学。98年、内崎技術事
務所設立。
第1章
リコール学とは何か
第2章
見えないリコールの
原因
第3章
リコール調査で わかったこと
畑村洋太郎
畑村創造工学研究所主宰。
工学博士。工学院大学グロー
バルエンジニアリング学部機械
創造工学科・教授
1941年東京都生れ。東京大学工
学部機械工学科修士課程修了後。
01年より工学院大学国際基礎工
学科教授。
<2010年4月1日現在>
第4章
リコール学の法則
第5章
リコール学を活かす
終章
リコール学を共有 文藝春秋/2008年1月30
日 発行/1,333円[税別]
/237頁
する
<内容紹介>
いろいろなデータベースや、不具合事例集、事故事例集には、個々の事例は書いてあっても、そ
れから何を学ぶのか、別の状況でもそれらの事例から得た知識をどう活かすのか、という一段高いレ
ベルに上がったことが書いてありません。フィルターを何重にも通していくうちに、生きた部分がそぎ
落とされ、最終的には無味乾燥な情報だけが残されているわけです。
そんな乾き切った「スルメから泳いでいるイカを想像できるようになる」本です。
実際起こってしまったリコール事例(スルメ)から生きた情報(臓物のついたイカ)を導き出す知的方
法論を本書ではお伝えしたいと思います。
=「はじめに」より抜粋=
こんな本もある
「リコールに学ぶ-なぜオシャカを作ったか」
(畑村洋太郎、内崎巌著 日刊工業新聞社)
「モノづくりの落とし穴-製品事故・不具合に学ぶ」
(内崎巌著 日刊工業新聞社)
「失敗から学ぶ機械設計-製造現場で起きた実際例81」
(大高敏男著 日刊工業新聞社)
「製造現場から見たリコールの内側」
(五代領著 日本実業出版社)
「不具合連鎖-「プリウス」リコールからの警鐘」
(日経BP社トヨタリコール問題取材班編集 日経BP社)
Ten Minutes Marketing
?
株式会社 マップス
「リコール学
リコール学の法則」
法則」
‐4‐
〒102-0083 東京都千代田区麹町4丁目3番地 紅谷ビル4F
E-mail:[email protected]
URL:http://www.mapscom.co.jp
TEL:03-5226-0111/FAX:03-5226-0113