介護職員初任者研修シラバス 授業科目 授業の目的と概要 授業の到達目標 これから研修を始めるに当たって、研修を修了した 1.研修会全体のオリエンテーションとしての位置 時のイメージができるよう、求められる介護者像を 付けをもって、これから何を学ぶか、学ぶ意義は何 説明して、介護サービスの種類、現場の様子などを か、動機付けを行う。 伝える。 2.介護の理念と専門性について理解ができる。 担当者 1・職務の理解 1-1 多様なサービスの理解 飯尾 良英 木俣 光江 田部 宏行 臼井 一子 柴田 邦子 柴田 邦子 倉橋 恵 倉橋 恵 加藤 剛 3.介護の理念に基づいて、介護の考え方や実践が できる 1-2 介護職の仕事内容や働 介護職員として働き続け、将来において自分がどの 介護職キャリアパスの全体像を知り、介護職員とし く現場の理解 ような仕事をしたいかをイメージしてキャリア設計 て自分自身のキャリア設計を立てることができる をする必要性を知る 2・介護における尊厳の保 持・自立支援 2-1 人権と尊厳を支える 介護 介護専門職の基本的理念である「基本的人権」「個 ① 人としての尊厳、②権利擁護、③個人の尊厳と 人の尊厳」について理解するとともに、アドボカシ 価値、④社会的役割の実感について理解し、習得す ーやエンパワメントについても学ぶ。この過程を通 ることを目指す。 して、介護職員を目指すうえで必要な知識や技術の 基盤を作る。 2-2 自立に向けた介護 ・利用者のあるべき主体的な生活を営むために、要 ケアの現場において「自立」と「自律」を理解し 介護状態にならないための予防と重度化を防ぐため 自立支援の介護方法が理解できる。 の手立てを学び、介護予防活動を活かせるよう内容 介護予防の視点で取り組むことで、長く自立生活が について学び知識を深める 送れることひいては介護保険の財政負担の軽減につ ながることが理解できる。 3・介護の基本 3-1 介護職の役割、専門性 と他職種の連携 個別性の意義を学び、訪問介護サービス、施設介護 介護職の専門性の習得 サービス、地域包括ケアにどう生かすかを理解する。 個別性の原理を習得し利用者の自己決定を尊重し柔 介護支援専門員、 看護、理学療法士、栄養士等の 連携を密にすることにより 軟に対応できる人格の形成 他職種との連携の必要性の習得 利用者の QOL の向上が望める事を学ぶ(報、連、相) 3-2 介護職の職業倫理 介護職の職業倫理を学び行動規範とし、社会的責 任や姿勢を学ぶ 法令遵守の重要性を学ぶ 利用者の尊厳とは何かを理解し、社会的な役割を 自覚することができる 3-3 介護における安全の確 介護が必要な対象者は身心の障害や要介護高齢者の ② 保とリスクマネジメ ため、事故発生の確率は高く、生命に危険を生じる ③ リスクマネジメント ント 可能性も高い。リスク回避のために身体拘束や抑制 ④ リスクマネジメントにおける重要な要素につ をせず、人間の尊厳を保持しながら危険因子を管理 介護における安全性の確保の重要性 いて理解することができる。 し、リスクの回避、安全安楽な介護をすることの重 要性を学ぶ。 3-4 介護職の安全 利用者に最も身近で影響を与える立場にあるため、 ① 介護職の健康管理 介護者が心身ともに健康でないと利用者が支援を躊 ② 介護職に起こりやすい健康障害 躇する状況を生み出しかねない。心身状態が安定し ③ 腰痛予防 ていないと注意力散漫になり事故を引き起こす原因 ④ 感染症の予防 にもなるため、介護職自身が心身ともに健康である ⑤ ストレスマネジメントについて理解すること ことの重要性を学ぶ。 ができる。 4・介護・福祉サービ スの理解と医療との 連携 4-1 介護保険制度 わが国の高齢化状況を正しく把握し、社会的に介護 現状の高齢化社会、今後の超高齢化社会を踏まえ、 が必要とされる背景を確認する。その社会的背景の 高齢者介護の必要性と介護保険制度の役割等につい 1 基「介護保険制度」が創設され、その制度の基本的 て、制度内容の基本的部分を理解する。 