8月号

平成28年7月19日
向東中保健室
小林珠美
保存版
もうすぐ夏休み!野に山に海にと計画を立てている人も多いことでしょう!
わざわざ遠くまで行かなくても,重井に豊かな自然がいっぱいです。この時期
に,一番気をつけてほしいのは,毒虫や毒ヘビへの対策です。
そこで今回は,私たちの身近にいる毒虫や毒ヘビへの対応について特集します。
いざというときにあわてないよう,保存版として,家の見えやすい場所にはって
おいてください。
▼毒虫・毒ヘビに刺されない(咬まれない)ためにどうする?
〇虫やヘビを刺激しない。
(近づかない・さわらない)
〇キャンプや登山,農作業時には,なるべく肌を露出しない服を着用する。サンダルではなく,スニ
ーカーや登山靴などをはく。
〇虫よけスプレー,虫さされの薬を携帯する。
〇シートなどを敷き,草むらに直接すわらない。
〇ハチは,フルーツや花の香りのするものによって来るので,制汗剤などは無香料のものをつける。
また,白っぽい上着を着用する。
〇帰宅後は,衣服に虫がついていないか点検する。
▼毒虫・毒ヘビに刺されたら(咬まれたら)どうする?
刺された(咬まれた)時の症状
ハチ
ミツバチ
アシナガバチ
スズメバチ
アブ
刺された(咬まれた)ときの対応
〇焼けるような強い痛みがあり,赤くはれる。 〇傷口を流水でよく洗い流す。
〇ハチの毒(時にスズメバチ)は,とても強 〇ハチの針が残っている場合は,指でつま
く,アナフィラキシーショックを起こす可能
んで(ピンセット)でそっと抜く。
性があるので注意が必要。
〇爪などで傷口周囲を圧迫し,
毒液をしぼ
り出す。
((毒吸い器があれば,それを使
う)
アナフィラキシーショックの症状
〇ハチの毒は水に溶けやすいので,
流水で
自覚症状
他覚症状
傷口をもみながら毒液をしぼり出す。
(自分で感じる)
(人が見てわかる)
〇虫刺さされの薬があれば塗って,
傷口を
・口内の異物感,
・肌があかくなる
冷やし安静にする。
・口内のしびれ
・肌のはれる
〇スズメバチに刺された時,アナフィラキ
・飲み込み困難
・じんましん
シーショックの症状がある場合は,直ち
・息苦しい
・身体のむくみ
に病院を受診する。(個人病院より,総
・両手足のしびれ
・呼吸困難
合病院の方が良い)
・息切れ・動悸
・チアノーゼ(唇・
※注意することは…
・悪寒 ・耳鳴り
爪が紫になる)
・大声を出してはダメ!
・くしゃみ
・意識がもうろうと
・あわてて逃げてはダメ!静かにその場
・めまい
なる
から離れる。(巣から離れる)
・けだるさ
・毒を口で吸い出してはダメ!
・腹痛 ・尿便意
〇咬まれた時に,一瞬チクッとした痛みを感 〇毒吸い器か爪で絞り出す。
じる。
〇虫さされの薬があれば塗って,傷口を冷
〇じっとしていられないほど,かゆみが強く,
やし安静にする。
出血することもある。
※かきむしってはダメ!