仕組みや保険制度の基礎的な部分を理解し、その制 また、介護サービス事業者は介護保険制度に基づき、 度維持に係わる「財源」「組織」「団体」等の役割 介護サービスを提供している事業者であり、今後の も併せて理解する。 超高齢化社会を担う仕事であるが、根本は利用者(高 また、他の保険制度「医療保険制度」並びに「年金 齢者)主体で本制度が成り立っている事を理解する。 保険制度」の概要も併せて理解する。 4-2 医療の連携とリハビリ テーション ・介護職員が触れる機会の多い医療行為、リハビリ 医療行為・非医療行為の範囲を知り、介護士とし テーション医療に関する基礎知識と医療との連携の ての対応ができる。 重要性を知る。 医療・看護との連携及び介護士の役割を理解する。 服部 雅文 田部 宏行 リハビリテーション過程、リハビリテーション職種 との連携の重要性を理解する。 4-3 障害者自立支援制度お よびその他制度 障害者(児)福祉施策の変遷、障害者雇用の実態等 ①わが国の法律で定める障害の捉え方、②障害者 を理解するとともに、それに基づく福祉サービス、 (児)福祉の背景と動向、③障害者雇用と就労状況、 介護サービスを学ぶ。加えて適正な情報提供と、関 ④障害福祉サービスの仕組み、⑤所得保障、につい 連する職種との連携についても学ぶ。 て理解することを目指す。 高齢者や障害者のコミュニケーション能力は一人ひ ・基本的なコミュニケーション技術(共感、受容、 とり異なることと、その違いについて学び、あわせ 傾聴的態度)を身につけ、高齢者、障害者、家族 て家族の心理面についても意識して取り組むことを の心理面を理解できる相談、助言の方法が理解で 学ぶ。 き、身につけることができる。 5・介護における コミュニケーション 5-1介護におけるコミュ ニケーション 5-2 介護のおけるチームの コミュニケーション 利用者(高齢者・障害者)との信頼関係を構築し、 ・言語、視覚、聴覚障害者とのコミュニケーション 利用者支援に関わる介護、医療職の情報の共有の大 上の留意点を学び、身につけることができる。 切さを学び、よりよい支援の手立てとなることを学 ・記録の機能と重要性の気づきを持ち、利用者支援 んでいく。 臼井一子 臼井 一子 のサービス方針や統一したサービスの提供ができ ることを理解する。 6・老化の理解 6-1 老化に伴うこころとか らだの変化と日常 老年期における発達課題や老化がもたらす高齢者へ 老化についての考え方や老化学各説から老化につい の影響を社会的側面、精神的側面から学ぶ。 て理解することができる 高齢者の人格を尊重し、人としての尊厳を保てる支 生涯発達について理解できる 援について学ぶ。 老年期の人格の尊重と、人としての尊厳について理 譲 西賢 解することができる。 6-2 高齢者と健康 加齢・老化に伴う心身の変疾病の生理的・精神面か 加齢・老化の変化・特徴に着目した心理面を知るこ ら理解することの重要性を学ぶ。 とができる。その症状・種類、治療・生活上の留意 檜垣 啓子 檜垣 啓子 檜垣 啓子 加藤 剛 加藤 剛 点・訴えをあげることができる。 7・認知症の理解 7-1 認知症を取り巻く状況 認知症を理解することの必要性を知り、人の尊厳か 認知症介護の原則を理解できパーソンセンタードケ ら全人的利用者中心のケアがなされる原則を理解す ア理念に基づいた介護職の自覚ができる。症状の進 る。 行にもその人の尊厳と誇りを持ち続けられるケアが できる。 7-2 医学的側面から見た認 認知症の医学的な面からの理解とその症状、その原 認知症における心身両面から全人的ケアをパーソン 知症の基礎と健康管理 因疾患としての理解をし、ケアへ進める。 センタードケア理念に基づいて介護及び連携する多 職種の共有を密にしたケアを行える 7-3 認知症に伴うこころと 認知症の人をケアする上で必要な、認知症の人のこ からだの変化と日常生活 ころと体の変化を理解し、事例を通して、認知症を ①認知症の人の心の内 ②周辺症状(BPSD)に 症状として捉えるだけでなく、認知症の人の心の内 みる認知症の人の思い ③原因疾患による認知 から症状を読み解こうとする必要性を理解する。 症症状の違い その上で、利用者への対応方法を事例を通して理解 する。 生活障害、心理・行動の特徴を理解する。 利用者への対応方法を理解する。 ① ケアのあり方と周辺症状 の背景を読み解く 7-4 家族への支援 ②認知症症状 ③非薬物療法 認知症初期に見られる、家族の心理状況を理解し、 家族の認知症受容期の心理状況を理解し、よりよい 家族ともよりよい関係性を築き、かつ、家族の介護 関係性を築き、認知症の人の安心安全と家族の介護 2 負担の軽減を図るよう援助する必要性を学ぶ 負担の軽減を図るよう援助することが理解できる。 介護者として、障害者(児)を支援するときに必要 ①障害者福祉の基本理念、②障害の概念と国際生活 な基本的考え方を理解する。さらに障害の定義につ 機能分類(ICF)について十分理解する。 8・障害の理解 8-1 障害の基礎的理解 倉橋 恵 倉橋 恵 倉橋 恵 臼井 一子 臼井 一子 檜垣 啓子 柴田 邦子 いても考え、障害をどのように捉えて、専門的なサ ービスを提供していけばよいかを学ぶ。 8-2 障害の医学的側面、生 肢体不自由、内部障害、視覚障害、聴覚障害、音声・ 障害の種類と特徴、その医学的側面について十分理 活障害、心理・行動の特 言語・咀嚼機能障害、精神障害、躁うつ病等、神経 解し、日常生活を支援するポイントを基に実践力を 徴、かかわり支援等の基 症性障害、アルコール依存症、知的障害、発達障害、 習得する。 礎的知識 タウン症、高次脳機能障害などの障害の特徴と専門 的なサービスの方法を学ぶ。 8-3 家族の心理、かかわり 障害者や高齢者のいる家族を対象に、介護による問 ①介護する家族の遭遇するストレス、②障害の理解 支援の理解 題点を理解し、その負担を軽減するための方法を学 と受容支援、③介護負担の軽減について十分理解し、 ぶ。 実践力を習得する。 利用者一人ひとりに適切な介護を行うための基本的 介護保険制度下の介護サービスであることへの意識 な考えを理解し、法的根拠に基づく介護の大切さを 付けができ、ICF 視点から ICF を活用した個別支援 学び、介護保険制度下の介護サービスのあり方につ ができるよう理解し、現在求められる利用者本位の いて知識を深める。 サービス提供の理解を深める。 加齢に伴って生じてくる心の変化による日常生活へ 尊厳を保持しその人の自立を尊重し、持てる力が発 9・こころとからだの しくみと生活支援技術 基礎知識の学習 9-1 介護の基本的な考え方 9-2 介護に関するこころの しくみの基礎的理解 の影響と高齢者の心理を学び、高齢期に生じる心理、 揮できるよう心理面を理解しながら支援することの 社会的環境の変化等について理解を深め廊下の理 大切さを深める。 解、生きがいづくりの支援の視点を学ぶ。 9-3 介護に関するからだの 尊厳を保持しその人の自立を尊重し、持てる力が発 体の仕組み、運動動作の仕組みが理解できる。 しくみの基礎的理解 揮できるよう心理面を理解しながら支援することの 健康チェックの意義の理解ができ、介護サービス提 大切さを深める。 供方法の支援と結びづけて考えることがでる。 人の暮らしや習慣など生活の基本的領域は何かを学 個別性原理を踏まえての自立支援、QOL の向上を目 ぶ 指した家事援助ができる 生活支援技術の講義・演習 (うち演習27) 9-4 生活と家事 家事援助の必要性と、支援のスタンスを学ぶ 9-5 快適な居住環境整備と 介護 9-6 整容に関連したこころ 高齢者等の住環境に関する知識を身に付け、さらに 福祉住環境整備における基礎知識を習得する。 福祉用具を併用することで、快適な住空間を提供で 介護保険制度と福祉用具の関わりを習得する。 きるようにする。 大まかな福祉用具を理解する。 