〇アレルギーがある場合,化膿し水ぶくれが
できることがある。
ドクガ・毛虫
マダニ
ムカデ
クラゲ
オコゼ・アカエイ
毒ヘビ
マムシ・ハブ
〇ドクガ類(ドクガ・チャドクガ)に刺され
ると,ピリピリとかゆくなる。かゆみの強
い 赤いぶつぶつが現れかくことでさらに
悪化する。
(ツバキ・サザンカを好む)
〇イラガ類の幼虫に刺されると激しい痛みが
生じ,しばらくすると赤くかゆくなる。
(サ
クラ,カキ,ナシ,カエデを好む)
※ドクガ類は,幼虫だけでなく,成虫も危険。
直接刺さされなくても,葉についている毛
に触っただけでも皮膚炎を起こす。
家に多く生息しているヒョウダニと比べ,
肉眼でも見える大きさで,かゆみなどの自覚
症状がないため,咬まれたことに気づかない
ことが多いのが特徴です。
数日間かけて血を吸い続け,
吸血すると体長が倍以上に大き
くなり,肉眼では,ほくろのよ
うに見えます。
〇しびれるような痛みがある。はれが続いて,
熱が出ることもある。
〇大ムカデに数回刺されると,アナフィラキ
シーショックを起こす可能性があるので注意
が必要。
〇クラゲに刺されるとみみずばれのようにな
る。
〇オコゼ・アカエイに刺されると激痛がある。
〇アナフィラキシーショックを起こす可能性
があるので注意が必要。
山林・田畑・草むらに多く生息する。体長は
45~60cm で,太くて短い。背には黒褐色
の銭形の斑紋がある。
牙あと 咬まれると焼けつくような激痛を感じ,はれ
てくる。はれは,5~10 分以内に始まって,
だんだん広がり,唇のしびれ・頭痛・腹痛・
吐き気などの全身症状が出てきます。基本的
マムシ・ハブに咬ま
に,手足を咬まれた場合は,致命的ではない。
れたあと(2列の歯
顔や首を咬まれた場合は,はれによる窒息の
型と前牙)
危険があるので,急ぐ必要があります。
毒ヘビ
水田・池・川辺など湿ったところに多く生息
ヤマガカシ
する。体長は 60~120cm で,赤みがかっ
た褐色の体に黒い斑点があり,首筋が黄色い。
ヤマカガシの毒は血液の凝固作用を失わせ
牙あと
る。咬まれても痛みを感じないこともあるが、
数時間後に歯ぐきや古傷からの出血,皮下出
ヤマガカシに咬まれ
血や血尿などの症状があらわれる。
たあと(4 列の歯型
と後牙)
〇ドクガ類の幼虫に触れた場合,直後であ
ればその部分の皮膚にセロハンテープ
をはる,はがすを数回繰り返し,毛を取
る。
〇泡立てた石鹸で洗ってからシャワーで
勢いよく流す。
〇イラガ類の毒とげに触れた場合,
痛みが
おさまるまで局所を冷やす。
〇虫さされの薬を塗って様子をみる。かゆ
みがひどい時は,皮膚科を受診する。
〇「あわてて手で引っ張ろうとしない」
〇無理やり引きはがそうとすると、
マダニ
の口の部分が皮膚内に残り「重症熱性
血小板減少症候群(SFTS)」などの二
次感染を起こします。
〇ワセリンがあれば,
ワセリンを塗ってマ
ダニを窒息状態にすることも有効です。
〇マダニに咬まれていることに気づいた
ら,触らずに早く皮膚科を受診する。
〇毒吸い器か爪で絞り出す。
〇その後,患部を十分に冷やし,虫さされ
の薬を塗る。
〇2 度目に咬まれた場合は,早急に病院を
受診する。
アナフィラキシーショックの
症状がある場合は,個人病院より,総合
病院の方が良い。
〇すぐに水から上がる。
※クラゲに刺されたら…
・刺された部位は,絶対にこすらない
で残っている触手をそっとはがす。
・患部を冷やす。
※魚類に刺されたら…
・毒針を抜く。
・患部を40℃くらいのお湯につける。
〇処置後,直ちに病院を受診する。アナフ
ィラキシーショックの症状がある場合
は,
個人病院より,
総合病院の方が良い。
〇毒ヘビか無毒のヘビか判断するには,咬
み後を見ると良い。毒ヘビの場合,左図
のような牙あとが残っている。
〇毒ヘビの場合,
素人にできることはほと
んどないので,
できるだけ早く病院を受
診する。
※受診するまでに注意することは…
・患者を安静にさせる
・患者を安心させる
*数時間たっても血清は使える
・咬まれた部位を動かさない
*咬まれた部位の上から包帯をゆる
く巻くなど(毒吸い器があれば毒を
吸い取ってから)
・腕や足などを強くしばってはダメ!
・咬まれた部位を冷やしてはダメ!
・毒を口で吸い出してはダメ!
◎無毒のヘビだと思っても,
必ず病院を受
診する。