整容についての意義を、生理学的側面、社会的側面、 整容行動とは何か理解できるとともに、具体的な整 とからだのしくみと自 精神的側面から学ぶ 容行動を、要介護者ができる限り自立して行えるよ 立に向けた介護 身だしなみに関連するこころとからだのしくみを考 う支援できる技術の習得 森 幹治 加藤 剛 木俣 光江 木俣 光江 木俣 光江 え、さらに疾病や高齢などにより支援が必要になっ た場合、その人らしく身だしなみを整えるための基 本的な支援のポイントと留意点を学ぶ 9-7 移動・移乗に関連した 様々な移動方法を学ぶ 自立支援の重要性を学ぶ 様々な移動方法を知る こころとからだのしく 利用者の心身状態を把握し、移動の目的にそって、 利用者の心身状態を把握し、移動の目的にそって、 みと自立に向けた介護 要介護者に適した移動方法を学ぶ 要介護者に適した移動方法を習得し、展開できる。 ボデイメカニックスの活用方法を学ぶ。 ボデイメカニックスの活用方法を知り、状態に応じ た展開ができる 9-8 食事に関連したこころ 食事に関する基礎知識を学ぶ 食事に関する基礎知識を学ぶ とからだのしくみと自 食事摂取の仕組みと加齢や障害に伴う食事への影響 食事摂取の仕組みと加齢や障害に伴う食事への影響 立に向けた介護 や障害を学び、その状態に合わせた介助方法を学ぶ や障害を学び、その状態に合わせた介助方法を学ぶ 入浴と清潔保持に関する基礎知識を学び、利用者が 入浴と清潔保持に関する基礎知識をしる。 9-9 入浴、清潔保持に関連 3 したこころとからだの 安全な環境で、安心して清潔保持ができる知識およ 安全な入浴環境の提供方法を知り、安心して清潔保 しくみと自立に向けた び方法を学ぶ 持ができる方法を展開できる。 排泄の仕組みを学び、排泄障害とその対応方法を学 排泄の仕組みを知り排泄障害に応じた対応方法が展 ぶ 開できる 9-11 睡眠に関連したここ 介護の基本知識を学び、実際に介護を行うには、こ ろとからだのしくみ ころとからだのしくみを理解することが重要であ と自立に向けた介護 る。人の活力は休養・睡眠から得る。ここちよい眠 介護 9-10 排泄に関連したここ ろとからだのしくみ 木俣 光江 高齢者の障害の支援が適切にできる。 檜垣 啓子 檜垣 啓子 檜垣 啓子 木俣 光江 柴田 邦子 邦子 と自立に向けた介護 りを支援する大切さを知る。 9-12 死にゆく人に関連し 健やかな最期が迎えられる為には、その人ののぞむ 「終末期は予期でる」その人との間の最良の信頼関 たこころとからだの 生活の中から生まれるものであることを理解でき 係から健やかなターミナルを用意できる。 しくみと終末介護 る。 生活支援技術演習 9-13 介護過程の基礎的 理解 “QOL”のための介護には綿密な意図的行為が科 家族が行ってきた介護を介護職が行う為に絶対にふ 学的思考の基に行われることを理解する。 まねばならない睡眠の役割と生理の根拠を理解し、 実施支援できる。 9-14 総合生活支援技術 演習 着脱、移動、食事、排泄、入浴の事例を通して、具 能力を活用しながら着脱、移動、食事、排泄、入浴 体的な援助方法とその根拠を学び、生活支援技術の の支援をする。 展開を行なう 10・振り返り 10-1 振り返り 研修全体を振り返り、本研修で学んだことについて 130 時間に及ぶ研修を終え、人格形成に役立ってい 再確認を行う。 るかの確認 介護職の業務と基本的態度の確認 在宅、施設の各々の場面での介護者としての姿勢の 根拠に基づく介護の要点の確認 確認 科目ごとの重要点を述べることができる 介護福祉士法 44 条②~50 条 義務等の重要性を述 べることができる 10-2 修業への備えと研修 全体を振り返り、研修を通じて学んだことについて 介護者の人格形成、自己研鑽の重要性が理解できる。 柴田 終了後における継続 再確認を行うと共に、就業後も継続して学習・研鑽 豊富な知識と常に前を向いた人格の形成ができる。 的な研修 する姿勢を養成 職場環境への適応へ向けての心構えの確認ができる 学習課題の確認 各自のキャリアパスデザインを立てる 4
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